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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】パウチ中間体およびパウチ充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20230926BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B65D30/16 F
B65B3/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019106909
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200059
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】安海 隆裕
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04953708(US,A)
【文献】特開2000-335595(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197385(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00922640(EP,A1)
【文献】実開昭57-006746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/16
B65B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側フィルムと裏側フィルムとの間にマチ部用フィルムが折り畳まれた状態で配置され、トップシール部に対応する位置に、充填開口部として機能するトップシール予定部を有したマチ付きパウチのパウチ中間体であって、
前記トップシール予定部は、左右方向両側において前記表側フィルムと前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを接続した左右の側方フィルム接続部よりも左右方向内側の領域として、左右両側の第1マチ領域および第2マチ領域と、左右方向において前記第1マチ領域および前記第2マチ領域の間に位置する中央側領域とを有し、
前記第1マチ領域においては、前記表側フィルムと前記マチ部用フィルムとを固着した第1表側固着部と、前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを固着した第1裏側固着部とが形成され、
前記第2マチ領域においては、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの一方と前記マチ部用フィルムとを固着した第2固着部が形成されているとともに、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの他方と前記マチ部用フィルムとが固着されておらず、
前記中央側領域においては、前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムの間に内側フィルムが2つ折り状態で配置され、
前記内側フィルムは、その折り目線を前記第1マチ領域側に向けた状態で配置されるとともに、その左右両端部を前記第2マチ領域側に向けた状態で配置され、
前記内側フィルムは、その左右両端部の一方が内側シール部によって前記表側フィルムの内面に熱溶着されるとともに、その左右両端部の他方が内側シール部によって前記裏側フィルムの内面に熱溶着され、
前記中央側領域には、前記内側シール部よりも前記第1マチ領域側において、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの少なくとも一方と前記内側フィルムとを固着した第3固着部が形成されていることを特徴とするパウチ中間体。
【請求項2】
前記側方フィルム接続部は、左右方向両側において前記表側フィルムと前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを熱溶着したサイドシール部であることを特徴とする請求項1に記載のパウチ中間体。
【請求項3】
前記第2固着部は、前記第2マチ領域の前記中央側領域側寄りの端縁に接してまたは近接して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパウチ中間体。
【請求項4】
前記第2マチ領域側の前記側方フィルム接続部は、前記表側フィルムと前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを熱溶着したサイドシール部であり、
前記第2固着部は、前記サイドシール部に連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパウチ中間体。
【請求項5】
前記第1表側固着部および前記第1裏側固着部は、前記第1マチ領域の前記中央側領域側寄りの端縁に接してまたは近接して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパウチ中間体。
【請求項6】
前記第1マチ領域側の前記側方フィルム接続部は、前記表側フィルムと前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを熱溶着したサイドシール部であり、
前記第1表側固着部および前記第1裏側固着部は、前記サイドシール部に連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパウチ中間体。
【請求項7】
前記第1表側固着部と前記第1裏側固着部と前記第2固着部とは、各フィルム間を熱溶着した熱溶着部であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のパウチ中間体。
【請求項8】
マチ付きパウチに内容物を充填するパウチ充填方法であって、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のパウチ中間体の前記充填開口部から内容物を充填した後に、前記トップシール予定部において各フィルムを熱溶着してトップシール部を形成することで、前記充填開口部を塞ぐことを特徴とするパウチ充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マチ付きパウチのパウチ中間体およびパウチ充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体洗剤等の流動性を有した内容物を収容する容器として、複数のフィルムを熱溶着することで製袋され、左右両側にマチ部(ガゼット部)を有したマチ付きパウチが一般に用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなマチ付きパウチにおいては、内容物を充填する1つの手法として、図9に示すように、サイドシール部122bおよびボトムシール部(図示しない)が形成され、トップシール部に対応する位置については熱溶着が施されていないパウチ中間体の状態で、左右のサイドシール部122b付近をグリッパーGで把持して左右のサイドシール部122bを内側に寄せることで、トップシール部に対応する位置に形成される充填開口部124を開口させ、充填開口部124から充填ノズル(図示しない)を挿入して内容物を充填する手法が一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-040057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図9に示す充填方法では、左右のマチ部用フィルム150が表裏方向における中央付近に位置していることから、充填ノズル(図示しない)が左右のマチ部用フィルム150に干渉してしまうことがある。
【0006】
そこで、上述した問題を回避する1つの案として、図10に示すように、内容物の充填後にトップシール部を形成する予定のトップシール予定部において、サイドシール部122bよりも左右方向内側で、表側フィルム130または裏側フィルム140の少なくとも一方(図10に示す例では表側フィルム130)とマチ部用フィルム150とを熱溶着することで、マチ部用フィルム150の位置を表側フィルム130または裏側フィルム140の少なくとも一方側(図10に示す例では表側フィルム130)に寄せることが考えられる。
【0007】
しかしながら、図10(a)に示すように、両方のマチ部用フィルム150を表側フィルム130又は裏側フィルム140に寄せて両方とも接着すると、充填開口部124が小さくなってしまう。一方、図10(b)に示すように、マチ部用フィルム150の両側を表側フィルム130又は裏側フィルム140に寄せて充填開口部124を形成する場合でも、パウチが大きくなるにつれ、つまり、トップシール予定部の左右方向における幅が大きくなるにつれ、グリッパーGによって左右のサイドシール部122bを内側に寄せた時に、充填開口部124の開きが悪い、または、充填開口部124の開き方が安定しないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、内容物の充填時におけるマチ部用フィルムに対する充填ノズルの干渉を回避しつつ、充填開口部の開き方を安定させることが可能なパウチ中間体およびパウチ充填方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパウチ中間体は、表側フィルムと裏側フィルムとの間にマチ部用フィルムが折り畳まれた状態で配置され、トップシール部に対応する位置に、充填開口部として機能するトップシール予定部を有したマチ付きパウチのパウチ中間体であって、前記トップシール予定部は、左右方向両側において前記表側フィルムと前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを接続した左右の側方フィルム接続部よりも左右方向内側の領域として、左右両側の第1マチ領域および第2マチ領域と、左右方向において前記第1マチ領域および前記第2マチ領域の間に位置する中央側領域とを有し、前記第1マチ領域においては、前記表側フィルムと前記マチ部用フィルムとを固着した第1表側固着部と、前記裏側フィルムと前記マチ部用フィルムとを固着した第1裏側固着部とが形成され、前記第2マチ領域においては、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの一方と前記マチ部用フィルムとを固着した第2固着部が形成されているとともに、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの他方と前記マチ部用フィルムとが固着されておらず、前記中央側領域においては、前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムの間に内側フィルムが2つ折り状態で配置され、前記内側フィルムは、その折り目線を前記第1マチ領域側に向けた状態で配置されるとともに、その左右両端部を前記第2マチ領域側に向けた状態で配置され、前記内側フィルムは、その左右両端部の一方が内側シール部によって前記表側フィルムの内面に熱溶着されるとともに、その左右両端部の他方が内側シール部によって前記裏側フィルムの内面に熱溶着され、前記中央側領域には、前記内側シール部よりも前記第1マチ領域側において、前記表側フィルムまたは前記裏側フィルムの少なくとも一方と前記内側フィルムとを固着した第3固着部が形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明のパウチ充填方法は、マチ付きパウチに内容物を充填するパウチ充填方法であって、前記パウチ中間体の前記充填開口部から内容物を充填した後に、前記トップシール予定部において各フィルムを熱溶着してトップシール部を形成することで、前記充填開口部を塞ぐことにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1マチ領域および第2マチ領域において、マチ部用フィルムを表側フィルムまたは裏側フィルムの少なくとも一方に固着することで、内容物充填時におけるマチ部用フィルムに対する充填ノズルの干渉を回避しつつ、第1マチ領域において、マチ部用フィルムを表側フィルムおよび裏側フィルムの両方に固着することで、グリッパーを用いた充填開口部の開口時に、開口する領域を主に中央側領域および第2マチ領域に限定することが可能であるため、充填開口部の開き方を安定させることができる。
【0011】
また、中央側領域において表側フィルムおよび裏側フィルムの間に内側フィルムを配置した場合には、内側フィルムの剛性を利用して、中央側領域および第2マチ領域における充填開口部の開口性をより一層向上させることができる。
また、中央側領域に、内側シール部よりも第1マチ領域側において、表側フィルムまたは裏側フィルムの少なくとも一方と内側フィルムとを固着した第3固着部を形成した場合には、内側フィルムの形状や位置を安定させることが可能であるため、内側フィルムに対する充填ノズルの干渉を回避できるとともに、内側フィルムの剛性を利用した、中央側領域および第2マチ領域における充填開口部の開口性の向上の効果を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1参考例のマチ付きパウチを概略的に示す平面図。
図2参考例のパウチ中間体を概略的に示す平面図。
図3参考例のパウチ中間体の充填開口部を開口させた状態を示す説明図。
図4第1実施形態のマチ付きパウチを概略的に示す平面図。
図5第1実施形態のパウチ中間体を概略的に示す平面図。
図6第1実施形態のパウチ中間体の充填開口部を開口させた状態を示す説明図。
図7】パウチ中間体の各種変形例を示す説明図。
図8】パウチ中間体の変形例を概略的に示す説明図。
図9参考例のパウチ中間体の充填開口部を開口させた状態を示す説明図。
図10第1参考例のパウチ中間体の充填開口部を開口させた状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の参考例であるマチ付きパウチ10について、図面に基づいて説明する。
【0014】
マチ付きパウチ10は、液体洗剤等の流動性を有した内容物を収容するものであり、図1に示すように、左右両側にマチ部が形成された所謂横ガゼット型のマチ付きパウチとして構成されている。
【0015】
マチ付きパウチ10は、可撓性を有した樹脂フィルムから袋状に形成され、具体的には、内容物収容部21を密閉するように、表側フィルム30と裏側フィルム40と一対のマチ部用フィルム50とを熱溶着した製袋用のシール部22を形成することで袋状に形成されている。
【0016】
シール部22は、図1に示すように、マチ付きパウチ10の頂部側において各フィルム30、40、50を熱溶着したトップシール部22aと、マチ付きパウチ10の左右両側において各フィルム30、40、50を熱溶着した左右のサイドシール部22bと、マチ付きパウチ10の底部側において各フィルム30、40、50を熱溶着したボトムシール部22cとを有している。
具体的に説明すると、トップシール部22aおよびボトムシール部22cにおいては、対向して配置された、表側フィルム30と裏側フィルム40との間、表側フィルム30とマチ部用フィルム50との間、裏側フィルム40とマチ部用フィルム50との間が熱溶着され、また、サイドシール部22bにおいては、対向して配置された、表側フィルム30とマチ部用フィルム50との間、裏側フィルム40とマチ部用フィルム50との間が、熱溶着される。
なお、表側フィルム30と裏側フィルム40との間にマチ部用フィルム50が配置された領域においても、任意の箇所でマチ部用フィルム50を部分的に除去することで、表側フィルム30と裏側フィルム40との間を熱溶着してもよく、また、任意の箇所で2つ折りにされたマチ部用フィルム50の内面同士を部分的に熱溶着してもよい。
また、図1等においては、各部の構成の理解を容易にするために、内容物を入れていない状態のマチ付きパウチ10を示している。
また、本参考例では、サイドシール部22bが、左右方向両側において表側フィルム30と裏側フィルム40とマチ部用フィルム50とを接続した左右の側方フィルム接続部70になる。
【0017】
各フィルム30、40、50は、少なくともその片面に熱溶着層を有した矩形状(またはほぼ矩形状)の樹脂フィルムとして形成され、互いに熱溶着される箇所において、熱溶着層同士を対向させるように配置されている。
各マチ部用フィルム50は、図1図3から分かるように、マチ付きパウチ10の左右両側において、表側フィルム30および裏側フィルム40の間に、その折り目線51を左右方向内側に向けた状態で2つ折り状態で配置されている。
【0018】
次に、本参考例におけるパウチ中間体11について、図面に基づいて以下に説明する。
ここで、パウチ中間体11については、一部構成以外については、上述したマチ付きパウチ10と同様であるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0019】
まず、パウチ中間体11は、図2図3に示すように、マチ付きパウチ10におけるトップシール部22aが形成されておらず、代わりに、トップシール部22aに対応する位置に、内容物の充填後にトップシール部22aを形成する予定の領域であるトップシール予定部23を有したものである。トップシール予定部23は、図3から分かるように、その少なくとも一部が充填開口部24として機能する部位になる。
【0020】
トップシール予定部23は、図2に示すように、サイドシール部22b(側方フィルム接続部70)よりも左右方向内側の領域であって、表側フィルム30と裏側フィルム40との間にマチ部用フィルム50が折り畳まれた状態で配置された左右両側の第1マチ領域23aおよび第2マチ領域23bと、左右方向において第1マチ領域23aおよび第2マチ領域23bの間に位置する中央側領域23cとを有している。
【0021】
第1マチ領域23aには、図2図3に示すように、表側フィルム30とマチ部用フィルム50とを熱溶着した熱溶着部としての第1表側固着部25と、裏側フィルム40とマチ部用フィルム50とを熱溶着した熱溶着部としての第1裏側固着部26とが形成されている。
【0022】
第1表側固着部25および第1裏側固着部26は、図2図3に示すように、サイドシール部22bに連続して、第1マチ領域23aの中央側領域23c側寄りの端縁(すなわち、マチ部用フィルム50の折り目線51)に接してまたは近接して(本参考例では接して)形成されており、言い替えると、第1表側固着部25および第1裏側固着部26は、左右方向における第1マチ領域23aの全域またはほぼ全域(本参考例では全域)に亘って形成されている。
【0023】
第2マチ領域23bには、図2図3に示すように、表側フィルム30または裏側フィルム40の一方(本参考例では表側フィルム30)とマチ部用フィルム50とを熱溶着した熱溶着部としての第2固着部27が形成されている。
また、第2マチ領域23bにおいては、図3に示すように、表側フィルム30または裏側フィルム40の他方(本参考例では裏側フィルム40)とマチ部用フィルム50とは固着されていない。
【0024】
第2固着部27は、図2図3に示すように、サイドシール部22bに連続して、第2マチ領域23bの中央側領域23c側寄りの端縁(すなわち、マチ部用フィルム50の折り目線51)に接してまたは近接して(本参考例では接して)形成されており、言い替えると、第2固着部27は、左右方向における第2マチ領域23bの全域またはほぼ全域(本参考例では全域)に亘って形成されている。
【0025】
次に、本参考例におけるパウチ充填方法について、以下に説明する。
【0026】
まず、図2図3に示したパウチ中間体11を用意する。
【0027】
次に、図3に示すように、左右のサイドシール部22b付近をグリッパーGで把持して左右のサイドシール部22bを内側に寄せることで、第2マチ領域23bおよび中央側領域23cにおいて充填開口部24を開口させ、充填開口部24から内容物収容部21内に充填ノズル(図示しない)を挿入して内容物を充填する。
なお、この際、パウチ中間体11内に充填ノズル(図示しない)を挿入することなく、内容物の充填を行ってもよい。
【0028】
次に、トップシール予定部23に位置するフィルム30、40、50を熱溶着してトップシール部22aを形成することで充填開口部24を塞ぎ、内容物収容部21内の内容物を密閉する。
【0029】
次に、本発明の第1実施形態に係るマチ付きパウチ10について、図4~6に基づいて説明する。ここで、第1実施形態では、一部構成以外については、前述した参考例と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0030】
まず、第1実施形態のマチ付きパウチ10では、図4図6から分かるように、中央側領域23cにおいて、表側フィルム30および裏側フィルム40の間に、内側フィルム60が2つ折り状態で配置されている。
【0031】
内側フィルム60は、図4図6から分かるように、その折り目線61を第1マチ領域23a側に向けた状態で配置されるとともに、その左右両端部を第2マチ領域23b側に向けた状態で配置されている。
【0032】
内側フィルム60の左右両端部の一方は、図4図6から分かるように、内側シール部28によって表側フィルム30の内面に熱溶着されるとともに、内側フィルム60の左右両端部の他方は、内側シール部28によって裏側フィルム40の内面に熱溶着されている。
【0033】
また、内側フィルム60の上方端部は、トップシール部22aにおいて、対向する表側フィルム30の内面および裏側フィルム40の内面に熱溶着され、また、内側フィルム60の下方端部は、ボトムシール部22cにおいて、対向する表側フィルム30の内面および裏側フィルム40の内面に熱溶着されている。また、トップシール部22aおよびボトムシール部22cにおいては、2つ折りにされた内側フィルム60の内面同士が熱溶着されている。
【0034】
次に、第1実施形態におけるパウチ中間体11は、以下の通りである。
ここで、パウチ中間体11については、一部構成以外については、上述したマチ付きパウチ10と同様であるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0035】
まず、パウチ中間体11の状態では、図6から分かるように、トップシール予定部23において、2つ折りにされた内側フィルム60の内面同士は熱溶着されていない。
【0036】
また、パウチ中間体11の状態では、図5図6から分かるように、内側シール部28よりも第1マチ領域23a側において、表側フィルム30または裏側フィルム40の少なくとも一方(本実施形態では、表側フィルム30または裏側フィルム40の両方)と内側フィルム60とを固着した第3固着部29が形成されている。
第3固着部29は、図5図6に示すように、内側シール部28に連続して、内側フィルム60の左右方向全域に亘って形成されている。
なお、図5図6に示すパウチ中間体11では、第3固着部29と第1マチ領域23aとの隙間に未シール部を設けているが、当該隙間は、表側フィルム30と裏側フィルム40の内側同士を接着していてもよい。
【0037】
次に、第1実施形態におけるパウチ充填方法について、以下に説明する。
【0038】
まず、図5図6に示したパウチ中間体11を用意する。
【0039】
次に、図6に示すように、左右のサイドシール部22b付近をグリッパーGで把持して左右のサイドシール部22bを内側に寄せることで、第2マチ領域23bおよび中央側領域23cにおいて充填開口部24を開き、充填開口部24から内容物収容部21内に充填ノズル(図示しない)を挿入して内容物を充填する。
なお、この際、パウチ中間体11内に充填ノズル(図示しない)を挿入することなく、内容物の充填を行ってもよい。
【0040】
次に、トップシール予定部23に位置するフィルム30、40、50、60を熱溶着するとともに、2つ折りにされた内側フィルム60の内面同士を熱溶着して、トップシール部22aを形成することで充填開口部24を塞ぎ、内容物収容部21内の内容物を密閉する。
【0041】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0042】
例えば、本明細書内に記載した複数の実施形態や変形例の各構成を、任意に組み合わせてマチ付きパウチ10やパウチ中間体11を構成しても何ら構わない。
また、各フィルム30、40、50、60の具体的態様については、低密度ポリエチレンやポリプロピレンのオレフィン系やPET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系等の熱溶着性を有する層を少なくとも片面に有するものであれば、熱溶着層の単膜又は熱溶着層に任意の層を積層してもよい。積層を構成する素材は如何なるものでもよく、公知のPET、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、アルミ箔等を積層することで任意に形成すればよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、マチ付きパウチ10が、スパウトが取り付けられていないパウチであるものとして説明したが、任意の位置にスパウトを取り付けてもよい。
また、上述した実施形態では、マチ付きパウチ10が、その左右両側にマチ部を形成した所謂横ガゼット型のパウチとして形成されているものとして説明したが、マチ付きパウチ10の具体的態様は上記に限定されず、例えば、マチ付きパウチ10の底部側にもマチ部を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、図8(a)に示すように、表側フィルム30、裏側フィルム40、マチ部用フィルム50が、それぞれ別の部材として説明したが、図8(b)や図8(c)や図8(d)や図8(e)に示すように、マチ部用フィルム50の少なくとも一方は、表側フィルム30、裏側フィルム40の少なくとも一方と連続した1枚のフィルムとしてもよい。あるいは、図8(c)に示すように、表側フィルム30、裏側フィルム40、およびマチ部用フィルム50は、連続した1枚のフィルムであってもよい。
すなわち、パウチ10およびパウチ中間体11は、表側フィルム30又は/及び裏側フィルム40の一部を内側に折り畳んでマチ部(マチ部用フィルム50に相当)を形成し、フィルムの接続箇所を溶着してシール部を形成したものとすることもできる。
図8(b)や図8(c)や図8(d)や図8(e)に示した例では、左右方向外側において、連続した1枚のフィルムを折り曲げた箇所が、表側フィルム30と裏側フィルム40とマチ部用フィルム50とを接続した側方フィルム接続部70になる。
なお、本明細書内では、「頂部」「底部」「左右両側」「トップシール部」「サイドシール部」「ボトムシール部」等の上下左右を示す用語を使用しているが、これら用語は、使用時や陳列時や運搬時等におけるマチ付きパウチ10の設置の向きを限定するものではない。
【0044】
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27、29が、各フィルムを熱溶着して成る熱溶着部であるものとして説明したが、各固着部25、26、27、29の具体的態様は、上記に限定されず、例えば、接着剤を用いてフィルム間を固着したものであってもよい。
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27が、第1マチ領域23aまたは第2マチ領域23bの中央側領域23c側寄りの端縁(すなわち、マチ部用フィルム50の折り目線51)に接してまたは近接して各固着部25、26、27の全域またはほぼ全域に亘って形成されているとして説明した。しかし、固着部25、26は、第1マチ領域23aの中央側領域23c側寄りの端縁に接してまたは近接して部分的に形成することでもよいし、固着部27は、第2マチ領域23bの中央側領域23c側寄りの端縁に接してまたは近接して部分的に形成することでもよい。
一方、上述した実施形態のように、第1表側固着部25および第1裏側固着部26を、左右方向における第1マチ領域23aの全域またはほぼ全域(本実施形態では全域)に亘って形成した場合、内容物充填時においてグリッパーGによって左右のサイドシール部122bを内側に寄せる時に、第1マチ領域23aに位置する各フィルム30、40、50の変形(曲がり)を抑制でき、充填開口部24の開口性を向上させることができるため、より好ましい。
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27が、第1マチ領域23aまたは第2マチ領域23bの中央側領域23c側寄りの端縁(すなわち、マチ部用フィルム50の折り目線51)に接してまたは近接して形成されているものとして説明したが、図7(a)や図7(b)に示すように、各固着部25、26、27を、第1マチ領域23aまたは第2マチ領域23bの中央側領域23c側寄りの端縁から離して形成してもよい。
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27が、サイドシール部22bに連続して形成されているものとして説明したが、図7(b)に示すように、各固着部25、26、27を、サイドシール部22bから離して形成してもよい。
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27、29が、トップシール予定部23の上下方向における全域に亘って形成されるものとして説明したが、各固着部25、26、27、29の上下方向幅は如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、各固着部25、26、27、29が、各フィルムの上端縁に接して形成されているものとして説明したが、各フィルムの上端縁から下方に離れた位置に各固着部25、26、27、29を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、第3固着部29が、内側シール部28に連続して内側フィルム60の左右方向全域に亘って形成されているものとして説明したが、第3固着部29は、内側シール部28よりも第1マチ領域23a側寄りの部分に部分的に形成するものでもよい。また、第3固着部29は、内側シール部28よりも第1マチ領域23a側において、内側フィルム60と表側フィルム30または裏側フィルム40の少なくとも一方とを固着するものであれば如何なるものでもよく、例えば、図7(c)に示すように、内側シール部28から離れた位置に形成してもよい。
また、上述した実施形態では、図2図5に示すようにマチ付きパウチ10を平面視した場合に、第1表側固着部25の形成領域と第1裏側固着部26の形成領域とが重なって一致しているが、第1表側固着部25の形成領域と第1裏側固着部26の形成領域とがずれていてもよい。なお、第1表側固着部25の形成領域と第1裏側固着部26の形成領域とが一致している場合の方が、一度の熱溶着処理によって第1表側固着部25および第1裏側固着部26の両方をまとめて形成することが可能であるため、好ましい。
【符号の説明】
【0045】
10 ・・・ パウチ
11 ・・・ パウチ中間体
21 ・・・ 内容物収容部
22 ・・・ シール部
22a ・・・ トップシール部
22b ・・・ サイドシール部
22c ・・・ ボトムシール部
23 ・・・ トップシール予定部
24 ・・・ 充填開口部
25 ・・・ 第1表側固着部
26 ・・・ 第1裏側固着部
27 ・・・ 第2固着部
28 ・・・ 内側シール部
29 ・・・ 第3固着部
30 ・・・ 表側フィルム
40 ・・・ 裏側フィルム
50 ・・・ マチ部用フィルム
51 ・・・ 折り目線
60 ・・・ 内側フィルム
61 ・・・ 折り目線
70 ・・・ 側方フィルム接続部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10