(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】電子素子モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20230926BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20230926BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20230926BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L23/36 A
H05K9/00 U
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2019104112
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0025948
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジュン モク
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/164158(WO,A1)
【文献】特開2017-139278(JP,A)
【文献】特開2018-056235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
H01L 23/29
H05K 9/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装される第1素子及び第2素子を含む電子素子と、
前記第1素子を内部に収容し、前記基板に実装される遮蔽フレームと、
前記電子素子と前記遮蔽フレームを封止する封止部と、を含み、
前記遮蔽フレームは、前記第1素子上に積層配置される放熱部、及び前記放熱部の縁から延長され、一定間隔に離隔配置される多数のポストを含み、
前記放熱部の上部に積層配置され、上部面が前記封止部の外部に露出するように配置される放熱部材をさらに含む、
前記ポスト間の最大離隔間隔は、前記第1素子に流入する電磁波の波長、または、前記第1素子から流出する電磁波の波長よりも小さく形成される、電子素子モジュール。
【請求項2】
前記放熱部は、下部面に溝状の収容部を備え、
前記第1素子は、少なくとも一部が前記収容部内に配置される、請求項
1に記載の電子素子モジュール。
【請求項3】
前記遮蔽フレームの表面には、表面処理により粗さが増加した結合層が配置される、請求項
1または2に記載の電子素子モジュール。
【請求項4】
基板と、
前記基板に実装される第1素子及び第2素子を含む電子素子と、
前記第1素子を内部に収容し、前記基板に実装される遮蔽フレームと、を含み、
前記遮蔽フレームは、前記第1素子上に積層配置される放熱部、及び前記放熱部の縁から延長され、一定間隔に離隔配置される多数のポストを含み、
前記放熱部は、下部面に溝状の収容部を備え、
前記第1素子は、少なくとも一部が前記収容部内に配置され、
前記ポスト間の最大離隔間隔は、前記第1素子に流入する電磁波の波長、または、前記第1素子から流出する電磁波の波長よりも小さく形成される、電子素子モジュール。
【請求項5】
前記遮蔽フレームの表面には、表面処理により粗さが増加した結合層が配置される、請求項
2に記載の電子素子モジュール。
【請求項6】
基板と、
前記基板に実装される第1素子及び第2素子を含む電子素子と、
前記第1素子を内部に収容し、前記基板に実装される遮蔽フレームと、を含み、
前記遮蔽フレームの表面には、表面処理により粗さが増加した結合層が配置され、
前記遮蔽フレームは、前記第1素子上に積層配置される放熱部、及び前記放熱部の縁から延長され、一定間隔に離隔配置される多数のポストを含み、
前記ポスト間の最大離隔間隔は、前記第1素子に流入する電磁波の波長、または、前記第1素子から流出する電磁波の波長よりも小さく形成される、電子素子モジュール。
【請求項7】
前記電子素子と前記遮蔽フレームを封止する封止部をさらに含む、請求項
4から6のいずれか1項に記載の電子素子モジュール。
【請求項8】
前記放熱部は、上部面が前記封止部の外部に露出する、請求項
1から3のいずれか1項、または、請求項7に記載の電子素子モジュール。
【請求項9】
前記放熱部材は、ブロック状または貫通ビア状に形成される、請求項
1から3のいずれか1項に記載の電子素子モジュール。
【請求項10】
前記封止部の表面に沿って配置され、前記遮蔽フレームを介して前記基板の接地と電気的に連結される遮蔽層をさらに含む、請求項
1から3、および、7から9のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項11】
前記封止部は、前記遮蔽フレームの内部空間に充填される、請求項
1から3、および、7から10のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項12】
前記第1素子と前記放熱部との間に配置される熱伝達層をさらに含む、請求項
1から11のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項13】
前記ポストは、端部が前記基板に形成された挿入孔に挿入配置される、請求項
1から12のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項14】
前記放熱部と前記ポストは、同一の厚さに形成される、請求項
1から13のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項15】
金属板を設ける段階と、
前記金属板から不要な部分を除去して放熱部と多数のポストを形成する段階と、
前記放熱部と前記ポストとが連結される部分を折り曲げて遮蔽フレームを形成する段階と、
前記遮蔽フレームの表面に粗さが増加した結合層を形成する段階と、
基板に実装された第1素子が前記遮蔽フレームの内部に収容されるように、前記遮蔽フレームを前記基板に実装する段階と、
を含む、電子素子モジュールの製造方法。
【請求項16】
折り曲げられた前記ポスト間の最大離隔間隔は、前記第1素子に流入する電磁波の波長、または、前記第1素子から流出する電磁波の波長よりも小さく形成される、請求項
15に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記遮蔽フレームを前記基板に実装する段階前に、
前記第1素子の上部面に熱伝達層を配置する段階をさらに含む、請求項
15または
16に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子モジュール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子は、工程技術の微細化及び機能の多様化に伴うチップサイズの減少や入出力端子の個数増加によって、電極パッドのピッチがますます微細化している。このように、様々な機能の融合化が加速することによって、複数の素子を一つのパッケージ内に集積するパッケージング技術が求められている。
【0003】
かかる技術の改善要求、そして、製品価格の上昇制御に応えるために、複数の電子素子を積層配置する積層型半導体パッケージや、互いに異なる機能を有する電子素子を集積したSIP(System in Package)形態の電子素子モジュールが製造されている。
【0004】
かかる電子素子モジュールは、内部に配置される電子素子が隣接して位置するため、上記電子素子間で引き起こされるノイズによって電気的信号が歪んだり、動作時に熱が多く発生する発熱素子によって周辺素子が損傷したりするという問題が発生している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電子素子間で引き起こされるノイズを遮断しながら熱を効果的に放出することができる電子素子モジュール及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による電子素子モジュールは、基板、上記基板に実装される第1素子及び第2素子を含む電子素子、及び上記第1素子を内部に収容し、上記基板に実装される遮蔽フレームを含み、上記遮蔽フレームは、上記第1素子上に積層配置される放熱部、及び上記放熱部の縁から延長され、一定間隔に離隔配置される多数のポストを含み、上記ポスト間の最大離隔間隔は、上記第1素子に流入する電磁波、または、上記第1素子から流出する電磁波の波長よりも小さく形成される。
【0007】
また、本発明の実施形態による電子素子モジュールの製造方法は、金属板を設ける段階、上記金属板から不要な部分を除去して放熱部と多数のポストを形成する段階、上記放熱部と上記ポストとが連結される部分を折り曲げて遮蔽フレームを形成する段階、及び基板に実装された第1素子が上記遮蔽フレームの内部に収容されるように、遮蔽フレームを上記基板に実装する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、遮蔽フレームを介して電子素子間の干渉を遮断することができ、放熱経路を提供するため、放熱効果も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された電子素子モジュールの断面図である。
【
図4】
図2に示された遮蔽フレームの斜視図である。
【
図5】
図2に示された遮蔽フレームの製造方法を示す図である。
【
図6】
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【
図7】
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【
図8】
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【
図9】
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【
図10】
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【
図11】本発明の他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【
図13】本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【
図16】本発明のさらに他の実施形態による遮蔽フレームの断面図である。
【
図17】本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の詳細な説明に先立ち、以下で説明される本明細書及び特許請求の範囲で用いられる用語や単語は通常的であるか、辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立脚し、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい実施形態にすぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではない。このため、本出願時点でこれらを代替することができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。このとき、添付された図面において同一の構成要素は、できる限り同一の符号で示していることに注意しなければならない。また、本発明の要旨を不明にする可能性がある公知の機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において一部の構成要素は、誇張、省略または概略的に示されており、各構成要素の大きさは、実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0012】
また、本明細書において上側、下側、側面などの表現は、図面に示すものを基準に説明したものであって、該当する対象の方向が変更されると、異なって表現されることを予め明らかにしておく。
【0013】
図1は本発明の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1に示された電子素子モジュールの断面図であり、
図3は
図2に示された基板の平面図であり、
図4は
図2に示された遮蔽フレームの斜視図である。
【0014】
図1~
図4を参照すると、本実施形態による電子素子モジュール100は、基板20、多数の電子素子10、遮蔽フレーム30、及び封止部40を含むことができる。
【0015】
基板20は、一面に少なくとも1つの電子素子10が搭載されるように構成され、当技術分野でよく知られている様々な種類の基板(例えば、プリント回路基板(PCB)、軟性基板、セラミック基板、ガラス基板など)が用いられることができる。
【0016】
基板20には、電子素子10を実装するための実装用電極21と、実装用電極21を電気的に連結する配線パターン(不図示)が配置される。
【0017】
基板20の実装用電極21は、少なくとも一つの接地電極21aを含むことができる。接地電極21aは、基板20に形成された接地属性の配線やパッドを露出させて形成することができる。接地電極21aは、後述する遮蔽フレーム30と電気的に連結されることができる。ここで、遮蔽フレーム30と電気的に連結される接地電極21aは、基板20に接合される遮蔽フレーム30のポストが配置される位置に沿って破線状に配置されることができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0018】
基板20は、複数の層で形成された多層基板であることができ、各層の間には電気的連結を形成するための回路パターンが形成されることができる。
【0019】
電子素子10は基板20の一面に実装される。電子素子10は、能動素子と受動素子のような様々な素子を含み、基板20上に実装可能な電子部品であれば、いずれも電子素子10として用いられることができる。
【0020】
また、電子素子10は、後述する遮蔽フレーム30内に配置される第1素子11と、遮蔽フレーム30の外部に配置される第2素子12とに区分されることができる。
【0021】
第1素子11は、能動素子からなることができるが、受動素子を含むこともできる。第1素子11は、動作時に熱が多く発生する発熱素子を含むことができる。また、外部に放出される電磁波、または、動作時の電磁波から保護されるべき素子を含むことができる。
【0022】
第2素子12は、能動素子や受動素子の少なくとも一つを含むことができる。また、第2素子12は、第1素子11と電磁的に干渉が発生する素子を含むことができる。
【0023】
遮蔽フレーム30は、少なくとも1つの電子素子10を内部空間に収容し、基板20に実装される。
【0024】
遮蔽フレーム30は、多数のポスト34及びポスト34上に配置される放熱部32で構成されることができる。
【0025】
ポスト34は、一側が基板20に接合され、放熱部32と基板20との間で放熱部32を支持する柱の役割を果たす。
【0026】
ポスト34は、第1素子11の縁に沿って配置され、多数個のポスト34が一定の間隔で並んで離間配置される。
【0027】
本発明において、隣接して配置される2つのポスト34間の間隔は、閾値以下に構成される。ここで閾値とは、上記電磁波の波長を基準に定められる値であって、電磁波の移動を遮断することができる最大距離を意味する。ここで電磁波の移動とは、電磁波が遮蔽フレーム30の外部から遮蔽フレームの内部に移動するか、または遮蔽フレームの内部から遮蔽フレーム30の外部に移動する場合を意味する。
【0028】
例えば、30~300GHzの周波数帯域の場合、波長は10mm~1mmであるため、電磁波の移動を遮断するためのポスト34間の間隔は、ファラデーケージ(Faraday cage)の原理によって10mm~1mm以下を維持しなければならない。しかし、より効率的に電磁波を遮断するために、本実施形態では、波長の1/20、例えば0.5mm~0.05mmにポスト34の間隔を設定する。
【0029】
本実施形態においてポスト34間の間隔は、すべて同一に構成される。しかし、本発明の構成がこれに限定されるものではなく、電磁波の流れを遮断することができる範囲内において互いに異なる間隔で構成することも可能である。
【0030】
放熱部32は、ポスト34によって支持される屋根状に構成される。したがって、放熱部32は、平らな板状に構成されてポスト34の上部に配置される。
【0031】
ポスト34は、放熱部32の縁から延長される形態に構成され、多数個のポスト34が放熱部32の縁に全体的に均等に分散配置される。
【0032】
したがって、放熱部32が正方形状である場合、ポスト34も正方形状に配置され、放熱部32が円形である場合、ポスト34も円形に配置される。
【0033】
しかし、これに限定されるものではなく、必要に応じて放熱部32の縁ではなく、内部にもポスト34を配置することができる。
【0034】
放熱部32の上部面は、後述する封止部40の外部に露出し、放熱部32の下部面は、第1素子11の上部面と面接触するように配置される。
【0035】
したがって、第1素子11から放熱部32に伝達された熱は、放熱部32の上部面を介して外部に迅速に放出されることができる。
【0036】
本実施形態では、放熱部32の上部面全体が封止部40の外部に露出する場合を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて部分的に露出するように構成されることもできる。
【0037】
一方、本実施形態の遮蔽フレーム30は、1つの金属板を加工及び折り曲げて製造する。したがって、放熱部32とポスト34は一体に形成されることができ、同一の厚さに形成されることができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0038】
また、本実施形態では、電子素子モジュールに1つの遮蔽フレーム30のみを備える場合を例に挙げているが、本発明の構成がこれに限定されるものではなく、必要に応じて多数の遮蔽フレーム30を含むように構成されることができる。
【0039】
遮蔽フレーム30は、基板20に設けられた接地電極21aに接合されることができる。遮蔽フレーム30と接地電極21aは、はんだや導電性樹脂のような導電性接着剤を介して互いに接合されることができる。
【0040】
このように構成される遮蔽フレーム30は、熱伝導性が高く、且つ電磁波を遮蔽することができる材料で形成される。例えば、遮蔽フレーム30の材料としては、ステンレス鋼や、銅、亜鉛、ニッケルの合金が用いられることができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0041】
一方、熱伝導度を高めるために、電子素子10と放熱部32との間には、熱伝達層60が配置されることができる。熱伝達層60は、一面が第1素子11の上部面に接触し、下面が放熱部32の下部面と接触するように配置されることができる。
【0042】
熱伝達層60は、導電性接着剤や樹脂接着剤により形成されることができ、熱伝導度が高い物質が用いられることができる。例えば、熱伝達層60は、銀(Ag)を含有する導電性接着剤で形成するか、またはエポキシ樹脂系の樹脂接着剤で形成することができる。
【0043】
また、必要に応じて熱伝達層60として熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)を用いることも可能である。熱伝導材料としては、ペースト(paste)やグリース(grease)のような液状(liquid)型、シート(sheet)型、シリコンなどで形成されるパッド(pad)型が選択的に用いられることができる。
【0044】
封止部40は、基板20の第1面に配置され、電子素子10と遮蔽フレーム30を封止する。封止部40は、電子素子10を取り囲む形態で固定され、外部の衝撃から電子素子10を保護する。
【0045】
また、本実施形態による封止部40は、製造過程でポスト34間の空間を介して遮蔽フレーム30の内部に流入することができる。したがって、封止部40は、遮蔽フレーム30と第1素子11との間に形成された空間にも充填される。
【0046】
封止部40は、絶縁性材料で形成される。例えば、封止部40は、エポキシモールディングコンパウンド(EMC)のような樹脂材料で形成されることができるが、これに限定されるものではない。また、必要に応じて導電性を有する材料(例えば、導電性樹脂など)で封止部40を形成することも可能である。この場合、電子素子10と基板20との間には、アンダーフィル(underfill)樹脂のような別の封止部材が備えられることができる。
【0047】
以上で説明した本実施形態による電子素子モジュール100は、1つの基板20に多数の電子素子10が共に実装されるが、遮蔽フレーム30によって電子素子10間の干渉が遮断される。
【0048】
また、本実施形態による遮蔽フレーム30は、電子素子10で発生した熱を外部に放出する熱伝達経路として用いられる。したがって、第1素子11から発生する熱を電子素子モジュールの外部に迅速に放出することができる。
【0049】
次に、
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を説明する。
【0050】
まず、遮蔽フレーム30の製造方法について説明する。
【0051】
図5は
図2に示された遮蔽フレームの製造方法を示す図である。
【0052】
図5を参照すると、本実施形態の遮蔽フレームの製造方法は、まず、金属板Pを設ける。
【0053】
金属板Pは、銅板(Cu plate)が用いられることができるが、これに限定されない。
【0054】
次に、エッチングやプレス加工を行って、放熱部32とポスト34として用いられる領域のみを残して、残りの不要な部分は除去する。
【0055】
これにより、金属板Pは、放熱部32及び放熱部32の縁から外側に延長される多数のポスト34に形成される。
【0056】
次に、ポスト34と放熱部32とが連結される部分を折り曲げて遮蔽フレーム30を完成する。
【0057】
このように、本実施形態においてポスト34と放熱部32は、一つの金属板を折り曲げて構成する。したがって、放熱部32とポスト34は同一の厚さに形成される。また、プレス(press)またはスタンプ(stamp)方式を用いて折り曲げ工程を行うため、ポスト34と放熱部32とが連結される折り曲げ部分は、曲面Rに形成されることができる。しかし、本発明の構成がこれに限定されるものではない。
【0058】
図6~
図10は、
図2に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図である。
【0059】
まず、
図6に示されたように、基板20に電子素子11、12を実装する。
【0060】
電子素子11、12は、はんだ(solder)のような導電性接着剤により基板20に接合されることができる。例えば、導電性ペーストを実装用電極21上に塗布し、電子素子11、12を導電性ペースト上に安着させた後、リフロー(Reflow)工程を経て電子素子11、12を基板20に実装することができる。
【0061】
次に、
図7及び
図8に示されたように、電子素子のうち第1素子11の上部面(または非活性面)に熱伝達層60を配置する。
図8は
図7の平面図である。
【0062】
上述のように、熱伝達層60は、銀(Ag)を含有するペーストやエポキシ系の樹脂接着剤を第1素子11の非活性面に塗布して形成することができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0063】
次に、
図9及び
図10に示されたように、遮蔽フレーム30を基板20に実装する。
図10は
図9の遮蔽フレームが基板に実装された状態の平面を示している。
【0064】
遮蔽フレーム30は、接地電極21a上に接着剤を塗布する工程、遮蔽フレーム30を基板20上に安着させる工程、及びリフロー(reflow)、キュア(cure、curing)工程を介して基板20に実装されることができる。
【0065】
ここで、接着剤は、導電性ペーストやエポキシ系の導電性樹脂が用いられることができる。
【0066】
遮蔽フレーム30を基板20に装着させる過程で、熱伝達層60は遮蔽フレーム30の放熱部32の下部面と接触し、放熱部32と第1素子11とを接合する。また、遮蔽フレーム30の各ポスト34の下端は、導電性接着剤80を介して基板20の接地電極21aに接合される。
【0067】
次に、封止部40を形成して、
図2に示された電子素子モジュール100を完成する。
【0068】
封止部40は、基板20の一面全体に形成されるが、必要に応じて部分的に形成されることもできる。
【0069】
封止部40は、電子素子10と遮蔽フレーム30を共に埋め込む形態で形成される。
【0070】
図2に示されたように、本実施形態において遮蔽フレーム30の上部面は封止部40の外部に露出する。このような構成は、封止部40を形成するモールド過程で遮蔽フレーム30の上部面が露出するように金型を構成するか、または遮蔽フレーム30を完全に封止するように封止部40を基板20の一面全体に形成した後、遮蔽フレーム30の上部に配置された封止部40を除去するなどの方法で実装されることができる。
【0071】
本段階において封止部40は、トランスファーモールド、液状モールドを含む様々なモールド方式により製造されることができる。したがって、封止部40の材料である成形樹脂を金型内に注入する過程で、成形樹脂は遮蔽フレーム30のポスト34間の空間を介して遮蔽フレーム30の内部にも充填される。
【0072】
以上で説明した本実施形態の製造方法は、金属板を用いて遮蔽フレームを形成する。したがって、遮蔽フレームの製造が非常に容易となり、製造コストも最小限に抑えることができる。一度のモールド工程により、遮蔽フレームの外部に配置された電子素子だけでなく、遮蔽フレームの内部に配置された電子素子も封止することができるため、より最小限の工程により電子素子モジュールを製造することができる。
【0073】
一方、本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。
【0074】
図11は本発明の他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【0075】
図11を参照すると、本実施形態による電子素子モジュールの遮蔽フレーム30は、封止部40の外部に露出しない。また、遮蔽フレーム30の上部面には放熱部材70が配置される。
【0076】
放熱部材70は封止部40内に配置され、上部面が封止部40の外部に露出する。したがって、第1素子11で発生した熱は、熱伝達層60、遮蔽フレーム30、放熱部材70を介して電子素子モジュールの外部に放出される。
【0077】
本実施形態において放熱部材70は、遮蔽フレーム30の上部面全体を覆うブロック状に形成される。しかし、これに限定されるものではなく、必要に応じて様々な形状に変形されることができる。
【0078】
放熱部材70は、熱伝達層60と同様に、熱伝導度が高い導電性接着剤や樹脂が用いられることができるが、これに限定されるものではない。例えば、放熱部材70は、熱伝達層60と同一の材料からなることができる。
【0079】
また、本実施形態の電子素子モジュールは、封止部40の表面に遮蔽層50が配置される。
【0080】
遮蔽層50は、封止部40、放熱部材、及び基板20の側面が形成される表面に沿って配置され、上記表面に導電性粉末を含む樹脂材を塗布するか、または金属薄膜を形成することにより製造されることができる。金属薄膜の場合、スパッタリング、スプレーコーティング、スクリーン印刷(screen printing)、気相蒸着法、電解めっき、非電解めっきのような様々な技術により形成されることができる。
【0081】
遮蔽層50は、基板20の接地属性と電気的に連結される。そのために、基板20には基板20の側面に露出する接地パターン25が少なくとも一つ備えられることができる。接地パターン25は、基板20に形成された接地属性の回路配線のうちの1つであることができる。
【0082】
遮蔽層50は、基板20の側面に露出した接地パターン25と物理的、電気的に連結されることができる。しかし、これに限定されるものではなく、放熱部材70と遮蔽フレーム30を介して基板20の接地と電気的に連結されることもでき、この場合、接地パターン25は省略することができる。
【0083】
一方、遮蔽層50を含む構成は、
図2に示された電子素子モジュールにも適用することができる。この場合、電子素子モジュールの側面と上部面全体に遮蔽層が配置されることができる。これにより、封止部40の外部に露出した遮蔽フレーム30の上部面にも遮蔽層が配置される。しかし、これに限定されるものではなく、遮蔽フレーム30の上部面を除いた部分のみに遮蔽層を形成するなど、様々な変形が可能である。
【0084】
一方、本実施形態による基板20は、保護層であるソルダーレジストSR(solder resist)がパッドを部分的に覆う形態で構成される。しかし、これに限定されるものではない。
【0085】
図12は本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【0086】
図12を参照すると、本実施形態による電子素子モジュールは、
図11に示された電子素子モジュールと同様に構成され、放熱部材70の形状においてのみ異なる。
【0087】
本実施形態の放熱部材70は、遮蔽フレーム30の上部に配置される封止部40を貫通する貫通ビア(through via)状に形成される。したがって、多数個の放熱部材70が遮蔽フレーム30の上部面と対面する位置に離間配置される。
【0088】
かかる放熱部材70は、封止部40を形成した後、レーザードリルなどを用いて封止部40に貫通孔を形成し、貫通孔の内部に熱伝導度の高い物質を充填することで形成することができる。上述の実施形態と同様に、本実施形態の放熱部材70も熱伝達層60と同一の材料からなることができるが、これに限定されるものではない。
【0089】
本実施形態による基板20は、非はんだマスク定義(NonSolder Mask Defined、NSMD)型パッドが形成された基板である。非はんだマスク定義(NSMD)とは、ソルダーレジスト(solder resist)がパッドの一部を覆わないように配置される方式である。
【0090】
これにより、ポスト34と接地電極21aとを接合する導電性接着剤80は、ソルダーレジストSRと接触せずに離隔するように配置されることができる。
【0091】
図13は本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図であり、
図14は
図13に示された遮蔽フレームの底面斜視図であり、
図15は
図13に示された遮蔽フレームの断面図である。
【0092】
図13~
図15を参照すると、本実施形態による電子素子モジュールは、遮蔽フレーム30の放熱部32の下部面に溝状の収容部33が備えられる。そして収容部33には、第1素子11または第1素子11の上部面に配置された熱伝達層60が配置される。
【0093】
これにより、遮蔽フレーム30の放熱部32のうち収容部33が形成された部分は、他の部分に比べて薄い厚さに形成されることができる。
【0094】
このように遮蔽フレーム30が収容部33を備えることにより、遮蔽フレーム30の内部に配置される第1素子11は、収容部33の深さに対応する分だけ実装高さが増加することができる。ここで、実装高さとは、電子素子10が実装された基板20の一面から電子素子10の上端面までの垂直距離を意味する。
【0095】
この場合、電子素子モジュールの体積が変化することなく、上述の実施形態よりも大きい第1素子11を含むことができる。
【0096】
また、上述の実施形態と同一の大きさの第1素子11を含む場合、遮蔽フレーム30の実装高さを収容部33の深さに対応する分だけ下げることができる。この場合、電子素子モジュールの厚さを減少させることができる。
【0097】
収容部33は、金属板を加工してポスト34を形成する過程で共に形成するか、または、その後に別のエッチングまたはプレス工程を行って形成することができる。
【0098】
本実施形態の場合、上述の実施形態の放熱部材(
図11の70)を含まず、遮蔽フレーム30の上部面が遮蔽層50に直接接触するように構成される。しかし、これに限定されるものではなく、上述の実施形態と同様に放熱部材を備えるように構成することも可能である。
【0099】
また、本実施形態のポスト34は、下端の一部が基板20に挿入配置される。そのために、各ポスト34は、他の部分に比べて断面積が小さい形態で形成される挿入部34aを含むことができる。
【0100】
挿入部34aは、ポスト34の下端に配置され、ポスト34の他の部分に比べて半分程度の断面積に形成されることができる。挿入部34aは、基板20に備えられる挿入孔27に挿入される。したがって、挿入部34aの断面積は、基板20の挿入孔27の大きさ(直径など)に対応して規定されることができる。また、挿入部34aの長さは、挿入孔27の深さに対応して規定されることができる。
【0101】
挿入部34aは、金属板をエッチングまたはプレス加工してポスト34を形成する過程で共に形成されることができる。また、基板20の挿入孔27は、基板20を製造する過程で形成されることができる。
【0102】
挿入孔27は、
図2において接地電極21aが配置された位置に形成されることができる。挿入孔27の内壁には金属層28が配置される。このような構成は、基板20の一面にビア孔を形成した後、めっきなどの方式でビア孔の内壁に金属層28を形成することにより実現されることができる。このとき、ビア孔の内壁に形成された金属層28は、基板20の接地属性と電気的に連結されることができる。
【0103】
基板20の挿入孔27には、導電性接着剤80が充填されることができる。したがって、挿入孔27に挿入された挿入部34aは、導電性接着剤80を介して挿入孔27の金属層28と電気的に連結されることができる。
【0104】
このように構成される場合、遮蔽フレーム30のポスト34と基板20との電気的/物理的連結の信頼性を高めることができる。したがって、より安定的に動作する電子素子モジュールを提供することができる。
【0105】
図16は本発明のさらに他の実施形態による遮蔽フレームの断面図である。
【0106】
図16を参照すると、本実施形態による電子素子モジュールは、遮蔽フレーム30の表面に表面粗さが増加した結合層37が形成される。
【0107】
結合層37は、金属材料で形成される遮蔽フレーム30を表面処理することで形成することができる。例えば、結合層37は、アルカリ処理を介して形成される黒色酸化物(BLACK OXIDE)で形成されることができる。
【0108】
遮蔽フレーム30は、金属材料で形成されるため、樹脂材料で形成される封止部40と熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)の差が大きい。したがって、電子素子モジュールが動作する過程で発生する熱により、封止部40と遮蔽フレーム30の界面で剥離が生じ得る。
【0109】
しかし、本実施形態のように、遮蔽フレーム30の表面に結合層37を形成する場合、粗さが増加した結合層37が封止部(
図2の40)と結合される。粗さが増加した結合層37は、結合層37がない場合に比べて表面積が200%まで増加する。したがって、封止部40との接合面積を大幅に拡張することができ、粗さが大きいため、封止部40との機械的な結合力も増加する。
【0110】
したがって、封止部40と遮蔽フレーム30との結合力を高めることができ、封止部40と遮蔽フレーム30の界面で剥離が生じることを最小限に抑えることができる。
【0111】
図17は本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示す断面図である。
【0112】
図17を参照すると、本実施形態による電子素子モジュールは、遮蔽フレーム30の放熱部32とポスト34の厚さが異なって構成される。
【0113】
本実施形態において放熱部32は、ポスト34よりも厚い厚さを有するブロック状に形成される。
【0114】
上述の実施形態の場合、放熱部32の厚さが薄く構成されるため、遮蔽フレーム30の実装高さも高くなく、これにより、第2素子12も実装高さが低い素子のみを用いることができる。
【0115】
しかし、本実施形態の場合、放熱部32の厚さが増加することにより、遮蔽フレーム30の実装高さも増加し、これにより、上述の実施形態に比べて実装高さが高い素子を第2素子12として用いることができる。
【0116】
本実施形態の遮蔽フレーム30は、ブロック状の放熱部32にポスト34を接合して形成するか、または上述の実施形態における遮蔽フレーム30の放熱部32に金属ブロックを積層配置して形成することができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0117】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0118】
10 電子素子
20 基板
30 遮蔽フレーム
40 封止部
50 遮蔽層
60 熱伝達層
70 放熱部材