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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ラミネートセル積層体用バスバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20230926BHJP
   H01M 50/512 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/509 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20230926BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/512
H01M50/509
H01M50/50 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020059046
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158030
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【弁理士】
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 里美
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-119075(JP,A)
【文献】特開2019-061830(JP,A)
【文献】特開2007-265945(JP,A)
【文献】特開2014-154246(JP,A)
【文献】特開2010-160931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートセル積層体において所定間隔をあけて重ねられる各ラミネートセルの第1極性電極端子の配置ピッチと同じピッチに配設され、前記第1極性電極端子の互いに平行な各電極面と平行な面を有する複数の第1端板部、および、各前記第1端板部に電気的に導通して設けられて前記ラミネートセル積層体の側部に導出される第1外部接続端子が一体になって設けられた第1極性電極接続部と、
前記第1極性電極端子と並んで各前記ラミネートセルに設けられる第2極性電極端子の配置ピッチと同じピッチに配設され、前記第2極性電極端子の互いに平行な各電極面と平行な面を有する複数の第2端板部、および、各前記第2端板部に電気的に導通して設けられて前記ラミネートセル積層体の側部に導出される第2外部接続端子が一体になって設けられた第2極性電極接続部と、
前記第1極性電極接続部と前記第2極性電極接続部との間に設けられ、前記第1極性電極接続部と前記第2極性電極接続部とを連結して一体化させる、電気絶縁性を有する樹脂からなる電極連結部と
を備えて構成されるラミネートセル積層体用バスバー
【請求項2】
前記第1外部接続端子および前記第2外部接続端子は、共に前記電極連結部の一方の側面に突出して設けられることを特徴とする請求項1に記載のラミネートセル積層体用バスバー。
【請求項3】
前記第1外部接続端子および前記第2外部接続端子は、一方が前記電極連結部の一方の側面、他方が前記電極連結部の他方の側面に突出して設けられることを特徴とする請求項1に記載のラミネートセル積層体用バスバー。
【請求項4】
各前記ラミネートセルは前記ラミネートセル積層体においてフレームに載置され、
前記電極連結部は、前記第1端板部と前記第2端板部とが収まる隙間を両側にあけて前記第1極性電極端子と前記第2極性電極端子との間に介在させられる前記フレームのフレーム片に載置され、隣接する前記フレーム間における前記フレーム片の配置間隔よりも小さな厚みに形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラミネートセル積層体用バスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラミネートセルが重ねて設けられるラミネートセル積層体において、ラミネートセルの各電極を互いに接続するために用いられるラミネートセル積層体用バスバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のバスバーとしては、例えば、特許文献1に開示されたラミネートセル集積型バッテリにおけるラミネートセル積層体に用いられるものがある。
【0003】
ラミネートセル積層体は、各ラミネートセルの隣接する同じ極性の電極端子が突出するように形成されている。各電極端子は、アルミニウムからなる基部に、ニッケルからなる延長部分が超音波溶接により接続されている。延長部分は、その先端の近傍がクランク形状に略直角に折り曲げられている。一方、バスバーには、各ラミネートセルに形成された電極端子の延長部分を通す端子挿通孔が形成されている。バスバーの端子挿通孔に挿通された電極端子の延長部分は、端子挿通孔から突出した部分が折り曲げられる。バスバーには引っ掛け片挿通孔も形成されている。この引っ掛け片挿通孔には、端子接続プレートに下向きに形成された引っ掛けフック部が挿通されて、バスバー上に端子接続プレートが重ね合わされる。端子接続プレートは、バスバーと電極端子の折り曲げ部との接触抵抗を一定に保持すべく、中央部が下向きに凸形状に湾曲せしめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-265945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のバスバーは、積層された各ラミネートセルの電極端子と安定した接触を得るため、上記のように、クランク状に折り曲げられた延長部分を電極端子に溶接し、また、その上に端子接続プレートを重ね合わせる必要がある。このため、上記従来のバスバーを使って、各ラミネートセルの電極端子同士を互いに接続するには、部品点数を要し、しかも、多くの作業工程が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、
ラミネートセル積層体において所定間隔をあけて重ねられる各ラミネートセルの第1極性電極端子の配置ピッチと同じピッチに配設され、第1極性電極端子の互いに平行な各電極面と平行な面を有する複数の第1端板部、および、各第1端板部に電気的に導通して設けられてラミネートセル積層体の側部に導出される第1外部接続端子が一体になって設けられた第1極性電極接続部と、
第1極性電極端子と並んで各ラミネートセルに設けられる第2極性電極端子の配置ピッチと同じピッチに配設され、第2極性電極端子の互いに平行な各電極面と平行な面を有する複数の第2端板部、および、各第2端板部に電気的に導通して設けられてラミネートセル積層体の側部に導出される第2外部接続端子が一体になって設けられた第2極性電極接続部と、
第1極性電極接続部と第2極性電極接続部との間に設けられ、第1極性電極接続部と第2極性電極接続部とを連結して一体化させる、電気絶縁性を有する樹脂からなる電極連結部とを備えて、ラミネートセル積層体用バスバーを構成した。
【0007】
本構成によれば、第1極性電極接続部における複数の第1端板部の互いに平行な各面を、それらに平行な第1極性電極端子の互いに平行な各電極面に当接させると共に、第2極性電極接続部における複数の第2端板部の互いに平行な各面を、それらに平行な第2極性電極端子の互いに平行な各電極面に当接させて、第1端板部と第1極性電極端子との各当接面、および、第2端板部と第2極性電極端子との各当接面を溶接することで、第1極性電極接続部の各第1端板部と各第1極性電極端子との電気的接続、および、第2極性電極接続部の各第2端板部と各第2極性電極端子との電気的接続が行われる。一方、第1極性電極接続部と第2極性電極接続部とはその間に設けられる電極連結部によって一体に構成される。したがって、ラミネートセル積層体を構成する各ラミネートセルの第1電極端子同士および第2電極端子同士は、本構成による1個のバスバーの部品を使って溶接作業を行うだけで、電気的に接続される。このため、ラミネートセル積層体を構成する各ラミネートセルの電極端子同士を互いに接続するのに要していた部品点数および作業工程が削減され、各ラミネートセルの電極端子間の電気的接続が容易に行えるようになる。
【0008】
また、本発明は、第1外部接続端子および第2外部接続端子が、共に電極連結部の一方の側面に突出して設けられることを特徴とする。また、第1外部接続端子および第2外部接続端子の一方が電極連結部の一方の側面、他方が電極連結部の他方の側面に突出して設けられることを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、使用するバスバーを選択することで、ラミネートセル積層体の側部に導出される第1外部接続端子および第2外部接続端子の電極連結部に対する配設位置を選択することができる。したがって、あるラミネートセル積層体と他のラミネートセル積層体との間の第1外部接続端子と第2外部接続端子とによる電気的接続態様を、接続環境に合わせて選択することが可能となる。このため、ラミネートセル積層体間の電気的接続が接続環境に合わせて容易に行えるようになる。
【0010】
また、本発明は、各ラミネートセルがラミネートセル積層体においてフレームに載置され、電極連結部が、第1端板部と第2端板部とが収まる隙間を両側にあけて第1極性電極端子と第2極性電極端子との間に介在させられるフレームのフレーム片に載置され、隣接するフレーム間におけるフレーム片の配置間隔よりも小さな厚みに形成されることを特徴とする。
【0011】
本構成によれば、電極連結部がフレームのフレーム片に載置されることで、バスバーがフレームに支持されるようなって、バスバーの配置位置が固定される。このため、各ラミネートセルの電極端子間の電気的接続が安定して保持されるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品点数および作業工程が削減されて、ラミネートセル集積体における各ラミネートセルの電極端子間の電気的接続が容易に行えるバスバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーを用いて各電極端子同士間が接続されたラミネートセル積層体の斜視図である。
図2】(a)は1枚のラミネートセルの概略構成図、(b)はラミネートセル積層体の概略構成図である。
図3図1に示すラミネートセル積層体からバスバーをその前面側へ取り外した状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーの斜視図、(b)は、第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーを構成する第1極性電極接続部の斜視図である。
図5】(a)は第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーの正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
図6】(a)は第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーを構成する第1極性電極接続部の正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーの斜視図、(b)は、第2の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーを構成する第1極性電極接続部の斜視図である。
図8】(a)は第2の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーの正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
図9】(a)は第2の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーを構成する第1極性電極接続部の正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
図10】ラミネートセル積層体の各電極が直列接続されるときのラミネートセル積層体間の接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバーについて説明する。なお、以下の説明において、同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0015】
図1は、第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバー1Aを用いて各電極端子3a,3b同士間が接続されたラミネートセル積層体2の斜視図である。各ラミネートセル3は、ラミネートセル積層体2において板枠状のフレーム4に載置されている。
【0016】
図2(a)は1枚のラミネートセル3の概略構成図、図2(b)はラミネートセル積層体2の概略構成図である。
【0017】
同図(a)に示すように、本実施の形態で例示されるラミネートセル3は、ラミネートフィルムを外装体3cとしてリチウムイオン二次電池を収容する。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成される。また、リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出するリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオンを吸蔵および放出するリチウムイオン二次電池用正極、前記負極と前記正極との間に介在するセパレーター、及び電解質を含む電解液から構成される。
【0018】
外装体3cの前側の1つの辺には、リチウムイオン二次電池用負極につながる負極性(-)の第1極性電極端子3aと、リチウムイオン二次電池用正極につながる正極性(+)の第2極性電極端子3bとが、突出して並んで設けられている。第1極性電極端子3aと第2極性電極端子3bの各電極面は同一面上にあり、外装体3cの表面と平行な面となっている。
【0019】
同図(b)に示すように、ラミネートセル積層体2は、複数枚のラミネートセル3が所定の間隔Lをあけて重ねられて、構成されている。各ラミネートセル3の第1極性電極端子3a同士は、図1に示すように、バスバー1Aの第1極性電極接続部11Aを構成する複数の第1端板部11A1によって電気的に接続されている。また、第2極性電極端子3b同士は、バスバー1Aの第2極性電極接続部12Aを構成する複数の第2端板部12A1によって電気的に接続されている。バスバー1Aには、各第1端板部11A1に電気的に導通して設けられた第1外部接続端子11A2と、各第2端板部12A1に電気的に導通して設けられた第2外部接続端子12A2とが設けられている。また、複数の第1端板部11A1と複数の第2端板部12A1との間には電極連結部13Aが設けられている。
【0020】
図3は、図1に示すラミネートセル積層体2からバスバー1Aをその前面側へ取り外した状態を示す斜視図である。フレーム4には、第1端板部11A1と第2端板部12A1とが収まる隙間4a,4aを両側にあけて、第1極性電極端子3aと第2極性電極端子3bとの間に介在するフレーム片4bが設けられている。電極連結部13Aは、3枚のフレーム4のうちの中央のフレーム4のフレーム片4bに、図1に示すように載置される。
【0021】
図4(a)は、第1の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバー1Aの斜視図、また、図5(a)はバスバー1Aの正面図、図5(b)は平面図、図5(c)は左側面図である。バスバー1Aは、第1極性電極接続部11Aと、第2極性電極接続部12Aと、電極連結部13Aとを備えて構成される。
【0022】
図4(b)は第1極性電極接続部11Aの斜視図である。また、図6(a)は第1極性電極接続部11Aの正面図、図6(b)は平面図、図6(c)は左側面図、図6(d)は右側面図である。第1極性電極接続部11Aは、複数の第1端板部11A1および第1外部接続端子11A2が一体になって設けられている。複数の第1端板部11A1および第1外部接続端子11A2は、銅板等の導電性を持つ導電板が折り曲げ加工され、各導電板同士がレーザー溶接等されて、一体に形成されている。
【0023】
本実施形態では、3枚の第1端板部11A1のうちの中央に位置するものは平板状をしており、その上下の各第1端板部11A1は上下方向に反対側にL字形に折り曲げ加工されている。また、第1外部接続端子11A2は、導電板が左右方向にL字形に折り曲げ加工されて形成され、ラミネートセル積層体2の側部に導出される曲げ端部には、他のラミネートセル積層体2との外部接続用の雌ネジ穴11A3が形成されている。第1極性電極接続部11Aは、3枚の第1端板部11A1の左方の各端部の端面が、第1外部接続端子11A2の折り曲げられた内側下方の側面に一定間隔をあけて突き当てられて、各突き当て部がレーザー溶接等されて、一体に形成されている。
【0024】
この溶接によって各第1端板部11A1および第1外部接続端子11A2は互いに電気的に接続される。また、各第1端板部11A1は、ラミネートセル積層体2において所定間隔Lをあけて重ねられる各ラミネートセル3の第1極性電極端子3aの配置ピッチと同じピッチに配設され、第1極性電極端子3aの互いに平行な各電極面と平行な面をそれぞれ有する。各第1端板部11A1のこれら各面は、図1に示すように、各ラミネートセル3の第1極性電極端子3aの下方の電極面に当接されて、各当接面が超音波溶接等によって溶接される。
【0025】
第2極性電極接続部12Aは、図4に示すように、第1極性電極接続部11Aの左右をミラー反転した形状をしており、複数の第2端板部12A1および第2外部接続端子12A2が一体になって設けられている。各第2端板部12A1および第2外部接続端子12A2の構成材および加工方法は、各第1端板部11A1および第1外部接続端子11A2のものと同様であり、各第2端板部12A1および第2外部接続端子12A2は互いに電気的に接続されて、一体に形成されている。
【0026】
また、各第2端板部12A1は、各ラミネートセル3の第2極性電極端子3bの配置ピッチと同じピッチに配設され、第2極性電極端子3bの互いに平行な各電極面と平行な面をそれぞれ有する。各第2端板部12A1のこれら各面は、図1に示すように、各ラミネートセル3の第2極性電極端子3bの下方の電極面に当接されて、各当接面が超音波溶接等によって溶接される。
【0027】
電極連結部13Aは、電気絶縁性を有する樹脂からなり、第1極性電極接続部11Aと第2極性電極接続部12Aとが図4(a)に示す相対位置に配置された成形型における、それらの間に矩形状に確保された空間にその樹脂が充填されることで、同図に示す形状に固化して形成される。この固化により、電極連結部13Aは、第1極性電極接続部11Aと第2極性電極接続部12Aとの間に設けられ、第1極性電極接続部11Aと第2極性電極接続部12Aとを連結して一体化させる。
【0028】
また、電極連結部13Aは、ラミネートセル集積体2において上下に隣接するフレーム4間におけるフレーム片4bの配置間隔よりも、小さな厚みt1(図5(a)参照)に形成される。このため、バスバー1Aは、図1に示すように、電極連結部13Aがフレーム4間に入り込むことができ、フレーム片4bに電極連結部13Aを載置することが可能となっている。また、本実施形態では、第1外部接続端子11A2および第2外部接続端子12A2は共にこの電極連結部13Aの一方の上方の側面に突出して設けられており、ラミネートセル集積体2の側部に図1に示すように導出される。
【0029】
このような第1の実施の形態によるバスバー1Aでは、第1極性電極接続部11Aにおける複数の第1端板部11A1の互いに平行な各面を、それらに平行な第1極性電極端子3aの互いに平行な各電極面に当接させると共に、第2極性電極接続部12Aにおける複数の第2端板部12A1の互いに平行な各面を、それらに平行な第2極性電極端子3bの互いに平行な各電極面に当接させて、第1端板部11A1と第1極性電極端子3aとの各当接面、および、第2端板部12A1と第2極性電極端子3bとの各当接面が溶接される。この溶接により、第1極性電極接続部11Aの各第1端板部11A1と各第1極性電極端子3aとの電気的接続、および、第2極性電極接続部12Aの各第2端板部12A1と各第2極性電極端子3bとの電気的接続が行われる。一方、第1極性電極接続部11Aと第2極性電極接続部12Aとはその間に設けられる電極連結部13Aによって一体に構成されている。
【0030】
したがって、ラミネートセル積層体2を構成する各ラミネートセル3の第1電極端子3a同士および第2電極端子3b同士は、本実施形態による1個のバスバー1Aの部品を使って溶接作業を行うだけで、電気的に接続される。このため、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b同士を互いに接続するのに要していた部品点数および作業工程が削減され、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b間の電気的接続が容易に行えるようになる。また、この電気的接続は規則性を持って行われるので、溶接作業の複雑さが解消される。
【0031】
また、第1の実施の形態によるバスバー1Aによれば、電極連結部13Aがフレーム4のフレーム片4bに載置されることで、バスバー1Aがフレーム4に支持されるようなって、バスバー1Aの配置位置が固定される。このため、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b同士間の電気的接続が安定して保持されるようになり、電極構造の安定度が向上する。
【0032】
図7(a)は、本発明の第2の実施の形態によるラミネートセル積層体用バスバー1Bの斜視図、また、図8(a)はバスバー1Bの正面図、図8(b)は平面図、図8(c)は左側面図である。バスバー1Bも、第1極性電極接続部11Bと、第2極性電極接続部12Bと、電極連結部13Bとを備えて構成される。
【0033】
図7(b)は第1極性電極接続部11Bの斜視図である。また、図9(a)はその第1極性電極接続部11Bの正面図、図9(b)は平面図、図9(c)は左側面図、図9(d)は右側面図である。バスバー1Bにおける第1極性電極接続部11Bも、複数の第1端板部11B1および第1外部接続端子11B2が一体になって設けられ、銅板等の導電性を持つ導電板が折り曲げ加工され、各導電板同士がレーザー溶接等されて、一体に形成されている。
【0034】
本実施形態でも、3枚の第1端板部11B1のうちの中央に位置するものは平板状をしており、その上下の各第1端板部11B1は上下方向に反対側にL字形に折り曲げ加工されている。また、第1外部接続端子11B2は、導電板が、バスバー1Aにおける第1外部接続端子11A2と反対側の左右方向にL字形に折り曲げ加工されて形成されている。第1外部接続端子11B2の、ラミネートセル積層体2の側部に導出される曲げ端部には、他のラミネートセル積層体2との外部接続用の雌ネジ穴11B3が形成されている。第1極性電極接続部11Bは、3枚の第1端板部11B1の左方の各端部の端面が、第1外部接続端子11B2の折り曲げられた外側の側面に一定間隔をあけて突き当てられて、各突き当て部がレーザー溶接等されて、一体に形成されている。
【0035】
この溶接によって各第1端板部11B1および第1外部接続端子11B2は互いに電気的に接続されて、一体に形成される。また、各第1端板部11B1は、各ラミネートセル3の第1極性電極端子3aの配置ピッチと同じピッチに配設され、第1極性電極端子3aの互いに平行な各電極面と平行な面をそれぞれ有する。各第1端板部11B1のこれら各面は、図1に示すバスバー1Aと同じように、各ラミネートセル3の第1極性電極端子3aの下方の電極面に当接されて、各当接面が超音波溶接等によって溶接される。
【0036】
第2極性電極接続部12Bは、図7(a)に示すように、第1極性電極接続部11Bをひっくり返した形状をしており、複数の第2端板部12B1および第2外部接続端子12B2が一体になって設けられている。各第2端板部12B1および第2外部接続端子12B2の構成材および加工方法は、各第1端板部11B1および第1外部接続端子11B2のものと同様であり、各第2端板部12B1および第2外部接続端子12B2は互いに電気的に接続されている。
【0037】
また、各第2端板部12B1は、各ラミネートセル3の第2極性電極端子3bの配置ピッチと同じピッチに配設され、第2極性電極端子3bの互いに平行な各電極面と平行な面をそれぞれ有する。各第2端板部12B1のこれら各面は、図1に示すバスバー1Aと同じように、各ラミネートセル3の第2極性電極端子3bの下方の電極面に当接されて、各当接面が超音波溶接等によって溶接される。
【0038】
電極連結部13Bも、電気絶縁性を有する樹脂からなり、第1極性電極接続部11Bと第2極性電極接続部12Bとが図7(a)に示す相対位置に配置された成形型における、それらの間に矩形状に確保された空間にその樹脂が充填されることで、同図に示す形状に固化して形成される。この固化により、電極連結部13Bは、第1極性電極接続部11Bと第2極性電極接続部12Bとの間に設けられ、第1極性電極接続部11Bと第2極性電極接続部12Bとを連結して一体化させる。
【0039】
また、電極連結部13Bも、ラミネートセル集積体2において上下に隣接するフレーム4間におけるフレーム片4bの配置間隔よりも、小さな厚みt2(図8(a)参照)に形成される。このため、バスバー1Bも、電極連結部13Bがフレーム4間に入り込むことができ、フレーム片4bに電極連結部13Bを載置することが可能となっている。また、本実施形態では、第1外部接続端子11B2および第2外部接続端子12B2は、一方の第1外部接続端子11B2が電極連結部13Bの一方の上方の側面に突出し、他方の第2外部接続端子12B2が電極連結部13Bの他方の下方の側面に突出して設けられ、ラミネートセル集積体2の側部に導出される。
【0040】
このような第2の実施の形態によるバスバー1Bによっても、第1の実施形態によるバスバー1Aと同様な作用効果が奏され、各ラミネートセル3の第1電極端子3a同士および第2電極端子3b同士は、本実施形態による1個のバスバー1Bの部品を使って溶接作業を行うだけで、電気的に接続される。このため、ラミネートセル積層体2を構成する各ラミネートセル3の電極端子3a,3b同士を互いに接続するのに要していた部品点数および作業工程が削減され、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b間の電気的接続が容易に行えるようになる。また、この電気的接続は規則性を持って行われるので、溶接作業の複雑さが解消される。
【0041】
また、第2の実施の形態によるバスバー1Bによっても、電極連結部13Bがフレーム4のフレーム片4bに載置されることで、バスバー1Bがフレーム4に支持されるようになって、バスバー1Bの配置位置が固定される。このため、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b間の電気的接続が安定して保持されるようになる。このため、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b間の電気的接続が安定して保持されるようになり、電極構造の安定度が向上する。
【0042】
また、第1の実施形態によるバスバー1Aおよび第2の実施の形態によるバスバー1Bによれば、使用するバスバー1Aまたはバスバー1Bを選択することで、バスバー1Aにおける第1外部接続端子11A1および第2外部接続端子12A1の電極連結部13Aに対する配設位置、または、バスバー1Bにおける第1外部接続端子111B2および第2外部接続端子12B2の電極連結部13Bに対する配設位置を選択することができる。このため、あるラミネートセル積層体2と他のラミネートセル積層体2との間の第1外部接続端子11A1,11B2と第2外部接続端子12A1,12B2とによる電気的接続態様を、接続環境に合わせて選択することが可能となる。このため、ラミネートセル積層体2,2間の電気的接続が接続環境に合わせて容易に行えるようになる。
【0043】
例えば、ラミネートセル積層体2,2が水平方向に横並びにされる接続環境では、バスバー1Aを用いることで、ラミネートセル積層体2,2間を接続する図示しないバスバーを一直線に配置することができる。また、ラミネートセル積層体2,2が垂直方向に縦並びにされる接続環境では、バスバー1Bを用いることで、ラミネートセル積層体2,2間を接続する図示しないバスバーを短くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上記の各実施形態で、各ラミネートセル3の電極端子3a,3b間の接続を直列に接続する場合には、図10に示すように、各ラミネートセル積層体2を接続するときに、第1電極端子3aと第2電極端子3bとが上下方向に交互に位置するように各ラミネートセル積層体2のラミネートセル3を配置する。この場合においても、上記の各実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0045】
1A,1B:バスバー
11A,11B:第1極性電極接続部
11A1,11B1:第1端板部
11A2,11B2:第1外部接続端子
11A3,11B3:雌ネジ穴
12A,12B:第2極性電極接続部
12A1,12B1:第2端板部
12A2,12B2:第2外部接続端子
12A3,12B3:雌ネジ穴
13A,13B:電極連結部
2:ラミネートセル積層体
3:ラミネートセル
3a:第1極性電極端子
3b:第2極性電極端子
4:フレーム
4a:隙間
4b:フレーム片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10