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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ダイヤモンドフィルムを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/314 20060101AFI20230925BHJP
   C08F 38/00 20060101ALI20230925BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20230925BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H01L21/314 A
C08F38/00
C08F20/10
C08F2/50
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022509014
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021063483
(87)【国際公開番号】W WO2022132879
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/127,250
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サムガナサン, ビクネシュ
(72)【発明者】
【氏名】グ, チートン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チョンシン
(72)【発明者】
【氏名】ロー, キアン ピン
(72)【発明者】
【氏名】スディジョノ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, ハイセン
(72)【発明者】
【氏名】タン, シー チエ
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ユアンシン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエツォン
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタサブラマニアン, エスワラナンド
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-078470(JP,A)
【文献】特開2008-105999(JP,A)
【文献】Yi-Chun CHEN et al.,“Chemical vapor deposition of diamond on silicon substrates coated with adamantane in glycol chemical solutions”,RSC Adv.,2013年,Vol. 3, No. 5,p.1514-1518,DOI: 10.1039/c2ra22486k
【文献】Matthias SPOHN et al.,“Poly(1-vinyladamantane) as a Template for Nanodiamond Synthesis”,ACS Applied Nano Materials,2018年10月22日,Vol. 1, No. 11,p.6073-6080,DOI: 10.1021/acsanm.8b01238
【文献】K. TSUGAWA et al.,“Nucleation Enhancement of Nanocrystalline Diamond Growth at Low Substrate Temperatures by Adamantane Seeding”,The Journal of Physical Chemistry C,2010年02月04日,Vol. 114, No. 9,p.3822-3824,DOI: 10.1021/jp910555x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00-19/44
C08F 2/00-2/60
C08F 6/00-246/00
C08F 301/00
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを形成する方法であって、
ポリマー化可能シード層を形成するために、基板上にアダマンタンモノマーおよび開始剤を堆積することと、
ポリアダマンタン層を形成するために、前記ポリマー化可能シード層を硬化することと
前記ポリアダマンタン層上にナノ結晶性ダイヤモンド層を堆積することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマー化可能シード層を堆積することは、熱蒸発、スピンコーティング、またはドロップキャスティングのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー化可能シード層を堆積することは、前記基板上に前記開始剤および前記アダマンタンモノマーをスピンコーティングすることと、硬化前に、25℃から400℃の範囲の温度で前記ポリマー化可能シード層を加熱することとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー化可能シード層を堆積することは、前記アダマンタンモノマーおよび前記開始剤の混合物を紫外線光に曝して、ポリアダマンタンシード層を提供することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記開始剤はベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、およびそれらの誘導体のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アダマンタンモノマーは、以下の式(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択された構造を有し、
ここで、R、R、RおよびRは各々独立に、水素、ビニル基、アクリレート基、スチレン基、アルキニル基、ハロゲン化物基、エポキシド基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、およびアルキル基のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー化可能シード層を硬化することは、100nmから700nmの範囲の波長を有する光源に前記ポリマー化可能シード層を曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー化可能シード層は、1分から2時間の範囲の期間で前記光源に曝される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアダマンタン層は、1つまたは複数のポリマー化された分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数のポリマー化された分子は、500g/モルから60,000g/モルの範囲の分子重量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のポリマー化された分子は、5から500の繰り返しアダマンタンモノマーを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数のポリマー化された分子は、前記アダマンタンモノマーと、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、および分岐共重合体からなる群から選択された1つまたは複数のポリマー化可能ユニットとを含む混合物を共重合することによって形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
硬化の前に、前記ポリマー化可能シード層上にマスク層を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
25℃から400℃の範囲の温度で前記基板を加熱する、または前記基板を化学的に洗浄することによって、未硬化部分を取り除くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ結晶性ダイヤモンド層を堆積することは、原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、マイクロ波化学気相堆積(MWCVD)、マイクロ波プラズマ化学気相堆積(MWPCVD)、プラズマ増強原子層堆積(PEALD)、およびプラズマ増強化学気相堆積(PECVD)のうちの1つまたは複数を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ダイヤモンドフィルムを形成する方法であって、
ポリマー化可能シード層を形成するために基板上へとアダマンタンモノマーおよび開始剤を熱蒸発させることであって、前記開始剤はベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、およびそれらの誘導体のうちの1つまたは複数を含み、前記アダマンタンモノマーは、以下の式(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択された構造を有し、
ここで、R、R、RおよびRは各々独立に、水素、ビニル基、アクリレート基、スチレン基、アルキニル基、ハロゲン化物基、エポキシド基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、およびアルキル基のうちの1つまたは複数を含む、基板上へとアダマンタンモノマーおよび開始剤を熱蒸発させることと、
前記ポリマー化可能シード層を硬化し、前記基板上にポリアダマンタン層を形成するために、1分から2時間の範囲の期間で100nmから700nmの範囲の波長を有する光源に前記ポリマー化可能シード層を曝すことと、
前記ポリマー化可能シード層の未硬化部分を取り除くことと、
前記ポリアダマンタン層上にナノ結晶性ダイヤモンド層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項17】
前記アダマンタンモノマーは、
からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリアダマンタンポリマーでコーティングした基板をプラズマに曝して、前記基板上にナノ結晶性ダイヤモンド層を形成することを含む、ダイヤモンドフィルムを形成する方法。
【請求項19】
溶液を形成するために第1の溶媒内でアダマンタンモノマーを溶解することであって、前記アダマンタンモノマーは、以下の式(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択された構造を有し、
ここで、R、R、RおよびRは各々独立に、水素、ビニル基、アクリレート基、スチレン基、アルキニル基、ハロゲン化物基、エポキシド基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、およびアルキル基のうちの1つまたは複数を含む、第1の溶媒内でアダマンタンモノマーを溶解することと、
混合物を形成するために前記溶液に開始剤を追加することであって、前記開始剤はベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、およびそれらの誘導体のうちの1つまたは複数を含む、前記溶液に開始剤を追加することと、
前記ポリアダマンタンポリマーを提供するために、紫外線に前記混合物を曝すことと、
ポリマー溶液を形成するために第2の溶媒内で前記ポリアダマンタンポリマーを溶解することと、
前記ポリアダマンタンポリマーで前記基板をコーティングするために、前記基板上に前記ポリマー溶液をスピンコーティングすることとをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、電子デバイス製造、特に集積回路(IC)製造の分野に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、パターン化用途に使用することができる、ダイヤモンド状カーボンハードマスクフィルムを堆積させる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、高い硬度、化学不活性、高い熱伝導率、および優れた光透過性を有する材料であり、マイクロ電子用途で効果を発揮する。800℃~1000℃の範囲の温度でカーボン源として希釈メタンを使用する、高温化学気相堆積(CVD)を必要とするので、ダイヤモンドの堆積は問題がある。このような高温に対する必要性は、ダイヤモンドフィルムと基板の間の表面エネルギーの差、および炭化水素ラジカルの低い付着係数にあり、その結果、ブランク基板上の不十分な核生成密度につながる。
【0003】
不十分な核生成密度問題を克服するための1つの方法は、シーディングプロセスにおける爆発したナノダイヤモンド粉末(直径5nmまで)の使用である。機械的摩耗または超音波ソリューションシーディングはしかし、基板への汚染および損傷の問題につながる。
【0004】
不十分な核生成密度の問題を克服するための別の方法は、アダマンタンの使用である。しかし、アダマンタンフィルムは、高真空および高温中のシード層のメタ安定性によるフィルム不均一性の問題がある。アダマンタンは、比較的高い蒸気圧力を有し、高真空中で昇華する可能性があり、優れたフィルム連続性を保証するために、より厚いシード層(例えば、1mmコーティング)およびマルチステップ堆積(すなわち、化学前駆体をナノダイヤモンドに変換するために低温で培養ステップを導入すること)を必要とする。これらの問題に対処することは、特別な前駆体にアクセスするための複雑な合成処置と、化学前駆体を分解し、基板上にスピンコートするための湿式ソリューションプロセスとを必要とする可能性がある。湿式アプローチによって基板を変更するための積極的な条件はまた、電子デバイスに対するナノ製造プロセスにおいて潜在的リスクを引き起こす。
【0005】
したがって、ダイヤモンドフィルムを形成するための改良型プロセスが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、フィルムを形成する方法を対象としている。1つまたは複数の実施形態では、方法は、ポリマー化可能シード層を形成するために、基板上にアダマンタンモノマーおよび開始剤を堆積することと、ポリアダマンタン層を形成するためにポリマー化可能シード層を硬化することとを含む。
【0007】
本開示の他の実施形態は、ダイヤモンドフィルムを形成する方法を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、ダイヤモンドフィルムを形成する方法は、ポリマー化可能シード層を形成するために基板上へとアダマンタンモノマーおよび開始剤を熱蒸発させることを含み、開始剤はベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、およびそれらの誘導体のうちの1つまたは複数を含み、アダマンタンモノマーは、以下の式(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択された構造を有する。
、R、RおよびRは各々独立に、水素、ビニル基、アクリレート基、スチレン基、アルキニル基、ハロゲン化物基、エポキシド基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、およびアルキル基のうちの1つまたは複数を含む。形成する方法は、ポリマー化可能シード層を硬化し、基板上にポリアダマンタン層を形成するために、1分から2時間の範囲の期間で100nmから700nmの範囲の波長を有する光源にポリマー化可能シード層を曝すことと、ポリマー化可能シード層の未硬化部分を取り除くことと、ポリアダマンタン層上にナノ結晶性ダイヤモンド層を堆積することとを含む。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、ダイヤモンドフィルムを形成する方法を対象としている。1つまたは複数の実施形態では、ダイヤモンドフィルムを形成する方法は、基板上にナノ結晶性ダイヤモンド層を形成するために、ポリアダマンタンポリマーでコーティングした基板をプラズマに曝すことを含む。
【0009】
本開示の上で言及した特徴を詳細に理解することができるように、上で簡単に要約した、本開示のより詳細な説明を実施形態を参照して行うことができ、そのいくつかは、添付の図面に図示されている。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを図示したものであり、したがって、その範囲を限定するものとして解釈されるものではなく、本開示では、他の同等の効果的な実施形態を認めることができることに留意されたい。本明細書に記載したような実施形態は、例として図示されており、同様の参照は同様の要素を示す、添付の図面の図において限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1つまたは複数の実施形態による、アダマンタンフィルムを堆積するための方法のプロセスフロー図である。
図2】1つまたは複数の実施形態による、基板の略断面図である。
図3】アダマンタン堆積チャンバの略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のいくつかの例示的実施形態を記載する前に、本開示は以下の説明に記載された構成またはプロセスステップの詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または行うことが可能である。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「アダマンタン」という用語は、アダマンタン、その置換基または高次類似物質(オリゴまたはポリアダマンタン)を含んでいる。アダマンタンは、式C1016、またはより記述的には(CH)(CHを有する有機化合物である。アダマンタン分子は、3つのシクロヘキサン環の融合として記載することができる。最小の「ダイヤモンド」分子として、アダマンタンは、10メンバーカーボンケージおよび16周辺水素原子を有するダイヤモンドと同じ炭素原子配置を共有する。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができるあらゆるガス種のことを言及するために交換可能に使用される。
【0014】
本明細書で使用される「基板」は、フィルム処理が製造プロセス中にその上で行われるあらゆる基板または基板上に形成される材料表面のことを言う。例えば、処理をその上で行うことができる基板表面は、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、絶縁体上ケイ素(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、および、用途によっては、金属、窒化金属、金属合金、または他の導電性材料などのあらゆる他の材料を含む。基板は、これに限らないが、半導体ウエハを含んでいる。基板は、基板表面を研磨する、エッチングする、還元する、酸化する、ヒドロキシル化する、アニーリングする、および/または焼成するために前処理プロセスに曝すことができる。基板自体の表面の直接上でのフィルム処理に加えて、本開示では、開示されたフィルム処理ステップのいずれかはまた、以下により詳細に開示するように基板上に形成された下層上で行うことができ、「基板表面」という用語は、文脈が示すこのような下層を含むことを意図している。したがって、例えば、フィルム/層または部分フィルム/層が基板表面上に堆積された場合、新しく堆積されたフィルム/層の露出した表面は基板表面となる。
【0015】
本開示の1つまたは複数の実施形態は有利には、アダマンタン層均一性、核生成密度、および/または望まない昇華のうちの1つまたは複数を改善するための方法を提供する。1つまたは複数の実施形態では、方法はクリーンルーム適合性ドライシーディングプロセスである。
【0016】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、図面を参照して記載されている。図1は、1つまたは複数の実施形態による方法100のプロセスフロー図を示している。図2は、1つまたは複数の実施形態の方法により処理されている基板150の略断面図を示している。図1および2を参照すると、ダイヤモンドフィルム156を堆積する方法100が記載されている。いくつかの実施形態では、方法100は、動作110で、ポリマー化可能シード層152を形成するために、基板150(または基板表面)上にアダマンタンモノマーおよび開始剤を堆積することと、動作120で、ポリアダマンタン層154を形成するために、ポリマー化可能シード層152を硬化することとを含む。
【0017】
本明細書で使用する「基板表面」は、層をその上に形成することができるあらゆる基板表面のことを言う。基板表面は、その中に形成された1つまたは複数の特徴、その上に形成された1つまたは複数の層、およびその組合せを有することができる。基板(または基板表面)は、例えば、研磨、エッチング、還元、酸化、ハロゲン化、ヒドロキシル化、アニーリング、焼成などによって、モリブデン含有層の堆積の前に前処理することができる。
【0018】
基板は、シリコン基板、III-V化合物基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、エピ基板、絶縁体上ケイ素(SOI)基板、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ基板、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)ランプディスプレイ、太陽光アレイ、太陽光パネル、発光ダイオード(LED)基板、半導体ウエハなどの、材料を上に堆積させることが可能なあらゆる基板であってもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の層は、ポリマー化可能シード層をその上に少なくとも部分的に形成することができるように、基板上に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、金属、窒化物、酸化物などを含む層、またはその組合せを基板上に配置することができ、このような1つまたは複数の層の上に形成されたポリマー化可能シード層を有することができる。1つまたは複数の実施形態では、基板は、ケイ素(Si)またはポリシリコン(p-Si)を含む。いくつかの実施形態では、基板はポリシリコン基板を含む。いくつかの実施形態では、基板は化学的および/または物理的に変更されない。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマー化可能シード層152を堆積することは、熱蒸発、スピンコーティング、またはドロップキャスティングのうちの1つまたは複数を含む。本明細書で使用される「熱蒸発」という用語は、真空環境内で固体材料を蒸発させてフィルムを形成するために、抵抗熱源を使用した物理的気相堆積(PVD)の普通の方法のことを言う。アダマンタンモノマーおよび開始剤は、蒸気圧力が生成されるまで、高い真空チャンバ内で加熱される。蒸発したアダマンタンモノマーおよび開始剤、または蒸気流は、熱エネルギーで真空チャンバを横切り、基板をコーティングする。本明細書で使用される「スピンコート」または「スピンコーティング」という用語は、基板上に均一なフィルムを堆積するために使用される処置のことを言う。普通、少量のコーティング材料が、低速でスピンしているまたは全くスピンしていないいずれかの基板の中心に塗布される。基板はその後、遠心力によってコーティング材料を広げるために、最大10,000rpmの速度で回転される。本明細書で使用される「ドロップキャスト」または「ドロップキャスティング」という用語は、制御された寸法および運動量を有する大きな液滴が解放され、衝突の際に広がり表面を湿らせるコーティング処置のことを言う。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマー化可能シード層152を堆積することは、基板150上に開始剤およびアダマンタンモノマーをスピンコーティングすることを含む。いくつかの実施形態では、スピンコーティングされたポリマー化可能シード層152は、硬化前に、50℃から300℃、50℃から200℃、50℃から100℃、75℃から300℃、75℃から200℃、または75℃から100℃の範囲の温度で加熱される。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、方法100は、化学気相堆積(CVD)プロセスである。いくつかの実施形態では、化学気相堆積(CVD)は、アダマンタンモノマーおよび開始剤の熱蒸発を含む。いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは高い揮発性がある。いくつかの実施形態では、「高い揮発性のアダマンタンモノマー」という用語は、50℃で、0.05mmHgから5.0mmHg、0.05mmHgから3.0mmHg、0.05mmHgから1.0mmHg、0.1mmHgから5.0mmHg、0.1mmHgから3.0mmHg、0.1mmHgから1.0mmHg、1.0mmHgから5.0mmHg、1.0mmHgから3.0mmHg、または1.0mmHgから3.0mmHgの範囲の蒸気圧力を有するアダマンタンモノマーのことを言う。
【0022】
いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは、ダイヤモンドフィルムの核生成用の分子シードである。いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは、0.5nmから5nm、0.5nmから2nm、または0.5nmから1nmの範囲の分子寸法を有する。いくつかの実施形態では、アダマンタンは、1nm未満、2nm未満、または5nm未満の分子寸法を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、分子シードは化学核生成によって堆積される。いくつかの実施形態では、化学核生成は、極めて高い核生成密度につながる。いくつかの実施形態では、極めて高い核生成密度は、10cm-2から1014cm-2、1010cm-2から1014cm-2、または1012cm-2から1014cm-2の範囲の密度のことを言う。いくつかの実施形態では、極めて高い核生成密度は、10cm-2より大きい、1010cm-2より大きい、または1012cm-2より大きい密度のことを言う。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、化学核生成は低温で行われる。いくつかの実施形態では、低温は、室温から300℃、室温から200℃、または室温から100℃の範囲の温度のことを言う。本明細書で使用される「室温」という用語は、15℃から30℃の範囲の温度のことを言う。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、以下の式(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から選択された構造を有する。
、R、RおよびRは各々独立に、水素、ビニル基、アクリレート基、スチレン基、アルキニル基、ハロゲン化物基、エポキシド基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、およびアルキル基のうちの1つまたは複数を含む。
【0026】
そうでないと示されていない限り、単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「下級アルキル」、「アルキル」、または「アルク」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、アンデシル、ドデシル、その様々な分岐鎖異性体などの、通常の鎖内に1から20個の炭素を含む直鎖および分岐鎖炭化水素両方を含んでいる。このような基は任意選択では、1から4の置換基を含むことができる。アルキルカーボンは、有機分子内の炭素原子に三重結合された炭素原子である。
【0027】
本明細書で使用される「アミン」という用語は、少なくとも1つの基本的窒素原子を含むあらゆる有機化合物に関し、例えば、R’が各々独立に水素(H)またはアルキルから選択されるNR’である。
【0028】
本明細書で使用される「ビニル」または「ビニル含有」という用語は、ビニル基(-CH=CH)を含む基のことを言う。
【0029】
本明細書で使用される「エポキシド」という用語は、3原子環を備えた環状エーテルのことを言う。
【0030】
本明細書で使用される「カルボン酸」という用語は、カルボキシル基(C(=O)OH)を含む有機酸のことを言う。
【0031】
本明細書で使用される「ハロゲン化物」という用語は、一部がハロゲン原子であり、その他の部分がハロゲンより電気陰性が少ない素子またはラジカルであって、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはアスタタイド化合物を作る、二成分相のことを言う。ハロゲン化物イオンは、負の電荷を持つハロゲン原子である。当業者に知られているように、ハロゲン化物アニオンは、フッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)、およびアスタタイド(At-)を含む。
【0032】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、少なくとも1つの-OH(ヒドロキシル)基が-O-アルキル基と置換された、酸(有機または無機)から誘導された化学化合物のことを言う。
【0033】
本明細書で使用される「アクリレート」という用語は、アクリル酸の塩、エステル、および共役塩基のことを言う。アクリレートイオンは、アニオンCH=CHCOOである。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、以下からなる群から選択される。
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、136g/モルから700g/モル、136g/モルから600g/モル、136g/モルから500g/モル、136g/モルから400g/モル、または136g/モルから300g/モルの範囲の分子重量を有する。
【0036】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、10℃から400℃、50℃から400℃、100℃から400℃、200℃から400℃、10℃から300℃、50℃から300℃、100℃から300℃、または200℃から300℃の範囲の沸点を有する。いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは、400℃より小さいまたはこれに等しい、300℃より小さいまたはこれに等しい、200℃より小さいまたはこれに等しい、または100℃より小さいまたはこれに等しい沸点を有する。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、10℃から400℃、50℃から400℃、100℃から400℃、200℃から400℃、10℃から300℃、50℃から300℃、100℃から300℃、または200℃から300℃の範囲の昇華点を有する。いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは、400℃より小さいまたはこれに等しい、300℃より小さいまたはこれに等しい、200℃より小さいまたはこれに等しい、または100℃より小さいまたはこれに等しい昇華点を有する。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、10℃から400℃、50℃から400℃、100℃から400℃、200℃から400℃、10℃から300℃、50℃から300℃、100℃から300℃、または200℃から300℃の範囲の温度で熱的に安定している。いくつかの実施形態では、アダマンタンモノマーは、400℃より小さいまたはこれに等しい、300℃より小さいまたはこれに等しい、200℃より小さいまたはこれに等しい、または100℃より小さいまたはこれに等しい温度で熱的に安定している。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、沸点、昇華点、および/または熱安定性のうちの1つまたは複数は、熱重量分析(TGA)によって判断される。
【0040】
多くの実施形態では、開始剤は、ベンゾフェノン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、およびそれらの誘導体のうちの1つまたは複数を含む。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーおよび/または開始剤のうちの1つまたは複数は、50℃で、0.05mmHgから5.0mmHg、0.05mmHgから3.0mmHg、0.05mmHgから1.0mmHg、0.1mmHgから5.0mmHg、0.1mmHgから3.0mmHg、0.1mmHgから1.0mmHg、1.0mmHgから5.0mmHg、または1.0mmHgから3.0mmHgの範囲の蒸気圧力を有する。1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーおよび/または開始剤のうちの1つまたは複数は、25℃から400℃、25℃から300℃、25℃から200℃、25℃から100℃、50℃から400℃、50℃から300℃、50℃から200℃、50℃から100℃、100℃から400℃、100℃から300℃、または100℃から200℃の範囲の沸点を有する。1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーおよび/または開始剤のうちの1つまたは複数は、25℃から400℃、25℃から300℃、25℃から200℃、25℃から100℃、50℃から400℃、50℃から300℃、50℃から200℃、50℃から100℃、100℃から400℃、100℃から300℃、または100℃から200℃の範囲で熱安定性を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法100は、1つまたは複数のアダマンタンモノマーと基板、例えばシリコン(Si)ウエハまたはポリシリコンウエハの間に共有結合を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリマー化可能シード層152を形成するために基板上にアダマンタンモノマーおよび開始剤を堆積することは、アダマンタンモノマーおよび開始剤の熱蒸発を含む。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーおよび開始剤は、0.01重量%から20重量%、0.05重量%から20重量%、0.1重量%から20重量%、0.5重量%から20重量%、1重量%から20重量%、0.01重量%から15重量%、0.05重量%から15重量%、0.1重量%から15重量%、0.5重量%から15重量%、1重量%から15重量%、0.01重量%から10重量%、0.05重量%から10重量%、0.1重量%から10重量%、0.5重量%から10重量%、1重量%から10重量%、0.01重量%から5重量%、0.05重量%から5重量%、0.1重量%から5重量%、0.5重量%から5重量%、または1重量%から5重量%の割合で熱蒸発される。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマー化可能シード層152は比較的均一である。いくつかの実施形態では、「比較的均一」という用語は、2nm未満、1nm未満、または0.5nm未満の粗さを有するポリマー化可能シード層のことを言う。1つまたは複数の実施形態では、粗さは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマー化可能シード層152は、10nmから2000nm、100nmから2000nm、500nmから2000nm、1000nmから2000nm、10nmから1000nm、100nmから1000nm、または500nmから1000nmの範囲の厚さを有する。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、ポリアダマンタン層154を形成するためにポリマー化可能シード層152を硬化することは、熱処理またはUV処理のうちの1つまたは複数を含む。
【0048】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマー化可能シード層152を硬化することは、100nmから700nm、100nmから600nm、100nmから500nm、100nmから400nm、100nmから300nm、100nmから200nm、200nmから700nm、300nmから700nm、400nmから700nm、500nmから700nm、600nmから700nm、200nmから600nm、200nmから500nm、200nmから400nm、または200nmから300nmの範囲の波長を有する光源にポリマー化可能シード層152を曝すことを含む。
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマー化可能シード層152は、1分から3時間、1分から2.5時間、1分から2時間、1分から1.5時間、1分から1時間、1分から50分、1分から40分、1分から30分、1分から20分、または1分から10分の範囲の期間、光源に曝される。
【0050】
1つまたは複数の実施形態の方法は有利には、重合体シードの熱安定性を改善する。いくつかの実施形態では、熱安定性は、400℃から700℃、500℃から700℃、または600℃から700℃を含む300℃から700℃の範囲である。いくつかの実施形態では、方法は有利には、アダマンタン重合体シードの蒸発を減らす。いくつかの実施形態では、蒸発は、300℃から700℃、400℃から700℃、500℃から700℃、または600℃から700℃の範囲である。
【0051】
1つまたは複数の実施形態では、ポリアダマンタン層154は比較的均一である。いくつかの実施形態では、「比較的均一」という用語は、2nm未満、1nm未満、または0.5nm未満の粗さを有するポリアダマンタン層154のことを言う。1つまたは複数の実施形態では、粗さは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリアダマンタン層154は、10nmから2000nm、100nmから2000nm、500nmから2000nm、1000nmから2000nm、10nmから1000nm、100nmから1000nm、または500nmから1000nmの範囲の厚さを有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポリアダマンタン層154は、300℃から700℃、400℃から700℃、500℃から700℃、または600℃から700℃の範囲の温度で熱的に安定している。いくつかの実施形態では、ポリアダマンタン層は、700℃未満、600℃未満、500℃未満、または400℃未満の温度で熱的に安定している。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、ポリアダマンタン層154は、1つまたは複数のポリマー化された分子を含む。1つまたは複数の実施形態では、ポリアダマンタン層154は、アダマンタンモノマーが実質的にない。本明細書で使用される「実質的にない」という用語は、ポリアダマンタン層中の原子基準において、アダマンタンモノマーが約5%未満(約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、および約0.5%未満を含む)であることを意味する。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマー化された分子は、500g/モルから100,000g/モル、1000g/モルから70,000g/モル、1000g/モルから60,000g/モル、1000g/モルから50,000g/モル、1000g/モルから40,000g/モル、1000g/モルから30,000g/モル、2000g/モルから70,000g/モル、2000g/モルから60,000g/モル、2000g/モルから50,000g/モル、2000g/モルから40,000g/モル、または2000g/モルから30,000g/モルの範囲の分子重量を有する。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマー化された分子は、300℃から700℃、400℃から700℃、500℃から700℃、または600℃から700℃の範囲の温度で熱的に安定している。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のポリマー化された分子は、700℃未満、600℃未満、500℃未満、または400℃未満の温度で熱的に安定している。
【0057】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマー化された分子は、2から500の繰り返しアダマンタンモノマー、2から300の繰り返しアダマンタンモノマー、2から100の繰り返しアダマンタンモノマー、5から500の繰り返しアダマンタンモノマー、5から300の繰り返しアダマンタンモノマー、または5から100の繰り返しアダマンタンモノマーを含んでいる。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のポリマー化された分子は、アダマンタンモノマーと、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、および分岐共重合体からなる群から選択された1つまたは複数のポリマー化可能ユニットとを含む混合物を共重合することによって形成される。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、基板はポリアダマンタンフィルムでコーティングされ、ポリアダマンタンフィルムは、基板上にナノ結晶性ダイヤモンド層を形成するために、プラズマに曝される。プラズマは、2.3E11cm-3より大きいまたはこれに等しい密度を有する高濃度プラズマであってもよい。1つまたは複数の実施形態では、アダマンタンモノマーは、溶媒内に溶解されて、アダマンタンモノマーの溶液を形成する。アダマンタンモノマーは、本明細書に記載されたモノマーのいずれであってもよい。1つまたは複数の実施形態では、開始剤はアダマンタンモノマーの溶液に加えられる。開始剤は、本明細書に記載された開始剤のいずれかを含むことができる。アダマンタンモノマーおよび開始剤の混合物はその後、紫外線光に曝されて、ポリアダマンタンポリマーを提供する。1つまたは複数の実施形態では、ポリアダマンタンポリマーは溶媒内に溶解されて、ポリマー溶液を形成する。ポリマー溶液は、フィルタリングして、大きすぎる粒子を取り除く、例えば、0.2μmから10μmの範囲の粒子を取り除くことができる。ポリマー溶液はその後、基板上でスピンコーティングされる。スピンコーティングは、あらゆる適切な速度で行うことができる。1つまたは複数の実施形態では、スピンコーティングは、100rpmから1000rpmの範囲、または300rpmから500rpmの範囲の速度で行われて、均一なポリアダマンタンフィルムを達成する。ポリアダマンタンフィルムは、10nmから1000nmの範囲、または100nmから300nmの範囲の厚さを有することができる。ポリアダマンタンフィルムでコーティングされた基板はその後、プラズマに曝されて、基板上にナノ結晶性ダイヤモンド層を形成する。
【0060】
1つまたは複数の実施形態では、方法100はさらに、硬化の前に、ポリマー化可能シード層152上にマスク層を形成することを含む。
【0061】
1つまたは複数の実施形態では、方法100はさらに、ポリマー化可能シード層152の未硬化部分を取り除くことを含む。
【0062】
1つまたは複数の実施形態では、未硬化部分を取り除くことは、10℃から350℃、10℃から300℃、20℃から400℃、20℃から350℃、20℃から300℃、30℃から400℃、30℃から350℃、30℃から300℃、40℃から400℃、40℃から350℃、40℃から300℃、50℃から400℃、50℃から350℃、50℃から300℃、60℃から400℃、60℃から350℃、または60℃から300℃を含む10℃から400℃の範囲の温度で基板を加熱することを含む。1つまたは複数の実施形態では、未硬化部分を取り除くことは、基板を化学的に処理することを含む。いくつかの実施形態では、化学的に処理することは、化学的に洗浄することを含む。1つまたは複数の実施形態では、化学的に洗浄することは、イソプロピルアルコール(IPA)およびアセトンなどの溶媒を使用して行われ、溶媒は、硬化部分(ポリマー)を完全なままで保持しながら、モノマーを溶解することによって未硬化部分を取り除く。
【0063】
1つまたは複数の実施形態では、方法100はさらに、動作130で、ポリアダマンタン層154上にナノ結晶性ダイヤモンド層156を堆積することを含む。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶性ダイヤモンドを堆積することは、原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、マイクロ波化学気相堆積(MWCVD)、マイクロ波プラズマ化学気相堆積(MWPCVD)、プラズマ増強原子層堆積(PEALD)、およびプラズマ増強化学気相堆積(PECVD)のうちの1つまたは複数を含む。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、方法は、極薄ダイヤモンドフィルムを成長させることを含む。いくつかの実施形態では、極薄ダイヤモンドフィルムは、低温化学気相堆積(CVD)プロセスによって成長される。
【0066】
図3は、堆積アセンブリ200の略断面図を示している。アセンブリ200は、堆積チャンバ210を備えている。いくつかの実施形態では、チャンバ210は、基板支持体220、第1の加熱源230、および出口250を備えている。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、チャンバ210は、原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、マイクロ波化学気相堆積(MWCVD)、マイクロ波プラズマ化学気相堆積(MWPCVD)、プラズマ増強原子層堆積(PEALD)、およびプラズマ増強化学気相堆積(PECVD)のうちの1つまたは複数を行うように構成されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、出口250は真空源に接続されている。いくつかの実施形態では、真空源は、0.01ミリバールから0.5ミリバール、0.01ミリバールから0.3ミリバール、0.01ミリバールから0.1ミリバール、0.1ミリバールから0.5ミリバール、または0.1ミリバールから0.3ミリバールの範囲で圧力を加えるように構成されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1の熱源230は、ポリマー化可能シード層を加熱するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の加熱源230は、25℃から700℃、25℃から500℃、25℃から300℃、50℃から700℃、50℃から500℃、50℃から300℃、100℃から700℃、100℃から500℃、または100℃から300℃の範囲の温度でポリマー化可能シード層を加熱するように構成されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1の加熱源230は、ポリアダマンタン層を加熱するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の加熱源230は、50℃から600℃、50℃から500℃、50℃から400℃、50℃から300℃、または50℃から200℃の範囲の温度でポリアダマンタン層を加熱するように構成されている。
【0071】
1つまたは複数の実施形態では、チャンバ210はさらに、るつぼ260、およびるつぼ260と接触する第2の加熱源270を備えている。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2の加熱源270は、るつぼ26を加熱するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2の加熱源270は、25℃から400℃、25℃から300℃、25℃から200℃、25℃から100℃、50℃から400℃、50℃から300℃、50℃から200℃、50℃から100℃、100℃から400℃、100℃から300℃、または100℃から200℃の範囲の温度でるつぼ260を加熱するように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、るつぼ260は1つまたは複数のるつぼ入口を有する。1つまたは複数のるつぼ入口は、1つまたは複数のアダマンタンリザーバおよび/または開始剤リザーバに接続されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のるつぼ入口は1つまたは複数のプログラム可能バルブを備えている。1つまたは複数のプログラム可能バルブは、所定の量のアダマンタンおよび/または開始剤をるつぼ260内に分配する。
【0074】
いくつかの実施形態では、コントローラは、その動作を制御するために、堆積アセンブリ200の様々な部品に提供および結合することができる。コントローラは、堆積アセンブリ200全体を制御する単一のコントローラ、または堆積アセンブリ200の個別の部分を制御する多数のコントローラであってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、中央処理ユニット(CPU)、サポート回路、メモリ、および入力/出力(I/O)を含む。コントローラは、直接、または特定のプロセスチャンバおよび/または支持体システム部品に関連付けられたコンピュータ(またはコントローラ)を介して、堆積アセンブリ200を制御することができる。コントローラは、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための工業設定で使用することができる汎用コンピュータプロセッサのあらゆる形態のものであってもよい。コントローラのメモリまたはコンピュータ読取可能媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光学ストレージ媒体(例えば、コンパクトディスクまたはデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、またはあらゆる他の形態のローカルまたはリモートデジタルストレージのうちの1つまたは複数であってもよい。サポート回路は、従来の方法でプロセッサを支持するためにCPUに結合されている。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路およびサブシステムなどを含む。1つまたは複数のプロセスは、本明細書に記載した方法で、堆積アセンブリ200または個別の部品の動作を制御するために実行または起動することができるソフトウェアルーティンとしてメモリ内に記憶することができる。ソフトウェアルーティンはまた、CPUによって制御されているハードウェアから遠隔に配置された第2のCPUによって記憶および/または実行することができる。入力/出力は、キーボード、コンピュータマウス、ディスプレイおよび/またはプリンタを含むことができる。
【0075】
次に、本開示を以下の実施例を参照して記載する。本開示のいくつかの例示的実施形態を記載する前に、本開示は以下の説明に記載された構成またはプロセスステップの詳細に限るものではないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施するまたは行うことが可能である。
【実施例
【0076】
アダマンタンモノマーを適切な溶媒に溶解した。開始剤をその後、溶液に加えた。混合物は、所要の範囲のポリマー化によって、1分から60時間の範囲の期間、UVランプに曝した。製品は、適当な溶媒内で得られ、浄化された。最終製品は、10時間超、オーブンで乾燥させた。シリコン上のポリマーをコーティングするため、合成後ポリアダマンタンを加熱によって適切な溶媒内に溶解した。これらの溶媒は、テトラヒドロフラン、デカリンおよびアニソールを含むことができ、温度範囲は50℃から200℃まで変化した。ポリマー溶液を、適切な膜でシリンジフィルタを通してフィルタリングして、0.2から10μmの間の範囲の寸法の粒子を取り除いた。フィルタリングされた溶液は、100から約1000rpmのスピン速度でのスピンコーターを使用して基板上にコーティングされて、10nmから1000nmの厚さ範囲の均一なポリアダマンタンフィルムを達成した。
【0077】
ポリアダマンタンコーティング基板を、マイクロ波化学気相堆積(MWCVD)チャンバ内に装填し、ダイヤモンド粒子への変換のために様々なプラズマ条件に曝した。低密度プラズマ(<2.3E11cm-3)が、10~90%デューティサイクルおよび35~350Hzで2~12kwのマイクロ波電力でCH/CO/Hガスを使用して発火した。0.5時間から4時間の低密度プラズマでの処理の後、2kWから12kWのマイクロ波電力で生成されたより高密度のプラズマ(>2.3E11cm-3)を、ダイヤモンド核成長に使用した。最後に、ダイヤモンド粒子密度を、画像JソフトウェアによってSEM画像によって分析した。粒子密度を高める際に最適化されたプラズマの効果を有効にするために、UNCDフィルムを、CH/CO/H/Arガス内で400から800℃の範囲の温度で堆積させた。
【0078】
0.5時間から4時間の低密度プラズマでの処理の後、多くの不規則なナノ粒子(ホワイトスポット)が形成され、ダイヤモンド核へのポリアダマンタンの変換を示した。これらの小さなダイヤモンド核が、増加および拡大するホワイトスポットによって示されるように、新しいダイヤモンド核の発生と共に大きく成長する。ホワイトスポットの平均寸法はおおよそ、数百ナノメートルのオーダーである。ダイヤモンド核の高密度は、低密度プラズマ状態のプラズマの化学的性質を変更することによって達成された。ラマンスペクトル内の1332cm-2での鋭いダイヤモンドピークは、その高品質を明らかにする。ダイヤモンド核密度を高める際にプラズマの有効性を確認するために、UNCDフィルムを堆積させた。連続UNCDフィルムは、8.3nmの二乗平均平方根粗さで成長した。ラマンスペクトルは、1332cm-2辺りでの典型的なピークを示す。
【0079】
「下」、「下に」、「下側」、「上に」、「上側」などの空間的相対的用語は、図面に示したような別の要素または特徴に対する1つの要素または特徴の関係を説明するための記載を容易にするために本明細書で使用することができる。空間的相対的用語は図面に示す配向に加えて使用または動作中のデバイスの異なる配向を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、図中のデバイスが回転した場合、他の要素または特徴の「下」または「下に」として記載された要素は、他の要素または特徴の「上に」配向されることになる。したがって、「下に」という例示的用語は、上および下の配向両方を含むことができる。デバイスはあるいは、他の配向とする(90度または他の配向で回転させる)ことができ、本明細書で使用される空間的相対記述子はそれに応じて解釈することができる。
【0080】
「a」、「an」、「the」、および(特に以下の特許請求の範囲の内容において)本明細書で論じる材料および方法を記載する内容での同様の指示語の使用は、そうでないと本明細書に示されていない、または内容によって明らかに矛盾していない限り、単数および複数の両方を含むように解釈するものとする。本明細書での値の範囲の言及は、本明細書にそうでないと示されていない限り、範囲内の各別個の値に個別に参照する簡略にした方法として働くことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に引用されているように明細書に組み込まれている。本明細書に記載された全ての方法は、そうでないと本明細書に示されていない、または内容によって明らかに矛盾していない限り、あらゆる適切な順序で行うことができる。本明細書で提供されたあらゆるおよび全ての例、または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、材料および方法をより良く明らかにすることを単に意図したものであり、そうでないと主張されていない限り、範囲に限定を与えるものではない。本明細書のいずれの記載も、特許請求の範囲に記載されていない要素が、開示した材料および方法の実施に必須のものであることを示すかのように解釈されるべきではない。
【0081】
「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「実施形態」への本明細書全体を通した言及は、実施形態に関連して記載された特定の機構、構造、材料、または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの語句の登場は、本開示の同じ実施形態を必ずしも言及しているものではない。1つまたは複数の実施形態では、特定の機構、構造、材料、または特徴があらゆる適切な方法で組み合わされる。
【0082】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して記載したが、これらの実施形態は、本開示の原理および応用例を単に例示したものであることを理解されたい。様々な変更形態および変形形態を、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に加えることができることは当業者には自明であろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある変更形態および変形形態を含むことを意図している。
図1
図2
図3