(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】紡糸装置及び紡糸装置で紡糸開始を行なう方法
(51)【国際特許分類】
D01D 7/00 20060101AFI20230926BHJP
D01D 5/06 20060101ALI20230926BHJP
D01F 2/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
D01D7/00 Z
D01D5/06 Z
D01F2/00 Z
D01D7/00 C
(21)【出願番号】P 2020517867
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018077356
(87)【国際公開番号】W WO2019072776
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-07
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デュルンベルガー、フランツ アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ラドナー、カール
(72)【発明者】
【氏名】ラウバー、マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ライシュル、ダニエル
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-031412(JP,A)
【文献】特開2014-100914(JP,A)
【文献】特表平08-510516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D01F1/00-6/96
9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸溶液(6)を連続的に押し出して成形体(3)に紡糸する紡糸装置(1)で
紡糸開始を行なう方法であって、
前記紡糸溶液(6)を前記紡糸装置(1)の紡糸口金(7)から押し出して、前記成形体(3)を開繊紡糸カーテン(2)の形態とすることと、
前記押し出し後に、前記開繊紡糸カーテン(2)の前記成形体(3)を成形体束(4)に
結束することと、
前記成形体束(4)を追加工程で、前記紡糸装置(1)の引き取り延伸部材(10)に送り込んで、前記成形体(3)の連続
紡糸を開始することと、を含み、
前記成形体(3)を前記成形体束(4)に、紡糸カーテン(2)をねじり軸線(20)回りにねじることにより
結束することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ねじり軸線(20)は、
前記紡糸カーテン(2)の中心を通って前記紡糸溶液(6)の押出方向(32)に略平行に延びて
いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記紡糸カーテン(2)の前記成形体(3)は、前記成形体の端部(23)で回転装置(17)の回転可能なねじり手段(18)に付着し、前記ねじり手段(18)は、前記ねじり手段が回転することにより、前記紡糸カーテン(2)をねじるようになることを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記回転装置(17)は、前記紡糸カーテン(2)の下に配置されて、前記成形体(3)の前記端部(23)
が、動いていない前記ねじり手段(18)の上に載るようになることを特徴とし、前記ねじり手段(18)は、前記成形体(3)の前記端部(23)が付着した後に、最終速度に達するまで前記ねじり手段の回転速度を加速させることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ねじり手段(18)は、回転可能なターンテーブル(31)として形成されることを特徴とし、前記ターンテーブル(31)の回転軸線(19)は、
前記紡糸溶液(6)の押出方向(32)に略平行に延びていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記成形体(3)の前記端部(23)は、前記ターンテーブル(31)の保持部材(24)に接着することを特徴とし、前記保持部材(24)は、前記ターンテーブル(31)の回転により、前記紡糸カーテン(2)をねじるようになることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記紡糸カーテン(2)をねじることにより、
マニピュレータアーム(12)のグリッパー(16)と係合する係合領域(29)が
、前記ねじれた成形体束(4)の最小直径(28)の領域に形成されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
マニピュレータアーム(12)の自動把持装置(16)であって、グリッパー(16)は、前記成形体束(4)を、前記ねじり手段(18)が最終速度に達した後に、係合領域(29)で掴んで、前記成形体束を前記紡糸装置(1)の引き取り延伸部材(10)に送り込むことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
紡糸装置(1)で
紡糸開始を行なうための
紡糸開始装置
(11)であって、前記紡糸装置(1)の紡糸口金(7)から
紡糸溶液(6)が押し出されて形成された成形体(3)を成形体束(4)に結束する結束装置(5)を含み、前記結束装置(5)は、回転軸線(19)回りに回転可能な少なくとも1つの手段(18)を備える回転装置(17)を含み、前記回転可能な手段(18)は、前記成形体(3)を前記成形体束(4)に、前記手段(18)を援用して
結束するように構成され、前記回転可能な手段(18)は、前記成形体(3)をねじるねじり手段(18)
であるターンテーブル(31)として形成されることを特徴とし、前記ねじり手段(18)の前記回転軸線(19)は、
前記紡糸溶液(6)の押出方向(32)に略平行であることを特徴とする、
紡糸開始装置。
【請求項10】
前記ねじり手段(18)は、
前記成形体(3)を共通ねじり軸線(20)
の周りにねじるように構成されることを特徴とし、前記成形体(3)の前記ねじり軸線(20)は、前記ねじり手段(18)の前記回転軸線(19)に一致することを特徴とする、請求項9に記載の
紡糸開始装置。
【請求項11】
前記ねじり手段(18)は、前記成形体(3)と前記ねじり手段(18)との間の接着を増加させる保持部材(24)を含み、前記保持部材(24)
はフック(25)として形成されることを特徴とする、請求項9又は請求項10のいずれかに記載の
紡糸開始装置。
【請求項12】
前記
紡糸開始装置(11)は、第1エンドエフェクタ(14)を備える第1マニピュレータアーム(12)を含み、前記第1エンドエフェクタ(14)は、成形体束(4)を掴むグリッパー(16)を含むことを特徴とする、請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の
紡糸開始装置。
【請求項13】
前記
紡糸開始装置(11)は、第2エンドエフェクタ(15)を備える第2マニピュレータアーム(13)を含み、前記第2エンドエフェクタ(15)は前記結束装置(5)を含むことを特徴とする、請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の
紡糸開始装置。
【請求項14】
前記結束装置(5)は、休止位置(21)と使用位置(22)との間で移動可能とし、第2マニピュレータアーム(13)を介して移動可能として構成されることを特徴とする、請求項9から請求項13のいずれか一項に記載の
紡糸開始装置。
【請求項15】
紡糸溶液(6)を連続的に押し出して成形体(3)に紡糸する紡糸装置であって、
紡糸浴(9)を含む紡糸浴槽(8)と、
前記紡糸浴槽(8)に関連付けられて
、前記紡糸溶液(6)を紡糸口金(7)から前記紡糸浴(9)に
押し出す前記紡糸口金(7)と、
請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の紡糸装置(1)で
紡糸開始を行なうための
紡糸開始装置(11)
と、
を少なくとも含む、紡糸装置。
【請求項16】
請求項9から請求項14までのいずれか一項に記載の紡糸開始装置(11)に使用される回転装置(17)であって、
ターンテーブル(31)を含み、
前記ターンテーブル(31)が回転軸線(19)の周りに回転することで、紡糸装置(1)の紡糸口金(7)から紡糸溶液(6)が押し出されて形成され、前記ターンテーブル(31)上に付着された成形体(3)をねじる、
回転装置(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸装置、及び紡糸装置で紡糸開始を行なって成形体を紡糸溶液から連続的に押し出す方法に関するのみならず、前記方法を実行する紡糸開始装置に関するものであり、この方法では、成形体を紡糸溶液から紡糸装置の紡糸口金を介して開繊紡糸カーテンの形態で押し出し、開繊紡糸カーテンの成形体を、押し出し後に成形体束に結束し、成形体束を、追加工程で、紡糸装置の引き取り延伸部材に供給して成形体の連続押出を開始する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べたタイプの紡糸装置及び紡糸装置で行われる紡糸方法は、繊維、フィラメント、シートなどのような成形体を製造する先行技術から知られている。特に繊維産業では、前記方法は、紡糸ステープルまたは連続繊維の製造に使用される。成形体を押し出す場合、紡糸溶液が、このような場合では、複数の紡糸口金を介して押し出される。
【0003】
洗浄、プレス加工、乾燥などのような紡糸装置自体では行なわれない後続の方法工程で押出成形体をさらに処理する前に、押出成形体を紡糸装置から連続的に搬送する、例えば引き取り延伸部材を介して搬送する必要がある。成形体をこのような引き取り延伸部材に供給する前に、これらの成形体をまず、束に結束する必要がある。
【0004】
一般に、紡糸方法のこの最初の部分は、紡糸開始(spin-up)方法又は編み上げ(lace up)方法、若しくは、紡糸装置で紡糸開始を行なう、又は編み上げを行なう方法と表記される。紡糸装置の紡糸開始は、紡糸方法の第1段階を構成し、この第1段階では、成形体の連続押出を紡糸方法において可能にする、及び/又は開始する。したがって、紡糸開始方法は、紡糸方法の全ての方法工程を含み、これらの方法工程は、最初の連続押出の終了時と次の連続押出との間に必要である、例えば紡糸装置の停止後に、又は紡糸口金の下方の幾つかの成形体の破断のような紡糸欠陥が発生した後に必要である。
【0005】
国際公開第94/28218(A1)号パンフレットは、例えば冒頭に述べたタイプの紡糸装置を示しており、紡糸口金から押し出された紡糸カーテンは、紡糸浴槽の底面側開口部を通過する。この場合、底面側開口部は、紡糸カーテンの直径を小さくする効果をもたらすことにより、成形体を成形体束に結束する。しかしながら、国際公開第94/28218(A1)号パンフレットに関連して開示されている紡糸浴槽の非常に大きい浸漬深さは、紡糸カーテンを紡糸巻き取ること、及び操作することをかなり困難にしている。したがって、このような紡糸装置は、紡糸開始方法の再現性の程度が低い影響を受け、成形体の満足のいく連続押出が可能ではなくなり、多くの場合、紡糸開始を再開する必要がある。
【0006】
紡糸開始プロセスを容易にする紡糸装置は、先行技術から知ることもできる。例えば、欧州特許公開第0574870(A1)号明細書は、紡糸口金から紡糸カーテンの形態で出て行った後の押出成形体を成形体束に掛合する紡糸装置を示している。これは、紡糸漏斗を紡糸浴槽の紡糸浴に使用することにより実現され、紡糸漏斗の断面は下方向に狭くなり、紡糸漏斗は、狭くなった底面出口開口部を有する。紡糸カーテンが紡糸漏斗を通過する場合、成形体束は、成形体が紡糸漏斗から出て行くときに形成され、これにより、紡糸開始中の紡糸装置における成形体のさらに別のハンドリングが容易になる。しかしながら、このような紡糸漏斗は、紡糸浴槽の深い箇所に配置されるので不利であり、これにより、作業者によるハンドリングが容易ではなくなる。さらに、このような紡糸装置の不具合は、大量の紡糸浴液が常時、紡糸浴槽の紡糸漏斗内を流れるようにして、満足できる機能を確保する必要があるが、これにより、乱流が紡糸浴に発生し、成形体の連続押出中の作業状態に悪影響を及ぼすことである。
【0007】
上記の不具合を改善するために、欧州特許公開第0746642(B1)号明細書は、成形体を結束する結束部材を紡糸浴槽内の搬送方向変更部材の形態で設ける紡糸装置について記載している。このような装置は、紡糸浴内の上記乱流を回避するのに役立つが、これらの装置が、紡糸カーテンを成形体束に作業者が手作業で最初に結束して成形体を搬送方向変更部材に供給する必要があるので、これらの装置は、紡糸開始プロセスをかなり一層難しくしている。しかしながら、これは、作業者の大きな物理的労力を必要とするので不利である。加えて、このような紡糸開始方法は、紡糸開始欠陥、より具体的には、紡糸カーテンの不完全な結束の影響を非常に受け易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、プロセス技術に関してより簡単であり、より再現性のある冒頭で述べたタイプの紡糸開始方法を設計することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、紡糸開始方法に関する目的を、紡糸カーテンをねじり軸線回りにねじることにより、成形体を成形体束に結束することにより達成する。
【0010】
成形体を成形体束に、紡糸カーテンをねじり軸線回りにねじることにより結束する場合、成形体を連続的に押し出して、均質な成形体束に結束するのを大幅に向上させることができ、これにより特に、紡糸開始方法の確実性の恩恵がもたらされる。紡糸カーテンをねじっている間、様々な成形体を共通接触点回りに互いにねじって、コンパクトな成形体束が接触点に形成されるようにする。紡糸カーテンをねじることは、すなわち様々な成形体を共通接触点回りにねじることは、殆ど全ての成形体を束に確実に結束することができるので、成形体を結束している間の欠陥率が低いのが好ましいという点で非常に有利な効果をもたらすこともできる。さらに、これは、かなり小さな物理的労力で行なうことができる。また、紡糸装置で紡糸開始を行なう既知の先行技術による方法では、より具体的には、成形体を紡糸口金から押し出した後に成形体を不十分な速さで取り出すことにより、紡糸開始中に成形体が積み重なるので、紡糸カーテンが膨れることが起こり得る。紡糸カーテンが膨れている間、紡糸カーテンの個々の成形体が今度は、互いにくっつく可能性があり、これは、成形体束の完全性及び均質性に非常に大きな悪影響を及ぼす。紡糸カーテンをねじることにより、より具体的には、コンパクトな成形体束が形成されるだけでなく、ねじることにより、成形体を紡糸口金から制御性良く連続的に取り出すことを確保することもでき、これにより、成形体が積み重なって、紡糸カーテンが膨れるのを確実に防止することができるので、これらの不具合を克服することができる。このようなことから、紡糸装置で紡糸開始を行なう非常に簡単かつ確実なプロセスシーケンスを提供することが可能になる。追加の結果として、これにより、紡糸プロセスがより堅実になり、より安定になってさらに有利となる。
【0011】
本発明はまた、紡糸方法がリヨセル法である場合に、及び成形体がセルロース成形体、より具体的には、水、セルロース、及び第三アミンオキシドを含有する紡糸溶液から紡糸装置の紡糸口金を介して押し出されるセルロース繊維である場合に特に有利であることが分かっている。結局のところ、このような方法では、紡糸カーテンのねじれが、紡糸口金と紡糸浴との間の空隙で既に行なわれている可能性があるので、より良好な作業性、したがってかなり簡単な方法が作製される。
【0012】
一般に、成形体(molded bodies)という用語は、連続繊維及びフィラメント、ならびにシート及びスリーブを指すことができることに留意されたい。例えば、このような成形体を引き続き処理して、ステープル繊維、不織布、糸、織物、又は微小球のような3次元物体となるようにすることができる。
【0013】
ねじり軸線が押出成形体の押出方向に略平行である場合、紡糸カーテンをねじって成形体束にすることは、行なうことが非常に容易である。さらに、ねじり軸線が紡糸カーテンの中心を通過する場合、紡糸カーテンのねじれが全ての成形体に対して均等に、かつ対称に作用することを確保することができる。このようなことから、紡糸開始過程において、内部応力のない特に均質な成形体束を形成することが可能となり、これにより、紡糸開始欠陥の影響の受け易さをさらに低減することができる。これにより、非常に確実であり再現性のある紡糸開始方法を提供することが可能となる。
【0014】
紡糸カーテンの成形体が成形体の端部で回転装置の回転可能なねじり手段に付着し、前記ねじり手段により、紡糸カーテンのねじれが、ねじり手段の回転により生じる場合、紡糸カーテンの非常に再現性のある均等なねじれを確保することができる。より具体的には、回転カーテンのねじり速度を、紡糸装置に必要なパラメータに、ねじり手段の回転速度を介して適合させて合わせることができることにより、紡糸開始中の非常に安定した紡糸状態を確保することができる。このようなことから、紡糸口金からの成形体の所望の引き取り速度、したがって所望の成形体特性(成形体束の厚さなどのような)は、例えば回転装置の回転速度により調整することができることにより、紡糸欠陥の形成を確実に防止することができる。このようなことから、紡糸開始方法の再現性をさらに高めることができる。さらに、紡績カーテンをねじる回転装置の使用は、紡糸装置の作業者に必要とされる物理的労力を減らすのに貢献することができ、これにより、前記方法の実行をさらに簡易化することができる。
【0015】
回転装置が紡糸カーテンの下に配置されて、成形体の押し出しに続いて成形体の端部が、動いていないねじり手段の上に載るようになる場合、紡糸装置の作業者に必要な労力をかなり減らすことができ、特に紡糸開始プロセスの初期段階において減らすことができる。これは特に、成形体の端部を付着させた後に、回転装置のねじり手段の回転速度を段階的に、最終速度に達するまで加速する場合に当てはまる。成形体を付着させた後、回転速度を連続的に加速することも考えられる。さらに、ねじり手段の加速を、直線的な加速様式又は非直線的な加速様式で行なって、成形体のねじれを成形体の特性に従って最適化することができることに注目されたい。初期段階では、新規に押し出される紡糸カーテンを非常に素早くハンドリングすることが極めて重要であるが、何故なら、この段階におけるハンドリングのエラーにより、紡糸欠陥の形成が増加して、新規の紡糸開始手順が必要になる可能性があるからである。このようなことから、本発明による方法は、紡糸開始欠陥の影響の受け易さがより低くなって、微細運動の範囲及び作業者に必要な物理的労力が小さくなるだけでなく、再現性の程度が高くなるので有利であることが分かっている。
【0016】
上に述べた利点は、ねじり手段が回転可能なターンテーブルとして形成され、ターンテーブルの回転軸線が成形体の押出方向に略平行に延びている場合に、プロセス技術により非常に容易に実現される。
【0017】
紡糸カーテンのねじれは、成形体の端部がターンテーブルの保持部材に接着する場合に、より一層確実になるように設計することができる。結局のところ、ターンテーブルの回転により、保持部材は成形体の端部を、保持部材の回転運動に巻き込み、成形体を互いの回りに、かつ紡糸カーテン内の共通接触点回りにねじることにより、紡糸カーテンのねじれが生じるようになる。
【0018】
紡糸カーテンのねじれにより、係合領域が成形体束の上に形成される場合、成形体束の非常に有利で簡単なハンドリングが、紡糸開始方法において可能になる。結局のところ、係合領域を成形体束の上に形成することにより、成形体束を後続の方法工程において操作して、成形体束に追加の処理を容易かつ確実に施すことができる。さらに、定義された係合領域により、成形体束のハンドリング及び操作を自動で、機械ベースで行なうことができる。さらに、係合領域が、ねじれた成形体束の最小直径の領域に形成される場合、成形体束の非常に確実なハンドリングを行なうことができる。紡糸カーテンをねじって成形体束にする結果、成形体束の最小直径の領域は、紡糸カーテンの頂点に実質的に位置するようになり、これにより、係合領域の機械ベースの認識を非常に容易に行え、例えば成形体束の全自動操作が行える。
【0019】
さらに、1~20cm、より具体的には、3~12cmの直径を有する成形体束の上の係合領域が形成される場合、紡糸開始方法の再現性をさらに高めることができる。結局のところ、このような成形体束は、追加の方法工程における非常に確実なハンドリング状態、より具体的には、確実な機械把持可能性により有利であることが分かっている。
【0020】
非常に簡単な紡糸開始方法は、自動把持装置が成形体束を掴んで、成形体束を紡糸装置の引き取り延伸部材に送り込む場合に作製することができる。この場合、自動把持装置は、例えばマニピュレータアームのグリッパーとすることができ、グリッパーは、成形体束を、ねじった後に自動的に掴み、成形体束を引き取り延伸部材に、マニピュレータアームを移動させることにより搬送して、成形体束を引き取り延伸部材に供給する(例えば、締め付ける、クランプする、固定することなどにより)。このようにするために、把持装置は、成形体束を、形成された係合領域で掴むと有利であるので、高度のプロセス確実性を保証することができる。この方法では、成形体束が引き取り延伸部材に、回転装置が最終速度に達するまでは供給されない場合が特に有利であることも分かっている。結局のところ、これにより、一方において、成形体束が完全に形成されて、追加処理に必要な特性を示すようになることが可能になり、他方において、押出成形体の所望の特性(例えば、所望の繊維タイター)が実現されることが可能になる。この場合、回転装置の最終速度は、所望の成形体特性により、及び紡糸口金からの成形体の必要な引き取り速度により、それぞれ決定することができる。この場合、成形体束を引き取り延伸部材に供給するマニピュレータアームは、移動速度および運動様式の両方に関して、成形体の押し出しに合わせるだけで済み、具体的には、成形体の引き取り速度に合わせるだけで済み、有利である。運動経路における過度に速い移動、又は好ましくない引き取り角度により今度は、紡糸開始欠陥が生じるようになり、より具体的には、紡糸カーテン内の成形体が破断するようになり、これにより、紡糸開始プロセスが再度行なわれる必要がある。本発明による紡糸開始方法を使用することにより、上に述べた紡糸開始欠陥を回避することができ、それに応じて、高度の再現性を有する紡糸開始方法を作製することができ、この紡糸開始方法は、全自動で操作することもでき、プロセス過程において、紡糸システムの作業者に必要とされる労力を、既知の方法と比較して大幅に減らすことができる。
【0021】
さらに、紡糸開始方法は、成形繊維束を、自動把持装置で掴んだ後に切り離す場合に、より確実となるように設計することができる。有利な点として、繊維体束をこの場合、係合領域の下で切り離して、回転装置に付着する成形体束の下側部分を切断するようにする。このようなことから、切断した成形体束を引き取り延伸部材に送り込むのをかなり容易にすることができる。
【0022】
さらに、本発明は、紡糸装置で紡糸開始を行なうための紡糸開始装置に関するものであり、紡糸開始装置は、紡糸装置の紡糸口金から押し出される成形体を結束する結束装置を含み、前記結束装置は、回転軸線回りに回転可能な少なくとも1つの手段を備える回転装置を含み、回転可能な手段は、成形体を成形体束に前記手段を援用して掛合するように構成される。
【0023】
したがって、本発明の別の目的は、前述したタイプの紡糸開始装置を改良して、紡糸装置で紡糸開始を行なう方法-具体的には、紡糸カーテンを結束して成形体束にする方法-を容易に、かつ再現可能に実施することができ、物理的労力を、紡糸開始装置を使用することにより殆ど無くすことにある。
【0024】
本発明は、紡糸開始装置に関する目的を、回転可能な手段を、成形体をねじるねじり手段として、より具体的には、ターンテーブルとして形成し、ねじり手段の回転軸線を成形体の押出方向に略平行にすることにより達成する。
【0025】
紡糸開始装置が、押出成形体を結束して成形体束にする結束装置を含む場合、及び回転可能な手段が、成形体をねじるねじり手段として構成される場合、並びに、ねじり手段の回転軸線が成形体の押出方向に略平行である場合、紡糸装置の非常に安定した簡単な紡糸開始装置を作製することができ、これにより特に、紡糸装置で紡糸開始を行なう方法をさらに簡易化することができる。この場合、ねじり手段を備える回転装置は、より具体的には、開繊紡糸カーテンの押出成形体の端部を受け入れて、成形体の端部をねじり手段に付着させることができ、紡糸カーテンのねじれを、ねじり手段の回転運動により生じさせるように構成することができる。このようなことから、ねじり手段の回転運動、及びそれに関連して、紡糸カーテンをねじって成形体束にすることにより、成形体を結束する難しい工程を構造的に非常に簡単な装置に置き換えることができる。
【0026】
ねじり手段がターンテーブルとして形成される場合、押出成形体のねじれは、構造的に非常に簡単な方法で実現することができる。これは特に、ターンテーブルを紡糸口金から押し出される成形体の押出方向に略平行に回転させることができるようにターンテーブルが構成される場合に当てはまる。結局のところ、この場合、成形体の押出方向に平行なねじり軸線回りの押出成形体からなる開繊紡糸カーテンをねじる回転装置を作製することができ、回転装置は、コンパクトな成形体束を、非常に安定した確実な方法で形成することができる。このようなことから、紡糸装置の全体的な確実性及び安定性をさらに増加させることができる。これは特に、ねじり手段が押出成形体を共通ねじり軸線回りにねじるように構成される場合、及び成形体のねじり軸線がねじり手段の回転軸線と一致する場合に当てはまる。
【0027】
一般に、本発明による紡糸開始装置は、セルロース成形体を、水、セルロース、及び第三級アミンオキシドを含有する紡糸溶液から押し出す紡糸装置で紡糸開始を行なうために適しているので特に好ましいとも言える。
【0028】
紡糸開始装置の確実性は、ねじり手段が、成形体とねじり手段との間の接着を増加させる保持部材を含む場合に、さらに増加させることができる。これは特に、保持部材がフックとして形成される場合に当てはまる。
【0029】
さらに、紡糸開始装置が、少なくとも1つのマニピュレータアームと、各マニピュレータアームの少なくとも1つのエンドエフェクタと、を含み、少なくとも1つのエンドエフェクタが結束装置を形成する場合、簡単で再現性のある紡糸開始を可能にする安定した紡糸装置を作製することができ、これにより、簡単で再現性のある紡糸開始が可能になる。この場合、より具体的には、紡糸開始装置は、紡糸装置の紡糸開始を全自動で行なって、紡糸装置の作業者に必要とされる物理的労力及びモータに関する労力を減らすことができる。冒頭に述べた既知の紡糸装置は、紡糸口金から押し出される成形体束を紡糸装置の引き取り延伸部材に供給するために膨大な物理的労力を必要とするが、本発明による紡糸装置に必要な物理的労力は比較的小さいので、作業者の負担を大幅に軽くすることができる。さらに、本発明による紡糸装置は、ハンドリングが非常に容易であり、操作の安全性が高いので、有利であることが分かっている。
【0030】
紡糸装置のハンドリングは、紡糸開始装置が、第1エンドエフェクタを備える第1マニピュレータアームを含み、第1エンドエフェクタが成形体束を掴むグリッパーを含む場合に、さらに簡易化することができる。この場合、第1マニピュレータアームのグリッパーは、前記グリッパーが、成形体束を確実に掴み、成形体束を紡糸装置の引き取り延伸部材に送り込むことができるように構成することができる。紡糸口金から引き取り延伸部材への成形体束の搬送は、第1マニピュレータアームを、より具体的には、空間内の自由に選択可能な軌跡に沿って移動させることにより行なうことができる。この場合、紡糸装置の紡糸開始方法では、成形体束を手作業で挿入する比較的物理的に非常に骨が折れる再現が困難な工程を省くことができる。これは、紡糸装置の作業者に必要とされる物理的労力の大幅な低減を表わすのみならず、紡糸装置を操作する際のエラーに対する安全性の強化に大きく寄与することもできる。
【0031】
さらに、紡糸開始装置が第2エンドエフェクタを備える第2マニピュレータアームを含み、第2エンドエフェクタが結束装置を含む場合、結束装置を備える非常にフレキシブルな紡糸開始装置を作製することができ、前記結束装置はこのようなことから、使用位置と休止位置の間で必要に応じて移動可能となるように設計される。したがって、紡糸開始装置は、前記方法の要求にフレキシブルに応えることができ:例えば、結束装置は、使用状態になっていないときに、休止位置に移動させることにより、紡糸装置の結束装置による不所望な干渉を回避することができる。このようなことから、回転装置は、プロセスの段階に応じて、紡糸口金と紡糸浴槽との間で後退及び前進させることができる。このように、より確実な紡糸装置を作製することができる。さらに、構造的に簡単な結束装置は、結束装置が回転装置により形成される場合に作製することができる。
【0032】
紡糸開始装置による成形体束のハンドリングは、紡糸開始装置が、成形体束を切り離す切断装置も含む場合にさらに向上させることができる。好ましくは、切断装置は、第1マニピュレータアームに設けることができ、より好ましくは、グリッパーに操作可能に接続することができ、成形体束の切り離しが、グリッパーで掴む手順が無事に行なわれた後に自動的に行われるようにする。
【0033】
本発明の別の目的は、冒頭で述べたタイプの紡糸装置をより確実なものとし、紡糸装置の紡糸開始を容易にすることにある。
【0034】
本発明は、この目的を、成形体の連続押出を行なう紡糸装置、より具体的には、セルロース成形体を、水、セルロース、及び第三アミンオキシドを含有する紡糸溶液から押し出す紡糸装置であって、紡糸浴を含む少なくとも1つの紡糸浴槽と、紡糸浴槽に関連付けられて成形体を紡糸口金から紡糸浴に押し出す紡糸口金と、請求項9から請求項14のいずれかに記載の紡糸装置で紡糸開始を行なうための紡糸開始装置と、を含む。
【0035】
本発明によれば、回転可能なねじり手段を備える回転装置は、紡糸装置の紡糸口金から押し出される成形体を、これらの成形体を、ねじり手段を介してねじって成形体束にすることにより結束するために使用される場合に有利であることも分かっている。この場合、ねじり手段は、例えばターンテーブルとすることができる。さらに、この場合、ねじり手段の回転軸線が押出成形体の押出方向に略平行である場合に、及びねじり手段が紡糸装置とは無関係に、回転軸線に対して自由に回転するように設計される場合に、特に有利である。より具体的には、上述の回転装置は、請求項1から請求項8に記載の本発明の紡糸開始方法の実行に使用される場合に有利であることが分かっている。
【0036】
以下に、本発明の主題が、例を通して、実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、紡糸装置で
紡糸開始を行なう本発明による方法を実行する前の本発明による紡糸装置の部分破断側面図を示している。
【
図2】
図2は、第1の方法工程中の紡糸装置で
紡糸開始を行なう本発明による方法の概略図を示している。
【
図3】
図3は、追加の方法工程中の本発明による方法の概略図を示している。
【
図4】
図4は、
紡糸開始方法の完了後の本発明による紡糸装置の部分破断側面図を示している。
【
図5】
図5は、本発明による紡糸装置の回転装置の部分平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~
図4を参照すると、
紡糸開始法の様々な段階における紡糸装置1が示されている。
図1は、
紡糸開始前の、すなわち
図2に示すように、成形体3を成形体束4に結束装置5で
結束する前の押出成形体3の開繊紡糸カーテン2を備える紡糸装置1を示している。さらに、紡糸装置1は紡糸溶液6を含み、紡糸溶液は、複数の紡糸口金7から押し出されて成形体3を形成する。この場合、紡糸溶液6は、水、セルロース、及び第三級アミンオキシドを含有する溶液であることが好ましい。紡糸口金7の下に、紡糸浴9を含む紡糸浴槽8が設けられる。好ましくは、水及び第三級アミンオキシドの混合物が紡糸浴9として使用される。
【0039】
図4は、
図4の一部について、
紡糸開始後の紡糸装置1を示している。したがって、成形体3を結束装置5で成形体束4に
結束しており、成形体束4は紡糸装置1の引き取り延伸部材10により連続的に搬送されていることにより、紡糸口金7からの成形体3の連続押出が行なわれる。
【0040】
図1からも分かるように、紡糸装置1は、紡糸装置1で
紡糸開始を行なう方法を実行する
紡糸開始装置11を含み、
紡糸開始装置11は、結束装置5、第1マニピュレータアーム12、及び第2マニピュレータアーム13を含む。第1マニピュレータアーム12には、第1エンドエフェクタ14が設けられ、前記エンドエフェクタ14はグリッパー16として形成される。この場合、グリッパー16は、前記グリッパーで成形体束4を力嵌めにより封止して掴むことができるように構成される。さらに、グリッパー16は、第1マニピュレータアーム12に移動可能かつ制御可能に接続される。マニピュレータアーム12が自由に移動可能であることに関連して、グリッパー16は、掴んだ成形体束4を任意の所定の軌跡に沿って移動させることができる。
【0041】
さらに、紡糸開始装置11は回転装置17を含み、回転装置17により、開繊成形体カーテン2内の成形体3がねじれるようになる。この目的のために、回転装置17は、ターンテーブル31として形成されることが好ましい回転可能なねじり手段18を含み、ねじり手段18及びターンテーブル31はそれぞれ、第2マニピュレータアーム13のエンドエフェクタ15として設けられて、結束装置5の機能を実行する。ねじり手段18の回転軸線19、したがって紡糸カーテン2のねじり軸線20は、より具体的には、開繊紡糸カーテン2内の成形体3の押出方向32に平行に配列される。
【0042】
図5は、
紡糸開始装置11の回転装置17の詳細な平面図を示している。紡糸カーテン2の確実なねじりを保証するために、フック25の形態の保持部材24が、ねじり手段18に、及び特にターンテーブル31に、それぞれ設けられる。その結果、成形体端部23は、フック25に確実に接着させることができ、ねじりを紡糸カーテン2に、ねじり手段18の回転運動により与えることができる。
【0043】
結束装置5として機能するねじり手段18は、紡糸口金7と紡糸浴槽8との間で第2マニピュレータアーム13を介して前進及び後退させることができることにより、結束装置5を休止位置21から使用位置22に必要に応じて移動させることができる。このようなことから、結束装置5は、休止位置21に、成形体3の連続押出中に留まることができ、紡糸口金7と紡糸浴槽8との間の障害物を構成しないことになる。紡糸装置1の紡糸開始を再開することが必要になる場合、結束装置5を使用位置22に移動させて、本発明による紡糸開始方法の実行を可能にすることができる。
【0044】
紡糸装置1で
紡糸開始を行なう本発明の方法は、
図1~
図4に概略的に示されている。
図1は、
紡糸開始方法の第1工程における紡糸装置1を示している。成形体3は、紡糸口金7から開繊紡糸カーテン2の形態で押し出される。追加工程-
図2に概略的に示されているような-では、結束装置5は、より具体的には、ねじり手段18及びターンテーブル31はそれぞれ、紡糸口金7と紡糸浴槽8との間に配置されて、押出成形体3の端部23がねじり手段18の上に載るようになる。成形体端部23は、ターンテーブル31として形成されるねじり手段18の保持部材24及びフック25にそれぞれ接着することにより、成形体3とねじり手段18との間の接着を増加させて、成形体3がねじり手段18の上を不所望に滑るのが防止されるようにする。好ましくは、ねじり手段18は、前記方法の開始時に停止しているが、成形体端部23がねじり手段18に衝突する前にねじり手段が回転し始めるようにすることもできる。成形体端部23がねじり手段18に衝突した後、ねじり手段18の回転速度は、所定の最終速度に達するまで増加させることになる。これは、例えば事前に定義された加速様式に従って、段階的に、又は連続的に行なうことができる。ねじり手段18の回転により、紡糸カーテン2は、ねじり軸線20回りにねじれるようになり、ねじり軸線20は、成形体3の押出方向32に平行に配置され、紡糸カーテン2の中心を通ることが好ましい。回転装置17のねじり手段18の最終速度は、
紡糸開始手順の場合に成形体3を紡糸口金7から引き取る所望の速度を決定するので、例えば
紡糸開始中の所望の繊維液濃度を決定する。さらに、成形体束4の直径28は、回転速度の影響を受け得る。この方法では、1~20cm、より好ましくは3~12cmの直径28が特に好ましいことが分かっていることから、直径28により、成形体束4をグリッパー16で簡単かつ確実にハンドリングすることができる。紡糸カーテン2のねじりにより、係合領域29が成形体束4の上に形成され、係合領域29は、成形体束4の最小直径28の領域に位置することが好ましい。さらに、紡糸カーテン2のねじりにより、頂点30が、ねじれた紡糸カーテン2に形成されるようにもなり、成形体束4の最小直径28は実質的に、頂点30に位置するようになる。
【0045】
図2は、ねじり手段18を、前記ねじり手段の休止位置21から前記ねじり手段の使用位置22に、第2マニピュレータアーム13を介して移動させて紡糸口金7と紡糸浴層8との間に配置した後の
図1による紡糸装置1を示している。次に、第2の方法工程では、紡糸カーテン2を、上に説明したように、ねじり手段18の回転により形成することにより成形体束4を形成した。
【0046】
さらに、
図3は、成形体束4を紡糸カーテン2のねじりにより形成した後の紡糸装置1を示している。成形体束4をこの時点で、
紡糸開始装置11の第1マニピュレータアーム12のグリッパー16で掴んで、成形体束4を紡糸装置1の引き取り延伸部材10に引き続き供給する。
【0047】
この場合、
図4は最後の方法工程を示しており、グリッパー16で確実に保持された成形体束4をまず、紡糸浴槽8内の搬送方向変更部材26の周りの紡糸浴9中を、第1マニピュレータアーム12を介して搬送する。続いて、成形体束4を再び紡糸浴槽8から移動させて、引き取り延伸部材10に挿入し、引き取り延伸部材10は、より具体的には、一列に並置される引き取りゴデットローラー27からなる。成形体束4を引き取り延伸部材10に挿入した後、成形体3を紡糸口金7から連続的に押し出すことが可能となることにより、
紡糸開始プロセスは無事に完了している。