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特許7354485気密性能測定方法及び気密性能測定装置用の風量計セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】気密性能測定方法及び気密性能測定装置用の風量計セット
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G01M3/26 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022042035
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591057669
【氏名又は名称】株式会社マツナガ
(73)【特許権者】
【識別番号】506353585
【氏名又は名称】学校法人ものつくり大学
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】松岡 大介
(72)【発明者】
【氏名】松永 潤一郎
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228537(JP,A)
【文献】特開2001-091397(JP,A)
【文献】特開平10-281922(JP,A)
【文献】特開2019-095448(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129997(WO,A1)
【文献】内海康雄,“気密性能の測定法と解説”,IBEC(Inst Build Energy Conserv),1993年11月,Vol.14 No.4,pp.31-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 - 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気用送風機を用いて住宅内又は部屋内のエアを外部に排気した際の前記住宅内又は前記部屋内の減圧に基づいて前記住宅又は前記部屋の気密性能を測定する気密性能測定方法であって、
前記住宅又は前記部屋に設けられたレンジフード又は換気扇の排気ファンを前記排気用送風機として用い、
前記気密性能の測定を準備する準備ステップとして、
風量計の風量計本体の排気口と前記レンジフード又は前記換気扇の吸気口とを筒状連結部材により連結する風量計本体配置ステップと、
前記住宅又は前記部屋の内部圧力と外部圧力の圧力差を検出する圧力検出手段を設ける圧力検出手段配置ステップと
を含み、
前記気密性能の測定を実施する測定実施ステップとして、
前記排気ファンを作動させて前記住宅内又は前記部屋内のエアを外部に排気して前記住宅内又は前記部屋内を減圧する減圧ステップと、
前記風量計本体を通過する通気量を検出する通気量検出ステップと、
前記圧力検出手段により前記圧力差を検出する圧力差検出ステップと、
前記通気量と前記圧力差により前記住宅又は前記部屋の気密性能値をコンピュータ又はユーザが算出する気密性能値算出ステップと
を有する
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の気密性能測定方法において、
前記圧力検出手段は、前記住宅又は前記部屋の内部圧力と外部圧力の圧力差を検出する差圧計であり、
前記圧力検出手段配置ステップは、前記差圧計の一方のポートを前記住宅又は前記部屋の内部に連通させ、前記差圧計の他方のポートを前記住宅又は前記部屋の外部に連通させる差圧計準備ステップを含み、
前記圧力差検出ステップは、前記差圧計により前記圧力差を検出す
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気密性能測定方法において、
前記レンジフード又は前記換気扇の前記排気ファンは、停止状態以外に複数の動作モードを選択可能であり、
前記測定実施ステップでは、前記複数の動作モード毎に、前記通気量検出ステップ、前記圧力差検出ステップ及び前記気密性能値算出ステップを実施する
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の気密性能測定方法において、
前記筒状連結部材は、可撓性を有する筒状シート部材を、少なくとも前記レンジフード又は前記換気扇との連結部分に含む
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の気密性能測定方法において、
前記筒状連結部材は、前記筒状シート部材のみから構成される
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の気密性能測定方法において、
前記筒状シート部材の上流側端部は、上流側マグネット若しくは粘着材又は面ファスナにより前記風量計本体の排気口側に連結される
を有することを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の気密性能測定方法において、
前記筒状シート部材の下流側端部は、目張り用テープにより前記レンジフード又は前記換気扇に連結される
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の気密性能測定方法において、
前記レンジフードの前記排気ファンを前記排気用送風機として用い、
前記風量計本体は、前記エアが通過する筒状筐体を有し、
前記風量計本体配置ステップでは、前記風量計本体の吸気側が下側に且つ前記風量計本体の排気側が上側となるように前記筒状連結部材を介して前記風量計本体を前記レンジフードのフード部により吊り下げさせる
ことを特徴とする気密性能測定方法。
【請求項9】
住宅又は部屋に設けられたレンジフード又は換気扇の排気ファンを排気用送風機として用いて前記住宅内又は前記部屋内のエアを外部に排気した際の前記住宅内又は前記部屋内の減圧に基づいて前記住宅又は前記部屋の気密性能を測定する気密性能測定装置用の風量計セットであって、
前記気密性能測定装置用の風量計セットは、
風量計本体内の通気量を検出する風量計と、
前記風量計本体の排気口と前記レンジフード又は前記換気扇の吸気口とを連結する筒状連結部材と
を有し、
前記筒状連結部材は、可撓性を有する筒状シート部材を、少なくとも前記レンジフード又は前記換気扇との連結部分に含む
ことを特徴とする気密性能測定装置用の風量計セット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅又は部屋の気密性能を測定する気密性能測定方法及び気密性能測定装置用の風量計セットに関する。より具体的には、排気用送風機を用いて住宅内又は部屋内のエアを外部に排気した際の住宅内又は部屋内の減圧に基づいて住宅又は部屋の気密性能を測定する気密性能測定方法及び気密性能測定装置用の風量計セットに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱効果、暖房効率、冷房効率等を評価する観点から、住宅又は部屋の気密性能を測定する気密性能測定が行われている。そのような気密性能測定に関し、日本産業規格(JIS)で規格が設けられている(非特許文献1)。非特許文献1では、送風機を用いて建物内外に圧力差を生じさせ,主に住宅に供する建物及び建物の部位における気密性能を試験する。この試験には、送風機により建物外から建物内にエアを吸入して建物内を加圧して圧力差を生じさせる方法(加圧法)と、送風機により建物内から建物外にエアを排出して建物内を減圧して圧力差を生じさせる方法(減圧法)が存在する。
【0003】
送風機は、建物内外の境界部分である窓又はその他の開口部(扉等)に配置される。例えば減圧法の場合、窓を開けた状態で、送風機の吸気側が建物内に位置し、排気側が建物外に位置するように送風機を窓の開口部に配置する。窓の開口部のうち送風機以外の部分は、ビニールシートを被せて目張りする(隙間をテープ等により塞ぐ)。このような状態で送風機を作動させて建物内外の圧力差を生じさせる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】日本産業規格(JIS) A2201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、非特許文献1では、送風機を用いて建物内外に圧力差(換言すると、エアの排出に伴う建物内の圧力変化)を生じさせ,主に住宅に供する建物及び建物の部位における気密性能を試験する。この送風機は、建物内外の境界部分である窓又はその他の開口部(扉等)に配置され、送風機以外の部分は、ビニールシート等により閉塞されるが、送風機の持ち運び、設置等に手間がかかる。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、簡易に気密性能を評価することが可能な気密性能測定方法及び気密性能測定装置用の風量計セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気密性能測定方法は、排気用送風機を用いて住宅内又は部屋内のエアを外部に排気した際の前記住宅内又は前記部屋内の減圧に基づいて前記住宅又は前記部屋の気密性能を測定する気密性能測定方法であって、
前記住宅又は前記部屋に設けられたレンジフード又は換気扇の排気ファンを前記排気用送風機として用い、
前記気密性能の測定を準備する準備ステップとして、
風量計の風量計本体の排気口と前記レンジフード又は前記換気扇の吸気口とを筒状連結部材により連結する風量計本体配置ステップと、
前記住宅又は前記部屋の内部圧力と外部圧力の圧力差を検出する圧力検出手段を前記住宅内又は前記部屋内に設ける圧力検出手段配置ステップと
を含み、
前記気密性能の測定を実施する測定実施ステップとして、
前記排気ファンを作動させて前記住宅内又は前記部屋内のエアを外部に排気して前記住宅内又は前記部屋内を減圧する減圧ステップと、
前記風量計本体を通過する通気量を検出する通気量検出ステップと、
前記圧力検出手段により前記圧力差を検出する圧力差検出ステップと、
前記通気量と前記圧力差により前記住宅又は前記部屋の気密性能値をコンピュータ又はユーザが算出する気密性能値算出ステップと
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、住宅(建物)又は部屋(建物の部位)に設けられたレンジフード又は換気扇の排気ファンを排気用送風機として用いる。そのため、気密性能測定のために別の排気用送風機を用いるための準備作業を省略可能となる。従って、簡易に気密性能を評価することが可能となる。
【0009】
また、本発明によれば、風量計本体の排気口とレンジフード又は換気扇の吸気口とを筒状連結部材を介して連結した状態で、風量計本体を通過する通気量を検出する。従って、気密性能値の算出に通気量が必要な場合でも、簡易に通気量を取得することが可能となる。
【0010】
前記圧力検出手段は、前記住宅又は前記部屋の内部圧力と外部圧力の圧力差を検出する差圧計であってもよい。また、前記圧力検出手段配置ステップは、前記差圧計の一方のポートを前記住宅又は前記部屋の内部に連通させ、前記差圧計の他方のポートを前記住宅又は前記部屋の外部に連通させる差圧計準備ステップを含んでもよい。前記圧力差検出ステップは、前記差圧計により前記圧力差を検出してもよい。
【0011】
前記レンジフード又は前記換気扇の前記排気ファンは、停止状態以外に複数の動作モードを選択可能であってもよい。また、前記測定実施ステップでは、前記複数の動作モード毎に、前記通気量検出ステップ、前記圧力差検出ステップ及び前記気密性能値算出ステップを実施してもよい。これにより、通気量及び圧力差の組合せ毎の気密性能値を取得することで、気密性能の測定信頼性を高めることが可能となる。
【0012】
前記筒状連結部材は、可撓性を有する筒状シート部材を、少なくとも前記レンジフード又は前記換気扇との連結部分に含んでもよい。これにより、レンジフード又は換気扇側の取付け形状に筒状シート部材の形状を合わせることが可能となる。これにより、複数種類のレンジフード又は換気扇に対応し易くなる。
【0013】
前記筒状連結部材は、前記筒状シート部材のみから構成されてもよい。これにより、非利用時には筒状連結部材を畳んで保管することが可能となる。
【0014】
前記筒状シート部材の上流側端部は、上流側マグネット若しくは粘着材又は面ファスナにより前記風量計本体の排気口側に連結されてもよい。これにより、筒状シート部材の上流側端部を簡易に風量計本体に連結可能となる。
【0015】
前記筒状シート部材の下流側端部は、目張り用テープにより前記レンジフード又は前記換気扇に連結されてもよい。これにより、筒状シート部材の下流側端部をレンジフード又は換気扇に密着可能となる。
【0016】
前記レンジフードの前記排気ファンを前記排気用送風機として用いる場合、前記風量計本体は、前記エアが通過する筒状筐体を有してもよい。また、前記風量計本体配置ステップでは、前記風量計本体の吸気側が下側に且つ前記風量計本体の排気側が上側となるように前記筒状連結部材を介して前記風量計本体を前記レンジフードのフード部により吊り下げさせてもよい。これにより、筒状連結部材を介して風量計本体をレンジフードのフード部に吊り下げることで、比較的簡易に風量計本体及び筒状連結部材の配置を行うことが可能となる。また、吊り下げた状態の風量計本体は、吸気口が下側に位置する場合であっても、吸気口と台所テーブルとの間に隙間を生じるように風量計本体を配置することで、確実に風量計本体にエアを流すことが可能となる。
【0017】
本発明に係る気密性能測定装置用の風量計セットは、住宅又は部屋に設けられたレンジフード又は換気扇の排気ファンを排気用送風機として用いて前記住宅内又は前記部屋内のエアを外部に排気した際の前記住宅内又は前記部屋内の減圧に基づいて前記住宅又は前記部屋の気密性能を測定する気密性能測定装置用のものであって、
前記気密性能測定装置用の風量計セットは、
風量計本体内の通気量を検出する風量計と、
前記風量計本体の排気口と前記レンジフード又は前記換気扇の吸気口とを連結する筒状連結部材と
を有し、
前記筒状連結部材は、可撓性を有する筒状シート部材を、少なくとも前記レンジフード又は前記換気扇との連結部分に含む
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易に気密性能を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る気密性能測定装置を住宅に適用した状態を簡略的に示す概略構成図である。
図2】前記実施形態に係る前記気密性能測定装置において気密性能値を算出する構成を簡略的に示す概略構成図である。
図3】前記実施形態においてレンジフードに風量計の風量計本体を設置した状態を示す図である。
図4】前記実施形態において筒状連結部材(筒状シート部材)の上流側端部を風量計本体の排気部に取り付ける際の状態を示す図である。
図5】前記実施形態における前記気密性能測定装置の準備作業のフローチャートである。
図6】前記実施形態における気密性能測定装置を用いての測定実施のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.一実施形態
<A-1.構成>
[A-1-1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る気密性能測定装置10を住宅90に適用した状態を簡略的に示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る気密性能測定装置10において気密性能値を算出する構成を簡略的に示す概略構成図である。気密性能測定装置10(以下「測定装置10」ともいう。)は、排気用送風機を用いて住宅90(建物)内又は部屋92(建物の部位)内のエアを外部に排気した際の住宅90内又は部屋92内の減圧に基づいて住宅90又は部屋92の気密性能を測定する。
【0021】
本実施形態の測定装置10では、レンジフード20の排気ファン200を排気用送風機として用いる。測定装置10は、排気ファン200に加えて、風量計30と、筒状連結部材40と、差圧計50と、内部温度計60と、外部温度計62と、気密性能値算出装置70とを有する。これらに加えて、住宅90外又は部屋92外の風速を検出する風速計(図示せず)を設けてもよい。図1において、矢印900は、減圧に際して風量計30に取り込まれるエアの流れを示す。矢印902は、減圧に際して風量計30及び筒状連結部材40内を流れるエアの流れを示す。矢印904は、減圧に際して排気ファン200から住宅90の外部に排出されるエアの流れを示す。矢印906は、減圧に際して住宅90の隙間(閉じた状態の窓、ドア等におけるもの)を介して住宅90内に取り込まれるエアの流れを示す。
【0022】
[A-1-2.排気ファン200]
上記の通り、排気ファン200は、元々住宅90又は部屋92に設けられたレンジフード20に含まれるものが排気用送風機として用いられる。排気ファン200の動作は、レンジフード20に設けられた排気ファンコントローラ202(図2)をユーザが操作することにより制御される。排気ファン200の動作モードとしては、停止状態(オフ)以外に複数の動作モード(弱、普通、強)を選択可能である。
【0023】
[A-1-3.風量計30]
図3は、本実施形態においてレンジフード20に風量計30の風量計本体300を設置した状態を示す図である。風量計30は、風量計本体300及び風量計コントローラ302を有し、風量計本体300内の通気量Fを検出する。風量計コントローラ302は、例えば、台所テーブル910上に配置される。また、風量計本体300と風量計コントローラ302は、接続ケーブル304を介して接続される(図3)。風量計本体300は、エアが通過する矩形状の筒状筐体3000を有する。
【0024】
図1及び図3に示すように、風量計本体300は、筒状連結部材40を介してレンジフード20に吊り下げられる。本実施形態において、筒状連結部材40を介してレンジフード20に連結された風量計本体300は、その下端が台所テーブル910等に接触することなく、宙に浮いた状態となる。その代わりに、風量計本体300は、風量計本体300へのエアの取り込みを阻害しないようにエア流路が確保された治具により下方から支持された状態で、筒状連結部材40を介してレンジフード20から吊り下げられてもよい。当該治具としては、例えば、柱状(例えば四角柱状若しくは円柱状)又は錐台状(例えば四角錐台状若しくは円錐台状)の枠体を用いることができる。或いは、当該治具は、風量計本体300を支持する環状部材と、この環状部材から下方又は斜め下方に延在する複数の脚を有する部材(例えば、三脚状部材)を用いることができる。当該治具により、風量計本体300の位置をより安定させた状態で通気量Fの検出が可能となる。
【0025】
また、風量計本体300は、筒状筐体3000(以下「筐体3000」ともいう。)に加え、吸気部3002と、排気部3004と、センサ部3006と、吊り下げ紐3008と、風量計マグネット3010とを有する。
【0026】
筐体3000は、風量計本体300の大半を占め、例えばプラスチック製又は金属製(例えば鉄製若しくはアルミニウム製)である。但し、本実施形態において、筐体3000のフランジ3012(後述)は、マグネットがくっつく素材(例えば鉄等の金属)である。吸気部3002は、上流側に向かって拡がっている。排気部3004は、矩形状であり、筒状連結部材40を取り付けるための矩形状のフランジ3012を有する。センサ部3006は、筐体3000内を流れるエアの量(通気量F)を検出するセンサ(図示せず)を含む。吊り下げ紐3008は、その一方が筐体3000に設けられた紐取付部3014に取り付けられ、他方に風量計マグネット3010に取り付けられる。風量計マグネット3010は、例えば円状であり、風量計本体300をレンジフード20に取り付ける。
【0027】
風量計コントローラ302は、風量計30全体を制御するものであり、図1図3に示すように、操作部3020と表示部3022を有する。操作部3020は、ユーザ(作業者)による操作入力を受け付ける。表示部3022は、風量計30の操作や測定値の表示を行う。図1及び図3に示すように、操作部3020及び表示部3022は、差圧計50と共にコントローラボックス80内に収納される。コントローラボックス80は、例えば樹脂からなる収納ケースである。操作部3020、表示部3022及び差圧計50は、コントローラボックス80なしに分離されて配置されてもよい。
【0028】
[A-1-4.筒状連結部材40]
図3に示すように、筒状連結部材40は、風量計本体300の排気部3004とレンジフード20のフード部204(吸気口)(図3)とを連結する。レンジフード20への取付け前の本実施形態の筒状連結部材40は、例えば四角錐台状又は円錐台状である。本実施形態の筒状連結部材40は、可撓性を有する筒状シート部材400からなり、筒状シート部材400は、例えば、ビニール製である。筒状シート部材400の下流側端部は、目張り用テープ402により、レンジフード20に連結される。これにより、隙間を塞いだ状態(すなわち密着させた状態)で筒状シート部材400の下流側端部をレンジフード20に連結可能となる。また、レンジフード20のうち目張り用テープ402の周辺には、棒状マグネット403及び風量計本体300の風量計マグネット3010が取り付けられる。棒状マグネット403は、レンジフード20に対する筒状シート部材400の連結を補強する。また、吊り下げ紐3008及び風量計マグネット3010は、万が一、筒状シート部材400がレンジフード20から外れた際に風量計本体300の落下防止用(換言すると、台所テーブル910との衝突防止用)である。
【0029】
図4は、本実施形態において筒状連結部材40(筒状シート部材400)の上流側端部を風量計本体300の排気部3004に取り付ける際の状態を示す図である。図4に示すように、筒状シート部材400の上流側端部は、環状の上流側マグネット404を風量計本体300の排気部3004のフランジ3012に固定することより取り付けられる。すなわち、上流側マグネット404をフランジ3012から離した状態で、上流側マグネット404とフランジ3012の間に筒状シート部材400の上流側端部を配置させる。その状態で上流側マグネット404を磁力によりフランジ3012にくっつける(矢印406参照)。
【0030】
なお、風量計本体300のフランジ3012が上流側マグネット404と磁力により接触しづらい素材(例えばアルミニウム等の金属又はプラスチック)でできている場合、フランジ3012を挟んで上流側マグネット404と反対側に別の上流側マグネット(第2上流側マグネット。図示せず)を設けて上流側マグネット404と第2上流側マグネットを磁力によりくっつけることで上記と同様に筒状シート部材400の上流側端部を固定することが可能となる。
【0031】
[A-1-5.差圧計50]
差圧計50(図1図3)は、住宅90内又は部屋92内の圧力変化量を検出する圧力検出手段である。より具体的には、差圧計50は、住宅90又は部屋92の内部圧力Piと外部圧力Poの圧力差(差圧Dp)を検出する。差圧計50は、2つのポート500、502(図3)を有する。本実施形態では、一方のポート500を住宅90又は部屋92の内部に連通させると共に、他方のポート502を住宅90又は部屋92の外部に連通させる(図1)。圧力測定対象となる部位(ここでは住宅90又は部屋92の内部及び外部)とポート500、502の一方又は両方の連結は、チューブを介して行ってもよい。図1及び図3の例では、ポート502がチューブ504を介して住宅90又は部屋92の外部と連結されている。また、図3の矢印506は、チューブ504がポート502に接続される方向を示している。
【0032】
[A-1-6.内部温度計60及び外部温度計62]
内部温度計60(図1及び図2)は、住宅90又は部屋92の内部温度Tiを検出する。外部温度計62(図1及び図2)は、住宅90又は部屋92の外部温度Toを検出する。
【0033】
[A-1-7.気密性能値算出装置70]
気密性能値算出装置70(以下「算出装置70」ともいう。)(図1及び図2)は、風量計30が検出した通気量Fと、差圧計50が検出した差圧Dp(圧力変化量)に基づいて住宅90又は部屋92の気密性能値Vを算出する。気密性能値Vは、例えば非特許文献1(JIS A2201)で規定されている気密性能値(例えば総相当隙間面積若しくは相当隙間面積)又は内部エア密度が用いられる。
【0034】
気密性能値Vの算出は、算出に必要な値(通気量F、差圧Dp等)をユーザが算出装置70に入力することで行われる。そのような場合、算出装置70は、表計算を行うソフトウェア(表計算ソフト)及びこれを実行するハードウェア(パーソナルコンピュータ、スマートホン等)により構成される。或いは、算出に必要な値(通気量F、差圧Dp等)を測定装置10(風量計30、差圧計50、内部温度計60及び外部温度計62)の一部又は全部から算出装置70が自動取得することで行ってもよい。そのような場合、算出装置70は、表計算ソフトを実行するハードウェアが各測定装置との通信を行うハードウェア及びソフトウェアを有するものとなる。
【0035】
<A-2.本実施形態の測定>
[A-2-1.概要]
次に、本実施形態の測定装置10を用いた気密性能評価について説明する。以下では、測定装置10の準備(図5)と測定装置10を用いた測定実施(図6)について説明する。ここでの測定は、レンジフード20の排気ファン200を排気用送風機として用いて住宅90内又は部屋92内のエアを外部に排気した際の住宅90内又は部屋92内の減圧に基づいて住宅90又は部屋92の気密性能を測定するものである。
【0036】
[A-2-2.測定準備]
図5は、本実施形態における測定装置10の準備作業のフローチャートである。図5の各作業(ステップS11~S13)は、ユーザ(作業者)が実行する。ステップS11~S13の順番は適宜入替え可能である。
【0037】
ステップS11において、ユーザは、風量計30を準備する。具体的には、ユーザは、上流側マグネット404を用いて風量計本体300の排気部3004(フランジ3012)と筒状連結部材40の上流側端部とを連結する(図3及び図4)。また、ユーザは、目張り用テープ402、棒状マグネット403及び風量計本体300の風量計マグネット3010を用いて筒状連結部材40の下流側端部をレンジフード20のフード部204(吸気口)に連結する(図3)。これにより、風量計本体300は、筒状連結部材40を介してレンジフード20から吊り下がった状態となる(図3)。換言すると、風量計本体300は、風量計本体300の吸気側が下側に且つ風量計本体300の排気側が上側となるように筒状連結部材40を介してレンジフード20のフード部204により吊り下がる。
【0038】
また、接続ケーブル304を用いて風量計本体300と風量計コントローラ302を接続し(図3)、風量計30の電源をオンにして通気量Fを測定可能な状態とする。この際、初期状態の通気量Fをゼロとする通気量セロ点調整を行ってもよい。
【0039】
ステップS12において、ユーザは、差圧計50を準備する。具体的には、差圧計50の一方のポート500(内部用ポート500)を住宅90又は部屋92の内部に連通させると共に、差圧計50の他方のポート502(外部用ポート502)を住宅90又は部屋92の外部に連通させる(図1)。例えば、差圧計50(差圧計本体)を住宅90又は部屋92の内部に配置する場合、外部用ポート502と連結する可撓性チューブ504を、例えば窓920(又はドア922)の隙間を介して住宅90又は部屋92の外部まで引き回す。その上で、窓920(又はドア922)の隙間は、養生テープで目張り(閉塞)する。配置後の差圧計50の電源をオンにして差圧Dpを測定可能な状態とする。この際、初期状態の差圧Dpをゼロとする差圧セロ点調整を行ってもよい。
【0040】
ステップS13において、ユーザは、内部温度計60及び外部温度計62を準備する。すなわち、内部温度計60を住宅90又は部屋92の内部の所定位置に配置し、外部温度計62を住宅90又は部屋92の外部の所定位置に配置する。配置後又は配置前に内部温度計60及び外部温度計62の電源をオンにして内部温度Ti及び外部温度Toの測定を開始する。なお、内部温度Ti又は外部温度Toが、気密性能値Vの測定に適したものでない場合、この時点で気密性能値Vの測定を中止する場合もあり得る。
【0041】
[A-2-3.測定実施]
図6は、本実施形態における測定装置10を用いての測定実施のフローチャートである。ステップS21において、ユーザ(作業者)は、レンジフード20の排気ファン200を作動させて住宅90内又は部屋92内のエアを外部に排気して住宅90内又は部屋92内を減圧する(減圧処理)。ステップS22において、ユーザは、排気ファン200の動作モードを選択する。すなわち、本実施形態の排気ファン200は、複数の動作モード(弱、普通、強)を有している。そこで、ユーザは、レンジフード20の排気ファンコントローラ202を操作して動作モードを選択する。
【0042】
ステップS23において、風量計30により風量計本体300を通過するエアの量(通気量F)を測定する。ユーザは、風量計コントローラ302に表示された通気量Fの値を読み取る。或いは、測定された通気量Fの値を風量計コントローラ302の記憶装置に記憶することで通気量Fを取得してもよい。或いは、測定された通気量Fの値を風量計コントローラ302の無線通信装置から外部記憶装置に送信して外部記憶装置に記憶することで通気量Fを取得してもよい。
【0043】
ステップS24において、差圧計50により差圧Dpを測定する。ユーザは、差圧計50に表示された差圧Dpの値を読み取る。或いは、測定された差圧Dpの値を差圧計50の記憶装置に記憶することで差圧Dpを取得してもよい。或いは、測定された差圧Dpの値を差圧計50の無線通信装置から外部記憶装置に送信して外部記憶装置に記憶することで差圧Dpを取得してもよい。
【0044】
ステップS25において、内部温度計60により内部温度Tiを測定し、外部温度計62により外部温度Toを測定する。ユーザは、内部温度計60及び外部温度計62に表示された内部温度Ti及び外部温度Toの値を読み取る。或いは、測定された内部温度Ti及び外部温度Toの値を内部温度計60及び外部温度計62の記憶装置に記憶することで内部温度Ti及び外部温度Toを取得してもよい。或いは、測定された内部温度Ti及び外部温度Toの値を内部温度計60及び外部温度計62の無線通信装置から外部記憶装置に送信して外部記憶装置に記憶することで内部温度Ti及び外部温度Toを取得してもよい。
【0045】
なお、内部温度Ti及び外部温度Toを気密性能値Vの算出自体に用いるのではなく、気密性能値Vの算出が可能な状態であるかを判定することのみに用いる場合、ステップS25の頻度は、ステップS23、S24よりも少なくてもよい。或いは、内部温度Ti及び外部温度Toの検出は、準備段階(図5)のみ又は準備段階(図5)及び測定終了後のみで行うことも可能である。
【0046】
ステップS26において、気密性能値算出装置70により気密性能値Vを算出する。気密性能値Vは、通気量F、差圧Dp等により算出されるものであり、例えば非特許文献1(JIS A2201)で規定されている気密性能値(例えば総相当隙間面積又は相当隙間面積若しくは内部エア密度)が用いられる。気密性能値Vの算出は、算出に必要な値(通気量F、差圧Dp等)をユーザが算出装置70に入力することで行われる。
【0047】
そのような場合、気密性能値算出装置70は、表計算を行うソフトウェア(表計算ソフト)及びこれを実行するハードウェア(パーソナルコンピュータ、スマートホン等)により構成される。或いは、算出に必要な値(通気量F、差圧Dp等)を測定装置10(風量計30、差圧計50、内部温度計60及び外部温度計62)の一部又は全部から算出装置70が自動取得することで行ってもよい。そのような場合、気密性能値算出装置70は、表計算ソフトを実行するハードウェアが各測定装置との通信を行うハードウェア及びソフトウェアを有するものとなる。或いは、気密性能値Vの算出は、ユーザが電卓等を用いて計算することも可能である。
【0048】
ステップS27において、ユーザは、排気ファン200の動作モードのうち測定すべき全ての動作モードでデータ取得(気密性能値V取得)を完了したかを判定する。まだデータ取得を行っていない動作モードがある場合(S27:NO)、ステップS22に戻り、当該動作モードを選択してステップS23~S26を実行する。測定すべき全ての動作モードでデータ取得(気密性能値V取得)を完了した場合(S27:YES)、ステップS28に進む。
【0049】
ステップS28において、ユーザは、取得した気密性能値Vに基づくレポートを作成する。上記のように、本実施形態では、排気ファン200の動作モード毎(換言すると、通気量F及び差圧Dpの組合せ毎)に気密性能値Vを取得するため、通気量F及び差圧Dpの組合せ毎に気密性能値Vをレポートで表示することが可能となる。特に、当該組合せが3つ以上ある場合、当該組合せ毎の気密性能値Vを直線ではなく、曲線として表示することが可能となる。レポートの作成は、レポート作成を行うソフトウェア及びこれを実行するハードウェア(パーソナルコンピュータ、スマートホン等)により行うことも可能である。
【0050】
なお、住宅90外又は部屋92外の風速を検出する風速計(図示せず)を設ける場合、通気量Fの測定中に風速が所定の風速閾値を超えるかどうかをユーザ又は風速計等により監視し、風速が風速閾値を超えた場合、通気量Fの測定を中止してもよい。
【0051】
<A-3.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、住宅90又は部屋92に設けられたレンジフード20の排気ファン200を排気用送風機として用いる(図1図3)。そのため、気密性能測定のために別の排気用送風機を用いるための準備作業を省略可能となる。従って、簡易に気密性能を評価することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態によれば、風量計本体300の排気部3004(フランジ3012)とレンジフード20のレンジフード202(吸気口)とを筒状連結部材40を介して連結した状態(図3)で、風量計本体300を通過する通気量Fを検出する(図6のS23)。従って、気密性能値Vの算出に通気量Fが必要な場合でも、簡易に通気量Fを取得することが可能となる。
【0053】
本実施形態において、レンジフード20の排気ファン200は、停止状態以外に複数の動作モードを選択可能である。また、図6の測定実施(測定実施ステップ)では、複数の動作モード毎に、通気量検出(S23:通気量検出ステップ)、差圧検出(S24:圧力変化量検出ステップ)及び気密性能値算出(S26:気密性能値算出ステップ)を実施する。これにより、通気量F及び差圧Dpの組合せ毎の気密性能値Vを取得することで、気密性能の測定信頼性を高めることが可能となる。
【0054】
本実施形態において、筒状連結部材40は、可撓性を有する筒状シート部材400を、少なくともレンジフード20との連結部分に含む(図3)。これにより、レンジフード20側の取付け形状に筒状シート部材400の形状を合わせることが可能となる。これにより、複数種類のレンジフード20に対応し易くなる。
【0055】
本実施形態において、筒状連結部材40は、筒状シート部材400のみから構成される(図3)。これにより、非利用時には筒状連結部材40を畳んで保管することが可能となる。
【0056】
本実施形態において、筒状シート部材400の上流側端部は、上流側マグネット404により風量計本体300の排気部3002側に連結される(図4)。これにより、筒状シート部材400の上流側端部を簡易に風量計本体300に連結可能となる。
【0057】
本実施形態において、筒状シート部材400の下流側端部は、目張り用テープ402によりレンジフード20に連結される(図3)。これにより、筒状シート部材400の下流側端部をレンジフード20に密着可能となる。
【0058】
本実施形態において、レンジフード20の排気ファン200を排気用送風機として用いる(図1図3)。また、風量計本体300は、エアが通過する筒状筐体3000を有する(図3)。図5の測定準備(準備ステップ)における風量計30の準備(S11)では、風量計本体300の吸気側が下側に且つ風量計本体300の排気側が上側となるように筒状連結部材40を介して風量計本体300をレンジフード20のフード部204により吊り下げさせる(図3)。
【0059】
これにより、筒状連結部材40を介して風量計本体300をレンジフード20のフード部204に吊り下げることで、比較的簡易に風量計本体300及び筒状連結部材40の配置を行うことが可能となる。また、吊り下げた状態の風量計本体300は、吸気部3002が下側に位置する場合であっても、吸気部3002と台所テーブル910との間に隙間を生じるように風量計本体300を配置することで、確実に風量計本体300にエアを流すことが可能となる。
【0060】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成等を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0061】
<B-1.構成>
上記実施形態では、レンジフード20の排気ファン200を排気用送風機として用いた(図1図3)。しかしながら、例えば、住宅90又は部屋92に設けられた排気ファン200を用いて気密性能を測定する点に着目すれば、これに限らない。例えば、換気扇の排気ファンを排気用送風機として用いることも可能である。但し、レンジフード20の場合、筒状連結部材40を介して風量計本体300をフード部204に吊り下げることができたが(図3)、換気扇ではフード部204のように風量計本体300を吊り下げ可能な部位が存在しない。そのため、換気扇の排気ファンを用いる場合、筒状連結部材40は、比較的変形し難い素材(例えば、比較的硬度が高いプラスチック、又は金属(アルミニウム若しくは鉄等))により構成してもよい。或いは、換気扇に取り付ける治具(フード部204のような部位を形成するもの)を用いて、風量計本体300を吊り下げてもよい。
【0062】
上記実施形態では、住宅90内又は部屋92内の圧力変化量を検出する圧力検出手段として、内部圧力Pi及び外部圧力Poの差圧Dpを検出する差圧計50を用いた(図1図3)。しかしながら、例えば、住宅90内又は部屋92内の圧力変化量(又は差圧Dp)を検出する点に着目すれば、これに限らない。例えば、差圧計50の代わりに、住宅90は部屋92の内部及び外部に内部圧力計及び外部圧力計を設け、それぞれの検出値から差圧Dpを算出してもよい。或いは、住宅90内又は部屋92内の内部圧力Piのみを検出する圧力計を簡易的に用いること(内部圧力Piの経時変化により圧力変化量を検出すること)も可能である。
【0063】
上記実施形態の筒状連結部材40は、可撓性を有する筒状シート部材400のみから構成された(図3)。しかしながら、例えば、レンジフード20のフード部204の形状に合わせて筒状連結部材40を変形させる点に着目すれば、筒状連結部材40の排気側の一部のみに筒状シート部材400を設け、筒状連結部材40の上流側には比較的変形し難い素材による部位を設けてもよい。或いは、例えば、住宅90又は部屋92に設けられた排気ファン200を用いて気密性能を測定する点に着目すれば、筒状シート部材400を用いずに筒状連結部材40を構成してもよい。この場合、筒状連結部材40は、例えば、比較的変形し難い素材のみから構成してもよい。
【0064】
上記実施形態において、筒状シート部材400の上流側端部は、単一の環状の上流側マグネット404によって風量計本体300の排気口側に連結された(図4)。しかしながら、例えば、筒状シート部材400の上流側端部をマグネットにより風量計本体300の排気口側に連結する点に着目すれば、これに限らない。例えば、上流側マグネット404は、複数の直方体状又は円柱状のマグネットであってもよい。或いは、上流側マグネット404に加えて又はこれに代えて、粘着材又は面ファスナ若しくは目張り用テープにより筒状シート部材400の上流側端部を風量計本体300の排気口側に連結してもよい。
【0065】
<B-2.測定>
上記実施形態では、排気ファン200の3つの動作モード毎に通気量F及び差圧Dpの組合せを検出して気密性能値Vを算出した(図6)。しかしながら、例えば、レンジフード20又は換気扇の排気ファン200を用いて気密性能値Vを取得する点に着目すれば、気密性能値Vの算出に用いる通気量F及び差圧Dpの組合せの数はこれに限らない。例えば、通気量F及び差圧Dpの組合せの数は、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい(但し、排気ファン200の動作モード毎に気密性能値Vを取得する場合、排気ファン200の動作モードの数に制限される。)。
【0066】
上記実施形態では、排気ファン200の動作モード毎に通気量F及び差圧Dpの組合せを検出して気密性能値Vを算出した(図6)。しかしながら、例えば、通気量F及び差圧Dpの組合せ毎に気密性能値Vを取得する点に着目すれば、これに限らない。例えば、通気量Fの調整は、排気ファン200の動作モードの選択(出力切替え)のみではなくその他の方法を採ってもよい。例えば、風量計本体300の吸気側開口部の面積を調整する板状部材(図示せず)を用いることで、通気量Fを調整することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…気密性能測定装置 20…レンジフード
30…風量計 40…筒状連結部材
50…差圧計(圧力検出手段)
70…気密性能値算出装置(算出装置、コンピュータ)
90…住宅 92…部屋
200…排気ファン 204…フード部
300…風量計本体 400…筒状シート部材
402…目張り用テープ 404…上流側マグネット
500…内側ポート(一方のポート) 502…外側ポート(他方のポート)
3000…筒状筐体 3004…排気部(排出口)
Dp…差圧(圧力変化量) F…通気量
V…気密性能値
【要約】
【課題】簡易に気密性能を評価することが可能な気密性能測定方法及び気密性能測定装置を提供する。
【解決手段】本発明の気密性能測定装置10又は気密性能測定方法では、住宅90又は部屋92に設けられたレンジフード20又は換気扇の排気ファン200を排気用送風機として用いて住宅90内又は部屋92内のエアを外部に排気した際の減圧に基づいて住宅90又は部屋92の気密性能を測定する。風量計30が検出した通気量と、圧力検出手段50が検出した圧力変化量により住宅90又は部屋92の気密性能値がコンピュータ70又はユーザにより算出される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6