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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】喘息改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20230925BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 35/644 20150101ALI20230925BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/31 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/41 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/79 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/815 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 36/43 20060101ALI20230925BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230925BHJP
   A23F 3/34 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61K36/185
A61P11/06
A61K36/725
A61K35/644
A61K36/282
A61K36/31
A61K36/73
A61K36/41
A61K36/79
A61K36/815
A61K36/43
A23L33/105
A23F3/34
A61P43/00 121
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022532678
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 KR2020017457
(87)【国際公開番号】W WO2021235637
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0060272
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518410847
【氏名又は名称】ナム ジョン ヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジョン ヒョン
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102755607(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105596865(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパチエンス・アルグタ抽出物を有効成分として含み、ナツメ抽出物、五味子抽出物及び蜂蜜をさらに含む喘息改善用組成物。
【請求項2】
前記喘息は、咳、喀痰、呼吸困難、気道過敏性、気道閉鎖、粘液過分泌、呼気流速の減少及びガス交換の障害のうち少なくともいずれか一つを伴うことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記インパチエンス・アルグタ抽出物は、インパチエンス・アルグタの水抽出物、エタノール抽出物、又は、水とエタノールとの混合溶媒抽出物であり、
前記ナツメ抽出物は、ナツメの水抽出物、エタノール抽出物、又は、水とエタノールとの混合溶媒抽出物であり、
前記五味子抽出物は、五味子の水抽出物、エタノール抽出物、又は、水とエタノールとの混合溶媒抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
クソニンジン抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
第1抽出物としては、前記インパチエンス・アルグタ抽出物であり、第2抽出物としては、ダイコン、ナシ及びクソニンジンからなる群より選択された1種以上の抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1抽出物及び前記第2抽出物は、1:0.2~1.5の重量比で混合されることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
杞子、ハンノキ、兎糸子及び紅景天のうち少なくともいずれか一つの抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~請求項のうちいずれか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする、喘息改善用健康機能食品。
【請求項9】
前記健康機能食品が天然茶組成物であることを特徴とする、請求項に記載の健康機能食品。
【請求項10】
請求項1~請求項のうちいずれか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする、喘息善用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物に関し、また、これを含む機能性食品及び薬学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患は、肺及び気道と関連した疾患であって、主に免疫力の低下、炎症作用、細菌やウイルスの感染、微細ほこり又は喫煙などによる有害粒子の吸入及び老化などの原因により発生し得る。代表的な呼吸器疾患は、肺炎(pneumonia)、鼻炎、喘息(asthma)及び気管支炎(bronchitis)、結核(tuberculosis)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)などを含む。特に、最近、微細ほこりの増加及び喫煙などによる慢性閉塞性肺疾患患者が増加しているのが実情である。慢性閉塞性肺疾患は、肺気腫(emphysema)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)とも呼ばれる。
このような呼吸器疾患の治療剤は、主に、抗炎症作用や気道拡張効果をターゲットとして開発されている。抗炎症又は気道拡張効果を示す呼吸器疾患治療剤の例としては、糖質コルチコイドステロイド薬物(glucocorticoid steroid drug)、β2-アドレナリン受容体アゴニスト(beta2-adrenergic receptor agonist)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(leukotriene receptor antagonist)及びホスホジエステラーゼ-4阻害薬(phosphodiesterase-4 inhibitor、PDE4 inhibitor)などがある。しかし、このような既存の呼吸器疾患治療剤は、治療目的が乳児又は小児対象のアレルギー性喘息及び喫煙者対象の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に限定されていた。また、前記治療剤は、大部分症状の緩和のみを目的としており、呼吸器疾患の本質的な原因を除去して病気の進行を遅らせたり止めたりできないという限界があった。また、大多数の呼吸器疾患は、その原因と症状が複合的に現われるので、単一成分、単一治療機序を用いた従来の治療剤では適合した治療が不可能であるのが実情である。したがって、より多角的で且つ複合的に呼吸器疾患を予防及び治療するための新しい治療剤の開発が切実に要求されている。
特に、呼吸器疾患が発病する前に、摂取が容易で持続的に摂取することによって容易に予防することができ、副作用がない新しい物質の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、副作用がなく、摂取に拒否感がないため疾患が発病する前に容易に予防することができ、発病後にも持続的に摂取して疾患を改善又は治療することができる組成物を提供することである。
【0004】
本発明のまた他の目的は、容易に摂取可能で老若男女誰でも容易に摂取し、日常生活で便利に用いることができるので、疾患の発病前に容易に疾患を予防することができ、発病後にも持続的な摂取で疾患を改善させ得る健康機能食品を提供することである。
【0005】
本発明のまた他の目的は、副作用がなく、摂取に拒否感がないため疾患が発病する前に容易に予防することができ、発病後にも持続的に摂取して疾患を改善又は治療することができる薬学組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、本発明は、インパチエンス・アルグタ抽出物を有効成分とする呼吸器機能強化及び呼吸器疾患改善用組成物を提供する。
一実施例によると、前記呼吸器疾患は、咳、喀痰、呼吸困難、気道過敏性、気道閉鎖、粘液過分泌、呼気流速の減少及びガス交換の障害のうち少なくともいずれか一つを伴う肺疾患が好ましい。
【0007】
一実施例によると、前記呼吸器疾患は、喘息、COPD、びまん性間質性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群(aute respiratory distress syndrome、ARDS)又は急性肺損傷であることが好ましい。
【0008】
一実施例によると、前記抽出物は、水、エタノール又はこれらの混合溶媒の抽出物であることが好ましい。
一実施例によると、クソニンジン抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0009】
一実施例によると、第1原料としては、インパチエンス・アルグタ抽出物であり、第2原料としては、ダイコン、ナシ及びクソニンジンからなる群より選択された1種以上の抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0010】
一実施例によると、前記第1原料及び第2原料の抽出物は、1:0.2~1.5の重量比で混合されることが好ましい。
一実施例によると、ナツメ、五味子、拘杞子、ハンノキ、兎糸子及び紅景天のうち少なくともいずれか一つの抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0011】
一実施例によると、蜂蜜をさらに含むことが好ましい。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明による組成物を含む呼吸器疾患の予防又は改善用健康機能食品を提供する。
【0012】
一実施例によると、前記健康機能食品が天然茶組成物であることが好ましい。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明による組成物を含む呼吸器疾患の予防、改善又は治療用薬学的組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本発明の組成物は、喘息など呼吸器疾患患者の気管支平滑筋細胞の増殖を有意的に抑制することができるので、呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物として効果的である。
【0014】
また、天然物質を用いることによって副作用がなく、飲用が容易で持続的に飲用できるため、水を飲むように日常生活で飲用して呼吸器疾患を予防することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明は、インパチエンス・アルグタ抽出物を有効成分とする、呼吸器機能強化及び呼吸器疾患改善用組成物を提供する。
インパチエンス・アルグタ(Impatiens arguta)は、ツリフネソウ科(Balsaminaceae)に属し、インド、マレーシア、中国などに分布する一年草として、風習性関節炎などに効能がある。これらの茎、葉、種子及び花を用いることができる。
【0016】
一実施例によると、前記組成物は、咳、喀痰、呼吸困難、気道過敏性、気道閉鎖、粘液過分泌、呼気流速の減少及びガス交換の障害のうち少なくともいずれか一つを伴う肺疾患に有用である。
【0017】
一実施例によると、前記組成物は、喘息、COPD、びまん性間質性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群(aute respiratory distress syndrome、ARDS)又は急性肺損傷である呼吸器疾患に有用である。
【0018】
本明細書で「抽出物」とは、抽出対象である植物の茎、葉、実、花、根茎、これらの混合物などを水、炭素数1~4の低級アルコール(メタノール、エタノール、ブタノールなど)、塩化メチレン、エチレン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、メチレンスルホキシド(DMSO)、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合溶媒を用いて浸出して得た抽出物、二酸化炭素、ペンタンなど超臨界抽出溶媒を用いて得た抽出物又はその抽出物を分画して得た分画物を意味し、抽出方法は、活性物質の極性、抽出程度、保存程度を考慮して冷浸、還流、加温、超音波放射、超臨界抽出など任意の方法を適用することができる。分画された抽出物の場合、抽出物を特定の溶媒に懸濁した後、極性の異なる溶媒と混合・静置して得た分画物、前記粗抽出物をシリカゲルなどが充填されたカラムに吸着させた後、疎水性溶媒、親水性溶媒又はこれらの混合溶媒を移動相として得た分画物を含む意味である。また、前記抽出物の意味には、凍結乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥などの方式で抽出溶媒が除去された濃縮液相の抽出物又は固相の抽出物が含まれる。好ましくは、抽出溶媒として水、エタノール又はこれらの混合溶媒を用いて得た抽出物、より好ましくは、抽出溶媒として水とエタノールの混合溶媒を用いて得た抽出物を意味する。
【0019】
また、本明細書で「有効成分」とは、単独で目的とする活性を示すか、或いは、それ自体は活性がない担体とともに活性を示すことができる成分を意味する。
本発明で用語「呼吸器機能強化」は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支及び肺など呼吸器官の本来の機能を健康な状態で維持させるか、喫煙、微細ほこり、好中球ネトーシス活性化又はその他呼吸器疾患などによる症状により低下した呼吸器官の機能を本来の健康な状態に改善するすべての行為を意味する。
【0020】
また、本発明で前記「呼吸器疾患」は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支及び肺など個体の呼吸器官に発生する疾患を意味するものであって、具体的に、前記呼吸器疾患は、喫煙又は微細ほこりによる呼吸器疾患;又はネトーシス(Netosis)を伴う肺疾患を意味することができるが、これに特に制限されるものではない。より具体的に、前記呼吸器疾患は、喀痰、呼吸困難、気道過敏性、気道閉鎖、粘液過分泌、呼気流速の減少及び/又はガス交換の障害症状を伴う肺疾患を意味することができ、より具体的に、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管炎(tracheitis)、気管支炎(bronchitis)、びまん性間質性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群(aute respiratory distress syndrome、ARDS)、急性肺損傷、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)、細小気管支炎(bronchiolitis)、インフルエンザウイルス感染症(influenza virus infection)、肺炎(pneumonia)、結核(tuberculosis)及び輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury)で構成された群から選択される一つ以上を意味することができ、最も具体的には、喘息又はCOPDを意味することができる。一方、最近、好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular traps)のネトーシス(Netosis)活性化がCOPDを含めた慢性呼吸器疾患の発病機序に関与することが報告されている。
【0021】
本発明の組成物において、その有効成分は、抗炎症活性、抗アレルギー活性、喘息改善活性、COPD改善活性、その他肺疾患改善活性、呼吸器機能強化及び呼吸器疾患改善活性を示すことができる限り、その具体的な用途、剤形などによって任意の量(有効量)で含まれ得るが、通常的な有効量は、組成物の全体重量を基準とするとき、0.001重量%~20.0重量%の範囲内で決定される。ここで、「有効量」とは、その適用対象である哺乳動物、好ましくはヒトに、医療専門家などの提言による投与期間の間本発明の組成物が投与されるとき、抗炎症効果、抗アレルギー効果などの意図した機能的・薬理学的効果を示すことができる、本発明の組成物に含まれる有効成分の量をいう。このような有効量は、当業者の通常の能力範囲内で実験的に決定され得る。
【0022】
本発明の組成物が適用(処方)され得る対象は、哺乳動物及びヒトであり、特に、ヒトである場合が好ましい。
本発明の組成物は、有効成分以外に、抗炎症効果、抗アレルギー効果、喘息改善効果の上昇・補強のために、当業界で既に安全性が検証されて該当活性を有するものとして公知の任意の化合物や天然抽出物をさらに含むことができる。
【0023】
このような化合物又は抽出物には、各国の薬典(大韓民国では「大韓民国薬典」)、各国の健康機能食品公典(大韓民国では食薬処告示である「健康機能食品基準及び規格」である)などの公定書にまとめられている化合物又は抽出物、医薬品の製造・販売を規律する各国の法律(大韓民国では「薬事法」である)によって品目の許可を受けた化合物又は抽出物、健康機能食品の製造・販売を規律する各国の法律(大韓民国では「健康機能食品に関する法律」である)によって機能性が認められた化合物又は抽出物が含まれ得る。
【0024】
一実施例によると、前記抽出物は、水、エタノール又はこれらの混合溶媒の抽出物であることが好ましい。
一実施例によると、クソニンジン抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0025】
クソニンジンは、地上部で茎は円柱状で、上側から分枝しており、長さが30~80cm、直径が0.2~0.6cmである。表面は黄緑色乃至黄褐色であり、縦尾根がある。質は堅く、よく切断され、切断面の中には髓がある。葉は、互生で濃い緑色乃至濃黄緑色であり、割れやすい。完全なものは広げると、3回羽状に全裂し、裂片及び小裂片は円形又は長い楕円形であり、両面は短毛で覆われている。独特の香りがあり、味は多少苦い。解熱剤、止血剤、皮膚病治療剤でも利用され、その外に抗菌、抗ウイルス及び抗酸化作用なども知られており、最近には、乳癌細胞に対する抗癌効果が立証されている。
【0026】
インパチエンス・アルグタとクソニンジン抽出物は1:0.05~2.0の重量比で混合することが好ましい。
一実施例によると、第1原料としては、インパチエンス・アルグタ抽出物であり、第2原料としては、ダイコン、ナシ及びクソニンジンからなる群より選択された1種以上の抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0027】
一実施例によると、前記ダイコン抽出物は、ダイコンの粉砕物から液状成分をダイコン抽出物として回収する段階を経てダイコン抽出物を準備したものが好ましい。
一実施例によると、前記第1原料及び第2原料の抽出物は、1:0.2~1.5の重量比で混合されることが好ましい。
【0028】
一実施例によると、ナツメ、五味子、拘杞子、ハンノキ、兎糸子及び紅景天のうち少なくともいずれか一つの抽出物をさらに含むことが好ましい。
より好ましくは、前記抽出物は、乳酸菌発酵産物として用いられる。
【0029】
本発明で用いられる乳酸菌は、Lactobacillus casei、Lactobacillus acidophillus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus amylophillus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis、Bifidobacterium breve、Lactobacillus gasseriなどが用いられ得る。その中でもLactobacillus curvatusが好ましく、より好ましくは、ラクトバチルス・アミロフィラス(Lactobacillus amylophillus)、ビフィドバクテリウムブレーベ(Bifidobacterium breve)又はこれら2種の混合菌がより有利に用いられ得る。このように、本発明で用いられる乳酸菌は、全て通常的に容易に求められ得る広く知られた公知の菌または市販されている菌であるので、その乳酸菌の入手には何ら難しさがない。
【0030】
一実施例によると、蜂蜜をさら含むことが好ましい。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明による組成物を含む呼吸器疾患の予防又は改善用健康機能食品を提供する。
【0031】
一実施例によると、前記健康機能食品が天然茶組成物であることが好ましい。
本発明で用語「健康機能食品」とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状及び丸などの形態で製造及び加工した食品を言う。ここで「機能性」とは、人体の構造及び機能に対する栄養素の調節生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の健康機能食品は、当業界で通常的に用いられる方法によって製造可能であり、前記製造時には、当業界で通常的に添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記健康機能食品の剤形も健康機能食品として認められる剤形であれば、制限なしに製造され得る。本発明の食品組成物は、多様な形態の剤形で製造されることが可能であり、一般薬品とは異なり、食品を原料として薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れるため、本発明の健康機能食品は、喘息改善効果又はCOPD改善效果、ひいては呼吸器機能強化及び呼吸器疾患改善効果を増進させるための補助剤として摂取が可能である。
【0032】
本発明の食品組成物は、いずれの形態でも製造でき、例えば、茶、ジュース、炭酸飲料、イオン飲料などの飲料類、牛乳、ヨーグルトなどの加工乳類、ガム類、餠、韓菓、パン、お菓子、麺などの食品類、錠剤、カプセル、丸、顆粒、液状、粉末、片状、ペースト状、シロップ、ゲル、ゼリー、バーなどの健康機能食品製剤類などに製造され得る
【0033】
また、本発明の食品組成物は、法律上・機能上の区分において、製造・流通時点の施行法規に符合する限り、任意の製品区分を示すことができる。例えば、大韓民国の「健康機能食品に関する法律」に基づく健康機能食品であるか、大韓民国の「食品衛生法」の食品公典(食薬処告示の「食品の基準及び規格」)上の各食品の類型による菓子類、豆類、茶類、飲料類、特殊用途食品などであってもよい。
【0034】
本発明の食品組成物には、その有効成分以外に食品添加物が含まれ得る。食品添加物は、一般的に、食品を製造、加工又は保存する上で食品に添加されて混合されるかまたは浸潤される物質として理解され得るが、食品とともに毎日、そして長期間摂取するので、その安全性が保障されなければならない。食品の製造・流通を規律する各国の法律(大韓民国では「食品衛生法」である)による食品添加物公典には、安全性が保障された食品添加物が成分面で又は機能面で限定的に規定されている。大韓民国の食品添加物公典(食薬処告示の「食品添加物の基準及び規格」)では、食品添加物が成分面で化学的合成品、天然添加物及び混合製剤類に区分されて規定されているが、このような食品添加物は、機能面においては甘味剤、風味剤、保存剤、乳化剤、酸味剤、粘増剤などに区分される。
【0035】
甘味剤は、食品に適切な甘味を付与するために用いられるものであって、天然のものと合成されたもののいずれも用いることができる。好ましくは、天然甘味剤を用いる場合であるが、天然甘味剤としては、コーンシロップ固形物、蜂蜜、スクロース、フルクトース、ラクトース、マルトースなどの糖甘味剤が挙げられる。
【0036】
風味剤は、味や香りを良くする目的で用いられるものであって、天然のものと合成されたもののいずれも用いることができる。好ましくは、天然のものを用いる場合である。天然のものを用いる場合、風味以外に栄養強化の目的も並行することができる。天然風味剤としては、リンゴ、レモン、ミカン、ブドウ、イチゴ、モモなどから得られたものであるか、緑茶の葉、アマドコロ、竹の葉、桂皮、菊の葉、ジャスミンなどから得られたものであってもよい。また、高麗人参(紅参)、タケノコ、アロエベラ、ギンナンなどから得られたものを用いることができる。天然風味剤は、液相の濃縮液や固相の抽出物であってもよい。場合によって、合成風味剤が用いられ得るが、合成風味剤としては、エステル、アルコール、アルデヒド、テルペンなどが用いられ得る。
【0037】
保存剤としては、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などが用いられ得、また、乳化剤としては、アカシアガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ペクチンなどが用いられ得、酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸などが用いられ得る。酸味料は、味を増進させる目的以外に、微生物の増殖を抑制する目的で、食品組成物が適正な酸度となるように添加され得る。
【0038】
粘増剤としては、懸濁化具現剤、沈降剤、ゲル形成剤、膨化剤などが用いられ得る。
本発明の食品組成物は、上述したように、食品添加物以外に、機能性と栄養性を補充、補強する目的で、当業界における公知の、食品添加物としての安定性が保障された生理活性物質やミネラル類を含むことができる。
【0039】
そのような生理活性物質としては、緑茶などに含まれたカテキン類、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB12などのビタミン類、トコフェロール、ジベンゾイルチアミンなどが挙げられ、ミネラル類としては、クエン酸カルシウムなどのカルシウム製剤、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム製剤、クエン酸鉄などの鉄製剤、塩化クロム、ヨウ化カリウム、セレニウム、ゲルマニウム、バナジウム、亜鉛などが挙げられる。
【0040】
本発明の食品組成物には、上述したように、食品添加物が製品の類型に応じて、その添加目的を達成することができる適量で含まれ得る。
本発明の食品組成物に含まれ得るその他の食品添加物に関連しては、各国の食品公典や食品添加物公典を参照することができる。
【0041】
本発明の組成物は、他の具体的な様態においては、薬剤学的組成物として把握され得る。
本発明の薬剤学的組成物は、有効成分以外に、薬剤学的に許容される担体を含むことで、当業界で公知の通常の方法で投与経路に応じて経口用剤形又は非経口用剤形に製造され得る。ここで、投与経路は、局所経路、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路及び粘膜組織を通じた直接吸収を含む任意の適切な経路であってもよく、二つ以上の経路を組み合わせて用いてもよい。二つ以上経路の組み合わせの例は、投与経路による二つ以上の剤形の薬物が組み合わされた場合であって、例えば、1次でいずれか一つの薬物は静脈内経路で投与し、2次で他の薬物は局所経路で投与する場合である。
【0042】
薬学的に許容される担体は、投与経路や剤形に応じて当業界で周知されており、具体的には、「大韓民国薬典」及び各国の薬典を参照することができる。
本発明の薬剤学的組成物が経口剤形に製造される場合、適合した担体とともに、当業界で公知の方法によって、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウエハーなどの剤形に製造され得る。このとき、適合する担体の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖類、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉などの澱粉類、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、麦芽、ゼラチン、タルク、ポリオール、植物性油、エタノール、グリセロ-ルなどが挙げられる。製剤化する場合、必要に応じて、適切な結合剤、滑剤、崩壊剤、着色剤、希釈剤などを含ませ得る。適切な結合剤としては、澱粉、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉糊、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、グルコース、トウモロコシ甘味剤、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられ、滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、タルク、ステアリン酸、それのマグネシウム塩とカルシウム塩、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、崩壊剤としては、澱粉、メチルセルロース、寒天(agar)、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸又はそれのナトリウム塩などが挙げられる。また、希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシンなどが挙げられる。
【0043】
本発明の薬剤学的組成物が非経口用製剤に製造される場合、適合した担体とともに、当業界で公知の方法によって、注射剤、経皮投与剤、鼻腔吸入剤及び坐剤の形態に製剤化され得る。注射剤に製剤化する場合、適合した担体としては、水性等張溶液又は懸濁液を用いることができ、具体的には、トリエタノールアミンが含有されたPBS(phosphate buffered saline)や注射用滅菌水、5%デキストロースのような等張溶液などを用いることができる。経皮投与剤に製剤化する場合、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、パスタ剤、リニメント剤、エアロゾール剤などの形態に剤形化することができる。鼻腔吸入剤の場合、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素などの適合した推進剤を用いてエアロゾールスプレー形態で製剤化することができ、坐剤に製剤化する場合、その担体としては、ウィテップゾール(witepsol)、ツイン(tween)61、ポリエチレングリコール類、カカオ脂、ラウリン脂、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ポリオキシエチレン類、ソルビタン脂肪酸エステル類などを用いることができる。
薬剤学的組成物の具体的な製剤化に関連しては、当業界で公知であり、例えば、文献[Remington'sPharmaceutical Sciences(19th ed.、1995)]などを参照することができる。前記文献は、本明細書の一部として見なされる。
本発明の薬剤学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態、体重、性別、年齢、患者の重症度、投与経路に応じて、1日0.001mg/kg~10g/kgの範囲、好ましくは、0.001mg/kg~1g/kgの範囲であってもよい。投与は、1日1回又は数回に分けて行われ得る。このような投与量は、いずれの側面においても本発明の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
【0044】
<発明の実施のための形態>
以下、本発明を実施例及び実験例を参照して説明する。しかし、本発明の範囲はこのような実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0045】
<製造例1:試料準備>
インパチエンス・アルグタ(抽出部位:葉)の抽出物を製造して肺疾患の改善活性を確認した。抽出物は、インパチエンス・アルグタの葉の乾燥粉末に10倍重量の70%エタノールを加え、50℃で6時間ずつ2回繰り返し抽出して濾過した後、減圧濃縮及び凍結乾燥して粉末相として得た。
【0046】
クソニンジンは、インパチエンス・アルグタ抽出物と同一の方法で製造して粉末相として得た。
ダイコンとナシ抽出物は、ミキサーで粉砕し3Mフィルターで濾過し、液相抽出物と固相成分を分離した。液相成分を120℃で1.5気圧で15分間加圧滅菌して常温で冷却し、pH6.2~6.6で滴定して4℃で保管した。
ナツメ、五味子、拘杞子、ハンノキ、兎糸子及び紅景天の抽出物をインパチエンス・アルグタの葉と同一の方法にして粉末相をそれぞれ得た。
蜂蜜は、市中で販売する智異山天然蜂蜜(智異山モヒャンゴル農場)を用いた。
【0047】
<実施例>
前記抽出物を用い、下記表1のように組成物を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
<実験例>肺疾患改善活性
<実験例1:5-リポキシゲナーゼ抑制作用>
前記実施例1~3及び比較例1及び2によって製造された組成物について、喘息主要発病機序であるロイコトリエン生成酵素に対する活性抑制力を評価するために、細胞を用いて次の方法実施し、その結果は、表2に示した通りである。
【0050】
このために、ラット好塩基球性白血病細胞(Rat basophilic leukemia cell、RBL-1)を血清が含まれないRPMI培地を用いて37℃で安定化させた後、抽出物を入れ、基質としてアラキドン酸(arachidonic acid)を入れ、15分間ロイコトリエンを生成させた。生成されたロイコトリエン量は、システイニルロイコトリエンEIAキット(cysteinyl leuk otriene EIA kit)を用いて測定した。陽性対照群としては、5-リポキシゲナーゼの阻害剤であるジロイトン(zileuton)とモンテルカスト(montelukast)を用いた。
【0051】
【表2】
前記表2から分かるように、本発明による組成物が比較例に比べて5-リポキシゲナーゼの抑制効果に優れている。
【0052】
<実験例2:気管支収縮抑制試験(in vitro)>
前記実施例及び比較例の組成物に対して気管支収縮抑制活性を評価するために、摘出気管支を用いて次の方法(Nature、1977、270、256-257;Jpn.J.Pharmacol.、1996、72、1-8;Kor.J.Pharmacogn.、1999、30[4]、377~383)実施し、濃度別気管支収縮抑制率(%)を表3に示した。
【0053】
このために、ハートレー(Hartely)系雄モルモット(400~500g、BGI、大韓民国内)を抗オボアルブミン抗血清(anti-ovalbumin anti-serum)を2ml/kgの体積で静脈注射して感作した。感作48時間後、モルモットを失血致死させた後に気管支を摘出した。その後、タイロイド(tyrode)液状で気管支に付いている他の組織を除去した後、軟骨が2~3個が含まれるようにリング状に切開した。切開後には、気管支の筋肉を保存しながらリングの軟骨部分を切開し、両側に糸を連結した後、オルガン浴槽(organ bath)にサスペンション(suspension)し、一定時間の安定化後にカルバコール(carbachol)10μg/mlを入れて最大収縮を誘発し、タイロイド(tyrode)液で気管支を洗浄して安定化させた。その後、インドメタシン(indomethacin)5μMを入れて1分後に抽出物を入れ、5分後には、オボアルブミン(ovalbumin)20μg/mlを入れて収縮を誘発した。収縮率(%)は、カルバコールとオボアルブミンによる収縮を比較して計算した。気管支の収縮弛緩は、フォーストランスデューサ(force transducer、WPI)と連結された生理活性測定器(powerlab 8/30、ADInstument)を用いて測定した。
【0054】
【表3】
【0055】
表3から分かるように、実施例による組成物が比較例に比べて優れた気管支収縮抑制活性があることが分かる。
<実験例3:気管支炎症抑制試験>
実施例及び比較例の組成物がマウス喘息モデルにおいて肺気管支炎症抑制効果があるかを確認するために、感作されたマウスに抗原を露出させて誘発される肺気管支の白血球増加反応を確認(Pharmacological Research、2010、61、288-297;Biochemical Pharmacology 2010、79、888-896)し、その結果は、表4に示した通りである。
【0056】
このために、BALB/c系雌マウス(6.5週齢、SLC、日本)に10μgのオボアルブミン(Ovalbumin、OVA、sigma)とミョウバン(Alum、Pierce)1:1:混合液0.2mlを0、7及び14日に腹腔内投与して感作させた。最終感作8日後と10日後に、1.0%オボアルブミンを高圧の圧縮空気を用いてエアロゾールとし50分間噴霧して気道炎症を誘発した。陽性対照薬物としては、ロリプラム(rolipram、sigma)10mg/kgを用い、陽性対照薬物及び試験物質の投与は、感作後21日から23日まで午前午後一日二回にかけて経口投与した。Challengeがある日の午前投与は、challengeの1時間前に実施した。最後の炎症誘発24時間後に、酸緩衝液(pH7.2)1.5mlを用いて肺気管支を洗浄して洗浄液を集めた。洗浄液中の白血球細胞数は、血液分析器(Hematology analyzer、Drew Scientific Inc.、HEMAVET HV950FS、M-950HV)を用いて分別計数した。これに対する結果は、陰性対照群(1% CMC[carboxymethyl cellulose]投与群)の白血球細胞数程度を基準として抑制率(%)を計算し、下記表4に示した。
【0057】
【表4】
前記表4から分かるように、実施例による組成物が感作されたマウスに抗原を露出させたときに、誘発される肺気管支の白血球増加が用量依存的に抑制されることが確認できた。
【0058】
<実験例4:毒性実験>
4-1.急性毒性
本発明の実施例1の抽出物をICRマウスに単回経口投与したときに現われる毒性を調べるために実施した。前記抽出物を1,000、2,000及び4,000mg/kgの用量で、群当たり10匹(雄雌各5匹)に単回投与した後、死亡率、一般症状、体重及び剖検所見を観察して賦形剤対照群と比較した。
【0059】
その結果は、次の通りである。試験期間中に死亡した動物は観察されず、体重変化観察結果、試験物質投与と関連した体重変化の異常は観察されなかった。剖検所見の観察結果においても異常所見は観察されなかった。
以上の結果から、本発明の実施例1の抽出物は、ICRマウスに単回経口投与したとき、最小致死量(MLD:Minimum Lethal Dose)は、雄雌のいずれも4,000mg/kgを上回ると判断されて安全な物質であることが分かった。
【0060】
4-2.繰り返し投与の毒性試験
本発明の実施例1の抽出物を2週間繰り返し経口投与による概略的な毒性を調べるために実施した。ICRマウスに試験物質1,000及び2,000mg/kg/dayの用量を投与する試験群を設定し、賦形剤のみを投与する賦形剤対照群を設定した。動物数は、各群当たり雄雌各5匹とした。試験項目としては、死亡率、一般症状、体重変化、飼料及び水摂取量、尿検査、血液学及び血液生化学検査、剖検所見、臓器重量及び組織病理学的所見を観察した。
【0061】
試験結果は次の通りである。試験期間の間に試験物質の毒性と関連した死亡動物は観察されず、試験物質の投与と関連した一般症状の変化も観察されなかった。体重変化の観察結果、試験物質の投与による有意な変化は観察されず、飼料摂取量と水摂取量の観察結果、試験物質の投与による有意な変化は観察されなかった。検査結果、本試験物質の投与と関連した毒性学的異常所見は観察されず、血液学及び血液生化学検査結果、本試験物質の投与と関連した毒性学的異常所見は観察されなかった。臓器重量及び肉眼的な剖検所見観察結果、本試験物質の投与と関連した肉眼的異常所見は観察されず、組織病理学的観察結果、本試験物質の投与と関連した毒性学的異常所見は観察されなかった。
【0062】
以上の結果から、本発明の実施例1の抽出物は、ICRマウスに対する2週間の繰り返し経口投与試験結果、無毒性量(NOAEL)は、雄雌のいずれも2,000mg/kg/dayと判断されて安全な物質であることが確認できた。
<製剤例1:錠剤の製造>
実施例1の抽出物 ..................................... 200mg
トウモロコシ澱粉 ........................................50mg
セルラクトース .........................................100mg
クロスポビドン .......................................... 20mg
軽質無水ケイ酸 ........................................... 5mg
乳糖 ................................................... 70mg
ステアリン酸マグネシウム .................................. 5mg
前記成分を混合した後、通常の精製の製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0063】
<製剤例2:注射剤の製造>
実施例1の抽出物 ...................................... 50mg
マンニトール ............................................100mg
注射用滅菌蒸溜水 .................................... 3500ml
Na2HPO4、12H2O ............................... 20mg
pH調節剤 .............................................. 適量
通常の注射剤製造方法によって活性物質及び残り成分の全体を注射用滅菌蒸溜水に溶解し、pHを約7.5に調節した後、注射用蒸溜水で2ml用量のアンプルに充填して滅菌させて注射剤を製造した。
【0064】
<製剤例3:健康食品の製造>
実施例1の抽出物 ...................................... 500mg
ビタミン混合物 .......................................... 適量
ビタミンAアセテート .................................... 70μg
ビタミンE ............................................. 1.0mg
ビタミンB1 .......................................... 0.13mg
ビタミンB2 ............................................. 0.15mg
ビタミンB6 ............................................. 0.5mg
ビタミンB12 ............................................ 0.2μg
ビタミンC ............................................... 10mg
ビオチン ................................................. 10μg
ニコチン酸アミド ........................................ 1.7mg
葉酸 ................................................... 50μg
パントテン酸カルシウム .................................. 0.5mg
無機質混合物 ............................................. 適量
硫酸第1鉄 ............................................. 1.75mg
酸化亜鉛 .............................................. 0.82mg
炭酸マグネシウム ........................................ 25.3mg
第1リン酸カリウム ......................................... 15mg
第2リン酸カルシウム ........................................ 55mg
クエン酸カリウム ............................................ 90mg
炭酸カルシウム .............................................. 100mg
塩化マグネシウム ......................................... 24.8mg
前記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適合した成分を好ましい実施例で混合組成したが、その配合比を任意に変形実施してもよく、通常の健康食品の製造方法によって上記の成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法によって健康食品組成物製造に用いることができる。