(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】光源装置、投影装置及び光源制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20230926BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230926BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 F
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2019139289
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 敦史
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120812(JP,A)
【文献】特開2017-213980(JP,A)
【文献】特開2018-128547(JP,A)
【文献】特開2008-180921(JP,A)
【文献】特開2012-119089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ時分割で光を出射する
、レーザ発光素子以外の第一光源及び
レーザ発光素子を有する第二光源と、
前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、
前記光検出部と接続され
、互いに並列に接続された第一電路及び第二電路を有する負荷回路と、
前記第一光源による光の出力期間
における前記第一電路及び前記第二電路の合成負荷を前記第二光源による光の出力期間
におけるよりも小さくするように前記第二電路の負荷を切り換える切り換え手段と、
少なくとも前記第二光源による光の出力期間において、前記負荷回路からの出力信号
の電圧レベルが
閾値未満又は閾値以下であるか否か、或いは前記出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下である単位期間数又は時間であるか否かによって異常判定基準を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記出力信号が異常判定基準を満たすと判定された場合、少なくとも前記第二光源の動作を停止させる制御部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記
第二電路には、前記制御部からの切換信号により導通を切り換えるスイッチング素子が配置されることを特徴とする
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記
第一電路は第一抵抗を有し、
前記
第二電路は、前記第一抵抗よりも抵抗値の小さい第二抵抗と、前記第二抵抗と直列接続されて前記制御部から前記第一光源の出力期間に前記切換信号を検出して前記
第二電路を導通又は遮断させる前記スイッチング素子と、を有する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、ベースを前記制御部と接続し、コレクタを前記第二抵抗と接続した、エミッタ接地のバイポーラ型のトランジスタを含む、ことを特徴とする
請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光検出部は、検出した光量に対応した電流を前記
光検出部の出力電路に出力し、
前記制御部は、前記切換信号を前記ベースに出力するとともに、前記出力電路から検出した前記出力信号の電圧により異常判定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出力信号が前記第一光源及び前記第二光源の複数周期の出力期間に亘って予め定めた閾値未満又は閾値以下である場合に異常判定することを特徴とする
請求項1乃至
請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記第一光源は赤色波長帯域光を出射し、
前記第二光源は青色波長帯域光及び緑色波長帯域光を出射する、
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項6の何れかに記載の光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至
請求項7の何れかに記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影対象物に投影する投影光学系と、
を有し、
前記制御部は、前記表示素子と前記光源装置とを制御することを特徴とする投影装置。
【請求項9】
時分割で光を出射する第一光源及び第二光源と、前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、前記光検出部と接続される負荷回路と、を備えた光源装置の光源制御方法であって、
前記第一光源はレーザ発光素子以外の発光素子であり、前記第二光源
はレーザ発光素子を有し、
前記負荷回路は、互いに並列に接続された第一電路及び第二電路を有し、
前記第一光源による光の出力期間における前記第一電路及び前記第二電路の合成負荷を前記第二光源による光の出力期間におけるよりも小さくするように前記第二電路の負荷を切り換える切り換え工程と、
少なくとも前記第二光源による光の出力期間において、前記負荷回路からの出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下であるか否か、或いは前記出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下である単位期間数又は時間であるか否かによって異常判定基準を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記出力信号が異常判定基準を満たすと判定した場合、少なくとも前記第二光源の動作を停止させる停止工程と、
を有することを特徴とする光源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、投影装置及び光源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、光源から出射された光を、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、または液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるプロジェクタが一般的に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光源装置内の光源素子が分解して使用されることを防止する光源装置が開示されている。この光源装置では、孔部の後端周囲によりレーザ発光素子のフランジ部の前面を押えてレーザ発光素子を光源用素子ホルダに固定し、リード線引出孔部に接着固定部材を充填することによりレーザ発光素子を光源用素子ホルダに接着固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では光源素子の取り出しを物理的に規制しているが、レーザ発光素子と光源用素子ホルダの固定状態を機械的に破壊する等された場合、取り出されたレーザ発光素子を光源装置から電力供給を受けながら使用可能となることが想定され、光源装置は更なる分解防止策を備えることが望ましい。
【0006】
本発明は、光源を取り出して使用されることを防止する光源装置、投影装置及び光源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光源装置は、それぞれ時分割で光を出射する、レーザ発光素子以外の第一光源及びレーザ発光素子を有する第二光源と、前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、前記光検出部と接続され、互いに並列に接続された第一電路及び第二電路を有する負荷回路と、前記第一光源による光の出力期間における前記第一電路及び前記第二電路の合成負荷を前記第二光源による光の出力期間におけるよりも小さくするように前記第二電路の負荷を切り換える切り換え手段と、少なくとも前記第二光源による光の出力期間において、前記負荷回路からの出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下であるか否か、或いは前記出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下である単位期間数又は時間であるか否かによって異常判定基準を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記出力信号が異常判定基準を満たすと判定された場合、少なくとも前記第二光源の動作を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る投影装置は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置と、前記光源装置から出射された光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光を被投影対象物に投影する投影光学系と、有し、前記制御部は、前記表示素子と前記光源装置とを制御することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光源制御方法は、時分割で光を出射する第一光源及び第二光源と、前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、前記光検出部と接続される負荷回路と、を備えた光源装置の光源制御方法であって、前記第一光源はレーザ発光素子以外の発光素子であり、前記第二光源はレーザ発光素子を有し、前記負荷回路は、互いに並列に接続された第一電路及び第二電路を有し、前記第一光源による光の出力期間における前記第一電路及び前記第二電路の合成負荷を前記第二光源による光の出力期間におけるよりも小さくするように前記第二電路の負荷を切り換える切り換え工程と、少なくとも前記第二光源による光の出力期間において、前記負荷回路からの出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下であるか否か、或いは前記出力信号の電圧レベルが閾値未満又は閾値以下である単位期間数又は時間であるか否かによって異常判定基準を満たすか否かを判定する判定工程と、前記出力信号が異常判定基準を満たすと判定した場合、少なくとも前記第二光源の動作を停止させる停止工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源を取り出して使用されることを防止する光源装置、投影装置及び光源制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る蛍光ホイールを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る負荷回路を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るタイミングチャートを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る光源装置の光源制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
図1は、本実施形態の投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置10は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26とを含むフォーマッターユニットを備える。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0013】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0014】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系140を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で画像光を形成し、投影光学系220を介して図示しないスクリーン等の被投影対象物に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0015】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の画像や動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を行うことができる。
【0016】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0017】
キー/インジケータ部37は、投影装置10の筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0018】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0019】
制御部38は、光源制御回路41、表示素子51等を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の励起光照射装置70、赤色光源装置120及び蛍光ホイール101の同期のタイミングを個別に制御する。
【0020】
光検出部700は、光源装置60内に導光されている光を検出する。負荷回路500は、光検出部700が受光した光に対応する検出信号を調整し、制御部38に出力信号So(
図4及び
図5参照)として出力する。
【0021】
また、制御部38は、排気ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から投影装置10内の図示しない排気ファンの回転速度を制御する。また、制御部38は、排気ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源OFF後も排気ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によって投影装置10本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0022】
次に、この投影装置10の内部構造について述べる。
図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。投影装置10は、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。制御回路基板241には光検出部700の出力負荷を調整する負荷回路500を設けることができる。投影装置10は、投影装置10筐体の略中央部分に光源装置60を備えている。光源装置60と左側パネル15との間には、光源側光学系170や投影光学系220が配置される。
【0023】
光源装置60は、赤色波長帯域光の光源とされる赤色光源装置120と、緑色波長帯域光の光源とされる緑色光源装置80と、青色波長帯域光の光源とされる青色光源装置であると共に励起光源ともされる励起光照射装置70と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と、蛍光ホイール装置100により構成される。光源装置60は、導光光学系140を有する。導光光学系140は、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光の光線束を合わせて、光源側光学系170の同一光路上に導光する。
【0024】
励起光照射装置70は、投影装置10筐体の右側パネル14側に配置される。励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の固体発光素子を備える。本実施形態の固体発光素子は、青色波長帯域光を発する青色レーザダイオード71である。青色レーザダイオード71は、右側パネル14と平行に配置されている。これら青色レーザダイオード71は、固定ホルダ74に固定される。また、励起光照射装置70は、反射ミラー76、拡散板78、ヒートシンク81を備える。反射ミラー76は、各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を拡散板78に向けて略90度変換する。拡散板78は、反射ミラー76で反射した各青色レーザダイオード71からの出射光を予め定められた拡散角度で拡散する。ヒートシンク81は青色レーザダイオード71を冷却することができる。
【0025】
各青色レーザダイオード71からの光路上には、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めて平行光に変換するアレイ状のコリメータレンズ73が配置される。コリメータレンズ73は、青色レーザダイオード71とともに固定ホルダ74に固定される。
【0026】
赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71の光線束と光軸が平行となるように配置された赤色発光ダイオード121と、赤色発光ダイオード121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。この赤色発光ダイオード121は、赤色波長帯域光を発する固体発光素子である。赤色光源装置120は、赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が、蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。また、赤色光源装置120は、赤色発光ダイオード121の右側パネル14側にヒートシンク130を備える。
【0027】
緑色光源装置80を構成する蛍光ホイール装置100は、蛍光ホイール101、モータ110、入射側の集光レンズ群117、出射側の集光レンズ115を備える。蛍光ホイール101は、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置される。この蛍光ホイール101はモータ110により回転駆動する。集光レンズ群117は、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光ホイール101に集光する。集光レンズ115は、蛍光ホイール101から正面パネル12方向に出射される光線束を集光する。
【0028】
ここで
図3を用いて蛍光ホイール101について説明する。蛍光ホイール101は、円板状に形成され、その中央に取付孔部112を有する。取付孔部112はモータ110の軸部113に固定されており、蛍光ホイール101はモータ110が駆動すると軸部113周りに回転することができる。
【0029】
蛍光ホイール101には、蛍光体領域310と透過領域320とが周方向に並設されている。蛍光ホイール101の基材は銅やアルミニウム等の金属基材により形成することができる。この基材の励起光照射装置70側の表面は銀蒸着等によってミラー加工されている。蛍光体領域310は、このミラー加工された表面に形成される。蛍光体領域310には緑色蛍光体層が形成される。蛍光体領域310は、青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光を励起光として受けて、緑色波長帯域の蛍光光を出射する。蛍光体領域310から出射された緑色波長帯域光は、
図2に示した集光レンズ群111に入射する。
【0030】
透過領域320は、蛍光ホイール101の基材に形成された切抜部に、透光性を有する透明基材を嵌入して形成することができる。この透明基材は、ガラスや樹脂等の透明な材料で形成される。また、透明基材には、青色波長帯域光が照射される側又はその反対側の表面に拡散層を設けてもよい。拡散層は、例えば、透明基材の表面に、サンドブラスト等による微細凹凸を形成して設けることができる。透過領域320に入射した励起光照射装置70からの青色波長帯域光は、透過領域320を透過又は拡散透過し、
図2に示した集光レンズ115に入射する。
【0031】
図2に戻り、蛍光ホイール装置100の近傍にはインデックス検出部39が配置される。インデックス検出部39は、蛍光ホイール装置100の蛍光ホイール101の裏面側の一部や軸部113に形成された回転位置検出マークを検出する光センサである。例えば、回転位置検出マークは光の反射率を抑えた黒マークとすることができ、インデックス検出部39は反射型センサにより構成することができる。インデックス検出部39は、蛍光ホイール101の回転により回転位置検出マークを一回転毎に周期的に検出して、インデックス信号S1(
図5も参照)を制御部38等に送信する。制御部38は、インデックス検出部39が出力するインデックス信号S1の検出タイミングに対応させて、励起光照射装置70や赤色光源装置120から光を出射させる切換のタイミングを制御することができる。
【0032】
導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、集光レンズ149、第二ダイクロイックミラー148、第一反射ミラー143、集光レンズ146、第二反射ミラー145、集光レンズ147を有する。第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光とが交差する位置に配置される。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。第一ダイクロイックミラー141で反射された緑色波長帯域光の光軸は、集光レンズ149に向かう左側パネル15方向に90度変換される。したがって、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸は、第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と一致する。
【0033】
集光レンズ149は、第一ダイクロイックミラー141の左側パネル15側に配置される。第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光及び第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光は、集光レンズ149に入射する。
【0034】
第二ダイクロイックミラー148は、集光レンズ149の左側パネル15側であって、集光レンズ147の背面パネル13側に配置される。第二ダイクロイックミラー148は、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。したがって、集光レンズ149で集光された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー148によって反射されて、第二ダイクロイックミラー148の背面パネル13側に配置された集光レンズ173に入射する。
【0035】
第一反射ミラー143は、蛍光ホイール101を透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間に配置される。第一反射ミラー143は、青色波長帯域光を反射して、この青色波長帯域光の光軸を左側パネル15側の集光レンズ146に向けて90度変換する。集光レンズ146の左側パネル15側に配置される第二反射ミラー145は、集光レンズ146により集光された青色波長帯域光の光軸を、背面パネル13側の集光レンズ147に向けて90度変換する。
【0036】
第二反射ミラー145により反射された青色波長帯域光は、集光レンズ147及び第二ダイクロイックミラー148を透過し、集光レンズ173に入射する。このように、導光光学系140により導光された赤色、緑色、青色の各波長帯域光の光線束は、光源側光学系170の同一光路上に導光される。
【0037】
光源側光学系170は、集光レンズ173、ライトトンネル175、集光レンズ178、光軸変換ミラー179、集光レンズ183、照射ミラー185、コンデンサレンズ195を備える。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を、投影光学系220に向けて出射するため、投影光学系220の一部でもある。
【0038】
集光レンズ173から出射した各光線束は、ライトトンネル175に入射する。ライトトンネル175に入射した各光線束は均一な強度分布の光線束となる。
【0039】
ライトトンネル175の背面パネル13側の光軸上には、集光レンズ178及び光軸変換ミラー179が配置されている。ライトトンネル175の出射口から出射した光線束は、集光レンズ178で集光された後、光軸変換ミラー179により、集光レンズ183に向かうように変換される。
【0040】
光軸変換ミラー179で反射した光線束は、集光レンズ183により集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、背面パネル13側には表示素子51を冷却するヒートシンク190が設けられている。
【0041】
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光である光線束は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影光学系220を介してスクリーンに投影される。
【0042】
投影光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、固定レンズ群225により構成される。固定レンズ群225及び可動レンズ群235は、固定鏡筒に内蔵される。可動レンズ群235は、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0043】
このような投影装置10の構成により、蛍光ホイール101を回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から時分割制御された光が出射されると、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光は、導光光学系140を介してライトトンネル175に入射し、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射する。よって、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0044】
投影装置10内には一つ又は複数の光検出部700が配置される。光検出部700は、赤色光源装置120、緑色光源装置80及び励起光照射装置70が出射した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光を検出することができる。また、光検出部700は、
図2に示したように、第一反射ミラー143の裏側(正面パネル12側)や光軸変換ミラー179の裏側(背面パネル13側)等の光路の近傍に配置することができる。光検出部700は、第一反射ミラー143又は光軸変換ミラー179に設けた孔若しくは切欠部を介して光を検出する構成としてもよいし、光源装置60内で拡散した迷光を検出する構成とすることができる。
【0045】
制御部38は、光検出部700により青色波長帯域光及び緑色波長帯域光の異常を検出して、光源装置60や投影装置10の動作を制限又は停止させることができる。これにより、光源装置60内で比較的出力エネルギーの大きい青色レーザダイオード71が、光源装置60から外される等した場合に、青色レーザダイオード71の駆動を停止させることができる。
【0046】
次に、
図4に示す負荷回路500の構成について説明する。負荷回路500は、光検出部700の出力端子701と制御部38側に信号を送る出力端子Toとを接続する出力電路L1と、出力電路L1に接続された基準負荷電路L2及び負荷調整電路L3と、を含む。基準負荷電路L2及び負荷調整電路L3は、光検出部700の出力電路L1に対して、互いに並列に接続される。光検出部700は、検出した赤色波長帯域光、緑色波長帯域光又は青色波長帯域光を受光して、それらの光量に対応した電流を、出力電路L1に出力する。制御部38は、光検出部700から出力された電流と、基準負荷電路L2及び負荷調整電路L3の合成負荷に応じた出力信号Soを、出力端子Toを介して検出することができる。
【0047】
基準負荷電路L2には、第一抵抗R1が配置される。第一抵抗R1の一端側は出力電路L1を介して出力端子701及び出力端子To(制御部38)と接続される。第一抵抗R1の他端側はシグナルグランド等の基準電位点Ngに接続される。基準電位点Ngは投影装置10内の他の回路のシグナルグランドと同電位とすることができる。
【0048】
負荷調整電路L3には、第二抵抗R2及びスイッチング素子であるデジタルトランジスタTrdが直列接続される。デジタルトランジスタTrdは、バイポーラ型のトランジスタTrとベース抵抗Rbとベースエミッタ間抵抗Rbeとを含む。トランジスタTrはエミッタ接地となるように配置される。
【0049】
第二抵抗R2の一端側は出力電路L1を介して出力端子701及び出力端子To(制御部38)と接続される。第二抵抗R2の他端側はトランジスタTrのコレクタと接続される。トランジスタTrのエミッタは基準電位点Ngに接続される。トランジスタTrのベースは、電流制限抵抗であるベース抵抗Rbを介して入力端子Tiと接続される。入力端子Tiには制御部38から切換信号Siが入力される。トランジスタTrは切換信号Siの入力により負荷調整電路L3の導通状態を導通又は遮断に切り換えることができる。また、トランジスタTrのベースエミッタ間にはベースエミッタ間抵抗Rbeが接続される。
【0050】
第二抵抗R2は第一抵抗R1よりも抵抗値が小さく設定される。例えば、第一抵抗R1を220kΩ、第二抵抗R2を1kΩに設定することができる。したがって、トランジスタTrがOFFのときは、光検出部700から出力された検出信号の電流が負荷調整電路L3に流れないため、基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の合成負荷は第一抵抗R1の220kΩとなる。また、トランジスタTrがONのときは、光検出部700から出力された検出信号の電流が基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の両方に流れるため、基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の合成負荷は第一抵抗R1と第二抵抗R2により約995.48Ωとなる。したがって、トランジスタTrがOFFの場合の合成負荷に対するONの場合の合成負荷の変動負荷比率Rtは、約0.45%である。第一抵抗R1及び第二抵抗R2の各抵抗値は、この変動負荷比率Rtを小さく設定(換言すれば第一抵抗R1に比較して第二抵抗R2の抵抗値を小さく設定)すればよく、例えば変動負荷比率Rtを10%に設定してもよい。
【0051】
このように負荷回路500を構成することで、切換信号Siが入力されている間は、光検出部700からの検出信号の出力有無にかかわらず、出力信号Soの信号レベルを低く抑えることができる。一方、切換信号Siが入力されていない間は、光検出部700からの検出信号に応じて、制御部38の検出に十分な信号レベルの出力信号Soを出力端子Toから送ることができる。
【0052】
次に、投影装置10の動作について
図5のタイミングチャートを用いて説明する。投影装置10は、三色の合成光90(赤色波長帯域光90a、緑色波長帯域光90b、青色波長帯域光90c)により形成した投影画像をスクリーンに投影する。入力画像に含まれる各画像フレームは、単位画像フレームT10毎に投影される。投影装置10は、複数の単位画像フレームT10に亘って時分割で画像を投影する。
【0053】
また、単位画像フレームT10には、2周期分の単位期間T11,T12が含まれる。各単位期間T11,T12の動作は、蛍光ホイール101の一回転分の動作に相当する。各単位期間T11,T12では、第一出力期間Ta、第二出力期間Tb及び第三出力期間Tcの順に異なる波長帯域の合成光90が時分割で出射される。光源装置60は、各出力期間Ta,Tb,Tcに予め割り当てられた色の光を出射する。単位期間T11と単位期間T12の動作は同じであるため、ここでは単位期間T11の動作を主に説明する。
【0054】
インデックス検出部39は、蛍光ホイール101や軸部113の回転位置検出マークを検出してインデックス信号S1を制御部38に送る。
図5では、インデックス信号S1として立上がりパルス波形を例示しており、パルス波形の立下り位置と単位期間T11,T12の開始位置とが一致するように同期させている。インデックス信号S1としては立下りパルス波形を出力させてもよい。また、インデックス信号S1の検出タイミング(例えば立下りを検出したタイミング)から、赤色発光ダイオード121及び青色レーザダイオード71の動作切換タイミングまでの遅延時間は、赤色発光ダイオード121及び青色レーザダイオード71の発光タイミングと蛍光体領域310及び透過領域320の切換タイミングとが同期するように、適宜設定しておくことができる。
【0055】
赤色発光ダイオード121は、第一出力期間Taに赤色波長帯域光を出射し、第二出力期間Tb及び第三出力期間Tcに赤色波長帯域光を消灯する。青色レーザダイオード71は、第一出力期間Taに青色波長帯域光を消灯し、第二出力期間Tb及び第三出力期間Tcに青色波長帯域光を出射する。また、制御部38は、赤色発光ダイオード121を点灯させるタイミングである第一出力期間Taに、負荷回路500の入力端子Tiに切換信号Siを出力する。
【0056】
第一出力期間Taでは、赤色発光ダイオード121から出射された赤色波長帯域光が、導光光学系140により光源側光学系170側に導光される。したがって、光源装置60は、第一出力期間Taの合成光90として、赤色波長帯域光90aを表示素子51に導光させる。
【0057】
また、第一出力期間Taでは、制御部38が負荷回路500(
図4参照)の入力端子Tiを介してトランジスタTrのベースに切換信号Siを入力させるため、トランジスタTrはONとなる。そのため、負荷調整電路L3は導通可能となって基準負荷電路L2と負荷調整電路L3との合成負荷は小さくなる。したがって、光検出部700が赤色波長帯域光を受光した場合であっても、出力端子Toから出力される出力信号Soの電圧は低くなる(
図5参照)。第一出力期間Taの出力信号Soの電圧は、光検出部700による赤色波長帯域光の受光の有無にかかわらず予め定めた閾値Vth未満となる。
【0058】
第二出力期間Tbでは、青色レーザダイオード71から出力された青色波長帯域光が蛍光ホイール101の蛍光体領域310に照射されて、蛍光体領域310から緑色波長帯域光が出射される。蛍光体領域310から出射された緑色波長帯域光は、導光光学系140により光源側光学系170側に導光される。したがって、光源装置60は、第二出力期間Tbの合成光90として、緑色波長帯域光90bを表示素子51に導光させる。
【0059】
また、第二出力期間Tbでは、入力端子Tiには切換信号Siが入力されないため、トランジスタTrはOFFとなる。そのため、負荷調整電路L3は遮断されて基準負荷電路L2と負荷調整電路L3との合成負荷は大きくなる。したがって、光検出部700が緑色波長帯域光を受光した場合又は青色波長帯域光を受光した場合、出力端子Toから出力される出力信号Soの電圧は高くなる。第二出力期間Tbの出力信号Soの電圧は、閾値Vth以上となる。
【0060】
第三出力期間Tcでは、青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光が蛍光ホイール101の透過領域320に照射されて、透過領域320は照射された青色波長帯域光を透過する。透過領域320を透過した青色波長帯域光は、導光光学系140により光源側光学系170に導光される。したがって、光源装置60は、第三出力期間Tcの合成光90として、青色波長帯域光90cを表示素子51に導光させる。
【0061】
また、第三出力期間Tcでは、第二出力期間Tbと同様に、入力端子Tiに切換信号Siが入力されないため、トランジスタTrはOFFとなり、基準負荷電路L2と負荷調整電路L3との合成負荷は大きくなる。したがって、光検出部700が青色波長帯域光を受光した場合又は緑色波長帯域光を受光した場合、出力端子Toから出力される出力信号Soの電圧は高くなる。第三出力期間Tcの出力信号Soの電圧は、閾値Vth以上となる。
【0062】
第三出力期間Tcが経過すると、次の単位期間T12の第一出力期間Taが開始する。単位期間T12内の動作は、単位期間T11と同様に行われるため、その説明を省略する。単位期間T12が経過すると、単位画像フレームT10の動作が繰り返される。
【0063】
以上示したように、制御部38は、赤色発光ダイオード121(第一光源)の出力期間Taに、負荷調整電路L3の負荷を切り換えて基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の合成負荷が小さくなるように切り換えて、合成負荷に応じた出力信号Soを判定する切り換え手段及び判定手段として動作可能である。即ち、切り換え手段によって、負荷回路500の合成負荷を、赤色発光ダイオード121(第一光源)による光の出力期間と、青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)による光の出力期間と、で切り換える。そして、判定手段により、負荷回路500からの出力信号Soが異常判定基準を満たすか否かを判定する。その結果、制御部38は、出力電路L1から検出したその合成負荷に応じた出力信号Soが後述する
図6のステップS04で例示の異常判定基準を満たす場合に、青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)の動作を停止させることができる。以下、詳細について説明する。
【0064】
図6は、光源装置60の光源制御方法を示すフローチャートである。ステップS01のインデックス信号S1の検出工程で、制御部38は、インデックス検出部39(
図2参照)からインデックス信号S1を検出したか判定する。制御部38は、インデックス信号S1を検出した場合は(S01,YES)、ステップS02の処理に進み、インデックス信号S1を検出しない場合は(S01,NO)、ステップS03の処理に進む。
【0065】
ステップS02の切り換え工程で、切り換え手段である制御部38は、インデックス信号S1の検出タイミングをトリガとして、赤色発光ダイオード121が赤色波長帯域光を出射する第一出力期間Taに、切換信号Siを負荷回路500に出力する(
図4及び
図5参照)。第一出力期間Taが経過すると、制御部38は、第二出力期間Tb及び第三出力期間Tcにおいて切換信号Siの出力を停止する。これにより、制御部38は、負荷回路500の合成負荷を、第一出力期間Taと、第二出力期間Tb及び第三出力期間Tcとで切り換えることができる。
【0066】
なお、
図6では、制御部38は、ステップS02で切換信号Siの出力を開始すると、切換信号Siの出力中(第一出力期間Ta中)であっても、次のステップS03以降の処理に進む。
【0067】
ステップS03で、制御部38は、負荷回路500の出力端子Toから、出力信号Soを取得する。
【0068】
ステップS04の判定工程で、判定手段でもある制御部38は、出力信号Soが異常判定基準を満たすか判定する。例えば、異常判定基準は、出力信号Soの電圧レベルが閾値Vth未満又は閾値Vth以下であるか否か、或いは出力信号Soの電圧レベルが閾値Vth未満又は閾値Vth以下である単位期間数又は時間とすることができる。制御部38は、出力信号Soの電圧が時分割された赤色発光ダイオード121(第一光源)及び青色レーザダイオード71(第二光源)の複数周期の出力期間Ta,Tb,Tcに亘って(例えば、6周期分の単位期間T11,T12分や、数百ミリ秒相当の期間分)予め定めた閾値Vth未満又は閾値Vth以下である場合に、異常と判定することができる。または、制御部38は、出力信号Soの電圧が一つの単位期間T11,T12において閾値Vthを下回った場合又は閾値Vth以下の場合に異常と判定してもよい。制御部38は、出力信号Soが異常判定基準を満たすと判定した場合は(S04,YES)、ステップS05の処理に進み、出力信号Soが異常判定基準を満たすと判定しない場合は(S04,NO)、ステップS01の処理に戻る。
【0069】
本実施形態では、ステップS03の検出処理及びステップS04の判定処理が、各単位期間T11(T12)内に行われ、制御部38が第一出力期間Ta以外の第二出力期間Tb又は第三出力期間Tcにおける出力信号Soを取得して判定することで、青色レーザダイオード71の状態が正常であるか検出することができる。例えば、青色レーザダイオード71が光源装置60内から取り外されると、青色波長帯域光又は緑色波長帯域光は光源装置60外に出射される等して、光検出部700の検出信号レベルが低くなり出力信号Soの電圧レベルも低くなる。一方、制御部38が第一出力期間Taで出力信号Soを取得して判定しても、赤色発光ダイオード121の点灯有無に関わらず出力信号Soは常時電圧レベルが低くなる。したがって、制御部38は出力信号Soを判定することで青色レーザダイオード71の動作状態に関連する異常を検出することができる。
【0070】
ステップS05で、制御部38は、光源装置60又は投影装置10の動作を停止させる。例えば、制御部38は、異常と判定した場合の動作として、青色レーザダイオード71及び蛍光ホイール101の一方又は両方の動作を停止させてもよいし、光源装置60又は投影装置10の全体の動作を停止させてもよい。動作の停止としては光源装置60の発光のみを停止させたり、光源装置60又は投影装置10自体の主電源を停止させることができる。
【0071】
なお、本実施形態では負荷調整電路L3のスイッチング素子としてバイポーラ型のトランジスタTrを含むデジタルトランジスタTrdを使用した例について示したが、これに限らずMOSFETやフォトカプラ等のその他のスイッチング素子を用いてもよい。
【0072】
また、
図4に示した光検出部700と負荷回路500との間、及び負荷回路500の入力端子Ti又は出力端子Toと制御部38との間は、増幅回路等のその他の回路を介して信号の送受信を行ってもよい。
【0073】
以上、光を時分割で出射する第一光源及び第二光源と、第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部700と、光検出部700の出力端子701と接続される負荷回路500と、負荷回路500の合成負荷を第一光源の出力期間Taと第二光源の出力期間Tb,Tcとで切り換え、合成負荷に応じた負荷回路500からの出力信号Soが異常判定基準を満たす場合に、第二光源の動作を停止させる制御部38と、を備える光源装置60及びこの光源装置60の光源制御方法について説明した。
【0074】
選択した狭帯域の光を検出する光センサは高価な場合があるため、本実施形態のような第一光源及び第二光源から出射される広帯域の光を検出可能な光検出部700を用いることにより、光源装置60を安価に構成することができる。このような光検出部700を用いた場合では、負荷回路500を適用せずに、異常判定を行う際に赤色発光ダイオード121(第一光源)が光を出射するタイミングを無視する構成も考えられるが、赤色発光ダイオード121(第一光源)、青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)が光を出射する出力期間は、投影画像のフレームレートに合わせて短時間で繰り返されるために高い分解能で検出することが困難な場合もある。一方負荷回路500を用いた場合では、検出が不要な赤色発光ダイオード121(第一光源)から光が出射されるタイミングに、光検出部700の出力信号のレベルを変動させることができるため、光源装置60は、タイミングに関わらず出力信号を評価することで容易に異常判定を行うことができる。このように、判定の対象である青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)が出射する光から異常を検出して第二光源を停止させることにより、光源を取り出して使用されることを防止することができる。
【0075】
また、負荷回路500は、光検出部700の出力電路L1に対して、互いに並列に接続された基準負荷電路L2及び負荷調整電路L3を備える。そして、制御部38は、赤色発光ダイオード121(第一光源)の出力期間Taに負荷調整電路L3の負荷を切り換えて基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の合成負荷を切り換える。そのため、負荷回路500は、出力負荷である合成負荷を任意に変更することができる。
【0076】
また、負荷調整電路L3に制御部38からの切換信号Siにより導通を切り換えるスイッチング素子が配置される光源装置60は、負荷調整電路L3の導通及び遮断を容易に切り換えることができる。
【0077】
また、基準負荷電路L2が第一抵抗R1を有し、負荷調整電路L3が、第一抵抗R1よりも抵抗値の小さい第二抵抗R2と、第二抵抗R2と直列接続されて制御部38から第一光源の出力期間Taに切換信号Siを検出して負荷調整電路L3を導通又は遮断させるスイッチング素子と、を有する光源装置60について説明した。これにより、スイッチング素子をONにすることで基準負荷電路L2と負荷調整電路L3の合成負荷を低くすることができ、スイッチング素子をOFFにするとその合成負荷を高くすることができる。そのため、スイッチング素子の導通を制御することで、光検出部700からの出力信号Soを異常判定に利用するか否かを容易に切り換えることができる。
【0078】
また、スイッチング素子が、ベースを制御部38と接続し、コレクタを第二抵抗R2と接続し、エミッタを基準電位点と接続したバイポーラ型のトランジスタTrを含む光源装置60は、スイッチング素子を簡易で安価に構成することができる。
【0079】
また、光検出部700は、検出した光量に対応した電流を出力電路L1に出力する。そして、制御部38は、切換信号Siをベースに出力するとともに、出力電路L1から検出した出力信号Soの電圧により異常判定する。即ち、赤色波長帯域光が出射される第一出力期間Taにおいては、トランジスタTrをONにして負荷調整電路L3を導通させることで、基準負荷電路L2と負荷調整電路L3との合成負荷を小さくし、これにより出力端子Toから出力される出力信号Soの電圧を低くして閾値Vth未満とする。
【0080】
よって、赤色発光ダイオード121(第一光源)の光出射タイミングでは、制御部38による合成負荷の切り換えにより、出力信号Soの電圧は常に閾値Vth未満である。しかし、青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)の光出射タイミングでは、通常は第二光源の点灯により出力信号Soの電圧は閾値Vth以上であるが、第二光源が取り外された場合には、出力信号Soの電圧が閾値Vth未満となる。従って、制御部38は、赤色発光ダイオード121(第一光源)の光が出射されるタイミングの出力信号Soのレベルを制限しつつ出力信号Soを検出して、青色レーザダイオード71(第二光源)及び蛍光ホイール101(第二光源)からの光の異常を容易に分離判定することができる。
【0081】
また、制御部38は、電圧が第一光源及び第二光源の周期に亘って予め定めた閾値Vth未満又は閾値Vth以下である場合に異常判定する。そのため、制御部38は容易に第二光源の異常判定を行うことができる。
【0082】
また、第一光源は赤色波長帯域光を出射し、第二光源は青色波長帯域光及び緑色波長帯域光を出射する光源装置60は、比較的出力エネルギーの高い青色波長帯域光及び緑色波長帯域光を出射する第二光源の異常を検出することができる。
【0083】
また、上述の光源装置60と、光源装置60からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子51と、表示素子51から出射された画像光を被投影対象物に投影する投影光学系220と、表示素子51と光源装置60を制御する制御部38と、を有する投影装置10は、光源を取り出して使用されることを防止できる。
【0084】
以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0085】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 時分割で光を出射する第一光源及び第二光源と、
前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、
前記光検出部と接続される負荷回路と、
前記負荷回路の合成負荷を前記第一光源による光の出力期間と前記第二光源による光の出力期間とで切り換える切り換え手段と、
前記負荷回路からの出力信号が異常判定基準を満たすか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする光源装置。
[2] 前記合成負荷に応じた前記負荷回路からの出力信号が前記異常判定基準を満たす場合に、前記第二光源の動作を停止させる制御部を備えることを特徴とする前記[1]に記載の光源装置。
[3] 前記負荷回路は、前記光検出部の出力電路に対して、互いに並列に接続された基準負荷電路及び負荷調整電路を備え、
前記制御部は、前記第一光源の出力期間に前記負荷調整電路の負荷を切り換えて前記合成負荷を切り換える、
ことを特徴とする前記[2]に記載の光源装置。
[4]
前記負荷調整電路には、前記制御部からの切換信号により導通を切り換えるスイッチング素子が配置されることを特徴とする前記[3]に記載の光源装置。
[5] 前記基準負荷電路は第一抵抗を有し、
前記負荷調整電路は、前記第一抵抗よりも抵抗値の小さい第二抵抗と、前記第二抵抗と直列接続されて前記制御部から前記第一光源の出力期間に前記切換信号を検出して前記負荷調整電路を導通又は遮断させる前記スイッチング素子と、を有する、
ことを特徴とする前記[4]に記載の光源装置。
[6] 前記スイッチング素子は、ベースを前記制御部と接続し、コレクタを前記第二抵抗と接続した、エミッタ接地のバイポーラ型のトランジスタを含む、ことを特徴とする前記[5]に記載の光源装置。
[7] 前記光検出部は、検出した光量に対応した電流を前記出力電路に出力し、
前記制御部は、前記切換信号を前記ベースに出力するとともに、前記出力電路から検出した前記出力信号の電圧により異常判定する、
ことを特徴とする前記[6]に記載の光源装置。
[8] 前記制御部は、前記出力信号が前記第一光源及び前記第二光源の複数周期の出力期間に亘って予め定めた閾値未満又は閾値以下である場合に異常判定することを特徴とする前記[2]乃至前記[7]の何れかに記載の光源装置。
[9] 前記第一光源は赤色波長帯域光を出射し、
前記第二光源は青色波長帯域光及び緑色波長帯域光を出射する、
ことを特徴とする前記[1]乃至前記[8]の何れかに記載の光源装置。
[10] 前記[2]乃至前記[8]の何れかに記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影対象物に投影する投影光学系と、
を有し、
前記制御部は、前記表示素子と前記光源装置とを制御することを特徴とする投影装置。
[11] 時分割で光を出射する第一光源及び第二光源と、前記第一光源及び前記第二光源が出射した光を検出可能な光検出部と、前記光検出部と接続される負荷回路と、を備えた光源装置の光源制御方法であって、
前記負荷回路の合成負荷を前記第一光源による光の出力期間と前記第二光源による光の出力期間とで切り換える切り換え工程と、
前記負荷回路からの出力信号が異常判定基準を満たすか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とする光源制御方法。
【符号の説明】
【0086】
10 投影装置 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 39 インデックス検出部
41 光源制御回路 43 排気ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
60 光源装置 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード(第二光源)73 コリメータレンズ
74 固定ホルダ 76 反射ミラー
78 拡散板 80 緑色光源装置
81 ヒートシンク 90 合成光
90a 赤色波長帯域光 90b 緑色波長帯域光
90c 青色波長帯域光 100 蛍光ホイール装置
101 蛍光ホイール(第二光源) 110 モータ
111 集光レンズ群 112 取付孔部
113 軸部 115 集光レンズ
117 集光レンズ群 120 赤色光源装置
121 赤色発光ダイオード(第一光源) 125 集光レンズ群
130 ヒートシンク 140 導光光学系
141 第一ダイクロイックミラー 143 第一反射ミラー
145 第二反射ミラー 146 集光レンズ
147 集光レンズ 148 第二ダイクロイックミラー
149 集光レンズ 170 光源側光学系
173 集光レンズ 175 ライトトンネル
178 集光レンズ 179 光軸変換ミラー
183 集光レンズ 185 照射ミラー
190 ヒートシンク 195 コンデンサレンズ
220 投影光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 241 制御回路基板
310 蛍光体領域 320 透過領域
500 負荷回路 700 光検出部
701 出力端子
L1 出力電路 L2 基準負荷電路
L3 負荷調整電路 Ng 基準電位点
R1 第一抵抗 R2 第二抵抗
Rb ベース抵抗 Rbe ベースエミッタ間抵抗
Rt 変動負荷比率 S1 インデックス信号
SB システムバス Si 切換信号
So 出力信号 T10 単位画像フレーム
T11 単位期間 T12 単位期間
Ta 第一出力期間 Tb 第二出力期間
Tc 第三出力期間 Ti 入力端子
To 出力端子 Tr トランジスタ
Trd デジタルトランジスタ Vth 閾値