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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】燃料発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20230926BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230926BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20230926BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230926BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230926BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/0438
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019186387
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021061222
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】田中 知親
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010896(JP,A)
【文献】特開2014-211975(JP,A)
【文献】特開2014-017161(JP,A)
【文献】特開平02-068863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物へ供給される燃料の供給経路の上流側に設けられ、前記供給経路を流れる当該燃料の流量を計測可能な流量計を備えると共に前記流量計により計測される当該燃料の流量が所定の期間に亘って連続して所定の流量を超えた場合に前記供給経路から前記建物への当該燃料の供給を遮断可能な燃料遮断装置と、
前記燃料遮断装置よりも下流側の部位で前記供給経路と接続され、内周部に沿って断熱材が設けられた筐体の内部に配置されると共に当該燃料が供給されることにより発電可能な発電部を備えた燃料発電装置と、
前記建物の屋内に配置され、前記建物の屋外から引き込まれた電源を当該屋内に分岐配線する分電盤と、
前記筐体の内部において前記断熱材と前記発電部の間に配置されると共に前記分電盤と電気的に接続され、前記分電盤から供給される電力により前記発電部を保温可能な保温部と、
前記分電盤と前記保温部との電気配線上に設けられ、前記供給経路から前記発電部への当該燃料の供給が遮断された際に前記分電盤から前記保温部へ通電することにより前記保温部を作動させる保温制御部と、
を含んで構成され
前記燃料発電装置は、
一方の端部が前記燃料発電装置の外側に設けられると共に他方の端部が前記発電部と接続され、略管状に形成された空気用配管と、
前記空気用配管の当該一方の端部の側に設けられ、前記発電部が前記供給経路から供給される当該燃料によって発電する際には前記空気用配管の当該他方の端部の側へ向けて空気を送風し、前記供給経路から前記発電部への当該燃料の供給が遮断された際には作動を停止する送風装置と、を備えている、
燃料発電システム。
【請求項2】
前記保温部は、前記分電盤から供給される電力により発熱する電熱線を備える請求項1に記載の燃料発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ガス漏れ検知機能の誤作動を防止しつつガス発電装置の運転により得られる効果を向上できる制御部を備えた電力システムが開示されている。具体的には、制御部はガス発電装置の連続運転の許容期間をガス漏れ検知機能によりガス漏れと判定される期間よりも短く設定すると共に許容期間の経過時よりも所定時間前の基準時から当該経過時までの期間においてガス発電装置の運転による効果を予測する。ここでの効果とは、例えば、光熱費の削減効果、エコロジー効果及びユーザ快適度の向上効果等である。これにより、制御部は予測した効果に基づいて対象期間の中からガス発電装置の連続運転を停止すべき運転停止時を選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-17161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電力システムによれば、例えば、ガス発電装置において発電を行う燃料電池のように、その種類によっては動作温度が高温となるため起動と停止に長時間を要する場合がある。このような燃料電池を備えたガス発電装置がガス漏れ検知機能の誤動作を防止するために停止された場合は、ガス発電装置を再起動するために長時間を要する。以上より、燃料発電装置をより効果的に運転するためには、燃料漏れ検知機能の誤動作を防止するための停止から再稼働までの時間を短縮できることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、燃料漏れ検知機能の誤動作を防止するための停止から再稼働までの時間を短縮することができる燃料発電装置を備えた燃料発電システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る燃料発電システムは、建物へ供給される燃料の供給経路の上流側に設けられ、前記供給経路を流れる当該燃料の流量を計測可能な流量計を備えると共に前記流量計により計測される当該燃料の流量が所定の期間に亘って連続して所定の流量を超えた場合に前記供給経路から前記建物への当該燃料の供給を遮断可能な燃料遮断装置と、前記燃料遮断装置よりも下流側の部位で前記供給経路と接続され、内周部に沿って断熱材が設けられた筐体の内部に配置されると共に当該燃料が供給されることにより発電可能な発電部を備えた燃料発電装置と、前記建物の屋内に配置され、前記建物の屋外から引き込まれた電源を当該屋内に分岐配線する分電盤と、前記筐体の内部において前記断熱材と前記発電部の間に配置されると共に前記分電盤と電気的に接続され、前記分電盤から供給される電力により前記発電部を保温可能な保温部と、前記分電盤と前記保温部との電気配線上に設けられ、前記供給経路から前記発電部への当該燃料の供給が遮断された際に前記分電盤から前記保温部へ通電することにより前記保温部を作動させる保温制御部と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様に係る燃料発電システムによれば、燃料遮断装置に備えられた流量計により計測される燃料の流量が所定の期間に亘って連続して所定の流量を超えた場合には、供給経路から建物への燃料の供給が遮断される。この際、保温制御部は、分電盤から保温部へ通電することにより保温部を作動させることができる。このため、保温部は燃料発電装置の発電部の動作温度を維持できる程度に保温することができると共に燃料発電装置の停止時に発電部の温度が大きく低下することを抑制することができる。これにより、燃料発電装置を再起動した際に短時間で燃料発電装置の動作温度まで発電部の温度を上昇させることができ、燃料漏れ検知機能の誤動作を防止するための燃料発電装置の停止から再稼働までの時間を短縮することができる。
【0008】
第2の態様に係る燃料発電システムは、第1の態様において、前記保温部は、前記分電盤から供給される電力により発熱する電熱線を備えている。
【0009】
第2の態様に係る燃料発電システムによれば、保温部は分電盤から供給される電力により発熱する電熱線を備えているため、電熱線の抵抗で消費された電力を効率よく熱に変換することができる。さらに、保温部は電熱線に電流を流すだけの構成であり、例えば、燃焼加熱のように排ガスも生じないため、保温部に排ガスを処理するための補助的な装置等を設ける必要がなく簡便に構成することができる。また、電熱線は容易に曲げ加工をすることができるため、発電部の形状に合わせて保温部を形成させることができる。これにより、保温部を簡便に構成することができると共に発電部を効率よく保温することができる。
【0010】
第3の態様に係る燃料発電システムは、第1又は第2の態様の何れか1の態様において、前記燃料発電装置は、一方の端部が前記燃料発電装置の外側に設けられると共に他方の端部が前記発電部と接続され、略管状に形成された空気用配管と、前記空気用配管の当該一方の端部の側に設けられ、前記発電部が前記供給経路から供給される当該燃料によって発電する際には前記空気用配管の当該他方の端部の側へ向けて空気を送風し、前記供給経路から前記発電部への当該燃料の供給が遮断された際には作動を停止する送風装置と、を備えている。
【0011】
第3の態様に係る燃料発電システムによれば、燃料発電装置は、空気用配管の一方の端部側に設けられ、発電部が供給経路から供給される燃料によって発電する際には空気用配管の当該他方の端部の側へ向けて空気を送風する送風装置を備えている。このため、発電部が発電をする際には、発電部に空気を供給することができる。また、送風装置は、供給経路から発電部への燃料の供給が遮断された際には作動を停止することができる。このため、供給経路から発電部への燃料の供給が遮断された際に発電部への空気の流入を防止又は抑制することができる。これにより、例えば、燃料が供給されずかつ保温されるだけの状態の発電部を構成する機器が空気に触れることによって酸化することを防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、第1の態様に係る燃料発電システムは、燃料漏れ検知機能の誤動作を防止するための燃料発電装置の停止から再稼働までの時間を短縮することができるという優れた効果を有する。
【0013】
第2の態様に係る燃料発電システムは、保温部を簡便に構成することができると共に発電部を効率よく保温することができるという優れた効果を有する。
【0014】
第3の態様に係る燃料発電システムは、供給経路から発電部への燃料の供給が遮断された際に発電部への空気の流入を防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る燃料発電システムのブロック図である。
図2】本実施形態に係る燃料発電装置のブロック図である。
図3】本実施形態に係る保温部が配置された状態を示す筐体の縦断面図である。
図4】本実施形態に係る燃料発電装置の停止後から再稼働までの発電部の温度と時間の関係を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図4を用いて、本発明に係る燃料発電システムの一実施形態について説明する。
【0017】
図1には、燃料発電システム10を備えた電力システム12の一例が示されている電力システム12は、建物としての住宅14に電力(電源)を供給するためのシステムであり、系統電源16を含んで構成されている。系統電源16は、電力会社によって管理され、交流電力を住宅14に伝送する。
【0018】
系統電源16と住宅14の間は、交流電力を伝送する系統電源ライン(電線)18により接続されている。住宅14の屋外ODから屋内IDへ引き込まれた系統電源ライン18は、住宅14の屋内IDに設けられたスマートメーター20と接続されている。また、系統電源ライン18は、スマートメーター20の下流側(屋内側)において住宅14の屋内IDに設けられると共に電源を屋内に分岐配線するための分電盤22と接続されている。
【0019】
スマートメーター20は、住宅14の屋内IDに無線ネットワーク(図1中の点線)によって構築された屋内ネットワーク24に接続されている。なお、以下の説明では、屋内ネットワーク24は、無線ネットワークによって構築されているとして説明するが、これに限らずイーサネット(登録商標)等を用いた有線ネットワークにより構築されてもよい。また、屋内ネットワークの一部が電力線通信(PLC)により系統電源ラインと共通化されてもよい。
【0020】
スマートメーター20は、屋外ODに設けられた屋外ネットワーク26とも接続されている。スマートメーター20は、住宅14の電力消費量を測定すると共に屋外ネットワーク26を経由して測定した電力消費量の情報を送信することができるように構成されている。また、スマートメーター20は、屋外ネットワーク26を経由して伝送される電力制御情報(デマンドレスポンス)を受信する通信装置としての機能も備えている。このため、スマートメーター20は、屋外ネットワーク26を経由して電力の供給側(電力会社等)や需要家の節電量を取りまとめる中間業者(アリゲータ)からの電力制御情報を受信することができる。
【0021】
分電盤22から分岐配線された電源28は、屋内IDに設けられた図示しない複数のコンセントを介して住宅14に配置されると共に入力された電力を消費して動作する複数の電気機器30と各々接続されている。電気機器30とは、例えば、屋内IDで使用される図示しない家電機器(例えば、冷蔵庫、エアコン、照明等)である。なお、以下の説明では、複数の電気機器30が電源28と接続されているとして説明するが、これに限らず1台の電気機器だけが接続されていてもよく、1台の機器も接続されていなくてもよい。
【0022】
住宅14の屋外ODには、住宅14に隣接して配置されると共に系統電源ライン18と接続された燃料発電装置40が設けられている。ここでは、燃料発電装置40には燃料電池(燃料電池スタック72)が利用されている。燃料発電装置40は、発電を行うと共に発電した電気を住宅14の屋内IDに供給する発電部としての燃料電池ユニット44と、発電の際に発生する排熱を湯として貯える貯湯タンク86(図2参照)から住宅14の屋内IDに供給する熱源機46と、を含んで構成されている。
【0023】
図2には、燃料発電装置40のブロック図が示されている。燃料電池ユニット44は、ホットモジュール48と、パワーコンディショナ50と、排熱回収装置52と、貯湯ユニット54と、モジュール制御部48Bと、を含んで構成されている。
【0024】
燃料発電装置40には、燃料としての都市ガス又はLPガス(以下では、ガスと総称する。)が供給経路としてのガス管60を介して供給されている。ガス管60には、燃料発電装置40及び住宅14(図1参照)の上流側において燃料遮断装置としてのマイコンメータ62が設けられている。マイコンメータ62は、燃料(ガス)漏れ検知のための機能を備えたマイクロコンピューターを内蔵すると共にガスメータとしての機能を有している。マイコンメータ62の住宅14側(下流側)の端部には、ガス管60を経由して燃料発電装置40及び住宅14へ供給されるガスの流量である第1流量F1を計測するための供給側流量計66が設けられている。マイコンメータ62の内部には、通信機能を有すると共に第1流量F1のデータを他の機器へ送信可能な第1出力部62Aが備えられている。
【0025】
マイコンメータ62は、ガス漏れが発生したと判断した場合には、警報を出したり、ガスの供給を遮断したりするガス漏れ検知機能を備えている。具体的には、例えば、予め定めた所定の流量以上のガスが所定の時間連続して流れ続けた場合及び所定の震度以上の地震を感知した場合等に、マイコンメータ62はガス漏れが発生したと判断する。また、マイコンメータ62の内部には、計数部62Bが設けられている。計数部62Bは、第1流量F1が所定の流量を連続して超えている時間を計数する。マイコンメータ62は、計数部62Bにより計数した時間が所定の判断期間を超えた場合にガス漏れが発生したと判断し、警報を出すと共にガスの供給を遮断できるように構成されている。ここで、所定の流量とは、例えば、供給側流量計66の計測誤差程度の微少量が設定されている。
【0026】
ホットモジュール48は、燃料処理装置70と燃料電池スタック72を含んで構成されている。燃料処理装置70と燃料電池スタック72は、内周部が断熱材49で覆われた筐体としての筐体部48Aの内部に配置されている。筐体部48Aには、燃料電池ユニット44の外側(外部)と燃料電池スタック72を連結する略管状に形成された空気用配管74が設けられている。空気用配管74の一方の端部としての燃料電池ユニット44の外側端部の側には、送風装置としてのファン74Aが設けられている。ファン74Aは、ホットモジュール48が発電する際に作動されることにより空気用配管74の他方の端部の側としてのホットモジュール48の側へ向けて空気を送風すると共にガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断される際には作動を停止する。
【0027】
筐体部48Aには、ガス管60から分岐されると共に燃料処理装置70内部にガスを送り込むための略管状に形成されたガス供給用配管76が接続されている。ガス供給用配管76には、燃料電池ユニット44に供給されるガスの流量である第2流量F2を計測可能な発電側流量計78が設けられている。また、発電側流量計78には、通信機能を有すると共に計測した第2流量F2のデータを送信可能な第2出力部78Aが設けられている。
【0028】
燃料処理装置70は、燃料電池ユニット44の外部から供給されたガスと水蒸気を反応させることにより水素を抽出する。抽出された水素は、燃料処理装置70と燃料電池スタック72を連結すると共に略管状に形成された処理部配管82を介して燃料電池スタック72へ送られる。燃料電池スタック72は、燃料処理装置70から送られてきた水素と空気用配管74から流入された空気(酸素)の化学反応により発電を行う。
【0029】
図3に示されるように、筐体部48Aの内部には、断熱材49とホットモジュール48の間に保温部56が配置されている。保温部56は、分電盤22と電気的に接続されると共に略コイル状に形成され、分電盤22から供給される電力により発熱する電熱線56Aにより構成されている。これにより、保温部56は、分電盤22から供給される電力によって発熱する電熱線56Aによりホットモジュール48を保温することができる。
【0030】
図2に示されるように、燃料電池スタック72には、パワーコンディショナ50が電気的に接続されている。パワーコンディショナ50は、ホットモジュール48において発電された直流電気を交流電力へ変換する。また、パワーコンディショナ50は、系統電源16と連系(系統連系)されており、系統電源ライン18を介して交流電力を出力する。
【0031】
ホットモジュール48には、モジュール制御部48Bが設けられている。ホットモジュール48による発電量は、供給されるガス及び空気の量に応じて変化する。また、ホットモジュール48による発電は、系統電源16への逆潮流が生じない範囲で行われる。このため、モジュール制御部48Bは、住宅14の屋内IDに設けられた複数の電気機器30の電力消費量に合わせて燃料電池ユニット44に供給されるガス及び空気の量を制御することにより発電量を制御する。また、モジュール制御部48Bには、分電盤22と保温部56との電気配線上に設けられると共にガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断される際に分電盤22と保温部56を電気的に接続する保温制御部80が設けられている。このため、ガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断される際には、保温部56は、分電盤22から供給される電力によりホットモジュール48を保温することができる。
【0032】
燃料電池スタック72には、排熱回収装置52が接続されている。燃料電池スタック72による発電の際に発生する熱を帯びた排気ガスは、排熱回収装置52へ送られる。排熱回収装置52の内部には、貯湯ユニット54に設けられた略管形状の循環用配管84の一部が配置されている。循環用配管84は、その両端部が貯湯ユニット54に設けられると共に水道水を貯水(貯湯)する貯湯タンク86の両端部と各々接続されている。また、貯湯タンク86には、水道から水を供給する略管形状の水供給用配管88が接続されている。このため、水供給用配管88から供給されて貯湯タンク86へ流入した水道水は、循環用配管84へ一方の端部84Aから流入し、他方の端部84B(排熱回収装置52側の端部)から流出して再度を貯湯タンク86へ流入する。これにより、循環用配管84を通過する水道水が排熱回収装置52の内部を通過する際に、排気ガスの排熱は循環用配管84を介して水道水に熱回収される。また、伝熱された水道水は温度上昇するため貯湯タンク86にはお湯として貯えられる。
【0033】
貯湯タンク86は、加熱器90を備えた熱源機46と給湯用配管92を介して接続されている。熱源機46には、貯湯タンク86のお湯を必要に応じて別個に流入させた水道水と混合させると共に加熱器90で温度制御した上で住宅14の屋内IDに設けられた室内給湯器94(図1参照)へ供給することができる。
【0034】
図1に示されるように、屋内ネットワーク24には、発電管理システム96が接続される。発電管理システム96は、住宅14における電力消費量を管理すると共に、スマートメーター20、マイコンメータ62及び燃料発電装置40との通信可能に構成されると共にこれらの機器を制御可能に構成されている。
【0035】
発電管理システム96は、屋外ネットワーク26を介して住宅14の屋外ODと通信可能に構成されている。このため、例えば、ガス漏れの有無や発電の状況等の情報を屋外にいる住宅14の居住者(図示省略)に、例えば、携帯電話等にメールを送信する等の手段を用いて連絡することができる。これにより、屋外ODにいる居住者に迅速にガス漏れの有無や発電の状況等の情報を連絡することができる。
【0036】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0037】
図4には、ホットモジュール48へのガスの供給を遮断した場合の温度の時系列の一例が示されている。図4の横軸は時間を表し、縦軸はホットモジュール48の温度を表す。また、縦軸の原点(図4の縦軸の下端)は、燃料発電装置40が設置されている場所における気温(常温)を表す。マイコンメータ62に備えられた供給側流量計66により計測されるガスの第1流量F1が所定の期間に亘って連続して所定の流量を超えた場合には、ガス管60から住宅14へのガスの供給が遮断される。このため、ホットモジュール48は一旦停止される。ここで、ホットモジュール48を保温する装置等を設けない場合は、図4に実線で示されるように、所定の時間T1をかけて常温まで冷却する(温度低下させる)。また、再起動する際には、所定の時間T2をかけて動作温度まで加熱する(温度上昇させる)。これらの所定の時間T1、T2は、ホットモジュール48の動作温度が高い場合は長時間(例えば、数時間単位)を要する。
【0038】
本実施形態に係る燃料発電システム10によれば、分電盤22と保温部56との電気配線上に設けられた保温制御部80は、ホットモジュール48からガス供給が遮断されると分電盤22から供給される電力により保温部56を作動することができる。このため、図4に点線で示されるように、保温部56は、ガス管60からのガス供給の停止によって停止されたホットモジュール48の動作温度を維持できるように保温すると共にホットモジュール48の温度が大きく低下することを抑制することができる。これにより、燃料発電装置40を再起動した際に比較的短時間T3でホットモジュール48の動作温度まで温度を上昇させることができ、マイコンメータ62の誤動作を防止するためのホットモジュール48の停止から再稼働までの時間を短縮することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る燃料発電システム10によれば、保温部56は分電盤22から供給される電力により発熱する電熱線56Aを備えているため、電熱線56Aの抵抗で消費された電力を効率よく熱に変換することができる。さらに、保温部56は電熱線56Aに電流を流すだけの構成であり、例えば、燃焼加熱のように排ガスも生じないため、保温部56に排ガスを処理するための補助的な装置等を設ける必要がなく簡便に構成することができる。また、電熱線56Aは容易に曲げ加工をすることができるため、ホットモジュール48の形状に合わせて保温部56を形成させることができる。これにより、保温部56を簡便に構成することができると共にホットモジュール48を効率よく保温することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料発電システム10により、マイコンメータ62の誤動作を防止するための燃料発電装置40の停止から再稼働までの時間を短縮することができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係る燃料発電システム10によれば、ホットモジュール48は、空気用配管74の一方の端部側に設けられ、ホットモジュール48が発電する際に作動されることにより空気用配管74の他方の端部側へ向けて空気を送風するファン74Aを備えている。このため、ホットモジュール48において発電をする際に空気を必要とする場合には、ホットモジュール48へ空気を供給することができる。また、ファン74Aは、ガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断された際には作動を停止することができる。このため、ガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断された際に外部からの空気の流入を抑制することができる。これにより、ガスが供給されずかつ保温されるだけの状態のホットモジュール48を構成する機器が空気に触れることによって酸化することを防止又は抑制することができる。
【0042】
なお、ここでは、燃料発電装置40には、燃料電池(燃料電池スタック)を利用した発電装置が用いられているとして説明したが、これに限らず、燃料発電装置には、例えば、小型ガスエンジンを利用した発電装置が用いられてもよい。
【0043】
さらに、ここでは、保温部56は、ガス管60から燃料発電装置40へのガスの供給が遮断される際にホットモジュール48を保温するとして説明したが、これに限らず、保温部は、ホットモジュールの起動時においてもホットモジュールを保温するように制御されてもよい。
【0044】
また、ここでは、保温部56は、略コイル状に形成され、分電盤22から供給される電力により発熱する電熱線56Aにより構成されているとして説明したが、これに限らず、コイル状に形成された電線の内側に金属棒を備え、電磁誘導の原理を利用することによりホットモジュールが保温されてもよい。
【0045】
さらに、ここでは、ガス供給用配管76には、発電側流量計78が設けられているとして説明したが、これに限らず、ガス供給用配管は、発電側流量計を設けずに構成されてもよい。
【0046】
また、ここでは、保温制御部80は、モジュール制御部48Bに設けられているとして説明したが、これに限らず、保温制御部とモジュール制御部は別個に設けられてもよい。
【0047】
さらに、ここでは、空気用配管74に設けられたファン74Aを停止することにより空気の流入を防止又は抑制するとして説明したが、これに限らず、例えば、空気用配管のホットモジュール側の端部にヒンジ等を介して回動可能に取り付けられると共に所定値以上の圧力(風圧)で開く弁等が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 燃料発電システム
14 住宅(建物)
22 分電盤
40 燃料発電装置
48 ホットモジュール(発電部)
48A 筐体部(筐体)
49 断熱材
56 保温部
56A 電熱線
60 ガス管(供給経路)
62 マイコンメータ(燃料遮断装置)
66 供給側流量計(流量計)
74 空気用配管
74A ファン(送風装置)
80 保温制御部
図1
図2
図3
図4