(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ラインアレイスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20230925BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H04R1/40 310
H04R3/12 Z
(21)【出願番号】P 2022510209
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2020045301
(87)【国際公開番号】W WO2021034509
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・ザストゥーピル
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ジョン・クティル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・シー・サントロ
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-512275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289037(US,A1)
【文献】米国特許第05309518(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインアレイスピーカであって、
音響ドライバの第1のグループであって、各々が軸を備える第1の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置されている、第1の複数の音響ドライバと、各々が軸を備える第2の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置されている、第2の複数の音響ドライバと、を備え、前記第1及び第2の複数の音響ドライバは、前記第1の複数の音響ドライバの前記軸の方位角平面への突出が、前記第2の複数の音響ドライバの前記軸の前記方位角平面への突出と第1の固定関節角度で交差するように配置されている、音響ドライバの第1のグループと、
音響ドライバの第2のグループであって、前記第1のグループに隣接し、かつ各々が軸を備える第3の複数の音響ドライバを備え、前記第3の複数の音響ドライバの前記軸の
各々の前記方位角平面への突出は、変動関節角度で交差
し、前記変動関節角度は、少なくとも2つの異なる角度を含む、音響ドライバの第2のグループと、を備える、ラインアレイスピーカ。
【請求項2】
前記第1及び第2の複数の音響ドライバは、音響ドライバの前記第1のグループの長さに沿ってインターリーブされる、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項3】
音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの第1の対の前記軸の前記方位角平面への突出は、第1の
固定関節角度とは異なる第2の関節角度で交差する、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項4】
音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの第2の対の前記軸の前記方位角平面への突出は、前記第1
の固定関節角度及び
前記第2の関節角度とは異なる第3の関節角度で交差する、請求項3に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項5】
音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第1の対は、前記第2のグループで前記第1のグループに最も近い音響ドライバである、請求項4に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項6】
前記第2の関節角度は、前記第1の
固定関節角度よりも小さい、請求項5に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項7】
音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第2の対は、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第1の対に隣接している、請求項5に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項8】
前記第3の関節角度は、前記第1
の固定関節角度及び
前記第2の関節角度の両方よりも小さい、請求項7に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項9】
音響ドライバの前記第2のグループは、曲線に沿って配置されている、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項10】
前記曲線は、一定の曲率半径を有する、請求項9に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項11】
音響ドライバの前記第1のグループは、音響ドライバの前記第2のグループと同じ曲線に沿って配置されている、請求項9に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項12】
前記曲線は連続的に湾曲している、請求項11に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項13】
前記
曲線の曲率は前記ラインアレイの全長に沿って連続的に増加する、請求項12に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項14】
音響ドライバの前記第1及び第2のグループの前記音響ドライバの少なくとも一部は、水平に対するそれらの軸の角度を変更することができるように位置決めされるように構成されている、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項15】
前記第1の複数の音響ドライバの前記軸は、第1の平面内で同一平面上にあり、前記第2の複数の音響ドライバの前記軸は、第2の平面内で同一平面上にあり、前記第1及び第2の平面は、平面交差角度で交差する、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項16】
前記平面交差角は鋭角である、請求項15に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項17】
前記音響ドライバは各々、振幅及び位相を有する音を出力するように構成され、前記ラインアレイスピーカは、複数の前記音響ドライバからの前記音の前記振幅及び位相のうちの少なくとも1つを変更するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項1に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項18】
ラインアレイスピーカであって、
音響ドライバの第1のグループであって、各々が軸を備える第1の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置されている、第1の複数の音響ドライバと、各々が軸を備える第2の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置されている、第2の複数の音響ドライバと、を備え、前記第1及び第2の複数の音響ドライバは、前記第1の複数の音響ドライバの前記軸の方位角平面への突出が、前記第2の複数の音響ドライバの前記軸の前記方位角平面への突出と第1の固定関節角度で交差するように配置され、前記第1及び第2の複数の音響ドライバは、音響ドライバの前記第1のグループの長さに沿ってインターリーブされている、音響ドライバの第1のグループと、
音響ドライバの第2のグループであって、前記第1のグループに隣接し、各々が軸を備える第3の複数の音響ドライバを備え、前記第3の複数の音響ドライバの前記軸の
各々の前記方位角平面への突出は変動関節角度で交差し、
前記変動関節角度は、少なくとも2つの異なる角度を含み、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの第1の対の前記軸の前記方位角平面への前記突出は、第1の
固定関節角度よりも小さい第2の関節角度で交差し、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの第2の対の前記軸の前記方位角平面への前記突出は、前記第1
の固定関節角度及び
前記第2の関節角度の両方よりも小さい第3の関節角度で交差する、音響ドライバの第2のグループと、を備え、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第1の対は、前記第2のグループで前記第1のグループに最も近い音響ドライバであり、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第2の対は、音響ドライバの前記第2のグループの音響ドライバの前記第1の対に隣接している、ラインアレイスピーカ。
【請求項19】
音響ドライバの前記第2のグループは、一定の曲率半径を有する曲線に沿って配置されている、請求項18に記載のラインアレイスピーカ。
【請求項20】
音響ドライバの前記第1のグループは、直線に沿って配置されている、請求項19に記載のラインアレイスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラインアレイスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
ラインアレイスピーカは、例えば、米国特許第7,936,891号に開示されているように知られており、その開示はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。ラインアレイスピーカは、アレイ内にいくつかの音響ドライバを含む。典型的には、アレイは、概して線形である。場合によっては、ドライバが関節運動する。すなわち、ドライバは全て同じ方向に放射するわけではない。関節角度(すなわち、ドライバの軸間の角度)が広い場合、アレイに近い聴取者は、他のドライバよりも1つのドライバが多く聞こえてもよい。極端には、聴取者が近距離場にあり、かつ任意のドライバの軸外に位置する場合、音の大きさを減らすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
下記で言及される全ての例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0004】
一態様では、ラインアレイスピーカは、各々が軸を備える第1の複数の音響ドライバを備える音響ドライバの第1のグループを含み、第1の複数の音響ドライバは、それらの軸が平行になるように配置される。各々が軸を備える第2の複数の音響ドライバが存在し、第2の複数の音響ドライバは、それらの軸が平行になるように配置される。第1及び第2の複数の音響ドライバは、第1の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出が、第1の固定関節角度で第2の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出と交差するように配置される。第1のグループに隣接し、各々が軸を備える第3の複数の音響ドライバを備える、音響ドライバの第2のグループが存在する。第3の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出は、変動関節角度で交差する。
【0005】
実施例は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。第1及び第2の複数の音響ドライバは、音響ドライバの第1のグループの長さに沿ってインターリーブされてもよい。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対の軸の方位角平面への突出は、第1の関節角度とは異なる第2の関節角度で交差してもよい。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第2の対の軸の方位角平面への突出は、第1及び第2の関節角度の両方とは異なる第3の関節角度で交差してもよい。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対は、第2のグループで第1のグループに最も近い音響ドライバであってもよい。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第2の対は、音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対に隣接してもよい。第3の関節角度は、第1及び第2の関節角度の両方よりも小さくてもよい。第2の関節角度は、第1の関節角度よりも小さくてもよい。
【0006】
実施例は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。音響ドライバの第2のグループは、曲線に沿って配置されてもよい。曲線は、一定の曲率半径を有してもよい。音響ドライバの第1のグループは、音響ドライバの第2のグループと同じ曲線に沿って配置されてもよい。曲線は、連続的に湾曲していてもよい。曲率は、ラインアレイの全長に沿って連続的に増加してもよい。
【0007】
実施例は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。音響ドライバの第1及び第2のグループの音響ドライバの少なくとも一部は、水平に対するそれらの軸の角度を変更することができるように位置決めされるように構成されてもよい。第1の複数の音響ドライバの軸は、第1の平面内で同一平面上にあってもよく、第2の複数の音響ドライバの軸は、第2の平面内で同一平面上にあってもよい。第1及び第2の平面は、平面交差角度で交差してもよい。平面交差角度は、鋭角であってもよい。音響ドライバは各々、振幅及び位相を有する音を出力するように構成されてもよく、ラインアレイスピーカは、複数の音響ドライバからの音の振幅及び位相のうちの少なくとも1つを変更するように構成されたプロセッサを更に備えてもよい。
【0008】
別の態様では、ラインアレイスピーカは、各々が軸を備える第1の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置された第1の複数の音響ドライバと、各々が軸を備える第2の複数の音響ドライバであって、それらの軸が平行になるように配置された第2の複数の音響ドライバと、を備える音響ドライバの第1のグループを含む。第1及び第2の複数の音響ドライバは、第1の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出が、第1の固定関節角度で第2の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出と交差するように配置される。第1及び第2の複数の音響ドライバは、音響ドライバの第1のグループの長さに沿ってインターリーブされる。音響ドライバの第2のグループは、第1のグループに隣接し、各々が軸を含む第3の複数の音響ドライバを備える。第3の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出は、変動関節角度で交差する。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対の軸の方位角平面への突出は、第1の関節角度よりも小さい第2の関節角度で交差し、音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第2の対の軸の方位角平面への突出は、第1及び第2の関節角度の両方よりも小さい第3の関節角度で交差する。音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対は、第2のグループで第1のグループに最も近い音響ドライバであり、音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第2の対は、音響ドライバの第2のグループの音響ドライバの第1の対に隣接している。
【0009】
実施例は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。音響ドライバの第2のグループは、一定の曲率半径を有する曲線に沿って配置されてもよい。音響ドライバの第1のグループは、直線に沿って配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】Aは音響ドライバの側面図であり、Bは音響ドライバの正面図である。
【
図2】ラインアレイスピーカの2つの関節運動ドライバの上面図である。
【
図4A】ラインアレイスピーカの音響ドライバの第1のグループを示す。
【
図4B】
図4Aの音響ドライバの第1のグループを含むラインアレイスピーカの一部を示す。
【
図7A】「J」構成に配置されたラインアレイスピーカの概略側面図である。
【
図7B】「J」構成に配置されたラインアレイスピーカの概略側面図である。
【
図7C】「C」構成に配置されたラインアレイスピーカの概略側面図である。
【
図7D】「螺旋」構成に配置されたラインアレイスピーカの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ラインアレイスピーカは、各々が軸を備える第1の複数の音響ドライバを備える音響ドライバの第1のグループを有し、第1の複数の音響ドライバは、それらの軸が平行になるように配置される。各々が軸を備える第2の複数の音響ドライバが存在し、第2の複数の音響ドライバは、それらの軸が平行になるように配置される。第1及び第2の複数の音響ドライバは、第1の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出が、第1の固定関節角度で第2の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出と交差するように配置される。第1のグループに隣接する音響ドライバの第2のグループが存在する。第2のグループは、各々が軸を備える第3の複数の音響ドライバを備える。第2のグループのドライバは、第3の複数の音響ドライバの軸の方位角平面への突出が、変動関節角度で交差するように配置される。第2のグループのドライバは、第1のグループの関節角度よりも小さい関節角度を有してもよい。第2のグループのドライバは、ラインアレイに近い近距離場でより一貫した音響カバレッジを提供する。観客がステージの近くに座ることができる会場の場合、ドライバの第2のグループは、適切な音量で良好な音質を提供するように前列に向けられることができる。
【0012】
図1のA及びBは、音響ドライバのいくつかの態様を示す。音響ドライバ10は、放射面14の運動軸18に沿って前後に圧力波放射構成要素14を移動させるように構成されたモータ構造12を含む。この動きは音圧を発生させる。放射面14は、示すように概ね円錐形であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。音響ドライバは、ダストカバー16を有しても有していなくてもよい。音響ドライバ及び音響ドライバの異なる構成は、技術分野で周知であるため、本明細書では完全には説明されない。
【0013】
図2は、ラインアレイスピーカの一部である、関節音響ドライバ22及び26の一対20の上面図である。ドライバ22は軸24を有し、ドライバ26は軸28を有する。2つのドライバが関節運動する(すなわち、それらの軸が平行ではない)ため、軸24及び28は、Φとして示される角度30にある。典型的な先行技術のラインアレイスピーカでは、この角度はアレイの長さに沿って固定される。いくつかの例では、線形アレイの第1の複数のドライバの軸は同じ方向に向けられ、そのため軸は、第1の平面内で同一平面上にある。線形アレイの第2の複数のドライバの軸は、同じ方向に向けられているが、第1の複数のドライバとは異なる方向に向けられている。したがって、第2の複数のドライバの軸はまた、同じ平面内にあるが、関節角度と呼ぶことができるもので第1の平面と交差する第2の平面内にある。典型的には、ドライバは、第2の複数のドライバのドライバが第1の複数のドライバの各2つのドライバ間に位置するようにインターリーブされる。1つの特定の先行技術のラインアレイスピーカでは、角度Φは約42度である。そのようなアレイがパフォーマンスステージ上に配置される場合、ドライバは個々のソースとして機能してもよい。関節角度に部分的に応じて、アレイに近い聴取者(近距離場)が、軸上(例えば、ドライバのいずれも直前に向けられていないときにアレイの前に)に位置する場合、軸外と比較して音パターンは一貫しない場合がある。アレイに近い聴取者は、他のドライバよりも1つのドライバが多く聞こえてもよい。極端には、聴取者が近距離内にあり、かつ軸上に位置する場合、聴取者に向けられたドライバがないため、音の大きさを減らすことができる。
【0014】
ラインアレイスピーカの音響ドライバの第1のグループ40が、
図3に概略的に示されている。この非限定的な例では、全てのドライバ(上から下へ、ドライバ42、50、44、52、46、及び54)は、直線56に沿って配置される。しかしながら、ドライバは、他の方法で配置することができ、例えば、それらは曲線に沿って、又は部分的に直線に沿って、及び部分的に曲線に沿って配置することができる。ドライバの異なる配置を以下に更に説明する。
【0015】
グループ40は、平面62にある軸43、45、及び47を有する第1の複数のドライバ42、44、及び46を含む。これらの軸の方位角突出(すなわち、平面62)は、線63に沿って方位角平面64と交差する。グループ40はまた、平面60にある軸51、53、及び55を有する第2の複数のドライバ50、52、及び54を含む。これらの軸の方位角突出(すなわち、平面60)は、線61に沿って方位角平面64と交差する。線61及び63は、Θと呼ばれる角度70で交わる。角度70は、第1のグループ40を構成するトランスデューサの固定関節角度である。角度70は、必ずしもそうである必要はないが、好ましくは鋭角である。
【0016】
図4Aは、ドライバ42、50、44、及び52をより詳細に示す。モータ構造83は、ドライバ軸123に沿ってドライバ42の放射面82を移動させる。ダストキャップ84が含まれてもよい。取り付けフランジ85は、ドライバをスピーカハウジングに取り付けるために使用される構造であり、
図4Bを参照されたい。同様に、モータ構造93は、ドライバ軸124に沿ってドライバ50の放射面92を移動させる。ダストキャップ94が含まれてもよい。取り付けフランジ95は、ドライバをスピーカハウジングに取り付けるために使用される構造である。同様に、モータ構造103は、ドライバ軸130に沿ってドライバ44の放射面102を移動させる。ダストキャップ104が含まれてもよい。取り付けフランジ105は、ドライバをスピーカハウジングに取り付けるために使用される構造である。同様に、モータ構造113は、ドライバ軸132に沿ってドライバ52の放射面112を移動させる。ダストキャップ114が含まれてもよい。取り付けフランジ115は、ドライバをスピーカハウジングに取り付けるために使用される構造である。
【0017】
図4Bは、線形アレイ内の所定の位置にドライバを保持するスピーカハウジング構造119を含むアセンブリ118を示し、ドライバは、(この非限定的な例では、ドライバのダストキャップを通過する)線56に沿って離間している。また、任意の個々のドライバ取り付け構造も示す(ドライバ50を保持する構造126及びドライバ52を保持する構造128を図面に見ることができる)。これらの個々のドライバ取り付け構造は、ラインアレイスピーカハウジング構造119に結合されてもよい。
図4A及び
図4Bは、インターリーブされたドライバ間の固定関節角度でドライバをアレイ内に保持することができる多くの可能な代替方法のうちの1つのみを開示していることに留意されたい。
【0018】
図5は、ラインアレイスピーカ150を示す。ラインアレイスピーカ150は、図示のように、ほぼ垂直に配置された16個のドライバを含む。スピーカハウジング158は、ドライバを所定の位置に保持する。下部支持モジュール156内の電子機器は、制御された増幅されたオーディオ信号を各ドライバに提供する。ラインアレイスピーカ150は、この非限定的な例示的な12個のインターリーブ音響ドライバを含むドライバの第1のグループ152を有する。グループ152は、各々が軸(図示せず)を備える6個の音響ドライバ160~165を含む。
図3、4A、及び4Bに関して上述したように、ドライバ160~165は、それらの軸が平行になるように配置される。グループ152はまた、ドライバ160~165とインターリーブされる6個の他のドライバ170~175を含む。ドライバ170~175の各々はまた、軸(図示せず)を備える。
図3、4A、及び4Bに関して上述したように、ドライバ170~175は、それらの軸が平行になるように配置される。ドライバ160~165及び170~175は、ドライバ160~165の軸の方位角平面への突出が、(この非限定的な例では42度である)固定関節角度でドライバ170~175の軸の方位角平面への突出と交差するように配置される。
【0019】
音響ドライバ180~183の第2のグループ154は、ドライバの第1のグループ152に隣接している。第2のグループは、各々が軸を備える複数の音響ドライバを備える。この非限定的な例では、グループ154に4個のドライバ180~183が存在する。第2のグループのドライバは、第2のグループのドライバの軸の方位角平面への突出が、変動関節角度で交差するように配置される。ドライバの第2のグループは、第1のグループの関節角度よりも小さい関節角度を有してもよい(が、有する必要はない)。この例では、グループ154は、グループ152に最も近く、約21度の関節角度にある第1の対のドライバ180及び181と、第1の対のドライバ180及び181に直接隣接し、約10度の関節角度にある第2の対のドライバとを含む。第2のグループのドライバのドライバの関節角度は、第1のグループのドライバよりも小さいため、第2のグループのドライバは、ラインアレイに近い近距離場でより一貫した音響カバレッジを提供する。また、特に、観客がステージの近くに座ることができる会場で使用するために、ドライバの第2のグループは、適切な音量で良好な音質を提供するように前列に向けられることができる。
【0020】
図5はまた、「J」形状のラインアレイを示し、グループ152の全てのドライバは、直線に沿って配置され、最下部のドライバ(グループ154)は、それらが全て水平からわずかに下を向くように、曲線に沿って配置される。本明細書の他の箇所に記載されるように、グループ154のドライバは、ラインアレイスピーカ150の近く及び下の聴取者により良好な音響カバレッジを提供する。
【0021】
図6は、本明細書に記載の動作に関与するラインアレイスピーカ200の態様のみの機能ブロック図である。オーディオ信号源202は、ドライバ1-nとラベル付けされたラインアレイの複数のドライバによって再現されるオーディオ信号を提供する(ブロック206)。プロセッサ204は、所望の結果を達成するためにオーディオ信号に作用することが可能である。例えば、プロセッサ204は、1つ以上のドライバの振幅及び/又は位相を変化させるためにプロセッサ上で実行されるソフトウェアを実装することができる。一例では、垂直ラインアレイスピーカの音響カバレッジパターンを変更することができる。ステアリングインラインスピーカアレイは、当該技術分野で既知である。
【0022】
図7A~
図7Dは、ドライバが直線及び/又は曲線に沿って配置されているラインアレイスピーカのいくつかのオプションを概略的に示す。ドライバ(図示せず)は、一部のドライバが固定関節角度にあり、他のドライバが変動関節角度にあるように配置されている。
図7Aのラインアレイスピーカ210は、(
図3、4A、及び4Bに示されるような)固定関節角度でインターリーブされたドライバ(図示せず)のグループを備える部分212を含む。ドライバの下部214は、部分212に隣接し、変動関節角度を有するドライバの第2のグループ(
図5に示すような)を含む。関節角度は、2つの隣接するドライバの軸間、又はおそらく(2つのドライバが互いに直接隣接するかどうかに関係なく)ドライバのグループ内の2つのドライバ間の角度であると見なすことができる。部分214では、関節角度は固定されていない。むしろ、関節角度は、部分214の長さにわたって変化する。
図7Aに示すように構成されたラインアレイスピーカの1つの非限定的な例として、部分212内の固定関節角度は42度とすることができる。すなわち、異なる方向に向けられた部分212内のドライバの軸間の角度は42度である。部分214では、部分212に最も近い2つのドライバは、21度の関節角度にあり、次の(及び最後の)2つのドライバは、10度の関節角度にある。部分214内により多くの又はより少ないドライバが存在することができ、部分214における関節角度の変化は、所望の通りとすることができる。例えば、グループで達成された2つ以上の異なる関節角度があってもよい。また、関節は、互いに直接隣接していないドライバ間にあってもよい。
【0023】
部分212における固定関節角度よりも小さい関節角度を有するラインアレイの最下部に2対のドライバを有することの1つの結果は、近距離場におり、シアターのまさに翼(すなわち、ラインアレイの位置に近い)に位置していない聴取者が、少なくとも2個のドライバからブレンドされた、良好な大きさの音を受け取ることである。また、ラインアレイの最底部に最も狭い関節角度を有することは、これらの同じ結果がラインアレイに最も近くに座った聴取者にとってこれらの同じ結果を確実にするのに役立つ。
【0024】
ラインアレイ210の「J」形状の曲率(頂部212は線状であり、最下部214は曲線に沿っており、曲線は一定の曲率半径を有していても有していなくてもよい)は、矢印216及び217によって境界付けられた一般的(文字通りではない)順方向音エンベロープを作成する。アレイ210が最も近い聴取者よりも高い位置にある場合(例えば、パフォーマンス会場の前面に位置する高所にあるステージで)、部分214内の部分的に下向きのドライバは、前列又はステージの近くの人々に音を放射するのを助ける一方で、より小さい関節角度は、ラインアレイの前に座っている人々がドライバの音エンベロープの周囲からの音のみが到達する領域に位置するのを防ぐのを助け、これは大きさに影響を及ぼすことができる。
【0025】
聴取者に関連する本質的に反対の問題を有する状況(すなわち、頂部音エンベロープ境界216の上に聴取者がいる場合)では、アレイの頂部を後方に湾曲させて音エンベロープの角度範囲を拡張することができる。一例が、
図7Bのラインアレイ220に示されている。矢印226及び227によって境界付けられた音エンベロープは、「J」形状を形成するが頂部に曲線を有する直線部分222及び湾曲部分224を備えるアレイで作成することができる。
図7Cのアレイ320に示すように、アレイ全体を凸状の曲線に沿って配置することによって、(矢印236及び237で囲まれた)更に大きな狭角を有するエンベロープを作成することができ、ドライバは全て部分232内にあり、ドライバは、中心点234から一定(又は少なくともほぼ一定)の曲率半径Rを有する「C」形状に配置されている。
【0026】
別の配置は、他の状態で湾曲した1つ以上の線に沿ってドライバの一部又は全てを配置する。1つの非限定的な例は、
図7Dに示されており、ドライバアレイ240は、当該技術分野で既知のタイプの螺旋アレイを備え、これは、アレイ242の頂部243の矢印244及びアレイの底部245の矢印246よって境界付けられる音エンベロープを発生させることができる。ドライバが位置する線の様々な曲率を提供する多くのタイプの螺旋アレイがある。一般に、螺旋状アレイでは、ドライバは連続的な曲線に沿って配置され、曲率は曲線に沿って距離と共に増加し、「J」線アレイにあるような直線部分はない。したがって、この非限定的な例では、頂部243の曲率は非常に小さく(おそらく1度)、底部245まで増加する。曲率は、アレイの長さに沿って所定の間隔で変化してもよい(又は変化しなくてもよい)。1つの非限定的な例として、算術螺旋は、アレイの長さに沿った連続するスピーカ間の角度が所定の角度だけ変化するものである。
【0027】
ラインアレイスピーカは、典型的には(必ずしもそうとは限らないが)、各高さにただ1つのドライバを有するほぼ垂直なアレイを備えることに留意されたい。したがって、ドライバは、それらの軸がほぼ垂直である線上にあると説明することができ、線は直線又は曲線であってもよい。
【0028】
別の例では、ドライバの一部又は全部は、それらの軸の方向を変更する、すなわち、ドライバをわずかに移動させて、水平に対するそれらの軸角度を変更することができるようにハウジング内に保持される。例としては、アレイの頂部及び/又は底部を押し込んで又は押し出して、J曲線又はC曲線の両方のタイプを形成することができるアレイが挙げられる。このような可撓性ラインアレイスピーカシステムは、当技術分野において既知であり、米国マサチューセッツ州フラミンガムのボーズ社から入手可能なBose(登録商標)F1モデル812可撓性アレイスピーカシステムによって例示される。
【0029】
図6の構成要素は、ブロック図の個別構成要素として図示され、説明される。これらの要素は、アナログ回路又はデジタル回路の1つ以上として実現されるようにしてもよい。代替的に、又は追加的に、これらの要素は、1つ以上のマイクロプロセッサ(例えば、プロセッサ204)がソフトウェア命令を遂行して実現されるようにしてもよい。ソフトウェア命令は、デジタル信号処理命令を含むことができる。演算は、アナログ回路により、又はマイクロプロセッサが、アナログ演算と同等の演算を実行するソフトウェアを遂行することにより実行することができる。信号ラインは、個別のアナログ信号ライン又はデジタル信号ラインとして、別個の信号を処理することができる適切な信号処理を行う個別のデジタル信号ラインとして、及び/又は無線通信システムの要素として実装されてもよい。
【0030】
ブロック図でプロセスが表現又は示唆されるときに、ステップは、1つの要素又は複数の要素によって実行され得る。これらのステップは、一括して実行される、又は異なる時点で行われるようにしてもよい。活動を実行する要素は、物理的に同じであっても互いに近接していてもよく、又は物理的に離れていてもよい。1つの要素は、1つのブロックよりも多くの活動を実行することができる。オーディオ信号は、符号化することができる、又は符号化されなくてもよく、デジタル形式又はアナログ形式のいずれかで伝送することができる。従来のオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号演算処理は、図面から省略されている場合がある。
【0031】
本明細書に記載のシステム及び方法の例は、当業者には明白であろうコンピュータコンポーネント及びコンピュータ実装ステップを含む。例えば、コンピュータ実装ステップが、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM、及びRAMのコンピュータ可読媒体上にコンピュータ実行可能命令として記憶され得ることが当業者によって理解されるべきである。更に、コンピュータ実行可能命令が、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイなどの様々なプロセッサ上で実行され得ることが当業者によって理解されるべきである。説明を容易にするために、上記のシステム及び方法の全てのステップ又は要素が、コンピュータシステムの一部として本明細書で説明されるわけではないが、各ステップ又は要素が、対応するコンピュータシステム又はソフトウェアの構成要素を有し得ることを、当業者は認識するであろう。したがって、このようなコンピュータシステム及び/又はソフトウェアの構成要素は、それらの対応する工程又は要素(すなわち、それらの機能性)を記載することによって有効化されるものであり、また本開示の範囲内にある。
【0032】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく、追加の改変を行うことができ、したがって、他の例も、以下の特許請求の範囲内にあることが理解される。
【符号の説明】
【0033】
200 ラインアレイスピーカ
202 オーディオ信号源
204 プロセッサ
206 ドライバ1-n