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7354515超音波メス用トルクレンチ、および超音波メス/トルクレンチセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】超音波メス用トルクレンチ、および超音波メス/トルクレンチセット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
A61B17/00 700
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020572693
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019095057
(87)【国際公開番号】W WO2019238141
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】201821183432.0
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518265085
【氏名又は名称】北京水木天蓬医療技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing SMTP Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 1001,Electronic information Mansion,No.6 Zhongguancun South Street,Haidian District,Beijing 100083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, チュン
(72)【発明者】
【氏名】フェン, ゼン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン, ソンタオ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1671751(EP,A1)
【文献】特表平6-507791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
B25B 13/00-13/58
B25B 23/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクレンチ本体(20)と、レンチロータ(10)と、を備える超音波メス用トルクレンチであって、前記トルクレンチ本体(20)が、円形トルク穴(21)を備え、前記トルク穴(21)が、第1の部分および第2の部分を備え、前記トルク穴(21)の前記第1の部分にトルククランプ留め具が設けられており、前記トルク穴(21)内に前記レンチロータ(10)が配置され、前記レンチロータ(10)が、メスヘッドクランプ穴(11)と、前記レンチロータ(10)の外側に配置されたロータクランプ留め具(12)とを備え、
前記メスヘッドクランプ穴(11)が、前記超音波メスのメスヘッド(30)のレンチ部(31)と嵌合するために使用され、前記ロータクランプ留め具(12)が、前記トルククランプ留め具に嵌合し、前記トルク穴(21)の前記第2の部分の半径が、前記トルク穴(21)の前記第1の部分から離れる方向に徐々に拡大しており、前記レンチロータ(10)が、前記トルク穴(21)の前記第1の部分に配置され、
前記トルクレンチ本体(20)の半径が、徐々に拡大しており、前記トルクレンチ本体が、大端部と小端部とを備え、前記レンチロータ(10)が、前記小端部内に配置され、前記トルクレンチ本体(20)が、前記小端部から前記大端部に延びる複数のトルク把持部(22)をさらに備え、前記複数のトルク把持部(22)が、前記トルクレンチ本体(20)の外壁から外向きに突出し、前記トルク穴(21)を中心として周方向に等間隔で配置されており、
前記トルク穴(21)の前記第2の部分の内壁が、複数の規制膨張部(23)をさらに備え、前記複数の規制膨張部(23)が、前記トルク穴(21)を中心として前記周方向に等間隔で配置されており、前記複数の規制膨張部(23)の、前記トルクレンチ本体(20)の前記大端部に隣接する端部に内接する円の直径が、前記超音波メスのハンドル(40)の直径よりも小さい、
超音波メス用トルクレンチ。
【請求項2】
前記トルククランプ留め具が、前記トルク穴(21)の前記第1の部分の内壁から前記トルク穴(21)の中心の方に突出する複数の一方向隆起留め具(211)を備える、
請求項1に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項3】
前記一方向隆起留め具(211)が、前記ロータクランプ留め具(12)の側に向いた第1の側壁面と、前記第1の側壁面と反対側に向いた第2の側壁面とを備え、前記一方向隆起留め具(211)の前記第1および第2の側壁面が両方とも弧状面であり、前記トルク穴(21)の前記第1の部分の前記内壁から前記トルク穴(21)の中心に向かう方向に沿って互いに徐々に近づいて合わさっている、
請求項2に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項4】
前記トルクレンチ本体(20)が、溝(212)をさらに備え、前記溝(212)が、前記トルク穴(21)の前記第1の部分の前記内壁と前記一方向隆起留め具(211)の前記第2の側壁面との間に形成されている、
請求項3に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項5】
前記トルクレンチ本体(20)が、クランプホイール(24)をさらに備え、前記クランプホイール(24)が、前記トルク穴(21)の前記第1の部分に着脱可能にクランプされ、前記クランプホイール(24)に前記レンチロータ(10)が配置され、前記クランプホイール(24)の内壁に前記トルククランプ留め具が形成されており、前記トルククランプ留め具に前記ロータクランプ留め具(12)が嵌合る、
請求項1に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項6】
前記ロータクランプ留め具(12)が、前記レンチロータ(10)の外周面に配置されており、前記ロータクランプ留め具(12)の断面が、一方向ラチェットの形状である、
請求項1に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項7】
前記小端部に位置する前記トルク穴(21)の前記第1の部分の直径が、前記大端部に位置する前記トルク穴(21)の前記第2の部分の直径よりも小さい、
請求項1に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項8】
前記トルクレンチ本体(20)の内壁にクランプスロットが設けられており、前記クランプホイール(24)の外壁に、前記クランプスロットと嵌合するフックが周方向に設けられており、したがって、前記クランプホイール(24)が前記トルク穴(21)の前記第1の部分に着脱可能にクランプされる、
請求項5に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項9】
前記レンチロータ(10)が、レンチ部係合部と、拡大部とを備え、前記トルクレンチ本体(20)の中心軸に沿った前記レンチ部係合部の長さが、前記レンチ部(31)の長さと略等しく、前記拡大部の内孔の最小直径が、前記レンチ部係合部の内孔の直径よりも大きい、請求項1に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項10】
前記規制膨張部(23)の、前記レンチロータ(10)と反対側の端面と、前記レンチロータ(10)の前記レンチ部係合部の、前記規制膨張部(23)の側の端面とが、前記トルクレンチ本体(20)の前記中心軸に沿って第1の距離を開けて離間しており、前記超音波メスの前記ハンドル(40)の、前記レンチ部の側の端面と、前記レンチ部(31)の、前記ハンドル(40)と反対側の端面とが、前記超音波メスの中心軸に沿って第2の距離を開けて離間しており、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長く、したがって、前記超音波メスが前記トルクレンチに、前記規制膨張部(23)の、前記レンチロータ(10)と反対側の端面から、前記レンチロータ(10)に向かう方向で挿入されると、前記レンチ部(31)が前記レンチロータ(10)の内部に到達できない、請求項9に記載の超音波メス用トルクレンチ。
【請求項11】
ハンドル(40)およびメスヘッド(30)を備え、前記メスヘッド(30)にレンチ部(31)が設けられた超音波メスと、
請求項1~10のいずれか一項に記載のトルクレンチと、
を備える、超音波メスとトルクレンチのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器の技術分野、特に超音波メス用トルクレンチ、ならびに超音波メスとトルクレンチのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
手術において、軟組織、硬組織、およびヒトの組織の切断と再建に、超音波メスが使用されることが多い。使い勝手を良くするため、外科用超音波メスのハンドルとメスヘッドは別々に設計され、ねじにより接続されている。この接続処理の際に、メスヘッドをレンチでハンドルに固定する必要がある。
【0003】
超音波メス技術の開発に伴い、中国特許公開第107095722号明細書、中国実用新案登録第206303948号明細書、中国実用新案登録第205831876号明細書、中国実用新案登録第203369938号明細書、中国実用新案登録第201070394号明細書に開示されている超音波メスのように、メスの棒状部が湾曲したもの、およびメスヘッドが不規則形状なものが多く登場している。
【0004】
固定中にメスヘッドが過度に固定されるのを防ぐために、固定にはトルクレンチが使用されることが多い。しかし、従来のトルクレンチのほとんどは、棒状部が直線的なメスヘッドにしか使用できない。即ち、メスヘッドが斜めに曲がっている場合や不規則形状のメスヘッドの場合は使用不能である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、超音波メス用トルクレンチを提供することであって、この超音波メス用トルクレンチは、トルクレンチ本体と、レンチロータと、を備え、前記トルクレンチ本体が、円形トルク穴を備え、前記トルク穴内に、トルククランプ留め具が設けられ、前記トルク穴に前記レンチロータが配置され、前記レンチロータが、メスヘッドクランプ穴と、前記レンチロータの外側に配置されたロータクランプ留め具と、前記メスヘッドクランプ穴の内側に配置されたメスヘッドクランプスロットとを備え、前記超音波メス用トルクレンチに嵌合した前記超音波メスのメスヘッドに配置されたレンチ部が、前記メスヘッドクランプ穴を介して前記メスヘッドクランプスロットにクランプされ、前記ロータクランプ留め具はトルククランプ留め具に嵌合し、前記トルク穴が、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有し、前記レンチロータが、前記トルク穴の小径端部に配置される。超音波メス用トルクレンチは、様々な超音波メスヘッドを取り付ける機能を提供でき、これにより、トルクレンチの用途が広がり、使い勝手が向上する。
【0006】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルクレンチ本体が、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有し、前記円筒形構造が、大端部と小端部とを備え、前記レンチロータが、前記小端部内に配置され、前記トルクレンチ本体が、前記小端部から前記大端部に延在する複数のトルク把持部をさらに備え、前記複数のトルク把持部が、前記トルクレンチ本体の外壁から外向きに突出し、前記トルク穴を中心として周方向に等間隔で配置される。
【0007】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルク穴の内壁が、複数の規制膨張部をさらに備え、前記複数の規制膨張部が、前記トルク穴を中心として周方向に等間隔で配置され、前記複数の規制膨張部によって形成される最大の円の直径が、前記超音波メスのハンドルの直径よりも小さい。
【0008】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルククランプ留め具が、前記トルク穴の内壁から、前記トルク穴の中心に突出する、複数の一方向隆起留め具を備え、前記複数の一方向隆起留め具が、前記トルク穴の前記内壁上で、環状に配置される。
【0009】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記一方向隆起留め具の2つの側壁が両方とも弧状であり、前記トルク穴の前記内壁から、前記トルク穴の中心の方へ徐々に集束する。
【0010】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルクレンチ本体が、溝をさらに備え、前記溝が、前記一方向隆起留め具の徐々に変化する外形に対応し、前記トルク穴の前記内壁に形成される。
【0011】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記溝の2つの側壁も弧状であり、前記一方向隆起留め具の2つの側壁が徐々に集束する方向と反対の方向に徐々に集束する。
【0012】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルクレンチ本体が、クランプホイールをさらに備え、前記クランプホイールが前記トルク穴内に着脱可能にクランプされ、前記クランプホイールに、前記レンチロータが配置され、前記クランプホイールの内壁に、前記トルククランプ留め具が形成され、前記トルククランプ留め具に前記ロータクランプ留め具が嵌合する。
【0013】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記ロータクランプ留め具が、前記レンチロータの外周面に配置され、前記ロータクランプ留め具の断面が、一方向ラチェット形状である。
【0014】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記小端部における前記トルク穴の直径が、前記大端部における前記トルク穴の直径よりも小さい。
【0015】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記トルクレンチ本体の内壁に、クランプスロットが設けられ、前記クランプホイールの外壁に、前記クランプスロットと嵌合するフックが周方向に設けられ、したがって、前記クランプホイールが前記トルク穴内に着脱可能にクランプされる。
【0016】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記レンチロータが、レンチ部係合部と、拡大部とを備え、前記トルクレンチ本体の中心軸に沿った前記レンチ部係合部の長さが、前記レンチ部の長さと略等しく、前記拡大部が前記規制膨張部に隣接し、前記拡大部の内孔が、前記レンチ部係合部の内孔よりも大きい。
【0017】
本開示の超音波メス用トルクレンチにおいては好ましくは、前記規制膨張部の、前記レンチロータと反対側の端面と、前記レンチロータの前記レンチ部係合部の、前記規制膨張部側の端面とが、前記トルクレンチ本体の前記中心軸に沿って、その間に第1の距離を開けて離間しており、前記超音波メスの前記ハンドルの、前記レンチ部側の端面と、前記レンチ部の、前記ハンドルと反対側の端面とが、前記トルクレンチ本体の前記中心軸に沿って、第2の距離を開けて離間しており、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長く、したがって、前記超音波メスが前記トルクレンチに、前記規制膨張部の、前記レンチロータと反対側の端面から、前記レンチ部に向かう方向で挿入されると、前記レンチ部は前記レンチロータ内部に到達できない。
【0018】
本開示はさらに、ハンドルおよびメスヘッドを備え、前記メスヘッドにレンチ部が設けられた超音波メスと、上記トルクレンチとを備える、超音波メスとトルクレンチのセットを提供する。
【0019】
上記技術的解決策によると、本開示における超音波メス用トルクレンチは、レンチロータと、トルクレンチ本体とを備える。トルクレンチ本体は、トルククランプ留め具を備える。レンチロータは、ロータクランプ留め具と、メスヘッドクランプ穴とを備える。ロータクランプ留め具はトルククランプ留め具に嵌合し、超音波メスのメスヘッドにはレンチ部が設けられ、メスヘッドクランプ穴はレンチ部に嵌合する。レンチロータを個別に設けることで、ロータクランプ留め具とトルククランプ留め具との間の嵌合に影響することなく、異なる種類の超音波メスのメスヘッドがメスヘッドクランプ穴内にクランプできる。したがって、超音波メス用トルクレンチは、様々な超音波メスヘッドを取り付ける機能を提供でき、これにより、トルクレンチの用途が広がり、使い勝手が向上する。
【0020】
本開示の特定の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に説明するために、特定の実施形態または先行技術の説明において使用される添付の図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下の説明の添付の図面は、本開示の実施形態のいくつかを示しており、当業者は、創造的な努力なしに、これらの添付の図面から他の図面を依然として導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの斜視図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの部分断面図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの左端の斜視図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの右側面図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチと超音波メスのレンチ部との間の嵌合の側面断面図である。
図6】本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチを反対方向に使用する場合、超音波メス用トルクレンチを超音波メスのレンチ部に嵌合できないことを示す側面断面図である。
図7】本開示の第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの斜視図である。
図8】本開示の第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの右端の斜視図である。
図9】本開示の第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの左側面図である。
図10】本開示の第3の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの斜視図である。
図11】本開示の第3の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの右端の斜視図である。
図12】本開示の第3の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの左側面図である。
図13】本開示の第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの斜視図である。
図14】本開示の第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの右端の斜視図である。
図15】本開示の第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、本開示の実施形態における技術的解決策は、本開示の実施形態における添付の図面を参照して明確かつ完全に説明される。本明細書に記載の特定の実施形態は、本開示の単なる例示であり、本開示を限定することを意図するものではないことを理解されたい。記載された実施形態は、本開示の実施形態のすべてではなく、単なる一部である。創造的な努力なしに本開示の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【0023】
本開示の説明において、「上」、「下」などの用語によって示される配向または位置関係は、添付の図面に示される配向または位置関係に基づいており、本開示の説明を容易にし、この説明を簡潔にすることのみを意図しており、言及されるデバイスまたは要素が特定の向きを有することや、特定の向きで構築および操作されなければならないことを示したり暗に意味したりするものではなく、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。その中で、「内側」と「外側」は穴に対して相対的であり、即ち、「内側」は穴の内部空洞に向かう方向を指し、「外側」は穴の内部空洞から離間する方向であり、「内側」とは反対方向を指す。
【0024】
さらに、本開示の説明において、「接続する」および「接続」という用語は、他に明示的に指定または定義さは固定接続、取り外し可能な接続、または統合された接続であってもよく、機械的接続または電気的接続であってもよく、また、中間媒体を介した直接接続または間接接続であってもよく、または2つの要素でない限り、広い意味で理解されるべきであることに留意されたい。例えば、接続の内部間の連通であってもよい。当業者にとって、本開示における上記の用語の特定の意味は、特定の状況に従って解釈されるべきである。
【0025】
図1から図4および図7から図15は、本開示に係る超音波メス用トルクレンチを示している。本開示における超音波メス用トルクレンチは、トルクレンチ本体20と、レンチロータ10とを備える。トルクレンチ本体20は、円形トルク穴21を備える。トルク穴21内には、トルククランプ留め具が設けられ、このトルク穴21にレンチロータ10が配置される。レンチロータ10は、メスヘッドクランプ穴11と、レンチロータ10の外側に配置されたロータクランプ留め具12と、メスヘッドクランプ穴11の内側に配置されたメスヘッドクランプスロット13とを備える。超音波メスのトルクレンチに嵌合する超音波メスのメスヘッド30に配置されたレンチ部31は、メスヘッドクランプ穴11を通ってメスヘッドクランプスロット13にクランプされ、ロータクランプ留め具12はトルククランプ留め具に嵌合する。
【0026】
本開示に係る超音波メス用トルクレンチは、レンチロータ10と、トルクレンチ本体20とを備える。トルクレンチ本体20は、トルククランプ留め具を備える。レンチロータ10は、ロータクランプ留め具12と、メスヘッドクランプ穴11とを備える。ロータクランプ留め具12はトルククランプ留め具に嵌合し、超音波メスのメスヘッドにはレンチ部31が設けられ、メスヘッドクランプ穴11はレンチ部31に嵌合する。レンチロータ10を個別に設けることで、ロータクランプ留め具12とトルククランプ留め具との間の嵌合に影響することなく、異なる種類の超音波メスのメスヘッド30がメスヘッドクランプ穴11内にクランプできるように、レンチロータ10はトルクレンチ本体20のトルククランプ留め具と嵌合する。したがって、超音波メス用トルクレンチは、様々な超音波メスヘッドを取り付ける機能を提供でき、これにより、トルクレンチの用途が広がり、使い勝手が向上する。
【0027】
図1から図4は、本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチを示す。トルクレンチ本体20は、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有する。円筒形構造は、大端部と小端部とを備える。レンチロータ10は、小端部内に配置される。トルクレンチ本体20は、小端部から大端部に延在する複数のトルク把持部22をさらに備える。複数のトルク把持部22は、トルクレンチ本体20の外壁から突出し、トルク穴21を中心として周方向に等間隔で配置される。トルクレンチ本体20は、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有するように設計される。これにより、前端の形状が異なるメスヘッド30(特に、前端が湾曲しているメスヘッド、または不規則形状のメスヘッド)が、レンチロータ10を滑らかに通過しやすくなる。したがって、メスヘッド30のレンチ部31は、滑らかにレンチロータ10の内部に到達でき、レンチロータ10のメスヘッドクランプ穴11に嵌合する。本開示の好ましい実施形態において、小端部におけるトルク穴21の直径は、大端部におけるトルク穴21の直径よりも小さい。したがって、トルク穴21は半径が徐々に拡大する円筒形構造を有する。トルク穴21は、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有するように設計される。これにより、前端の形状が異なるメスヘッド30(特に、前端が湾曲しているメスヘッド、または不規則形状のメスヘッド)が、レンチロータ10を滑らかに通過しやすくなる。したがって、メスヘッド30のレンチ部31は、滑らかにレンチロータ10の内部に到達でき、レンチロータ10のメスヘッドクランプ穴11に嵌合する。これにより、所定の屈曲角の超音波メスのメスヘッド30が通過でき、取り付けまたは分解時に、超音波メスのメスヘッド30はトルクレンチ本体20の取り付けに干渉しない。したがって、超音波メス用トルクレンチは、様々な超音波メスヘッドを取り付ける機能を提供でき、これにより、トルクレンチの用途が広がり、使い勝手が向上する。非限定的だが、トルクレンチ本体20はまた、断面積が徐々に拡大する角錐または円錐であり得る。トルクレンチ本体20の外壁は、複数の外方突出トルク把持部22をさらに備える。これは、操作者がトルクレンチ本体20を保持し、トルクレンチ本体20を回す力を効率的に印加するのに使用される。好ましくは、複数のトルク把持部22はその表面に、さらに操作者が保持しやすくなるよう、滑り止め面が設けられ得る。図1から図4に示すように、トルクレンチ本体20の外壁には、4つのトルク把持部22が設けられる。好ましくは、トルク把持部22の2つの側壁は、弧状であり、より手で保持しやすくするために、トルクレンチ本体20の中心軸から径方向に周囲へ徐々に集束する。
【0028】
図2および図3に示すように、トルク穴21の内壁は、複数の規制膨張部23をさらに備える。複数の規制膨張部23は、複数のトルク把持部22の位置と、一対一で対応し得る。複数の規制膨張部23は、トルク穴21を中心として周方向に等間隔で配置される。複数の規制膨張部23によって形成される最大の円の直径は、超音波メスのハンドル40の直径よりも小さい。本開示の第1の実施形態によると、規制膨張部23は角錐状である。
【0029】
図5および図6に示すように、レンチロータ10は、レンチ部係合部と、拡大部とを備え、トルクレンチ本体の中心軸に沿ったレンチ部係合部の長さは、レンチ部の長さと略等しく、拡大部は規制膨張部23に隣接し(即ち、拡大部がレンチ部係合部と規制膨張部23との間に配置される)、拡大部の内孔は、レンチ部係合部の内孔よりも大きい。好ましくは、拡大部の内孔も、半径が徐々に拡大する円筒形構造を有し、拡大部の内孔と、トルク穴21は、略円錐台形孔を形成する。
【0030】
図5および図6をさらに参照すると、規制膨張部23の、レンチロータ10と反対側の端面と、レンチロータ10のレンチ部係合部の、規制膨張部23側の端面とは、トルクレンチ本体20の中心軸に沿って、その間に第1の距離を開けて離間している。超音波メスのハンドル40の、レンチ部側の端面と、レンチ部31の、ハンドル40と反対側の端面とは、トルクレンチ本体20の中心軸に沿って、第2の距離を開けて離間している。第1の距離は第2の距離よりも長い。したがって、超音波メスがトルクレンチに、規制膨張部23の、レンチロータ10と反対側の端面から、レンチ部31に向かう方向で挿入されると、レンチ部31はレンチロータ10内部に到達できない。したがって、トルクレンチが反対方向に使用されると、規制膨張部23が超音波メスのハンドル40を停止する。したがって、メスヘッド30のレンチ部31はレンチロータ10内に到達できない。即ち、メスヘッド30のレンチ部31は、レンチロータ10のメスヘッドクランプ穴11と嵌合できない。したがって、トルクレンチの反対方向での使用が防止される。即ち、トルクレンチの反対方向接続防止設計により、使用ミスが防止するためにトルクレンチが反対方向に使用されることが機能的に防止することができ、これにより、効率向上と使い勝手の向上を実現する。
【0031】
図3は、本開示の第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチのトルククランプ留め具の構造を示す。具体的には、トルククランプ留め具は、トルク穴21の内壁から、トルク穴21の中心に突出する、複数の一方向隆起留め具211を備える。複数の一方向隆起留め具211は、トルク穴21の内壁上で、環状に配置される。したがって、複数の一方向隆起留め具211と、ロータクランプ留め具12とが互いに嵌合し、これにより、超音波メス用トルクレンチは、超音波メスのメスヘッドに、トルクを印加可能である。一方向隆起留め具211と、ロータクランプ留め具12とを嵌合しやすくするため、特に、トルククランプ留め具は2つ以上の一方向隆起留め具211を備える。これにより、一方向隆起留め具211とロータクランプ留め具12とは、互いに迅速に嵌合可能となる。本明細書において、一方向隆起留め具211は、留め具先端が一方側に傾斜した隆起留め具である。この一方向隆起留め具211は、ロータクランプ留め具12と容易かつ迅速に嵌合でき、一方向隆起留め具211がロータクランプ留め具12から外れることを防止するために、トルクレンチがトルクを印加するのに便利である。図3に示すように、複数の一方向隆起留め具211の留め具先端は、円形トルク穴21内で、時計回りに傾斜することで、リング状となる。もちろん、本開示はこれに限定されることはなく、複数の一方向隆起留め具211の留め具先端はまた、円形トルク穴21内で、反時計回りに傾斜することで、リング状となってもよい。
【0032】
複数の一方向隆起留め具211をリング状に配置しやすくするため、各一方向隆起留め具211の両側壁は、弧状に設計可能であり、留め具先端が一方側に向かって傾斜した一方向隆起留め具211が形成するために、トルク穴21の内壁から、トルク穴21の中心の方へ徐々に集束する。図3に示すように、一方向隆起留め具211の形状は、三日月形に近い。
【0033】
ロータクランプ留め具12と嵌合した複数の一方向隆起留め具211は、トルクレンチにトルクが印加されると変形する。したがって、一方向隆起留め具211の変形用に、変形空間を確保する必要がある。本開示の好ましい実施形態において、図3に示すように、トルクレンチ本体20は、さらに溝212を有する。溝212は、一方向隆起留め具211の徐々に変化する外形に対応し、トルク穴21の内壁に形成される。
【0034】
好ましくは、溝212の2つの側壁も弧状であり、一方向隆起留め具211の2つの側壁が徐々に集束する方向と反対の方向に徐々に集束する。一方向隆起留め具211の強度を確保し、一方向隆起留め具211の変形用の変形空間も確保するために、一方向隆起留め具211がトルク穴21の中心から離間する方向に徐々に拡大するように、溝212の2つの側壁の集束方向が、一方向隆起留め具211の2つの側壁の集束方向と反対となっている。
【0035】
本開示の好ましい実施形態において、トルクレンチ本体20は、クランプホイール24をさらに備える。クランプホイール24はトルク穴21内に着脱可能にクランプされる。クランプホイール24には、レンチロータ10が配置される。クランプホイール24の内壁には、トルククランプ留め具が形成される。このトルククランプ留め具にロータクランプ留め具12が嵌合する。具体的には、図2および図5を参照すると、トルクレンチ本体20の内壁にはクランプスロットが設けられる。クランプホイール24の外壁には、クランプスロットと嵌合するフックが周方向に設けられる。これにより、クランプホイール24がトルク穴21内に着脱可能にクランプされる。したがって、トルク穴21内で、レンチロータ10のロータクランプ留め具12が、クランプホイール24の内壁に設けられたトルククランプ留め具と嵌合する。これにより、トルクレンチ全体を交換することなく、トルクレンチの構成要素を交換できるため、便利である。例えば、異なる形状および/または大きさのメスヘッドクランプ穴11を有するレンチロータ10を交換することで、本開示に係るトルクレンチは、様々な形状および/または大きさのレンチ部を有する超音波メスに使用できる。
【0036】
本開示の好ましい実施形態において、図2に示すように、レンチロータ10の外周面に、ロータクランプ留め具12が配置される。クランプ留め具12の断面は、一方向ラチェット形状である。トルクレンチの一方向隆起留め具211は、それぞれ、ロータクランプ留め具12と嵌合する。一方向ラチェット形状ロータクランプ留め具12と、トルクレンチのトルククランプ留め具(即ち、一方向隆起留め具211)が互いに嵌合した後、トルクレンチ本体20がトルク印加方向に(メスヘッドを固定する)回転されると、トルククランプ留め具の所定の力を上回る必要がある。所定の力を上回ると、メスヘッドを一定の力で固定するために、トルククランプ留め具は変形し、回転により係合解除される。トルクレンチ本体20が、係合の場合の純粋な抵抗状態としての、抵抗方向に回転されると(メスヘッドを取り外す)、トルククランプ留め具はこの方向の回転により変形することはなく、したがって、最大トルク値での回転により、メスヘッドが取り外し可能となる。
【0037】
図7および図8は、本開示の第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチを示す。第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチとの違いは、第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチが、2つのトルク把持部22を備えることであり、トルク把持部22の2つの側壁は弧状であり、トルクレンチ本体20の中心軸から径方向に周囲へ徐々に集束する。さらに、トルクレンチ本体20は、半径が徐々に拡大する円筒形構造であり、2つのトルク把持部22間の円筒形構造がなく、トルクレンチの構造が簡素化され、製造コストを低減できる。
【0038】
図10から図12は、本開示の第3の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチを示す。本開示の第3の実施形態は、第3の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチが4つのトルク把持部22を備える点で第2の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチとは異なり、トルク把持部22の2つの側壁は弧状であり、トルク穴21の内壁からトルク穴21の中心に向かう方向とは逆方向に徐々に集束する。同様に、トルクレンチ本体20は、半径が徐々に拡大する円筒形構造であり、2つのトルク把持部22間の部分がなく、トルクレンチの構造が簡素化され、製造コストを低減できる。
【0039】
図13から図15は、本開示の第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチを示す。本開示の第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチは、第4の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチのトルクレンチ本体20が、手全体で保持するというニーズに応えるために長い円筒形構造を採用した点で第1の実施形態に係る超音波メス用トルクレンチとは異なり、操作がより快適になり、超音波メス用トルクレンチのユーザによる操作性が向上する。
【0040】
図5に示すように、超音波メス用メスヘッド30には、ハンドル40に接続されたねじ構造が設けられていてもよく、メスヘッド30には、レンチ部31が設けられる。トルククランプ留め具は、ロータクランプ留め具12に嵌合し、そこでトルクがトルクレンチのトルクレンチ本体20に印加され、これによってメスヘッド30がハンドル40とねじ接続される。このようにして、超音波メス用のメスヘッドの取り付けおよび分解が行われる。
【0041】
まとめると、本開示に係る超音波メス用トルクレンチは、レンチロータ10と、トルクレンチ本体20とを備える。トルクレンチ本体20は、トルククランプ留め具を備える。レンチロータ10は、ロータクランプ留め具12と、メスヘッドクランプ穴11とを備える。ロータクランプ留め具12はトルククランプ留め具に嵌合し、超音波メスのメスヘッドにはレンチ部31が設けられ、メスヘッドクランプ穴11はレンチ部31に嵌合する。レンチロータ10を個別に設けることで、ロータクランプ留め具12とトルククランプ留め具との間の嵌合に影響することなく、異なる種類の超音波メスのメスヘッド30がメスヘッドクランプ穴11内にクランプできるように、レンチロータ10はトルクレンチ本体20のトルククランプ留め具と嵌合する。したがって、超音波メス用トルクレンチは、様々な超音波メスヘッドを取り付ける機能を提供でき、これにより、トルクレンチの用途が広がり、使い勝手が向上する。
【0042】
本開示はさらに、超音波メスをトルクレンチで固定するために、超音波メスのレンチ部がトルクレンチのレンチロータと形状が適合している超音波メスとトルクレンチのセットを提供する。
【0043】
上記の説明は、本開示の特定の実施形態に過ぎないが、本開示の保護の範囲はそれに限定されず、本開示に開示される技術的範囲内で当業者によって容易に行われる変更または置換は、これらはすべて、本開示の保護の範囲に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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