(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20230926BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20230926BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J25/20
B41J3/36 T
(21)【出願番号】P 2019118058
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-316450(JP,A)
【文献】特開2000-079732(JP,A)
【文献】特開2003-266377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
B41J 11/00-11/70
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記印刷媒体に、所定の印刷タイミングで印刷を行う印刷部と、
前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向下流に配置され、前記印刷部により印刷された後、前記搬送部により搬送された前記印刷媒体を、所定の切断タイミングで切断する切断部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記切断部を制御する制御部と、
前記制御部が実行可能なプログラムを記憶する記憶部と
を備えた印刷装置であって、
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、
前記印刷部により、第1目盛り及び第2目盛りを、前記第1目盛りの少なくとも一部と前記第2目盛りの少なくとも一部が、前記印刷媒体の搬送方向において互いに同一位置であり、且つ、前記搬送方向と直交する直交方向において互いに相違する位置になるように印刷
し、
前記切断部により、前記所定の切断タイミングで前記印刷媒体の前記第1目盛り及び前記第2目盛りの双方を切断し、
前記切断部により切断された切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1目盛り上の前記切断位置に応じた第1パラメータ、及び、前記第2目盛り上の前記切断位置に応じた第2パラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の前記所定の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体を切断する場合の前記所定の切断タイミングとの少なくとも一方である対象タイミングを調整することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1パラメータに対応する前記第1目盛り上の切断位置と、前記第2パラメータに対応する前記第2目盛り上の切断位置の平均値に基づいて、前記対象タイミングを調整することを特徴とする請求項
1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1パラメータに対応する前記第1目盛り上の切断位置と、前記第2パラメータに対応する前記第2目盛り上の切断位置とを結ぶ線分に基づいて、前記対象タイミングを調整することを特徴とする請求項
1に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記印刷媒体に、所定の印刷タイミングで印刷を行う印刷部と、
前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向下流に配置され、前記印刷部により印刷された後、前記搬送部により搬送された前記印刷媒体を、所定の切断タイミングで切断する切断部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記切断部を制御する制御部と、
前記制御部が実行可能なプログラムを記憶する記憶部と
を備えた印刷装置であって、
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、
前記印刷部により、第1目盛り及び第2目盛りを、前記第1目盛りの少なくとも一部と前記第2目盛りの少なくとも一部が、前記印刷媒体の搬送方向において互いに同一位置であり、且つ、前記搬送方向と直交する直交方向において互いに相違する位置になるように印刷し、
前記第1目盛り、及び、前記第2目盛りは、それぞれ、前記搬送方向に等間隔に配列された複数の線分を有することを特徴とす
る印刷装置。
【請求項5】
前記複数の線分は、更に、前記直交方向に等間隔に配列されることを特徴とする請求項
4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1目盛りには、更に、前記複数の線分の近傍に配置された第1正数及び第1負数が含まれ、
前記第2目盛りには、更に、前記複数の線分の近傍に配置された第2正数及び第2負数が含まれることを特徴とする請求項
4又は
5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記切断部は、
前記印刷媒体をフルカットすることが可能な第1切断部と、前記印刷媒体をハーフカットすることが可能な第2切断部とを有し、
前記第1目盛りは、前記第1切断部に対応する第1フルカット目盛り、及び、前記第2切断部に対応する第1ハーフカット目盛りを有し、
前記第2目盛りは、前記第1切断部に対応する第2フルカット目盛り、及び、前記第2切断部に対応する第2ハーフカット目盛りを有し、
前記第1切断部は、所定のフルカットタイミングで前記印刷媒体をフルカットし、
前記第2切断部は、所定のハーフカットタイミングで前記印刷媒体をハーフカットし、
前記制御部は、
前記第1フルカット目盛り、前記第2フルカット目盛り、前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りが印刷された後、前記第1切断部により前記所定のフルカットタイミングで前記印刷媒体の前記第1フルカット目盛り及び前記第2フルカット目盛りの双方をフルカットし、前記第2切断部により前記所定のハーフカットタイミングで前記印刷媒体の前記第1ハーフカット目盛り及び前記第2ハーフカット目盛りの双方をハーフカットする
ことを特徴とする請求項
1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記印刷媒体のうち前記第1切断部によりフルカットされた第1切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1フルカット目盛りに対する前記第1切断位置に応じた第1フルカットパラメータ、及び、前記第2フルカット目盛りに対する前記第1切断位置に応じた第2フルカットパラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の所定の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体をフルカットする場合の前記所定のフルカットタイミングとの少なくとも一方である第1対象タイミングを調整し、
前記印刷媒体のうち前記第2切断部によりハーフカットされた第2切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1ハーフカット目盛りに対する前記第2切断位置に応じた第1ハーフカットパラメータ、及び、前記第2ハーフカット目盛りに対する前記第2切断位置に応じた第2ハーフカットパラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体をハーフカットする場合の前記所定のハーフカットタイミングとの少なくとも一方である第2対象タイミングを調整する
ことを特徴とする請求項
7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1ハーフカット目盛り及び前記第2ハーフカット目盛りを最初に印刷し、次に、前記第1フルカット目盛り及び前記第2フルカット目盛りを印刷することを特徴とする請求項
7又は
8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、
動作モードの設定を受け付け、
受け付けられた前記動作モードに基づき、
前記第1フルカット目盛り、前記第2フルカット目盛り、前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りを印刷する第1動作モードと、
前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りを印刷する第2動作モードと
の何れかで動作することを特徴とする請求項
7から
9の何れかに記載の印刷装置。
【請求項11】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記印刷媒体に、所定の印刷タイミングで印刷を行う印刷部と、
前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向下流に配置され、前記印刷部により印刷された後、前記搬送部により搬送された前記印刷媒体を、所定の切断タイミングで切断する切断部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記切断部を制御する制御部と、
前記制御部が実行可能なプログラムを記憶する記憶部と
を備えた印刷装置であって、
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、
前記印刷部により、第1目盛り及び第2目盛りを、前記第1目盛りの少なくとも一部と前記第2目盛りの少なくとも一部が、前記印刷媒体の搬送方向において互いに同一位置であり、且つ、前記搬送方向と直交する直交方向において互いに相違する位置になるように印刷し、
前記制御部は、
前記印刷媒体のうち所定の印刷領域に、前記印刷部により印刷を行い、
前記印刷媒体のうち前記印刷領域と異なる余白領域に、前記第1目盛り及び前記第2目盛りを印刷する
ことを特徴とす
る印刷装置。
【請求項12】
前記第1目盛り、及び、前記第2目盛りは、それぞれ、前記搬送方向に等間隔に配列された複数の線分を有し、
前記制御部は、
前記対象タイミングの調整後、前記複数の線分の前記搬送方向の間隔が前記第1目盛りよりも小さい第3目盛り、及び、前記複数の線分の前記搬送方向の間隔が前記第2目盛りよりも小さい第4目盛りを更に印刷し、
前記第3目盛り及び前記第4目盛りが印刷された後、調整された前記対象タイミングで前記印刷媒体の前記第3目盛り及び前記第4目盛りの双方を切断し、
前記印刷媒体のうち前記切断部により切断された切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第3目盛りに対する前記切断位置に応じた第3パラメータ、及び、前記第4目盛りに対する前記切断位置に応じた第4パラメータに基づき、調整された前記対象タイミングを再度調整する
ことを特徴とする請求項
1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状の印刷媒体を搬送しながら印刷し、且つ、印刷された印刷媒体を切断機構により切断できる印刷装置が知られている。このような印刷装置において、寸法誤差などによって切断機構の設計上の取り付け位置と実際の取り付け位置とが相違する場合がある。この場合、印刷装置に設定された切断位置に対して実際の切断位置がずれる可能性がある。これに対し、切断位置のずれを補正する為の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1は、ロール紙に対する印刷が可能なプリンタを開示する。プリンタは、ロール紙の印刷部分を切断するカッタを備える。プリンタは、印刷終了位置と同じ位置をカッタにより切断する為に、次の方法で切断位置を補正する。プリンタは、主走査方向に並んだ複数の升目、各升目に対応づけられた数字、及び、各升目の内部において主走査方向に延びる境界線を含むパターンを、ロール紙に印刷する。各升目において境界線により分断される2つの部分の面積の比率は、複数の升目毎に相違する。プリンタは、パターンの印刷後、カッタによりロール紙を切断する。ユーザは、カッタによる切断位置と一致する境界線を含む升目に対応する数字を調整データとして特定し、ホストコンピュータに入力する。ホストコンピュータは、入力された調整データに基づいて補正値を算出し、プリンタに送信する。プリンタは、受信した補正値に基づいてロール紙の送り量を特定する。これにより、プリンタは、カッタの取り付け位置のばらつきを補正し、印刷終了位置と同じ位置でロール紙を切断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
切断機構による切断が、印刷媒体の搬送方向と直交する直交方向に対して傾斜する可能性がある。この場合、特許文献1に記載された方法で切断位置の補正が行われると、切断位置の傾斜方向や傾斜角度に応じて調整データが変動する可能性がある。従って、印刷装置に設定された切断位置と実際の切断位置とを精度良く一致させることができない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、切断機構による切断が印刷媒体の搬送方向と直交する直交方向に対して傾斜した場合でも、設定された切断位置と実際の切断位置とを精度良く一致させることができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷装置は、印刷媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記印刷媒体に、所定の印刷タイミングで印刷を行う印刷部と、前記印刷部よりも前記印刷媒体の搬送方向下流に配置され、前記印刷部により印刷された後、前記搬送部により搬送された前記印刷媒体を、所定の切断タイミングで切断する切断部と、前記搬送部、前記印刷部、及び前記切断部を制御する制御部と、前記制御部が実行可能なプログラムを記憶する記憶部とを備えた印刷装置であって、前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、前記印刷部により、第1目盛り及び第2目盛りを、前記第1目盛りの少なくとも一部と前記第2目盛りの少なくとも一部が、前記印刷媒体の搬送方向において互いに同一位置であり、且つ、前記搬送方向と直交する直交方向において互いに相違する位置になるように印刷することを特徴とする。
【0008】
本発明において、印刷装置は、切断部により切断される切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、傾斜を考慮した適切な切断位置を、第1目盛り及び第2目盛りに対する切断位置に基づいて特定できるので、切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。
【0009】
本発明において、制御部は、更に、前記切断部により、前記所定の切断タイミングで前記印刷媒体の前記第1目盛り及び前記第2目盛りの双方を切断し、前記切断部により切断された切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1目盛り上の前記切断位置に応じた第1パラメータ、及び、前記第2目盛り上の前記切断位置に応じた第2パラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の前記所定の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体を切断する場合の前記所定の切断タイミングとの少なくとも一方である対象タイミングを調整してもよい。この場合、印刷装置は、第1目盛り上の切断位置に応じた第1パラメータ、及び、第2目盛り上の切断位置に応じた第2パラメータに基づき、所定の印刷タイミングと所定の切断タイミングとの少なくとも一方を調整する。この場合、切断部により切断される切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、傾斜を考慮した適切な切断位置を特定し、切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。
【0010】
本発明において、前記制御部は、前記第1パラメータに対応する前記第1目盛り上の切断位置と、前記第2パラメータに対応する前記第2目盛り上の切断位置の平均値に基づいて、前記対象タイミングを調整してもよい。印刷装置は、直交方向に対する切断位置の傾斜を考慮した適切な切断位置を、容易に特定できる。
【0011】
本発明において、前記制御部は、前記第1パラメータに対応する前記第1目盛り上の切断位置と、前記第2パラメータに対応する前記第2目盛り上の切断位置とを結ぶ線分に基づいて、前記時間を調整してもよい。印刷装置は、直交方向に対する切断位置の傾斜を考慮した適切な切断位置を、より精度良く特定できる。
【0012】
本発明において、前記第1目盛り、及び、前記第2目盛りは、それぞれ、前記搬送方向に等間隔に配列された複数の線分を有してもよい。印刷装置は、線分に対する切断位置をパラメータとしてユーザから取得することによって、適切な切断位置を特定し、対象タイミングを調整できる。
【0013】
本発明において、前記線分は、更に、前記直交方向に等間隔に配列されてもよい。印刷装置は、線分に対する切断位置をユーザが特定する場合の精度を向上させることができる。
【0014】
本発明において、前記第1目盛りには、更に、前記複数の線分の近傍に配置された第1正数及び第1負数が含まれ、前記第2目盛りには、更に、前記複数の線分の近傍に配置された第2正数及び第2負数が含まれてもよい。印刷装置は、第1目盛り及び第2目盛りのそれぞれに対する切断位置に応じたパラメータを、第1正数、第1負数、第2正数、及び第2負数に基づいてユーザに選択させることができる。従って、印刷装置は、ユーザによる第1パラメータ及び第2パラメータの特定を容易化できる。
【0015】
本発明において、前記切断部は、前記印刷媒体をフルカットすることが可能な第1切断部と、前記印刷媒体をハーフカットすることが可能な第2切断部とを有し、前記第1目盛りは、前記第1切断部に対応する第1フルカット目盛り、及び、前記第2切断部に対応する第1ハーフカット目盛りを有し、前記第2目盛りは、前記第1切断部に対応する第2フルカット目盛り、及び、前記第2切断部に対応する第2ハーフカット目盛りを有し、前記第1切断部は、所定のフルカットタイミングで前記印刷媒体をフルカットし、前記第2切断部は、所定のハーフカットタイミングで前記印刷媒体をハーフカットし、前記制御部は、前記第1フルカット目盛り、前記第2フルカット目盛り、前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りが印刷された後、前記第1切断部により前記所定のフルカットタイミングで前記印刷媒体の前記第1フルカット目盛り及び前記第2フルカット目盛りの双方をフルカットし、前記第2切断部により前記所定のハーフカットタイミングで前記印刷媒体の前記第1ハーフカット目盛り及び前記第2ハーフカット目盛りの双方をハーフカットしてもよい。印刷装置は、第1切断部によりフルカットされる第1切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、適切な第1切断位置を特定し、第1切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。又、第2切断部によりハーフカットされる第2切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、適切な第2切断位置を特定し、第2切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。
【0016】
本発明において、制御部は、前記印刷媒体のうち前記第1切断部によりフルカットされた第1切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1フルカット目盛りに対する前記第1切断位置に応じた第1フルカットパラメータ、及び、前記第2フルカット目盛りに対する前記第1切断位置に応じた第2フルカットパラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の所定の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体をフルカットする場合の前記所定のフルカットタイミングとの少なくとも一方である第1対象タイミングを調整し、前記印刷媒体のうち前記第2切断部によりハーフカットされた第2切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第1ハーフカット目盛りに対する前記第2切断位置に応じた第1ハーフカットパラメータ、及び、前記第2ハーフカット目盛りに対する前記第2切断位置に応じた第2ハーフカットパラメータに基づき、次に前記印刷媒体に印刷する場合の印刷タイミングと、次に前記印刷媒体をハーフカットする場合の前記所定のハーフカットタイミングとの少なくとも一方である第2対象タイミングを調整してもよい。印刷装置は、第1切断部によりフルカットされる第1切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、適切な第1切断位置を特定し、第1切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。又、第2切断部によりハーフカットされる第2切断位置が直交方向に対して傾斜した場合でも、適切な第2切断位置を特定し、第2切断部が印刷媒体を切断できるように調整できる。
【0017】
本発明において、前記制御部は、前記第1ハーフカット目盛り及び前記第2ハーフカット目盛りを最初に印刷し、次に、前記第1フルカット目盛り及び前記第2フルカット目盛りを印刷してもよい。フルカット目盛りが最初に印刷され、次に、ハーフカット目盛りが印刷された場合、フルカットが実行されることに応じて印刷媒体が切り離された後、更に印刷媒体がハーフカットされる。この場合、フルカットが実行されてからハーフカットが実行されるまでの間、印刷媒体が搬送されたときに、印刷媒体の排出口に印刷媒体が詰まってしまう可能性がある。これに対し、ハーフカット目盛りが最初に印刷され、次に、フルカット目盛りが印刷される場合、ハーフカットが実行された後、フルカットが実行される。この場合、フルカットが実行されるまでの間、印刷媒体は切り離されないので、印刷媒体の排出口に印刷媒体が詰まってしまう可能性を軽減できる。
【0018】
本発明において、前記制御部は、動作モードの設定を受け付け、受け付けられた前記動作モードに基づき、前記第1フルカット目盛り、前記第2フルカット目盛り、前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りを印刷する第1動作モードと、前記第1ハーフカット目盛り、及び前記第2ハーフカット目盛りを印刷する第2動作モードと
の何れかで動作してもよい。印刷装置は、フルカットのみ実行されることで印刷媒体が切断され、印刷媒体の短い切れ端が生成されることを防止できる。
【0019】
本発明において、前記制御部は、前記印刷媒体のうち所定の印刷領域に、前記印刷部により印刷を行い、前記印刷媒体のうち前記印刷領域と異なる余白領域に、前記第1目盛り及び前記第2目盛りを印刷してもよい。印刷媒体は、印刷媒体の余白領域を有効活用して第1目盛り及び第2目盛りを印刷し、対象タイミングを調整する為に使用できる。
【0020】
本発明において、前記第1目盛り、及び、前記第2目盛りは、それぞれ、前記搬送方向に等間隔に配列された複数の線分を有し、前記制御部は、前記対象タイミングの調整後、前記複数の線分の前記搬送方向の間隔が前記第1目盛りよりも小さい第3目盛り、及び、前記複数の線分の前記搬送方向の間隔が前記第2目盛りよりも小さい第4目盛りを更に印刷し、前記第3目盛り及び前記第4目盛りが印刷された後、調整された前記対象タイミングで前記印刷媒体の前記第3目盛り及び前記第4目盛りの双方を切断し、前記印刷媒体のうち前記切断部により切断された切断位置に応じた2つのパラメータであって、前記第3目盛りに対する前記切断位置に応じた第3パラメータ、及び、前記第4目盛りに対する前記切断位置に応じた第4パラメータに基づき、調整された前記対象タイミングを再度調整してもよい。印刷装置は、第1パターン及び第2パターンに基づいて調整された対象タイミングを、第3パターン及び第4パターンに基づいて再度調整する。この場合、印刷装置は、対象タイミングの調整精度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】印刷装置1の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】テープ50に印刷される目盛り群D1、D2の説明図である。
【
図6】テープ50がハーフカット及びフルカットされた具体例を示す図である。
【
図7】テープ50に印刷される目盛り群D3、D4の説明図である。
【
図9】テープ50がハーフカット及びフルカットされた具体例を示す図である。
【
図10】テープ50に印刷される目盛り群D5の説明図である。
【
図11】所定のハーフカットタイミングの特定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<印刷装置1の概要>
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。印刷装置1は、印刷媒体であるテープ50(
図2参照)にオブジェクト(文字、文字列、記号、数字、図形、絵文字等)を印刷してラベルを作成可能である。以下の説明では、
図1の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、及び下側を、それぞれ、印刷装置1の右側、左側、前側、後側、上側、及び下側とする。
【0023】
図1に示すように、印刷装置1は、直方体状の筐体である本体カバー2を備える。本体カバー2の上面前部には、文字列等を入力するためのキーボード3が設けられる。キーボード3は、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等を含む。キーボード3の後側には、各種情報を表示するディスプレイ5が設けられる。ディスプレイ5の後側には、本体カバー2に対して開閉可能なカセットカバー6が設けられる。本体カバー2の左面後部には、印刷されたテープ50を本体カバー2の外部に排出する排出口9が設けられる。
【0024】
図2に示すように、本体カバー2の内部におけるカセットカバー6(
図1参照)の下側には、装着部8が設けられる。装着部8は、テープカセット30の形状に対応する凹部であり、テープカセット30を着脱可能な部位である。印刷装置1は、装着部8に装着されたテープカセット30を用いて、キーボード3を介して入力されたオブジェクトの印刷を実行する。
【0025】
テープカセット30は、テープ50及びインクリボン60等を収容する箱状のカセットケース33を備える。テープ50は、基材と、基材の一方の面に粘着剤によって貼付された剥離紙とが積層されて形成される。印刷前のテープ50が巻回されたテープスプール40は、カセットケース33内の左後部で回転可能に支持される。未使用のインクリボン60が巻回されたリボンスプール42は、カセットケース33内の右前部で回転可能に支持される。リボン巻取スプール44は、テープスプール40とリボンスプール42との間で回転可能に支持される。リボン巻取スプール44は、リボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出すとともに、印刷に使用されたインクリボン60を巻き取る。テープ駆動ローラ46は、カセットケース33内の左前角部で回転可能に支持されて、テープスプール40から印刷前のテープ50を引き出す。これにより、テープ50は、所定の搬送経路Pに沿って搬送される。以下、テープ50の搬送経路Pに沿った方向を、搬送方向という。搬送方向のうち、テープスプール40に近接する側を上流側といい、上流側と反対側を下流側という。
【0026】
装着部8には、リボン巻取軸44A、テープ駆動軸46A、サーマルヘッド10、保持アーム14等が設けられる。リボン巻取軸44Aは、リボン巻取スプール44に挿入され、テープ送りモータ23(
図3参照)の駆動によって回転する。テープ駆動軸46Aは、テープ駆動ローラ46に挿入され、テープ送りモータ23の駆動によって伝達機構(図示略)を介して回転する。サーマルヘッド10は、テープ駆動軸46Aの右側に配置される。印刷装置1は、サーマルヘッド10の複数の発熱素子を発熱させることによって、未使用のインクリボン60を用いてテープ50に印刷を行う。
【0027】
保持アーム14は左右方向に延び、右端にて揺動可能に支持される。保持アーム14は、本体カバー2の開閉に応じて揺動し、左端が後方に移動した印刷位置と、左端が前方に移動した退避位置との間で揺動可能である。保持アーム14は、プラテンローラ12及び挟持ローラ13を回転可能に支持する。保持アーム14が印刷位置に配置された場合、プラテンローラ12は、サーマルヘッド10との間でテープ50及びインクリボン60を互いに圧接する。挟持ローラ13は、テープ駆動ローラ46との間にテープ50を挟持する。
【0028】
排出口9の近傍に、サーマルヘッド10を用いて印刷されたテープ50を切断するための第1切断部17及び第2切断部18が設けられる。第1切断部17及び第2切断部18は、それぞれ、テープ50の搬送方向と直交する方向である直交方向と平行に延びる切断刃を有する。切断刃は、カットモータ24(
図3参照)により駆動する。第1切断部17は、サーマルヘッド10に対してテープ50の搬送方向の下流側に設けられる。第1切断部17はテープ50をフルカットする。フルカットは、テープ50の基材及び剥離紙を厚さ方向の全域に亘って切断する切断方法である。第2切断部18は、第1切断部17に対してテープ50の搬送方向の下流側に設けられる。第2切断部18は、テープ50をハーフカットする。ハーフカットは、テープ50の基材のみ厚さ方向の全域に亘って切断し、剥離紙を切断しない切断方法である。
【0029】
<印刷装置1の電気的構成>
図3を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は制御回路部90を備える。制御回路部90は、CPU91、ROM92、CGROM93、RAM94、フラッシュメモリ95、及び入出力インタフェース97を備え、これらがデータバスを介して接続される。CPU91は、リボン巻取軸44A、テープ駆動軸46A、サーマルヘッド10(
図2参照)等の駆動を制御することにより、印刷装置1を統括制御する。ROM92は、CPU91が各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。CGROM93は、内蔵フォント等を記憶する。RAM94は、テキストメモリ、印刷バッファ等を記憶する。
【0030】
フラッシュメモリ95は、CPU91が実行可能な各種プログラム等を記憶する。又、フラッシュメモリ95は、印刷データ、フルカット時間Tf、ハーフカット時間Thを記憶する。印刷データは、オブジェクトを印刷するために発熱されるサーマルヘッド10の複数の発熱素子のドットパターンを規定する。フルカット時間Tfは、テープ50がフルカットされる場合において、オブジェクトの印刷が完了してから第1切断部17によりテープ50がフルカットされるまでの間の時間を規定する。以下、フルカット時間Tfに応じて特定されるフルカットのタイミングを、所定のフルカットタイミングという。ハーフカット時間Thは、テープ50がハーフカットされる場合において、オブジェクトの印刷が完了してから第2切断部18によりテープ50がハーフカットされるまでの間の時間を規定する。以下、ハーフカット時間Thに応じて特定されるハーフカットのタイミングを、所定のハーフカットタイミングという。
【0031】
入出力インタフェース97には、キーボード3、液晶駆動回路(LCDC)25、駆動回路26、27、28が接続される。LCDC25は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示略)を有する。駆動回路26は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路27は、テープ送りモータ23を駆動するための電子回路である。駆動回路28は、カットモータ24を駆動するための電子回路である。
【0032】
<印刷動作の概要>
装着部8にテープカセット30が装着された後、本体カバー2が閉塞される。保持アーム14が退避位置から印刷位置に移動する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド10との間にテープ50及びインクリボン60を挟持する。インクリボン60は、テープ50とサーマルヘッド10との間に挟まれる。挟持ローラ13は、テープ駆動ローラ46との間にテープ50を挟持する。
【0033】
CPU91は、駆動回路27を介してテープ送りモータ23を駆動する。これによって、リボン巻取軸44A及びテープ駆動軸46Aは連動して回転する。
図2に示すように、リボン巻取軸44Aは、リボン巻取スプール44を矢印Y1の方向に回転させる。インクリボン60は、リボンスプール42から繰り出される。又、テープ駆動軸46Aは、テープ駆動ローラ46を矢印Y2の方向に回転させる。テープ50は、テープスプール40から繰り出され、搬送経路Pに沿って上流側から下流側に向けて搬送される。
【0034】
プラテンローラ12は、テープ駆動ローラ46によりテープ50が搬送されることに応じて回転する。プラテンローラ12は、繰り出されたテープ50をサーマルヘッド10側に押し付ける。CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶された印刷データに基づき、サーマルヘッド10の複数の発熱素子に対して通電するタイミング(以下、「所定の印刷タイミング」という。)を特定する。CPU91は、特定された所定の印刷タイミングに基づいて、複数の発熱素子を通電により発熱させる。これにより、インクリボン60のインクがテープ50に転写され、オブジェクトが形成される。以下、サーマルヘッド10の複数の発熱素子が通電により発熱することを、サーマルヘッド10が加熱されるという。インクリボン60のインクは、テープ駆動ローラ46により搬送経路Pに沿って上流側から下流側に搬送されるテープ50に繰り返し転写される。これによって、テープ50にオブジェクトが印刷される。
【0035】
挟持ローラ13は、テープ駆動ローラ46によりテープ50が搬送されることに応じて回転する。テープ駆動ローラ46及び挟持ローラ13は、オブジェクトが印刷されたテープ50を、搬送方向の下流側に設けられた排出口9に向けて搬送する。
【0036】
テープ50がフルカットされる場合、CPU91は、オブジェクトの印刷後、所定のフルカットタイミングが到来した場合、駆動回路28を介してカットモータ24を駆動する。カットモータ24が所定方向に回転した時、第1切断部17は、オブジェクトが印刷されたテープ50をフルカットし、テープカセット30から切り離す。一方、テープ50がハーフカットされる場合、CPU91は、オブジェクトの印刷後、所定のハーフカットタイミングが到来した場合、駆動回路28を介してカットモータ24を駆動する。カットモータ24が所定方向と反対方向に回転した時、第2切断部18は、オブジェクトが印刷されたテープ50をハーフカットする。フルカット又はハーフカットされたテープ50は、排出口9から排出される。使用済みのインクリボン60は、リボン巻取スプール44に巻き取られる。
【0037】
<第1実施形態>
図4、
図5を参照し、本発明の第1実施形態について説明する。
図4(a)は、第1実施形態において第1動作モードで動作する印刷装置1がテープ50に印刷する目盛り群D1を示す。
図4(b)は、第1実施形態において第2動作モードで動作する印刷装置1がテープ50に印刷する目盛り群D2を示す。CPU91は、テープ50の領域のうち、ユーザが指定したオブジェクトが印刷される印刷領域50Aと異なる余白領域50B、より詳細には、印刷領域50Aに対して上流側の余白領域50Bに、目盛り群D1、D2を印刷する。目盛り群D1、D2は、第1切断部17及び第2切断部18によるテープ50の実際の切断位置と、設計上の切断位置との間にずれが生じた場合、このずれを補正するために用いられる。
【0038】
図4(a)を参照し、目盛り群D1について説明する。目盛り群D1は、第1ハーフカット目盛り71、第2ハーフカット目盛り72、第1フルカット目盛り81、第2フルカット目盛り82を有する。以下、第1ハーフカット目盛り71及び第2ハーフカット目盛り72を総称する場合、ハーフカット目盛り7Aという。第1フルカット目盛り81及び第2フルカット目盛り82を総称する場合、フルカット目盛り8Aという。
【0039】
第1ハーフカット目盛り71は、搬送方向に等間隔に配列され且つ直交方向に延びる複数の第1線分71Mを有する。複数の第1線分71Mは、テープ50のうち直交方向の一方側の端部の近傍に配置される。第2ハーフカット目盛り72は、搬送方向に等間隔に配列され且つ直交方向に延びる複数の第1線分72Mを有する。複数の第1線分72Mは、テープ50のうち直交方向の他方側の端部の近傍に配置される。即ち、複数の第1線分71M、72Mは、直交方向において互いに相違する。又、複数の第1線分71Mのそれぞれと、複数の第1線分72Mのそれぞれとは、搬送方向において同一位置に配置される。
【0040】
複数の第1線分71M、72Mの本数は、それぞれ11本である。複数の第1線分71M、72Mのうち最も下流側の線分、最も上流側の線分、及び、搬送方向中央の線分は、他の線分によりも直交方向の長さが長い。複数の第1線分71Mのうち最も下流側の線分に対し、直交方向の他方側の近傍に、符号及び数字の組合せ「+5」(以下、第1正数71Pという。)が配置される。複数の第1線分71Mのうち最も上流側の線分に対し、直交方向の他方側の近傍に、符号及び数字の組合せ「-5」(以下、第1負数71Nという。)が配置される。第1正数71P及び第1負数71Nにより、11本の第1線分71Mのそれぞれに対し、搬送方向下流側から上流側に向けて順番に、数字「+5」「+4」「+3」「+2」「+1」「0」「-1」「-2」「-3」「-4」「-5」が対応付けられている。
【0041】
複数の第1線分72Mのうち最も下流側の線分に対し、直交方向の一方側の近傍に、符号及び数字の組合せ「+5」(以下、第2正数72Pという。)が配置される。複数の第1線分72Mのうち最も上流側の線分に対し、直交方向の一方側の近傍に、符号及び数字の組合せ「-5」(以下、第2負数72Nという。)が配置される。第2正数72P及び第2負数72Nにより、11本の第1線分72Mのそれぞれに対し、搬送方向下流側から上流側に向けて順番に、数字「+5」「+4」「+3」「+2」「+1」「0」「-1」「-2」「-3」「-4」「-5」が対応付けられている。
【0042】
複数の第1線分71M、72Mのうち搬送方向中央の線分に対応する数字は、「0」である。この線分の搬送方向の位置は、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thに応じて特定される所定のハーフカットタイミングで第2切断部18によりハーフカットされる設計上の位置と一致するように調整される。
【0043】
第1ハーフカット目盛り71は、直交方向に等間隔に配置され且つ搬送方向に延びる複数の第2線分71Lを更に有する。複数の第2線分71Lは、テープ50の直交方向中央の点線、複数の第1線分71Mのそれぞれの直交方向の一方側の端部を結ぶ点線、及び、この2つの点線の間を直交方向に4等分する3本の点線を有する。第2ハーフカット目盛り72は、直交方向に等間隔に配置され且つ搬送方向に延びる複数の第2線分72Lを更に有する。複数の第2線分72Lは、テープ50の直交方向中央の点線、複数の第1線分72Mのそれぞれの直交方向の他方側の端部を結ぶ点線、及び、この2つの点線の間を直交方向に4等分する3本の点線を有する。複数の第2線分71Lのうちテープ50の直交方向中央に配置される線分と、複数の第2線分72Lのうちテープ50の直交方向中央に配置される線分とのそれぞれは重複する。
【0044】
第1ハーフカット目盛り71の複数の第2線分71Lに対して搬送方向上流側に、後述する第1ハーフカットパラメータの入力を促す文字列が配置される。第2ハーフカット目盛り72の複数の第2線分72Lに対して搬送方向上流側に、後述する第2ハーフカットパラメータの入力を促す文字列が配置される。
【0045】
第1フルカット目盛り81は、第1ハーフカット目盛り71に対して搬送方向の上流側に設けられる。第1フルカット目盛り81の構成は、第1ハーフカット目盛り71と同一である。第1フルカット目盛り81の複数の第1線分81M、第1正数81P、第1負数81N、及び、複数の第2線分81Lは、それぞれ、第1ハーフカット目盛り71の複数の第1線分71M、第1正数71P、第1負数71N、及び、複数の第2線分71Lに対応する。第2フルカット目盛り82は、第2ハーフカット目盛り72に対して搬送方向の上流側に設けられる。第2フルカット目盛り82の構成は、第2ハーフカット目盛り72と同一である。第2フルカット目盛り82の複数の第1線分82M、第2正数82P、第2負数82N、及び、複数の第2線分82Lは、それぞれ、第2ハーフカット目盛り72の複数の第1線分72M、第2正数72P、第2負数72N、及び、複数の第2線分72Lに対応する。
【0046】
第1フルカット目盛り81の複数の第1線分81M及び複数の第2線分81Lと、第2フルカット目盛り82の複数の第1線分82M及び複数の第2線分82Lの位置関係は、第1ハーフカット目盛り71の複数の第1線分71M及び複数の第2線分71Lと、第2ハーフカット目盛り72の複数の第1線分72M及び複数の第2線分72Lの位置関係に対応する。
【0047】
複数の第1線分81M、82Mのうち搬送方向中央の線分に対応する数字は、「0」である。この線分の搬送方向の位置は、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfに応じて特定される所定のフルカットタイミングで第1切断部17によりフルカットされる設計上の位置と一致するように調整される。
【0048】
図4(b)は、第1実施形態において第2動作モードで動作する印刷装置1がテープ50に印刷する目盛り群D2を示す。目盛り群D2が目盛り群D1(
図4(a)参照)と異なる点は、ハーフカット目盛り7A(第1ハーフカット目盛り71及び第2ハーフカット目盛り72)のみで構成され、フルカット目盛り8A(第1フルカット目盛り81及び第2フルカット目盛り82)を有さない点である。
【0049】
<第1メイン処理>
図5を参照し、第1実施形態においてCPU91により実行される第1メイン処理について説明する。第1メイン処理は、印刷を開始する指示がキーボード3を介して入力された場合、フラッシュメモリ95に記憶されたプログラムをCPU91が読み出して実行することにより開始される。
【0050】
はじめにCPU91は、第1動作モード又は第2動作モードで動作する指示がキーボード3を介して設定されているか判定する(S11)。CPU91は、第1動作モードで動作する指示が設定されていると判定された場合(S11:YES)、処理をS13に進める。CPU91は、設定に応じて第1動作モードで動作するために、S13~S23の処理を実行する。第1動作モードは、ハーフカット目盛り7A及びフルカット目盛り8A(
図4(a)参照)をテープ50に印刷する動作モードである。一方、CPU91は、第2動作モードで動作する指示が設定されていると判定された場合(S11:NO)、処理をS31に進める。CPU91は、設定に応じて第2動作モードで動作するために、S31~S37の処理を実行する。第2動作モードは、ハーフカット目盛り7A(
図4(b)参照)のみをテープ50に印刷する動作モードである。第1動作モード又は第2動作モードでの動作の終了後、CPU91は第1メイン処理を終了させる。
【0051】
CPU91は、第1動作モードで動作する場合、はじめに、テープ送りモータ23を回転駆動してテープ50の搬送を開始する。次いで、CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶された印刷データに基づいて特定される印刷タイミングでサーマルヘッド10を加熱することにより、テープ50の印刷領域50A(
図4参照)にオブジェクトを印刷する。CPU91は、印刷領域50Aに対するオブジェクトの印刷終了後、最初に、ハーフカット目盛り7A(
図4(a)参照)を余白領域50Bに印刷する(S13)。次いで、CPU91は、余白領域50Bのうちハーフカット目盛り7Aに対して上流側に、フルカット目盛り8A(
図4(a)参照)を印刷する(S15)。
【0052】
CPU91は、オブジェクトの印刷後、所定のハーフカットタイミングが到来した場合、テープ50の搬送を一時的に停止した後、第2切断部18によりテープ50をハーフカットする(S17)。これにより、S13の処理によってテープ50に印刷された第1ハーフカット目盛り71及び第2ハーフカット目盛り72の双方がハーフカットされる。CPU91は、テープ50の搬送を再開する。次いで、CPU91は、所定のフルカットタイミングが到来した場合、テープ50の搬送を一時的に停止させた後、第1切断部17によりテープ50をフルカットする(S19)。これにより、S15の処理によってテープ50に印刷された第1フルカット目盛り81及び第2フルカット目盛り82の双方がフルカットされる。
【0053】
図6は、上記の処理によってハーフカット及びフルカットされたテープ50の状態を模式的に示す。直線G1は、第2切断部18によりハーフカットされた位置(以下、第2切断位置という。)の一例を示す。直線G2は、第1切断部17によりフルカットされた位置(以下、第1切断位置という。)の一例を示す。
【0054】
ユーザは、テープ50の第1ハーフカット目盛り71の複数の第1線分71Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する数字「+1」を特定する。又、ユーザは、テープ50の第2ハーフカット目盛り72の複数の第1線分72Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する数字「-2」を特定する。以下、第1ハーフカット目盛り71の複数の第1線分71Mのうち第2切断位置と重複する線分に対応する数字を、第1ハーフカットパラメータという。第2ハーフカット目盛り72の複数の第1線分72Mのうち第2切断位置と重複する線分に対応する数字を、第2ハーフカットパラメータという。第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータを総称する場合、ハーフカットパラメータという。
【0055】
又、ユーザは、テープ50の第1フルカット目盛り81の複数の第1線分81Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する数字「0」を特定する。又、ユーザは、テープ50の第2フルカット目盛り82の複数の第1線分82Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する数字「+3」を特定する。以下、第1フルカット目盛り81の複数の第1線分81Mのうち第1切断位置と重複する線分に対応する数字を、第1フルカットパラメータという。第2フルカット目盛り82の複数の第1線分82Mのうち第1切断位置と重複する線分に対応する数字を、第2フルカットパラメータという。第1フルカットパラメータ及び第2フルカットパラメータを総称する場合、フルカットパラメータという。
【0056】
ユーザは、上記のように特定したハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを、キーボード3を介して印刷装置1に入力する。
図5に示すように、印刷装置1のCPU91は、入力されたハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを取得する(S21)。
【0057】
CPU21は、取得された第1ハーフカットパラメータに基づき、対応する第1ハーフカット目盛り71の第1線分71Mの位置を、第2切断部18による切断位置として特定する。同様に、CPU91は、取得された第2ハーフカットパラメータに基づき、対応する第2ハーフカット目盛り72の第1線分72Mの位置を、第2切断部18による切断位置として特定する。CPU91は、特定した2つの切断位置の平均位置を、第2切断部18によりハーフカットされる搬送方向の位置として決定する。例えば
図6に示す例の場合、CPU91は、第1ハーフカットパラメータとして「+1」を取得し、第2ハーフカットパラメータとして「-2」を取得しているので、これらの平均値(+1-2)/2=-0.5に対応する搬送方向の位置を、第2切断位置の平均位置として決定する。
【0058】
CPU91は、決定した第2切断位置の平均位置で第2切断部18によりハーフカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを補正する(S23)。これにより、次に印刷装置1が第2切断部18によりテープ50をハーフカットする場合のタイミングである所定のハーフカットタイミングが調整される。例えば
図6に示す例では、平均値「-0.5」に対応する搬送方向の位置が、第2切断位置の平均位置として決定されている。このため、CPU91は、テープ50のうち「0」に対応する第1線分72Mの位置よりも上流側で第2切断部18によりハーフカットされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを減少させる。これにより、次に印刷装置1が第2切断部18によりハーフカットする場合の所定のハーフカットタイミングは、補正前よりも速くなり、第2切断位置の平均位置(平均値「-0.5」に対応する搬送方向の位置)でテープ50がハーフカットされることになる。
【0059】
同様に、CPU21は、取得された第1フルカットパラメータに基づき、対応する第1フルカット目盛り81の第1線分81Mの位置を、第1切断部17による切断位置として特定する。同様に、CPU91は、取得された第2フルカットパラメータに基づき、対応する第2フルカット目盛り82の第1線分82Mの位置を、第1切断部17による切断位置として特定する。CPU91は、特定した2つの切断位置の平均位置を、第1切断部17によりフルカットされる搬送方向の位置として決定する。例えば
図6に示す例の場合、CPU91は、第1フルカットパラメータとして「0」を取得し、第2フルカットパラメータとして「+3」を取得しているので、これらの平均値(0+3)/2=+1.5に対応する搬送方向の位置を、第1切断位置の平均位置として決定する。
【0060】
CPU91は、決定した第1切断位置の平均位置で第1切断部17によりフルカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfを補正する(S23)。これにより、次に印刷装置1が第1切断部17によりテープ50をフルカットする場合のタイミングである所定のフルカットタイミングが調整される。例えば
図6に示す例では、平均値「+1.5」に対応する搬送方向の位置が、第1切断位置の平均位置として決定されている。このため、CPU91は、テープ50のうち「0」に対応する第1線分82Mの位置よりも下流側で第1切断部17によりフルカットされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfを増加させる。これにより、次に印刷装置1が第1切断部17によりテープ50をフルカットする場合の所定のフルカットタイミングは、補正前よりも遅くなり、第1切断位置の平均位置(平均値「+1.5」に対応する搬送方向の位置)でテープ50がフルカットされることになる。CPU91は、第1メイン処理を終了させる。
【0061】
一方、CPU91は、第2動作モードで動作する場合(S11:NO)、はじめに、テープ送りモータ23を回転駆動してテープ50の搬送を開始する。次いで、CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶された印刷データに基づいて特定される印刷タイミングでサーマルヘッド10を加熱することにより、テープ50の印刷領域50Aにオブジェクトを印刷する。CPU91は、印刷領域50Aに対するオブジェクトの印刷終了後、ハーフカット目盛り7A(
図4参照)を余白領域50Bに印刷する(S31)。第1動作モードと異なり、CPU91は、フルカット目盛り8A(
図4参照)を印刷しない。CPU91は、オブジェクトの印刷後、所定のハーフカットタイミングが到来した場合、第2切断部18によりテープ50をハーフカットする(S33)。これにより、S13の処理によってテープ50に印刷された第1ハーフカット目盛り71及び第2ハーフカット目盛り72の双方がハーフカットされる。CPU91は、テープ送りモータ23を停止させる。これにより、テープ50の搬送は停止される。
【0062】
ユーザは、テープ50の第1ハーフカット目盛り71の複数の第1線分71Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する数字を、第1ハーフカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第2ハーフカット目盛り72の複数の第1線分72Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する数字を、第2ハーフカットパラメータとして特定する。ユーザは、特定した第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータを、キーボード3を介して印刷装置1に入力する。CPU91は、入力されたハーフカットパラメータを取得する(S35)。
【0063】
CPU21は、取得されたハーフカットパラメータに基づき、第2切断位置の平均位置を決定する。CPU91は、決定した第2切断位置の平均位置で第2切断部18によりハーフカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを補正する(S37)。CPU91は、第1メイン処理を終了させる。
【0064】
<第1実施形態の作用、効果>
印刷装置1は、ハーフカット目盛り7A及びフルカット目盛り8Aをテープ50に印刷する(S13、S15、S31)。印刷装置1は、第1ハーフカット目盛り71上の第2切断位置に応じた第1ハーフカットパラメータ、及び、第2ハーフカット目盛り72上の第2切断位置に応じた第2ハーフカットパラメータに基づき、所定のハーフカットタイミングを調整する(S23、S37)。又、印刷装置1は、第1フルカット目盛り81上の第1切断位置に応じた第1フルカットパラメータ、及び、第2フルカット目盛り82上の第1切断位置に応じた第2フルカットパラメータに基づき、所定のフルカットタイミングを調整する(S23)。この場合、印刷されたオブジェクトと、第1切断位置及び第2切断位置との搬送方向の位置関係が、設計上の位置関係に近似するように調整される。
【0065】
ここで、第1ハーフカット目盛り71及び第2ハーフカット目盛り72はそれぞれ直交方向に異なる位置に印刷され、且つ、第1フルカット目盛り81及び第2フルカット目盛り82はそれぞれ直交方向に異なる位置に印刷される。この場合、印刷装置1は、第1切断部17により切断される第1切断位置、及び、第2切断部18により切断される第2切断位置がそれぞれ直交方向に対して傾斜した場合でも、傾斜を考慮した適切な切断位置を特定し、第1切断部17及び第2切断部18がそれぞれテープ50を切断できるように調整できる。
【0066】
印刷装置1は、第1ハーフカットパラメータと第2ハーフカットパラメータとの平均値を算出し、平均値に対応する搬送方向の位置である第2切断位置の平均位置に基づいて、所定のハーフカットタイミングを調整する(S23、S37)。又、印刷装置1は、第1フルカットパラメータと第2フルカットパラメータとの平均値を算出し、平均値に対応する搬送方向の位置である第1切断位置の平均位置に基づいて、所定のフルカットタイミングを調整する(S23)。この場合、印刷装置1は、第1切断位置及び第2切断位置の直交方向に対する傾斜を考慮した適切な切断位置を、容易に特定できる。
【0067】
前記ハーフカット目盛り7Aは、搬送方向に等間隔に配列された複数の第1線分71M、72Mを有する。フルカット目盛り8Aは、搬送方向に等間隔に配列された複数の第1線分81M、82Mを有する。このためユーザは、複数の第1線分71M、72M、81M、82Mに対する切断位置をパラメータとして容易に特定し、印刷装置1に入力できる。又、印刷装置1は、正確なパラメータをユーザから取得することによって、適切な切断位置を特定し、所定のハーフカットタイミングや所定のフルカットタイミングを精度良く調整できる。
【0068】
複数の第1線分71M、81Mの近傍には第1正数71P、81P及び第1負数71N、81Nが配置される。複数の第1線分72M、82Mの近傍には第2正数72P、82P及び第2負数72N、82Nが配置される。このためユーザは、複数の第1線分71M、81M、72M、82Mのうち切断位置(第1切断位置又は第2切断位置)と重複する線分に対応する数字を、第1正数71P、81P、第1負数71N、81N、第2正数72P、82P、第2負数72N、82Nに基づいて容易に特定できる。このため印刷装置1は、ユーザによるハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータの特定を容易化できる。
【0069】
フルカット目盛り8Aが最初に印刷され、次に、ハーフカット目盛り7Aが印刷された場合、フルカットが実行されることに応じてテープ50が切り離された後、テープ50がハーフカットされる。この場合、フルカットが実行されてからハーフカットが実行されるまでの間でテープ50が搬送されたときに、テープ50の排出口9にテープ50が詰まってしまう可能性がある。これに対し、第1実施形態において、印刷装置1は、ハーフカット目盛り7Aが最初に印刷され、次にフルカット目盛り8Aが印刷される。この場合、ハーフカットが実行された後、フルカットが実行されることになるが、フルカットが実行されるまでの間、テープ50は切り離されない。このため、印刷装置1は、テープ50の排出口9にテープ50が詰まってしまう可能性を軽減できる。
【0070】
印刷装置1は、ハーフカット目盛り7A及びフルカット目盛り8Aを印刷する第1動作モードと、ハーフカット目盛り7Aのみ印刷する第2動作モードとの何れかで動作する。つまり、フルカット目盛り8Aのみ印刷する動作モードは存在しない。この場合、印刷装置1は、フルカットのみ実行されることでテープ50が切断され、短いテープ50の切れ端が生成されることを防止できる。
【0071】
印刷装置1は、印刷領域50Aにオブジェクトの印刷を行い、印刷領域50Aと異なる余白領域50Bに、ハーフカット目盛り7A及びフルカット目盛り8Aを印刷する。この場合、印刷装置1は、テープ50の印刷領域50Aにオブジェクトを印刷しつつ、余白領域50Bを有効活用してハーフカット目盛り7A及びフルカット目盛り8Aを印刷し、所定のハーフカットタイミング及び所定のフルカットタイミングを調整するために使用できる。
【0072】
<第1実施形態に関する特記事項>
印刷装置1は、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを補正して所定のハーフカットタイミングを調整することにより、印刷されたオブジェクトと、ハーフカットされる第2切断位置との位置関係を調整した。これに対し、印刷装置1は、第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータに基づいて印刷タイミングを補正することにより、印刷されたオブジェクトと、ハーフカットされる第2切断位置との位置関係を調整してもよい。更に、印刷装置1は、印刷タイミングと所定のハーフカットタイミングとの両方を調整することにより、印刷されたオブジェクトと、ハーフカットされる第2切断位置との位置関係を調整してもよい。
【0073】
印刷装置1は、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfを補正して所定のフルカットタイミングを調整することにより、印刷されたオブジェクトと、フルカットされる第1切断位置との位置関係を調整した。これに対し、印刷装置1は、第1フルカットパラメータ及び第2フルカットパラメータに基づいて印刷タイミングを補正することにより、印刷されたオブジェクトと、フルカットされる第1切断位置との位置関係を調整してもよい。更に、印刷装置1は、印刷タイミングと所定のフルカットタイミングとの両方を調整することにより、印刷されたオブジェクトと、フルカットされる第1切断位置との位置関係を調整してもよい。
【0074】
複数の第1線分71M、81M、72M、82Mの全てに対し、数字(正数又は負数)が対応付けられていてもよい。複数の第1線分71M、81M、72M、82Mのそれぞれの近傍には、搬送方向の上流側から下流側に向けて昇順となる正の数字が配置されていてもよい。第1正数71P、81P、第1負数71N、81N、第2正数72P、82P、第2負数72N、82Nは、テープ50に印刷されなくてもよい。
【0075】
印刷装置1は、最初にフルカット目盛り8Aを印刷し、次に、ハーフカット目盛り7Aを印刷してもよい。例えば印刷装置1は、第1切断部17のみ有し、第2切断部18を有さなくてもよい。この場合、印刷装置1は、フルカット目盛り8Aのみテープ50に印刷し、ハーフカット目盛り7Aを印刷しなくてもよい。
【0076】
印刷装置1は、第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータに基づいて特定される第2切断部の直交方向に対する傾斜角度に応じ、印刷されるオブジェクトをSKEW補正してもよい。又は、印刷装置1は、第1フルカットパラメータ及び第2フルカットパラメータに基づいて特定される第1切断部の直交方向に対する傾斜角度に応じ、印刷されるオブジェクトをSKEW補正してもよい。
【0077】
第1メイン処理が実行される場合において、印刷装置1はオブジェクトを印刷せず、目盛り群D1、D2のみ印刷してもよい。この場合、フラッシュメモリ95に記憶されるハーフカット時間Thは、ハーフカット目盛り7Aの印刷が完了してからの時間を規定してもよい。同様に、フラッシュメモリ95に記憶されるフルカット時間Tfは、フルカット目盛り8Aの印刷が完了してからの時間を規定してもよい。
【0078】
<第2実施形態>
図7、
図8を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態において第1動作モードで動作する印刷装置1がテープ50に印刷する目盛り群D3、D4を示す。CPU91は、最初に目盛り群D3が印刷されたテープ50を用いて所定のハーフカットタイミング及び所定のフルカットタイミングを調整する。CPU91はその後、目盛り群D4をテープ50に印刷して同様の処理を行うことで、所定のハーフカットタイミング及び所定のフルカットタイミングをより詳細に調整する。なお、以下では、印刷装置1が第1動作モードで動作することを前提として説明する。第2動作モードで動作する場合の目盛り群は、目盛り群D3、D4に対してフルカットに対応するフルカット目盛り8B、8C(後述)が削除された態様を有する。
【0079】
図7(a)に示すように、目盛り群D3は、ハーフカット目盛り7B及びフルカット目盛り8Bを有する。ハーフカット目盛り7Bは、第1ハーフカット目盛り73及び第2ハーフカット目盛り74を有する。フルカット目盛り8Bは、第1フルカット目盛り83及び第2フルカット目盛り84を有する。
【0080】
第1ハーフカット目盛り73は、複数の第1線分73M、複数のキャラクタ73P、73N、複数の第2線分73Lを有する。
【0081】
複数の第2線分73Lは、直交方向に等間隔に配置され且つ搬送方向に延びる。複数の第2線分73Lは、テープ50の直交方向中央の点線、テープ50の直交方向の一方側の端部の点線、及び、この2つの点線の間を直交方向に4等分する3本の点線を有する。複数のキャラクタ73Pは、「0」「+1」「+2」「+3」の数字及び符号を含む。複数のキャラクタ73Pは、複数の第2線分73Lのそれぞれの搬送方向下流側の端部、且つ、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域のそれぞれに配置される。複数のキャラクタ73Pは、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域のうち直交方向中央から一方側に向けて、「0」「+1」「+2」「+3」の順に配列される。複数のキャラクタ73Nは、「0」「-1」「-2」「-3」の数字及び符号を含む。複数のキャラクタ73Nは、複数の第2線分73Lのそれぞれの搬送方向上流側の端部、且つ、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域のそれぞれに配置される。複数のキャラクタ73Nは、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域のうち直交方向中央から一方側に向けて、「0」「-1」「-2」「-3」の順に配列される。以下、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域を、直交方向中央から一方側に向けてそれぞれ、領域R10、R11、R12、R13という。
【0082】
複数の第1線分73Mは、それぞれ、直交方向に延びる幅広の7本の線分を含む。複数の第1線分73Mは、搬送方向に等間隔に配列される。複数の第1線分73Mは、複数の第2線分73Lにより分割された4つの領域のそれぞれに配置される。このため複数の第1線分73Mは、直交方向にも等間隔に配置される。より詳細には、複数の第1線分73Mは、搬送方向下流側から上流側に向けて順に、領域R13、R12、R11、R10、R11、R12、R13にそれぞれ配置される。各第1線分73Mの搬送方向一方側の端部と、隣接する他の第1線分73Mの搬送方向他方側の端部とは、搬送方向の位置が一致する。搬送方向下流側から上流側に向けて順に並ぶ複数の第1線分73Mには、それぞれ、「+3」「+2」「+1」「0」「-1」「-2」「-3」が対応付けられる。「+3」「+2」「+1」「0」に対応する複数のキャラクタ73P、及び、「0」「-1」「-2」「-3」に対応する複数のキャラクタ73Nと、それぞれに対応する第1線分73Mとは、搬送方向において近接する。
【0083】
第2ハーフカット目盛り74は、第1ハーフカット目盛り73と直交方向において対称である。第2ハーフカット目盛り74の複数の第1線分74M、複数のキャラクタ74P、74N、複数の第2線分74Lは、それぞれ、第1ハーフカット目盛り73の複数の第1線分73M、複数のキャラクタ73P、73N、複数の第2線分73Lに対応する。複数の第2線分74Lのうちテープ50の直交方向中央に配置される線分と、第1ハーフカット目盛り73の複数の第2線分73Lのうちテープ50の直交方向中央に配置される線分とのそれぞれは重複する。
【0084】
複数の第1線分73M、74Mのうち、「0」であるキャラクタ73P、73N、74P、74Nに対応付けられた第1線分の搬送方向の位置は、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thに応じて特定される所定のハーフカットタイミングで第2切断部18によりハーフカットされる設計上の位置と一致するように調整される。
【0085】
第1フルカット目盛り83は、第1ハーフカット目盛り73に対して搬送方向の上流側に設けられる。第1フルカット目盛り83の構成は、第1ハーフカット目盛り73と同一である。第1フルカット目盛り83の複数の第1線分83M、複数のキャラクタ83P、83N、及び、複数の第2線分83Lは、それぞれ、第1ハーフカット目盛り73の複数の第1線分73M、複数のキャラクタ73P、73N、及び、複数の第2線分73Lに対応する。第2フルカット目盛り84は、第2ハーフカット目盛り74に対して搬送方向の上流側に設けられる。第2フルカット目盛り84の構成は、第2ハーフカット目盛り74と同一である。第2フルカット目盛り84の複数の第1線分84M、複数のキャラクタ84P、84N、及び、複数の第2線分84Lは、それぞれ、第2ハーフカット目盛り74の複数の第1線分74M、複数のキャラクタ74P、74N、及び、複数の第2線分74Lに対応する。
【0086】
第1フルカット目盛り83の複数の第1線分83M及び複数の第2線分83Lと、第2フルカット目盛り84の複数の第1線分84M及び複数の第2線分84Lの位置関係は、第1ハーフカット目盛り73の複数の第1線分73M及び複数の第2線分73Lと、第2ハーフカット目盛り74の複数の第1線分74M及び複数の第2線分74Lの位置関係に対応する。
【0087】
複数の第1線分83M、84Mのうち、「0」であるキャラクタ83P、83N、84P、84Nが対応付けられた第1線分の搬送方向の位置は、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfに応じて特定される所定のフルカットタイミングで第1切断部17によりフルカットされる設計上の位置と一致するように調整される。
【0088】
図7(b)に示すように、目盛り群D4は、ハーフカット目盛り7C及びフルカット目盛り8Cを有する。ハーフカット目盛り7Cは、第3ハーフカット目盛り75及び第4ハーフカット目盛り76を有する。フルカット目盛り8Cは、第3フルカット目盛り85及び第4フルカット目盛り86を有する。
【0089】
第3ハーフカット目盛り75の複数の第1線分75M、複数の第2線分75L、複数のキャラクタ75P、75Nは、それぞれ、第1ハーフカット目盛り73の複数の第1線分73M、複数の第2線分73L、複数のキャラクタ73P、73Nに対応する。第4ハーフカット目盛り76の複数の第1線分76M、複数の第2線分76L、複数のキャラクタ76P、76Nは、それぞれ、第2ハーフカット目盛り74の複数の第1線分74M、複数の第2線分74L、複数のキャラクタ74P、74Nに対応する。第3フルカット目盛り85の複数の第1線分85M、複数の第2線分85L、複数のキャラクタ85P、85Nは、それぞれ、第1フルカット目盛り83の複数の第1線分83M、複数の第2線分83L、複数のキャラクタ83P、83Nに対応する。第4フルカット目盛り86の複数の第1線分86M、複数の第2線分86L、複数のキャラクタ86P、86Nは、それぞれ、第2フルカット目盛り84の複数の第1線分84M、複数の第2線分84L、複数のキャラクタ84P、84Nに対応する。
【0090】
目盛り群D4のハーフカット目盛り7Cは、複数の第1線分75M、76Mの搬送方向の間隔が複数の第1線分73M、74Mよりも小さいという点で、目盛り群D3のハーフカット目盛り7Bと相違する。ハーフカット目盛り7Cのその他の構成は、ハーフカット目盛り7Bと同一である。目盛り群D4のフルカット目盛り8Cは、複数の第1線分85M、86Mの搬送方向の間隔が複数の第1線分83M、84Mよりも小さいという点で、目盛り群D3のフルカット目盛り8Bと相違する。フルカット目盛り8Cのその他の構成は、フルカット目盛り8Bと同一である。
【0091】
<第2メイン処理>
図8を参照し、第2実施形態においてCPU91により実行される第2メイン処理について説明する。第2メイン処理は、印刷を開始する指示がキーボード3を介して入力された場合、フラッシュメモリ95に記憶されたプログラムをCPU91が読み出して実行することにより開始される。以下、第1メイン処理と共通する処理については、説明を簡略化する。第2動作モードでの動作説明は省略する。
【0092】
CPU91はテープ50の搬送を開始する。CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶された印刷データに基づいて特定される印刷タイミングで、テープ50の印刷領域50Aにオブジェクトを印刷する。CPU91は、印刷領域50Aに対するオブジェクトの印刷終了後、ハーフカット目盛り7B(
図7(a)参照)を余白領域50Bに印刷し(S51)、次いで、余白領域50Bのうちハーフカット目盛り7Bに対して上流側にフルカット目盛り8B(
図7(a)参照)を印刷する(S53)。
【0093】
CPU91は、オブジェクトの印刷後、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thに応じた所定のハーフカットタイミングが到来した場合、第2切断部18によりテープ50をハーフカットする(S55)。これにより、S51の処理によってテープ50に印刷された第1ハーフカット目盛り73及び第2ハーフカット目盛り74の双方がハーフカットされる。次いで、CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfに応じた所定のフルカットタイミングが到来した場合、第1切断部17によりテープ50をフルカットする(S57)。これにより、S53の処理によってテープ50に印刷された第1フルカット目盛り83及び第2フルカット目盛り84の双方がフルカットされる。
【0094】
図9(a)は、上記の処理によってハーフカット及びフルカットされたテープ50の状態を模式的に示す。直線G3は、第2切断部18によりハーフカットされた第2切断位置の一例を示す。直線G4は、第1切断部17によりフルカットされた第1切断位置の一例を示す。ユーザは、テープ50の第1ハーフカット目盛り73の複数の第1線分73Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ73Pの数字「+1」を、第1ハーフカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第2ハーフカット目盛り74の複数の第1線分74Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ74P、74Nの数字「0」を、第2ハーフカットパラメータとして特定する。
【0095】
ユーザは、テープ50の第1フルカット目盛り83の複数の第1線分83Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ83Nの数字「-2」を、第1フルカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第2フルカット目盛り84の複数の第1線分84Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ84Nの数字「-1」を、第2フルカットパラメータとして特定する。
【0096】
ユーザは、上記のように特定したハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを、キーボード3を介して印刷装置1に入力する。
図8に示すように、印刷装置1のCPU91は、入力されたハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを取得する(S59)。
【0097】
CPU21は、取得された第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータに基づき、第2切断位置の平均位置(以下、第1ハーフカット平均位置という。)を決定する。例えば
図9(a)に示す例の場合、CPU91は、第1ハーフカットパラメータ「+1」及び第2ハーフカットパラメータ「0」に基づき、これらの平均値(+1+0)/2=0.5を算出する。CPU91は、平均値「0.5」に対応する搬送方向の位置を、第1ハーフカット平均位置として決定する。CPU91は、決定した第1ハーフカット平均位置で第2切断部18によりハーフカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを補正する(S61)。これにより、次に印刷装置1が第2切断部18によりテープ50をハーフカットする場合の所定のハーフカットタイミングが調整される。以下、上記においてハーフカット時間Thを補正する補正量を、第1ハーフカットパラメータ及び第2ハーフカットパラメータに基づく平均値で除算した値を、第1ハーフカット単位補正量という。
【0098】
同様に、CPU21は、取得された第1フルカットパラメータ及び第2フルカットパラメータに基づき、第1切断位置の平均位置(以下、第1フルカット平均位置)を決定する。例えば
図9(a)に示す例の場合、CPU91は、第1フルカットパラメータ「-2」及び第2フルカットパラメータ「-1」に基づき、これらの平均値(-2-1)/2=-1.5を算出する。CPU91は、平均値「-1.5」に対応する搬送方向の位置を、第1フルカット平均位置として決定する。CPU91は、決定した第1フルカット平均位置で第1切断部17によりフルカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfを補正する(S61)。これにより、次に印刷装置1が第1切断部17によりテープ50をフルカットする場合の所定のフルカットタイミングが調整される。以下、上記においてフルカット時間Tfを補正する補正量を、第1フルカットパラメータ及び第2フルカットパラメータに基づく平均値で除算した値を、第1フルカット単位補正量という。
【0099】
CPU91はテープ50の搬送を再開する。CPU91は、フラッシュメモリ95に記憶された印刷データに基づいて特定される印刷タイミングで、テープ50の印刷領域50Aにオブジェクトを印刷する。CPU91は、印刷領域50Aに対するオブジェクトの印刷終了後、ハーフカット目盛り7C(
図7(b)参照)を余白領域50Bに印刷し(S71)、次いで、余白領域50Bのうちハーフカット目盛り7Bに対して上流側にフルカット目盛り8C(
図7(b)参照)を印刷する(S73)。
【0100】
CPU91は、オブジェクトの印刷後、S61の処理によって補正されたハーフカット時間Thに応じた所定のハーフカットタイミングが到来した場合、第2切断部18によりテープ50をハーフカットする(S75)。これにより、S71の処理によってテープ50に印刷された第3ハーフカット目盛り75及び第4ハーフカット目盛り76(
図7(b)参照)の双方がハーフカットされる。次いで、CPU91は、S61の処理によって補正されたフルカット時間Tfに応じた所定のフルカットタイミングが到来した場合、第1切断部17によりテープ50をフルカットする(S77)。これにより、S73の処理によってテープ50に印刷された第3フルカット目盛り85及び第4フルカット目盛り86(
図7(b)参照)の双方がフルカットされる。
【0101】
図9(b)は、上記の処理によってハーフカット及びフルカットされたテープ50の状態を模式的に示す。直線G5は、第2切断部18によりハーフカットされた第2切断位置の一例を示す。直線G6は、第1切断部17によりフルカットされた第1切断位置の一例を示す。ユーザは、テープ50の第3ハーフカット目盛り75の複数の第1線分75Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ75P、75Nの数字「0」を、第3ハーフカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第4ハーフカット目盛り76の複数の第1線分76Mのうち、第2切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ76Nの数字「-1」を、第4ハーフカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第3フルカット目盛り85の複数の第1線分85Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ85Nの数字「-1」を、第3フルカットパラメータとして特定する。又、ユーザは、テープ50の第4フルカット目盛り86の複数の第1線分86Mのうち、第1切断位置と重複する線分に対応する複数のキャラクタ86P、86Nの数字「0」を、第4フルカットパラメータとして特定する。ユーザは、上記のように特定したハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを、キーボード3を介して印刷装置1に入力する。
図8に示すように、印刷装置1のCPU91は、入力されたハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを取得する(S79)。
【0102】
CPU21は、取得された第3ハーフカットパラメータ及び第4ハーフカットパラメータに基づき、第2切断位置の平均位置(以下、第2ハーフカット平均位置という。)を決定する。例えば
図9(b)に示す例の場合、CPU91は、第3ハーフカットパラメータ「0」及び第4ハーフカットパラメータ「-1」に基づき、これらの平均値(0-1)/2=-0.5を算出する。CPU91は、平均値「-0.5」に対応する搬送方向の位置を、第2ハーフカット平均位置として決定する。CPU91は、決定した第2ハーフカット平均位置で第2切断部18によりハーフカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを再補正する(S81)。これにより、次に印刷装置1が第2切断部18によりテープ50をハーフカットする場合の所定のハーフカットタイミングが再度調整される。以下、上記においてハーフカット時間Thを再補正する補正量を、第3ハーフカットパラメータ及び第4ハーフカットパラメータに基づく平均値で除算した値を、第2ハーフカット単位補正量という。
【0103】
同様に、CPU21は、取得された第3フルカットパラメータ及び第4フルカットパラメータに基づき、第1切断位置の平均位置(以下、第2フルカット平均位置という。)を決定する。例えば
図9(b)に示す例の場合、CPU91は、第1フルカットパラメータ「-1」及び第2フルカットパラメータ「0」に基づき、これらの平均値(-1+0)/2=-0.5を算出する。CPU91は、平均値「-0.5」に対応する搬送方向の位置を、第2フルカット平均位置として決定する。CPU91は、決定した第2フルカット平均位置で第1切断部17によりフルカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたフルカット時間Tfを再補正する(S81)。これにより、次に印刷装置1が第1切断部17によりテープ50をフルカットする場合の所定のフルカットタイミングが再度調整される。CPU91は、第2メイン処理を終了させる。以下、上記においてフルカット時間Tfを再補正する補正量を、第3フルカットパラメータ及び第4フルカットパラメータに基づく平均値で除算した値を、第2フルカット単位補正量という。
【0104】
上記において、S81における第2ハーフカット単位補正量は、S61における第1ハーフカット単位補正量よりも小さくなる。理由は、ハーフカット目盛り7Cの複数の第1線分75M、76M(
図7、
図9参照)の搬送方向の間隔が、ハーフカット目盛り7Bの複数の第1線分73M、74M(
図7、
図9参照)の搬送方向の間隔より小さいためである。この場合、ハーフカットパラメータに基づく平均値を同一とした場合でも、第2切断部18による設計上の切断位置に対する第2ハーフカット平均位置の変位量の方が、第2切断部18による設計上の切断位置に対する第1ハーフカット平均位置の変位量よりも小さくなる。
【0105】
同様に、上記において、S81における第2フルカット単位補正量は、S61における第1フルカット単位補正量よりも小さくなる。理由は、フルカット目盛り8Cの複数の第1線分85M、86M(
図7、
図9参照)の搬送方向の間隔が、フルカット目盛り8Bの複数の第1線分83M、84M(
図7、
図9参照)の搬送方向の間隔より小さいためである。この場合、フルカットパラメータに基づく平均値を同一とした場合でも、第1切断部17による設計上の切断位置に対する第2フルカット平均位置の変位量の方が、第2切断部18による設計上の切断位置に対する第1フルカット平均位置の変位量よりも小さくなる。
【0106】
<第2実施形態の作用、効果>
目盛り群D3の複数の第1線分73M、74M、83M、84Mは、それぞれ、搬送方向だけでなく直交方向にも等間隔に配置される。この場合、複数の第1線分73M、74M、83M、84Mをそれぞれ幅広とした場合でも、隣接する第1線分73Mどうしを明確に区別できる。この場合、印刷装置1は、切断位置と重複する複数の第1線分73M、74M、83M、84Mの何れかを選択するユーザの作業を容易化且つ高精度化できる。
【0107】
印刷装置1は、ハーフカット目盛り7B及びフルカット目盛り8Bに基づいて調整された所定のハーフカットタイミング及び所定のフルカットタイミング(S61)を、ハーフカット目盛り7C及びフルカット目盛り8Cに基づいて再度調整する(S81)。これにより、印刷装置1は、設計上の切断位置と実際の切断位置とを、更に高精度に一致させることができる。
【0108】
<第2実施形態に関する特記事項>
目盛り群D3のハーフカット目盛り7B及びフルカット目盛り8B、並びに、目盛り群D4のハーフカット目盛り7C及びフルカット目盛り8Cは、それぞれ、第1実施形態と同様の複数の第1線分を有していてもよい。このとき、ハーフカット目盛り7B及びフルカット目盛り8Bに含まれる複数の第1線分の搬送方向の間隔よりも、ハーフカット目盛り7C及びフルカット目盛り8Cに含まれる複数の第1線分の搬送方向の間隔を小さくすればよい。
【0109】
目盛り群D4に含まれる複数のキャラクタ75P、75N、76P、76N、85P、85N、86P、86Nのそれぞれの数字について、搬送方向中央から直交方向の一方側又は他方側に向けて「0」、「+0.5」又は「-0.5」、「+1.0」又は「-1.0」、「+1.5」又は「-1.5」とされてもよい。
【0110】
<第3実施形態>
図10、
図11を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
図10は、第3実施形態において第1動作モードで動作する印刷装置1がテープ50に印刷する目盛り群D5を示す。目盛り群D5は、ハーフカット目盛り7E(第1ハーフカット目盛り77、第2ハーフカット目盛り78)、及び、フルカット目盛り8E(第1フルカット目盛り87、第2フルカット目盛り88))を有する。目盛り群D5は、複数の第1線分73M、74M、83M、84M(
図7(a)参照)の代わりに複数のドット73D、74D、83D、84Dが配置される点で、目盛り群D3(
図7(a)参照)と相違する。複数のドット73D、74D、83D、84Dは、塗り潰された円形状を有する。目盛り群D5のその他の構成は、目盛り群D3と同一であるので、目盛り群D3と同一符号を付して説明を省略する。
【0111】
第3実施形態において、テープ50に目盛り群D5を印刷して所定のハーフカットタイミング及び所定のフルカットタイミングを調整する方法は、次の通りである。なお、ユーザにより特定されたハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータがキーボード3を介して入力され、CPU91がハーフカットパラメータ及びフルカットパラメータを取得するまでの処理は、第1メイン処理のS11~S23(
図5参照)、第2メイン処理のS51~S59(
図8参照)と同一である。例えば
図10に示すように、直線G7に示す第2切断位置で第2切断部18によりハーフカットされ、且つ、直線G8に示す第1切断位置で第1切断部17によりフルカットされた場合を例に挙げる。この場合、CPU91は、第1ハーフカットパラメータ「+3」、第2ハーフカットパラメータ「+1」、第1フルカットパラメータ「+1」、第2フルカットパラメータ「+2」をそれぞれ取得する。
【0112】
図11に示すように、CPU91は、搬送方向に延び且つテープ50の直交方向中央を通る軸をx軸とし、複数のドット73D、74Dのそれぞれのうち搬送方向の中央に配置されるドットを通って直交方向に延びる軸をy軸とする座標系を特定する。CPU91は、第1ハーフカットパラメータ「+3」、及び、第2ハーフカットパラメータ「+1」に対応する2つのドット73Dのそれぞれの位置を示す座標情報を、第2切断部18によりハーフカットされた第2切断位置として特定する。
【0113】
CPU91は、特定された座標情報に基づき、2つのドット73Dを通る仮想直線の傾き及び切片を特定し、特定されたxy座標系における仮想直線の一次方程式を導出する。CPU91は、導出した一次方程式で示される仮想直線がy軸と交差する点P1の位置を更に特定する。CPU91は、決定した点P1の位置で第2切断部18によりハーフカットがされるように、フラッシュメモリ95に記憶されたハーフカット時間Thを補正する(S23(
図5参照)、S61(
図8参照))。これにより、次に印刷装置1が第2切断部18によりテープ50をハーフカットする場合のタイミングである所定のハーフカットタイミングが調整される。
【0114】
なお、所定のフルカットタイミングの調整方法は、所定のハーフカットタイミングが調整される場合の方法と同一であるので、説明を省略する。
【0115】
<第3実施形態の作用、効果>
印刷装置1は、第1ハーフカットパラメータに対応する第1ハーフカット目盛り77上の切断位置と、第2ハーフカットパラメータに対応する第2ハーフカット目盛り78上の切断位置とを結ぶ仮想直線と、x軸との交点の位置に基づいて、所定のハーフカットタイミングを調整する。同様に、印刷装置1は、第1フルカットパラメータに対応する第1フルカット目盛り87上の切断位置と、第2フルカットパラメータに対応する第2フルカット目盛り88上の切断位置とを結ぶ仮想直線と、x軸との交点の位置に基づいて、所定のフルカットタイミングを調整する。この場合、第1切断位置及び第2切断位置の直交方向に対する傾斜を考慮した適切な切断位置を、より精度良く特定できる。
【0116】
<第3実施形態に関する特記事項>
例えばCPU91は、第1ハーフカット目盛り77及び第2ハーフカット目盛り78のそれぞれに対する切断位置を結ぶ仮想直線とx軸との交点P1の位置を、次の式に基づいて導出してもよい。但し、取得される第1ハーフカットパラメータをC1、第2ハーフカットパラメータをC2と表記する。又、点P1のx軸方向の位置を示すパラメータを、Xと表記する。
X=(C1-C2)/(C1+C2)×C2+C2
CPU91は、算出されるXの位置に対応する搬送方向の位置を、第2切断位置の平均位置として決定する。なお、第1切断位置の平均位置を導出する方法も同様である。
【0117】
<その他>
テープ送りモータ23、テープ駆動軸46Aは、本発明の「搬送部」の一例である。テープ50は、本発明の「印刷媒体」の一例である。サーマルヘッド10は、本発明の「印刷部」の一例である。第1切断部17及び第2切断部は、本発明の「切断部」の一例である。
【符号の説明】
【0118】
1 :印刷装置
10 :サーマルヘッド
17 :第1切断部
18 :第2切断部
21 :CPU
23 :テープ送りモータ
50 :テープ
50A :印刷領域
50B :余白領域
71、73、77 :第1ハーフカット目盛り
72、74、78 :第2ハーフカット目盛り
81、83、87 :第1フルカット目盛り
82、84、88 :第2フルカット目盛り
75 :第3ハーフカット目盛り
85 :第3フルカット目盛り
76 :第4ハーフカット目盛り
86 :第4フルカット目盛り
71M、72M、73M、74M、75M、76M、81M、82M、83M、84M、85M、86M :第1線分
71N、72N :第1負数
81N、82N :第2負数
71P、81P :第1正数
72P、82P :第2正数
91 :CPU