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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】編集装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230926BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20230926BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G06F3/12 350
B41J3/36 T
B41J29/38
G06F3/12 303
G06F3/12 356
G06F3/12 378
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019122204
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009498
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 詠梨
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090550(JP,A)
【文献】特開2003-001897(JP,A)
【文献】特開2011-037029(JP,A)
【文献】特開2009-039986(JP,A)
【文献】特開2010-017937(JP,A)
【文献】特開2016-055595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J3/36;3/46;29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを作成するための印刷データに基づいて1回の印刷で1色のオブジェクトを印刷可能なテーププリンタに用いるため、前記印刷データを編集する編集装置であって、
制御部と、
前記制御部を制御するためのプログラムを記憶した記憶部とを備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、
前記印刷データに含まれる複数のオブジェクトを取得するオブジェクト取得処理と、
前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトの印刷色をそれぞれ取得する色取得処理と、
前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトを、各オブジェクトの各印刷色に基づき、土台となるテープである台紙テープ、および前記台紙テープに貼り合わされるテープである上側テープのいずれかに割り当てる割当処理と、
を行うことを特徴とする編集装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記テーププリンタに装着されているテープカセットである装着カセットに備えられた前記テープに対応する印刷色を示す情報を含む装着カセット情報を取得する装着カセット情報取得処理を行い、
前記割当処理において、前記装着カセット情報取得処理で取得された前記装着カセット情報が示す前記印刷色と、前記色取得処理で取得された前記印刷色とに基づいて、前記オブジェクトを前記台紙テープおよび前記上側テープのいずれかに割り当てる
ことを特徴とする請求項1に記載の編集装置。
【請求項3】
前記装着カセット情報は、前記印刷色および前記テープの基材色を示す情報を含み、
前記制御部は、
前記割当処理において、前記装着カセット情報取得処理により取得した前記装着カセットの前記装着カセット情報の基材色が透明を示す場合に、前記装着カセットの印刷対象となるオブジェクトを前記上側テープに割り当て、前記装着カセット情報取得処理により取得した前記装着カセットの前記装着カセット情報の基材色が不透明を示す場合に、前記装着カセットの印刷対象となるオブジェクトを前記台紙テープに割り当てる
ことを特徴とする請求項2に記載の編集装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記台紙テープに前記オブジェクトが印刷されることで作成される前記ラベルである台紙ラベルに、前記上側テープに前記オブジェクトが印刷されることで作成される前記ラベルである上側ラベルが重ね合された前記ラベルである重ね合わせラベルに対応する重ね合わせプレビューを編集可能に表示手段に表示する重ね合わせ表示処理を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の編集装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記割当処理により割り当てた各オブジェクトに対応するレイヤープレビューを含む複数のレイヤー画面を前記表示手段に表示するレイヤー表示処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の編集装置。
【請求項6】
前記制御部は、印刷モードを、前記上側ラベルを前記オブジェクト毎に作成可能な最短長さモード、および前記上側ラベルを前記印刷色が同じ前記オブジェクト毎に作成可能な最小印刷回数モードのいずれかに設定するモード設定処理を行い、
前記制御部は、前記レイヤー表示処理において、前記モード設定処理で前記最小印刷回数モードが設定された場合、前記印刷色が同じ複数のオブジェクトを1つのレイヤー画面にまとめたレイヤープレビューを前記表示手段に表示し、前記モード設定処理で前記最短長さモードが設定された場合、前記オブジェクト毎に分けられた複数のレイヤー画面に対応する各レイヤープレビューを前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の編集装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記重ね合わせ表示処理において表示された前記重ね合わせプレビューから所定のオブジェクトを削除するための指示を受け付けた場合であって、前記所定のオブジェクトに対応する所定のレイヤープレビューに前記所定のオブジェクト以外のオブジェクトを含まない場合に、前記レイヤー表示処理において、前記所定レイヤープレビューを含む所定のレイヤー画面を前記表示手段から削除する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の編集装置。
【請求項8】
前記レイヤープレビューは、レイヤー毎に、前記重ね合わせラベルにおける前記レイヤーに対応する前記上側ラベルを示す上側ラベル画像と、前記重ね合わせラベルにおける前記台紙ラベルの外形形状を示す台紙ラベル枠とを含む
ことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の編集装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記レイヤー表示処理において、各オブジェクトを印刷するテープである対象テープの幅と色とを含むテープ属性を各レイヤー画面に表示し、
前記制御部は、前記台紙テープに割り当てられたオブジェクトに対応するレイヤー画面において前記テープ属性の変更指示があった場合に、前記レイヤープレビューの台紙ラベル枠を、前記変更後の対象テープの幅に対応する台紙ラベル枠に変更する
ことを特徴とする請求項8に記載の編集装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記レイヤー表示処理で前記表示手段に表示された前記レイヤープレビューに対応する前記印刷データをレイヤー毎に前記テーププリンタに出力するための印刷指示に従い前記印刷データをレイヤー毎に前記テーププリンタに出力する出力処理を行い、
前記出力処理で前記印刷データが前記テーププリンタに出力されたレイヤーに対応する前記レイヤープレビューを、前記出力処理で前記印刷データが前記テーププリンタに出力される前のレイヤーに対応する前記レイヤープレビューと区別可能に前記表示手段に表示する印刷表示処理を行う
ことを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の編集装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記割当処理で前記オブジェクトが前記上側テープに割り当てられた場合、対象テープの長さと、前記オブジェクトに対する対象テープの向きである配置方向とを設定する上側テープ設定処理を行う
ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の編集装置。
【請求項12】
ラベルを作成するための印刷データに基づいて1回の印刷で1色のオブジェクトを印刷可能なテーププリンタに用いるため、前記印刷データを編集する編集プログラムであって、
前記印刷データに含まれる第1色の第1オブジェクトおよび第2色の第2オブジェクトを含む複数のオブジェクトを取得するオブジェクト取得処理、
前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトの印刷色をそれぞれ取得する色取得処理、
前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトを、オブジェクトの印刷色に基づき土台となるテープである台紙テープ、および前記台紙テープに貼り合わされるテープである上側テープのいずれかに割り当てる割当処理、
をコンピュータに実行させるための編集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の印刷システムはテーププリンタと編集装置とを備える。テーププリンタはインクリボンを使用してテープにオブジェクトを印刷することで台紙ラベルおよび透明の上側ラベルを作成する。作成された台紙ラベルに上側ラベルが貼り合わされることで重ね合わせラベルが作成される。編集装置は重ね合わせラベルを作成するための印刷データを編集できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-017937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば上側ラベルに印刷される複数のオブジェクトが互いに離れた位置に配置されている場合等、オブジェクトが上側ラベルの全体にない場合がある。この場合、編集装置で編集された印刷データに基づいて作成される上側ラベルの大きさが台紙ラベルの大きさと略同じであると、テープに無駄が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、テープの消費量を抑制可能な編集装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する技術は、ラベルを作成するための印刷データに基づいて1回の印刷で1色のオブジェクトを印刷可能なテーププリンタに用いるため、前記印刷データを編集する編集装置であって、制御部と、前記制御部を制御するためのプログラムを記憶した記憶部とを備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記プログラムを実行することにより、前記印刷データに含まれる複数のオブジェクトを取得するオブジェクト取得処理と、前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトの印刷色をそれぞれ取得する色取得処理と、前記オブジェクト取得処理で取得された前記複数のオブジェクトを、各オブジェクトの各印刷色に基づき、土台となるテープである台紙テープ、および前記台紙テープに貼り合わされるテープである上側テープのいずれかに割り当てる割当処理と、を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る編集装置は、テープとインクリボンとを備えたテープカセットを
装着可能でありラベルを作成するための印刷データに基づいて1回の印刷で1色のオブジ
ェクトを印刷可能なテーププリンタに用いるため、印刷データを編集して表示手段に表示
する編集装置であって、制御部と、制御部を制御するためのプログラムを記憶した記憶部
とを備え、制御部は、記憶部に記憶したプログラムを実行することにより、印刷データを
編集する編集処理を行い、編集処理では、オブジェクトを取得するオブジェクト取得処理
を行い、オブジェクト取得処理で取得されたオブジェクトの印刷色を取得する色取得処理
を行い、オブジェクト取得処理で取得されたオブジェクトを印刷するテープである対象テ
ープの幅と対象テープが不透明であるか否かとを含むテープ属性を取得する属性取得処理
を行い、オブジェクト取得処理で取得されたオブジェクトを、土台となるテープである台
紙テープ、および台紙テープに貼り合わされるテープである上側テープのいずれかに割り
当てる割当処理を行い、割当処理でオブジェクトが上側テープに割り当てられた場合、対
象テープの長さと、オブジェクトに対する対象テープの向きである配置方向とを設定する
上側テープ設定処理を行い、印刷モードを、上側テープにオブジェクトが印刷されること
で作成されるラベルである上側ラベルをオブジェクト毎に作成可能な最短長さモード、お
よび上側ラベルを印刷色が同じオブジェクト毎に作成可能な最小印刷回数モードのいずれ
かに設定するモード設定処理を行い、さらに制御部は、台紙テープにオブジェクトが印刷
されることで作成されるラベルである台紙ラベルに上側ラベルが重ね合されたラベルであ
る重ね合わせラベルに対応する重ね合わせプレビューを編集処理で編集された印刷データ
に基づいて表示手段に表示する重ね合わせ表示処理を行うことを特徴とする。
【0007】
上記態様によれば、ユーザは印刷モードとして最短長さモードおよび最小印刷回数モードのいずれかを選択できる。ユーザによって最短長さモードが選択されると、オブジェクト毎に上側ラベルが作成される。このため印刷に使用される上側テープの消費量が抑制され得る。なおユーザによって最小印刷回数モードが選択されると、印刷色が同じオブジェクト毎に上側ラベルが作成される。このため複数のオブジェクトがあっても印刷色が同じオブジェクトであれば1回で印刷される。このため、最小印刷回数モードが選択された場合、最短長さモードに比べ印刷回数が少なくなり早く印刷することが可能となる。ユーザは、目的に応じてモードを切り替えることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、テーププリンタに装着されているテープカセットである装着カセットに備えられたテープに対応するテープ属性と装着カセットに備えられたインクリボンの色に対応する印刷色とを示す装着カセット情報を取得する装着カセット情報取得処理を行い、割当処理において、装着カセット情報取得処理で取得された装着カセット情報が示すテープ属性および印刷色と、色取得処理で取得された印刷色とに基づいて、オブジェクトを台紙テープおよび上側テープのいずれかに割り当ててもよい。この場合、編集装置はユーザがオブジェクトを台紙テープおよび上側テープのいずれかに割り当てる手間を省略できる。
【0009】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、オブジェクト取得処理で取得されたすべてのオブジェクトの印刷色と異なる印刷色のオブジェクトである新たな印刷色のオブジェクトがオブジェクト取得処理で取得される度に、新たな印刷色のオブジェクトに対応するレイヤーを作成し、作成されたレイヤーに対応するレイヤープレビューを編集処理で編集された印刷データに基づいて表示手段に表示するレイヤー表示処理を行ってもよい。この場合、編集装置は上側ラベルの形状と大きさをユーザが認識した状態で印刷データを編集できる。
【0010】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、レイヤー表示処理において、モード設定処理で最小印刷回数モードが設定された場合、印刷色が同じオブジェクトに対応する複数のレイヤーを1つにまとめて、まとめられたレイヤーに対応するレイヤープレビューを表示手段に表示してもよい。この場合、編集装置はユーザがレイヤープレビューをまとめる手間を省略できる。
【0011】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、レイヤー表示処理において、モード設定処理で最短長さモードが設定された場合、オブジェクト毎にレイヤーを分けて、分けられた複数のレイヤーに対応するレイヤープレビューを表示手段に表示してもよい。この場合、編集装置はユーザがレイヤープレビューを分ける手間を省略できる。
【0012】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、レイヤー表示処理において、対応するオブジェクトが1つのレイヤーに対応するオブジェクトが削除された場合、オブジェクトが削除されたレイヤーを削除して、削除されたレイヤーに対応するレイヤープレビューを表示手段から削除してもよい。この場合、編集装置はユーザが不要なレイヤープレビューを削除する手間を省略できる。
【0013】
本発明に一態様に係る編集装置において、レイヤープレビューは、レイヤー毎に、重ね合わせラベルにおけるレイヤーに対応する上側ラベルを示す上側ラベル画像と、重ね合わせラベルにおける台紙ラベルの外形形状を示す台紙ラベル枠とを含んでもよい。この場合、ユーザは作成された上側ラベルを台紙ラベルに貼り合わせて重ね合わせラベルを作成する際、台紙ラベルに対する上側ラベルの位置が分かりやすい。よって、編集装置は重ね合わせラベルが作成される際に台紙ラベルに対して不適切な位置に上側ラベルが貼り合わされることを抑制できる。
【0014】
本発明の一態様に係る編集装置において、制御部は、レイヤー表示処理で表示手段に表示されたレイヤープレビューに対応する印刷データをレイヤー毎にテーププリンタに出力するための印刷指示を取得する指示取得処理を行い、指示取得処理で印刷指示が取得された場合、レイヤー表示処理で表示手段に表示されたレイヤープレビューに対応するラベルを示すラベル画像の一覧を含む印刷プレビューを編集処理で編集された印刷データに基づいて表示手段に表示する印刷表示処理を行い、指示取得処理で印刷指示が取得された場合、レイヤー表示処理で表示手段に表示されたレイヤープレビューに対応する印刷データをレイヤー毎にテーププリンタに出力する出力処理を行い、印刷表示処理では、印刷プレビューにおいて、出力処理で印刷データがテーププリンタに出力されたレイヤーに対応するラベル画像を、出力処理で印刷データがテーププリンタに出力される前のレイヤーに対応するラベル画像と区別可能に表示してもよい。この場合、編集装置は印刷の進捗をユーザに示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】印刷システム1の斜視図である。
図2】重ね合わせラベル49の作成方法の説明図である。
図3】印刷システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】メイン処理のフローチャートである。
図5】全体編集画面271の説明図である。
図6】全体編集画面271およびレイヤー編集画面272の説明図である。
図7】重ね合わせラベル編集処理のフローチャートである。
図8】重ね合わせラベル編集処理のフローチャートである。
図9】重ね合わせラベル編集処理のフローチャートである。
図10】全体編集画面271およびレイヤー編集画面272の説明図である。
図11】全体編集画面271、レイヤー編集画面272、および確認画面273の説明図である。
図12】印刷処理のフローチャートである。
図13】印刷前の印刷プレビュー274の説明図である。
図14】印刷中の印刷プレビュー274の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る印刷システム1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0017】
図1を参照し、印刷システム1の概要を説明する。印刷システム1は編集装置20とテーププリンタ10とを備える。編集装置20は汎用のパーソナルコンピュータであり、ネットワーク100を介してテーププリンタ10と通信できる。編集装置20はテープ40にオブジェクトを印刷することでラベルを作成するための印刷データを編集できる。オブジェクトは文字、図形、記号等で構成される。テーププリンタ10は編集装置20によって編集された印刷データに基づいて、インクリボンを使用してオブジェクトをテープ40に印刷する印刷動作を行う。テーププリンタ10は1回の印刷では1色で印刷可能である。
【0018】
テーププリンタ10の概略構成を説明する。以下の説明では、図1の左上側、右下側、左下側、右上側、上側、下側を、それぞれ、テーププリンタ10およびテープカセット30の左側、右側、前側、後側、上側、下側とする。
【0019】
テーププリンタ10の上面には入力部2が設けられる。入力部2はユーザの操作に応じて各種情報をテーププリンタ10に入力する。入力部2の後側には表示部3が設けられる。表示部3は各種情報を表示する。表示部3の後側にはカバー4が設けられる。カバー4は装着部5に対して開閉可能である。
【0020】
装着部5は表示部3の後側に設けられる。装着部5にはテープカセット30が着脱可能に装着される。以下では、装着部5に装着されているテープカセット30を「装着カセット」という。テープカセット30はカセットケース31を備える。カセットケース31の内部にはテープ40およびインクリボン(図示略)が収容される。テープ40は、長尺状であり、基材、粘着層、剥離紙の順に積層されて構成される。基材のうち剥離紙とは反対側の面はインクリボンによってオブジェクトが印刷される印刷面である。
【0021】
カセットケース31の前面には識別部32が設けられる。識別部32は、面部と凹部の組み合わせで構成され、インクリボンの色(つまり、テープ40に印刷されるオブジェクトの色、以下「印刷色」という。)およびテープ40の属性(以下「テープ属性」という。)に応じて異なるパターンで形成される。本実施形態では種々のテープ属性がある。種々のテープ属性には、テープ40の幅方向の長さ(以下「テープ幅」という。)、テープ40の色、不透明な基材を有するいわゆるノンクリアテープ(ノーマルテープ)および透明または半透明な基材を有するいわゆるクリアテープのいずれであるか等が含まれる。以下では、印刷色およびテープ属性を示す情報を「カセット情報」という。識別部32はカセット情報を示す。
【0022】
装着部5にはリボン巻取軸6、テープ駆動軸7、およびサーマルヘッド9(図3参照)が設けられる。リボン巻取軸6は搬送モータ16(図3参照)の駆動により、使用済みのインクリボンを巻き取り、未使用のインクリボンを搬送する。テープ駆動軸7は搬送モータ16(図3参照)の駆動によりテープ40を搬送する。サーマルヘッド9は発熱することでインクリボンを使用してテープ40にオブジェクトの印刷を行う。テープ駆動軸7の左側には切断部8が設けられる。切断部8は切断モータ17(図3参照)の駆動により、オブジェクトが印刷されたテープ40を切断する。これによりラベルが作成される。
【0023】
図2を参照し、ラベルを説明する。本実施形態ではラベルは台紙ラベル41と上側ラベル42とに区分される。台紙ラベル41の印刷面に上側ラベル42が貼り合わされることで重ね合わせラベル49が作成される。つまり、台紙ラベル41は重ね合わせラベル49の土台となる。以下では、台紙ラベル41を作成するためのテープ40を「台紙テープ」という。つまり、台紙テープにオブジェクトが印刷され、切断されることによって台紙ラベル41が作成される。上側ラベル42を作成するためのテープ40を「上側テープ」という。つまり、上側テープにオブジェクトが印刷され、切断されることによって上側ラベル42が作成される。テープ40は台紙テープと上側テープとにテープ属性に応じて分類される。本実施形態ではノンクリアテープは台紙テープに分類される。クリアテープは上側テープに分類される。なおクリアテープは台紙テープに分類されてもよい。
【0024】
図2(A)では、黒色のテキスト「No admittance 禁止入内」が印刷された白色の台紙ラベル41と、青色のテキスト「立ち入り禁止」が印刷された透明な上側ラベル42と、赤色の図形が印刷された2つの透明な上側ラベル42とを示す。図2(B)では、3つの上側ラベル42が台紙ラベル41に貼り合わされて作成された重ね合わせラベル49を示す。なお、図2では便宜的にいずれのオブジェクトも黒色で示し、ラベルの色を白色で示す(図6図10図11図13図14も同様)。
【0025】
上側ラベル42が透明なので、ユーザは重ね合わせラベル49において上側ラベル42を介して台紙ラベル41の印刷面を透かして視認できる。このように、印刷システム1は1回の印刷では1色で印刷が行われる簡易な構成のテーププリンタ10を使用して、1枚のラベルに複数色(図2の例では黒色、青色、赤色の3色)のオブジェクトが印刷されたように見える重ね合わせラベル49(いわゆる多色ラベル)を作成できる。
【0026】
図3を参照し、テーププリンタ10の電気的構成を説明する。テーププリンタ10はCPU11を備える。CPU11はテーププリンタ10を制御し、プロセッサとして機能する。CPU11には、フラッシュメモリ12、ROM13、RAM14、通信部15、入力部2、表示部3、サーマルヘッド9、搬送モータ16、切断モータ17、および読取装置18が電気的に接続する。フラッシュメモリ12はCPU11が実行するプログラム等を記憶する。ROM13は各種プログラムの実行時にCPU11が必要な各種パラメータを記憶する。RAM14は編集装置20から受信した印刷データ等、種々の一時データを記憶する。通信部15はネットワーク100を介して編集装置20と通信するためのコントローラである。読取装置18は識別部32からカセット情報を読み取るためのセンサである。
【0027】
編集装置20の電気的構成を説明する。編集装置20はCPU21を備える。CPU21は編集装置20を制御し、プロセッサとして機能する。CPU21には、フラッシュメモリ22、ROM23、RAM24、通信部25、入力部26、表示部27、およびドライブ装置28が電気的に接続する。フラッシュメモリ22はCPU21が実行するプログラム、ラベルデータ等を記憶する。RAM24は種々の一時データを記憶する。ROM23は各種プログラムの実行時にCPU21が必要な各種情報を記憶する。通信部25はネットワーク100を介してテーププリンタ10と通信するためのコントローラである。入力部26はマウス、キーボード等であり、ユーザの操作に応じて各種情報を編集装置20に入力する。表示部27はカラー表示が可能な液晶ディスプレイであり、編集された印刷データに基づく表示等、各種情報を表示する。ドライブ装置28は記録媒体28Aに記憶された情報を読み出すことができる。記録媒体28Aは半導体メモリ、光ディスク等である。CPU21は記録媒体28Aに記憶されたメインプログラムをドライブ装置28によって読み出し、フラッシュメモリ22に記憶できる。
【0028】
図4図14を参照し、編集装置20のCPU21で実行されるメイン処理を説明する。メイン処理を開始するための指示が入力部26を介して入力された場合、CPU21はメインプログラムを実行することによってメイン処理を開始する。以下では図2(B)に示す重ね合わせラベル49を作成する場合を適宜例に挙げて説明する。メイン処理では印刷データが編集され、編集された印刷データに基づく表示制御が行われる。編集された印刷データに基づく印刷制御が行われ、印刷制御に基づく表示制御が行われる。
【0029】
図4に示すように、CPU21は装着カセット情報取得処理を行う(S11)。装着カセット情報取得処理ではCPU21は装着カセットに対応するカセット情報(以下「装着カセット情報」という。)を要求するための要求コマンドをネットワーク100を介してテーププリンタ10に送信する。テーププリンタ10ではCPU11は編集装置20から要求コマンドを受信すると、読取装置18(図3参照)を介して識別部32(図1参照)から装着カセット情報を読み取る。CPU11は読み取った装着カセット情報を、ネットワーク100を介して編集装置20に送信する。編集装置20ではCPU21はテーププリンタ10から装着カセット情報を取得する。なお、CPU21は複数のテーププリンタ10と通信可能な場合、各テーププリンタ10から装着カセット情報を取得する。CPU21はテーププリンタ10と通信不能な場合、または装着部5にテープカセット30が装着されていない場合、装着カセット情報を取得しない。CPU21は取得した装着カセット情報をRAM24に記憶する。
【0030】
CPU21は全体編集画面271(図5参照)を表示部27に表示する(S12)。図5に示すように、全体編集画面271には領域61、62、63が設けられる。領域61には、テキストサイズ表示部64、印刷モード表示部65、テキストボックス(図示略)、色指定部(図示略)、標準カセット情報表示部68等、印刷データの編集操作が行われるための表示が設けられる。テキストサイズ表示部64にはテキストの大きさが表示される。ユーザは入力部26を介してテキストサイズ表示部64を操作することでテキストの大きさを変更できる。印刷モード表示部65には後述の印刷モードが表示される。ユーザは入力部26を介して印刷モード表示部65を操作することで、目的に応じて印刷モードを選択できる。ユーザは入力部26を介してテキストボックス等を操作することでテキスト、図形等のオブジェクトを追加できる。ユーザは入力部26を介して色指定部を操作することでオブジェクトの印刷色を変更できる。
【0031】
標準カセット情報表示部68には標準カセット情報が表示される。標準カセット情報は標準カセットに対応するカセット情報である。標準カセットは装着カセット情報取得処理(S11)で1つの装着カセット情報が取得された場合、取得された装着カセット情報に対応するテープカセット30(つまり装着カセット)を示す。標準カセット情報は装着カセット情報取得処理(S11)で複数の装着カセット情報が取得された場合、デフォルトのテープカセット30を示す。デフォルトのテープカセット30は例えば白色のノンクリアテープと黒色のインクリボンとを備え、テープ幅が24mmである。標準カセット情報は装着カセット情報取得処理(S11)で装着カセット情報が取得されなかった場合、デフォルトのテープカセット30を示す。図5の具体例では「24mm 黒白」が標準カセット情報表示部68に表示される。なお「24mm」はテープ幅を示す。「黒」は印刷色を示す。「白」は白色のテープ40(つまり、ノンクリアテープ)であることを示す。ユーザは入力部26を介して標準カセット情報表示部68を操作することで標準カセットを変更できる。
【0032】
領域62には編集中の重ね合わせラベル画像66が表示される。重ね合わせラベル画像66は作成される重ね合わせラベル49に対応する重ね合わせプレビューである。編集開始時には標準カセットに対応する重ね合わせラベル画像66(つまり、デフォルトの重ね合わせラベル画像66)が領域62に表示される。デフォルトの重ね合わせラベル画像66は台紙画像661のみを含む。台紙画像661は実線によって台紙ラベルの外形形状を示す。
【0033】
なお、印刷データの編集操作が行われた場合、印刷データの編集操作に応じた重ね合わせラベル画像66が表示される。例えばオブジェクトの追加が行われるとオブジェクト画像が重ね合わせラベル画像66に追加される。オブジェクト画像は追加されたオブジェクトを色指定部で指定されている色で示す。図5は台紙テープに印刷されるオブジェクト(以下「台紙オブジェクト」という。)として黒色のテキスト「No admittance 禁止入内」が追加された状態を示す。オブジェクト画像662は黒色のテキスト「No admittance 禁止入内」を示す。ユーザは入力部26を介してオブジェクト画像を操作することでオブジェクトの移動および削除の編集ができる。領域63には印刷ボタン67等、印刷操作が行われるための表示が設けられる。ユーザは印刷ボタン67を選択することでテーププリンタ10による印刷動作を実行できる。
【0034】
図4に示すように、CPU21は編集操作受付処理を行う(S13)。ユーザは全体編集画面271において入力部26を介して印刷データの編集操作を行うことができる。具体的には上述したように、印刷モードの選択、オブジェクトの追加および削除、オブジェクトの形状、位置、大きさ、および印刷色の変更等の印刷データの編集が可能である。印刷モードには最短長さモードと最小印刷回数モードとがある。詳しくは後述するが、最短長さモードでは上側ラベル42をオブジェクト毎に作成するように制御される。最小印刷回数モードでは上側ラベル42を印刷色が同じオブジェクト毎に作成するように制御される。なお、本実施形態では編集開始時の印刷モードには最短長さモードが設定される(図5参照)。編集操作受付処理ではCPU21は入力部26を介して印刷データの編集操作を受け付ける。CPU21は受け付けた印刷データの編集操作に応じた各種情報をRAM24に記憶する。各種情報は印刷モードを示す情報、オブジェクトに関する情報等である。
【0035】
CPU21は印刷データの変更内容を全体編集画面271に反映する(S14)。例えば上述したように、台紙オブジェクトとして黒色のテキスト「No admittance 禁止入内」が追加されると、CPU21はオブジェクト画像662を重ね合わせラベル画像66に追加する(図5参照)。
【0036】
CPU21は編集操作受付処理(S13)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、上側オブジェクトがあるか否かを判断する(S15)。上側オブジェクトは上側テープに印刷されるオブジェクトであり、台紙オブジェクトの印刷色とは異なる印刷色のオブジェクトである。本実施形態では標準カセットのテープ属性がノンクリアテープの場合、CPU21は標準カセットの印刷色と異なる印刷色のオブジェクトを上側オブジェクトと判断する。標準カセットのテープ属性がクリアテープの場合、CPU21は標準カセットの印刷色と同じ印刷色のオブジェクトを上側オブジェクトと判断する。図5の具体例に示すように、標準カセットのテープ属性がノンクリアテープであり、標準カセットの印刷色が黒色の場合には、黒色以外の印刷色のオブジェクトがなければ、上側オブジェクトがないと判断される(S15:NO)。この場合、CPU21は処理をS13へ戻す。
【0037】
図6に示すように、例えば図5に示す状態から青色のテキスト「立ち入り禁止」が追加されると、S14でオブジェクト画像663が重ね合わせラベル画像66に追加される。この場合、図4に示すように、標準カセットのテープ属性がノンクリアテープであり、追加されたテキストの印刷色(青色)は標準カセットの印刷色(黒色)と異なるので、上側オブジェクトがあると判断される(S15:YES)。この場合、CPU21はベースレイヤーおよび通常レイヤーを作成する(S16)。S16ではCPU21は台紙オブジェクトに対応するレイヤーをベースレイヤーに、上側オブジェクトに対応するレイヤーを通常レイヤーに分類してRAM24に記憶する。つまり、CPU21はオブジェクトを台紙テープ(ベースレイヤー)および上側テープ(通常レイヤー)のいずれかに割り当てる。
【0038】
CPU21は作成されたベースレイヤーおよび通常レイヤーに基づいて表示部27においてレイヤー編集画面272(図6参照)を全体編集画面271に重畳表示する(S17)。図6に示すように、レイヤー編集画面272にはレイヤー毎にレイヤー画面が設けられる。例えば図5に示す状態から青色のテキスト「立ち入り禁止」が追加されると、レイヤー編集画面272にレイヤー画面72、73が設けられる。レイヤー画面72はベースレイヤーに対応する。レイヤー画面73は通常レイヤー1に対応する。本実施形態では台紙ラベル41(ベースレイヤー)に対応するレイヤー画面が複数のレイヤー画面の中で最上部に配置される。台紙ラベル41に対して上側ラベル42が貼り合わされる順番で上側ラベル42(通常レイヤー)に対応するレイヤー画面が、台紙ラベル41に対応するレイヤー画面から下方に並んで表示される。よって、編集装置20はユーザが上側ラベル42を台紙ラベル41に貼り合わせる順番を間違えることを抑制できる。
【0039】
各レイヤー画面72、73の左部にはラベル表示領域81が設けられる。ラベル表示領域81には各レイヤーに対応するラベル画像が表示される。ラベル画像は作成されたレイヤーに対応するレイヤープレビューであり、各レイヤーに対応する編集中のラベルを示す。図6に示す具体例では、ラベル表示領域81においてレイヤー画面72ではラベル画像83が、レイヤー画面73ではラベル画像84がそれぞれ表示される。通常レイヤーに対応するレイヤー画面73ではラベル表示領域81に台紙ラベル枠89が表示される。台紙ラベル枠89は破線によって台紙ラベル41の外形形状を示す。台紙ラベル枠89に対するラベル画像の位置は台紙ラベル41に対して上側ラベル42が貼り付けられる位置に対応する。よって、ユーザは台紙ラベル枠89に対するラベル画像の位置を確認することで、台紙ラベル41に対して上側ラベル42が貼り付けられる位置を容易に把握できる。
【0040】
各レイヤー画面72、73の右部には操作領域82が設けられる。操作領域82にはレイヤー名表示部91、ラベル長さ表示部92、選択カセット情報表示部93、配置方向表示部94、余白表示部95、削除ボタン96等、印刷データの編集操作が行われるための表示が設けられる。レイヤー名表示部91にはレイヤー名(ベースレイヤー、通常レイヤー1等)が表示される。ユーザは例えばレイヤー名表示部91を確認することでベースレイヤーと通常レイヤーとを区別できる。ラベル長さ表示部92にはラベル長さが表示される。ラベル長さはテープ40の長手方向におけるラベルの長さである。ユーザは入力部26を介してラベル長さ表示部92を操作することで、ラベル長さを変更できる。
【0041】
選択カセット情報表示部93には選択カセット情報が表示される。選択カセット情報は複数の選択候補のテープカセット30の中から選択カセット情報表示部93が操作されて選択されたテープカセット30(以下「選択カセット」という。)に対応するカセット情報である。選択カセットは印刷に使用されるテープカセット30である。つまり、ユーザは入力部26を介して選択カセット情報表示部93を操作することで、印刷に使用されるテープカセット30を選択できる。図6の具体例において、レイヤー画面72では「24mm 黒白」が、レイヤー画面73では「12mm 青クリア」が選択カセット情報表示部93に表示される。なお、「24mm」および「12mm」はテープ幅を示す。「黒」および「青」は印刷色を示す。「白」は白色のテープ40(つまり、ノンクリアテープ)であることを示す。「クリア」はクリアテープであることを示す。
【0042】
複数の選択候補のテープカセット30に対応するカセット情報は予めフラッシュメモリ22に記憶される。クリアテープのテープカセット30は通常レイヤーに対応する選択候補のテープカセット30に分類される。ノンクリアテープのテープカセット30はベースレイヤーに対応する選択候補のテープカセット30に分類される。複数の選択候補のテープカセット30に対応するカセット情報の中にS11で取得された装着カセット情報と同じカセット情報がある場合、編集開始時の選択カセット情報表示部93にはS11で取得された装着カセット情報と同じカセット情報が選択カセット情報として表示される。よって、編集装置20はユーザが装着カセットを確認する手間を省略できる。
【0043】
配置方向表示部94には後述の配置方向が表示される。余白表示部95にはテープ40の長手方向(図2の左右方向)の両端に設けられる余白の長さが表示される。ユーザは入力部26を介して余白表示部95を操作することで、余白の長さを変更できる。削除ボタン96は操作領域82の右上部に設けられる。ユーザは入力部26を介して削除ボタン96を選択することで、選択された削除ボタン96に対応するレイヤーを削除できる。
【0044】
図4に示すように、CPU21は重ね合わせラベル編集処理を行う(S18)。CPU21は印刷処理を行う(S19)。CPU21はメイン処理を終了する。
【0045】
図7図11を参照し、重ね合わせラベル編集処理を説明する。図7に示すように、CPU21は編集操作受付処理を行う(S21)。ユーザは全体編集画面271に加えてレイヤー編集画面272においても入力部26を介して印刷データの編集操作を行うことができる。具体的にはS13で説明した編集内容に加えて、上述したように、選択カセットの変更、レイヤーの削除等の印刷データの編集が可能である。編集操作受付処理ではCPU21は入力部26を介して印刷データの編集操作を受け付ける。CPU21は受け付けた印刷データの編集操作に応じた各種情報をRAM24に記憶する。各種情報は印刷モードを示す情報、オブジェクトに関する情報、選択カセットに関する情報等である。
【0046】
CPU21は編集操作受付処理(S21)で受け付けられた印刷データの編集操作に基づいて、全体編集画面271上で印刷データの編集操作があったか否かを判断する(S22)。全体編集画面271上で印刷データの編集操作があった場合(S22:YES)、CPU21は処理をS31に移行し、全体編集画面271上での印刷データの編集操作に応じた処理を行う。レイヤー編集画面272上での印刷データの編集操作があり、全体編集画面271上で印刷データの編集操作がなかった場合(S22:NO)、CPU21は処理をS51(図8参照)へ移行し、レイヤー編集画面272上での印刷データの編集操作に応じた処理を行う。
【0047】
全体編集画面271上で印刷データの編集操作が行われた場合の処理を説明する。CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、上側オブジェクトの追加があったか否かを判断する(S31)。上側オブジェクトの追加があった場合(S31:YES)、CPU21は通常レイヤーを作成する(S32)。
【0048】
図9に示すように、CPU21はRAM24を参照することで印刷モードが最短長さモードであるか否かを判断する(S61)。印刷モードが最短長さモードの場合(S61:YES)、CPU21は上側オブジェクト毎にレイヤーを分けて作成する(S62)。これにより編集装置20は上側ラベル42をオブジェクト毎に作成できる。よって、編集装置20は最小印刷回数モードに比べ印刷に使用される上側テープの消費量を抑制し得る。CPU21は処理をS64へ移行する。
【0049】
印刷モードが最小印刷回数モードであり、最短長さモードでない場合(S61:NO)、CPU21は同じ印刷色の上側オブジェクトを同じレイヤーにまとめて作成する(S63)。これにより、編集装置20は上側ラベル42を印刷色が同じオブジェクト毎に作成できる。このため、複数の上側オブジェクトがあっても印刷色が同じオブジェクトであれば編集装置20は1回の印刷で複数の上側オブジェクトを印刷できる。よって、編集装置20は最短長さモードに比べ印刷回数が少なくなり早く印刷できる。CPU21は処理をS64へ移行する。S62、S63によって、追加されたすべてのオブジェクトの印刷色とは異なる印刷色のオブジェクト(以下「新たな印刷色のオブジェクト」という。)が追加される度に、新たな印刷色のオブジェクトに対応するレイヤーが作成される。
【0050】
CPU21は配置方向判断処理を行う(S64)。以下では、表示されているオブジェクト画像に対してテープ40が配置される方向を、「配置方向」という。配置方向には平行配置と直交配置とがある。平行配置は表示されているオブジェクト画像の左右方向がテープ40の長手方向と一致する配置方向である。直交配置は表示されているオブジェクト画像の左右方向がテープ40の幅方向と一致する配置方向である。
【0051】
配置方向判断処理ではCPU21は選択カセットが用いられた場合において配置方向を平行配置とした場合と配置方向を直交配置とした場合とで、上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷可能か否かを判断する。上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷可能な場合には、CPU21は作成された上側ラベル42が台紙ラベル41に貼り付けられた場合に台紙ラベル41から上側ラベル42がはみ出るか否かを判断する。以下では、上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷可能であり、且つ作成された上側ラベル42が台紙ラベル41に貼り付けられた場合に台紙ラベル41から上側ラベル42がはみ出ない場合を「印刷許容」という。印刷許容でない場合、つまり上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷不能である場合、または上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷可能であるが、作成された上側ラベル42が台紙ラベル41に貼り付けられた場合に、台紙ラベル41から上側ラベル42がはみ出る場合を「印刷不可」という。印刷許容の場合、CPU21は印刷許容となる上側ラベル42の長手方向における最短の長さを算出する。つまり印刷許容の場合、CPU21は上側オブジェクトを上側テープの印刷領域内に印刷可能となる上側テープの長さを算出する。この場合、CPU21は余白表示部95に表示されている余白の長さを考慮する。
【0052】
CPU21は配置方向判断処理(S64)での判断結果に基づいて、平行配置および直交配置のいずれでも選択カセットで印刷不可か否かを判断する(S65)。平行配置および直交配置のいずれでも選択カセットで印刷不可の場合(S65:YES)、CPU21は配置方向判断処理(S64)で判断対象となったレイヤーを警告対象レイヤーとしてRAM24に記憶する(S66)。CPU21は印刷データの変更内容を編集画面に反映する(S71)。具体的には、CPU21は追加された上側オブジェクトを示すオブジェクト画像を重ね合わせラベル画像66に追加する。CPU21はS32で作成された通常レイヤーに対応するレイヤー画面を表示する。CPU21はRAM24に記憶されている警告対象レイヤーに対応するレイヤー画面に警告マーク99(図10参照)を表示することで警告する。CPU21は処理をメイン処理(図4参照)へ戻す。
【0053】
図10に示すように、例えば上側オブジェクトとして重ね合わせラベル画像66の左部にある赤色の図形が追加されると、S71においてCPU21はオブジェクト画像664を重ね合わせラベル画像66に追加する。CPU21は通常レイヤー2に対応するレイヤー画面74を表示する。図10は通常レイヤー2に対応する上側ラベル42が台紙ラベル41に貼り付けられた場合に平行配置と直交配置のいずれでも台紙ラベル41から上側ラベル42がはみ出る場合を示す。つまり、図10は通常レイヤー2が警告対象レイヤーの場合を示す。この場合、通常レイヤー2に対応するレイヤー画面74に警告マーク99が表示される。編集装置20は警告対象レイヤーを警告マーク99によって示すことで、警告対象レイヤーに対応する選択カセット(図10では「36mm 赤クリア」)を印刷許容のテープカセット30に変更する必要があることをユーザに報知できる。この例の場合、ユーザは例えば入力部26を介して選択カセット情報表示部93を操作することで、選択カセットを「36mm 赤クリア」から「24mm 赤クリア」に変更する。
【0054】
図9に示すように、平行配置および直交配置の少なくとも一方であれば選択カセットで印刷許容の場合(S65:NO)、CPU21は配置方向判断処理(S64)での判断結果に基づいて、平行配置および直交配置のいずれでも選択カセットで印刷許容か否かを判断する(S67)。平行配置および直交配置のいずれか一方でのみ選択カセットで印刷許容の場合(S67:NO)、CPU21は印刷許容の配置方向および印刷許容となる上側ラベル42の最短の長さをRAM24に記憶する(S68)。CPU21は印刷データの変更内容を編集画面に反映する(S71)。具体的には、CPU21は追加されたオブジェクトを示すオブジェクト画像を重ね合わせラベル画像66に追加する。CPU21はS32で作成された通常レイヤーに対応するレイヤー画面を表示する。CPU21はRAM24に記憶された配置方向に応じて、配置方向判断処理(S64)で判断対象となったレイヤーに対応する配置方向表示部94(図10参照)を表示する。CPU21はRAM24に記憶された印刷許容となる上側ラベル42の最短の長さに応じて、配置方向判断処理(S64)で判断対象となったレイヤーに対応するラベル長さ表示部92(図10参照)を表示する。
【0055】
図10に示すように、例えば上側オブジェクトとして重ね合わせラベル画像66の右部にある赤色の図形が追加されると、S71においてCPU21はオブジェクト画像665を重ね合わせラベル画像66に追加する。印刷モードが最短長さモードであれば、CPU21は通常レイヤー3に対応するレイヤー画面75を表示する。図10は平行配置において通常レイヤー3に対応する選択カセット「24mm 赤クリア」が印刷許容となる場合を示す。この場合、CPU21は通常レイヤー3に対応する配置方向表示部94に平行配置が設定されている旨を表示する。CPU21は通常レイヤー3に対応するラベル長さ表示部92にラベル長さとして20mmを表示する。
【0056】
平行配置および直交配置のいずれとも選択カセットで印刷許容の場合(S67:YES)、CPU21はテープ消費量判断処理を行う(S69)。テープ消費量判断処理ではCPU21は選択カセットが用いられた場合において配置方向を平行配置とした場合と配置方向を直交配置とした場合とで、消費される上側テープの長さ(つまり、消費量)を比較する。消費量は配置方向判断処理(S64)で算出された印刷許容となる上側テープの最短の長さである。
【0057】
CPU21はテープ消費量判断処理(S69)で上側テープの消費量が少ないと判断された方の配置方向および印刷許容となる上側テープの最短の長さをRAM24に記憶する(S70)。CPU21は印刷データの変更内容を編集画面に反映する(S71)。具体的には、CPU21は上述したように追加されたオブジェクトに関する表示(オブジェクト画像の追加、レイヤー画面の追加)を行う。CPU21はRAM24に記憶された配置方向に応じて、配置方向判断処理(S64)で判断対象となったレイヤーに対応する配置方向表示部94(図10参照)を表示する。CPU21は印刷許容となる上側テープの最短の長さをラベル長さ表示部92に表示する。
【0058】
図7に示すように、S31において上側オブジェクトの追加でない場合(S31:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、印刷モードの変更があったか否かを判断する(S33)。印刷モードの変更があった場合(S33:YES)、CPU21は確認画面273(図11参照)を表示部27において全体編集画面271およびレイヤー編集画面272に重畳表示する(S34)。図11に示すように、確認画面273は印刷モードが変更された場合におけるレイヤー編集画面272の内容を示す。例えば図10の状態から印刷モードが最短長さモードから最小印刷回数モードへ変更されると、確認画面273は図10における通常レイヤー2と通常レイヤー3とが統合された状態のレイヤー編集画面272の内容を示す。確認画面273の下部にはOKボタン78とキャンセルボタン79とが設けられる。ユーザは入力部26を介してOKボタン78を選択することで印刷モードの変更を確定でき、キャンセルボタン79を選択することで印刷モードの変更をキャンセルできる。
【0059】
図7に示すように、CPU21はOKボタン78およびキャンセルボタン79のいずれが選択されたかに応じて印刷モードの変更を確定するか否かを判断する(S35)。ユーザが入力部26を介してキャンセルボタン79を選択した場合、CPU21は印刷モードの変更をキャンセルする(S35:NO)。この場合、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応が変更されることもなく、配置方向が変更されることもない。このため、図9に示すように、CPU21は処理をS71へ移行し、印刷モードの変更操作が行われる前の編集画面に戻す(S71)。
【0060】
図7に示すように、ユーザが入力部26を介してOKボタン78を選択した場合、CPU21は印刷モードの変更を確定する(S35:YES)。印刷モードが変更されると、各通常レイヤーのそれぞれについて、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応(上側オブジェクト毎に1つの通常レイヤーまたは上側オブジェクトの印刷色毎に1つの通常レイヤー)、配置方向(平行配置または直交配置)が変更される可能性がある。このため、CPU21は処理をS61(図9参照)へ移行し、各通常レイヤーのそれぞれについて上述したようにS61以降の処理を行う。S71ではCPU21は印刷モード表示部65の更新、配置方向の変更に伴うラベル画像の更新、ラベル長さ表示部92の更新、配置方向表示部94の更新等を行う(S71)。
【0061】
印刷モードの変更でない場合(S33:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、上側オブジェクトの印刷色の変更があったか否かを判断する(S36)。上側オブジェクトの印刷色の変更があった場合(S36:YES)、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応(レイヤーの統合または分離)、配置方向が変更される可能性がある。このため、CPU21は処理をS61(図9参照)へ移行し、上述したようにS61以降の処理を行う。S71ではCPU21はオブジェクト画像の色の変更、レイヤーの統合または分離に伴うレイヤー画面の統合または分離、ラベル画像の色の変更、ラベル長さ表示部92の更新、配置方向表示部94の更新等を行う(S71)。
【0062】
上側オブジェクトの印刷色の変更でない場合(S36:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、オブジェクトの大きさまたは位置の変更があったか否かを判断する(S37)。オブジェクトの大きさまたは位置の変更があった場合(S37:YES)、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応が変更されることはないが、配置方向が変更される可能性がある。このため、CPU21は処理をS64(図9参照)へ移行し、上述したようにS64以降の処理を行う。S71ではCPU21はオブジェクト画像の位置または大きさの変更、ラベル画像の変更、ラベル長さ表示部92の更新、配置方向表示部94の更新等を行う(S71)。
【0063】
上側オブジェクトの大きさまたは位置の変更でない場合(S37:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、上側オブジェクトの削除があったか否かを判断する(S38)。上側オブジェクトの削除があった場合(S38:YES)、CPU21は上側オブジェクトの削除があった通常レイヤーに上側オブジェクトが残っているかを判断する(S39)。上側オブジェクトの削除があった通常レイヤーに上側オブジェクトが残っている場合(S39:YES)、図9に示すように、CPU21は削除された上側オブジェクトに対応するオブジェクト画像を全体編集画面271から削除し、かつ上側オブジェクトの削除があった通常レイヤーに対応するラベル画像を変更する(S71)。
【0064】
上側オブジェクトの削除があった通常レイヤーに上側オブジェクトが残っていない場合(S39:NO)、CPU21は上側オブジェクトの個数が0個になった通常レイヤー(つまり、S38で上側オブジェクトの削除があったと判断された通常レイヤー)をRAM24から削除する(S40)。図9に示すように、CPU21は削除された上側オブジェクトに対応するオブジェクト画像を全体編集画面271から削除するとともに、削除された通常レイヤーに対応するレイヤー画面をレイヤー編集画面272から削除する(S71)。
【0065】
図7に示すように、上側オブジェクトの削除でない場合(S38:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に応じた処理を行う(S41)。CPU21は処理をS71へ移行する。
【0066】
レイヤー編集画面272上で印刷データの編集操作が行われた場合の処理を説明する。図8に示すように、CPU21は選択カセットの変更があったか否かを判断する(S51)。選択カセットの変更があった場合(S51:YES)、CPU21は変更された選択カセットがベースレイヤーに対応する選択カセットであるか否かを判断する(S52)。変更された選択カセットが通常レイヤーに対応する選択カセットであり、ベースレイヤーに対応する選択カセットでない場合(S52:NO)、CPU21は処理をS61(図9参照)へ移行する。変更された選択カセットがベースレイヤーに対応する選択カセットの場合(S52:YES)、変更された選択カセットに対応するテープ40の大きさ(テープ幅およびラベル長さ)に応じた台紙ラベル枠89(図6参照)をRAM24に記憶する(S53)。CPU21は処理をS61(図9参照)へ移行する。
【0067】
選択カセットが変更されると、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応、配置方向が変更される可能性がある。このため、図9に示すように、CPU21は処理をS61へ移行し、上述したようにS61以降の処理を行う。S71ではCPU21はレイヤー編集画面272において台紙ラベル枠89またはラベル画像の変更、ラベル長さ表示部92の更新、配置方向表示部94の更新等を行う(S71)。
【0068】
図8に示すように、選択カセットの変更でない場合(S51:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に基づいて、通常レイヤーの削除があったか否かを判断する(S54)。通常レイヤーの削除があった場合(S54:YES)、CPU21は削除された通常レイヤーに対応する上側オブジェクトを全てRAM24から削除する(S55)。この場合、上側オブジェクトと通常レイヤーの対応が変更されることもなく、配置方向が変更されることもない。このため、CPU21は処理をS71(図9参照)へ移行し、削除された上側オブジェクトを示すオブジェクト画像を全体編集画面271から削除するとともに、削除されたレイヤーに対応するレイヤー画面をレイヤー編集画面272から削除する(S71)。
【0069】
通常レイヤーの削除でない場合(S54:NO)、CPU21は編集操作受付処理(S21)でRAM24に記憶された各種情報に応じた処理を行う(S56)。CPU21は処理をS71(図9参照)へ移行する。
【0070】
図12を参照し、印刷処理を説明する。ユーザは入力部26を介して印刷ボタン67(図10参照)を選択することで、テーププリンタ10による印刷動作を実行するための印刷指示を編集装置20に入力する。CPU21は入力された印刷指示を取得する(S81)。CPU21は印刷プレビュー274(図13参照)を表示部27に表示する(S82)。
【0071】
図13に示すように、印刷プレビュー274の左部には領域51が設けられる。領域51には重ね合わせラベル画像66が表示される。印刷プレビュー274の右部には領域52が設けられる。領域52には各レイヤーに対応するラベル画像83、84、85、86が並んで表示される。通常レイヤーに対応するラベル画像84~86には台紙ラベル枠89が表示される。本実施形態では台紙ラベル41(ベースレイヤー)に対応するラベル画像が複数のラベル画像の中で最上部に配置される。台紙ラベル41に対して上側ラベル42が貼り合わされる順番で上側ラベル42(通常レイヤー)に対応するラベル画像が、台紙ラベル41に対応するラベル画像から下方に並んで表示される。本実施形態では印刷が行われたレイヤーに対応するラベル画像は未印刷のレイヤーに対応するラベル画像と区別可能に表示される。具体的には図14に示すように、ラベル画像84に対応するレイヤーの印刷が行われた場合、ラベル画像84に斜線98が表示される。
【0072】
図12に示すように、CPU21は未印刷のレイヤーがあるか否かを判断する(S83)。斜線98(図14参照)が表示されていないラベル画像がある場合、CPU21は未印刷のレイヤーがあると判断する(S83:YES)。この場合、CPU21は装着カセット情報取得処理を行う(S84)。装着カセット情報取得処理ではCPU21はS11(図4参照)と同様に装着カセット情報を取得する。なお、CPU21は複数のテーププリンタ10と通信可能な場合、各テーププリンタ10から装着カセット情報を取得する。CPU21は取得した装着カセット情報を各テーププリンタ10と対応付けてRAM24に記憶する。
【0073】
CPU21は各レイヤー毎にS13(図4参照)またはS21(図7参照)で選択された選択カセット情報とS84で取得された装着カセット情報とに基づいて選択カセットと同じ装着カセットがあるか否かを判断する(S85)。選択カセットと同じ装着カセットがない場合(S85:NO)、カセットエラー表示(図示略)を表示部27に表示する(S86)。カセットエラー表示は例えば「12mm 青クリアのテープカセットを装着してください」等、選択カセットと同じテープカセット30を装着部5に装着するようにユーザに促す。CPU21は処理をS84へ戻す。
【0074】
選択カセットと同じ装着カセットがある場合(S85:YES)、CPU21は印刷制御処理を行う(S87)。印刷制御処理ではCPU21は印刷対象のオブジェクトを印刷するための印刷データを、オブジェクトに対応するレイヤー毎にネットワーク100を介してテーププリンタ10に送信する。換言すればCPU21は表示部27に表示されたラベル画像に対応する印刷データを、ラベル画像毎にネットワーク100を介してテーププリンタ10に送信する。テーププリンタ10ではCPU11は編集装置20から印刷データを受信すると、印刷データに基づいて印刷動作を行う。これによりテーププリンタ10はレイヤー毎にラベルを作成できる。詳細には最短長さモードの場合、テーププリンタ10はオブジェクト毎に上側ラベルを作成できる。最小印刷回数モードの場合、テーププリンタ10は印刷色が同じオブジェクト毎に上側ラベルを作成できる。なお最短長さモードおよび最小印刷回数モードのいずれの場合でも、テーププリンタ10は1枚の台紙ラベルを作成できる。
【0075】
CPU21は印刷プレビュー274を更新する(S88)。S88ではS87で印刷されたレイヤー(つまり印刷データが出力されたレイヤー)に対応するラベル画像に斜線98が表示される。具体的にはラベル画像84に対応するレイヤーの印刷が行われた場合、ラベル画像84に斜線98が表示される(図14参照)。これによりユーザは未印刷のレイヤーを容易に把握できる。CPU21は処理をS83へ戻す。
【0076】
すべてのレイヤーに対応するラベル画像に斜線98が表示された場合、CPU21は未印刷のレイヤーがないと判断する(S83:NO)。この場合、CPU21は処理をメイン処理(図4参照)へ戻す。
【0077】
以上説明したように、ユーザは印刷モードとして最短長さモードおよび最小印刷回数モードのいずれかを選択できる。ユーザによって最短長さモードが選択されると、オブジェクト毎に上側ラベル42が作成される。このため印刷に使用される上側テープの消費量が抑制され得る。なおユーザによって最小印刷回数モードが選択されると、印刷色が同じオブジェクト毎に上側ラベル42が作成される。このため複数のオブジェクトがあっても印刷色が同じオブジェクトであれば1回で印刷される。このため、最小印刷回数モードが選択された場合、最短長さモードに比べ印刷回数が少なくなり早く印刷することが可能となる。ユーザは、目的に応じてモードを切り替えることができる。
【0078】
S11で取得された装着カセットが示すテープ属性および印刷色と、S13またはS21で取得された印刷色とに基づいて、オブジェクトがベースレイヤー(台紙テープ)および通常レイヤー(上側テープ)のいずれかに割り当てられる。よって、編集装置20はユーザがオブジェクトを台紙テープおよび上側テープのいずれかに割り当てる手間を省略できる。
【0079】
レイヤー画面が表示部27に表示される。よって、編集装置20は上側ラベル42の形状と大きさをユーザが認識した状態で印刷データを編集できる。
【0080】
最小印刷回数モードが設定された場合、印刷色が同じオブジェクトに対応する複数のレイヤーが1つにまとめられて、まとめられたレイヤーに対応するレイヤー画面が表示部27に表示される。よって、編集装置20はユーザがレイヤー画面をまとめる手間を省略できる。
【0081】
最短長さモードが設定された場合、オブジェクト毎にレイヤーが分けられて、分けられた複数のレイヤーに対応するレイヤー画面が表示部27に表示される。よって、編集装置20はユーザがレイヤー画面を分ける手間を省略できる。
【0082】
対応するオブジェクトが1つのレイヤーに対応するオブジェクトが削除された場合、オブジェクトが削除されたレイヤーが削除されて、削除されたレイヤーに対応するレイヤー画面が表示部27から削除される。よって、編集装置20はユーザが不要なレイヤー画面を削除する手間を省略できる。
【0083】
レイヤー画面は、レイヤー毎にラベル画像と台紙ラベル枠89とを含む。このため、ユーザは作成された上側ラベル42を台紙ラベル41に貼り合わせて重ね合わせラベル49を作成する際、台紙ラベル41に対する上側ラベル42の位置が分かりやすい。よって、編集装置20は重ね合わせラベル49が作成される際に台紙ラベル41に対して不適切な位置に上側ラベル42が貼り合わされることを抑制できる。
【0084】
印刷プレビュー274において、印刷データがテーププリンタ10に出力されたレイヤーに対応するラベル画像が、印刷データがテーププリンタ10に出力される前のレイヤーに対応するラベル画像と区別可能に表示される。よって、編集装置20は印刷の進捗をユーザに示すことができる。
【0085】
なお、上記実施形態において表示部27が本発明の「表示手段」に相当する。CPU21が本発明の「制御部」に相当する。フラッシュメモリ22が本発明の「記憶部」に相当する。メイン処理で印刷データを編集する処理が本発明の「編集処理」に相当する。図4のS13、図7のS21でオブジェクトを取得する処理が本発明の「オブジェクト取得処理」に相当する。図4のS13、図7のS21でオブジェクトの印刷色を取得する処理が本発明の「色取得処理」に相当する。図4のS13で標準カセット情報を取得する処理、図7のS21で選択カセット情報を取得する処理が本発明の「属性取得処理」に相当する。図4のS16、図7のS32の処理が本発明の「割当処理」に相当する。図9のS64の処理で判断対象となるレイヤーに対応するテープ40が本発明の「対象テープ」に相当する。図9のS68、S70で配置方向と印刷許容となる上側テープの最短の長さを記憶する処理が本発明の「上側テープ設定処理」に相当する。図7のS35で印刷モードの変更を確定する処理が本発明の「モード設定処理」に相当する。図4のS12、S14、図9のS71で全体編集画面271の表示制御を行う処理が本発明の「重ね合わせ表示処理」に相当する。図4のS11の処理が本発明の「装着カセット情報取得処理」に相当する。図4のS17、図9のS71でレイヤー編集画面272の表示制御を行う処理が本発明の「レイヤー表示処理」に相当する。ラベル画像84、85、86が本発明の「上側ラベル画像」に相当する。図12のS81の処理が本発明の「指示取得処理」に相当する。図12のS82、S88の処理が本発明の「印刷表示処理」に相当する。図12のS87の処理が本発明の「出力処理」に相当する。
【0086】
本発明は上記実施形態から種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では印刷データを新規に生成して編集する場合を例に挙げて説明したが、フラッシュメモリ22に記憶された編集途中の印刷データが読み出されて編集されてもよい。この場合、編集装置20は編集途中の印刷データに上側オブジェクトが含まれていれば、編集途中の印刷データに基づいて予め全体編集画面271とレイヤー編集画面272とを表示部27に表示してもよい。
【0087】
上記実施形態の印刷プレビュー274ではラベル画像は台紙ラベル41に対して上側ラベル42が貼り合わされる順番で並ぶ。これに対し印刷プレビュー274においてラベル画像は印刷が行われる順番に並んでもよい。
【0088】
編集装置20は入力部26を介してユーザによってレイヤー名表示部91が操作されることで、レイヤーの順番を変更できてもよい。レイヤーの順番は台紙ラベル41に対して複数の上側ラベル42が貼り合わされる順番に対応する。この場合、ベースレイヤーと通常レイヤーの順番が入れ替えられた場合と、通常レイヤー同士で順番が入れ替えられた場合とでその後に行われる処理が異なる。具体的にはベースレイヤーと通常レイヤーの順番が入れ替えられた場合、すべてのレイヤーに対応する選択カセット、配置方向、ラベル長さ、台紙ラベル枠89等が変更される可能性がある。この場合、CPU21はすべてのレイヤーについてS61以降の処理を行う。通常レイヤー同士で順番が入れ替えられた場合、CPU21はレイヤー画面の表示位置を切り替えるだけでよい。なお、例えば入力部26を介してレイヤー画面の表示位置が切り替えられることでレイヤーの順番が変更されてもよい。
【0089】
上記実施形態ではレイヤー編集画面272が全体編集画面271に重畳表示されるが、レイヤー編集画面272と全体編集画面271とが互いに隣り合うように表示部27に表示されてもよい。レイヤー編集画面272は表示されなくてもよい。レイヤー画面が領域62に表示されてもよい。台紙ラベル枠89の表示態様は上記実施形態に限定されず、例えば実線で示されてもよいし、表示されなくてもよい。
【0090】
上記実施形態では印刷プレビュー274において印刷が行われたレイヤーに対応するラベル画像は未印刷のレイヤーに対応するラベル画像と区別可能に表示される。具体的には印刷が行われたレイヤーに対応するラベル画像に斜線98が表示されるが、グレーアウトされてもよいし、点灯または点滅されてもよいし、印刷済みマークが付されてもよいし、印刷プレビュー274から消去されてもよい。
【0091】
テープカセット30の使用履歴がフラッシュメモリ12またはフラッシュメモリ22に蓄積されてもよい。この場合、CPU21はフラッシュメモリ12またはフラッシュメモリ22に記憶された使用履歴に基づいて、選択カセット情報表示部93に表示されるテープカセット30の選択候補を決定してもよい。編集開始時の選択カセット情報表示部93には使用履歴にあるテープカセット30が選択カセット情報として表示されてもよい。
【0092】
テーププリンタ10は複数種類のテープカセット30が一度に装着可能に構成されてもよい。この場合、印刷色、テープ幅が変わる度にユーザが装着カセットを交換する手間が省略される。
【0093】
上記実施形態では上側オブジェクトが削除された場合に削除されたオブジェクトに対応するレイヤーにオブジェクトがなければ、削除されたオブジェクトに対応するレイヤー画面がレイヤー編集画面272から自動的に削除される。これに対しユーザによって削除ボタン96が選択されるまでレイヤー画面は削除されなくてもよい。
【0094】
上記実施形態では表示部27はカラー表示が可能であるが、カラー表示が可能でなくてもよい。この場合、表示部27は色を識別可能に表示すればよい。具体的には表示部27は、色に応じた符号を各オブジェクトまたは各レイヤー画面に付して、かつ各符号がいずれの色を示すかを表示してもよいし、符号の代わりに斜線、横線、縦線等で色の違いを表現してもよい。表示部27は編集装置20とは別体として設けられ、編集装置20と通信可能であってもよい。この場合、CPU21は各種表示を行う指示を表示部27に送信すればよい。
【0095】
上記実施形態ではRAM24に記憶されている警告対象レイヤーに対応するレイヤー画面に警告マーク99(図10参照)が表示されることで警告される。これに対し、警告対象レイヤーに対応するラベル画像が他のラベル画像と識別可能に表示されることで警告されてもよいし、音声等が出力されることで警告されてもよい。
【0096】
追加されたオブジェクトを台紙テープ(ベースレイヤー)および上側テープ(通常レイヤー)のいずれに割り当てるかは、ユーザによる入力部26の操作に応じて選択されてもよい。配置方向を平行配置および直交配置のいずれに設定するかは、ユーザによる入力部26の操作に応じて選択されてもよい。
【0097】
上記実施形態ではCPU21は装着カセット情報をテーププリンタ10から取得する。これに対しユーザは入力部26を操作することで装着カセット情報を編集装置20に入力してもよい。つまりCPU21は入力部26を介しユーザによって入力された装着カセット情報を取得してもよい。テーププリンタ10ではCPU11は読取装置18を介して識別部32から装着カセット情報を読み取る。これに対しテープカセット30は装着カセット情報が記憶された記憶部(例えばRFタグ)を備え、CPU11は読取装置18を介して記憶部から装着カセット情報を読み取ってもよい。ユーザは入力部2を操作することで装着カセット情報をテーププリンタ10に入力してもよい。つまりCPU11は入力部2を介しユーザによって入力された装着カセット情報を取得してもよい。このようにCPU21が装着カセット情報を取得する方法は、いずれの方法にも限定されない。
【0098】
上記実施形態では編集装置20はテーププリンタ10とネットワーク100を介して接続される。これに対し編集装置20はケーブル等を介してテーププリンタ10と接続されてもよい。上記実施形態ではメイン処理の全部が編集装置20において実行される。これに対しメイン処理の一部または全部はテーププリンタ10において実行されてもよい。つまりCPU11がメイン処理の一部または全部を実行してもよい。この場合、CPU11は全体編集画面271、レイヤー編集画面272、確認画面273、印刷プレビュー274等を表示部3に表示してもよい。
【0099】
CPU21の代わりにマイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等がプロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。非一時的な記憶媒体は情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは例えばネットワーク100に接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ22に記憶されてもよい。この場合、プログラムはサーバに備えられたハードディスクドライブ等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。なお上述した変形例は矛盾が生じない限り、互いに組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0100】
20 編集装置
21 CPU
22 フラッシュメモリ
27 表示部
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