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特許7354406視野を測定するための配置および方法ならびにインプラントの使用
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  • 特許-視野を測定するための配置および方法ならびにインプラントの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】視野を測定するための配置および方法ならびにインプラントの使用
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20230925BHJP
   A61B 3/16 20060101ALI20230925BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61B3/024
A61B3/16
A61B3/113
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022504067
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2020070517
(87)【国際公開番号】W WO2021013821
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】102019119913.1
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513045149
【氏名又は名称】インプランダータ オフタルミック プロドゥクツ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】オステルメイアー,マックス
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516290(JP,A)
【文献】特開2014-174313(JP,A)
【文献】特開2017-037329(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008654(WO,A1)
【文献】特開2005-137910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/024
A61B 3/16
A61B 3/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼(6)の視野およびその経時変化を測定するためのシステムであって、眼球運動を測定するための測定手段(1、3)を含み、該測定手段が、眼球運動の少なくとも1つの振幅および少なくとも1つの周波数を時間分解計測法により測定して、眼(6)の視野およびその経時変化を測定するように構成されており、前記測定手段(1、3)が、眼(6)に対する頭部の動きを測定するための追加のセンサー(9)を有し、前記測定手段が、眼(6)内に導入するトランスポンダコイル(1)と、前記トランスポンダコイル(1)から離れた、眼(6)の前方の位置に取り付けられる読取コイル(3)を含む、システム
【請求項2】
測定した眼球運動のパラメータを記憶するための記憶手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
測定した眼球運動のパラメータを前記記憶手段に送信するためのデータ送信手段を含むことを特徴とする、請求項2に記載のシステム
【請求項4】
眼圧測定用インプラント(2)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム
【請求項5】
前記トランスポンダコイルおよび/または前記読取コイルおよび/または前記測定手段(1、3)および/または前記データ送信手段および/または前記記憶手段および/または前記インプラント(2)にエネルギーを供給するためのエネルギー供給手段(7)を含むことを特徴とする、請求項4に記載のシステム
【請求項6】
視野の境界および視野の経時変化を客観的に測定するための、眼(6)内に導入可能な眼圧測定用インプラント(2)の使用であって、該インプラント(2)がトランスポンダコイル(1)を有し、該インプラントを用いて時間分解計測法により測定される眼球運動の振幅と周波数、および追加のセンサーを用いて測定される眼(6)に対する頭部の動きに基づいて、視野の境界および視野の経時変化が客観的に測定される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の視野を測定するための配置および方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、視野の境界を客観的に測定するための、眼内に導入可能な眼圧測定用インプラントの使用であって、該インプラントがトランスポンダコイルを有する、使用に関する。
【背景技術】
【0003】
眼の視野は、現在、ペリメトリーという方法で測定されている。光学刺激を次々に眼の前の異なる位置に呈示し、刺激の位置や強さによる主観的な知覚を記録する。基本的に静的試験法と動的試験法とを区別する必要がある。前者は、刺激を固定の位置で呈示し、被検者が知覚したことを合図で伝えるまで、あるいは、被検者からの合図が発せられなくなるまでその強度を増減させるものである。後者は、固定した強度の刺激を視野境界の外から想定視野内に移動させ、知覚された位置を当該刺激強度に対する視野の境界と見なすものである。
【0004】
この方法の欠点は、一般的に被検者の協力なしでは測定結果が得られないことと、被検者が、測定を行う熟練した専門医のもとを訪れる必要があることである。また、被検者は、適切な測定システムを備えた医院を訪れる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況に鑑み、本発明は、先行技術の欠点を回避しつつ、眼の視野の測定を、客観的に、あまり複雑でない手法で、より信頼性高く行える、眼の視野を測定するための配置および方法を規定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記の配置に関する目的は、眼球運動を測定するための測定手段を含む汎用的な配置により達成される。これは、振幅や周波数などの眼球運動のパラメータが視野に関する情報を提供するという医学的知見に基づくものである。本発明の配置により、眼科医院以外の場所で眼の視野の測定を継続的に行うことが可能になり、その結果、患者の労力が軽減される。また、より短い時間間隔で繰り返し測定を行うことが可能であるため、病気の進行のモニタリングをより良く実施することができる。
【0007】
本発明の有利な一構成において、前記測定手段は、眼内に導入するトランスポンダコイルを含む。この場合、すでに患者の眼内にトランスポンダコイルを含むインプラントが挿入されていれば、労力は非常に少なくて済む。これに該当するのは、特に眼圧測定用の特別なインプラントが挿入されている場合である。そのような患者であれば、追加的な介入を受けることなく、客観的な視野測定が可能になる。また、眼球運動を検出するための複雑な光学装置も不要である。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態において、前記測定手段は、前記トランスポンダコイルから離れた、眼の前方の位置に取り付けられる読取コイルを含む。この場合、眼球運動を検出するための複雑な光学装置は不要であり、また、被検者は、熟練した専門医の補助がなくても、被検者自身で測定を行うことができる。これにより、より長期的なモニタリングが可能になり、病気による視野の変化をより早期に発見することができる。
【0009】
本発明の有利な一実施形態は、測定した眼球運動のパラメータを記憶するための記憶手段を含む。この場合、測定データをより長期にわたって評価することができる。日常のランダムな眼球運動をより長期にわたって観察することができる。また、被検眼を中心点に固定し続ける必要もない。患者の協力に依存することなく、より比較可能な測定結果が得られることから、これは測定方法における大幅な改善となる。特に緑内障の治療では、視機能、とりわけその経年変化や視野の欠損の程度を定期的にモニタリングする必要があるため、非常に有利である。
【0010】
本発明の有利な一実施形態は、測定した眼球運動のパラメータを前記記憶手段に送信するためのデータ送信手段を含む。この場合、被検者が眼科医院を訪れなくても、データの読取と解析を熟練した専門医が遠隔で行うことができるため、患者側の労力が最小限に抑えられる。さらに、緑内障治療における遠隔医療アプローチにも有利である。
【0011】
本発明の有利な一実施形態は、眼圧測定用インプラントを含む。この場合、すでに患者の眼内に汎用インプラントが留置されていれば、労力は非常に小さくて済む。追加的な医療介入は必要ない。眼の前方に設置可能な第2のコイルは、例えば、メガネなどに取り付けることができ、取付が簡単で価格も手ごろである。よって、扱いやすく、持ち運びに便利な視野測定システムが患者に提供される。これは、患者にとって柔軟性という面で有利である。眼科医院などの限定された場所で測定が行われる必要もなくなる。
【0012】
本発明の有利な一実施形態は、前記トランスポンダコイルおよび/または前記読取コイルおよび/または前記測定手段および/または読取手段および/または前記データ送信手段および/または前記記憶手段および/または前記インプラントにエネルギーを供給するためのエネルギー供給手段を含む。これにより、場所に依らず、自動的かつ継続的に視野の測定を行うことができる。また、患者は、事前に簡単な説明を受けることで、自身で測定を行うことができるため、眼や緑内障性障害および/または視野障害のモニタリングが確実に行われるようになる。
【0013】
本発明によれば、眼の視野の測定を、客観的に、あまり複雑でない手法で、より信頼性高く行うということに関する目的は、視野の境界を客観的に測定するための、眼内に導入可能なインプラント、好ましくは眼圧測定用インプラントの使用であって、該インプラントがトランスポンダコイルを有する、使用により達成される。これにより、患者の関与に依らず、自動的かつ継続的に眼の視野の測定を行うことができる。患者は、測定の実施に際して熟練した専門医がその場にいなくても、当該専門医から事前に説明を受けることで、患者自身で眼の視野の測定を行うことができる。よって、微小な急速眼球運動によるパラメータの変化を測定することができる。これにより、微細な眼球運動の検出が可能となり、それに基づいて視野の境界を測定することができる。
【0014】
本発明によれば、眼の視野の測定を、客観的に、あまり複雑でない手法で、より信頼性高く行うという方法に関する目的は、汎用的な眼球運動の測定方法により達成される。これにより、サッケード運動として知られている急速眼球運動との関係から、緑内障性障害および/または視野障害についての結論を導き出すことができる。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、眼球運動の少なくとも1つの振幅および/または少なくとも1つの周波数を、好ましくは時間分解計測法により測定する。緑内障性障害がある眼の眼球運動の振幅は、障害がない眼の眼球運動の振幅に比べて小さいことから、この測定により、被検者の視野についての結論を導き出すことができる。時間分解測定により、一定時間における変化を測定することができるため、緑内障に対してより良い治療を行うことが可能になる。これは緑内障治療における重要な改善となる。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態において、トランスポンダコイルを眼内に導入する。これにより、眼科医院以外の場所で眼球運動の測定を継続的に行うことができる。すでに眼圧測定用インプラントを装着している患者は、そのインプラントで眼球運動を測定できるため、追加の医療介入を受ける必要はない。
【0017】
本発明の有利な一実施形態において、眼球運動のパラメータを測定するための読取コイルを、前記トランスポンダコイルを基準点として、眼の外部の所定の位置に配置する。この場合、測定用の複雑な光学装置を患者側に追加で設置する必要はない。これにより、使いやすく、持ち運びができる視野測定システムが提供される。このシステムは、患者が事前に説明を受けることで、患者自身で操作することが可能である。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態において、前記読取コイルに高周波電流を流す。外部からのトリガーにより、前記トランスポンダコイルと前記読取コイルとの間に磁束が発生する。これにより、磁束のパラメータ(振幅と周波数)から、緑内障性障害および/または視野障害についての結論を導き出すことができる。この場合、測定が客観的に行われ、患者の協力を必要としないという点が利点として挙げられる。患者が視覚刺激に曝される必要もない。また、日常のランダムな眼球運動を測定することができる。患者は、必要な測定のために眼科医院を訪れずに済むことから、これは患者にとって大きな負担軽減となる。
【0019】
本発明の有利な一実施形態において、任意の所定の時間が経過した後に比較測定として、眼球運動のパラメータを再び測定する。これにより、患者の視野の変化について、例えば1時間ごとや1日ごとといった短い時間間隔で継続的にモニタリングすることができる。変化に対してより良い対応が可能となることから、これは緑内障の治療における大きな改善となる。
【0020】
本発明の有利な一実施形態において、最初の測定と、任意の所定の時間が経過した後に行った比較測定とから眼球運動の測定パラメータの変化を評価する。これにより、前記パラメータの変化から、緑内障性障害および/または視野障害についての結論を導き出すことができる。測定の開始は、患者自身が行うことができ、測定パラメータの変化は、アルゴリズムにより評価することができる。これにより、緑内障治療における遠隔医療アプローチが可能になる。したがって、前記パラメータの測定に際して、患者の積極的な関与は必要なくなるため、より安全な測定方法とより比較可能な測定結果の取得が実現する。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態において、眼の視野および/またはその経時変化を、前記パラメータの変化に基づいて測定する。これにより、眼科医院以外の場所で客観的な視野測定を行うことができる。これにより、より長期にデータ測定を行うことができ、さらに、得られた測定データを詳細に解析することができる。また、それに関連付けて、例えば眼球運動の平均の速度および/または振幅の変化も検出できる。
【0022】
本発明の有利な一実施形態において、眼に対する頭部の動きを、追加のセンサー、特に加速度センサーおよび/または位置センサーにより測定する。これにより、動きのアーチファクトを検出して、眼球運動の測定パラメータに関するより高品質なデータを得ることができる。これにより、アルゴリズムまたは人工知能システムによる評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明について、本発明の好ましい実施形態を例に挙げて図面を参照しながら説明する。図面には、本発明のさらなる利点が詳細に示されている。
【0024】
図面において、機能が同じ部材には、同じ参照番号を付している。各図の詳細は以下の通りである。
【0025】
図1】本発明の一実施形態における、眼圧測定用インプラント上のトランスポンダコイルと、眼鏡に固定された、眼の前方に位置する読取コイルとの配置、および誘導磁場を模式的に示したものである(原寸に比例して描写したものではない)。図1aは、信号を送受信するための読取コイルを有する眼鏡の配置における電子装置の構造を示したものである。
図2】本発明の一実施形態における、トランスポンダコイルを用いた眼圧測定用インプラントの模式図である。
図3】本発明の一実施形態における、視野の変化を測定する方法を説明したフローチャートである。
図4】眼球運動の角度φの関数として、電磁結合したコイル間の結合の変化を模式的に示したものである。
図5】眼の前方に位置する別の複数の受信コイルを有する眼鏡の配置を模式的に示したものである。
図6】別の受信コイルを有する眼鏡の配置における電子装置の構造を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、眼圧測定用インプラント2上のトランスポンダコイル1と、眼の前方の所定の位置にある、例えば眼鏡4に固定された読取コイル3との配置、および誘導磁場5を模式的に示した図である。インプラント2は、トランスポンダコイル1と一体化しており、パッシブトランスポンダとして動作する。つまり、磁束による誘導エネルギーが作動に十分な量に達すると、即座にスイッチが入るようになっている。読取コイル3に電流、例えば高周波電流が流されると磁束が発生する。これにより、2つのコイル間に微弱な結合が生じる。その強度は、トランスポンダコイル1が留置された眼6の微小な運動によって変化する。磁束のパラメータは、読取コイル3によって読み取られる。
【0027】
眼圧センサー2は、患者の眼6内に留置されており、そこで定期的に眼圧を測定するために使用される。また、それと関連付けて緑内障を治療するためにも使用される。この目的のために、眼鏡4は常に患者の眼6の前方に配置されており、眼圧の測定が継続的に行われる。例えば、数時間または数日間にわたる眼圧プロファイルが記録される。同様に、本発明によれば、図1に示す配置を用いて、視野の変化を記録することもできる。
【0028】
図1は、さらに、読取コイル3が、トランスポンダコイル1および眼鏡4上の読取コイル3にエネルギーを供給するための蓄電池および/または電池7とともに、小型のパッケージ内に配置されていることを示している。
【0029】
データ品質を高めるために、追加で3次元加速度センサーおよび/または3次元位置センサー9を使用して、眼に対する頭部の動きを測定することが必要な場合がある。
【0030】
図1aは、読取コイル3を有する眼鏡の配置における電子装置の構造を示した図である。この配置において、読取コイル3は、信号の受信と送信の両方に使用される。読取コイル3は送受信に十分な広帯域で動作するため、信号受信用のコイルを別途配置する必要はない。
【0031】
図1aから分かるように、読取コイル3には高周波発生器24が接続されている。高周波発生器24で発生させた高周波電流を読取コイル3に流すと、磁束が発生する。これにより、読取コイル3側に発振回路25が形成される。トランスポンダコイル1側のトランスポンダ発振回路26は、パッシブ発振回路として機能する。また、全空間軸における眼の微細な運動27を検出できるように、評価電子装置が高周波発生器24に接続されている。
【0032】
マイクロチップ8は、測定中は不活性状態でトランスポンダコイル1に接続されている。
【0033】
図2は、トランスポンダコイル1を用いた眼圧測定用インプラント2の模式図である。さらに、眼圧センサー2にはマイクロチップ8が配置されており、測定中、このマイクロチップにはその作動閾値に達しない範囲で電力が供給され、インプラント2はパッシブ発振回路として機能する。
【0034】
眼球運動を測定するために、読取コイル3のみを最小限に励磁させる。その結果、インプラント2の作動に十分な磁場強度が得られる。そのためには、外部から信号が与えられる必要があり、例えば被検者から信号が与えられると、トランスポンダコイルに電流が誘導される。その結果、トランスポンダコイル1と読取コイル3との間に微弱な結合が生じる。その強度は、トランスポンダコイル1が留置された眼の微小な運動によって変化する。マイクロチップ8は、測定中は不活性状態にある。
【0035】
図2に示すトランスポンダコイル1は、眼内に留置されるシステム2に必ずしも配置されている必要はなく、本発明の範囲内でコンタクトレンズと一体化させることも可能である。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態における、視野の変化を測定する方法のフローチャートである。最初の測定S1において、視野のパラメータを測定し、記憶する。任意の所定の時間tが経過した後に比較測定S2を行い、視野のパラメータを再び測定する。次いで、測定結果を比較し、アルゴリズムまたは人工知能を使って評価する。視野のパラメータの評価S3が行われる。眼球運動の振幅および周波数の変化は、視野障害または緑内障性障害と関連がある。
【0037】
図4は、読取コイル3とインプラント2に配置されているトランスポンダコイル1との電磁結合k28を示した図である。電磁結合28は、眼の微細な運動11を変数とする関数として変動する。図4では、眼球運動11を角度φとして示している。角度φは、3つのすべての空間軸における眼球のねじれ角を表す。図4に示すように、電磁結合28は、角度φ=0°で最大となり、角度φの関数として減少する。読取コイル3とトランスポンダコイル1との結合の変化を記録し、評価する。
【0038】
図5は、別の複数の受信コイル10を有する眼鏡の配置を示した図である。このような配置では、読取コイル3から送られた信号が、各受信コイル10で読み出される。したがって、読取コイル3は狭帯域に設計することができる。また、インプラント2の位置およびアライメント、ひいては眼の微細な運動27を三角測量で検出することで、データ品質をさらに高めることができる。
【0039】
図5に示した配置の機能は、図1aに示した配置の機能と同じである。
【0040】
図6は、別の複数の受信コイル10を有する眼鏡の配置における電子装置の構造を示した図である。この配置では、読取コイル3から送られた信号が、各受信コイル10で読み出される。受信コイル10は、評価電子装置20に接続されており、これにより、受信した信号を記憶して評価できる。
【0041】
追加の受信コイル10を除けば、電子装置の構造は、図1aに示したような、読取コイル3を有する眼鏡の配置の電子装置の構造と同じである。
【符号の説明】
【0042】
1 トランスポンダコイル
2 眼圧センサー
3 読取コイル
4 眼鏡
5 誘導磁場
6 眼
7 蓄電池および/または電池
8 マイクロチップ
9 3次元加速度センサーおよび/または3次元位置センサー
10 受信コイル
11 眼球運動
20 評価電子装置
24 高周波発生器
25 発振回路
26 トランスポンダ発振回路
27 眼球運動
28 電磁結合
S1 最初の測定
S2 比較測定
S3 視野のパラメータの評価
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6