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特許7354491パッケージング溶着部を形成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】パッケージング溶着部を形成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/82 20060101AFI20230926BHJP
   B29C 65/02 20060101ALI20230926BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20230926BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B29C65/82
B29C65/02
B65B57/00 D
B65B57/02 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021504438
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 IB2019057551
(87)【国際公開番号】W WO2020049531
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】18193142.9
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521031501
【氏名又は名称】アイサパック ホールディング エスエー
【氏名又は名称原語表記】AISAPACK HOLDING SA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トマセ, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ジェックス―コレット, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシェン, ガエル
(72)【発明者】
【氏名】フルーレ, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】レポイッテヴィン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】モナイ, フローレント
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-253205(JP,A)
【文献】特開平09-119815(JP,A)
【文献】特開2008-238675(JP,A)
【文献】特開2013-095052(JP,A)
【文献】特表2013-500878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撓性パッケージを形成するためのプラスチック材料のシートを連続溶着するためのプロセスであって、少なくとも、
溶着装置に対して前記シートを位置決めするステップと、
前記シートの端部を接触状態で配置するステップと、
前記端部を加熱、プレス、及び、冷却することによって溶着領域を形成するステップと、
溶着部の厚さに比例する一次時間信号を取得するステップと、
前記一次時間信号を一次周波数信号に変換して、低周波スペクトル、中周波スペクトル、及び、高周波スペクトルを規定するステップと、
前記低周波スペクトルから少なくとも1つの低周波二次信号を再構成するステップと、
前記低周波二次信号を使用して、測定の精度が干渉ノイズの振幅よりも10倍細かくなるように、10ミクロンよりも細かい精度で、前記溶着部の厚さを測定するステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
前記一次時間信号が前記中周波スペクトルから中周波二次信号にも再構成され、前記信号を使用して、前記溶着部における厚さの突然の変化及び/又は表面状態を改質する塵埃又はプラスチック凝集体などの前記溶着部における時折発生する欠陥を検出する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記一次時間信号が前記高周波スペクトルから高周波二次信号にも再構成され、前記信号が、その環境内の溶着機器を特徴付けるために用いられる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記一次時間信号の取得周波数が100Hzよりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記一次時間信号の取得周波数が1000Hzよりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記低周波二次信号がfよりも低い前記一次時間信号の周波数のスペクトルから得られ、fがC/60よりも大きく、かつ、(C /60)×(L /0.01)未満であり、
がヘルツ単位の周波数であり、
が1分当たりのパッケージの生産速度である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
が(C/60)×(L/10)よりも大きく、
がヘルツ単位の周波数であり、
が1分当たりのパッケージの生産速度であり、
がmm単位のパッケージ当たりの溶着部長さである、請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記中周波二次信号が と周波数fとの間にある周波数のスペクトルから得られ、fが(C/60)×(L/0.01)未満であり、
がヘルツ単位の周波数であり、
が1分当たりのパッケージの生産速度であり、
がmm単位のパッケージ当たりの溶着部長さである、請求項2に従属する請求項6又は7、もしくは、請求項2に従属する請求項3に従属する請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
が(C/60)×(L/0.03)未満であり、
がヘルツ単位の周波数であり、
が1分当たりのパッケージの生産速度であり、
がmm単位のパッケージ当たりの溶着部長さである、請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記高周波二次信号が よりも高い周波数のスペクトルから得られる請求項3に従属する請求項8又は9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記溶着部の測定された厚さを較正するための較正ステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスを実施するための装置であって、
当該装置が、可撓性パッケージを形成するための可撓性シートを成形して溶着/圧縮/冷却するための手段を備え、当該装置が、前記溶着部の厚さを測定して前記厚さに比例する一次時間信号を取得するための手段と、前記一次時間信号を変換してそれを少なくとも1つの低周波二次信号に再構成するとともに前記二次信号を使用して前記溶着部の厚さを決定するための手段とを更に備える、装置。
【請求項13】
前記溶着部の厚さを測定するための前記手段が、製造された溶着部上を移動する少なくとも1つの触覚器(10)を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
溶着領域の外側で前記シート上を移動する副触覚器(17)を備える、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【対応出願】
【0001】
本出願は、2018年9月7日にAISAPACK HOLDING SAの名前で提出された先の欧州特許出願第18193142.9号の優先権を主張し、この先の出願の内容は、参照により、その全体が本願に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、パッケージの分野、より詳細には、プラスチックシートを溶着することによって形成される可撓性パッケージに関する。本発明は、例えば、液体又は粘性製品をパッケージング(包装)するようになっているパッケージングチューブを製造するために使用され得る。当然ながら、本発明は、パッケージングチューブを製造するこの単一の用途に限定されず、例えばプラスチック製のシートを溶着することによって物体が製造される他の分野に適用され得る。
【背景技術】
【0003】
刊行物である国際公開第2011/012930号パンフレットは、形状が管状であるプラスチック材料から形成されるパッケージを溶着するためのプロセスについて記載する。プロセスは、以下の工程、すなわち、
)積層体が巻き上げられる圧延工程、
)積層体の両端部が互いに隣り合って配置される配置工程、
)溶融樹脂のビードが押し出されて前記端部上に堆積される押し出し工程、
)前記端部が前記ビードによって溶融される溶融工程、
)溶着領域が押圧される圧縮工程、及び、
)溶着部が冷却される冷却工程、
を含む。
【0004】
例えば、欧州特許出願第3292942号は、製品を収容するチューブの端部の溶着部のシール緊密性を継続的に検査するためのプロセス及び装置について記載する。欧州特許出願第3292942号の発明は、より詳細には、排他的ではないが、可撓性の管状パッケージ内に無菌液体又はペースト状の化粧品をパッケージングする分野を対象とし、管状パッケージの一端部は、それが緊密にシールされるようにするべく平坦化されて溶着される。そのようなパッケージは、チューブに印加される圧力に応じて、一般にその一端部で再び閉じられ得る開口を通じて、それが収容する製品の正確な量を分配できるようにする。
【0005】
欧州特許出願第3292942号の発明は、そのようなパッケージ内にそのような製品を毎分200本程度のチューブを充填する生産速度でパッケージングするための自動パッケージングラインを対象とする。
【0006】
欧州特許出願第3292942号から知られているプロセスの1つの実施例によれば、管状パッケージ内にパッケージングするためのそのようなパッケージングラインは充填ステーションを備え、該充填ステーションでは、投入・充填装置によって、ホッパー下に位置するチューブの開放端部内へ製品が注入される。1つの実施例によれば、チューブは、ホッパー下の垂直位置に配置され、開放端部が上端にある。パッケージングラインは、チューブの開放端部が溶着によって閉じられる閉鎖ステーションを備える。1つの実施形態によれば、この開放端部の閉鎖は、チューブの端部を締め付けることを含み、このようにして締め付けられたリップは、適切な手段によって互いに溶着される。その後、チューブはパッケージング領域から排出される。
【0007】
従来技術の文献、欧州特許出願第3292942号の図1は、そのような工程後のチューブ(100)の溶着端部(110)を示す。この溶着端部(110)は、チューブ(100)の端部のリップの溶着に対応するリブ付き領域(112)である。前記リブ付き領域(112)は、一般に5mm~7mmの高さにわたってチューブの幅全体にわたって延びる。1つの実施例によれば、前記リブ付き領域の高さを低減してチューブの外観を改善するために、溶着工程後に、リブ付き領域の上端部の余剰材料が切り取られる。1つの一般的な実施形態によれば、リブ付き領域の溶着は、この領域がその表面積の大部分にわたってエンボス加工されるように、リブ付きジョーによって行なわれるが、多くの場合、識別コード又は法的免責事項が刻み込まれる平坦領域(113)を備える。他の実施形態によれば、リブを伴わないジョーが使用され、いわゆるリブ付き領域が滑らかである。
【0008】
溶着不良のリスクを低減するために、締め付け及び溶着が、チューブの充填レベル(111)よりも0.5mm~数ミリメートル上方で行なわれ、それにより、溶着面がパッケージ製品によって汚染されるのが防止される。
【0009】
チューブ内に収容される製品が無菌の化粧品である場合には、充填が無菌環境内で行なわれる。しかしながら、そのような充填条件においてさえ、製品が良好に保存されるようにするべく、チューブ内に捕捉される空気ができるだけ少なくなるように、製品側の溶着部の下端部がチューブ内の製品のレベルに可能な限り近いことが望ましい。したがって、溶着は内部の製品のレベルと同一平面内で成され、それにより、製品による溶着界面の汚染及び溶着不良のリスクが高まる。
【0010】
これらの状況では、締め付けの高さがチューブの充填レベルに対して不完全に位置している場合、溶着領域が製品で汚染される虞があるとともに、チューブがシール欠陥を有する虞がある。このシール欠陥は、最終製品において常に視認できるとは限らず、場合によっては、チューブが初めてエンドユーザによって圧搾されるときにのみ明らかになる。更に、生産速度が速いことを考えると、そのような欠陥が多数のチューブで繰り返される虞がある。シール欠陥は、例えば、調整不良、溶着ジョーの摩耗、溶着パラメータ又は締め付けパラメータのエラー又はドリフト、或いは更には、充填パラメータからの多くの原因及び結果を有し、このリストは網羅的でも限定的でもない。シール欠陥が漏れを引き起こさない場合でも、それにより、製品が微生物によって汚染され、製品の保存が損なわれる結果となり得る。欧州特許出願第3292942号の発明は、生産速度を遅くすることなく、溶着が実行された直後のパッケージングチューブの端部閉鎖における任意のシール欠陥を非破壊的態様で検出することによって、従来技術の欠点を解決することを目的としている。したがって、欧州特許出願第3292942号の発明の主題を成すプロセス及び装置は、そのような欠陥を有する任意のチューブを廃棄して、そのような欠陥の発生をパッケージングラインのオペレータに対して該オペレータが状況を改善するべく適切な措置を講じられるように警告できるようにする。
【0011】
文献、特開昭63-253205号は、チューブの溶着端部を検査するためのプロセスについて記載する。溶着端部のエンボス形状及び溶着部への製品の混入などの観察される欠陥の形態を考えると、この従来技術のプロセスは、高速パッケージングラインで発明の対象となる欠陥を確実に検出できるようにせず、その結果、調整の感度に応じて、欠陥を含むチューブの通過を許容してしまい、或いは、パッケージングラインが時機を失して停止される。しかしながら、無菌パッケージングラインでの介入は問題があり、また、介入後のパッケージングラインの再起動は無菌性の回復を伴う。この目的のために、欧州特許出願第3292942号の発明は、管状パッケージに特に無菌製品が充填されてしまった後に管状パッケージの溶着端部のシール緊密性を検査するためのプロセスであって、
)滑らかなヒールを形成するためにリップを締め付けた後にチューブの端部に最初の溶着を行なうことにあるステップと、
)前記ヒールの厚さを測定することにあるステップと、
を含むプロセスに関する。
【0012】
したがって、欧州特許出願第3292942号において、最初の溶着は、チューブのリップをエンボスパターンで接合することによってヒールの上方の上端部がそれ自体溶着される前にチューブが締め付けられるときにチューブの内容物に対して可能な限り近接して行なわれる。ヒールは、滑らかであるとともに、チューブの壁の厚さの2倍に略等しい予測可能な厚さを有する。したがって、ヒールにおける製品の存在に起因して局所的であれ或いは広範囲であれ、任意の溶着欠陥を確実にチェックすることは容易である。
【0013】
欧州特許出願第3292942号の発明は、好適には、欧州特許出願第3292942号に開示される実施形態及び変形にしたがって実施される。
【0014】
例えば、欧州特許出願第3292942号の1つの実施形態によれば、発明の主題を形成するプロセスは、特に、溶着部の長さと平行な方向のヒールの厚さの変化を検出することにあるステップを含む。
【0015】
厚さの変化の検出は、管状パッケージのバッチに応じて変化する虞もある厚さの正確な測定よりも容易に且つ確実に実施され得る。
【0016】
したがって、欧州特許出願第3292942号の本発明の主題であるプロセスは、好適には、特に、
測定された部分の厚さの変化の許容限界を取得することにあるステップと、
ステップ(iii)の最中に検出された厚さの変化が許容変化限界よりも大きい場合に、管状パッケージを廃棄することにあるステップと、
を含む。
【0017】
欧州特許出願第3292942号のプロセス及び装置の結果として、欠陥のある管状パッケージは体系的に拒絶される。
【0018】
要約すると、欧州特許出願第3292942号は、パッケージが充填された後にパッケージの溶着端部のシール緊密性を検査するためのインラインプロセスについて記載し、また、この先行技術の発明は、シール緊密性を確保するためにチューブのヒールの厚さを測定することにあり、及び、欧州特許出願第3292942号は、その溶着部厚さが許容可能な変化から外れるパッケージを拒絶できるようにする。
【0019】
しかしながら、欧州特許出願第3292942号では、厚さ検査が、断続的に前進するパッケージングラインで行なわれる。厚さは、割り出し段階中ではなく停止段階中に測定される。したがって、測定は、実験室で行なわれる測定と同様の条件で「静的に」行なわれ得る。したがって、この刊行物は、この観点から任意の改善に寄与しない。
【0020】
したがって、欧州特許出願第3292942号は、この工程に関連する干渉ノイズを生み出す動作中の機械で溶着部を形成するプロセス中に溶着部の厚さを測定できるようにしない。
【0021】
欧州特許出願第3292942号は、溶着部が溶着・測定ツールに対して連続的に移動している場合に製造プロセス中に溶着部の厚さを測定できるようにしない。
【0022】
欧州特許出願第3292942号により提案されるプロセスでは、測定が両側から同時に行なわれるという事実によって振動が相殺されるため、振動が問題にならない。欧州特許出願第3292942号には、振動又は騒音が問題でないため、振動又は騒音の問題が開示されない。
【0023】
この出願では、以下で更に詳しく説明されるように、主な課題の1つが、測定された変化の振幅に対する干渉ノイズ(振動)の振幅の問題である。本発明に係る構成及び実施形態では、両側から同時に測定することが不可能であるため、欧州特許出願第3292942号で提案されたプロセスを適用することができない。
【0024】
前述の先行技術の欠点とは別に、工業製造環境で直面される解決されるべき課題は、特に、パッケージを連続的に製造する本発明との関連で、以下、すなわち、
測定されるべき信号が、機械の振動に関連する干渉ノイズで失われ、機械の動作によって生成されること、
所望の測定精度が、工業環境に関連する干渉ノイズの振幅よりも約10倍細かいこと、
に留意して、工業環境における溶着機械で正確な測定を行なうことである。
【0025】
以下に記載される発明で提案される方法は、連続製造環境において、前述の欠点を克服して、所望のレベルの精度で所望の測定を行なうことができるようにする。
【0026】
定義及び参照番号
1 溶着部
2 シートの端部
3 上層
4 下層
5 機能層
6 溶着部の厚さ
7 成形材料
8 溶着界面
9 重合部
10 主触覚器(palpeur principal)
11 主センサ
12 機械のフレーム
13 シリンダ
14 カウンターピース
15 測定装置
16 主センサからの信号
17 副触覚器(palpeur secondaire)
18 ばね
19 副センサ
20 副センサからの信号
21 補強ストリップ
22 溶着ビード
23 押し出し層
【発明の概要】
【0027】
本発明の1つの目的は、溶着されたパッケージ、特に、液体又は粘性製品をパッケージングするようになっているパッケージングチューブを形成するためのプロセス及び装置を改良することである。
【0028】
他の目的は、この設定でもたらされる振動及び騒音にもかかわらず、製造中に工業環境内で確実に使用され得るプロセス及び装置を提案することである。
【0029】
他の目的は、簡単で効果的な態様で実装され得るプロセス及び装置を提案することである。
【0030】
他の目的は、既存の機械に実装され得るモジュール式プロセス及びシステムを提案することである。
【0031】
本発明によって提供される他の目的及び解決策は、以下の本文及び本発明の実施形態に記載される。
【0032】
本発明は、特に、機械を停止することなく、製造中に溶着部の厚さを測定するステップを含む、高い生産速度でシートを連続的に溶着するためのプロセスに関する。この測定中に得られる信号を解析することにより、その後に、溶着部の品質を決定して、チューブが品質の観点から所望の条件を満たしているかどうかを判断することができる。
【0033】
本発明に係るプロセスは、特に、排他的ではないが、可撓性パッケージングチューブの分野を対象としている。対象の市場セグメントは、非限定的な例として挙げると、以下、すなわち、口腔ケア市場、化粧品市場、製薬分野、及び、食品業界向けの液体及び粘性製品である。
【0034】
溶着プロセスは、特に、以下のステップ、すなわち、
例えばリールから印刷されたシートを繰り出すステップ、
所要の幅に切断するステップ、
切断されたシートを管形状に成形するステップ、
溶着されるべき端部を位置決めするステップ、
位置決めされた端部を加熱するステップ、
位置決めされた端部を圧縮するステップ、
冷却するステップ、
随意的に再成形するステップ、
厚さを測定するステップ、
印刷された管状セグメントを得るために所定の長さに切断するステップ、
を含む。
【0035】
後続のステップでは、パッケージ(例えばチューブ)を形成するために、
管状セグメントがチューブの肩部で溶着される(溶着によって或いは圧縮又は射出オーバーモールドによって)
膜シールする
閉栓する。
【0036】
パッケージは、後続のステップでも以下のように充填される。
依然として開いている端部を通じて充填する
最終的なパッケージをその製品を伴って形成するべくヒールを溶着する。
【0037】
本発明の原理のうちの1つによれば、溶着部の幾つかの特性を検査することは、前記溶着部の品質を確保するのに役立つ。検査は製造中に連続的に行なわれるため、本発明は、溶着部が所望の条件を満たさない場合に又は特定のパラメータでドリフトが観察される場合に製造プロセスにおいて迅速に反応できるようにする。したがって、以下に説明するように、完全な生産工程及び実験室での製造されたチューブのサンプルの測定が終了するまで待つ必要はなく、本発明の原理は、生産工程全体の廃棄を回避し、それにより、ドリフト及び/又は欠陥が観察されると直ぐに迅速な反応を可能にするため、欠陥の場合に経済的観点から遥かに有効である。
【0038】
現在、検査は製造されて切断されたチューブをチェックすることによって行なわれる。具体的には、そのようなチューブは生産工程から(例えばバッチで)除去され、また、これらのチューブは、それらが所要の品質条件を満たすか否かを決定するために個別に切断及び/又は測定される。しかしながら、これらのテスト及び測定は、生産レベルでの迅速なフィードバック及び反応を可能にせず、そのため、製造機械で反応がある前に多くの欠陥のあるチューブが製造され、その結果、大量の無駄及び廃棄物がもたらされ得る。機械での製造停止も非常にコストがかかるため、可能な限り回避する必要がある。
【0039】
したがって、本発明の原理によれば、目的は、製造中に関連する品質検査を継続的に実施することであり、これにより、製造プロセスで経時的に欠陥又はドリフトが検出された場合に迅速に反応できる。更に、以下の説明で明らかにされるように、製造中に恒久的に行なわれる測定により、機械の問題を検出することもできる。
【0040】
本発明によれば、溶着部の厚さの安定性が、溶着部の安定性及び品質に関して結論を下すことができるようにし、したがって、溶着部の特性を保証できるようにすることが実証された。
【0041】
上記の原理の結果として、溶着部の厚さを測定することが溶着部の安定性を測定できるようにするということになる。したがって、シートの厚さが一定である場合、一定の溶着部厚さは、溶着部の一定の圧縮率をもたらす。溶着部の圧縮は溶融材料の流れに影響を与えるため、溶着部の一定の圧縮が材料の同一の流れをもたらし、したがって、溶着部の形態及び特性に変化がない。
【0042】
1つの実施形態では、例えば許容限界値間で、厚さの小さな変化を受け入れることができる。これらの限界値は、事前に、及び/又は、経験及び/又は学習に基づいて、例えば、使用される材料又は形成されるべき製品に基づいて規定され得る。
【0043】
測定された溶着部の厚さで段階的なドリフトが観察される場合、このことは、このドリフトがプロセスのドリフト(例えば、プロセスの特定の構成要素の温度の上昇)に関連している又はこのドリフトが溶着シートの平均厚さの段階的な変化に関連しているかのいずれかであることを示す。溶着特性を不変に維持するために、閾値を設定することができ、この閾値を超えると介入が必要である。これらの介入は、例えば、機械の設定を調整することに存し得る。
【0044】
本発明は、以下の利点、すなわち、
製造中に測定が連続的に行なわれるため、廃棄が少ない;
生産速度を遅くする必要なく、製造された対象物に関して直接に測定及び解析が製造中に連続的に行なわれる(つまり、厚さの測定)ため、高速生産である、
製造中の欠陥のリアルタイムな検出、
欠陥のあるパッケージは、その最終的な切断工程の前に特定され、後続の製造ステップ及び充填ステップの前に選別プロセスによって製造から除去され得る、
という利点を与える。これは、廃棄のコストを低減するのに役立つ。
プロセスのドリフトの検出及び迅速な修正。これは、廃棄の量を減らすのに役立つ。
測定された信号を解析する際に機械の故障を検出できる可能性であり、これにより、生産ツールへの迅速な介入も可能になる。
【0045】
本発明は、特に、以下の理由により、製造される品質を向上させるのに役立つ。
本発明は、製造された製品に関する最終顧客の要件に対する製造されたパッケージの品質の定量化(例えば、測定値の許容誤差及び偏差から導出される基準を規定することによる)を伴って、製造されたパッケージの100%の検査を可能にする。
溶着部の厚さが連続的に測定される管理図によって溶着部の特性が保証される。
溶着部の粗さを同時に測定することにより、時折発生する欠陥(塵埃、プラスチック粒状物など)を検出できる。
製造バッチ及び製品のトラッキング及びトレーシング。
【0046】
先に示されるように、克服されるべき困難は、特に次のとおりである。
一貫した溶着特性を確保するために必要な精度は、測定の精度が10ミクロン未満、好ましくは5ミクロン未満でなければならないように厚さの非常に小さな変化に起因する。
測定の所望の精度は、干渉ノイズの振幅よりも約10倍細かい。
測定されるようになっている厚さ変化の振幅は、干渉ノイズで失われる。
【0047】
本発明は、特に、100Hzよりも高い、好ましくは1000Hzよりも高いが、本発明の枠の中で他の値も想定し得る、取得周波数で、溶着部の厚さが製造中にリアルタイムで連続的に測定される溶着プロセスに関する。本発明によれば、測定される一次時間信号が周波数信号に変換される。この周波数信号では、少なくとも1つの二次信号が低周波数から再構成される。好ましくは、1つの実施形態によれば、以下の3つの二次信号が再構成される。
低周波数からの低周波二次信号
中周波数からの中周波二次信号
高周波数からの高周波二次信号
【0048】
低周波二次信号は、fよりも低い周波数のスペクトルを使用して一次信号から計算される。本発明によれば、f の値は、パッケージごとの1つの測定ポイントの取得に対応するC/60よりも高く、好ましくは10mmごとの1つの測定ポイント点に対応する(C/60)×(L/10)よりも高い。この場合、
:ヘルツ単位の周波数
:1分当たりのパッケージでの機械の速度
:mm単位のパッケージ当たりの溶着部の長さ
【0049】
中周波二次信号は、f1よりも高く周波数f2より低い周波数のスペクトルを使用して一次信号から計算される。本発明によれば、周波数fは、0.01mmごとの1つの測定ポイントの取得に対応する(C/60)×(L/0.01)よりも低く、好ましくは0.03mmごとの1つの測定ポイント点に対応する(C/60)×(L/0.03)よりも低い。この場合、
:ヘルツ単位の周波数
:1分当たりのパッケージでの機械の速度
:mm単位のパッケージ当たりの溶着部の長さ
【0050】
高周波二次信号は、fより高い周波数のスペクトルを使用して一次信号から計算される。
【0051】
二次信号の合計は、最初の一次信号に等しい。
【0052】
勿論、上記の値は例示的な例として与えられており、本発明との関連で他の値が想定し得る。
【0053】
これらの二次信号を使用して、以下の解析及び測定を実行できる。
厚さ変化が一般に小さく徐々に起こるため、低周波二次信号を使用して溶着部の厚さを測定する。
粗さは溶着部の厚さ変化よりも高い周波数信号を生成するため、中周波二次信号を使用して溶着部の粗さを測定する。
高周波二次信号を使用して、溶着機器及び厚さ信号を取得するためのシステム及び/又は製造機械の異常及び/又は摩耗を検出する。これは、このタイプの異常が依然として高い周波数信号を生成するからである。
【0054】
本発明のこれらの原理、利点、及び、実施形態は、以下の説明及び添付の図に詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】シートの端部を重ね合わせることによるチューブ溶着部の一例を示す。
図2】本発明の1つの実施形態に係る、製造機械で溶着部の厚さを測定する原理を示す。
図3】本発明の1つの実施形態に係る、製造機械で溶着部の厚さを測定する原理を示す。
図4a】溶着部の厚さのインライン測定を含む、シートを連続的に溶着するためのプロセスを示す。
図4b】溶着部の厚さのインライン測定を含む、シートを連続的に溶着するためのプロセスを示す。本出願に記載されるように、1つの実施形態に係る溶着プロセスは、特に、工業環境に関連する干渉ノイズよりも約10倍細かい測定精度を得ることができるようにする測定厚信号を処理する段階を含む。
図5】本発明にしたがって製造及び測定され得る溶着部の他の例を示す。
図6】本発明にしたがって製造及び測定され得る溶着部の他の例を示す。
図7】本発明にしたがって製造及び測定され得る溶着部の他の例を示す。
図8】本発明にしたがって製造及び測定され得る溶着部の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、パッケージ、例えばチューブを製造するべくシート(積層体など)の端部を重ね合わせることによって製造される溶着部1の第1の例を示す。そのような溶着形態は、一般に、本発明に係るプロセスを使用して測定される形態の一例である。
【0057】
積層体2の端部(一般に、最初は平らである)は、重合部9を形成するために一方が他方の上に持ってこられる。積層体は、一般に、少なくとも3つの層から形成され、この例示的な例では、上層3、下層4、及び、機能層5(バリア層として)から形成される。「6」の参照番号が付された寸法は、(本発明の原理にしたがって測定される)溶着部の厚さを規定し、参照番号「7」は溶着後の成形材料を示し、参照番号「8」は両端部間の溶着界面を示す。
【0058】
パッケージの溶着部の特性は、パッケージの強度及びシール緊密性に対して、及び、パッケージ製品の保護及び保存に対しても一次的な影響を及ぼす。これらの理由のため、パッケージ製造工場でこれらの溶着部を検査することに大きな注意が払われる。検査ポイントは、通常、溶着界面8及び機能層5の端部の封入に関係する。この封入は、前記層5がパッケージ製品と接触するのを防止できるようにするとともに、パッケージ内に収容される成分の層5と層4との間の界面での伝播によって引き起こされるシート2の層間剥離のリスクを制限するのにも役立つ。機能層5の封入を確保するために、溶着工程-組み付けられるべき端部2を加熱、圧縮、及び、冷却することにある-は、層5の端部を覆う成形材料7の蓄積をもたらすべく圧縮中に積層体の層3,4から溶融材料の流れを生み出すという効果を有する。溶着工程は、シート2を溶着プロセスの構成要素に通過させて一定の速度で移動させることによって行なわれ、また、全てのパラメータ(加熱、圧力、冷却)が一定に保たれ、結果として得られる溶着部が原則として殆ど変化しない。溶着部1の特性の一貫性は、特に、プロセスの安定性と積層体の特性とに依存する。
【0059】
本発明は、特に、溶着部の全ての特性を保証するために、溶着部の単一のパラメータ(すなわち、厚さ6)を連続的に測定することにある。この考えによれば、溶着部厚さにおける安定性は溶着部の特性の安定性を保証し、また、逆に、溶着部の特性の変化は溶着部の厚さに影響を及ぼす。この原理は、溶着部の厚さが連続的に測定される場合にのみ適用され得る。例えば、測定された溶着部厚さが増大する場合、このことは、溶着部が殆ど圧縮されず、その結果、成形材料7の量が減少されることを意味する。溶着部の厚さは、例えば、重合部9の増大、又は、実際には積層体の厚さの増大、又は、実際には積層体を溶融させるために積層体に供給されるエネルギーの減少、又は、実際には圧縮圧力の低下など、多くの理由により増大し得る。したがって、単一のパラメータ(溶着部の厚さ6など)を測定することにより、溶着部の特性の一貫性及び溶着プロセス全体の安定性の両方が測定される。同様の論法を溶着部の厚さ6の減少に関して適用でき、溶着部の厚さ6の減少も、例えば、最終製品の外観に欠陥をもたらす過剰に十分な量の成形材料7など、溶着部特性の低下をもたらし得る。
【0060】
したがって、本発明は、特に、全ての品質基準を満たす溶着部を形成するべくプロセスを最初に設定し、その後、製造中の溶着部の厚さの変化を測定することにあるが、これに限らない。測定された厚さ6の変化の振幅は、リアルタイムで連続的に溶着部の品質を評価して判断するために使用される。
【0061】
溶着部1の厚さの測定は、前記溶着部の特性の安定性をリアルタイムで間接的に検査できるようにするために非常に正確である必要がある。製造ラインから統計サンプルを採取して実験機器で前記サンプルを測定することに基づく既存の検査方法は、正確で再現性のある測定値を取得できるようにする。経験により、溶着部の圧縮率が±2.5%の範囲内にあるときに溶着部の特性の安定性が確保されることが分かってきた。例えば、積層体の厚さが250ミクロンの場合、5%の圧縮率変化は、25ミクロンの溶着部の厚さ6の変化に対応する。1%程度の圧縮変化を検出して溶着部の圧縮を5%の範囲で制御するためには5ミクロンよりも細かい測定精度が必要である。本発明の結果として、高い生産速度で製造するとともに行なわれる測定の精度を損なう干渉情報を生成する製造機械の工業環境におけるラインでこの測定精度を得ることができる。
【0062】
図において一般的且つ体系的に示されるシートの製造及び移動の方向は、例示される図面の平面に対して垂直である。
【0063】
図2は、本発明に係るプロセスを実施して溶着部の厚さを測定するための装置、例えばモジュールの実施形態を示す。
【0064】
積層体は、例えば、図1に示されるものであり、端部2が溶着部1の領域で重なり合う。装置は、シートが移動している間に溶着部1上を移動して前記溶着部の厚さを測定する主触覚器10、例えばホイールを備える。この目的のために、モジュールは、信号16によってホイール10の垂直移動を測定する主センサ11、例えば誘導(又は同等の、例えば光学)センサを更に備える。誘導センサは、0.1ミクロン程度の非常に正確な測定を行なうことができるようにする。しかしながら、以下に開示されるように、センサ11によって測定される信号はノイズで失われ、ノイズの振幅は、10ミクロン~20ミクロン程度、すなわち、測定センサの固有の精度の100倍及び求められる精度の5~10倍である。例えば光学センサ又は他の適した技術を使用するセンサなどの他のタイプのセンサを使用できる。ホイール10は、それ自体が機械12のフレームに取り付けられるシリンダ13に装着される。測定のためのベース基準を形成するカウンターピース14がシートの下方に配置される。シリンダ13は、形態の変化のために機械が停止されるときに主触覚器10を上昇させることができるようにする。干渉ノイズの一部は、製造機械、特にカウンターピース14の振動に関連付けられる。管状体を形成する際、前記カウンターピース14は溶着部形成体の形態を成し、溶着部形成体の周囲で積層体が巻かれる。前記溶着部形成体は、その一端部がフレーム12に締結され、最大数メートルの長さである。また、この溶着部形成体は、測定装置15で又はその近傍で積層体を移動させる駆動ベルト上に載っている。これらの要素は全て、測定センサ15で大量のノイズを生み出す大きな振動をカウンターピース14で発生させる効果がある。これらの外乱は干渉ノイズを生成し、該干渉ノイズの振幅は測定の所望の精度よりも約10倍高い。本発明は、信号に含まれる全ての情報を使用して、
溶着部の厚さ6を正確に測定する、
溶着部での塵埃の形成又は局所的な厚さの変化を検出する、
測定センサの取得チェーンの品質を制御する、
及び、最後に、機器の特定の部分の摩耗及び品質の診断を確立する、
ことができるようにする。
【0065】
図3は、溶着部6の厚さを測定するための装置の他の実施形態を示す。この実施形態において、システムは、溶着されていない積層体層に関連する厚さの相対的な測定を行なうことができる。
【0066】
この目的のために、測定装置又はモジュールは、図2のものと同様の測定手段、すなわち、センサ10(例えば、ホイール)、信号16を発する主センサ11(例えば、光学センサ)、及び、溶着部でセンサ10を保持するばね18を備える。この測定システムは、機械12のフレームに取り付けられるのではなく、積層体の端部(例えば、端部2)に適用される副触覚器17(ホイールなど)、副測定信号20を発する副センサ19(例えば、光学センサ)を備える副測定装置に取り付けられる。副システムはシリンダ13によってフレームに連結され、また、副センサ19もフレームに取り付けられる。14は基準カウンターピースのままである。2つのセンサ11,19を備えるこの測定装置は、積層体2の厚さ及び溶着部の厚さ6を測定できるようにする。この装置は、積層体の厚さが大幅に変化するときに特に有効である。積層体の厚さを測定することは、特に、積層体の厚さが変化する場合でも一定に保たれるべきである溶着部の圧縮率を計算できるようにする。
【0067】
この実施形態は、各触覚器からの信号を使用することによって溶着されない積層体に対する溶着部の厚さの相対的な測定を行なうことができるようにする。積層体2の厚さがごく僅かに変化して一定であると見なされ得る場合、測定装置は、センサ19を伴うことなく使用され得る。溶着部の厚さを測定するためのこの簡略化された装置は、カウンターピース14の振動に関連する干渉ノイズを測定から除去できるようにする。他方で、簡略化された装置は、カウンターピース14及び前記カウンターピースで振動をもたらす機器の部分に関して診断を行なうことができるようにしない。
【0068】
勿論、本発明の実施形態に記載されるセンサ(触覚器、光学センサ)は、それらの必要とされる測定を行なうために言及された技術とは異なる適切な技術を使用することができる。
【0069】
図4a及び図4bは、ブロック図の形態を成す本発明に係るプロセスの一実施形態を示す。
【0070】
第1のステップでは、溶着プロセスが準備される。準備ステップは、一般に、例えば、以下の一連の工程、すなわち、
ロールを成すパッケージングされる積層体を繰り出す工程と、
製造されるべきチューブの直径に応じて及び重合部9の幅に応じて積層体の幅を調整する工程と、
積層体を溶着プロセスと合わせる工程と、
を(非限定的な態様で)含む。
【0071】
例えば、印刷工程、熱処理工程、又は、実際にはテクスチャード加工工程など、所望の製品の製造に必要な他の工程を第1のステップで行なうことができる。
【0072】
次に、積層体は溶着のために位置決めされる。すなわち、
シートが溶着装置に対して位置決めされる;
シートの端部が接触して配置される;
積層体を位置決めする工程は、例えば、円筒体を形成するために溶着部形成体の周囲に積層体を巻回することにある。
【0073】
次に、積層体の端部を加熱、圧縮、冷却することにより、溶着領域が形成される。
【0074】
その後、積層体の端部が加熱、圧縮、及び、冷却される。
【0075】
加熱工程は、特に、少なくとも溶着されるべき界面を溶融することにある。例えば、伝導、対流、又は、放射の原理を使用する加熱方法など、使用され得る多くの加熱方法がある。例えば、高温空気、熱パッド、電磁誘導、又は、放射など、多くの直接的又は間接的な加熱技術を使用できる。
【0076】
溶着部を圧縮する工程は、加熱工程と同時に又は加熱工程の後に実行され得る。圧縮工程は、殆どの場合、高品質の溶着を保証するために必要である。不十分な圧力は、溶着界面での空気の含有及び不十分な分子の絡み合いをもたらす可能性があり、それにより、溶着部の強度が低下する結果となる。図1に示されるように、溶着部を圧縮する工程は、積層体のバリア層の端部を封入できるようにもする。
【0077】
次に、溶着部が冷却される。溶着部を冷却する工程は、加熱工程及び冷却工程の後に続く。場合によっては、冷却工程も加熱工程及び圧縮工程と同時に行なわれる。例えば、溶着工程中に積層体の印刷面を保護するために、界面を加熱して溶着部を圧縮する間に積層体の印刷面を低温ツールと接触させたままにすることが有効となり得る。
【0078】
冷却の後に続く図4aに示される工程は、溶着部の厚さに対応する信号を取得することにある。この信号は、その振幅が測定の所望の精度よりも約10倍高い干渉ノイズに起因して使用できない状態にあるため一次信号と称される。この信号は、例えば図2又は図3に示されて前述したような装置を用いて測定される。
【0079】
定期的に、一次信号は少なくとも1つの二次信号に再構成される。好ましくは、この期間は、プロセス及び製造装置の特徴的な期間に対応する。好適には、この期間は、機械の生産速度に関連付けられ、好ましくは、この期間は、パッケージの生産速度に関連付けられる。したがって、信号は、図2又は図3で説明された測定装置によって途切れることなく取得されるが、信号は、好ましくは、1つ以上のパッケージの製造時間に対応する時間間隔中に測定されるポイントの組で解析される。勿論、取得及び解析は、本発明との関連において他の方法で行なわれ得る。
【0080】
以下、本開示では、一次信号と称されるポイントのこの組を処理するプロセスについて説明する。好適には、この処理工程はパッケージの生産速度で実行されるため、任意の欠陥のあるパッケージを製造から取り除くために製造中に作用する又は任意のドリフトに作用することができる。
【0081】
1つの実施形態において、一次信号は、少なくとも1つの低周波二次信号に再構成される。他の実施形態において、一次信号は、2つの二次信号、すなわち、低周波二次信号及び中周波二次信号又は高周波二次信号に再構成される。他の実施形態において、一次信号は、3つの二次信号、すなわち、低周波二次信号、中周波二次信号、及び、高周波二次信号に再構成される。
【0082】
周波数解析によって時間信号を変換して再構築する方法は、知られており、信号処理において幅広く使用される。これらの方法は、例えばフーリエ変換などの既知の数学的ツールに基づいており、そこから導出されるアルゴリズムを使用する。したがって、この方法は、一次時間信号を周波数信号に変換することにある。その後、一次信号の周波数スペクトルは、幾つかの部分、少なくとも2つの部分、好ましくは3つの部分にそれぞれ分解されて、低周波スペクトル、中周波スペクトル、及び、高周波スペクトルを形成する。低周波スペクトルは、低周波二次信号と称される時間信号を(逆変換によって)再構成するために使用される。同様に、中周波スペクトルは、中周波二次時間信号を再構成するために使用され、また、高周波スペクトルは、高周波数二次時間信号を得るために使用され得る。
【0083】
図4bは、一次信号を二次信号に再構成した後に実行される一連の工程を示す。
【0084】
低周波二次信号に基づいて、溶着部の厚さの測定値が高レベルの精度で推定される。最初に、システムは、例えばカウンターピース14の上面に対して、この表面上に主触覚器10、例えばホイールを配置することによって較正される。次に、主触覚器10が溶着部の表面に適用され(図2参照)、主センサ11と厚さに比例する態様で変化するセンサの信号16とによって厚さを決定することができる。次に、製造中、触覚器10が溶着部の表面を連続的に辿り、この測定が一次信号をもたらす。この一次信号では、溶着部の厚さに存在する任意の変化が緩やかで且つ小さい振幅を有するため、これらの変化が、変換で得られる一次信号の低周波成分を形成する。好ましくは、低周波信号は、より低いf1である一次信号の周波数のスペクトルから得られる。本発明によれば、f1の値は、パッケージごとの1つの測定ポイントの取得に対応するC/60よりも高く、好ましくは10mmごとの1つの測定ポイント点に対応する(C/60)×(L/10)よりも高い。この場合、
:ヘルツ単位の周波数
:1分当たりのパッケージでの機械の速度
:mm単位のパッケージ当たりの溶着部長さ
【0085】
低周波二次信号は、10ミクロンよりも細かい、好ましくは5ミクロンよりも細かい精度で溶着部の厚さを測定するために使用され得る。
【0086】
中周波二次信号は、f1よりも高く周波数f2より低い周波数のスペクトルを使用して一次信号から計算される。本発明によれば、周波数f2は、0.01mmごとの1つの測定ポイントの取得に対応する(C/60)×(L/0.01)よりも低く、好ましくは0.03mmごとの1つの測定ポイント点に対応する(C/60)×(L/0.03)よりも低い。この場合、f:ヘルツ単位の周波数
:1分当たりのパッケージでの機械の速度
:mm単位のパッケージ当たりの溶着部の長さ
【0087】
中周波二次信号は、溶着部の粗さを測定できるようにし、特に、パッケージ又は製造機器から生じる微粒子などの溶着領域で時折発生し得る欠陥を検出できるようにする。これらの微粒子は、局所的な厚さの変化をもたらすとともに、積層体と溶着装置の間の摩耗によって引き起こされ得る。
【0088】
高周波二次信号は、fより高い周波数のスペクトルを使用して一次信号から計算される。高周波信号の解析は、厚さ測定装置及び製造機器の正確な動作の診断を確立するために使用される。高周波二次信号の振幅の増大は、例えば、センサによって測定される一次信号の電磁波による障害、又は、実際には製造機器の摩耗を示し得る。
【0089】
最後に、低周波二次信号は、溶着部の厚さの測定値を決定するために使用される。本発明の1つの実施形態によれば、精度は、10ミクロンよりも細かく、好ましくは5ミクロンよりも細かい。
【0090】
本発明の第1の実施形態は、毎分200チューブの生産速度で180mmの長さの管状体を製造することにある。溶着される積層体は300ミクロンの厚さを有し、また、溶着領域は2mmの重合部を形成する。取得周波数は2000Hzである。この例では:
-)fの値が300Hzに等しく、
-)fの値が600Hzに等しい。
【0091】
本発明の第2の実施形態は、毎分100チューブの生産速度で80mmの長さの管状体を製造することにある。溶着される積層体は250ミクロンの厚さを有し、また、溶着領域は1.5mmの重合部を形成する。取得周波数は2000Hzである。この例では:
-)fの値が66Hzに等しく、
-)fの値が133Hzに等しい。
【0092】
したがって、1つの実施形態では、中周波二次信号も決定される。この信号は、表面状態を改質し、したがって測定中に検出される、塵埃又はプラスチック凝集体などの溶着部の時折発生する欠陥を検出して特徴付けるために使用され得る。
【0093】
図4bは、測定の解析中のプロセスのステップをブロック図の形式で示す。
【0094】
最初に、測定が行なわれて信号が取得される際に、低周波信号から厚さ値が決定される。この値が所定の許容範囲内になければ、対象のパッケージが拒絶されて切断後に製造バッチから廃棄される。低周波信号の許容範囲は、多くの場合、溶着部の圧縮率から計算される。一例として、16%の圧縮率に対応する、積層体の250ミクロンの厚さと420ミクロンの所望の溶着部厚さとを取得できる。圧縮率の変化の許容可能な振幅は6%であると見なされ得る。したがって、低周波二次信号の下限許容値は405ミクロン(19%の圧縮率に対応する)に等しく、上限許容値は435ミクロン(13%の圧縮率に対応する)に等しい。一般に、低周波二次信号の許容範囲は、溶着部の圧縮率の変化が10%未満、好ましくは5%未満になるように規定される。これらの値は、積層体の性質及び組成によって決まる。一部の積層体は、それらを形成する材料及び溶着装置のレオロジー挙動に起因して圧縮が困難であり、そのため、許容範囲の選択は、使用される積層体及び溶着プロセスに応じてケースバイケースで調整される必要がある。この値が所定の許容範囲内にあれば、溶着部の粗さを測定する随意的である第2のステップに進むことができる。この目的のために、粗さ値が中周波二次信号から決定される。粗さ値が所要の許容範囲内になければ、対象のパッケージが拒絶されて切断後に製造バッチから廃棄される。勿論、第1のステップ(溶着部厚さ検査)中にパッケージが既に規格に適合していないと見なされた場合には、この第2の粗さ測定を実行する必要がない。いずれにせよ、パッケージが拒絶されるため、それは時間及び資源の無駄である。
【0095】
中周波二次信号の許容範囲は、好ましくは±5ミクロン未満であり、好適には±3ミクロン未満である。閾値を±3ミクロンに調整することにより、3ミクロンを超える塵埃又は粗さ欠陥が検出される全てのパッケージを製造バッチからリアルタイムで除去できる。粗さ値が許容範囲内にあれば、依然として高周波二次信号のノイズを推定して解析することができ、このノイズは、製造機械の動作に関連付けられる。このノイズが所要の及び/又は所定の許容範囲内になければ、このことは、機械が正しく機能しておらず、機械を修理/調整する必要があることを意味する。
【0096】
高周波二次信号の許容範囲の調整は、溶着装置、その生産速度、及び、その全体の状態に依存する。また、高周波二次信号は、溶着部の厚さを測定するための一次信号を取得する取得チェーンの品質の表示も与える。本発明によれば、高周波二次信号は、製造機器及び取得チェーンの両方を診断するための診断ツールである。20m/分程度の線形溶着速度に対応する毎分100パッケージの速度で製造する新規な製造機器の場合、選択される許容範囲は、±80ミクロンより低く、好ましくは±40ミクロンより低い。
【0097】
ノイズが許容範囲内(例えば、所定値)であれば、パッケージの溶着が受け入れられ、パッケージを製造する他のステップに進むことができる。
【0098】
1つの変形では、解析中に、粗さ又は機械ノイズではなく、溶着部厚さパラメータのみを考慮に入れて、この単一の基準のみに基づいてパッケージの規格適合性を決定することができる。
【0099】
他の変形では、3つの基準のうちの2つだけ(厚さ及び粗さ又は機械ノイズ)を考慮に入れることができる。
【0100】
基準の数のこの選択は、製造される製品のタイプ及び前記製品の範囲(高級製品又は最下位範囲の製品)によって決定され得る。
【0101】
図4bの図は連続して行なわれるステップを示すが、情報の処理に必要な時間を最適化するために、二次信号の解析と計算とを並行して実行できることは明らかである。
【0102】
これらの図では、図4aと図4bとの間に関連性を与えるために、丸で囲まれた参照符号「A」及び「B」が示される。例えば、図4aの最後の工程又はステップ、つまり、「一次信号の二次信号への分解」の後、プロセスは、図4bの最初の工程又はステップ、つまり、「低周波二次信号を使用することによる溶着部の厚さの推定」に移行する。
【0103】
同様に、図4bでは、「製造バッチから廃棄されたパッケージ」工程(図4bの右側を参照)において、丸で囲まれた参照符号「B」は、図4aの同じ丸で囲まれた参照符号「B」に戻ること、及び、機械調整及び前処理パラメータに関する動作、特に位置決め及び/又は加熱及び/又は圧縮及び/又は冷却に関する動作を示す。これらのステップについては、先に詳しく説明した。
【0104】
図5図8は、本発明の原理により製造されて測定され得る溶着部の他の例を示す。
【0105】
図5は、2つの端部2を重ね合わせることにより形成された溶着部を示し、図6は、溶着界面8を覆う補強ストリップ21を伴う他の突合せ溶着部を示し、図7は、溶着ビード22を伴う他の突合せ溶着部を示し、図8は、押し出し層23を伴う重ね溶着部を示す。本発明の原理は、先の開示にしたがって溶着部6の厚さを測定するために、これらの全てのアセンブリ形態及び他の形態にも適用され得る。
【0106】
本出願に記載される実施形態は、例示的な例として記載されており、限定的であると見なされるべきでない。他の実施形態は、例えば、記載されたものと同等の手段を使用してもよい。また、実施形態を状況に応じて互いに組み合わせることもでき、或いは、1つの実施形態で使用されるプロセスの手段及び/又はステップを他の実施形態で使用することができる。したがって、例えば、数値が例示的な例として与えられ、また、実施形態及び製造された製品(製品それ自体、製品範囲など)に応じて他の値が想定し得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8