(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】組立式紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20230925BHJP
B65D 5/20 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B65D21/02 410
B65D5/20 Z
(21)【出願番号】P 2022508035
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2020033076
(87)【国際公開番号】W WO2021186764
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2020047582
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 諒太
(72)【発明者】
【氏名】武井 将
(72)【発明者】
【氏名】貝森 友一
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特公昭54-035816(JP,B1)
【文献】特表平11-514952(JP,A)
【文献】実開平06-012330(JP,U)
【文献】実開平05-000627(JP,U)
【文献】特開2019-172339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主材料とするブランクシートから組み立てられた組立式紙容器であって、
前記組立式紙容器は、
底面と、
前記底面から立ち上がる複数の側面と、
前記複数の側面と接続して組立て後に上面が面一となるフランジ部と、
を有し、
前記複数の側面は、
複数のフランジ部成形用側面と、
前記フランジ部成形用側面どうしを貼り合わせる貼合せ用側面と、
を含み、
前記フランジ部の下方における前記フランジ部成形用側面には、前記フランジ部と前記側面とを区分する山折り部分の中間に位置した中間区間を、高さ方向に厚みを生じるように前記フランジ部の下方へ向かって谷折りした谷折り成形部及び前記フランジ部成形用側面を山折りした山折り成形部を含むリブ部が設けられ、
前記谷折り成形部の長さと、前記山折り成形部の長さとを異ならせ、前記フランジ部を前記リブ部とオーバーラップさせたこと
を特徴とする組立式紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、組立式紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上端にフランジ部を有するトレー状の容器本体を、紙を主原料とする紙製のブランクシートから組み立てた組立式紙容器が知られている。組立式紙容器には、容器本体の内面及びフランジ部の上面に、樹脂性を有する熱可塑性の樹脂フィルムを貼り付けたものがある(特許文献1及び特許文献2)。樹脂フィルム付きの組立式紙容器は、樹脂性を有することから、主に食品等を収容するトレー又はボールとして利用される。
【0003】
また、組立式紙容器は、プラスチック容器と比較して、例えば、環境中で生じる二次マイクロプラスチックの発生等を抑制でき、環境に配慮できる製品である。さらに、樹脂フィルムは、容器本体から剥がすことも可能であり、樹脂フィルムと容器本体、即ち紙との分別も可能であり、樹脂フィルム及び容器本体のそれぞれのリサイクルも可能である。これらの利点から、組立式紙容器に、例えばMAP(Modified Atmosphere Packaging)を適用し、食品等の包装容器及び食品等の保存容器としての利用も期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-293334号公報
【文献】特開2019-172339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
組立式紙容器は、例えば、50個等、単位個数分、積み重ねて出荷される。しかしながら、組立式紙容器を積み重ねると、下段側の容器には上段側の容器の重みがかかるようになる。このため、下段側の容器では、収容部どうしが深く嵌り合って容器が外れ難くなる、という事情がある。
【0006】
この発明の実施形態は、積み重ねても容器が外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の第1態様に係る組立式紙容器は、紙を主材料とするブランクシートから組み立てられた組立式紙容器であって、前記組立式紙容器は、底面と、前記底面から立ち上がる複数の側面と、前記複数の側面と接続して組立て後に上面が面一となるフランジ部と、を有し、前記複数の側面は、複数のフランジ部成形用側面と、前記フランジ部成形用側面どうしを貼り合わせる貼合せ用側面と、を含み、前記フランジ部の下方における前記フランジ部成形用側面には、前記フランジ部と前記側面とを区分する山折り部分の中間に位置した中間区間を、高さ方向に厚みを生じるように前記フランジ部の下方へ向かって谷折りした谷折り成形部及び前記フランジ部成形用側面を山折りした山折り成形部を含むリブ部が設けられ、前記谷折り成形部の長さと、前記山折り成形部の長さとを異ならせ、前記フランジ部を前記リブ部とオーバーラップさせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る組立式紙容器は、フランジ部の下方における側面に、高さ方向に厚みを有し、側面からフランジ部のエッジへ向かって延びるリブ部を有する。リブ部は、高さ方向の厚みによって、下段側の組立式紙容器を上段側の組立式紙容器から離隔する。これにより、収容部どうしが深く嵌り合ってしまう事情が抑制される。したがって、本発明に係る組立式紙容器によれば、積み重ねても、容器が外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器が得られる。
【0017】
本発明に係る組立式紙容器は、フランジ部の下方における貼合せ用側面に、貼合せ用側面の中間部分を、高さ方向に厚みを生じるように谷折りしたリブ部を有する。リブ部は、高さ方向の厚みによって、下段側の組立式紙容器を上段側の組立式紙容器から離隔する。これにより、収容部どうしが深く嵌り合ってしまう事情が抑制される。したがって、本発明に係る組立式紙容器によれば、積み重ねても、容器が外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器が得られる。
【0018】
第1態様に係る組立式紙容器は、フランジ部の下方におけるフランジ部成形用側面に、フランジ部と側面とを区分する山折り部分の中間に位置した中間区間を、高さ方向に厚みを生じるようにフランジ部の下方へ向かって谷折りした谷折り成形部及びフランジ部成形用側面を山折りした山折り成形部を含むリブ部を有する。リブ部は、高さ方向の厚みによって、下段側の組立式紙容器を上段側の組立式紙容器から離隔する。したがって、第1態様に係る組立式紙容器によれば、積み重ねても、容器が外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器が得られる。さらに、第1態様に係る組立式紙容器によれば、谷折り成形部の長さと、リブ部の山折り成形部の長さとを異ならせ、フランジ部をリブ部とオーバーラップさせる。これにより、下段側の組立式紙容器のリブ部に、上段側の組立式紙容器のリブ部が嵌り合ってしまう事情についても抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す斜視図である。
図1(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す側面図である。
図1(c)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
【
図2】
図2は、ブランクシートの一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、収容部をトップシールで被覆した一例を示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、参考例に係る組立式紙容器を積み重ねたときの側面図である。
図4(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器を積み重ねたときの側面図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
図7(c)は、第3変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、第2変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
図8(c)は、第4変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る組立式紙容器のリブ部の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す側面図である。
【
図11】
図11(a)はリブ部を示す平面図である。
図11(b)は、
図11(a)中のXIB-XIB線に沿う断面図である。
図11(c)は、
図11(a)中のXIC-XIC線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
第1実施形態
(組立式紙容器)
図1(a)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す斜視図である。
図1(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す側面図である。
図1(c)は、第1実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
図2は、ブランクシートの一例を示す平面図である。
【0022】
図1(a)~
図1(c)に示す組立式紙容器1は、
図2に示すブランクシート2から組み立てられる。ブランクシート2は、紙を主材料とする。
図2において、点線は「谷折り」を示し、一点鎖線は「山折り」を示す。谷折り線及び山折り線は、例えば、ミシン目、ハーフカット、罫線等からなっている。また、太い実線は「切込み」を示す。ブランクシート2に「谷折り」及び「山折り」を施すことで、組立式紙容器1が得られる。
【0023】
組立式紙容器1は、容器本体11と、樹脂性フィルム3とを含む。容器本体11は、収容部12と、フランジ部13とを含む。容器本体11は、底面121と、底面121から立ち上がる複数の側面122とを持つ。収容部12は、底面121と複数の側面122とで構成される。側面122は、この実施形態では、8つある。側面122は、3つ以上あれば収容部12を構成できる。この実施形態では、側面122は、4つのフランジ部成形用側面122aと、4つの貼合せ用側面122bとを、収容部12の周囲に交互に含む。貼合せ用側面122bは、フランジ部成形用側面122aどうしを貼り合わせる側面である。収容部12は平面から見て矩形であり、貼合せ用側面122bは矩形の収容部12の四隅に対応して位置する。
【0024】
フランジ部13は、それぞれの側面122の上端に収容部12から外向きに接続される。フランジ部13は、上面131を有する。フランジ部13の上面131は、組立て後、面一となる。フランジ部13の上面131には、隙間22がある。隙間22は、組立後、ブランクシート2の端面21どうしが近接することにより、上面131に生じる。
【0025】
樹脂性フィルム3は、収容部12の内面、側面122の内面及びフランジ部13の上面131を被覆する。樹脂性フィルム3には、例えば、水密性及びガス放散性を有するものが選ばれる。そのような樹脂性フィルム3の一例は、例えば熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂のフィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。樹脂性フィルム3は、上記材料いずれかの単一フィルムであっても良く、上記材料を複数混合したフィルムであっても良い。また、樹脂性フィルム3は、単層のフィルムであっても良く、複数の層を積層した積層フィルムであっても良い。
【0026】
図3は、収容部をトップシールで被覆した一例を示す平面図である。
【0027】
図3に示すように、組立式紙容器1は、トップシール4で収容部12を被覆することにより、食品等を包装して収容部12内に収容することができる。トップシール4は、フランジ部13の上面131上の樹脂性フィルム3に貼着される。これにより、トップシール4は、収容部12を被覆する。トップシール4を樹脂性フィルム3に貼着する際、トップシール4は、押圧機の押圧機(例えばシールヘッド)により押圧される。押圧機は、押圧領域32に示す領域において、トップシール4を押圧する。
【0028】
組立式紙容器1は、フランジ部13の下方における側面122に、リブ部5を有する。リブ部5は、高さ方向に厚みtを有し、側面122からフランジ部13のエッジへ向かって延びる。この実施形態のリブ部5は、側面122の1つと一体に成形されており、側面122と一体に成形されたリブ部5は、側面122に対して平坦である。
【0029】
また、この実施形態のリブ部5は、貼合せ用側面122bと一体に成形されている。貼合せ用側面122bに成形されるリブ部5は、
図2に示すように、ブランクシート2の状態において、貼合せ用側面122bの一部を、フランジ部成形用側面122aに向かって、例えば舌片状に突出させることにより得ることができる。これにより、リブ部5は、フランジ部成形用側面122a及び貼合せ用側面122bとともに、1枚のブランクシート2から得ることができる。
【0030】
さらに、リブ部5が一体に成形された貼合せ用側面122bは、フランジ部成形用側面122aの外側において、フランジ部成形用側面122aどうしを貼り合わせる。これにより、リブ部5は、フランジ部13の下方において、フランジ部成形用側面122aの外側にフランジ部13のエッジに向かって突出させることができる。
【0031】
次に、第1実施形態に係る組立式紙容器1から得られる代表的な効果について説明する。
【0032】
図4(a)は、参考例に係る組立式紙容器を積み重ねたときの側面図である。
図4(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器を積み重ねたときの側面図である。
【0033】
図4(a)に示すように、参考例に係る組立式紙容器1rは、リブ部が無い。このため、組立式紙容器1rを積み重ねると、下段側の組立式紙容器1rには上段側の組立式紙容器1rの重みがかかるようになる。このため、下段側の組立式紙容器1rでは、収容部12どうしが深く嵌り合って組立式紙容器1rが外れ難くなってしまう。
【0034】
このような参考例に対して、第1実施形態に係る組立式紙容器1は、リブ部5を有する。リブ部5は、組立式紙容器1を積み重ねたとき、高さ方向の厚みtによって、下段側の組立式紙容器1を上段側の組立式紙容器1から離隔する。高さ方向の厚みtは、収容部12の深さよりも薄い。そして、組立式紙容器1どうしを離隔する間隔は、高さ方向の厚みtの値に応じて任意に設定することができる。これにより、参考例と比較して、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう事情が抑制される。したがって、組立式紙容器1によれば、積み重ねても、組立式紙容器1が外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器1を得ることができる。
【0035】
次に、第1実施形態に係る組立式紙容器の変形例のいくつかを説明する。
【0036】
(第1変形例)
図5は、第1変形例に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
図5に示す底面図は、
図1(c)に示した底面図に対応する。
【0037】
図5に示すように、リブ部5が側面122の1つと一体に成形されている場合、リブ部5の上端部分5uは、側面122とともにフランジ部13のエッジへ向かって折り曲げても良い。この変形例では、リブ部5の上端部分5uを、貼合せ用側面122bとともに折り曲げている。
【0038】
リブ部5の上端部分5uを、側面122とともに折り曲げると、リブ部5の上端部分5uは、フランジ部13の下方において、側面122と一体となる。この例では、上端部分5uは、貼合せ用側面122bと一体となる。このため、上端部分5uを、貼合せ用側面122bとともに折り曲げない場合と比較して、リブ部5を変形させようとする力に対して抵抗する力がリブ部5に生じるようになる。このため、リブ部5の剛性がより高まる。リブ部5の剛性がより高まることによって組立式紙容器1を積み重ねたとき、組立式紙容器1の重みによってリブ部5が変形してしまうような抑制できる。例えば、リブ部5が変形すると、リブ部5が収容部12内に落ち込み、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう可能性がある。このような可能性を、第1変形例によれば、さらに抑制することが可能である。
【0039】
(第2変形例)
図6は、第2変形例に係る組立式紙容器の一例を示す底面図である。
図6に示す底面図は、
図1(c)に示した底面図に対応する。
【0040】
図6に示すように、リブ部5が側面122の1つと一体に成形されている場合、リブ部5は、側面122に対して折り曲げても良い。折り曲げの一例は、収容部12から遠ざかる方向に向かって折り曲げる、である。この変形例では、リブ部5は、貼合せ用側面122bと一体に成形されている。リブ部5は、貼合せ用側面122bにおいて、収容部12から遠ざかる方向に折り曲げられている。
【0041】
リブ部5を、収容部12から遠ざかる方向に折り曲げることによって、リブ部5を側面122に対して平坦とした場合と比較して、リブ部5が収容部12に向かって変形し、リブ部5が収容部12内に落ち込むような事情を抑制することが可能となる。例えば、リブ部5が収容部12内に落ち込むと、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう。このような事情を、第2変形例によれば、さらに抑制することが可能である。
【0042】
(第3変形例)
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
図7(c)は、第3変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。なお、
図7(a)~
図7(c)は、
図1(c)中の矢印XIIの方向に見た側面に対応する。
【0043】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、リブ部5の上端コーナー部5ucが角張っていると、フランジ部13が下方向DDに変形すると、上端コーナー部5ucが変形することがある。上端コーナー部5ucが下方向DDに変形すると、リブ部5の変形状態によっては、収容部12内に向かって落ち込むこむ可能性がある。このため、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう。
【0044】
そこで、第3変形例では、リブ部5の上端コーナー部5ucを丸め、上端コーナー部5ucに丸みをつけた。
【0045】
第3変形例のように、上端コーナー部5ucが丸みを帯びていることによれば、フランジ部13を下方向DDに変形したとしても、上端コーナー部5ucの丸みによって、リブ部5は、変形し難くなる。このため、例えば、不慮のフランジ部13が不慮に変形したとしても、これに伴うリブ部5の変形を抑制することができる。このような事情を、第3変形例によれば、さらに抑制することが可能である。
【0046】
また、ブランクシート2への切込みのしやすさの観点から、上端コーナー部5ucを丸めるようにしても良い。上端コーナー部5ucが角張っていると、切込みが難しい。角張ったコーナーは、切込みをする上での特異点となる。特異点は切込み及び成形が難しい。特異点においては、紙を主成分とするブランクシート2の強度及び材質にも依存するが、例えば、ブランクシート2に、切込み時又は成型時に破れを生じる可能性が少なからずある。
【0047】
このような事情に鑑み、上端コーナー部5ucを丸め、曲線、即ちラウンド形状とする。これにより、ブランクシート2の破れを抑制することも可能である。ブランクシート2の破れは、リブ部5が小さな舌片状であり、かつ、ブランクシート2を切抜きしない状態で、ブランクシート2を直接に山折り又は谷折りをする場合に発生し得る現象である。
【0048】
このように、切込みのしやすさ、ブランクシート2の破れの抑制等の観点からも、上端コーナー部5ucを丸めることは有効である。
【0049】
なお、第3変形例は、第1実施形態の他、第1変形例及び第2変形例にも適用することができる。また、第3変形例は、第1実施形態を比較参照しているが、第3変形例は、第1実施形態を否定するものではない。第1実施形態を採用するか、第3変形例を採用するかについては、実施者が任意に選択可能な選択事項である。
【0050】
(第4変形例)
図8(a)及び
図8(b)は、第2変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。
図8(c)は、第4変形例に係る組立式紙容器のリブ部を示す側面図である。なお、
図8(a)~
図8(c)は、
図6中の矢印VIIIの方向に見た側面に対応する。
【0051】
図8(a)に示すように、フランジ部13は、実際には、水平方向HDから僅かに、収容部12の上に向かって傾斜することが多い。フランジ部13の水平方向HDからの傾斜角度を“θ13”とする。
【0052】
フランジ部13が傾斜した状態で、組立式紙容器1を積み重ねると、
図8(b)に示すように、リブ部5の下端コーナー部5lcが、下段側の組立式紙容器1のフランジ部13の上面131に接触する。このため、下端コーナー部5lcが変形する可能性を生じる。
【0053】
そこで、第4変形例においては、
図8(c)に示すように、リブ部5の下端5lを、高さ方向の厚みtが、フランジ部13のエッジに向かって徐々に薄くなるように傾斜させた。例えば、下端5lの水平方向HDからの傾斜角度を“θ5”とする。傾斜角度θ5の一例は、傾斜角度θ13以上(θ5≧θ13)である。これにより、下端コーナー部5lcがフランジ部13の上面131と直接に接触することを抑制できる。若しくは、下端5lは、フランジ部13の上面131とフラットに接触させることができる。なお、
図8(a)~
図8(c)では、上面131上に樹脂性フィルム3が貼着された状態が示されている。
【0054】
このような第4変形例によれば、下端コーナー部5lcの変形を抑止でき、例えば、下端コーナー部5lcの変形による収容部12どうしの深い嵌り合いを抑制することができる。
【0055】
なお、第4変形例は、第2変形例の他、第1実施形態、第1変形例及び第3変形例にも適用することができる。また、第4変形例は、第2変形例を比較参照しているが、第4変形例は、第2変形例を否定するものではない。第2変形例を採用するか、第4変形例を採用するかについては、実施者が任意に選択可能な選択事項である。
【0056】
第2実施形態
(組立式紙容器)
図9は、第2実施形態に係る組立式紙容器のリブ部の一例を示す断面図である。
【0057】
図9に示すように、第2実施形態に係る組立式紙容器1bでは、貼合せ用側面122bの中間部分122bmを、高さ方向に厚みtを生じるように谷折りしている。これにより、フランジ部13の下方における貼合せ用側面122bには、貼合せ用側面122bと一体に成形されて高さ方向に厚みtを有するリブ部5bが得られる。
【0058】
組立式紙容器1bでは、高さ方向に厚みtを有するリブ部5bによって、下段側の組立式紙容器1bを上段側の組立式紙容器1bから離隔することができる。これにより、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう事情が抑制される。したがって、組立式紙容器1bによれば、第1実施形態と同様に、積み重ねても、組立式紙容器1bが外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器1bを得ることができる。
【0059】
第3実施形態
(組立式紙容器)
図10は、第3実施形態に係る組立式紙容器の一例を示す側面図である。
図11(a)はリブ部を示す平面図である。
図11(b)は、
図11(a)中のXIB-XIB線に沿う断面図である。
図11(c)は、
図11(a)中のXIC-XIC線に沿う断面図である。
【0060】
図10、
図11(a)~
図11(c)に示すように、第3実施形態に係る組立式紙容器1cでは、フランジ部成形用側面122aの、フランジ部13と側面122とを区分する山折り部分123の中間に位置した中間区間123mを、高さ方向に厚みtを生じるようにフランジ部13の下方へ向かって谷折りしている。これにより、フランジ部13の下方には、フランジ部成形用側面122aと一体に成形されて高さ方向に厚みtを有するリブ部5cが得られる。
【0061】
組立式紙容器1cでは、高さ方向に厚みtを有するリブ部5cによって、下段側の組立式紙容器1cを上段側の組立式紙容器1cから離隔することができる。これにより、収容部12どうしが深く嵌り合ってしまう事情が抑制される。したがって、組立式紙容器1cによれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、積み重ねても、組立式紙容器1cが外れ難くなる事情を抑制可能な組立式紙容器1cを得ることができる。
【0062】
また、リブ部5cは、例えば、中間区間123mに対応したフランジ部成形用側面122aを谷折りし、さらに山折りすることで、フランジ部成形用側面122aと一体に成形される。即ち、リブ部5cは、フランジ部成形用側面122aの中間区間123mに対応した部分を、フランジ部13の下方に向かって立体的に押し出すことによって得られる。このため、リブ部5cは、中間区間123mを谷折りした谷折り成形部51と、フランジ部成形用側面122aを山折りした山折り成形部52とを含んで構成される。
【0063】
リブ部5cでは、
図11(a)に示すように、谷折り成形部51の、山折り部分123に沿った長さL51と、山折り成形部52の、山折り部分123に沿った長さL52とを異ならせている。リブ部5cでは、長さL51を、長さL52よりも長くし、平面から見て、山折り成形部52が谷折り成形部51の範囲に包含されるようにしている。これにより、フランジ部13には、リブ部5cとオーバーラップするオーバーラップ部13oが得られる。なお、長さL51は、長さL52よりも短くしても良い。
【0064】
このように、オーバーラップ部13oをリブ部5cに設けると、第3実施形態において、下段側の組立式紙容器1cのリブ部5cに、上段側の組立式紙容器1cのリブ部5cが嵌り合ってしまう事情についても抑制することができる。
【0065】
なお、山折り成形部52は、フランジ部13及び側面122の双方に生じる。これら2つの山折り成形部52のうち、少なくともフランジ部13に生じた山折り成形部52における長さL52が谷折り成形部51の長さL51と異なっていれば、オーバーラップ部13oをリブ部5cに設けることが可能である。
【0066】
以上、この発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この発明の実施形態及び変形例は、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記実施形態及び変形例は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 :組立式紙容器(第1実施形態)
1b :組立式紙容器(第2実施形態)
1c :組立式紙容器(第3実施形態)
1r :組立式紙容器(参考例)
11 :容器本体
12 :収容部
121 :底面
122 :側面
122a :フランジ部成形用側面
122b :貼合せ用側面
122m :中間部分
123 :山折り部分
123m :中間区間
13 :フランジ部
131 :上面
13o :オーバーラップ部
2 :ブランクシート
21 :端面
22 :隙間
3 :樹脂性フィルム
32 :押圧領域
4 :トップシール
5 :リブ部(第1実施形態)
5b :リブ部(第2実施形態)
5c :リブ部(第3実施形態)
5u :上端部分
5uc :上端コーナー部
5lc :下端コーナー部
5l :下端
51 :谷折り成形部
52 :山折り成形部
t :高さ方向の厚み
DD :下方向
θ13 :傾斜角度
θ5 :傾斜角度
HD :水平方向
L51 :長さ
L52 :長さ