(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構
(51)【国際特許分類】
F01L 7/02 20060101AFI20230925BHJP
F02B 75/02 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
F01L7/02 C ZAB
F02B75/02 A
(21)【出願番号】P 2023540832
(86)(22)【出願日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2023015914
【審査請求日】2023-07-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518159348
【氏名又は名称】松下 富士登
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【氏名又は名称】佐藤 博正
(72)【発明者】
【氏名】松下 富士登
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-023883(JP,A)
【文献】特開平11-082081(JP,A)
【文献】米国特許第5706775(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 7/00 ~ 7/18
F02B 75/00 ~ 75/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンのピストン冠面と対向する面に開口しているか、若しくはシリンダの内面に開口している第1の開口部、前記第1の開口部が開口している面に対向する面側に開口している第2の開口部、および前記第2の開口部が開口している面側に開口している第3の開口部が形成されているかまたは形成するシリンダヘッドまたは/およびシリンダブロックと、
前記第1の開口部を閉じるか、または前記第1の開口部を前記第2の開口部若しくは前記第3の開口部のいずれか一方に連通させる弁と
を備えるレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項2】
請求項1に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部が開口している面に対向する面に開口している第1のポートに連通し、
前記第3の開口部は、前記第1の開口部が開口している面に対向する面に開口している第2のポートに連通している
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項3】
請求項2に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記第2のポートは、前記第1のポートに連通することなく、独立して形成されている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項4】
請求項1に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁は、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第1の工程において、前記第1の開口部を閉じ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第2の工程において、前記第1の開口部を前記第2の開口部に連通させ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第3の工程において、前記第1の開口部を前記第3の開口部に連通させる
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項5】
請求項1に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁は、クランクシャフトの回転数に対して3分の1の回転数で、前記クランクシャフトの回転に同期して回転させられ、角度位置により、前記第1の開口部を閉じるか、または前記第1の開口部を前記第2の開口部若しくは前記第3の開口部のいずれか一方に連通させる
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項6】
請求項5に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁は、前記クランクシャフトの回転軸に平行の軸を中心に回転させられる
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項7】
請求項5に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部は、前記弁が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項8】
請求項7に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁が回転する軸の中心と、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部は、形成されている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項9】
請求項8に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁が回転する軸の中心と、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、前記第1の開口部、前記第2の開口部および前記第3の開口部は、形成されている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項10】
請求項5に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記弁は、底面が円形である円柱状に形成され、
前記弁には、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通させるか、または前記第1の開口部と前記第3の開口部とを連通させる流路が形成されている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項11】
請求項10に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記流路は、円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項12】
請求項10に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
前記流路は、円柱状の側面に形成されている凹部である
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項13】
請求項1に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
排気側に設けられている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【請求項14】
請求項1に記載のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構において、
吸気側に設けられている
レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なレシプロ式内燃機関の吸気・排気装置は、その内燃機関のシリンダヘッドに設けられた1つまたは複数の吸気・排気バルブにより構成される。一般に、レシプロ式内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブには、ポペットバルブが採用されている。ポペットバルブは、日本産業規格において、弁体が弁座シート面から直角方向に移動する形式のバルブと定義されている。それらのバルブは、その内燃機関のクランクシャフトとチェーン、タイミングベルトまたはギヤを介して連結されたカムシャフトに取り付けられたカムにより動作させられる。排気バルブは、回転するエキゾーストカムシャフトに設けられているエキゾーストカムにより押圧されて排気ポート間を復動して開閉させられる。排気バルブは、1つの燃焼室について、1つまたは複数設けられている。また、吸気バルブも同様に1つの燃焼室について、1つまたは複数設けられている。吸気バルブは、その内燃機関のクランクシャフトとチェーン、タイミングベルトまたはギヤを介して連結されたカムシャフトに取り付けられたカムにより動作される。吸気バルブは、回転するインテークカムシャフトに設けられているインテークカムにより押圧されて吸気ポート間を復動して開閉させられる。
【0003】
また、一般的に化石燃料を燃料とする6サイクル(6ストローク(6ストローク1サイクル))のレシプロ式内燃機関において、吸排気バルブは、各行程に応じ開弁、閉弁させられる。吸気行程では吸気バルブのみがインテークカムにより開かれ、各気筒の燃焼室に吸気系統から混合気または空気が吸気される。空気のみが吸気された場合は内部混合方式で燃料が噴射される。圧縮行程では吸気バルブおよび排気バルブが閉じられ、各気筒の燃焼室で混合気または空気が圧縮され、燃料が噴射される。爆発行程では各気筒の燃焼室で圧縮された混合気に点火プラグにより着火されるか、または混合気が自然発火して、爆発し燃焼ガスとなりピストンを押し下げることで、クランクシャフトに回転力が発生する。排気行程では排気バルブのみがエキゾーストカムにより開かれ、燃焼ガスが燃焼室から排気系統に排気される。サイクル5では、吸気バルブのみがインテークカムにより開かれ、クランクシャフト回転力によりピストンが押し下げられ、各気筒の燃焼室に掃気吸気系統から空気のみが吸気され、掃気吸入工程終了後、サイクル6でクランクシャフト回転力によりピストンが押し上げられることで、掃気排気バルブより掃気排気が行われる。
【0004】
また、現在研究が進められている水素の混合ガスまたは水素と化石燃料の混合ガスを燃料とする内燃機関は4サイクルのレシプロ式内燃機関で有り、通常の化石燃料を燃焼させる4サイクルエンジンと同様に、吸気バルブより水素の混合気若しくは水素と化石燃料の混合気が吸気されるか、または空気のみが吸気されて内部混合方式で燃料が噴射され、運転される。
【0005】
水素を燃料とする4サイクル内燃機関においては高出力を得るためには、より多くの燃料をエンジンに投入する必要が有り、燃焼圧および燃焼温度が高くなり、シリンダ内部に700℃を超えるホットポイントが発生する。水素エンジンにおいてホットポイントが発生すると、過早着火とバックファイアなどの異常燃焼が生じる。その結果、エンジンの正常運転が妨げられる。水素エンジンにおける異常燃焼は、実用化に対して、解決せねばならぬ現象である。これらの異常燃焼は、燃焼室壁温および残留ガスの温度の高い空気過剰率λ=1付近で特に起こり易い。水素を燃料とする4サイクル内燃機関の異常燃焼の原因は、燃焼室壁、特にプラグの電極部、排気弁、燃焼室壁面に付着する燃焼生成物などのホットスポットに起因することが多い。
【0006】
その構造からバックファイアおよび過早着火に象徴される異常燃焼が起こりにくい、内部混合方式圧縮行程後期噴射運転が、高出力を得られることからも理想的な運転方法であるとされている。しかしながら、この技術を実用化するためには吐出圧10MPa以上の液体水素高圧ポンプ、高応答高圧水素噴射弁およびNOx低減策の開発が必要であり、そのハードルは極めて高いと言える。
【0007】
例えば、バルブ本体と、概本体に設けられてなり燃焼室と吸気又は排気通路とを連通接続するポートとから構成されたロータリーバルブを吸排気通路の各々のバルブ収納部にスリーブを介して回転可能に設けてなるロータリーバルブ装置において、上記バルブ本体およびスリーブがセラミック材にて形成された内燃機関のロータリーバルブ装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、一般的な化石燃料を燃焼させる6サイクルのレシプロ式内燃機関では熱効率の向上は大幅に達成された。しかし、従来の6サイクルのレシプロ式内燃機関では、燃焼ガスの排気と掃気の排気が同一の排気ポートよりエキゾーストマニホールドを介して排気されて、三元触媒などの自動車排出ガス浄化用触媒が設けられている触媒コンバーターに送り込まれる。触媒コンバーターでは、有害な排気ガスである、一酸化炭素(CO2)、単価水素(HC)、窒素炭化物(NOx)等が無害ガス(CO2,H2O,N2)に分解後処理されて、大気中に放出される。
【0010】
しかしながら、同一の排気ポートから掃気工程よりの掃気排気が排気されるので、排気された燃焼ガス中に、掃気工程よりの掃気排気が混入することになる。掃気排気に含まれる酸素は、触媒コンバーターの機能を著しく阻害する。酸素が含まれる排気を無害ガスに分解することが不可能であり、この点が6サイクルレシプロ式内燃機関の一般的利用の妨げとなっている。
【0011】
そこで、化石燃料を燃焼させる6サイクルのレシプロ式内燃機関においては、排気工程より排気された燃焼ガスの排気と、掃気工程より排気された掃気排気とを分けて処理することが好ましい。
【0012】
一方、水素を燃焼させるレシプロ式内燃機関において、水素と空気を予め混合したガスを吸気する予混合ガス吸気方式を採用する場合、その特性よりバックファイアおよび過早着火などの異常燃焼を回避するため理論空燃比を希薄燃焼としたとき、エンジン自体の高出力が得られない。また、水素を燃焼させるレシプロ式内燃機関において、水素と空気を予め混合したガスを吸気する予混合ガス吸気方式を採用して、混合ガスを理論空燃比に近づけると、窒素酸化物が多く発生すると同時に、燃焼室内が高温となり、異常燃焼が発生しやすくなり、正常な運転が阻害される。
【0013】
この場合、水素を燃焼させるレシプロ式内燃機関においても、6サイクルのレシプロ式内燃機関として、排気工程より排気された燃焼ガスの排気と、掃気工程より排気された掃気排気とを分けて処理することが好ましい。また、水素を燃焼させるレシプロ式内燃機関において、6サイクルのレシプロ式内燃機関として、水素と空気を予め混合したガスまたは掃気排気を吸気に戻すなど、温度の異なる気体を吸気することで、燃焼室壁、プラグの電極部、排気弁、燃焼室壁面に付着する燃焼生成物などの温度を適正に保つことができる。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程において、2つの吸気経路から順に吸気できるようにするか、または2つの排気経路に順に排気できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構は、ピストンのピストン冠面と対向する面に開口しているか、若しくはシリンダの内面に開口している第1の開口部、第1の開口部が開口している面に対向する面側に開口している第2の開口部、および第2の開口部が開口している面側に開口している第3の開口部が形成されているかまたは形成するシリンダヘッドまたは/およびシリンダブロックと、第1の開口部を閉じるか、または第1の開口部を第2の開口部若しくは第3の開口部のいずれか一方に連通させる弁とを備える。
【0016】
第2の開口部を、第1の開口部が開口している面に対向する面に開口している第1のポートに連通させ、第3の開口部を、第1の開口部が開口している面に対向する面に開口している第2のポートに連通させることができる。
【0017】
第2のポートを、第1のポートに連通することなく、独立して形成することができる。
【0018】
弁には、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第1の工程において、第1の開口部を閉じ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第2の工程において、第1の開口部を第2の開口部に連通させ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第3の工程において、第1の開口部を第3の開口部に連通させることができる。
【0019】
弁は、クランクシャフトの回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフトの回転に同期して回転させられ、角度位置により、第1の開口部を閉じるか、または第1の開口部を第2の開口部若しくは第3の開口部のいずれか一方に連通させるようにすることができる。
【0020】
弁は、クランクシャフトの回転軸に平行の軸を中心に回転させられるようにすることができる。
【0021】
第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部は、弁が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成することができる。
【0022】
弁が回転する軸の中心と、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部を、形成することができる。
【0023】
弁が回転する軸の中心と、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部を、形成することができる。
【0024】
弁を、底面が円形である円柱状に形成し、弁には、第1の開口部と第2の開口部とを連通させるか、または第1の開口部と第3の開口部とを連通させる流路を形成することができる。
【0025】
流路を、円柱状の側面の所定の2点を連通する孔とすることができる。
【0026】
流路を、円柱状の側面に形成されている凹部とすることができる。
【0027】
本発明の一側面のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構を、排気側に設けることができる。
【0028】
本発明の一側面のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構を、吸気側に設けることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程において、2つの吸気経路から順に吸気できるようにするか、または2つの排気経路に順に排気できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】レシプロ式内燃機関11の構成の例を示す断面図である。
【
図2】バルブ46の形状の詳細を説明する斜視図である。
【
図3】バルブ46の形状の詳細を説明する正面図である。
【
図4】吸気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図5】圧縮行程を開始するときのレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図6】圧縮行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図7】圧縮行程を終了して、点火プラグ29で混合気に点火するときのレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図8】燃焼膨張行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図9】燃焼膨張行程を終了し、排気行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図10】排気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図11】排気行程を終了し、掃気吸入行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図12】掃気吸入行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図13】掃気吸入行程を終了し、掃気排気行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図14】掃気排気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。
【
図15】レシプロ式内燃機関101の構成の他の例を示す断面図である。
【
図16】バルブ146の形状の詳細を説明する斜視図である。
【
図17】バルブ146の形状の詳細を説明する正面図である。
【
図18】レシプロ式内燃機関201の構成のさらに他の例を示す断面図である。
【
図19】レシプロ式内燃機関201の構成のさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0032】
本発明の一側面のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構は、ピストンのピストン冠面と対向する面に開口しているか、若しくはシリンダの内面に開口している第1の開口部(例えば、
図1の開口部41)、第1の開口部が開口している面に対向する面側に開口している第2の開口部(例えば、
図1の開口部42)、および第2の開口部が開口している面側に開口している第3の開口部(例えば、
図1の開口部43)が形成されているかまたは形成するシリンダヘッド(例えば、
図1のシリンダヘッド21)または/およびシリンダブロックと、第1の開口部を閉じるか、または第1の開口部を第2の開口部若しくは第3の開口部のいずれか一方に連通させる弁(例えば、
図1のバルブ46)とを備える。
【0033】
まず、本発明の一実施の形態の概要について説明する。
【0034】
化石燃料を燃焼させるレシプロ式6サイクル内燃機関に本発明を適用する場合、シリンダヘッドまたはシリンダブロックには燃焼ガスを排気する排気口と、掃気吸気した外気を掃気排気に分離して排気可能な排気口とが別々に設置されており、燃焼ガスは燃焼ガス排気マニホールドを介し触媒コンバーターに送り込まれ有害な排気ガス処理後大気に放出され、掃気吸気した外気はそのまま、掃気排気マニホールドを介し、大気中に放出される。
【0035】
化石燃料を燃焼させるレシプロ式6サイクル内燃機関では、交互に連通条件を設定可能な分配排気バルブとされ、例えば、排気分配バルブは、シリンダ内のピストンの交互移動の運動に同調・調整制御される様にピストンと連結されたクランクシャフトより回転力を伝えられる構造とされる。または、例えば、化石燃料を燃焼させるレシプロ式6サイクル内燃機関の排気分配バルブは、電動機、磁界発生装置による反発・吸引、圧電素子による電気・機械的動作、流体等を原動力とする回転装置など物性の移動、及び回転を促す手段を持って、移動・回転すると同時に、同期・制御される構造とされる。
【0036】
ここで、化石燃料とは、石炭、石油、天然ガス、メタンハイドレート、シェールガスなどから製造または生成された、ガソリン、軽油、重油(燃料油)、液化石油ガスなどのガス燃料などをいう。
【0037】
化石燃料を燃焼させるレシプロ式6サイクル内燃機関において、シリンダヘッドまたはシリンダブロックに円筒型回転式バルブが装置され、シリンダヘッドまたはシリンダブロックに形成された排気ポートがこの分配排気バルブにより2つの異なった、燃焼ガス排気マニホールドと掃気排気マニホールドのそれぞれの開口部と対向する位置に排気口が形成された円筒型回転式バルブが回転自在に支持され、2つの異なったマニホールドに対し分岐バルブの排気口との連通を交互に行ない、交互に排気される。
【0038】
水素を燃料とするレシプロ式6サイクル内燃機関に本発明を適用する場合、シリンダヘッドまたはシリンダブロックには予混合ガスを吸気する吸気口と、掃気吸気用の外気空気を吸気する分離した吸気口とが別々に設置されており、予混合ガスは予混合ガスマニホールドを介し外気ガスを吸気し、掃気吸気は掃気吸気ガスマニホールドを介し外気ガス吸気する。水素を燃料とするレシプロ式6サイクル内燃機関では、交互に連通条件を設定可能な分配吸気バルブとされ、例えば、吸気分配バルブはシリンダ内のピストンの交互移動の運動に同調・調整制御される様にピストンと連結されたクランクシャフトより回転力を伝えられる構造とされる。または、例えば、水素を燃料とするレシプロ式6サイクル内燃機関の分配吸気バルブは、電動機、磁界発生装置による反発・吸引、圧電素子による電気・機械的動作、流体等を原動力とする回転装置など物性の移動、及び回転を促す手段を持って、移動・回転すると同時に、同期・制御される構造とされる。
【0039】
水素を燃焼させるレシプロ式6サイクル内燃機関において、シリンダヘッドまたはシリンダブロックに円筒型回転式バルブが装置され、シリンダヘッドまたはシリンダブロックに形成された排気ポートがこの分配吸気バルブにより2つの異なった、予混合ガス吸気マニホールドと掃気吸気マニホールドのそれぞれの開口部と対向する位置に吸気口が形成された円筒型回転式バルブが回転自在に支持され、2つの異なったマニホールドにより、バルブの吸気との連通を交互に行ない、交互に吸気される。
【0040】
以下、
図1乃至
図19を参照して、本発明の実施の形態のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構について説明する。
【0041】
まず、
図1を参照して、一実施の形態のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構の構造の例について説明する。
【0042】
図1は、レシプロ式内燃機関11の構成の例を示す断面図である。レシプロ式内燃機関11は、ガソリンである燃料を燃焼して動力を出力するか、または水素である燃料を燃焼して動力を出力する。レシプロ式内燃機関11は、6ストローク(6サイクル)で、燃料であるガソリンまたは水素を燃焼して動力を出力する。
【0043】
なお、以下、レシプロ式内燃機関11のクランクシャフトの軸方向をX軸で図示し、上下の方向をZ軸で図示し、左右の方向をY軸で図示する。また、以下、Y軸方向のうち、
図1中の左側を単に左側と称し、Y軸方向のうち、
図1中の右側を単に右側と称する。さらに、以下、X軸方向のうち、
図1中の手前側を単に前側と称し、X軸方向のうち、
図1中の奥側を単に後側と称する。さらにまた、以下、Z軸方向のうち、
図1中の上側を単に上側と称し、Z軸方向のうち、
図1中の下側を単に下側と称する。なお、左側がY軸の正の方向であり、後側がX軸の正の方向であり、上側がZ軸の正の方向である。また、Z軸方向を、単に上下方向とも称し、X軸およびY軸に平行な面に沿う方向を単に水平方向または横方向とも称する。以下の図においても同様である。
【0044】
なお、レシプロ式内燃機関11において、クランクシャフトに対するシリンダヘッドの位置は、いずれであっても良く、直立に限らず、いわゆる、水平または傾斜、倒立など任意とすることができる。また、レシプロ式内燃機関11は、いわゆる単気筒に限らず、並列、直列、V型または水平対向型など複数気筒とすることができる。以下、クランクシャフトに対してシリンダヘッドが上側に配置されている場合のレシプロ式内燃機関11の1つの気筒を例に説明する。以下の例で説明するレシプロ式内燃機関11のクランクシャフトは、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0045】
レシプロ式内燃機関11は、シリンダヘッド21、シリンダブロック22、ピストン23、コネクティングロッド24、クランクシャフト25、ピストンピン26、クランクピン27、クランクケース28および点火プラグ29を含み構成される。シリンダヘッド21は、シリンダブロック22に固定され、シリンダブロック22およびピストン23と共に閉じた空間を形成する。シリンダヘッド21、シリンダブロック22およびピストン23で閉じられた空間内では、燃料が燃焼させられる。
【0046】
シリンダブロック22には、円筒状の空洞であるシリンダ31が形成されている。シリンダブロック22は、シリンダ31内に往復するピストン23を支えて、水素またはガソリンの混合気が燃焼して生じる燃焼ガスを閉じ込めて、燃焼ガスが膨張することで生じる力をピストン23のヘッド(後述するピストン冠面33)に伝達させる。ピストン23は、シリンダ31を、シリンダブロック22と共に密封する。すなわち、シリンダヘッド21の面のうち、ピストン23のピストン冠面と対向する面(後述するシリンダヘッド燃焼室面32)は、ピストン23のピストン冠面およびシリンダ31の内面とで燃焼室を形成する。
【0047】
ピストン23は、燃焼ガスが膨張することで生じた力をピストン23のピストン冠面で受けて、コネクティングロッド24を介して、クランクシャフト25に伝達する。クランクシャフト25は、クランク機構により駆動される軸である。すなわち、クランクシャフト25は、ピストン23の直線状の運動を回転運動に変換する。コネクティングロッド24は、ピストン23とクランクシャフト25とを接続する。コネクティングロッド24のピストン23側は、ピストンピン26により、ピストン23と接続される。ピストンピン26は、中空の円筒状に形成されている。コネクティングロッド24のクランクシャフト25側は、クランクシャフト25のクランクピン27により、クランクシャフト25と接続される。
【0048】
クランクケース28は、クランクシャフト25を回転自在に軸支する。すなわち、クランクケース28は、シリンダブロック22を支える共に、軸受を介して、クランクシャフト25のクランクジャーナルを保持する。点火プラグ29は、燃焼室で圧縮されたガソリンまたは水素と大気とが混合された混合気に点火する。すなわち、点火プラグ29は、図示せぬ点火回路からの電圧により、シリンダヘッド21の面のうち、ピストン23のピストン冠面と対向する面において、放電して混合気に点火する。
【0049】
シリンダヘッド燃焼室面32は、シリンダヘッド21の面のうち、ピストン23のピストン冠面と対向する面(
図1中の下側の面)である。ピストン冠面33は、ピストン23の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面32に対向する、ピストン23の上側の面である。すなわち、シリンダヘッド燃焼室面32、ピストン冠面33およびシリンダ31の内面は、燃焼室を形成する。ピストン23が上死点に移動したとき、シリンダヘッド燃焼室面32、ピストン冠面33およびシリンダ31に囲まれる燃焼室は、所定の容積となる。
【0050】
シリンダヘッド21には、開口部41、開口部42、開口部43、ポート44およびポート45が形成されている。例えば、開口部41、開口部42、開口部43、ポート44およびポート45は、シリンダヘッド21の右側に形成されている。開口部41は、シリンダヘッド21のシリンダヘッド燃焼室面32に開口している。開口部41は、シリンダヘッド21の面のうち、燃焼室側の面に開口しているとも言える。開口部41は、所望の形状とされている。例えば、開口部41は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0051】
開口部42は、シリンダヘッド21の上面側に開口している。すなわち、開口部42は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面32に対向する面側に開口している。開口部42は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド21の外部側の面に開口しているとも言える。開口部42は、所望の形状とされている。例えば、開口部42は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0052】
開口部43は、シリンダヘッド21の上面側に開口している。すなわち、開口部43は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面32に対向する面側に開口している。開口部43は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド21の外部側の面に開口しているとも言える。言い換えれば、開口部43は、開口部42が開口している面側に開口している。開口部43は、所望の形状とされている。例えば、開口部43は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0053】
ポート44およびポート45は、それぞれ、外部と燃焼室とを連通する経路である。ポート44またはポート45は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気を、燃焼室に送り込む経路であるか、または空気である掃気を燃焼室に送り込む経路である。
【0054】
ポート44は、孔である。ポート44は、燃焼室に導入される気体を流すための孔である。ポート44は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気または燃焼のための空気を流すための孔である。ポート44の一方の端部は、開口部42に連通し、ポート44の他方の端部は、シリンダヘッド21の外部側に開口している。すなわち、開口部42は、シリンダヘッド21の面のうち、開口部41が開口しているシリンダヘッド燃焼室面32に対向する面に開口しているポート44に連通している。
【0055】
ポート45は、孔である。ポート45は、燃焼室に導入される気体を流すための孔である。ポート45は、空気である掃気を流すための孔である。ポート45の一方の端部は、開口部43に連通し、ポート45の他方の端部は、シリンダヘッド21の外部側に開口している。すなわち、開口部43は、シリンダヘッド21の面のうち、開口部41が開口しているシリンダヘッド燃焼室面32に対向する面に開口しているポート45に連通している。また、ポート45は、ポート44に連通することなく、独立して形成されている。
【0056】
バルブ46は、弁の一例であり、開口部41を閉じるか、または開口部41を開口部42若しくは開口部43のいずれか一方に連通させる。バルブ46は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ46は、バルブ支持部47の内側に回転自在に装着されている。バルブ46は、クランクシャフト25の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ46は、クランクシャフト25の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト25の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ46は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0057】
バルブ支持部47は、シリンダヘッド21に形成されている、円柱状の孔である。なお、バルブ支持部47は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部47は、開口部41、開口部42および開口部43に連通している。バルブ支持部47の内面の形状は、バルブ46の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部47は、バルブ46を回転自在に軸支する。バルブ支持部47にバルブ46が挿入された場合、バルブ支持部47の内面は、バルブ46の外側面(後述するバルブ側面62)に密接して、バルブ支持部47の内面とバルブ46の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0058】
バルブ支持部47の長手方向は、クランクシャフト25の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部47にバルブ46が挿入されると、バルブ46の長手方向は、クランクシャフト25の軸方向に平行とされる。バルブ46の長手方向は、バルブ46の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ46は、クランクシャフト25の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0059】
ここで、
図2および
図3を参照して、バルブ46の形状の詳細について説明する。
図2は、バルブ46の形状の詳細を説明する斜視図である。
図3は、バルブ46の形状の詳細を説明する正面図である。
図2および
図3は、レシプロ式内燃機関11が直列2気筒である場合のバルブ46の形状の詳細を説明する図である。
【0060】
バルブ46は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ46の外形径(円形の底面の径)は、開口部41、開口部42および開口部43のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ46には、バルブ孔61-1およびバルブ孔61-2が形成されている。バルブ側面62は、円柱状に形成されているバルブ46の側面であって、バルブ支持部47に挿入された場合、バルブ支持部47の内面に接する面である。バルブ側面62は、バルブ孔61-1およびバルブ孔61-2を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0061】
バルブ孔61-1は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関11の前側の気筒の開口部41と開口部42とを連通させるか、または開口部41と開口部43とを連通させる。バルブ孔61-1は、バルブ46の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔61-1は、バルブ46の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。バルブ孔61-1は、バルブ46の前側に形成されている。すなわち、バルブ孔61-1の一方の端部は、バルブ側面62にバルブ孔開口部81-1として開口している。また、バルブ孔61-1の他方の端部は、バルブ側面62にバルブ孔開口部82-1として開口している。
【0062】
例えば、バルブ孔61-1は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部81-1とバルブ孔開口部82-1とを結ぶ方向に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔61-1は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部81-1とバルブ孔開口部82-1とを結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔開口部82-1の位置は、バルブ孔開口部81-1の位置からバルブ側面62に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部81-1の中央の位置から、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部82-1の中央の位置までの距離は、バルブ側面62の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。
【0063】
バルブ孔61-2は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関11の後側の気筒の開口部41と開口部42とを連通させるか、または開口部41と開口部43とを連通させる。バルブ孔61-2は、バルブ46の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔61-2は、バルブ46の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。バルブ孔61-2は、バルブ46の後側に形成されている。すなわち、バルブ孔61-2の一方の端部は、バルブ側面62にバルブ孔開口部81-2として開口している。また、バルブ孔61-2の他方の端部は、バルブ側面62にバルブ孔開口部82-2として開口している。
【0064】
例えば、バルブ孔61-2は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部81-2とバルブ孔開口部82-2とを結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔61-2は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部81-2とバルブ孔開口部82-2とを結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔開口部82-2の位置は、バルブ孔開口部81-2の位置からバルブ側面62に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部81-2の中央の位置から、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部82-2の中央の位置までの距離は、バルブ側面62の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。例えば、バルブ孔61-2は、バルブ孔61-1と同様の形状とされている。
【0065】
例えば、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部81-2の中央の位置から、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部82-2の中央の位置までの距離は、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部81-1の中央の位置から、バルブ側面62に沿ったバルブ孔開口部82-1の中央の位置までの距離と同じとされている。
【0066】
バルブ孔開口部81-1、バルブ孔開口部82-1、バルブ孔開口部81-2およびバルブ孔開口部82-2のX軸方向の長さ(開口の長さ)は、開口部41、開口部42または開口部43のX軸方向の長さ(開口の長さ)と同じとすることができる。または、バルブ孔開口部81-1、バルブ孔開口部82-1、バルブ孔開口部81-2およびバルブ孔開口部82-2のX軸方向の長さ(開口の長さ)は、開口部41、開口部42または開口部43のX軸方向の長さ(開口の長さ)に比較して短いかまたは長くすることもできる。バルブ孔開口部81-1、バルブ孔開口部82-1、バルブ孔開口部81-2およびバルブ孔開口部82-2のバルブ側面62に沿った長さ(開口の長さ)は、開口部41、開口部42または開口部43のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して短くすることができる。また、バルブ孔開口部81-1、バルブ孔開口部82-1、バルブ孔開口部81-2およびバルブ孔開口部82-2のバルブ側面62に沿った長さ(開口の長さ)は、開口部41、開口部42または開口部43のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)と同じ長さにすることも、長くすることもできる。
【0067】
バルブ孔61-2の位置は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関11の前側の気筒と後側の気筒との位相差に合わせて、バルブ孔61-1の位置とずれている。例えば、バルブ孔開口部81-2のX軸回りの角度位置は、バルブ孔開口部82-2のX軸回りの角度位置と同じとされている。
【0068】
以下、バルブ孔61-1とバルブ孔61-2とを個々に区別する必要がないとき、単に、バルブ孔61と称する。また、バルブ孔開口部81-1とバルブ孔開口部81-2とを個々に区別する必要がないとき、単に、バルブ孔開口部81と称する。さらに、バルブ孔開口部82-1とバルブ孔開口部82-2とを個々に区別する必要がないとき、単に、バルブ孔開口部82と称する。
【0069】
なお、バルブ孔61の断面は、四角状に限らず、円形、楕円形、長円形などとすることができる。さらに、バルブ孔61は、バルブ孔開口部81とバルブ孔開口部82と結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状であると説明したがこれに限らず、バルブ孔開口部81とバルブ孔開口部82と結ぶ方向に直線を折り曲げた形状でも良いし、クロソイド曲線など所定の曲線状とすることができる。
【0070】
図1に戻り、このように、バルブ46は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部41を閉じるか、または開口部41を開口部42若しくは開口部43のいずれか一方に連通させる。
【0071】
開口部41、開口部42および開口部43は、バルブ46が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている。バルブ46が回転する軸の中心と、開口部41、開口部42および開口部43のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部41、開口部42および開口部43のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部41、開口部42および開口部43は、形成されている。より詳細には、例えば、バルブ46が回転する軸の中心と、開口部41、開口部42および開口部43のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部41、開口部42および開口部43のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部41、開口部42および開口部43は、形成されている。
【0072】
開口部41、開口部42、開口部43およびバルブ46は、吸気側の弁機構である。
【0073】
また、シリンダヘッド21には、開口部51、開口部52、開口部53、ポート54およびポート55が形成されている。例えば、開口部51、開口部52、開口部53、ポート54およびポート55は、シリンダヘッド21の左側に形成されている。開口部51は、シリンダヘッド21のシリンダヘッド燃焼室面32に開口している。開口部51は、シリンダヘッド21の面のうち、燃焼室側の面に開口しているとも言える。開口部51は、所望の形状とされている。例えば、開口部51は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0074】
開口部52は、シリンダヘッド21の上面側に開口している。すなわち、開口部52は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面32に対向する面側に開口している。開口部51は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド21の外部側の面に開口しているとも言える。開口部52は、所望の形状とされている。例えば、開口部52は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0075】
開口部53は、シリンダヘッド21の上面側に開口している。すなわち、開口部53は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面32に対向する面側に開口している。開口部53は、シリンダヘッド21の面のうち、シリンダヘッド21の外部側の面に開口しているとも言える。言い換えれば、開口部53は、開口部52が開口している面側に開口している。開口部53は、所望の形状とされている。例えば、開口部53は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0076】
ポート54およびポート55は、それぞれ、外部と燃焼室とを連通する経路である。ポート54またはポート55は、燃焼室で燃焼させられた燃焼ガスの排気または燃焼室に導入された空気である掃気を燃焼室から排出する経路である。
【0077】
ポート54は、孔である。ポート54は、燃焼室から排出される気体を流すための孔である。ポート54は、燃焼室で燃焼させられた燃焼ガスを排出するための孔である。ポート54の一方の端部は、開口部52に連通し、ポート54の他方の端部は、シリンダヘッド21の外部側に開口している。すなわち、開口部52は、シリンダヘッド21の面のうち、開口部51が開口しているシリンダヘッド燃焼室面32に対向する面に開口しているポート54に連通している。
【0078】
ポート55は、孔である。ポート55は、燃焼室から排出される気体を流すための孔である。ポート55は、燃焼室に導入された空気である掃気を燃焼室から排出するための孔である。ポート55の一方の端部は、開口部53に連通し、ポート55の他方の端部は、シリンダヘッド21の外部側に開口している。すなわち、開口部53は、シリンダヘッド21の面のうち、開口部51が開口しているシリンダヘッド燃焼室面32に対向する面に開口しているポート55に連通している。また、ポート55は、ポート54に連通することなく、独立して形成されている。
【0079】
バルブ56は、弁の一例であり、開口部51を閉じるか、または開口部51を開口部52若しくは開口部53のいずれか一方に連通させる。バルブ56は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ56は、バルブ支持部57の内側に回転自在に装着されている。バルブ56は、クランクシャフト25の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ56は、クランクシャフト25の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト25の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ56は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0080】
バルブ支持部57は、シリンダヘッド21に形成されている、円柱状の孔である。なお、バルブ支持部57は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部57は、開口部51、開口部52および開口部53に連通している。バルブ支持部57の内面の形状は、バルブ56の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部57は、バルブ56を回転自在に軸支する。バルブ支持部57にバルブ56が挿入された場合、バルブ支持部57の内面は、バルブ56の外側面(後述するバルブ側面72)に密接して、バルブ支持部57の内面とバルブ56の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0081】
バルブ支持部57の長手方向は、クランクシャフト25の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部57にバルブ56が挿入されると、バルブ56の長手方向は、クランクシャフト25の軸方向に平行とされる。バルブ56の長手方向は、バルブ56の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ56は、クランクシャフト25の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0082】
バルブ56は、クランクシャフト25の角度位置に対するバルブ56におけるバルブ孔71の角度位置が異なるほかは、バルブ46と同様に形成される。
【0083】
バルブ56は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ56の外形径(円形の底面の径)は、開口部51、開口部52および開口部53のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ56には、バルブ孔71が形成されている。バルブ側面72は、円柱状に形成されているバルブ56の側面であって、バルブ支持部57に挿入された場合、バルブ支持部57の内面に接する面である。バルブ側面72は、バルブ孔71を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0084】
バルブ孔71は、開口部51と開口部52とを連通させるか、または開口部51と開口部53とを連通させる。バルブ孔71は、バルブ56の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔71は、バルブ56の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。すなわち、バルブ孔71の一方の端部は、バルブ側面72にバルブ孔開口部91として開口している。また、バルブ孔71の他方の端部は、バルブ側面72にバルブ孔開口部92として開口している。
【0085】
例えば、バルブ孔71は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部91とバルブ孔開口部92とを結ぶ方向に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔71は、断面が四角状であって、バルブ孔開口部91とバルブ孔開口部92とを結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状の孔とされている。例えば、バルブ孔開口部92の位置は、バルブ孔開口部91の位置からバルブ側面72に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面72に沿ったバルブ孔開口部91の中央の位置から、バルブ側面72に沿ったバルブ孔開口部92の中央の位置までの距離は、バルブ側面72の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。
【0086】
バルブ孔開口部91およびバルブ孔開口部92のX軸方向の長さ(開口の長さ)は、開口部51、開口部52または開口部53のX軸方向の長さ(開口の長さ)と同じとすることができる。または、バルブ孔開口部91およびバルブ孔開口部92のX軸方向の長さ(開口の長さ)は、開口部51、開口部52または開口部53のX軸方向の長さ(開口の長さ)に比較して短いかまたは長くすることもできる。バルブ孔開口部91およびバルブ孔開口部92のバルブ側面72に沿った長さ(開口の長さ)は、開口部51、開口部52または開口部53のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して短くすることができる。また、バルブ孔開口部91およびバルブ孔開口部92のバルブ側面72に沿った長さ(開口の長さ)は、開口部51、開口部52または開口部53のシリンダヘッド燃焼室面32のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)と同じ長さにすることも、長くすることもできる。
【0087】
なお、バルブ孔71の断面は、四角状に限らず、円形、楕円形、長円形などとすることができる。さらに、バルブ孔71は、バルブ孔開口部91とバルブ孔開口部92と結ぶ方向に円の周状に屈曲した形状であると説明したがこれに限らず、バルブ孔開口部91とバルブ孔開口部92と結ぶ方向に直線を折り曲げた形状でも良いし、クロソイド曲線など所定の曲線状とすることができる。
【0088】
このように、バルブ56は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部51を閉じるか、または開口部51を開口部52若しくは開口部53のいずれか一方に連通させる。
【0089】
開口部51、開口部52および開口部53は、バルブ56が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている。バルブ56が回転する軸の中心と、開口部51、開口部52および開口部53のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部51、開口部52および開口部53のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部51、開口部52および開口部53は、形成されている。より詳細には、例えば、バルブ56が回転する軸の中心と、開口部51、開口部52および開口部53のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部51、開口部52および開口部53のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部51、開口部52および開口部53は、形成されている。
【0090】
開口部51、開口部52、開口部53およびバルブ56は、排気側の弁機構である。
【0091】
次に、
図1および
図4乃至
図14を参照して、6ストロークで機能するレシプロ式内燃機関11の動作について説明する。以下の説明において、掃気排気行程を終了して、吸気行程を開始し、クランクシャフト25の角度位置が0度、すなわちクランクシャフト25が上死点にあるときのバルブ46およびバルブ56のそれぞれの角度位置を、基準位置である0度として説明する。また、以下の説明において、化石燃料の一例であるガソリンまたは水素と空気との混合気を燃焼する場合を例に説明する。さらにまた、以下の6ストロークで機能するレシプロ式内燃機関11の動作の説明において、反時計回りとは、X軸方向を前側から後側に見る場合の回転方向をいう。
【0092】
図1は、掃気排気行程を終了して、吸気行程を開始するときのレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。吸気行程を開始するとき、クランクシャフト25の角度位置は、0度、すなわちクランクシャフト25は上死点にある。クランクシャフト25が上死点にあるとき、ピストン23は、上死点にあり、ピストン23のストロークの上端である、最も上側に位置する。すなわち、吸気行程を開始するとき、シリンダヘッド燃焼室面32とピストン冠面33とが最も近接した位置になる。吸気行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間の容積は最小になる。
【0093】
吸気行程を開始し、クランクシャフト25が上死点にあるとき、バルブ46の角度位置は、基準位置である0度となる。この場合、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部82が開口部41に対して開き始め、また、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部81が開口部42に対して開き始めるので、開口部41が開口部42に連通し始め、ポート44を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間への、ガソリンまたは水素と空気との混合気の吸気が開始される。
【0094】
吸気行程を開始し、クランクシャフト25が0度、すなわち上死点にあるとき、バルブ56の角度位置は、基準位置である0度となる。この場合、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部91は、開口部51に対して閉じられてしまい、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0095】
図4は、吸気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。吸気行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、ピストン23は、シリンダ31内を下がり、ピストン23のストロークの中間点に達する。シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられる空間の容積が、吸気行程を開始するときに比較して大きくなるので、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に負圧が生じることになる。
【0096】
吸気行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ46の角度位置は、基準位置から30度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。吸気行程で、クランクシャフト25の角度位置が90度に変位すると、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部82が開口部41に対して連通する面積が最大となるように開き、また、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部81が開口部42に対して連通する面積が最大となるように開くので、開口部41が開口部42に連通し、また、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に負圧が生じるので、ポート44を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に混合気が吸気される。
【0097】
吸気行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ56の角度位置は、基準位置から30度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。吸気行程において、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0098】
このように、吸気行程において、バルブ46は、開口部41を開口部42に連通させ、バルブ56は、開口部51を閉じる。
【0099】
図5は、圧縮行程を開始するときのレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。圧縮行程を開始するとき、クランクシャフト25の角度位置は、吸気行程を開始した上死点から、反時計回りに180度変位した位置、すなわち、下死点になる。クランクシャフト25が下死点にあるとき、ピストン23は、下死点にあり、ピストン23のストロークの下端である、最も下側に位置する。すなわち、圧縮行程を開始するとき、シリンダヘッド燃焼室面32とピストン冠面33とは最も離れる。圧縮行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられる空間の容積は最大になる。圧縮行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間には、吸気行程で吸気された混合気が充填されている。
【0100】
圧縮行程が開始され、クランクシャフト25が下死点にある場合、バルブ46の角度位置は、基準位置から60度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。この場合、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられて、混合気の吸気が終了する。
【0101】
圧縮行程が開始され、クランクシャフト25が下死点にある場合、バルブ56の角度位置は、基準位置から60度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。圧縮行程において、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0102】
図6は、圧縮行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。圧縮行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、ピストン23は、シリンダ31内を上がり、ピストン23のストロークの中間点に達する。
【0103】
圧縮行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ46は、基準位置から90度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。圧縮行程において、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0104】
圧縮行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ56は、基準位置から90度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。圧縮行程において、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0105】
このように、圧縮行程において、バルブ46は、開口部41を閉じ、バルブ56は、開口部51を閉じる。圧縮行程において、バルブ46が、開口部41を閉じ、バルブ56が、開口部51を閉じていて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられる空間の容積が、圧縮行程を開始するときに比較して小さくなるので、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間で混合気が圧縮される。
【0106】
図7は、圧縮行程を終了して、点火プラグ29で混合気に点火するときのレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。圧縮行程を終了して点火するとき、クランクシャフト25の角度位置は、0度、すなわちクランクシャフト25が上死点にある。圧縮行程を終了して点火する場合、クランクシャフト25が上死点にあるとき、バルブ46は、基準位置から120度反時計回りに回転し、基準位置から変位し、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0107】
圧縮行程を終了して点火する場合、クランクシャフト25が上死点にあるとき、バルブ56は、基準位置から120度反時計回りに回転し、基準位置から変位し、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0108】
圧縮行程を終了して、点火プラグ29で混合気に点火するとき、クランクシャフト25が上死点にあるので、ピストン23は、上死点にあり、ピストン23のストロークの上端である、最も上側に位置する。すなわち、圧縮行程を終了して、点火プラグ29で混合気に点火するとき、シリンダヘッド燃焼室面32とピストン冠面33とが最も近接する。圧縮行程を終了して、点火プラグ29で混合気に点火するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間の容積は最小になる。すなわち、バルブ46が、開口部41を閉じ、バルブ56が、開口部51を閉じていて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に充填された混合気が最も圧縮されたとき、混合気に点火プラグ29で点火される。
【0109】
点火プラグ29で点火されると、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている混合気は燃焼し、開口部41がバルブ46で閉じられて、開口部51がバルブ56で閉じられているので、燃焼したガスが膨張して、ガスが膨張した圧力でピストン冠面33が押し下げられる。
【0110】
図8は、燃焼膨張行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。燃焼膨張行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ46は、基準位置から150度反時計回りに回転し、基準位置から変位し、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0111】
燃焼膨張行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位した位置にある場合、バルブ56の角度位置は、基準位置から150度反時計回りに回転し、基準位置から変位し、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0112】
燃焼膨張行程において、開口部41がバルブ46で閉じられて、開口部51がバルブ56で閉じられているので、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間で燃焼したガスの圧力でピストン冠面33が押し下げられる。
【0113】
図9は、燃焼膨張行程を終了し、排気行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。燃焼膨張行程を終了し、排気行程を開始するとき、クランクシャフト25の角度位置は、上死点から、反時計回りに180度変位し、すなわちクランクシャフト25が下死点となる。排気行程を開始する場合、クランクシャフト25が下死点になるとき、バルブ46は、基準位置から180度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0114】
排気行程を開始する場合、クランクシャフト25が下死点になるとき、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部92が開口部51に対して開き始め、また、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部91が開口部52に対して開き始めるので、開口部51が開口部52に連通し始め、ポート54を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間で燃焼したガスの排気が開始される。
【0115】
図10は、排気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、ピストン23は、シリンダ31内を上がり、ピストン23のストロークの中間点に位置する。排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位したとき、バルブ46は、基準位置から210度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0116】
排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ56は、基準位置から210度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部92が開口部51に対して連通する面積が最大となるように開き、また、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部91が開口部52に対して連通する面積が最大となるように開くので、開口部51が開口部52に連通し、ポート54を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間で燃焼したガスが排気される。
【0117】
このように、排気行程において、バルブ46は、開口部41を閉じて、バルブ56は、開口部51を開口部52に連通させる。
【0118】
図11は、排気行程を終了し、掃気吸入行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。掃気吸入行程を開始するとき、クランクシャフト25の角度位置は0度、すなわちクランクシャフト25は上死点にある。掃気吸入行程を開始する場合、クランクシャフト25が上死点にあるとき、ピストン23は、上死点にあり、ピストン23のストロークの上端である、最も上側に位置する。すなわち、吸気行程を開始するとき、シリンダヘッド燃焼室面32とピストン冠面33とが最も近接する。吸気行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間の容積は最小になる。
【0119】
掃気吸入行程を開始し、クランクシャフト25が上死点にあるとき、バルブ46の角度位置は、基準位置から240度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部81が開口部41に対して開き始め、また、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部82が開口部43に対して開き始めるので、開口部41が開口部43に連通し始め、ポート45を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間への、空気の吸入が開始される。
【0120】
掃気吸入行程を開始し、クランクシャフト25が上死点にあるとき、バルブ56の角度位置は、基準位置から240度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部92は、開口部51に対して閉じられ、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられる。
【0121】
排気行程を終了し、掃気吸入行程を開始するとき、ポート54を通じた、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間で燃焼したガスの排出が終了し、ポート45を通じた、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間への、空気の吸入が開始される。
【0122】
図12は、掃気吸入行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。掃気吸入行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、ピストン23は、シリンダ31内を下がり、ピストン23のストロークの中間点に達する。シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられる空間の容積が、吸気行程を開始するときに比較して大きくなるので、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に負圧が生じることになる。
【0123】
掃気吸入行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ46の角度位置は、基準位置から270度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。掃気吸入行程で、クランクシャフト25の角度位置が270度に変位すると、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部81が開口部41に対して連通する面積が最大となるように開き、また、バルブ46のバルブ孔61のバルブ孔開口部82が開口部43に対して連通する面積が最大となるように開くので、開口部41が開口部43に連通し、ポート45を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に掃気である空気が吸入される。
【0124】
掃気吸入行程で、クランクシャフト25の角度位置が上死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ56の角度位置は、基準位置から270度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。掃気吸入行程において、開口部51は、バルブ56のバルブ側面72で閉じられている。
【0125】
このように、掃気吸入行程において、バルブ46は、開口部41を開口部43に連通させ、バルブ56は、開口部51を閉じる。
【0126】
図13は、掃気吸入行程を終了し、掃気排気行程を開始するレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。掃気吸入行程を終了し、掃気排気行程を開始するとき、クランクシャフト25の角度位置は、掃気吸入行程を開始した上死点から、反時計回りに180度変位した位置、すなわち、下死点になる。クランクシャフト25が下死点にあるとき、ピストン23は、下死点になり、ピストン23のストロークの下端である、最も下側に位置する。すなわち、圧縮行程を開始するとき、シリンダヘッド燃焼室面32とピストン冠面33とが最も離れる。掃気排気行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられる空間の容積は最大になる。掃気排気行程を開始するとき、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間には、掃気吸入行程で吸入された空気が充填されている。
【0127】
掃気排気行程が開始され、クランクシャフト25が下死点にある場合、バルブ46の角度位置は、基準位置から300度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。この場合、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられて、掃気吸入行程の空気の吸入が終了する。
【0128】
掃気排気行程が開始され、クランクシャフト25が下死点にある場合、バルブ56の角度位置は、基準位置から300度反時計回りに回転し、基準位置から変位した位置になる。この場合、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部91が開口部51に対して開き始め、また、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部92が開口部53に対して開き始めるので、開口部51が開口部53に連通し始め、ポート55を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に充填されている空気の排気が開始される。
【0129】
図14は、掃気排気行程のレシプロ式内燃機関11の状態を示す図である。掃気排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、ピストン23は、シリンダ31内を上がり、ピストン23のストロークの中間点に位置する。掃気排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位したとき、バルブ46は、基準位置から330度反時計回りに回転し、基準位置から変位する。この場合、開口部41は、バルブ46のバルブ側面62で閉じられている。
【0130】
掃気排気行程で、クランクシャフト25の角度位置が下死点から、反時計回りに90度変位すると、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部91が開口部51に対して連通する面積が最大となるように開き、また、バルブ56のバルブ孔71のバルブ孔開口部92が開口部53に対して連通する面積が最大となるように開くので、開口部51が開口部53に連通し、ポート55を通じて、シリンダ31の内面、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33で閉じられている空間に充填されている空気が排気される。すなわち、開口部53から、掃気が排気される。
【0131】
このように、掃気排気行程において、バルブ46は、開口部41を閉じて、バルブ56は、開口部51を開口部53に連通させる。
【0132】
掃気排気行程が終了すると、
図1に示される吸気行程が開始され、
図1および
図4乃至
図14に示される行程が繰り返される。
【0133】
このように、レシプロ式内燃機関11を6ストロークで機能させることができる。
【0134】
シリンダブロック22には、ピストン23のピストン冠面33と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面32に開口している開口部41、開口部41が開口している面に対向する面側に開口している開口部42、および開口部42が開口している面側に開口している開口部43が形成されている。バルブ46は、開口部41を閉じるか、または開口部41を開口部42若しくは開口部43のいずれか一方に連通させる。
【0135】
また、シリンダブロック22には、ピストン23のピストン冠面33と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面32に開口している開口部51、開口部51が開口している面に対向する面側に開口している開口部52、および開口部52が開口している面側に開口している開口部53が形成されている。バルブ56は、開口部51を閉じるか、または開口部51を開口部52若しくは開口部53のいずれか一方に連通させる。
【0136】
なお、バルブ46が回転して、開口部41、開口部42および開口部43を開閉し、バルブ56が回転して、開口部51、開口部52および開口部53を開閉すると説明したが、これに限らず、バルブ46がX軸方向に変位して、開口部41、開口部42および開口部43を開閉し、バルブ56がX軸方向に変位して、開口部51、開口部52および開口部53を開閉するようにしてもよい。この場合、例えば、バルブ46およびバルブ56のX軸方向に、開口部41または開口部51を閉じる部位と、開口部41と開口部42とを連通させるか、または開口部51と開口部52とを連通させる孔と、開口部41と開口部43とを連通させるか、または開口部51と開口部53とを連通させる孔とを順に並べるように形成することができる。
【0137】
また、バルブ46が、開口部41、開口部42および開口部43を開閉し、バルブ56が、開口部51、開口部52および開口部53を開閉すると説明したが、これに限らず、開口部41を開閉するポペットバルブ、開口部42を開閉するポペットバルブおよび開口部43を開閉するポペットバルブ並びに開口部51を開閉するポペットバルブ、開口部52を開閉するポペットバルブおよび開口部53を開閉するポペットバルブを設けるようにしてもよい。
【0138】
次に、
図15を参照して、一実施の形態のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構の構造の他の例について説明する。
【0139】
図15は、レシプロ式内燃機関101の構成の他の例を示す断面図である。レシプロ式内燃機関101は、ガソリンである燃料を燃焼して動力を出力するか、または水素である燃料を燃焼して動力を出力する。レシプロ式内燃機関101は、6ストローク(6サイクル)で、燃料であるガソリンまたは水素を燃焼して動力を出力する。
【0140】
なお、レシプロ式内燃機関101において、クランクシャフトに対するシリンダヘッドの位置は、いずれであっても良く、直立に限らず、いわゆる、水平または傾斜、倒立など任意とすることができる。また、レシプロ式内燃機関101は、いわゆる単気筒に限らず、並列、直列、V型または水平対向型など複数気筒とすることができる。以下、クランクシャフトに対してシリンダヘッドが上側に配置されている場合のレシプロ式内燃機関101の1つの気筒を例に説明する。以下の例で説明するレシプロ式内燃機関101のクランクシャフトは、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0141】
レシプロ式内燃機関101は、シリンダヘッド121、シリンダブロック122、ピストン123、コネクティングロッド124、クランクシャフト125、ピストンピン126、クランクピン127、クランクケース128および点火プラグ129を含み構成される。シリンダブロック122、ピストン123、コネクティングロッド124、クランクシャフト125、ピストンピン126、クランクピン127、クランクケース128および点火プラグ129は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のシリンダブロック22、ピストン23、コネクティングロッド24、クランクシャフト25、ピストンピン26、クランクピン27、クランクケース28および点火プラグ29のそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
【0142】
シリンダヘッド121は、シリンダブロック122に固定され、シリンダブロック122およびピストン123と共に閉じた空間を形成する。シリンダヘッド121、シリンダブロック122およびピストン123で閉じられた空間内では、燃料が燃焼させられる。
【0143】
シリンダブロック122には、円筒状の空洞であるシリンダ131が形成されている。シリンダヘッド燃焼室面132は、シリンダヘッド121の面のうち、ピストン123のピストン冠面と対向する面(
図1中の下側の面)である。ピストン冠面133は、ピストン123の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面132に対向する、ピストン123の上側の面である。
【0144】
シリンダ131、シリンダヘッド燃焼室面132およびピストン冠面133は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のシリンダ31、シリンダヘッド燃焼室面32およびピストン冠面33と同様なので、その詳細の説明は省略する。
【0145】
シリンダヘッド121には、開口部141、開口部142、開口部143、ポート144およびポート145が形成されている。また、シリンダヘッド121には、開口部151、開口部152、開口部153、ポート154およびポート155が形成されている。
【0146】
開口部141、開口部142、開口部143、ポート144、ポート145、開口部151、開口部152、開口部153、ポート154およびポート155は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のシリンダヘッド21に形成されている開口部41、開口部42、開口部43、ポート44、ポート45、開口部51、開口部52、開口部53、ポート54およびポート55のそれぞれと同様なので、その詳細の説明は省略する。
【0147】
バルブ146は、弁の一例であり、開口部141を閉じるか、または開口部141を開口部142若しくは開口部143のいずれか一方に連通させる。バルブ146は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ146は、バルブ支持部147の内側に回転自在に装着されている。バルブ146は、クランクシャフト125の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ146は、クランクシャフト125の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト125の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ146は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0148】
バルブ支持部147は、シリンダヘッド121に形成されている、円柱状の孔である。なお、バルブ支持部147は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部147は、開口部141、開口部142および開口部143に連通している。バルブ支持部147の内面の形状は、バルブ146の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部147は、バルブ146を回転自在に軸支する。バルブ支持部147にバルブ146が挿入された場合、バルブ支持部147の内面は、バルブ146の外側面(後述するバルブ側面162)に密接して、バルブ支持部147の内面とバルブ146の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0149】
バルブ支持部147の長手方向は、クランクシャフト125の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部147にバルブ146が挿入されると、バルブ146の長手方向は、クランクシャフト125の軸方向に平行とされる。バルブ146の長手方向は、バルブ146の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ146は、クランクシャフト125の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0150】
ここで、
図16および
図17を参照して、バルブ146の形状の詳細について説明する。
図16は、バルブ146の形状の詳細を説明する斜視図である。
図17は、バルブ146の形状の詳細を説明する正面図である。
図16および
図17は、レシプロ式内燃機関101が直列2気筒である場合のバルブ146の形状の詳細を説明する図である。
【0151】
バルブ146は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ146の外形径(円形の底面の径)は、開口部141、開口部142および開口部143のシリンダヘッド燃焼室面132のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ146には、バルブ切り欠き部161-1およびバルブ切り欠き部161-2が形成されている。バルブ側面162は、円柱状に形成されているバルブ146の側面であって、バルブ支持部147に挿入された場合、バルブ支持部147の内面に接する面である。バルブ側面162は、バルブ切り欠き部161-1およびバルブ切り欠き部161-2を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0152】
バルブ切り欠き部161-1は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関101の前側の気筒の開口部141と開口部142とを連通させるか、または開口部141と開口部143とを連通させる。バルブ切り欠き部161-1は、円柱状の側面に形成されている凹部である。バルブ切り欠き部161-1は、バルブ146の前側に形成されている。
【0153】
例えば、バルブ切り欠き部161-1は、円柱状の側面上の点である端点が同じ弦と円弧とで囲まれた部分である弓形を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部161-1は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結び交差する2本の直線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部161-1は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結ぶ曲線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。
【0154】
例えば、バルブ切り欠き部161-1の側面上の円弧の長さは、所定の長さとされている。例えば、バルブ切り欠き部161-1の側面上の一方の端部の位置は、バルブ切り欠き部161-1の側面上の他方の端部の位置までは、バルブ側面162に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面162に沿ったバルブ切り欠き部161-1の側面上の一方の端部の位置から、バルブ側面162に沿ったバルブ切り欠き部161-1の側面上の他方の端部の位置までの距離は、バルブ側面162の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。
【0155】
バルブ切り欠き部161-2は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関101の後側の気筒の開口部141と開口部142とを連通させるか、または開口部141と開口部143とを連通させる。バルブ切り欠き部161-2は、円柱状の側面に形成されている凹部である。バルブ切り欠き部161-2は、バルブ146の後側に形成されている。
【0156】
例えば、バルブ切り欠き部161-2は、円柱状の側面上の点である端点が同じ弦と円弧とで囲まれた部分である弓形を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部161-2は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結び交差する2本の直線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部161-2は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結ぶ曲線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。
【0157】
例えば、バルブ切り欠き部161-2の側面上の円弧の長さは、所定の長さとされている。例えば、バルブ切り欠き部161-2の側面上の一方の端部の位置は、バルブ切り欠き部161-2の側面上の他方の端部の位置までは、バルブ側面162に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面162に沿ったバルブ切り欠き部161-2の側面上の一方の端部の位置から、バルブ側面162に沿ったバルブ切り欠き部161-2の側面上の他方の端部の位置までの距離は、バルブ側面162の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。
【0158】
バルブ切り欠き部161-2の位置は、直列2気筒であるレシプロ式内燃機関101の前側の気筒と後側の気筒との位相差に合わせて、バルブ切り欠き部161-1の位置とずれている。例えば、バルブ切り欠き部161-2のX軸回りの角度位置は、バルブ切り欠き部161-1のX軸回りの角度位置に対して、90度反時計回りに変位した位置とされる。
【0159】
以下、バルブ切り欠き部161-1とバルブ切り欠き部161-2とを個々に区別する必要がないとき、単に、バルブ切り欠き部161と称する。
【0160】
図15に戻り、このように、バルブ146は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部141を閉じるか、または開口部141を開口部142若しくは開口部143のいずれか一方に連通させる。
【0161】
バルブ156は、弁の一例であり、開口部151を閉じるか、または開口部151を開口部152若しくは開口部153のいずれか一方に連通させる。バルブ156は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ156は、バルブ支持部157の内側に回転自在に装着されている。バルブ156は、クランクシャフト125の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ156は、クランクシャフト125の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト125の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ156は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0162】
バルブ支持部157は、シリンダヘッド121に形成されている、円柱状の孔である。なお、バルブ支持部157は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部157は、開口部151、開口部152および開口部153に連通している。バルブ支持部157の内面の形状は、バルブ156の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部157は、バルブ156を回転自在に軸支する。バルブ支持部157にバルブ156が挿入された場合、バルブ支持部157の内面は、バルブ156の外側面(後述するバルブ側面172)に密接して、バルブ支持部157の内面とバルブ156の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0163】
バルブ支持部157の長手方向は、クランクシャフト125の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部157にバルブ156が挿入されると、バルブ156の長手方向は、クランクシャフト125の軸方向に平行とされる。バルブ156の長手方向は、バルブ156の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ156は、クランクシャフト125の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0164】
バルブ156は、クランクシャフト125の角度位置に対するバルブ156におけるバルブ切り欠き部171の角度位置が異なるほかは、バルブ146と同様に形成される。
【0165】
バルブ156は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ156の外形径(円形の底面の径)は、開口部151、開口部152および開口部153のシリンダヘッド燃焼室面132のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ156には、バルブ切り欠き部171が形成されている。バルブ側面172は、円柱状に形成されているバルブ156の側面であって、バルブ支持部157に挿入された場合、バルブ支持部157の内面に接する面である。バルブ側面172は、バルブ切り欠き部171を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0166】
バルブ切り欠き部171は、開口部151と開口部152とを連通させるか、または開口部151と開口部153とを連通させる。バルブ切り欠き部171は、円柱状の側面に形成されている凹部である。
【0167】
例えば、バルブ切り欠き部171は、円柱状の側面上の点である端点が同じ弦と円弧とで囲まれた部分である弓形を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部171は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結び交差する2本の直線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。例えば、バルブ切り欠き部171は、円柱状の側面上の点を結ぶ円弧と円弧の端点を結ぶ曲線とで囲まれた部分を底とし、高さ方向がX軸方向に沿う柱状に切りかかれている。
【0168】
例えば、バルブ切り欠き部171の側面上の円弧の長さは、所定の長さとされている。例えば、バルブ切り欠き部171の側面上の一方の端部の位置は、バルブ切り欠き部171の側面上の他方の端部の位置までは、バルブ側面172に沿って時計回りに所定の距離だけ変位した位置である。例えば、バルブ側面172に沿ったバルブ切り欠き部171の側面上の一方の端部の位置から、バルブ側面172に沿ったバルブ切り欠き部171の側面上の他方の端部の位置までの距離は、バルブ側面172の周長の3分の1乃至4分の1の長さとされている。
【0169】
このように、バルブ156は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部151を閉じるか、または開口部151を開口部152若しくは開口部153のいずれか一方に連通させる。
【0170】
開口部151、開口部152、開口部153およびバルブ156は、排気側の弁機構である。
【0171】
次に、
図18を参照して、一実施の形態のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構の構造のさらの他の例について説明する。弁機構はシリンダブロックに設けることができる。
【0172】
図18は、レシプロ式内燃機関201の構成のさらに他の例を示す断面図である。レシプロ式内燃機関201は、ガソリンである燃料を燃焼して動力を出力するか、または水素である燃料を燃焼して動力を出力する。レシプロ式内燃機関201は、6ストローク(6サイクル)で、燃料であるガソリンまたは水素を燃焼して動力を出力する。
【0173】
なお、レシプロ式内燃機関201において、クランクシャフトに対するシリンダヘッドの位置は、いずれであっても良く、直立に限らず、いわゆる、水平または傾斜、倒立など任意とすることができる。また、レシプロ式内燃機関201は、いわゆる単気筒に限らず、並列、直列、V型または水平対向型など複数気筒とすることができる。以下、クランクシャフトに対してシリンダヘッドが上側に配置されている場合のレシプロ式内燃機関201の1つの気筒を例に説明する。以下の例で説明するレシプロ式内燃機関201のクランクシャフトは、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0174】
レシプロ式内燃機関201は、シリンダヘッド221、シリンダブロック222、ピストン223、コネクティングロッド224、クランクシャフト225、ピストンピン226、クランクピン227、クランクケース228および点火プラグ229を含み構成される。コネクティングロッド224、クランクシャフト225、ピストンピン226、クランクピン227、クランクケース228および点火プラグ229は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のコネクティングロッド24、クランクシャフト25、ピストンピン26、クランクピン27、クランクケース28および点火プラグ29のそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
【0175】
シリンダヘッド221は、シリンダブロック222に固定され、シリンダブロック222およびピストン223と共に閉じた空間を形成する。シリンダヘッド221、シリンダブロック222およびピストン223で閉じられた空間内では、燃料が燃焼させられる。
【0176】
シリンダブロック222には、円筒状の空洞であるシリンダ231が形成されている。シリンダブロック222は、シリンダ231内に往復するピストン223を支えて、水素またはガソリンの混合気が燃焼して生じる燃焼ガスを閉じ込めて、燃焼ガスが膨張することで生じる力をピストン223のヘッド(後述するピストン冠面233)に伝達させる。ピストン223は、シリンダ231を、シリンダブロック222と共に密封する。すなわち、シリンダヘッド221の面のうち、ピストン223のピストン冠面と対向する面(後述するシリンダヘッド燃焼室面232)は、ピストン223のピストン冠面およびシリンダ231の内面とで燃焼室を形成する。
【0177】
ピストン223は、燃焼ガスが膨張することで生じた力をピストン223のピストン冠面で受けて、コネクティングロッド224を介して、クランクシャフト225に伝達する。
【0178】
シリンダヘッド燃焼室面232は、シリンダヘッド221の面のうち、ピストン223のピストン冠面と対向する面(
図18中の下側の面)である。ピストン冠面233は、ピストン223の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面232に対向する、ピストン223の上側の面である。すなわち、シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231の内面は、燃焼室を形成する。ピストン223が上死点に移動したとき、シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231に囲まれる燃焼室は、所定の容積となる。
【0179】
シリンダブロック222には、開口部241、開口部242、開口部243、ポート244およびポート245が形成されている。例えば、開口部241、開口部242、開口部243、ポート244およびポート245は、シリンダブロック222の右側に形成されている。開口部241は、シリンダブロック222のシリンダ231の内面に開口している。開口部241は、シリンダブロック222の面のうち、燃焼室側の面に開口しているとも言える。開口部241は、所望の形状とされている。例えば、開口部241は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0180】
開口部242は、シリンダブロック222の外面側に開口している。すなわち、開口部242は、シリンダブロック222の面のうち、シリンダ231の内面に対向する面側に開口している。開口部242は、シリンダブロック222の面のうち、シリンダブロック222の外部側の面に開口しているとも言える。開口部242は、所望の形状とされている。例えば、開口部242は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0181】
開口部243は、シリンダブロック222の外面側に開口している。すなわち、開口部243は、シリンダブロック222の面のうち、シリンダ231の内面に対向する面側に開口している。開口部243は、シリンダブロック222の面のうち、シリンダブロック222の外部側の面に開口しているとも言える。言い換えれば、開口部243は、開口部2422が開口している面側に開口している。開口部243は、所望の形状とされている。例えば、開口部243は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0182】
ポート244およびポート245は、それぞれ、外部と燃焼室とを連通する経路である。ポート244またはポート245は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気を、燃焼室に送り込む経路であるか、または空気である掃気を燃焼室に送り込む経路である。言い換えると、ポート244またはポート245は、化石燃料または水素と空気との混合気を、シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231の内面で閉じられている空間に送り込む経路であるか、または空気である掃気を、シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231の内面で閉じられている空間に送り込む経路である。
【0183】
ポート244は、孔である。ポート244は、燃焼室(シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231の内面で閉じられている空間)に導入される気体を流すための孔である。ポート244は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気または燃焼のための空気を流すための孔である。ポート244の一方の端部は、開口部242に連通し、ポート244の他方の端部は、シリンダブロック222の外部側に開口している。すなわち、開口部242は、シリンダブロック222の面のうち、開口部241が開口しているシリンダ231の内面に対向する面に開口しているポート244に連通している。
【0184】
ポート245は、孔である。ポート245は、燃焼室(シリンダヘッド燃焼室面232、ピストン冠面233およびシリンダ231の内面で閉じられている空間)に導入される気体を流すための孔である。ポート245は、空気である掃気を流すための孔である。ポート245の一方の端部は、開口部243に連通し、ポート245の他方の端部は、シリンダブロック222の外部側に開口している。すなわち、開口部243は、シリンダブロック222の面のうち、開口部241が開口しているシリンダ231の内面に対向する面に開口しているポート245に連通している。また、ポート245は、ポート244に連通することなく、独立して形成されている。
【0185】
バルブ246は、弁の一例であり、開口部241を閉じるか、または開口部241を開口部242若しくは開口部243のいずれか一方に連通させる。バルブ246は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ246は、バルブ支持部247の内側に回転自在に装着されている。バルブ246は、クランクシャフト225の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ246は、クランクシャフト225の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト225の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ246は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0186】
バルブ支持部247は、シリンダブロック222に形成されている、円柱状の孔である。なお、バルブ支持部247は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部247は、開口部241、開口部242および開口部243に連通している。バルブ支持部247の内面の形状は、バルブ246の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部247は、バルブ246を回転自在に軸支する。バルブ支持部247にバルブ246が挿入された場合、バルブ支持部247の内面は、バルブ246の外側面(後述するバルブ側面262)に密接して、バルブ支持部247の内面とバルブ246の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0187】
バルブ支持部247の長手方向は、クランクシャフト225の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部247にバルブ246が挿入されると、バルブ246の長手方向は、クランクシャフト225の軸方向に平行とされる。バルブ246の長手方向は、バルブ246の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ246は、クランクシャフト225の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0188】
バルブ246は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ246の外形径(円形の底面の径)は、開口部241、開口部242および開口部243のシリンダ231の内面のZ軸方向の長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ246には、バルブ孔261が形成されている。バルブ側面262は、円柱状に形成されているバルブ246の側面であって、バルブ支持部247に挿入された場合、バルブ支持部247の内面に接する面である。バルブ側面262は、バルブ孔261を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0189】
バルブ孔261は、開口部241と開口部242とを連通させるか、または開口部241と開口部243とを連通させる。バルブ孔261は、バルブ246の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔261は、バルブ246の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。すなわち、バルブ孔261の一方の端部は、バルブ側面262にバルブ孔開口部281として開口している。また、バルブ孔261の他方の端部は、バルブ側面262にバルブ孔開口部282として開口している。
【0190】
バルブ246は、バルブ46と同様の形状に形成されるので、詳細な説明は省略する。
【0191】
このように、バルブ246は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部241を閉じるか、または開口部241を開口部242若しくは開口部243のいずれか一方に連通させる。
【0192】
開口部241、開口部242および開口部243は、バルブ246が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている。バルブ246が回転する軸の中心と、開口部241、開口部242および開口部243のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部241、開口部242および開口部243のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部241、開口部242および開口部243は、形成されている。より詳細には、例えば、バルブ246が回転する軸の中心と、開口部241、開口部242および開口部243のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部241、開口部242および開口部243のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部241、開口部242および開口部243は、形成されている。
【0193】
開口部241、開口部242、開口部243およびバルブ246は、吸気側の弁機構である。
【0194】
また、シリンダヘッド221には、開口部251、開口部252、開口部253、ポート254およびポート255が形成されている。開口部251、開口部252、開口部253、ポート254およびポート255は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11の開口部51、開口部52、開口部53、ポート54およびポート55のそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
【0195】
バルブ256は、弁の一例であり、開口部251を閉じるか、または開口部251を開口部252若しくは開口部253のいずれか一方に連通させる。バルブ256は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ256は、バルブ支持部257の内側に回転自在に装着されている。バルブ支持部257は、シリンダヘッド221に形成されている、円柱状の孔である。バルブ支持部257は、開口部251、開口部252および開口部253に連通している。バルブ支持部257の内面の形状は、バルブ256の外側面の形状に対応するように形成されている。
【0196】
バルブ256には、バルブ孔271が形成されている。バルブ孔271は、開口部251と開口部252とを連通させるか、または開口部251と開口部253とを連通させる。バルブ側面272は、円柱状に形成されているバルブ256の側面であって、バルブ支持部257に挿入された場合、バルブ支持部257の内面に接する面である。
【0197】
バルブ孔271の一方の端部は、バルブ側面272にバルブ孔開口部291として開口している。また、バルブ孔271の他方の端部は、バルブ側面272にバルブ孔開口部292として開口している。
【0198】
バルブ256およびバルブ支持部257は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のバルブ56およびバルブ支持部57のそれぞれと同様なので、詳細な説明は省略する。
【0199】
開口部251、開口部252、開口部253およびバルブ256は、排気側の弁機構である。
【0200】
なお、バルブ246およびバルブ256は、それぞれ、バルブ146およびバルブ156のそれぞれと、同様の形状とすることができる。
【0201】
このように、シリンダブロック222には、シリンダ231の内面に開口している開口部241、開口部241が開口している面に対向する面側に開口している開口部242、および開口部242が開口している面側に開口している開口部243が形成されている。バルブ246は、開口部241を閉じるか、または開口部241を開口部242若しくは開口部243のいずれか一方に連通させる。
【0202】
なお、開口部241、開口部242、開口部243およびバルブ246を、排気側の弁機構とし、開口部251、開口部252、開口部253およびバルブ256を、吸気側の弁機構とすることもできる。
【0203】
なお、バルブ246が回転して、開口部241、開口部242および開口部243を開閉し、バルブ256が回転して、開口部251、開口部252および開口部253を開閉すると説明したが、これに限らず、バルブ246がX軸方向に変位して、開口部241、開口部242および開口部243を開閉し、バルブ256がX軸方向に変位して、開口部251、開口部252および開口部253を開閉するようにしてもよい。この場合、例えば、バルブ246およびバルブ256のX軸方向に、開口部241または開口部251を閉じる部位と、開口部241と開口部242とを連通させるか、または開口部251と開口部252とを連通させる孔と、開口部241と開口部243とを連通させるか、または開口部251と開口部253とを連通させる孔とを順に並べるように形成することができる。
【0204】
また、バルブ246が、開口部241、開口部242および開口部243を開閉し、バルブ256が、開口部251、開口部252および開口部253を開閉すると説明したが、これに限らず、開口部241を開閉するポペットバルブ、開口部242を開閉するポペットバルブおよび開口部243を開閉するポペットバルブ並びに開口部241を開閉するポペットバルブ、開口部242を開閉するポペットバルブおよび開口部243を開閉するポペットバルブを設けるようにしてもよい。
【0205】
さらに、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に開口させて、バルブをシリンダヘッドとシリンダブロックとで回転可能に軸支することができる。
【0206】
図19を参照して、一実施の形態のレシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構の構造のさらに他の例について説明する。
【0207】
図19は、レシプロ式内燃機関301の構成のさらに他の例を示す断面図である。レシプロ式内燃機関301は、ガソリンである燃料を燃焼して動力を出力するか、または水素である燃料を燃焼して動力を出力する。レシプロ式内燃機関301は、6ストローク(6サイクル)で、燃料であるガソリンまたは水素を燃焼して動力を出力する。
【0208】
なお、レシプロ式内燃機関301において、クランクシャフトに対するシリンダヘッドの位置は、いずれであっても良く、直立に限らず、いわゆる、水平または傾斜、倒立など任意とすることができる。また、レシプロ式内燃機関301は、いわゆる単気筒に限らず、並列、直列、V型または水平対向型など複数気筒とすることができる。以下、クランクシャフトに対してシリンダヘッドが上側に配置されている場合のレシプロ式内燃機関301の1つの気筒を例に説明する。以下の例で説明するレシプロ式内燃機関301のクランクシャフトは、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0209】
レシプロ式内燃機関301は、シリンダヘッド321、シリンダブロック322、ピストン323、コネクティングロッド324、クランクシャフト325、ピストンピン326、クランクピン327、クランクケース328および点火プラグ329を含み構成される。シリンダヘッド321は、シリンダブロック322に固定され、シリンダブロック322およびピストン323と共に閉じた空間を形成する。シリンダヘッド321、シリンダブロック322およびピストン323で閉じられた空間内では、燃料が燃焼させられる。
【0210】
シリンダブロック322には、円筒状の空洞であるシリンダ331が形成されている。シリンダブロック322は、シリンダ331内に往復するピストン323を支えて、水素またはガソリンの混合気が燃焼して生じる燃焼ガスを閉じ込めて、燃焼ガスが膨張することで生じる力をピストン323のヘッド(後述するピストン冠面333)に伝達させる。ピストン323は、シリンダ331を、シリンダブロック322と共に密封する。すなわち、シリンダヘッド321の面のうち、ピストン323のピストン冠面と対向する面(後述するシリンダヘッド燃焼室面332)は、ピストン323のピストン冠面およびシリンダ331の内面とで燃焼室を形成する。
【0211】
レシプロ式内燃機関301において、後述する開口部341、開口部342、開口部351および開口部352は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に設けられている。また、レシプロ式内燃機関301において、バルブ346およびバルブ356は、それぞれ、シリンダヘッド321とシリンダブロック322とにより形成されているバルブ支持部347およびバルブ支持部357のそれぞれにより回転自在に軸支されている。すなわち、レシプロ式内燃機関301において、バルブ346およびバルブ356は、それぞれ、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に回転自在に軸支されている。
【0212】
ピストン323、コネクティングロッド324、クランクシャフト325、ピストンピン326、クランクピン327、クランクケース328および点火プラグ329は、それぞれ、レシプロ式内燃機関11のピストン23、コネクティングロッド24、クランクシャフト25、ピストンピン26、クランクピン27、クランクケース28および点火プラグ29と同様なので、その説明は省略する。
【0213】
シリンダヘッド燃焼室面332は、シリンダヘッド321の面のうち、ピストン323のピストン冠面と対向する面(
図19中の下側の面)である。ピストン冠面333は、ピストン323の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面332に対向する、ピストン323の上側の面である。すなわち、シリンダヘッド燃焼室面332、ピストン冠面333およびシリンダ331の内面は、燃焼室を形成する。ピストン323が上死点に移動したとき、シリンダヘッド燃焼室面332、ピストン冠面333およびシリンダ331に囲まれる燃焼室は、所定の容積となる。
【0214】
開口部341は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に設けられている。開口部341は、シリンダヘッド321のシリンダヘッド燃焼室面332とシリンダ331の内面との間に開口している。開口部341は、燃焼室側に開口しているとも言える。開口部341は、所望の形状とされている。例えば、開口部341は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0215】
また、開口部342は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に設けられている。開口部342は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間の外面側に開口している。すなわち、開口部342は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の面のうち、シリンダヘッド321のシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に対向する面側に開口している。開口部342は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の外部側の面に開口しているとも言える。開口部342は、所望の形状とされている。例えば、開口部342は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0216】
シリンダヘッド321には、開口部343およびポート345が形成されている。例えば、開口部343およびポート345は、シリンダヘッド321の右側に形成されている。
【0217】
開口部343は、シリンダヘッド321の上面側に開口している。すなわち、開口部343は、シリンダヘッド321の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面332に対向する面側に開口している。開口部343は、シリンダヘッド321の面のうち、シリンダヘッド321の外部側の面に開口しているとも言える。言い換えれば、開口部343は、開口部342が開口している面側に開口している。開口部343は、所望の形状とされている。例えば、開口部343は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0218】
ポート344およびポート345は、それぞれ、外部と燃焼室とを連通する経路である。ポート344またはポート345は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気を、燃焼室に送り込む経路であるか、または空気である掃気を燃焼室に送り込む経路である。
【0219】
ポート344は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322とにより形成されている。例えば、開口部341、開口部342およびポート344は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の右側に形成されている。
【0220】
ポート344は、孔である。例えば、ポート344は、シリンダヘッド321に形成されている半円柱状の孔とシリンダブロック322に形成されている半円柱状の孔とが合わされることで、円柱状の孔とされている。
【0221】
ポート344は、燃焼室に導入される気体を流すための孔である。ポート344は、気化器または燃料噴射装置などで生成された化石燃料または水素と空気との混合気または燃焼のための空気を流すための孔である。ポート344の一方の端部は、開口部342に連通し、ポート344の他方の端部は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の外部側に開口している。すなわち、開口部342は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の面のうち、開口部341が開口しているシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に対向する面に開口しているポート344に連通している。
【0222】
ポート345は、孔である。ポート345は、シリンダヘッド321に形成されている。ポート345は、燃焼室に導入される気体を流すための孔である。ポート345は、空気である掃気を流すための孔である。ポート345の一方の端部は、開口部343に連通し、ポート345の他方の端部は、シリンダヘッド321の外部側に開口している。ポート345は、ポート344に連通することなく、独立して形成されている。
【0223】
バルブ346は、弁の一例であり、開口部341を閉じるか、または開口部341を開口部342若しくは開口部343のいずれか一方に連通させる。バルブ346は、底面が円形である円柱状に形成されている。バルブ346は、バルブ支持部347の内側に回転自在に装着されている。バルブ346は、クランクシャフト325の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ346は、クランクシャフト325の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト325の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ346は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0224】
バルブ支持部347は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322とにより形成されている、円柱状の孔である。例えば、バルブ支持部347は、シリンダヘッド321に形成されている半円柱状の孔とシリンダブロック322に形成されている半円柱状の孔とが合わされることで、円柱状の孔とされている。なお、バルブ支持部347は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部347は、開口部341、開口部342および開口部343に連通している。バルブ支持部347の内面の形状は、バルブ346の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部347は、バルブ346を回転自在に軸支する。バルブ支持部347にバルブ346が挿入された場合、バルブ支持部347の内面は、バルブ346の外側面(後述するバルブ側面362)に密接して、バルブ支持部347の内面とバルブ346の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0225】
バルブ支持部347の長手方向は、クランクシャフト325の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部347にバルブ346が挿入されると、バルブ346の長手方向は、クランクシャフト325の軸方向に平行とされる。バルブ346の長手方向は、バルブ346の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ346は、クランクシャフト325の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0226】
バルブ346は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ346の外形径(円形の底面の径)は、開口部341、開口部342および開口部343のシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ346には、バルブ孔361が形成されている。バルブ側面362は、円柱状に形成されているバルブ346の側面であって、バルブ支持部347に挿入された場合、バルブ支持部347の内面に接する面である。バルブ側面362は、バルブ孔361を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0227】
バルブ孔361は、開口部341と開口部342とを連通させるか、または開口部341と開口部343とを連通させる。バルブ孔361は、バルブ346の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔361は、バルブ346の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。すなわち、バルブ孔361の一方の端部は、バルブ側面362にバルブ孔開口部381として開口している。また、バルブ孔361の他方の端部は、バルブ側面362にバルブ孔開口部382として開口している。
【0228】
バルブ346は、バルブ46と同様の形状に形成されるので、詳細な説明は省略する。
【0229】
このように、バルブ346は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部341を閉じるか、または開口部341を開口部342若しくは開口部343のいずれか一方に連通させる。
【0230】
開口部341、開口部342および開口部343は、バルブ346が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている。バルブ346が回転する軸の中心と、開口部341、開口部342および開口部343のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部341、開口部342および開口部343のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部341、開口部342および開口部343は、形成されている。より詳細には、例えば、バルブ346が回転する軸の中心と、開口部341、開口部342および開口部343のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部341、開口部342および開口部343のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部341、開口部342および開口部343は、形成されている。
【0231】
開口部341、開口部342、開口部343およびバルブ346は、吸気側の弁機構である。
【0232】
開口部351は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に設けられている。開口部351は、シリンダヘッド321のシリンダヘッド燃焼室面332とシリンダ331の内面との間に開口している。開口部351は、燃焼室側に開口しているとも言える。開口部351は、所望の形状とされている。例えば、開口部351は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0233】
また、開口部352は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間に設けられている。開口部352は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322との間の外面側に開口している。すなわち、開口部352は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の面のうち、シリンダヘッド321のシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に対向する面側に開口している。開口部352は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の外部側の面に開口しているとも言える。開口部352は、所望の形状とされている。例えば、開口部352は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0234】
シリンダヘッド321には、開口部353およびポート355が形成されている。例えば、開口部353およびポート355は、シリンダヘッド321の左側に形成されている。
【0235】
開口部353は、シリンダヘッド321の上面側に開口している。すなわち、開口部353は、シリンダヘッド321の面のうち、シリンダヘッド燃焼室面332に対向する面側に開口している。開口部353は、シリンダヘッド321の面のうち、シリンダヘッド321の外部側の面に開口しているとも言える。言い換えれば、開口部353は、開口部352が開口している面側に開口している。開口部353は、所望の形状とされている。例えば、開口部353は、円形、楕円形、長円形または四角形などとされている。
【0236】
ポート354およびポート355は、それぞれ、外部と燃焼室とを連通する経路である。ポート354またはポート355は、燃焼室で燃焼させられた燃焼ガスの排気または燃焼室に導入された空気である掃気を燃焼室から排出する経路である。
【0237】
ポート354は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322とにより形成されている。例えば、開口部351、開口部352およびポート354は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の左側に形成されている。
【0238】
ポート354は、孔である。例えば、ポート354は、シリンダヘッド321に形成されている半円柱状の孔とシリンダブロック322に形成されている半円柱状の孔とが合わされることで、円柱状の孔とされている。
【0239】
ポート354は、燃焼室から排出される気体を流すための孔である。ポート354は、燃焼室で燃焼させられた燃焼ガスを排出するための孔である。ポート354の一方の端部は、開口部352に連通し、ポート354の他方の端部は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の外部側に開口している。すなわち、開口部352は、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322の面のうち、開口部351が開口しているシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に対向する面に開口しているポート354に連通している。
【0240】
ポート355は、孔である。ポート355は、シリンダヘッド321に形成されている。ポート355は、燃焼室から排出される気体を流すための孔である。ポート355は、燃焼室に導入された空気である掃気を燃焼室から排出するための孔である。ポート355の一方の端部は、開口部353に連通し、ポート355の他方の端部は、シリンダヘッド321の外部側に開口している。ポート355は、ポート354に連通することなく、独立して形成されている。
【0241】
バルブ356は、弁の一例であり、開口部351を閉じるか、または開口部351を開口部352若しくは開口部353のいずれか一方に連通させる。バルブ356は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ356は、バルブ支持部357の内側に回転自在に装着されている。バルブ356は、クランクシャフト325の回転力を伝達するチェーン、ベルト若しくはギヤまたは電動モータなどよりなる図示せぬ駆動部により、回転させられる。バルブ356は、クランクシャフト325の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト325の回転に同期して回転させられる。例えば、バルブ356は、X軸方向を前側から後側に見る場合、反時計回りに回転する。
【0242】
バルブ支持部357は、シリンダヘッド321とシリンダブロック322とにより形成されている、円柱状の孔である。例えば、バルブ支持部357は、シリンダヘッド321に形成されている半円柱状の孔とシリンダブロック322に形成されている半円柱状の孔とが合わされることで、円柱状の孔とされている。なお、バルブ支持部357は、円柱状の穴とすることもできる。バルブ支持部357は、開口部351、開口部352および開口部353に連通している。バルブ支持部357の内面の形状は、バルブ356の外側面の形状に対応するように形成されている。バルブ支持部357は、バルブ356を回転自在に軸支する。バルブ支持部357にバルブ356が挿入された場合、バルブ支持部357の内面は、バルブ356の外側面(後述するバルブ側面372)に密接して、バルブ支持部357の内面とバルブ356の外側面との間からの気体の漏れを防止する。
【0243】
バルブ支持部357の長手方向は、クランクシャフト325の軸方向に平行に形成されている。すなわち、バルブ支持部357にバルブ356が挿入されると、バルブ356の長手方向は、クランクシャフト325の軸方向に平行とされる。バルブ356の長手方向は、バルブ356の回転軸方向と同じである。すなわち、バルブ356は、クランクシャフト325の回転軸に平行の軸を中心に回転させられる。
【0244】
バルブ356は、クランクシャフト325の角度位置に対するバルブ356におけるバルブ孔371の角度位置が異なるほかは、バルブ346と同様に形成される。
【0245】
バルブ356は、底面(前側または後側の面)が円形である円柱状に形成されている。バルブ356の外形径(円形の底面の径)は、開口部351、開口部352および開口部353のシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331のY軸方向およびZ軸方向の間の傾きに沿った長さ(開口の長さ)に比較して、より大きくされている。バルブ356には、バルブ孔371が形成されている。バルブ側面372は、円柱状に形成されているバルブ356の側面であって、バルブ支持部357に挿入された場合、バルブ支持部357の内面に接する面である。バルブ側面372は、バルブ孔371を除いて、平滑な曲面に形成されている。
【0246】
バルブ孔371は、開口部351と開口部352とを連通させるか、または開口部351と開口部353とを連通させる。バルブ孔371は、バルブ356の円柱状の側面の所定の2点を連通する孔である。言い換えると、バルブ孔371は、バルブ356の側面の所定の2か所をつなげるように開けられている。すなわち、バルブ孔371の一方の端部は、バルブ側面372にバルブ孔開口部391として開口している。また、バルブ孔371の他方の端部は、バルブ側面372にバルブ孔開口部392として開口している。
【0247】
このように、バルブ356は、回転軸を中心とした回転方向の角度位置により、開口部351を閉じるか、または開口部351を開口部352若しくは開口部353のいずれか一方に連通させる。
【0248】
開口部351、開口部352および開口部353は、バルブ356が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成されている。バルブ356が回転する軸の中心と、開口部351、開口部352および開口部353のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部351、開口部352および開口部353のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部351、開口部352および開口部353は、形成されている。より詳細には、例えば、バルブ356が回転する軸の中心と、開口部351、開口部352および開口部353のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部351、開口部352および開口部353のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部351、開口部352および開口部353は、形成されている。
【0249】
開口部351、開口部352、開口部353およびバルブ356は、排気側の弁機構である。
【0250】
なお、バルブ346およびバルブ356は、それぞれ、バルブ146およびバルブ156のそれぞれと、同様の形状とすることができる。
【0251】
このように、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322は、ピストン323のピストン冠面333と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に開口している開口部341、開口部341が開口している面に対向する面側に開口している開口部342、および開口部342が開口している面側に開口している開口部343を形成する。バルブ346は、開口部341を閉じるか、または開口部341を開口部342若しくは開口部343のいずれか一方に連通させる。
【0252】
シリンダヘッド321およびシリンダブロック322は、ピストン323のピストン冠面333と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に開口している開口部351、開口部351が開口している面に対向する面側に開口している開口部352、および開口部352が開口している面側に開口している開口部353を形成する。バルブ356は、開口部351を閉じるか、または開口部351を開口部352若しくは開口部353のいずれか一方に連通させる。
【0253】
なお、開口部341、開口部342およびポート344並びに開口部351、開口部352およびポート354がシリンダヘッド321およびシリンダブロック322により形成されていると説明したが、これに限らず、開口部341、開口部343およびポート345並びに開口部351、開口部353およびポート355がシリンダヘッド321およびシリンダブロック322により形成されるようにしてもよい。
【0254】
また、バルブ346が回転して、開口部341、開口部342および開口部343を開閉し、バルブ356が回転して、開口部351、開口部352および開口部353を開閉すると説明したが、これに限らず、なお、バルブ346がX軸方向に変位して、開口部341、開口部342および開口部343を開閉し、バルブ356がX軸方向に変位して、開口部351、開口部352および開口部353を開閉するようにしてもよい。この場合、例えば、バルブ346およびバルブ356のX軸方向に、開口部341または開口部351を閉じる部位と、開口部341と開口部342とを連通させるか、または開口部351と開口部352とを連通させる孔と、開口部341と開口部343とを連通させるか、または開口部351と開口部353とを連通させる孔とを順に並べるように形成することができる。
【0255】
なお、バルブ346が、開口部341、開口部342および開口部343を開閉し、バルブ356が、開口部351、開口部352および開口部353を開閉すると説明したが、これに限らず、開口部341を開閉するポペットバルブ、開口部342を開閉するポペットバルブおよび開口部343を開閉するポペットバルブ並びに開口部341を開閉するポペットバルブ、開口部342を開閉するポペットバルブおよび開口部343を開閉するポペットバルブを設けるようにしてもよい。
【0256】
また、レシプロ式内燃機関11、レシプロ式内燃機関101、レシプロ式内燃機関201またはレシプロ式内燃機関301は、混合気を吸気すると説明したが、これに限らず、燃焼室に直接燃料を噴射するようにしてもよい。
【0257】
なお、レシプロ式内燃機関11、レシプロ式内燃機関101、レシプロ式内燃機関201またはレシプロ式内燃機関301は、ガソリンである燃料を燃焼して動力を出力するか、または水素である燃料を燃焼して動力を出力すると説明したが、これに限らず、軽油、重油(燃料油)または液化石油ガスなどのガス燃料を用いるようにしてもよい。この場合、レシプロ式内燃機関11、レシプロ式内燃機関101、レシプロ式内燃機関201またはレシプロ式内燃機関301は、燃焼室に直接燃料を噴射して圧力着火とすることができる。
【0258】
さらに、レシプロ式内燃機関11、レシプロ式内燃機関101、レシプロ式内燃機関201またはレシプロ式内燃機関301は、生物由来のアルコール燃料やバイオディーゼル燃料または合成燃料を燃焼して動力を出力することができる。
【0259】
このように、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程において、2つの吸気経路から順に吸気できる。または、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程において、2つの排気経路に順に排気できる。
【0260】
例えば、開口部52から排気された排気を触媒コンバーターに送り込み、開口部53から排気された掃気を開口部42に戻すことにより、触媒コンバーターの機能を阻害することなく、排気を処理することができる。例えば、開口部52から排気された排気を触媒コンバーターに送り込み、開口部53から排気された掃気の一部を開口部42に戻し、開口部53から排気された掃気の一部を開口部43に戻すことにより、触媒コンバーターの機能を阻害することなく、排気を処理することができる。さらに、例えば、開口部52から排気された排気の一部を触媒コンバーターに送り込み、開口部52から排気された排気の残りと開口部53から排気された掃気の一部とを開口部42に戻し、開口部53から排気された掃気の一部を開口部43に戻すことにより、触媒コンバーターの機能を阻害することなく、排気を処理することができる。
【0261】
例えば、吸気工程において、開口部42から混合気を吸気して、開口部43から掃気として空気を吸気することで、吸気工程において、燃焼室内の温度を適切に保つことが容易になり、より容易に、異常燃焼を抑止することができる。これにより、水素と空気を予め混合したガスを吸気する予混合ガス吸気方式を採用するレシプロ式内燃機関をより安定して動作させることができる。
【0262】
このように、シリンダヘッド21には、ピストン23のピストン冠面33と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面32に開口している開口部41、開口部41が開口している面に対向する面側に開口している開口部42、および開口部42が開口している面側に開口している開口部43が形成されている。バルブ46は、開口部41を閉じるか、または開口部41を開口部42若しくは開口部43のいずれか一方に連通させる。
【0263】
また、シリンダブロック222には、シリンダ231の内面に開口している開口部241、開口部241が開口している面に対向する面側に開口している開口部242、および開口部242が開口している面側に開口している開口部243が形成されている。バルブ246は、開口部241を閉じるか、または開口部241を開口部242若しくは開口部243のいずれか一方に連通させる。
【0264】
さらに、シリンダヘッド321およびシリンダブロック322は、ピストン323のピストン冠面333と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に開口している開口部341、開口部341が開口している面に対向する面側に開口している開口部342、および開口部342が開口している面側に開口している開口部343を形成する。バルブ346は、開口部341を閉じるか、または開口部341を開口部342若しくは開口部343のいずれか一方に連通させる。
【0265】
シリンダヘッド321およびシリンダブロック322は、ピストン323のピストン冠面333と対向する面であるシリンダヘッド燃焼室面332およびシリンダ331の内面に開口している開口部351、開口部351が開口している面に対向する面側に開口している開口部352、および開口部352が開口している面側に開口している開口部353を形成する。バルブ356は、開口部351を閉じるか、または開口部351を開口部352若しくは開口部353のいずれか一方に連通させる。
【0266】
開口部42を、開口部41が開口している面に対向する面に開口しているポート44に連通させ、開口部43を、開口部41が開口している面に対向する面に開口しているポート45に連通させることができる。
【0267】
ポート45を、ポート44に連通することなく、独立して形成することができる。
【0268】
バルブ46には、レシプロ式内燃機関11の動作周期のおける工程のうちの第1の工程である圧縮工程において、開口部41を閉じ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第2の工程である吸気工程において、開口部41と開口部42とを連通させ、レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程のうちの第3の工程である掃気吸入工程において、開口部41と開口部43とを連通させることができる。
【0269】
バルブ46は、クランクシャフト25の回転数に対して3分の1の回転数で、クランクシャフト25の回転に同期して回転させられ、角度位置により、開口部41を閉じるか、または開口部41を開口部42若しくは開口部43のいずれか一方に連通させるようにすることができる。
【0270】
バルブ46は、クランクシャフト25の回転軸に平行の軸を中心に回転させられるようにすることができる。
【0271】
開口部41、開口部42および開口部43は、バルブ46が回転する軸の中心に対して放射状の位置に形成することができる。
【0272】
バルブ46が回転する軸の中心と、開口部41、開口部42および開口部43のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部41、開口部42および開口部43のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、所定の角度となるように、開口部41、開口部42および開口部43を、形成することができる。
【0273】
バルブ46が回転する軸の中心と、開口部41、開口部42および開口部43のそれぞれの開口の中心とを結ぶ仮想的な線のうち、開口部41、開口部42および開口部43のうちの隣接するものの仮想的な線が挟む角度が、それぞれ、120度となるように、開口部41、開口部42および開口部43を、形成することができる。
【0274】
バルブ46を、底面が円形である円柱状に形成し、バルブ46には、開口部41と開口部42とを連通させるか、または開口部41と開口部43とを連通させる流路であるバルブ孔61を形成することができる。
【0275】
流路を、円柱状の側面の所定の2点を連通する孔であるバルブ孔61とすることができる。
【0276】
流路を、円柱状の側面に形成されている凹部であるバルブ切り欠き部161とすることができる。
【0277】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0278】
11 レシプロ式内燃機関, 21 シリンダヘッド, 22 シリンダブロック, 23 ピストン, 24 コネクティングロッド, 25 クランクシャフト, 26 ピストンピン, 27 クランクピン, 28 クランクケース, 29 点火プラグ, 31 シリンダ, 32 シリンダヘッド燃焼室面, 33 ピストン冠面, 41乃至43 開口部, 44および45 ポート, 46 バルブ, 47 バルブ支持部, 61,61-1および61-2 バルブ孔, 62 バルブ側面, 81,81-1および81-2並びに82,82-1および82-2 バルブ孔開口部, 51乃至53 開口部, 54および55 ポート, 56 バルブ, 57 バルブ支持部, 71 バルブ孔, 72 バルブ側面, 91および92 バルブ孔開口部, 101 レシプロ式内燃機関, 121 シリンダヘッド, 122 シリンダブロック, 123 ピストン, 124 コネクティングロッド, 125 クランクシャフト, 126 ピストンピン, 127 クランクピン, 128 クランクケース, 129 点火プラグ, 131 シリンダ, 132 シリンダヘッド燃焼室面, 133 ピストン冠面, 141乃至143 開口部, 144および145 ポート, 146 バルブ, 147 バルブ支持部, 161,161-1および161-2 バルブ切り欠き部, 162 バルブ側面, 151乃至153 開口部, 154および155 ポート, 156 バルブ, 157 バルブ支持部, 171 バルブ切り欠き部, 172 バルブ側面, 201 レシプロ式内燃機関, 221 シリンダヘッド, 222 シリンダブロック, 223 ピストン, 224 コネクティングロッド, 225 クランクシャフト, 226 ピストンピン, 227 クランクピン, 228 クランクケース, 229 点火プラグ, 231 シリンダ, 232 シリンダヘッド燃焼室面, 233 ピストン冠面, 241乃至243 開口部, 244および245 ポート, 246 バルブ, 247 バルブ支持部, 261 バルブ孔, 262 バルブ側面, 281および282 バルブ孔開口部, 251乃至253 開口部, 254および255 ポート, 256 バルブ, 257 バルブ支持部, 271 バルブ孔, 272 バルブ側面, 291および292 バルブ孔開口部, 301 レシプロ式内燃機関, 321 シリンダヘッド, 322 シリンダブロック, 323 ピストン, 324 コネクティングロッド, 325 クランクシャフト, 326 ピストンピン, 327 クランクピン, 328 クランクケース, 329 点火プラグ, 331 シリンダ, 332 シリンダヘッド燃焼室面, 333 ピストン冠面, 341乃至343 開口部, 344および345 ポート, 346 バルブ, 347 バルブ支持部, 361 バルブ孔, 362 バルブ側面, 381および382 バルブ孔開口部, 351乃至353 開口部, 354および355 ポート, 356 バルブ, 357 バルブ支持部, 371 バルブ孔, 372 バルブ側面, 391および392 バルブ孔開口部
【要約】
レシプロ式内燃機関の動作周期のおける工程において、2つの吸気経路から順に吸気できるようにするか、または2つの排気経路に順に排気できるようにする。レシプロ式内燃機関の吸気または排気の弁機構は、ピストンのピストン冠面と対向する面に開口しているか、若しくはシリンダの内面に開口している第1の開口部、第1の開口部が開口している面に対向する面側に開口している第2の開口部、および第2の開口部が開口している面側に開口している第3の開口部が形成されているかまたは形成するシリンダヘッドまたは/およびシリンダブロックと、第1の開口部を閉じるか、または第1の開口部を第2の開口部若しくは第3の開口部のいずれか一方に連通させる弁とを備える。