(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】制御装置、制御プログラム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20230926BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20230926BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/0631
(21)【出願番号】P 2019130329
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2021-12-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/032097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報
と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記記憶部に記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、
前記記憶部に記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、
前記記憶部に記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、
前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する推定部と、
前記推定部により推定されたスタッフ数に関する情報を出力する出力部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記推定部は、補正後の前記実行スケジュールに基づいて、補正前の前記実行スケジュールにおいて必要とされるスタッフ数より多いスタッフ数または少ないスタッフ数を推定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ケアに関する情報は、前記対象者に投薬された薬であり、
前記対象者の状況は、排泄回数であり、
前記対象者に必要となるケアの内容は、排泄ケア回数であり、
前記ケアの内容に対応するケアに要する時間は、排泄ケア時間である、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ケアに関する情報は、前記対象者の運動量であり、
前記対象者の状況は、睡眠時間であり、
前記対象者に必要となるケアの内容は、ケアコール回数であり、
前記ケアの内容に対応するケアに要する時間は、ケアコール対応時間である、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報
と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する手順(a)と、
記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記手順(a)において記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、
記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、
記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、
前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する手順(b)と、
前記手順(b)において推定されたスタッフ数に関する情報を出力する手順(c)と、
を有する処理を、コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項6】
制御装置に実施させる方法であって、
第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報
と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する段階(a)と、
記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記段階(a)において記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、
記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、
記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、
前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する段階(b)と、
前記段階(b)において推定されたスタッフ数に関する情報を出力する段階(c)と、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御プログラム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護や看護等を必要とする要介護者および要看護者等のケア対象者の増加が想定される。
【0003】
このような状況においては、介護等のケアを行うスタッフを適切に配置する必要がある。特許文献1には、次の技術が開示されている。複数の評価項目についての評価値を含む評価情報を医療スタッフごとに格納するとともに、医療スタッフの評価値と照合される基準値を含む選定条件を医療チームのタイプ別に格納する。そして、医療チームのタイプの入力を受け付け、受け付けたタイプに応じた基準値と、医療スタッフごとに格納された評価情報の評価値とを照合して、当該医療チームのメンバーとなる医療スタッフの候補を選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、施設に入居するケア対象者は様々な状態(要介護度、要支援度)であり、ある時間帯にケア対象者に行われたケアの影響が、その後の時間帯で必要となるケアに及ぶことが多い。その一方で、ケア実行者の時間帯ごとの配置人数を過不足なく適切に設定することが望まれている。特許文献1に開示された先行技術では、このような要望に対応できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。すなわち、ケア実行者の時間帯ごとの配置人数を適切に決定できる、制御装置、制御プログラム、および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記記憶部に記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、前記記憶部に記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、前記記憶部に記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する推定部と、前記推定部により推定されたスタッフ数に関する情報を出力する出力部と、を有する制御装置。
(2)前記推定部は、補正後の前記実行スケジュールに基づいて、補正前の前記実行スケジュールにおいて必要とされるスタッフ数より多いスタッフ数または少ないスタッフ数を推定する、上記(1)に記載の制御装置。
(3)前記ケアに関する情報は、前記対象者に投薬された薬であり、前記対象者の状況は、排泄回数であり、前記対象者に必要となるケアの内容は、排泄ケア回数であり、前記ケアの内容に対応するケアに要する時間は、排泄ケア時間である、上記(1)または(2)に記載の制御装置。
(4)前記ケアに関する情報は、前記対象者の運動量であり、前記対象者の状況は、睡眠時間であり、前記対象者に必要となるケアの内容は、ケアコール回数であり、前記ケアの内容に対応するケアに要する時間は、ケアコール対応時間である、上記(1)または(2)に記載の制御装置。
【0015】
(5)第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する手順(a)と、
記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記手順(a)において記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する手順(b)と、
前記手順(b)において推定されたスタッフ数に関する情報を出力する手順(c)と、
を有する処理を、コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0016】
(6)制御装置に実施させる方法であって、第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報と、前記ケアに関する情報と前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報と、前記対象者の状況と前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報と、1回のケアに要する時間の実績の情報と、を記憶する段階(a)と、記憶された、前記ケアに関する情報と、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯において予測される前記対象者の状況とが関連付けされた情報を用いて、前記段階(a)において記憶された前記ケアに関する情報に基づいて、前記第2時間帯において予測される前記対象者の状況を特定し、記憶された、前記対象者の状況と、前記第2時間帯において前記対象者に必要となるケアの内容とが関連付けされた情報を用いて、特定した前記対象者の状況に基づいて、前記対象者に必要となるケアの内容を特定し、記憶された、1回のケアに要する時間の実績の情報を用いて、特定した前記ケアの内容に対応するケアに要する時間を特定し、特定した前記ケアの内容および前記ケアに要する時間に基づいて、通常の実績に基づく前記対象者に対するケアの実行スケジュールを補正し、各対象者の補正後の前記実行スケジュールに基づいて、前記第2時間帯においてケアが必要となる対象者の人数を特定して、前記第2時間帯において前記対象者にケアを行うためのスタッフ数を推定する段階(b)と、前記段階(b)において推定されたスタッフ数に関する情報を出力する段階(c)と、を有する制御方法。
【発明の効果】
【0017】
第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯とは異なる第2時間帯において当該対象者のケアを行うスタッフ数を推定して出力する。これにより、ケア実行者の時間帯ごとの配置人数を適切に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ケアサポートシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】ケア対象者の部屋のベッド周辺に設置された検知部の例を示す図である。
【
図4】管理サーバーの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】ケアに関する情報に基づいて、ケア対象者に必要となるケアの種類、時間、および回数を推定する処理について説明するための説明図である。
【
図6】ケア対象者ごとの、各ケアに要した時間の実績を示す図である。
【
図7】夜の時間帯における、通常の実績に基づく各ケア対象者に対するケアの実行スケジュールと、ケアに関する情報に基づいて推定されたケア対象者に必要となるケアの種類、時間、および回数等に基づいて補正された実行スケジュールとを示す図である。
【
図8】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図9】ケアサポートシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、制御装置、制御プログラム、および制御方法について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
なお、本明細書において、ケアを受ける対象者であるケア対象者には、異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者が広く含まれ、例えば、要介護者、患者、および要支援者を含む。ケアには、ケア対象者に対してケア実行者が行うケアを広く含み、例えば排泄ケア、入浴ケア、食事ケア、移動ケア、見守りケア、見回りケア、寝返りケア、および介護記録の作成のほか、食事の準備や掃除などの生活介助を含む。
【0021】
図1はケアサポートシステム1の全体構成を示す図である。
図2はケア対象者の部屋のベッド90周辺に設置された検知部10の例を示す図である。
【0022】
図1に示すように、ケアサポートシステム1は、複数の検知部10、管理サーバー20、固定端末30、および1つ以上の携帯端末40を有する。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク50は、通信信号を中継する中継機を備えてもよい。
図1に示す例では、携帯端末40は、検知部10、管理サーバー20、および固定端末30が、アクセスポイント51を含む無線LAN等(例えばIEEE802.11規格によるLAN)のネットワーク50によって、相互に通信可能に接続されている。
【0023】
ケアサポートシステム1は、例えば病院、および老人福祉施設等の建物に好適に配設される。
図1に示す例では、ケアサポートシステム1は、複数のケア対象者80がそれぞれ入居する複数の居室やケアステーションを含む複数の部屋を備える施設の建物内に配置されている。
【0024】
検知部10は、ケア対象者80の観察領域である、各フロア(フロアA~C)の居室にそれぞれ配置される。
図1に示す例では、フロアAにおいて、4つの検知部10がケア対象者80であるAさん、Bさん、Cさん、およびDさんの居室にそれぞれ配置されている。なお、図示は省略するが、その他のフロアにおいても、複数の検知部10が、ケア対象者80の居室にそれぞれ配置されている。ケア実行者であるユーザーu001、u002はそれぞれ携帯端末40を携帯している。管理サーバー20はネットワーク50に接続されている外部のサーバーであってもよい。また、固定端末30を省略し、管理サーバー20または携帯端末40がその機能を有してもよい。
【0025】
図3は検知部10の概略構成を示すブロック図である。検知部10は、制御部11、通信部12、カメラ13、およびケアコール部14を備え、これらの構成要素はバスによって、相互に接続されている。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリにより構成され、プログラムにしたがって検知部10の各部の制御および演算処理を行う。
【0027】
通信部12は、ネットワーク50を介して、例えば、管理サーバー20、固定端末30、および携帯端末40を含む他の装置と通信するためのインターフェースであり、例えばLANカードであり得る。
【0028】
カメラ13は、例えば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域としてケア対象者80のベッド90を含む領域を撮影し、撮影画像(画像データ)を出力する。この撮影画像には、静止画および動画が含まれる。カメラ13は、例えば可視光カメラまたは近赤外線カメラであり得る。
【0029】
制御部11は、カメラ13が撮影した撮影画像から、ケア対象者の行動を認識する。この認識する行動には、例えば、起床、離床、転倒、転落、歩行、外出、トイレへの入出等が含まれる。
【0030】
制御部11は、複数の撮影画像(例えば動画像)から画像のシルエット(以下、「人シルエット」と称する)を検知する。人シルエットは、例えば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検知され得る。人シルエットは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検知されてもよい。ケア対象者80の行動は、人シルエットに基づいて認識されるケア対象者80の姿勢(例えば、立位、座位、および臥位)の時間的変化、およびベッド90などの居室内の設置物との相対的な位置関係から検知され得る。制御部11は、所定の行動を検知した場合、検知された所定の行動、検知部10を特定するユニークなID(例えばMACアドレス)、および検知時刻を含む情報(以下、「センサー送信情報」と称する)を、通信部12を介して管理サーバー20へ送信する。所定の行動には、例えばケア対象者80の起床、離床、歩行、外出、トイレへの入室等が含まれる。センサー送信情報は、所定の行動が検知されている間、一定の時間間隔で繰り返し送信され得る。
【0031】
なお、ケア対象者80の所定の行動の検知は、管理サーバー20により行われてもよい。この場合、制御部11は、管理サーバー20へ撮影画像の送信を行う。
【0032】
ケアコール部14は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチがケア対象者80によって押されることでケアコールを検知する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりケアコールを検知してもよい。ケアコール部14は、ケアコール部14のスイッチが押されることでケアコールを検知した場合、ケアコール部14を特定するユニークなID(例えばMACアドレス)、および検知時刻を含む情報(以下、「ケアコール情報」と称する)を、ケアコールとして、通信部12を介して管理サーバー20へ送信する。なお、ケアコール部14は、携帯端末40との音声通話用のマイクおよびスピーカーを備えてもよい。
【0033】
センサー送信情報に含まれる所定の行動、およびケアコール情報によるケアコールは、ケア対象者80のイベントを構成する。以下、イベントに関する情報を、「イベント情報」と称する。
【0034】
なお、後述するように、ケア実行者は、ケアを行う際に、携帯する携帯端末40に、ケア対象者80、ならびにケアを開始する旨およびケアを終了する旨を入力し得る。これにより、携帯端末40から管理サーバー20へ、携帯端末40を特定するユニークなID(例えば携帯端末40の番号)、ケア対象者80、ケアの種類、ならびにケアを開始した時刻およびケアを終了した時刻、を含む情報(以下、「携帯端末送信情報」と称する)が送信されることで、ケア実行者によりケア対象者80への介護が行われたことが通知される。
【0035】
携帯端末送信情報に含まれる、ケア対象者80、ケア実行者(携帯端末40の番号等により特定される)、ケアの種類、ならびにケアを開始した時刻およびケアを終了した時刻は、ケア実行者によって対応されたケアの情報であり、以下、「ケア対応情報」と称する。なお、ケア対応情報には、例えば、食事量、食事内容、水分量等、ケアに付随して行われる記録が含まれる。
【0036】
(管理サーバー)
図4は、管理サーバー20の概略構成を示すブロック図である。管理サーバーは制御装置を構成する。管理サーバー20は、制御部21、通信部22、および記憶部23を有する。制御部21は推定部を構成する。通信部22は出力部を構成する。制御部21および通信部22の基本構成は、検知部10の対応する構成要素である、制御部11および通信部12と同様である。各構成要素は、バスによって、相互に接続されている。
【0037】
制御部21は、センサー送信情報に基づいて、イベント情報として、イベント名、ケア対象者、ならびにイベントの開始時間および終了時間を特定する。イベント名は、検知された所定の行動から特定される。ケア対象者80は検知部10を特定するユニークなIDから、当該IDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。当該テーブルはあらかじめ記憶部23に記憶される。イベントの開始時刻および終了時刻は、当該イベントに関するセンサー送信情報の受信開始時刻、および当該センサー送信情報が受信されなくなった時刻としてそれぞれ特定され得る。
【0038】
制御部21は、ケアコール情報に基づいて、イベント情報として、イベント名、ケア対象者、ならびにイベントの開始時刻および終了時刻を演算により特定する。イベント名はケアコール情報の受信によりケアコールと特定される。ケア対象者80は、ケアコール部14を特定するユニークなIDから、当該IDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。当該テーブルはあらかじめ記憶部23に記憶される。イベントの開始時刻および終了時刻は、ケアコール情報の受信開始時刻および受信終了時刻(ケアコール解除時刻)としてそれぞれ特定される。
【0039】
制御部21は、携帯端末送信情報に基づいて、ケア対応情報として、ケア対象者80、ケア実行者、ケアの種類、ならびにケアを開始した時刻およびケアを終了した時刻を特定する。ケア実行者は、携帯端末40を特定するユニークなIDから、当該IDとケア実行者との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。なお、携帯端末送信情報には、ケア対象者80に代えて、携帯端末40により検知されたケア実行者の現在位置が含まれ得る。この場合、制御部21は、ケア実行者の現在位置に対応する施設内の領域を特定し、特定した領域を居室とするケア対象者80を特定する。例えば、施設内の領域とケア対象者80の居室とを対応づけたテーブルをあらかじめ記憶部23に記憶させることにより、制御部21は当該テーブルを利用してケア実行者の現在位置に基づいてケア対象者80を特定し得る。
【0040】
制御部21は、イベント情報およびケア対応情報を、ケアに関する情報として、記憶部23に記憶させることで蓄積する。なお、ケア実行者によるケア対象者80に対するケアは、イベントの発生に関連して行われ得る。この場合、制御部21は、ケア対応情報を、イベント情報と関連付けて記憶部23に記憶させる。
【0041】
記憶部23は、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、携帯端末40を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、ケアコール部14を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、および、ケアに関する情報を含む各種データを記憶する。
【0042】
制御部21は、第1時間帯(例えば、昼の時間帯)に実行されたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯とは異なる第2時間帯(例えば、夜の時間帯)においてケア対象者80にケアを行うためのケア実行者の数(以下、「スタッフ数」と称する)を推定する。具体的には、制御部21は、ケアに関する情報に基づいて、昼の時間帯においてケア対象者80に対して行われたケアの種類を特定することで、夜の時間帯に必要なケアの内容を特定し、特定されたケアの内容に基づいて夜の時間帯において必要なスタッフ数を推定する。ケアの種類には、排泄ケア、運動ケア、入浴ケア、食事ケア、および投薬ケアが含まれる。なお、排泄ケアの内容には(自立して排泄可能な場合を含め)排泄回数が含まれる。運動ケアの内容には(自立して運動可能な場合を含め)運動時間が含まれる。入浴ケアの内容には(自立して入浴可能な場合を含め)入浴時間が含まれる。食事ケアの内容には、(自立して食事可能な場合を含め)食事量、食事内容、および水分量が含まれる。投薬ケアの内容には(自立して服薬可能な場合を含め)薬名が含まれる。ケアの内容には、ケアの種類およびケアの時間が含まれる。
【0043】
図5は、ケアに関する情報に基づいて、ケア対象者80に必要となるケアの種類および時間等を推定する処理について説明するための説明図である。
図6は、ケア対象者80ごとの、各ケアに要した時間の実績を示す図である。
【0044】
図5に示すように、昼の時間帯に実行された、各ケア対象者80に対するケアに関する情報が記憶部23から読み出されることで取得される。
図5の例においては、昼の時間帯に、Aさんに対し実行されたケアに関する情報として、食事量、水分量、排泄回数、運動時間、入浴時間、投薬された薬、および食事内容(摂取した食物)が取得されている。ケア対象者80に対するケアに関する情報に基づいて、ケア対象者80の夜の時間帯の状況が予測され得る。
【0045】
予測されるケア対象者80の夜の時間帯の状況には、例えば、夜の時間帯における排泄回数、および睡眠時間が含まれる。ケアに関する情報において、投薬された薬に利尿作用のあるものが含まれている場合、排泄回数は、通常の排泄回数の実績(例えば、過去3月の排泄回数の平均)よりも多くなると予測され得る。また、通常の排泄回数よりも増加させる回数は、利尿作用のある薬が投薬されていない場合の排泄回数の実績と、利尿作用のある薬が投薬された場合の排泄回数の実績との差とされ得る。また、ケアに関する情報において、運動時間(または歩行時間)が、通常の運動時間の実績(例えば、過去3月の運動時間の平均)より減少している場合、睡眠が浅くなることで、睡眠時間が、通常の睡眠時間の実績(例えば、過去3月の睡眠時間の平均)より少なくなると予想され得る。一方、ケアに関する情報において、運動時間が、通常の運動時間の実績より増加している場合、睡眠が深くなることで、睡眠時間が、通常の睡眠時間の実績より多くなると予想され得る。
【0046】
具体的には、予測されるケア対象者80の状況は、例えば次のように特定され得る。すなわち、夜の時間帯においてケア対象者80に必要となるケアの内容に影響し得る所定のケアの種類(例えば、運動量、投薬された薬)を予め記憶部23に記憶させることで登録しておく。さらに、当該所定のケアの種類により予測される夜の時間帯の状況(例えば、睡眠時間、排泄回数)を、当該所定のケアの種類と対応付けて予め記憶部23に記憶させることで登録しておく。そして、ケアに関する情報の中から、登録されている所定のケアの種類を検出し、検出された所定のケアの種類と関連付けられた、予測される夜の時間帯の状況(例えば、睡眠時間、排泄回数)を特定する。
【0047】
予測されたケア対象者80の状況から、夜の時間帯においてケア対象者80に必要となるケアの種類および時間等が、ケアの内容として特定される。ケア対象者80に必要となるケアの種類には、例えば、排泄ケア、ケアコール、および巡回が含まれる。
図6に示す、各ケアに要した時間の実績を参照すれば、Aさんの1回あたりの排泄ケアに要する時間は10分であり、上述したように、利尿作用のある薬が投薬されている場合等は、通常の排泄回数よりも排泄ケアの回数が増加すると予想され得る。また、Aさんによるケアコールの1回あたりの対応に要する時間は30分であり、上述したように、運動時間が、通常の運動時間の実績より増加している場合、睡眠が深く、睡眠時間が通常の実績より長くなると予想されるため、夜の時間帯のケアコールの回数が減少すると予想され得る。一方、運動時間が、通常の運動時間の実績より減少している場合、睡眠が浅く、睡眠時間が通常の睡眠時間の実績より少なくなると予想されるため、夜の時間帯のケアコールの回数が増加すると予想され得る。
【0048】
具体的には、夜の時間帯においてケア対象者80に必要となるケアの内容は、例えば次のように特定され得る。すなわち、
図6に示す、各ケアに要した時間の実績を予め記憶部23に記憶させることで登録しておく。さらに、夜の時間帯におけるケア対象者80の状況のうち所定の状況(例えば、睡眠時間)と、夜の時間帯においてケア対象者80に必要となるケアの内容(例えば、ケアコール回数)とを関連付けたテーブルを予め記憶部23に記憶させることで登録しておく。そして、予測される夜の時間帯の状況(例えば、睡眠時間、排泄回数)と、各ケアに要した時間の実績(例えば、ケアコールの1回あたりの対応に要する時間、排泄ケアの1回あたりの対応に要する時間)と、上記テーブル(例えば、睡眠時間とケアコール回数との関連)とに基づいて、夜の時間帯においてケア対象者80に必要となるケアの内容(例えば、ケアコールの1回あたりの対応に要する時間、ケアコール回数、排泄ケアの1回あたりの対応に要する時間、排泄回数)として特定する。
【0049】
図7は、夜の時間帯における、通常の実績に基づく各ケア対象者80に対するケアの実行スケジュールと、ケアに関する情報に基づいて推定されたケア対象者80に必要となるケアの種類、時間、および回数等に基づいて補正された実行スケジュールとを示す図である。
【0050】
図7の例においては、Aさんが昼の時間帯に利尿作用のある薬が投薬されたため、排泄回数が増加すると予想(特定)されている。このため、通常の実績に基づくAさんに対するケアの実行スケジュールに対し、排泄ケアが必要となる時間を早めるとともに時間を延長させる補正がなされている。なお、Aさんの排泄ケアに要した時間の実績は1回あたり10分であるが、排泄ケアの性質上、実行スケジュールにおいては、排泄ケアが必要となる時間を、実績よりも長時間(60分)とされている。排泄回数と、実行スケジュールにおける排泄ケアが必要となる時間との関係は、所定の関係式により設定され得る。このような、スケジュール上で確保すべきケアに要する時間を、
図6のような各ケアに要した時間の実績とは別に、ケア対象者80ごとに登録されていてもよい。
【0051】
上記補正の結果、夜1時台の時間において、AさんとBさんの2人同時の、排泄ケアが必要となる可能性があるため、夜の時間帯においてケアを行うためのケア実行者の数が2人と推定されることになる。なお、通常の実績に基づく各ケア対象者80に対するケアの実行スケジュールにおいては、複数のケア対象者80に対して同時にケアが必要となる時間帯が存在しないため、夜の時間帯においてケアを行うためのケア実行者の数は1人で足りていたことになる。
【0052】
制御部21は、例えば、ケアに関する情報に含まれる食事内容に基づいて、夜の時間帯に必要なケアの内容を特定し、特定されたケアの内容に基づいて夜の時間帯において必要なスタッフ数を推定し得る。例えば、制御部21は、昼の時間帯に利尿作用があるカフェインを含むコーヒーを摂取している場合は、利尿作用のある薬が投薬された場合と同様に、通常の排泄回数よりも排泄ケアの回数が増加すると推定し得る。この結果、他のケア対象者80に対するケアの実行スケジュールとの関係によっては、通常の実績より増加させたスタッフ数を推定し得る。また、例えば、制御部21は、昼の時間帯に、ふらつきの副作用のある薬が投薬されている場合は、定期的な見守りケアを、夜の時間帯に必要なケアの種類として推測(特定)し得る。この場合も、他のケア対象者80に対するケアの実行スケジュールとの関係によっては、通常の実績より増加させたスタッフ数を推定し得る。
【0053】
制御部21は、ケアに関する情報に基づいて、昼の時間帯においてケア対象者80に対して行われたケアの種類を特定することで、夜の時間帯に不要なケアの種類を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数を推定し得る。例えば、昼の時間帯に眠剤が投薬されている場合は、睡眠が深く、睡眠時間が通常の実績より長くなると予想されるため、ケアコールへの対応が不要またはケアコールが減少すると予想される。この結果、制御部21は、他のケア対象者80に対するケアの実行スケジュールとの関係によっては、通常の実績より減少させたスタッフ数を推定し得る。
【0054】
制御部21は、ケアに関する情報に基づいて、昼の時間帯においてケア対象者80に対して行われなかったケアの種類を特定することで、夜の時間帯に必要なケアの種類を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数を推定し得る。例えば、昼の時間帯に運動がされなかった場合、または運動ケアが実行されなかった場合は、睡眠が浅く、睡眠時間が通常の実績より短くなると予想されるため、夜中に起きやすくなり、夜の時間帯のケアコールの回数が増加すると予想される。この結果、制御部21は、他のケア対象者80に対するケアの実行スケジュールとの関係によっては、通常の実績より増加させたスタッフ数を推定し得る。
【0055】
制御部21は、推定したスタッフ数に関する情報を、通信部22を介して、固定端末30または携帯端末40へ送信することで出力する。なお、制御部21は、管理サーバー20が表示部(図示せず)を備える場合は、スタッフ数に関する情報を、当該表示部に表示することで出力してもよい。スタッフ数に関する情報は、夜の時間帯に必要なスタッフ数(すなわち、夜の時間帯の各時間に必要なスタッフ数の最大値)であってもよく、夜の時間帯の時間毎に必要なスタッフ数であってもよい。
【0056】
(固定端末)
固定端末30は、PC(Personal Computer)であり、CPU、RAM、ROM、HDD、表示部、通信部、および入力部等を備える。表示部は、出力部を構成する。入力部は、管理者による各種情報の操作入力を受け付ける。管理サーバー20の記憶部23に記憶される、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルは、入力部から入力されることで、管理サーバー20へ送信され、記憶部23に記憶され得る。同様に、携帯端末40を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、およびケアコール部14を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルも、入力部から入力されることで、管理サーバー20へ送信され、記憶部23に記憶され得る。表示部は、管理サーバー20から受信された、推定されたスタッフ数に関する情報を表示する。
【0057】
(携帯端末)
図8は、携帯端末40の概略構成を示すブロック図である。携帯端末40は、制御部41、無線通信部42、表示部43、入力部44,音声入出力部45、および位置検知部46を備え、これらはバスにより相互に接続される。携帯端末40は、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、ケア実行者により携帯可能な通信端末機器によって構成できる。
【0058】
制御部41は、検知部10の制御部11の構成と同様に、CPU、RAM、ROMなどの基本構成を備える。
【0059】
無線通信部42は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)などの規格による無線通信を行う機能を有し、アクセスポイント51を経由して、または直接に各装置と無線通信する。
【0060】
表示部43、および入力部44は、タッチパネルであり、液晶などで構成される表示部43の表示面に、入力部44としてのタッチセンサーが設けられる。表示部43、入力部44によって、ケア実行者に対して、ケアをこれから実行しようとするケア対象者80、ケアの内容、ならびにケアを開始する旨およびケアを終了する旨を入力するための画面を含む各種操作画面を表示したり、操作画面を通じて各種の操作を受け付ける。
【0061】
音声入出力部45は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部42を介して他の携帯端末40との間でケア実行者相互間の音声通話を可能にする。また、音声入出力部45は、無線通信部42を介して検知部10との間で音声通話を可能にする機能を有し得る。
【0062】
位置検知部46は、例えばGPS機能を有し、携帯端末40を携帯するケア実行者の現在位置を検知する。または、位置検知部46は、ICタグ機能を有し、各部屋に設けたRFIDリーダーで読み取ることにより、ケア実行者の現在位置を検知する。
【0063】
制御部41は、無線通信部42により、携帯端末40を特定するユニークなID、ケア対象者80、ケアの内容、ならびにケアを開始した時間およびケアを終了した時間、を含む情報を携帯端末送信情報として管理サーバー20へ送信する。なお、ケア対象者80に代えて、位置検知部46により検知されたケア実行者の現在位置が管理サーバー20へ送信されてもよい。ケア実行者の現在位置が管理サーバー20へ送信されることにより、管理サーバー20によりケア実行者の現在位置に対応する施設内の領域が特定され、特定された領域を居室とするケア対象者80が特定される。
【0064】
図9は、ケアサポートシステム1の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、管理サーバー20の制御部21によりプログラムに従って実行され得る。
【0065】
制御部21は、ケアに関する情報を記憶部23に記憶させる(S101)。
【0066】
制御部21は、記憶されたケアに関する情報に基づいて、昼の時間帯に各ケア対象者80に行われたケアの種類を特定することで、夜の時間帯に各ケア対象者に必要なケアの内容を特定する(S102)。なお、上述したように、制御部21は、昼の時間帯に各ケア対象者80に行われなかったケアの種類を特定することで、夜の時間帯に各ケア対象者に必要なケアの内容を特定してもよい。また、制御部21は、昼の時間帯に各ケア対象者80に行われたケアの種類を特定することで、夜の時間帯に各ケア対象者に不要なケアの内容を特定してもよい。
【0067】
制御部21は、特定された、夜の時間帯に各ケア対象者に必要なケアの内容に基づいて、スタッフ数を推定する(S103)。なお、上述したように、制御部21は、特定された夜の時間帯に各ケア対象者に不要なケアの内容に基づいて、スタッフ数を推定してもよい。
【0068】
制御部21は、推定されたスタッフ数に関する情報を出力する(S104)。
【0069】
実施形態は、以下の効果を奏する。
【0070】
第1時間帯において対象者に対して行われたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯とは異なる第2時間帯において当該対象者のケアを行うスタッフ数を推定して出力する。これにより、ケア実行者の時間帯ごとの配置人数を適切に決定できる。
【0071】
さらに、記憶されたケアに関する情報に基づいて、第2時間帯に必要なケアの内容を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数に関する情報を推定する。これにより、簡易かつ高精度にケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数を決定できる。
【0072】
さらに、記憶されたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯において対象者に対して行われたケアの種類を特定することで、第2時間帯に必要なケアの内容を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数に関する情報を推定する。これにより、より簡易かつより高精度にケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数を決定できる。
【0073】
さらに、記憶されたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯において対象者に対して行われたケアの種類を特定することで、第2時間帯に不要なケアの内容を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数に関する情報を推定する。これにより、ケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数をより適切に決定できる。
【0074】
さらに、記憶されたケアに関する情報に基づいて、第1時間帯において対象者に対して行われなかったケアの種類を特定することで、第2時間帯に必要なケアの内容を特定し、特定されたケアの種類に基づいてスタッフ数に関する情報を推定する。これにより、ケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数をより適切に決定できる。
【0075】
さらに、記憶された、対象者ごとのケアに関する情報に基づいて、第2時間帯に必要な、または不要なケアの内容を対象者ごとに特定し、対象者ごとに特定されたケアの種類に基づいて前記スタッフ数に関する情報を推定する。これにより、より高精度かつより適切にケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数を決定できる。
【0076】
さらに、第2時間帯に必要なケアの内容を、ケアの種類およびケアの時間帯とする。これにより、より簡易かつより高精度かつより適切にケア実行者の時間帯ごとに必要な配置人数を決定できる。
【0077】
以上に説明したケアサポートシステム1の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的なケアサポートシステムが備える構成を排除するものではない。
【0078】
例えば、管理サーバー20が有する機能を、検知部10が備えるようにしてもよい。
【0079】
また、第1時間帯および第2時間帯は、それぞれ昼の時間帯および夜の時間帯に限定されない。例えば、第1時間帯が夜の時間帯で、第2時間帯が第1時間帯後の昼の時間帯であってもよい。
【0080】
また、検知部10、管理サーバー20、および携帯端末40は、それぞれ複数の装置により構成されてもよく、いずれか複数の装置が単一の装置として構成されてもよい。
【0081】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0082】
また、上述したケアサポートシステム1における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ケアサポートシステム、
10 検出部、
11 制御部、
12 通信部、
13 カメラ、
14 ケアコール部、
20 管理サーバー、
21 制御部、
22 通信部、
23 記憶部、
30 固定端末、
40 携帯端末、
41 制御部、
42 無線通信部、
43 表示部、
44 入力部、
45 音声入出力部、
46 位置検知部、
50 ネットワーク、
51 アクセスポイント。