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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
B41J2/165 501
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018220470
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020082525
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】戸田 雄太
【審査官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-079252(JP,A)
【文献】特開2011-201030(JP,A)
【文献】特開2012-240263(JP,A)
【文献】特開2011-084043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記ノズルと間隔をあけて対向可能な検出用電極と、
前記ノズルから吐出される液体によって前記検出用電極に生じる電気的な変化に基づいて、前記ノズルの吐出状態を判定する判定回路と、
前記検出用電極を挟んで前記検出用電極と対向する前記ヘッドとは反対側に位置する、グランドに接続された導電性を有するシールドと、
前記検出用電極と前記シールドとで挟まれる、非導電性の絶縁部と、
前記ノズルと前記検出用電極との対向方向において、前記絶縁部から、前記シールドよりも前記ノズルから離間した位置まで延在し、当該対向方向と直交する面において前記シールドを囲う、非導電性の環状延在部と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記ノズルと間隔をあけて対向可能な検出用電極と、
前記ノズルから吐出される液体によって前記検出用電極に生じる電気的な変化に基づいて、前記ノズルの吐出状態を判定する判定回路と、
前記検出用電極を挟んで前記検出用電極と対向する前記ヘッドとは反対側に位置する、グランドに接続された導電性を有するシールドと、
前記ノズルを覆うことが可能なキャップと、
を備え、
前記キャップ内には、前記キャップが前記ノズルを覆ったときに前記ノズルと対向する対向面を有する、樹脂製の板状部材が設けられており、
前記検出用電極は、前記対向面に形成されており、
前記シールドは、前記板状部材の内部に形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記検出用電極と前記シールドとで挟まれる、非導電性の絶縁部をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記絶縁部の厚みは、前記検出用電極の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1又は3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記検出用電極、前記絶縁部、及び前記シールドは、一体化された積層体となっていることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記絶縁部の、前記ノズルと前記検出用電極との対向方向における投影範囲内に、前記検出用電極が配置されていることを特徴とする請求項1、3、4、5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記絶縁部の、前記ノズルと前記検出用電極との対向方向における投影範囲内に、前記シールドが配置されていることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記検出用電極と前記シールドとの間隔は、前記検出用電極の厚みよりも短いことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記シールドの、前記ノズルと前記検出用電極との対向方向における投影面積は、前記検出用電極の、前記対向方向における投影面積以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
液体を受ける液体受け部をさらに備え、
前記ヘッドは、前記ノズルから前記液体受け部に向かって液体を吐出するフラッシングを実行可能であり、
前記検出用電極は、前記ノズルから吐出された液体を受けるように、前記ノズルと前記検出用電極との対向方向において、前記液体受け部における、前記ヘッド側に設けられており、
前記シールドは、前記対向方向において、前記液体受け部における、前記ヘッドとは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ヘッドは、複数の前記ノズルが配列されてなるノズル列を複数有しており、
前記検出用電極は、複数の前記ノズル列と対向するように複数設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記シールドを挟んで前記検出用電極とは反対側に位置する電源ケーブルをさらに備えていることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置として、検出用電極に向けてノズルから液体を吐出させ、検出用電極に生じる電気的な変化に基づいて、ノズルの吐出状態を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-58448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ノズルから吐出される液体により検出用電極に生じる電気的な変化は、通常、微弱である。このため、液体吐出装置の電源ケーブル等から発生する電磁ノイズが検出用電極に乗ると、ノズルの吐出状態の判定精度が大きく低下する問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ノズルの吐出状態の判定精度を向上させることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記ノズルと間隔をあけて対向可能な検出用電極と、前記ノズルから吐出される液体によって前記検出用電極に生じる電気的な変化に基づいて、前記ノズルの吐出状態を判定する判定回路と、前記検出用電極を挟んで前記検出用電極と対向する前記ヘッドとは反対側に位置する、グランドに接続された導電性を有するシールドと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、検出用電極を挟んで検出用電極と対向するヘッドとは反対側に位置するシールドにより、ノイズが検出用電極に乗ることを抑制することができる。その結果、ノズルの吐出状態の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
図2】インクジェットプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3】ノズル検査装置について説明する図である。
図4】(a)はインクジェットプリンタの処理動作について説明するフローチャートであり、(b)は吐出状態判定処理について説明するフローチャートである。
図5】吐出状態判定処理について説明する図であり、(a)は検査対象のノズルからインクが吐出されているときの検出用電極から出力される電圧信号を示す図であり、(b)は検査対象のノズルからインクが吐出されていないときの検出用電極から出力される電圧信号を示す図である。
図6】(a)は、第1変形例に係る、検出ユニット及びフラッシング受け部について説明する図であり、(b)は、第2変形例に係る、検出ユニット及びキャップユニットについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態に係るインクジェットプリンタ1(「液体吐出装置」に相当)の概略構成について説明する。図1に示すように、プリンタ1は、略直方体形状の筐体1aを有する。この筐体1a内には、プラテン2、キャリッジ3、ホルダ4、ヘッドユニット5、給紙ローラ6、排紙ローラ7、メンテナンスユニット8、フラッシング受け部25(「液体受け部」に相当)、ノズル検査装置40(図3参照)、電源回路80、及び制御装置100(図2参照)などが収容される。尚、以下では、図1の紙面手前側をプリンタ1の「上方」、紙面向こう側をプリンタ1の「下方」と定義する。また、図1に示す前後方向及び左右方向を、プリンタ1の「前後方向」及び「左右方向」と定義する。以下、前後、左右、上下の各方向語を適宜使用して説明する。
【0010】
プラテン2の上面には、記録媒体である用紙Pが載置される。また、プラテン2の上方には、左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイドレール15,16が設けられる。
【0011】
キャリッジ3は、2本のガイドレール15,16に取り付けられ、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール15,16に沿って走査方向に移動可能である。また、キャリッジ3には、駆動ベルト17が取り付けられている。駆動ベルト17は、2つのプーリ18,19に巻き掛けられた無端状のベルトである。一方のプーリ18はキャリッジ駆動モータ20(図2参照)に連結されている。キャリッジ駆動モータ20によってプーリ18が回転駆動されることで駆動ベルト17が走行し、これにより、キャリッジ3が走査方向に往復移動する。また、このとき、キャリッジ3上に搭載されたヘッドユニット5は、このキャリッジ3とともに走査方向に往復移動することになる。
【0012】
ホルダ4は、キャリッジ3よりも前方、且つ、プラテン2よりも右側に配置されている。ホルダ4には、4つのインクカートリッジ42が着脱可能に装着される。4つのインクカートリッジ42には、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。本実施形態では、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクは、全て染料インクである。
【0013】
ヘッドユニット5は、プラテン2との間に隙間を有する状態でキャリッジ3に搭載されており、キャリッジ3とともに走査方向に往復移動する。ヘッドユニット5は、インクジェットヘッド30(以下、単にヘッド30)と、ヘッド30の上面に設けられ、ヘッド30に供給するインクを一時的に貯留するためのバッファタンク35とを有する。バッファタンク35には、可撓性を有する4本のインク供給チューブ45それぞれの一端が着脱可能に接続されている。4本のインク供給チューブ45それぞれの他端は、ホルダ4に接続されている。ホルダ4に装着された4つのインクカートリッジ42内のインクは、この4本のインク供給チューブ45を介して、バッファタンク35にそれぞれ供給される。
【0014】
ヘッド30は、流路ユニット31とアクチュエータ32(図2参照)とを有する。流路ユニット31は、金属材料からなり、グランドに接続されている。また、流路ユニット31内には、その下面であるノズル面30a(図3参照)に形成された複数のノズル10を含む内部流路が形成されている。この内部流路は、バッファタンク35に接続されており、複数のノズル10は、バッファタンク35から内部流路を介して供給されたインクを下方に向けて吐出する。
【0015】
複数のノズル10は、前後方向に所定間隔で並んでノズル列9を形成している。また、ノズル面30aには、このようなノズル列9が走査方向に4列並んでいる。4列のノズル列9は、それぞれ、同数のノズル10を有している。また、4列のノズル列9は、各ノズル10の搬送方向(前後方向)における形成位置が互いに同じである。
【0016】
4列のノズル列9は、右側に位置するものから順に、ブラックインクを吐出するブラックノズル列9K(以下、ノズル列9K)、イエローインクを吐出するイエローノズル列9Y(以下、ノズル列9Y)、シアンインクを吐出するシアンノズル列9C(以下、ノズル列9C)、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列9M(以下、ノズル列9M)である。アクチュエータ32は、各ノズル10から個別にインクを吐出させるための吐出エネルギーを生成するものである。例えば、アクチュエータ32は、ノズル10に連通する不図示の圧力室の容量を変化させてインクに圧力を付与するものや、加熱により圧力室内に気泡を発生させてインクに圧力を付与するものである。ただし、アクチュエータ32の構成自体は公知のものであるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0017】
給紙ローラ6と排紙ローラ7は、搬送モータ21(図2参照)によってそれぞれ同期して回転駆動される。給紙ローラ6と排紙ローラ7は協働して、プラテン2に載置された用紙Pを図1に示す搬送方向に搬送する。
【0018】
メンテナンスユニット8は、ヘッド30の吐出機能の維持、回復のためのメンテナンス動作を行うためのものであり、キャップユニット50、吸引ポンプ51、廃液タンク52、排出管53等を備えている。
【0019】
キャップユニット50は、プラテン2よりも右側の位置に配置されており、キャリッジ3がプラテン2よりも右側に移動して待機位置に位置付けられたときには、このキャップユニット50と上下に対向する。また、キャップユニット50は、キャップ駆動モータ22(図2参照)により駆動されて、上下方向に昇降可能である。このキャップユニット50は、ヘッド30に接触して装着可能なキャップ55を備えている。キャップ55は、例えばゴム材料によって構成されている。
【0020】
キャリッジ3がキャップユニット50と対向した状態では、キャップ55がノズル面30aと対向する。そして、キャリッジ3とキャップユニット50とが対向した状態でキャップユニット50が上昇すると、キャップユニット50がヘッド30に装着される。このとき、キャップ55により4列のノズル列9に属する全てのノズル10が共通に覆われる。
【0021】
また、キャップ55内には、非導電性の樹脂製材料からなるキャップチップ56が配置されている。キャップチップ56の上面56aは、キャップ55がノズル10を覆ったときに、ノズル10と対向する対向面である。また、キャップチップ56の上面56a等には、多数の溝が形成されている。キャップ55内に排出されたインクは、キャップチップ56の溝に導かれて、排出管53を経て廃液タンク52に排出される。吸引ポンプ51は、排出管53に設けられている。
【0022】
プリンタ1では、制御装置100による制御の下、メンテナンス動作として、吸引パージをメンテナンスユニット8に行わせることができる。吸引パージは、ノズル10からインクを強制的に排出させるパージである。吸引パージを行う際には、キャップ55でノズル10を覆った状態で、吸引ポンプ51を駆動させる。これにより、キャップ55内が負圧となることで、各ノズル10からインクが強制的に排出される。
【0023】
フラッシング受け部25は、プラテン2よりも左側の位置に配置されている。このフラッシング受け部25は、インクを吸収可能な材料(例えば、多孔質材料)で形成された吸収部材26を有している。また、フラッシング受け部25は、キャリッジ3がプラテン2よりも左側に移動してフラッシング位置に位置付けられたとき、複数のノズル10が、フラッシング受け部25の上方に位置する。プリンタ1では、キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられているときに、ヘッド30のアクチュエータ32を駆動させることで、複数のノズル10からフラッシング受け部25に向かってインクを吐出して排出する、所謂フラッシングを行わせることができる。このとき、複数のノズル10から排出されたインクは、吸収部材26に受容される。
【0024】
電源回路80は、商用電源(不図示)から電源ケーブル85を介して電力を受電するための回路である。この電源回路80は、キャリッジ3よりも前方、且つ、プラテン2よりも左側に配置されている。電源回路80は、商用電源から受電した電力を適宜必要な電圧に変換してプリンタ1内の、制御装置100やノズル検査装置40等の各部に供給する。また、電源ケーブル85は、電源回路80から、フラッシング受け部25の真下を通って、筐体1aの外側まで後方に延びている。
【0025】
ノズル検査装置40は、ノズル10の吐出状態を検査するための装置であり、図3に示すように、検出ユニット60、及び判定回路65を備えている。
【0026】
検出ユニット60は、フラッシング受け部25に配置されている。この検出ユニット60は、検出用電極61、絶縁部材62、及びシールド63を備えている。これら検出用電極61、絶縁部材62、及びシールド63は、一体化された積層体となっている。
【0027】
検出用電極61は、水平面と平行な平板状の電極であり、キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられた際に、上下方向を対向方向として4列のノズル列9と間隔をあけて対向する。そして、キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられた状態で、ノズル10からインクを吐出させると検出用電極61に着弾する。
【0028】
また、検出用電極61は、抵抗Rを介して電源回路80に接続されている。電源回路80は、制御装置100による制御の下、検出用電極61を所定の正電位にすることが可能である。その結果、グランドに接続されたヘッド30と、検出用電極61との間に所定の電位差が発生する。
【0029】
シールド63は、検出用電極61に電磁ノイズが乗ることを抑制するためのものであり、導電性材料からなる平板状の部材である。導電性材料としては、例えば、鉄などの磁性体や、銅やアルミニウムなどが挙げられる。このシールド63は、グランドに接続されている。また、シールド63は、検出用電極61の下方に配置されている。即ち、キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられた状態では、シールド63は、検出用電極61と挟んでヘッド30とは反対側に位置している。
【0030】
シールド63の上下方向における投影面積は、検出用電極61の上下方向における投影面積よりも大きい。また、シールド63の上下方向における投影範囲内に、検出用電極61が配置されている。即ち、上下方向から見たときに、シールド63の周縁(外縁)は、検出用電極61の周縁よりも外側に位置する。
【0031】
絶縁部材62は、非導電性の絶縁材料から形成されており、セパレータ62a(「絶縁部」に相当)と、環状延在部62bとを有する。セパレータ62aは、平板状の形状を有しており、その上面が検出用電極61に接着しており、その下面はシールド63に接着している。即ち、セパレータ62aは、検出用電極61とシールド63とで上下に挟まれている。このように、検出用電極61とシールド63との間にはセパレータ62aが配置されているため、検出用電極61とシールド63とが直接接触して導通することを抑制することができる。
【0032】
また、セパレータ62aの上下方向における投影面積は、検出用電極61の上下方向における投影面積よりも大きく、且つ、シールド63の上下方向における投影面積よりも大きい。さらに、セパレータ62aの上下方向における投影範囲内に、検出用電極61及びシールド63が配置されている。即ち、上下方向から見たときに、セパレータ62aの周縁は、検出用電極61の周縁よりも外側であり、且つ、シールド63の周縁よりも外側に位置している。以上の構成により、検出用電極61に着弾したインクがシールド63に移動することを絶縁部材62により抑制することができる。その結果として、検出用電極61に着弾したインクにより、検出用電極61とシールド63とが導通することを抑制することができる。
【0033】
また、セパレータ62aの厚みは、検出用電極61の厚みより小さい。従って、検出用電極61とシールド63との上下方向の間隔は、検出用電極61の厚みよりも短くなっている。これにより、検出用電極61とシールド63との間のカップリングを強くすることができる。
【0034】
環状延在部62bは、セパレータ62aから、シールド63よりもヘッド30から離間した位置まで下方に延在しており、水平面においてシールド63を囲む。この環状延在部62bにより、検出用電極61に着弾したインクがシールド63に移動することをより抑制することができる。
【0035】
また、絶縁部材62は、シールド63と、フラッシング受け部25の吸収部材26との間に隙間が形成されるように、筐体1a等に支持されている。その結果として、吸収部材26に吸収されたインクがシールド63に付着することを抑制することができる。
【0036】
尚、上述の電源ケーブル85は、この検出ユニット60の真下を通過している。即ち、シールド63を挟んで検出用電極61とは反対側に電源ケーブル85は位置している。
【0037】
判定回路65は、検出用電極61から出力された電圧信号に基づいて、ノズル10の吐出状態を判定する回路である。判定回路65の配置位置は、特に限定されるものではなく、任意の位置に配置可能である。
【0038】
図2に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ASIC(application specific integrated circuit)104等を含む。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータや画像データが一時的に記憶される。ASIC104には、ヘッド30、キャリッジ駆動モータ20、搬送モータ21、通信インターフェース110等、プリンタ1の様々な装置あるいは駆動部と接続されている。
【0039】
尚、制御装置100は、CPU101のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC104のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU101とASIC104とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのCPU101が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU101が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのASIC104が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC104が処理を分担して行うものであってもよい。
【0040】
制御装置100は、ROM102に格納されたプログラムに従い、CPU101及びASIC104により各種処理を実行する。例えば、制御装置100は、通信インターフェース110を介して外部装置200から記録指令を受信すると、キャリッジ3の走査方向への1回の移動(パス)の間に、RAM103に記憶された画像データに基づいてノズル10からインクを吐出させる吐出処理と、給紙ローラ6及び排紙ローラ7により用紙Pを前方に所定量だけ搬送させる搬送処理とを交互に行う記録処理を行う。このように、本実施形態のプリンタ1は、シリアル式のインクジェットプリンタである。
【0041】
また、制御装置100は、ヘッド30及びノズル検査装置40を制御して、ノズル10の吐出状態を判定する吐出状態判定処理を行う。本実施形態では、制御装置100は、吐出状態判定処理においては、ヘッド30の全てのノズル10がインクを吐出させることが可能な正常ノズルであるか、ヘッド30の少なくとも1つのノズル10がインクを吐出させることができない異常ノズルであるかを判定する。この吐出状態判定処理を行うタイミングは、特に限定されるものではないが、例えば、電源投入時、記録指令を受信したとき、記録処理中における所定ページ数毎、所定パス数毎などのタイミングが挙げられる。
【0042】
(インクジェットプリンタの処理動作)
次に、プリンタ1の吐出状態判定処理に関する一例の処理動作について、図4(a)を参照しつつ説明する。
【0043】
制御装置100は、外部装置200から記録指令を受信する(S1:YES)と、キャリッジ3をフラッシング位置に位置付けた後に、後で図4(b)を参照して説明する吐出状態判定処理を実行する(S2)。そして、吐出状態判定処理において、全てのノズル10が正常ノズルであると判定した場合(S3:YES)には、S5の処理に移る。一方で、少なくとも1つのノズル10が異常ノズルであると判定した場合(S3:NO)には、制御装置100は、メンテナンスユニット8に吸引パージを実行させる(S4)。この吸引パージにより、ヘッド30の全てのノズル10が正常ノズルとなる。このS4の処理が終了するとS5の処理に移る。
【0044】
S5の処理では、制御装置100は、キャリッジ駆動モータ20、搬送モータ21及びヘッド30等を制御して、RAM103に記憶された画像データに係る画像を用紙Pに記録する記録処理を実行する。この記録処理を行う際には、ヘッド30の全てのノズル10が正常ノズルとなっているため、用紙Pに記録される画像の品質を高くすることができる。この記録処理が終了するとS1の処理に戻る。
【0045】
(吐出状態判定処理)
次に、図4(b)を参照して、吐出状態判定処理について説明する。
【0046】
制御装置100は、まず、高圧電源装置63を制御して、ヘッド30と、検出用電極61との間に電位差を発生させる(B1)。この後、制御装置100は、ヘッド30の複数のノズル10のうちの、1つのノズル10を検査対象(吐出対象)に設定する(B2)。そして、制御装置100は、検査対象のノズル10のみから所定発数のインクが吐出されるようヘッド30を駆動させる(B3)。
【0047】
このとき、上述したように、ヘッド30と、検出用電極61との間には電位差が生じているため、検査対象のノズル10から吐出されたインクは帯電している。この帯電したインクが検出用電極61に近づき着弾する際に、検出用電極61に電気的な変化が生じる。このため、検出用電極61から出力される電圧信号の電圧値は、検出用電極61に生じた電気的な変化に応じて変化する。即ち、図5(a)に示すように、ヘッド30の駆動期間において、検出用電極61から出力される電圧信号の電圧値は、ヘッド30が駆動されていないときの電圧値(以下、基準電圧値)と比べて高くなる、一方で、検査対象のノズル10からインクが吐出されていない場合には、図5(b)に示すように、ヘッド30の駆動期間において、検出用電極61から出力される電圧信号の電圧値は、基準電圧値と実質的に同じとなる。そこで、判定回路65は、これらを区別するための閾値THを設定する。そして、判定回路65は、ヘッド30の駆動期間において検出用電極61から出力される電圧信号の電圧値と、閾値THとを比較することで、検査対象のノズル10が正常ノズルであるか異常ノズルであるかを判定する。即ち、判定回路65は、差動信号DSの電圧値が、閾値TH以上の場合には検査対象のノズル10が正常ノズルであると判定し、閾値TH未満の場合には検査対象のノズル10が異常ノズルであると判定する。
【0048】
判定回路65が、検査対象のノズル10が正常ノズルと判定している場合(B4:YES)には、制御装置100は、ヘッド30の全てのノズル10を検査対象に設定したか否かを判断する(B5)。検査対象に設定していないノズル10があると判断した場合(B5:NO)には、未だ検査対象に設定していない何れかのノズル10を検査対象に設定すべく、B2の処理に戻る。一方で、ヘッド30の全てのノズル10を検査対象に設定したと判断した場合(B5:YES)には、制御装置100は、ヘッド30の全てのノズル10が正常ノズルであると判定し(B6)、本処理を終了する。
【0049】
一方で、判定回路65が、検査対象のノズル10が異常ノズルと判定している場合(B4:NO)には、制御装置100は、ヘッド30の少なくとも1つのノズル10が異常ノズルであると判定して(B7)、本処理を終了する。
【0050】
尚、本実施形態では、検査対象のノズル10の数は1つであったが、複数であってもよい。詳細には、検出用電極61に生じる電気的な変化は、ヘッド30の駆動期間においてインクが吐出されるノズル10の数が増えに従い大きくなる。即ち、ヘッド30の駆動期間において、検出用電極61から出力される電圧値は、インクが吐出されるノズル10の数が増えるに従い高くなる。従って、制御装置100は、複数のノズル10を検査対象とし、検査対象の複数のノズル10からインクが所定発数吐出されるように駆動する。そして、判定回路65において、当該駆動に応じて差動信号DSから出力される電圧信号の電圧値と、所定の閾値とを比較することで、検査対象の複数のノズル10の全てが正常ノズルであるか、少なくとも1つのノズル10が異常ノズルであるかを判定してもよい。このときの閾値は、例えば、検査対象の全てのノズル10が正常ノズルであるときの差動信号DSの設定電圧値と、1つのノズル10が異常ノズルであるときの差動信号DSの設定電圧値との中間値(平均値)に設定すればよい。尚、これらの設定電圧値は、実験やシミュレーション等により予め取得された電圧値である。
【0051】
ところで、1つのノズル10から吐出されたインクにより、検出用電極61に生じる電気的な変化は微弱である。このため、外部で発生した大きな電磁ノイズが検出用電極61にのると、上述の吐出状態判定処理の判定精度が低下する虞がある。
【0052】
本実施形態では、特に、検出用電極61の下側から伝搬してくる電磁ノイズの大きさが、比較的に大きくなる。詳細には、検出用電極61の下方に配置された電源ケーブル85は、通常、大きな電磁ノイズを発生する。従って、電源ケーブル85から発生した電磁ノイズが検出用電極61の下側から伝搬する虞がある。また、例えば、プリンタ1が金属製の棚などに載置されていた場合、この棚を伝う電磁ノイズが検出用電極61の下側から伝搬する虞がある。
【0053】
しかしながら、本実施形態では、シールド63が、検出用電極61の下方に配置されている。このため、検出用電極61の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極61に乗ることをシールド63により抑制することができる。その結果として、吐出状態判定処理の判定精度を向上させることができる。
【0054】
また、シールド63の上下方向における投影面積は、検出用電極61の上下方向における投影面積よりも大きい。さらに、シールド63の上下方向における投影範囲内に、検出用電極61が配置されている。その結果として、検出用電極61の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極61に乗ることをより抑制することができる。
【0055】
さらには、検出用電極61とシールド63との上下方向の間隔は、検出用電極61の厚みよりも短くなっている。これにより、検出用電極61とシールド63とのカップリングを強くすることができるため、検出用電極61の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極61に乗ることをさらに抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。以下、上述の実施形態の変形例について説明する。
【0057】
まず、第1変形例について図6(a)を参照しつつ説明する。第1変形例では、ノズル列9Kから吐出されるブラックインクは顔料インクであり、ノズル列9Y,9C,9Mから吐出されるカラーインクは染料インクである。ここで、顔料インクは染料インクと比べて固化しやすいインクである。従って、フラッシングや吐出状態判定処理の際に、ノズル列9Kから吐出されたブラックインクは、フラッシング受け部の吸収部材の表面上や検出用電極の表面上で固化してしまう場合がある。そして、吸収部材の表面上や検出用電極の表面上で固化した状態で、次のフラッシングや吐出状態判定処理が行われると、ノズル列9Kから吐出されたインクが、固化したインクの上に付着して固化してしまう。これが繰り返されることで、固化したインクがフラッシング受け部や検出用電極の表面上に堆積してしまう。すると、キャリッジ3が移動したときに、その下面が、この堆積したインクに接触してしまうという問題や、吐出状態判定処理の判定精度が悪化する問題が生じ得る。
【0058】
そこで、第1変形例では、プリンタは、上述のフラッシング受け部25の代わりに、カラーインク用の第1フラッシング受け部125と、ブラックインク用の第2フラッシング受け部135を有している。また、プリンタは、検出ユニット60の代わりに、ノズル列9Y,9C,9M用の第1検出ユニット160と、ノズル列9K用の第2検出ユニット180を有している。
【0059】
第1フラッシング受け部125は、ノズル列9Kから排出されたインクを受けず、3列のノズル列9Y,9C,9Mから排出されたインクを受ける点を除き、上述のフラッシング受け部25と略同様である。また、第1検出ユニット160は、3列のノズル列9Y,9C,9M用の検出ユニットである点を除き、上述の検出ユニット60と略同様である。従って、以下、第1変形例の第1フラッシング受け部125及び第1検出ユニット160の構成要素については、上述の実施形態のフラッシング受け部25及び検出ユニット60の対応する構成要素に付された符号に100を加算して、その説明を適宜省略する。
【0060】
キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられた際には、第1検出ユニット160の検出用電極161は、3列のノズル列9Y,9C,9Mと上下方向に対向する。そして、フラッシング時や吐出状態判定処理の際には、この検出用電極161に3列のノズル列9Y,9C,9Mそれぞれから吐出されたインクが着弾される。従って、吐出状態判定処理において、判定回路65は、検出用電極161から出力される電圧信号に基づいて、ノズル列9Y,9C,9Mの各ノズル10が正常ノズルか異常ノズルかを判定する。
【0061】
第2フラッシング受け部135は、第1フラッシング受け部125の右側に配置されている。第2フラッシング受け部135は、非導電性の板状部材からなり、鉛直部分135a及び傾斜部分135bを有している。鉛直部分135aは、上下方向に沿って延在する部分である。傾斜部分135bは、その下端が鉛直部分135aの上端に接続されている。傾斜部分135bは、水平面に対して傾斜する部分であり、その下端から上端に向かうに従い右側に傾斜する。
【0062】
第2検出ユニット180は、検出用電極181とシールド183を有している。検出用電極181は、傾斜部分135bの上面135b1に配置されている。即ち、検出用電極181は、傾斜部分135bにおけるヘッド30側に設けられている。また、検出用電極181は、傾斜部分135bに配置されているため、水平面に対して傾斜している。
【0063】
キャリッジ3がフラッシング位置に位置付けられた際には、検出用電極181とノズル列9Kが上下方向に対向する。そして、フラッシング時や吐出状態判定処理の際には、この検出用電極181にノズル列9Kから吐出されたインクが着弾される。従って、吐出状態判定処理において、判定回路65は、検出用電極181から出力される電圧信号に基づいて、ノズル列9Kの各ノズル10が正常ノズルか異常ノズルかを判定する。
【0064】
また、第2フラッシング受け部135の下方には、廃液タンク140が配置されている。検出用電極181に着弾したインクは、検出用電極181、フラッシング受け部25の傾斜部分135b、及び鉛直部分135aを順に滑落して、廃液タンク140に収容される。以上より、ノズル列9Kから吐出されるブラックインクが顔料インクであったとしても、第2フラッシング受け部135の表面上や検出用電極181上にインクは残りにくくなる。
【0065】
一方で、シールド183は、傾斜部分135bの下面135b2に配置されている。即ち、シールド183は、傾斜部分135bにおけるヘッド30とは反対側に設けられている。
【0066】
以上のように、第1変形例においても、検出用電極181の下方に、シールド183が配置されている。このため、検出用電極181の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極181に乗ることをシールド183により抑制することができる。
【0067】
また、シールド183の上下方向の投影面積は、検出用電極181の上下方向の投影面積以上である。さらには、シールド183の上下方向の投影範囲内に、検出用電極181が配置されている。従って、検出用電極181の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極181に乗ることをより抑制することができる。尚、第1変形例では、第2フラッシング受け部135の傾斜部分135bが、「絶縁部」に相当する。
【0068】
次に、第2変形例について図6(b)を参照しつつ説明する。上述の実施形態では、検出ユニット60は、フラッシング受け部25に配置されていたが、第2変形例では、検出ユニット260は、キャップユニット50のキャップ55内に配置されている。
【0069】
検出ユニット260は、4つの検出用電極261及びシールド263を有している。4つの検出用電極261は、キャップチップ56の上面56aに形成されている。また、4つの検出用電極261は、4列のノズル列9に対応しており、キャリッジ3が待機位置に位置付けられたときに、対応するノズル列9と上下方向に対向する。そして、制御装置100は、吐出状態判定処理を行う際には、キャリッジ3を待機位置に位置付けさせる。これにより、4つの検出用電極261それぞれに、対応するノズル列9から吐出されたインクが着弾される。吐出状態判定処理においては、判定回路65は、各検出用電極261から出力される電圧信号に基づいて、対応するノズル列9の各ノズル10が正常ノズルか異常ノズルかを判定する。
【0070】
シールド263は、キャップチップ56の内部に埋め込まれている。その結果、キャップ55内に排出されたインクが、シールド263に付着することが抑制されている。尚、上述したように、キャップチップ56は、非導電性の樹脂製材料で形成されているため、検出用電極261とシールド263とが導通することが抑制されている。
【0071】
4つの検出用電極261の全ては、このシールド263の上下方向の投影範囲内に配置されている。以上より、第2変形例においても、シールド263が、検出用電極261の下方に配置される。このため、検出用電極261の下側から伝搬してくる電磁ノイズが検出用電極261に乗ることをシールド263により抑制することができる。
【0072】
また、キャップチップ56における、検出用電極261とシールド263とで挟まれた部分56bの厚みは、検出用電極261の厚みよりも短い。従って、検出用電極261とシールド263との上下方向の間隙が、検出用電極261の厚みよりも短くなるため、これらの間のカップリングを強くすることができる。
【0073】
また、第2変形例では、キャップチップ56が、上述の検出用電極261とシールド263とが接触することを抑制するセパレータとしての機能も有している。即ち、第2変形例では、キャップチップ56の部分56bが「絶縁部」に相当する。尚、第2変形例では、検出用電極261は、4列のノズル列9に対応して4つ設けられていたが、上述の実施形態と同様に、4列のノズル列に共通の1つの検出用電極が設けられていてもよい。
【0074】
また、上記第2変形例において、判定回路65は、キャップチップ56内に内蔵されていてもよい。例えば、キャップチップ56内における、シールド263よりも下側の位置に、判定回路65が内蔵されていてもよい。
【0075】
以下、その他の変形例について説明する。
【0076】
上述の実施形態では、セパレータ62aの厚みは、検出用電極61の厚みよりも小さくされていたが検出用電極61の厚み以上にされていてもよい。また、検出用電極61とシールド63との間隔は、検出用電極61の厚み以上であってもよい。この場合、上述の実施形態と比べて、検出用電極とシールドとの間のカップリングが弱くなるが、検出用電極の下側から伝搬してくる電磁ノイズをシールドにより抑制することはできる。
【0077】
また、シールドの上下方向の投影面積は、検出用電極の上下方向の投影面積以下であってもよい。また、検出用電極の一部のみが、シールドの上下方向の投影範囲内に配置されていてもよい。これらの場合でも、シールドが配置されていない場合と比べて、検出用電極にのる電磁ノイズの大きさを小さくすることができる。
【0078】
シールド63の形状は、平板状である必要はなく、湾曲していてもよい。また、複数のシールドを、ヘッドと検出用電極との対向方向に沿って、複数並べて配置してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、検出用電極61、セパレータ62a及びシールド63が一体化された積層体となっていたが、これに限定されるものではなく、一体化されていなくてもよい。
【0080】
絶縁部材は、環状延在部を有しておらず、セパレータのみを有していてもよい。また、検出用電極の一部のみが、セパレータの上下方向の投影範囲内に配置されていてもよい。また、シールドの一部のみがセパレータの上下方向の投影範囲内に配置されていてもよい。また、シールドと検出用電極とが電気的に導通しないように構成されているのであれば、シールドと検出用電極との間にセパレータが挟まれていなくてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、ヘッド30の各ノズル10はインクを下方に吐出するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、水平方向に沿って吐出するように構成されていてもよい。この場合、検出用電極を、水平方向を対向方向としてヘッドと対向可能な位置に配置し、シールドを、検出用電極と対向するヘッドとは反対側に配置させればよい。
【0082】
また、検出用電極の配置場所は、上述の実施形態に限定されるものではなく、ノズルと対向可能であり、ノズルから吐出されたインクが着弾可能な位置であればよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、吐出状態判定処理の際には、ヘッド30と検出用電極61との間に電位差を発生させていたが、電位差を発生させなくてもよい。これらの間に電位差を発生していない場合でも、ノズル10から吐出されるインクは、ノズル面30aから離れる際に、若干ではあるが帯電する。従って、この帯電したインクが検出用電極61に近づき着弾する際には、検出用電極61から出力される電圧信号が、基準電圧値よりも高くなる。従って、ヘッド30と検出用電極61との間に電位差を発生させない場合でも、上述の実施形態と比べて判定精度は低下する虞はあるものの、ノズル10の吐出状態を判定することは可能である。
【0084】
また、上述の実施形態では、異常ノズルは、インクが吐出させることができない不吐出ノズルとしていたが、これに限定されるものではない。例えば、ノズル10から吐出されるインクの体積が低下すれば、その分だけ検出用電極61から出力される電圧信号の電圧値は低くなる。従って、判定回路65における閾値THを適切に設定すれば、所望の体積のインクを吐出させることができないノズル10も判定することは可能である。従って、不吐出ノズルに加えて、所望の体積のインクを吐出させることができないノズルも異常ノズルとしてもよい。
【0085】
また、判定回路65は、制御装置100のASIC104に組み込まれていてもよい。
【0086】
また、本発明は、インクジェットヘッドを固定した状態で、搬送機構により搬送される用紙に画像を印刷する、所謂ライン式のインクジェットプリンタにも適用されうる。また、ノズルからインクを吐出して用紙に画像を記録するプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。用紙P以外の記録媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置に適用することも可能である。例えば、特開2017-144726号公報に記載されているように、記録媒体が載置されたステージを搬送方向に移動可能となっており、キャリッジとともにヘッドを走査方向に移動させつつノズルからインクを吐出させる動作と、ステージの移動とを交互に繰り返すことによって記録媒体に記録を行う液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。このようなプリンタにおける記録媒体としては、例えば、Tシャツ、屋外用広告用のシート等が挙げられる。また、配線基板に対して、配線パターンの材料等のインク以外の液体を吐出して記録を行う液体吐出装置に適用することも可能である。また、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂等に対してインクを吐出して記録する液体吐出装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 インクジェットプリンタ
10 ノズル
30 ヘッド
61 検出用電極
62 絶縁部材
62a セパレータ
62b 環状延在部
63 シールド
65 判定回路
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6