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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】消防車両
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
A62C27/00 507
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022107101
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲治
(72)【発明者】
【氏名】玉田 和之
(72)【発明者】
【氏名】戸城 賢三
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-005852(JP,A)
【文献】特開2016-031150(JP,A)
【文献】特開2012-251566(JP,A)
【文献】特開平08-266673(JP,A)
【文献】特開平06-079011(JP,A)
【文献】特開平10-277173(JP,A)
【文献】特開平01-265978(JP,A)
【文献】中国実用新案第212700186(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-2088679(KR,B1)
【文献】特開昭62-027972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、
前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、
前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、
を備え、
前記第1結合部は、
軸方向に突出するとともに周方向に配列された複数の第1フックと、
隣り合う前記第1フックの間にそれぞれ形成された複数の第1凹部と、
を有し、前記複数の第1フックと同形状の複数の第2フックおよび前記複数の第1凹部と同形状の複数の第2凹部を有する前記第2結合部と結合可能であり、
前記第1結合部と前記第2結合部の結合時、前記第1フックが前記第2凹部に挿入されるとともに前記第2フックが前記第1凹部に挿入され、かつ、前記第1フックと前記第2フックとが係合し、
前記離脱装置は、
前記第1結合部と前記第2結合部が結合した状態において前記第1フックと前記第2フックの間に形成される隙間に挿入可能なピンと、
前記隙間に挿入された前記ピンを前記周方向に回動させ、前記第1フックと前記第2フックの係合を解除する回動機構と、
を備える、消防車両。
【請求項2】
前記離脱装置は、前記ピンを前記隙間に挿脱する挿脱機構をさらに備える、
請求項に記載の消防車両。
【請求項3】
車両本体と、
前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、
前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、
前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、
を備え、
前記第1結合部は、
軸方向に突出するとともに周方向に配列された複数の第1フックと、
隣り合う前記第1フックの間にそれぞれ形成された複数の第1凹部と、
を有し、前記複数の第1フックと同形状の複数の第2フックおよび前記複数の第1凹部と同形状の複数の第2凹部を有する前記第2結合部と結合可能であり、
前記第1結合部と前記第2結合部の結合時、前記第1フックが前記第2凹部に挿入されるとともに前記第2フックが前記第1凹部に挿入され、かつ、前記第1フックと前記第2フックとが係合し、
前記離脱装置は、
前記第1結合部と前記第2結合部が結合した状態において前記第1フックと前記第2フックの間に形成される隙間に挿入可能なピンと、
前記ピンを前記隙間に挿脱する挿脱機構と、
を備え、
前記ピンは、前記周方向における幅が前記隙間の前記周方向における幅よりも大きい値から小さい値へと先端に向けて漸次減少するテーパ部を有し、
前記挿脱機構により前記ピンを前記第1フックと前記第2フックの間に形成される前記隙間に挿入する際に、前記テーパ部が前記第1フックと前記第2フックを前記周方向に離間させ、前記第1フックと前記第2フックの係合が解除される、消防車両。
【請求項4】
前記離脱装置は、前記周方向に間隔を空けて配置された複数の前記ピンを備える、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の消防車両。
【請求項5】
車両本体と、
前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、
前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、
前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、
を備え、
前記第1結合部および前記第2結合部の結合は、前記第2結合部を解除方向へ回動させることで解除可能であり、
前記離脱装置は、
前記第1結合部に結合された前記第2結合部を挟持する一対の回転体と、
前記一対の回転体を回動させる回動機構と、
を備え、
前記離脱装置は、前記一対の回転体によって前記第2結合部を前記解除方向へ回動させ、前記第1結合部と前記第2結合部の結合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させる、消防車両。
【請求項6】
車両本体と、
前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、
前記第1結合部に結合可能な第3結合部と、前記第2結合部に結合可能な第4結合部とを有する媒介具と、
前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、
前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記第1結合部と前記第3結合部の結合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、
を備え、
前記第1結合部および前記第3結合部の結合は、前記第3結合部を解除方向へ回動させることで解除可能であり、
前記離脱装置は、
前記媒介具の外周面に装着可能なスリーブと、
前記外周面に装着された前記スリーブを前記解除方向へ回動させ、前記第1結合部および前記第3結合部の結合を解除する回動機構と、
を備える、消防車両。
【請求項7】
前記媒介具の外周面は、凸部を有し、
前記スリーブの内周面は、前記凸部と係合する凹部を有する、
請求項に記載の消防車両。
【請求項8】
前記通信装置は、リモートコントローラから無線通信によって送信される前記離脱コマンドを受信する、
請求項1,3,5および6のうちいずれか1項に記載の消防車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火活動などに用いられる消防車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消火活動においては、消防用ホースのノズル付近に消防隊員を配置し、この消防隊員によって消火対象に放水することが主流であった。近年では、ロボット技術の発達により、自走式の放水ロボットが開発されつつある(例えば特許文献1参照)。この種の放水ロボットには消防用ホースが接続され、このホースを介して供給される水や消火剤をノズルから放出する。
【0003】
放水ロボットを用いた消火活動においては、消火対象からある程度離れた位置で消防隊員が放水ロボットを遠隔操作する。これにより、消防隊員の負傷や死亡事故の減少が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2020-531060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような放水ロボットは、現状において極めて高価である。そのため、消火活動中に何らかのアクシデントが生じた場合には、放水ロボットを退避させる必要が生じる。このような退避時には消防用ホースを引きずって移動することになるが、この状態では放水ロボットが十分な運動性を発揮できない可能性がある。また、消防用ホースが現場の構造物等に引っ掛かり、放水ロボットの移動が困難になることもあり得る。
【0006】
このような場合、消防隊員が消防用ホースを離脱させに行くと当該隊員にリスクが生じる。また、放水ロボットを退避させることができなければ、高価なロボットが失われることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に基づくものであり、その一態様における目的は、放水ロボットなどの消防車両の利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る消防車両は、車両本体と、前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、を備えている。
【0009】
例えば、前記通信装置は、リモートコントローラから無線通信によって送信される前記離脱コマンドを受信する。
【0010】
例えば、前記第1結合部は、軸方向に突出するとともに周方向に配列された複数の第1フックと、隣り合う前記第1フックの間にそれぞれ形成された複数の第1凹部と、を有し、前記複数の第1フックと同形状の複数の第2フックおよび前記複数の第1凹部と同形状の複数の第2凹部を有する前記第2結合部と結合可能であり、前記第1結合部と前記第2結合部の結合時、前記第1フックが前記第2凹部に挿入されるとともに前記第2フックが前記第1凹部に挿入され、かつ、前記第1フックと前記第2フックとが係合する。この場合において、前記離脱装置は、前記第2結合部を前記周方向に回動させて前記第1フックと前記第2フックの係合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させてもよい。
【0011】
前記離脱装置は、前記第1結合部と前記第2結合部が結合した状態において前記第1フックと前記第2フックの間に形成される隙間に挿入可能なピンと、前記隙間に挿入された前記ピンを前記周方向に回動させ、前記第1フックと前記第2フックの係合を解除する回動機構と、を備えてもよい。
【0012】
前記離脱装置は、前記ピンを前記隙間に挿脱する挿脱機構をさらに備えてもよい。
【0013】
前記離脱装置は、前記第1結合部と前記第2結合部が結合した状態において前記第1フックと前記第2フックの間に形成される隙間に挿入可能なピンと、前記ピンを前記隙間に挿脱する挿脱機構と、を備え、前記ピンは、前記周方向における幅が前記隙間の前記周方向における幅よりも大きい値から小さい値へと先端に向けて漸次減少するテーパ部を有してもよい。この場合においては、前記挿脱機構により前記ピンを前記第1フックと前記第2フックの間に形成される前記隙間に挿入する際に、前記テーパ部が前記第1フックと前記第2フックを前記周方向に離間させ、前記第1フックと前記第2フックの係合が解除される。
【0014】
前記離脱装置は、前記周方向に間隔を空けて配置された複数の前記ピンを備えてもよい。
【0015】
前記第1結合部および前記第2結合部の結合は、前記第2結合部を解除方向へ回動させることで解除可能であり、前記離脱装置は、前記第1結合部に結合された前記第2結合部を挟持する一対の回転体と、前記一対の回転体を回動させる回動機構と、を備えてもよい。この場合において、前記離脱装置は、前記一対の回転体によって前記第2結合部を前記解除方向へ回動させ、前記第1結合部と前記第2結合部の結合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させてもよい。
【0016】
消防車両は、前記第1結合部に結合可能な第3結合部と、前記第2結合部に結合可能な第4結合部とを有する媒介具をさらに備えてもよい。この場合において、前記離脱装置は、前記第1結合部と前記第3結合部の結合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させてもよい。
【0017】
前記離脱装置は、前記媒介具の外周面に装着可能なスリーブと、前記外周面に装着された前記スリーブを前記解除方向へ回動させ、前記第1結合部および前記第3結合部の結合を解除する回動機構と、を備えてもよい。
【0018】
前記媒介具の外周面は、凸部を有し、前記スリーブの内周面は、前記凸部と係合する凹部を有してもよい。
【0019】
前記第1結合部は、第1フランジを有し、前記第3結合部は、第2フランジを有し、前記離脱装置は、互いに接触した前記第1フランジおよび前記第2フランジを挟持可能なクランプと、前記クランプを、前記第1フランジおよび前記第2フランジを挟持する第1状態と、前記第1フランジおよび前記第2フランジを開放する第2状態との間で駆動する駆動機構と、を備えてもよい。この場合において、前記離脱装置は、前記駆動機構によって前記クランプを前記第1状態から前記第2状態に移行させ、前記第1結合部と前記第2結合部の結合を解除することにより、前記ホースを前記車両本体から離脱させてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、放水ロボットなどの消防車両の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、第1実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る放水ロボットの制御要素の一部を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る第1結合部に適用し得る構成の概略的な部分断面図である。
図4図4は、互いに結合された第1結合部および第2結合部の一部を示す側面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る離脱装置に適用し得る構成を概略的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る保持リングおよびピンに適用し得る構成の一例を示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態に係る離脱装置による第1結合部と第2結合部の結合解除方法を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図9図9は、第3実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図10図10は、第3実施形態に係る放水ロボットの概略的な背面図である。
図11図11は、第3実施形態に係るピンに適用し得る形状の概略的な3面図である。
図12図12は、第3実施形態に係る離脱装置による第1結合部と第2結合部の結合解除方法を説明するための図である。
図13図13は、第4実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図14図14は、第4実施形態に係る媒介具の一例を示す概略的な斜視図である。
図15図15は、第4実施形態に係るスリーブの一例を示す概略的な斜視図である。
図16図16は、図14に示した媒介具に図15に示したスリーブを装着した状態を示す概略的な斜視図である。
図17図17は、第5実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図18図18は、第5実施形態に係る離脱装置の一部と第2結合部とを示す概略的な斜視図である。
図19図19は、第6実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
図20図20は、第6実施形態に係る放水ロボットの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
各実施形態においては、消防車両の一例である自走式の放水ロボットを含む放水システムを開示する。ただし、各実施形態にて開示する構成、特に、消防用ホースの離脱に関する構成は、放水ロボットだけでなく、ポンプ車などの他種の消防車両にも適用し得る。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。放水ロボット1は、車両本体2と、走行機構3と、ノズル4と、第1結合部5A(接続口)とを備えている。放水ロボット1は、例えばリモートコントローラRCによって遠隔地から操作可能である。走行機構3は、例えば一対のキャタピラである。他の例として、走行機構3は、複数の車輪であってもよい。
【0024】
第1結合部5Aには、消防用ホースHの端部に設けられた第2結合部5Bが結合される。第2結合部5Bは、結合金具や継手などと呼ぶこともできる。消防用ホースHは、給水源から送られる水を車両本体2に供給する。車両本体2に供給された水は、ノズル4から放水可能である。
【0025】
放水ロボット1は、ドレン弁V(電磁弁)をさらに備えてもよい。ドレン弁Vは、例えば車両本体2に設けられ、第1結合部5Aからノズル4に至る流路に接続されている。ドレン弁Vを開くことで、当該流路の水が排水される。
【0026】
図2は、放水ロボット1の制御要素の一部を示すブロック図である。放水ロボット1は、制御装置10と、動力源11と、通信装置12と、放水装置13とを備えている。
【0027】
動力源11は、例えばエンジンやバッテリである。動力源11の動力は、走行機構3や放水装置13など、放水ロボット1の各部の駆動に用いられる。通信装置12は、上述のリモートコントローラRCと例えば無線にて通信する。
【0028】
放水装置13は、第1結合部5Aを介して供給される水をノズル4から放水する。一例では、放水装置13は、消防用ホースHの内圧を利用して放水する。他の例として、放水装置13がポンプを備え、このポンプで昇圧された水を放水してもよい。
【0029】
放水ロボット1は、消防用ホースHを車両本体2から離脱させる離脱装置6をさらに備えている。離脱装置6に適用し得る構成については後述する。
【0030】
制御装置10は、プロセッサやメモリを備え、走行機構3、動力源11、通信装置12、放水装置13、ドレン弁Vおよび離脱装置6を制御する。例えば放水ロボット1を走行させるにあたり、制御装置10は、リモートコントローラRCから送られる走行信号に基づいて走行機構3を駆動する。この走行信号は、放水ロボット1の進行方向や進行速度を示す情報を含み得る。
【0031】
放水ロボット1は、カメラや温度センサなどをさらに備えてもよい。この場合において、カメラで撮影される映像や温度センサが検出する温度が通信装置12を介してリモートコントローラRCなどに送信され、ディスプレイに表示されてもよい。ディスプレイは、リモートコントローラRCが備えてもよいし、他の機器が備えてもよい。
【0032】
図3は、第1結合部5Aに適用し得る構成の概略的な部分断面図である。第1結合部5Aは、第1円筒部51と、第1円筒部51の外周面に設けられた第2円筒部52とを備えている。本実施形態においては、第1結合部5Aの軸AX(第1円筒部51および第2円筒部52の軸)と平行な方向を軸方向DX、軸AXから離れる方向を半径方向DR、軸AXを中心とした円周方向を周方向Dθと呼ぶ。
【0033】
第1円筒部51の内側は、水が流れる流路を構成する。第1円筒部51の端部51aには、環状のシール材53が設けられている。
【0034】
第2円筒部52は、第1円筒部51の端部51aから軸方向DXに突出した複数のフック54を有している。これらフック54は、周方向Dθに一定の間隔を空けて並んでいる。隣り合うフック54の間には、凹部55が形成されている。これら凹部55は、フック54と同じく、周方向Dθに一定の間隔を空けて並んでいる。
【0035】
フック54は、周方向Dθにおいて第1側面541および第2側面542を有している。第2側面542は、軸方向DXに対して傾斜している。これにより、フック54の周方向Dθにおける幅は、先端に向けて小さくなる。
【0036】
第1側面541には、周方向Dθに突出した爪部56と、爪部56よりもフック54の根本側に位置する窪み57とが設けられている。第2側面542には、ボールプランジャ58が設けられている。例えば、ボールプランジャ58は、第2側面542に設けられた孔部と、この孔部に収容されたボールと、ボールを孔部の外側に向けて付勢する弾性体とを含む。ボールの一部は、第2側面542から突出している。
【0037】
第2結合部5Bの構成は、第1結合部5Aと同様である。すなわち、第2結合部5Bは、第1結合部5Aのフック54(第1フック)と同形状の複数のフック54(第2フック)と、第1結合部5Aの凹部55(第1凹部)と同形状の複数の凹部55(第2凹部)とを有している。
【0038】
図4は、互いに結合された第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの一部を示す側面図である。第1結合部5Aと第2結合部5Bを結合させる際には、これらの軸AXを一致させた状態で、第2結合部5Bを第1結合部5Aに押し当てる。このとき、第2結合部5Bの各フック54がそれぞれ第1結合部5Aの凹部55に挿入され、第1結合部5Aの各フック54がそれぞれ第2結合部5Bの凹部55に挿入される。
【0039】
第2結合部5Bを第1結合部5Aに対して最大限に押し込むと、両者のボールプランジャ58が接触して押し合い、第2結合部5Bが周方向Dθに僅かに回動する。このとき、両者の爪部56が係合し、軸方向DXに抜け止めされる。
【0040】
第1結合部5Aと第2結合部5Bを一旦結合させると、ボールプランジャ58の付勢力によって結合状態が維持される。第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合を解除する際には、ボールプランジャ58の付勢力に抗して、第2結合部5Bを第1結合部5Aに対して周方向Dθ(解除方向DL)に回動させる。これにより、各爪部56の係合が解除される。
【0041】
続いて、本実施形態に係る離脱装置6について説明する。
図5は、離脱装置6に適用し得る構成を概略的に示す図である。この図においては、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bが結合されている。この状態においては、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bのそれぞれの軸AXが一致する。
【0042】
本実施形態に係る離脱装置6は、回動機構110と、アーム120と、保持リング130と、少なくとも1つのピン140と、挿脱機構150とを備えている。
【0043】
回動機構110は、例えば車両本体2に設けられている。アーム120の一端は回動機構110に接続され、他端は保持リング130に接続されている。図5の例においては、2本のアーム120が設けられている。ただし、アーム120の数は2本に限られず、3本以上であってもよい。
【0044】
保持リング130は、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bを囲っている。ピン140は、保持リング130に設けられている。挿脱機構150は、例えばピン140の一端を保持している。
【0045】
回動機構110は、例えばモータを備え、このモータの動力によってアーム120および保持リング130を周方向Dθに回動させる。回動機構110は、磁気、油圧または空気圧などの他の動力によってアーム120および保持リング130を回動させてもよい。
【0046】
挿脱機構150は、ピン140を半径方向DRに沿って移動させる。ピン140を移動させるための動力は特に限定されないが、一例ではモータ、磁気、油圧または空気圧を利用し得る。
【0047】
図6は、保持リング130およびピン140に適用し得る構成の一例を示す斜視図である。この図の例においては、保持リング130が3つのピン140を保持している。
【0048】
保持リング130は、3つの円弧状のフラグメント131,132,133によって構成されている。これらフラグメント131,132,133は、例えば同一の形状を有し、端部同士が互いに連結されている。図5に示したアーム120は、例えばフラグメント131,132,133のそれぞれに対して設けられ、フラグメント131,132,133を回動機構110に連結している。
【0049】
各フラグメント131,132,133の周方向Dθにおける中央には、半径方向DRに突出した保持部134が設けられている。各保持部134は、半径方向DRに貫通する貫通孔135を有している。
【0050】
各ピン140は、貫通孔135に挿入されている。すなわち、図6に示す3本のピン140は、周方向Dθに120°の間隔を空けて配置されている。図6の例においては、3つの保持部134のそれぞれに対して挿脱機構150が設けられている。挿脱機構150は、貫通孔135に沿ってピン140を移動させる。これにより、保持リング130の内周面からの各ピン140の突出量が変動する。
【0051】
図7は、離脱装置6による第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合解除方法を説明するための図である。ピン140は、第1結合部5Aと第2結合部5Bが結合した状態において、第1結合部5Aのフック54と第2結合部5Bのフック54の間に形成される隙間に挿入可能である。
【0052】
具体的には、図7の例に示すように、第1結合部5Aのフック54の窪み57にピン140が挿入される。このように窪み57にピン140が挿入された状態において、回動機構110は、保持リング130を解除方向DLに回動させる。このとき、ピン140によって第2結合部5Bのフック54が解除方向DLに押される。解除方向DLは、周方向Dθのうち、第1結合部5Aのフック54から当該フック54に係合した第2結合部5Bのフック54を引き離す方向である。なお、第1結合部5Aは、車両本体2に固定されており、周方向Dθに回動しない。
【0053】
ピン140によって第2結合部5Bのフック54が押されると、互いに接触している第1結合部5Aおよび第2結合部5Bのボールプランジャ58が付勢力に抗して押し込まれ、これらボールプランジャ58によって生じていた周方向Dθにおけるフック54同士の隙間Gが小さくなる。これにともない、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの爪部56同士の係合が解除され、結果として第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合が解除されて、消防用ホースHが車両本体2から離脱する。
【0054】
なお、ここでは第1結合部5Aのフック54の窪み57にピン140が挿入される場合を例示したが、ピン140は第2結合部5Bのフック54の窪み57に挿入されてもよい。この場合であっても、解除方向DLにピン140を移動させることで、第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合を解除可能である。
【0055】
離脱装置6による解除動作は、リモートコントローラRCの操作によって実行可能である。すなわち、消防用ホースHを車両本体2から離脱させる必要が生じた際に、消防隊員などの操作者は、リモートコントローラRCによって離脱コマンドを車両本体2に送信する。この離脱コマンドを通信装置12が受信すると、制御装置10は、離脱装置6による離脱動作を開始する。
【0056】
具体的には、先ず制御装置10は、ドレン弁Vを開き、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの内部を含む流路の水を減少させる。なお、ドレン弁Vは、離脱コマンドとは別途のコマンドがリモートコントローラRCから車両本体2に送信されたことに応じて開かれてもよい。
【0057】
ドレン弁Vを開いた後、制御装置10は、挿脱機構150を駆動して各ピン140を窪み57に挿入させる。さらに、制御装置10は、回動機構110を駆動して保持リング130を解除方向DLに回動させる。これにより、第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合が解除される。
【0058】
なお、ピン140は、例えば第1結合部5Aと第2結合部5Bが連結された直後など、離脱コマンドが送信される前に窪み57に挿入されてもよい。また、第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合が解除された後、挿脱機構150によって自動的にピン140が窪み57から抜き出されてもよい。
【0059】
以上の本実施形態によれば、放水ロボット1が操作者から離れた位置にある場合でも、消防用ホースHを車両本体2から離脱させることができる。これにより、例えば消火活動中に何らかのアクシデントが生じた場合などに消防用ホースHを離脱させ、迅速に放水ロボット1を退避させることができる。
【0060】
図6の例のように、周方向Dθに分散された複数のピン140が配置される場合、これらピン140による解除動作を円滑に実行できる。
【0061】
本実施形態においては離脱装置6が挿脱機構150を備える場合を例示した。他の例として、離脱装置6は、挿脱機構150を備えなくてもよい。この場合においては、ピン140を予め第1結合部5Aの窪み57に挿入しておけばよい。
【0062】
以下に、第2乃至第6実施形態を開示する。これらの実施形態において特に言及しない構成や、離脱コマンドに基づき離脱装置6を動作させる流れは第1実施形態と同様である。
【0063】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。この図の例においては、第1結合部5Aと消防用ホースHの間に媒介具7が配置されている。媒介具7は、第1結合部5Aに結合可能な第3結合部5Cと、第2結合部5Bに結合可能な第4結合部5Dとを有している。媒介具7の内部には、消防用ホースHの流路と車両本体2の流路とを接続するための流路が設けられている。
【0064】
第3結合部5Cは、図3に示した第1結合部5Aと同様の構造を有している。第2結合部5Bおよび第4結合部5Dは、図3に示した第1結合部5Aと同様の構造を有してもよいし、他種の構造を有してもよい。
【0065】
上記他種の構造として、第2結合部5Bおよび第4結合部5Dには、いわゆる町野式金具の構造を適用できる。この種の金具は、雄金具と雌金具によって構成される。雄金具は、先端に第1爪部を有する第1円筒部と、この第1円筒部が通された解除リング(押し輪)とを有している。雌金具は、第1円筒部が挿入される第2円筒部と、第1爪部に係合する第2爪部とを有している。第2爪部は、第1円筒部に向けて付勢されている。第1爪部と第2爪部が係合した状態において、解除リングをこれらの間に押し込むと、雄金具と雌金具の結合が解除される。例えば、第2結合部5Bおよび第4結合部5Dの一方が雄金具であり、他方が雌金具である。
【0066】
離脱装置6の構成とその効果は、第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態において、離脱装置6は、第1結合部5Aと第3結合部5Cの結合を解除する。これにより、消防用ホースHは、媒介具7とともに車両本体2から離脱する。
【0067】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。本実施形態において、離脱装置6は、挿脱機構310と、ピン320とを備えている。挿脱機構310は、第1結合部5Aの近傍において車両本体2に設けられ、ピン320の一端を保持している。
【0068】
挿脱機構310は、ピン320を半径方向DRに沿って移動させる。挿脱機構310がピン320を移動させるための動力は特に限定されないが、一例ではモータ、磁気、油圧または空気圧を利用し得る。
【0069】
図10は、放水ロボット1の概略的な背面図である。この図の例においては、3組の挿脱機構310およびピン320が周方向Dθに一定の間隔を空けて第1結合部5Aの周囲に配置されている。この例に限られず、離脱装置6は、1組、2組または4組以上の挿脱機構310およびピン320を備えてもよい。
【0070】
図11は、ピン320に適用し得る形状の概略的な3面図である。図11(a)はピン320を軸方向DXと平行に見た正面図であり、図11(b)はピン320を半径方向DRと平行に見た上面図であり、図11(c)はピン320を周方向Dθと平行に見た側面図である。
【0071】
図11(a)に示すように、ピン320は、半径方向DRに長尺な形状を有している。さらに、ピン320は、周方向Dθにおける幅が先端321に向けて漸次減少するテーパ部322を有している。テーパ部322の最大の幅は、W1である。図11(b)(c)に示すように、軸方向DXにおいて、ピン320は、幅W1よりも小さい幅W2を有している。
【0072】
図12は、離脱装置6による第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合解除方法を説明するための図である。ピン320は、第1結合部5Aと第2結合部5Bが結合した状態において、第1結合部5Aのフック54と第2結合部5Bのフック54の間に形成される隙間に挿入可能である。具体的には、図12の例に示すように、第1結合部5Aのフック54の窪み57にピン320が挿入される。
【0073】
窪み57は、周方向Dθにおいて幅Waを有し、軸方向DXにおいて幅Wbを有している。幅Waは、図11に示したピン320の先端321の幅よりも大きく、かつ幅W1よりも小さい。すなわち、ピン320のテーパ部322は、周方向Dθにおける幅が幅Waよりも大きい値から小さい値へと先端321に向けて漸次減少する形状である。なお、幅Wbは、ピン320の軸方向DXにおける幅W2よりも大きい。
【0074】
第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合を解除するにあたっては、挿脱機構310がピン320を軸AXに向けて移動させる。この移動に伴い、ピン320が先端321から窪み57に挿入される。ピン320が窪み57に深く挿入されるほど、テーパ部322によって第2結合部5Bのフック54が解除方向DLに強く押される。これにより、互いに係合している第1結合部5Aおよび第2結合部5Bのフック54が周方向Dθに離間し、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの爪部56同士の係合が解除される。結果として第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合が解除されて、消防用ホースHが車両本体2から離脱する。
【0075】
このように、本実施形態の構成であれば、ピン320を周方向Dθに回動させなくても第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合を解除することができる。したがって、第1実施形態に比べ、離脱装置6の構成を簡略化することが可能となる。
【0076】
なお、ピン320は、第2結合部5Bのフック54の窪み57に挿入されてもよい。この場合であっても、第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合を解除可能である。
【0077】
また、本実施形態に係る離脱装置6は、第2実施形態にて開示した媒介具7の第3結合部5Cと第1結合部5Aの結合の解除に用いることもできる。
【0078】
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。本実施形態において、離脱装置6は、回動機構410と、アーム420と、スリーブ430とを備えている。
【0079】
さらに、第1結合部5Aと消防用ホースHの間に媒介具7が配置されている。媒介具7は、第1結合部5Aに結合可能な第3結合部5Cと、第2結合部5Bに結合可能な第4結合部5Dとを有している。第2結合部5B、第3結合部5Cおよび第4結合部5Dは、図3に示した第1結合部5Aと同様の構造を有している。ただし、第2結合部5Bおよび第4結合部5Dは、上述の町野式金具などの他種の構造を有してもよい。
【0080】
回動機構410は、例えば車両本体2に設けられている。アーム420の一端は回動機構410に接続され、他端はスリーブ430に接続されている。図13の例においては、2本のアーム420が設けられている。ただし、アーム420の数は2本に限られず、3本以上であってもよい。スリーブ430は、媒介具7の外周面に装着されている。
【0081】
回動機構410は、アーム420およびスリーブ430を周方向Dθに回動させる。回動機構410がアーム420およびスリーブ430を回動させるための動力は特に限定されないが、一例ではモータ、磁気、油圧または空気圧を利用し得る。
【0082】
図14は、媒介具7の一例を示す概略的な斜視図である。図15は、スリーブ430の一例を示す概略的な斜視図である。図16は、図14に示した媒介具7に図15に示したスリーブ430を装着した状態を示す概略的な斜視図である。
【0083】
図14に示すように、第3結合部5Cおよび第4結合部5Dは、図3に示した第1結合部5Aと同じ形状のフック54および凹部55を有している。図14においては、ボールプランジャ58等の図示を省略している。
【0084】
媒介具7は、軸方向DXにおいて第3結合部5Cと第4結合部5Dの間に位置する中間部70を有している。中間部70は、その外周面から半径方向DRに突出する一対の凸部71を有している。図14の例においては、軸AXを中心として正対する位置に一対の凸部71が設けられている。これら凸部71は、軸方向DXに長尺に延びている。
【0085】
図15に示すように、スリーブ430は、円筒部431と、一対の凸部432とを有している。一対の凸部432は、軸AXを中心として正対する位置に設けられ、円筒部431の外周面から半径方向DRに突出している。スリーブ430の内周面は、各凸部432の位置において、凹部433を有している。
【0086】
図16に示すように、スリーブ430は、中間部70に装着される。このとき、中間部70の一対の凸部71がスリーブ430の一対の凹部433に嵌る。これにより、凸部71と凹部433が係合し、スリーブ430が媒介具7に対して周方向Dθに固定される。
【0087】
離脱コマンドに応じて消防用ホースHを車両本体2から離脱させるにあたり、離脱装置6は、回動機構410によりスリーブ430を解除方向DLに回動させる。このとき、第3結合部5Cが第1結合部5Aに対して解除方向DLに回動し、第1結合部5Aと第3結合部5Cの結合が解除される。これにより、消防用ホースHは、媒介具7とともに車両本体2から離脱する。図14乃至図16に示した構造であれば、結合解除後の媒介具7は、軸方向DXに引っ張られることで、容易にスリーブ430から抜け落ちる。
【0088】
なお、スリーブ430を媒介具7に装着するための構造は、図14乃至図16に示した例に限られない。例えば、凸部71と凹部433の数は2つに限られず、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。凸部71と凹部433は、図14乃至図16に示したように軸AXと直交する断面において矩形状となるような形状である必要はなく、当該断面において半円状となるような形状など種々の態様を適用し得る。
【0089】
第1結合部5Aおよび第3結合部5Cの構成は、両者を相対的に回動させることで結合が解除されるものであれば、図2および図14に示したものに限られない。例えば、第1結合部5Aおよび第3結合部5Cの一方が雄ねじを有する雄金具であり、他方が雌ねじを有する雌金具であってもよい。
【0090】
[第5実施形態]
図17は、第5実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。本実施形態において、離脱装置6は、回動機構510と、シャフト520,530と、ローラ540,550と、回転体560とを備えている。
【0091】
回動機構510は、車両本体2に設けられている。シャフト520の一端は回動機構510によって支持され、他端にはローラ540が取り付けられている。シャフト530の一端は車両本体2に連結され、他端にはローラ550が取り付けられている。
【0092】
回転体560は、例えばゴムなどで形成された環状のベルトであり、ローラ540,550に架け渡されている。回転体560は、第1結合部5Aに結合された第2結合部5Bに接触している。
【0093】
回動機構510は、例えばモータを備え、このモータの動力によってシャフト520およびローラ540を回動させる。回動機構510は、磁気、油圧または空気圧などの他の動力によってシャフト520およびローラ540を回動させてもよい。
【0094】
図18は、本実施形態に係る離脱装置6の一部と第2結合部5Bとを示す概略的な斜視図である。第2結合部5Bは、図2に示した第1結合部5Aと同様の構造を有している。
【0095】
図18の例においては、それぞれローラ540,550に架け渡された一対の回転体560が配置され、これら回転体560の間に第2結合部5Bが配置されている。すなわち一対の回転体560は、第2結合部5Bを挟持している。ローラ540,550の回転軸は、軸方向DXと平行である。図18には示されていないが、各ローラ540にはそれぞれ上述のシャフト520が取り付けられ、各ローラ550にはそれぞれ上述のシャフト530が取り付けられる。さらに、各シャフト520のそれぞれに対して上述の回動機構510が設けられる。
【0096】
各回転体560は、例えば、フック54の根本側に位置する第2円筒部52の外周面に接触している。回転体560は、凹部55と極力重ならないことが好ましい。
【0097】
離脱コマンドに応じて消防用ホースHを車両本体2から離脱させるにあたり、離脱装置6は、回動機構510により回転体560を破線矢印で示す方向に回動させる。このとき、第2結合部5Bが第1結合部5Aに対して解除方向DLに回動し、第1結合部5Aと第2結合部5Bの結合が解除される。これにより、消防用ホースHは、車両本体2から離脱する。
【0098】
図18においては離脱装置6が一対の回転体560を備える場合を例示したが、離脱装置6が備える回転体560の数は1つであってもよいし3つ以上であってもよい。
【0099】
回転体560は環状のベルトに限られない。他の例として、回転体560は、円盤状のタイヤであってもよい。
【0100】
また、本実施形態に係る離脱装置6は、第2実施形態にて開示した媒介具7の第3結合部5Cと第1結合部5Aの結合の解除に用いることもできる。
【0101】
第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの構成は、両者を相対的に回動させることで結合が解除されるものであれば、図2および図18に示したものに限られない。例えば、第1結合部5Aおよび第2結合部5Bの一方が雄ねじを有する雄金具であり、他方が雌ねじを有する雌金具であってもよい。
【0102】
[第6実施形態]
図19および図20は、第6実施形態に係る放水ロボット1の構成を概略的に示す図である。本実施形態において、離脱装置6は、駆動機構610と、アーム620と、クランプ630とを備えている。
【0103】
さらに、第1結合部5Aと消防用ホースHの間に媒介具7が配置されている。媒介具7は、第1結合部5Aに結合可能な第3結合部5Cと、第2結合部5Bに結合可能な第4結合部5Dとを有している。
【0104】
第1結合部5Aは、半径方向DRに突出する第1フランジF1を有している。第3結合部5Cは、半径方向DRに突出する第2フランジF2を有している。第2結合部5Bおよび第4結合部5Dは、例えば図3に示した第1結合部5Aと同様の構造を有している。第2結合部5Bおよび第4結合部5Dは、上述の町野式金具などの他種の構造を有してもよい。
【0105】
図19の例においては、第1フランジF1と第2フランジF2が軸方向DXに接触している。さらに、第2結合部5Bと第4結合部5Dが結合している。一方、図20の例においては、第1フランジF1と第2フランジF2が離間している。
【0106】
駆動機構610は、車両本体2に設けられている。アーム620の一端は駆動機構610によって保持され、他端はクランプ630に連結されている。図19および図20の例においては、軸AXを挟んで対向する2組のアーム620およびクランプ630が設けられている。ただし、駆動機構610は、3組以上のアーム620およびクランプ630を備えてもよい。
【0107】
各クランプ630は、軸方向DXに接触した第1フランジF1および第2フランジF2を挟持することが可能な形状を有している。具体的には、各クランプ630は、軸方向DXに対向する第1部分631および第2部分632と、これら第1部分631および第2部分632を接続する第3部分633とを有している。
【0108】
駆動機構610は、図19に示すように第1フランジF1および第2フランジF2を挟持する第1状態S1と、図20に示すように第1フランジF1および第2フランジF2を開放する第2状態S2との間で各クランプ630を駆動する。
【0109】
図19に示す第1状態S1においては、第1フランジF1の車両本体2側の側面に第1部分631が接触するとともに、第2フランジF2の第4結合部5D側の側面に第2部分632が接触する。さらに、第1フランジF1および第2フランジF2の半径方向DRにおける各端部が第3部分633に接触する。これにより、第1結合部5Aと第3結合部5Cが連結される。
【0110】
離脱コマンドに応じて消防用ホースHを車両本体2から離脱させるにあたり、駆動機構610は、各クランプ630を第2状態S2に移行させる。具体的には、駆動機構610は、図20に示すように各アーム620を半径方向DRに送り出すことによって、一対のクランプ630を半径方向DRに離間させる。このような動作を実現するための駆動機構610の動力は特に限定されないが、一例ではモータ、磁気、油圧または空気圧を利用し得る。
【0111】
第2状態S2においては、各クランプ630が第1フランジF1および第2フランジF2から離間する。これにより、消防用ホースHは、媒介具7とともに車両本体2から離脱する。
【0112】
なお、再び媒介具7を車両本体2に連結する際には、第1フランジF1と第2フランジF2が突き合わされた状態で、駆動機構610により各クランプ630を第1状態S1に移行させる。このとき駆動機構610を動作させるためのコマンドは、リモートコントローラRCから送信されてもよいし、車両本体2に設けられたボタンの操作により入力されてもよい。また、各クランプ630を手動で動かすことで第1状態S1に移行させてもよい。
【0113】
なお、本実施形態に係る離脱装置6は、媒介具7を用いずに第1結合部5Aと第2結合部5Bを直接接続する場合にも利用することができる。この場合においては、第2結合部5Bに第2フランジF2を設ければよい。
【0114】
クランプ630の構成は、第1フランジF1と第2フランジF2を挟持する第1状態S1と、第1フランジF1と第2フランジF2を開放する第2状態S2との間で移行可能であれば、図19および図20に例示したものに限られない。
【0115】
例えば、クランプ630は、第1部分631と第2部分632の軸方向DXにおける距離を変化させることが可能な構造であってもよい。この場合において、駆動機構610は、第1部分631と第2部分632の距離を縮めることでクランプ630を第1状態S1に移行させ、この距離を広げることでクランプ630を第2状態S2に移行させる。
【0116】
以上の各実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、各実施形態にて開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。各実施形態にて開示した構成は、必要に応じて適宜に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0117】
1…放水ロボット、2…車両本体、3…走行機構、4…ノズル、5A…第1結合部、5B…第2結合部、5C…第3結合部、5C…第3結合部、5D…第4結合部、6…離脱装置、7…媒介具、10…制御装置、11…動力源、12…通信装置、13…放水装置、
54…フック、58…ボールプランジャ、110,410,510…回動機構、150,310…挿脱機構、320…ピン、322…テーパ部、430…スリーブ、560…回転体、610…駆動機構、630…クランプ、AX…軸、DX…軸方向、DR…半径方向、Dθ…周方向、DL…解除方向、F1…第1フランジ、F2…第2フランジ、H…消防用ホース、RC…リモートコントローラ。
【要約】
【課題】 放水ロボットなどの消防車両の利便性を高める。
【解決手段】 一実施形態に係る消防車両は、車両本体と、前記車両本体に設けられ、ホースに装着された第2結合部と結合可能な第1結合部と、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱コマンドを受信する通信装置と、前記通信装置が前記離脱コマンドを受信したことに応じて、前記ホースを前記車両本体から離脱させる離脱装置と、を備えている。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20