(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20230926BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230926BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G21/14
G03G15/00 411
G03G15/00 455
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2019160868
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻生 浩史
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130824(JP,A)
【文献】特開2018-054945(JP,A)
【文献】特開2016-180925(JP,A)
【文献】特開2001-175143(JP,A)
【文献】特開2011-006230(JP,A)
【文献】特開2002-236404(JP,A)
【文献】特開2018-054950(JP,A)
【文献】特開2017-198786(JP,A)
【文献】特開2017-032914(JP,A)
【文献】特開2019-043686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/14
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部から給紙された連帳メディアに画像を形成し、前記画像を定着部により定着して巻取部により巻き取る画像形成装置であって、
前記定着部は、前記連帳メディアの定着面側に設けられた第1の回転部材と、前記連帳メディアの通紙経路を挟んで前記第1の回転部材に対向して設けられ、前記第1の回転部材と圧着及び離間が可能な第2の回転部材と、を有し、
前記通紙経路は、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材が離間した状態で前記連帳メディアにテンションが付与されると、前記第1の回転部材と前記連帳メディアが離間するように設定され、
前記連帳メディアにテンションを付与するテンション付与機構と、
前記通紙経路上の前記定着部の上流かつ前記給紙部の下流に設けられた少なくとも一対の上流側ニップ部と、
前記通紙経路上の前記定着部の下流かつ前記巻取部の上流に設けられた少なくとも一対の下流側ニップ部と、
前記連帳メディアにテンションを付与した状態で前記第1の回転部材と前記第2の回転部材を離間させるとともに、前記第1の回転部材を回転させて前記第1の回転部材の昇温動作及び昇温維持動作を行う制御部と、
を備え、
前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部のうち、少なくとも前記下流側ニップ部はローラー対であって、
前記制御部は、
前記昇温動作及び前記昇温維持動作時に前記上流側ニップ部及び前記下流側ニップ部の双方を圧着させた状態とすることによって、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間の前記連帳メディアに付与されたテンションを維持
し、
前記定着部のニップを利用して前記連帳メディアを搬送する場合は、少なくとも前記下流側ニップ部の前記ローラー対を離間させる、
画像形成装置。
【請求項2】
前記通紙経路は、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材が離間した状態で前記連帳メディアにテンションが付与されると、当該連帳メディアが前記第2の回転部材に巻きかかるように設定されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テンション付与機構は、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間に備えられている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部はローラー対であり、
前記制御部は、前記ローラー対を回転させることにより前記連帳メディアを搬送する請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記連帳メディアの停止時に前記上流側ニップ部で前記連帳メディアを保持し、前記下流側ニップ部の前記ローラー対を圧着した状態で前記連帳メディアを下流側に送る方向にトルクを付与することで、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間の前記連帳メディアにテンションを付与する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記給紙部のロールを交換したときは、前記連帳メディアを所定の距離搬送した後に前記昇温動作を再開するよう制御する請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙や連続帳票等の連帳メディアに作像を行う電子写真方式の画像形成装置において、待機状態のような非画像形成時には、連帳メディアが搬送経路に停止したまま存在することになる。特に画像形成開始前の定着部の昇温動作時や画像形成完了後に、連帳メディアが停止したまま定着ニップに挟持されると変色(焦げ)、変形などが発生する。そのため、定着部の定着面側部材と裏面側部材は離間されるが、定着面側部材と裏面側部材の離間距離が少ないと、定着面側部材からの熱によって連帳メディアの変形が生じる。その結果、定着面側部材と連帳メディアが接触してしまい、特に定着面側部材を均熱化のため回転させるような場合は定着面側部材に傷が発生して画像品質が損なわれてしまう。
【0003】
この問題に対して、定着部の昇温動作時に連帳メディアを移動させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、定着部の昇温動作時に定着面側部材と裏面側部材の離間量を拡大し、テンション付与装置で連帳メディアにテンションをかけて裏面側部材に連帳メディアを巻き掛けることで熱による連帳メディア変形による定着面側部材の傷発生を防止する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出す場合や給紙側の連帳メディアのロールを交換する場合には、テンション付与装置で連帳メディアに付与しているテンションを解除する必要がある。しかしながら、連帳メディアにテンションをかけて裏面側部材に巻き掛ける方法では、テンションを解除すると裏面側部材への巻き掛けが維持されなくなってしまうため、連帳メディアと定着面側部材の距離を維持することができなくなってしまう。そのため、印刷物を取り出す場合や給紙側の連帳メディアのロールを交換する場合には、定着部の昇温動作や昇温維持動作を中断する必要があり、その後の再プリント時の定着部の昇温動作の待ち時間がかかってしまうという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、画像形成装置において、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出した後や給紙側の連帳メディアのロール交換後の定着部の昇温動作の待ち時間を短縮できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
給紙部から給紙された連帳メディアに画像を形成し、前記画像を定着部により定着して巻取部により巻き取る画像形成装置であって、
前記定着部は、前記連帳メディアの定着面側に設けられた第1の回転部材と、前記連帳メディアの通紙経路を挟んで前記第1の回転部材に対向して設けられ、前記第1の回転部材と圧着及び離間が可能な第2の回転部材と、を有し、
前記通紙経路は、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材が離間した状態で前記連帳メディアにテンションが付与されると、前記第1の回転部材と前記連帳メディアが離間するように設定され、
前記連帳メディアにテンションを付与するテンション付与機構と、
前記通紙経路上の前記定着部の上流かつ前記給紙部の下流に設けられた少なくとも一対の上流側ニップ部と、
前記通紙経路上の前記定着部の下流かつ前記巻取部の上流に設けられた少なくとも一対の下流側ニップ部と、
前記連帳メディアにテンションを付与した状態で前記第1の回転部材と前記第2の回転部材を離間させるとともに、前記第1の回転部材を回転させて前記第1の回転部材の昇温動作及び昇温維持動作を行う制御部と、
を備え、
前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部のうち、少なくとも前記下流側ニップ部はローラー対であって、
前記制御部は、
前記昇温動作及び前記昇温維持動作時に前記上流側ニップ部及び前記下流側ニップ部の双方を圧着させた状態とすることによって、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間の前記連帳メディアに付与されたテンションを維持し、
前記定着部のニップを利用して前記連帳メディアを搬送する場合は、少なくとも前記下流側ニップ部の前記ローラー対を離間させる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記通紙経路は、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材が離間した状態で前記連帳メディアにテンションが付与されると、当該連帳メディアが前記第2の回転部材に巻きかかるように設定されている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記テンション付与機構は、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間に備えられている。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部はローラー対であり、
前記制御部は、前記ローラー対を回転させることにより前記連帳メディアを搬送する。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御部は、前記連帳メディアの停止時に前記上流側ニップ部で前記連帳メディアを保持し、前記下流側ニップ部の前記ローラー対を圧着した状態で前記連帳メディアを下流側に送る方向にトルクを付与することで、前記上流側ニップ部と前記下流側ニップ部との間の前記連帳メディアにテンションを付与する。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記給紙部のロールを交換したときは、前記連帳メディアを所定の距離搬送した後に前記昇温動作を再開するよう制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置において、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出した後や給紙側の連帳メディアのロール交換後の定着部の昇温動作の待ち時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態における画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】テンション付与機構の構成例を示す図である。
【
図5】
図2の制御部により実行される昇温制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】昇温動作時及び昇温維持動作時における画像形成装置の状態を示す図である。
【
図7】第2の実施形態における画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置100の全体構成例を示す図である。
図2は、画像形成装置100の制御系の主要部を示す図である。画像形成装置100は、例えば、ロール紙や連続帳票などの連帳メディアMに画像を形成する装置である。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置100は、連帳メディアMの搬送方向(用紙搬送方向)に沿って上流側から、給紙装置(給紙部)1、本体部2、巻取装置(巻取部)3が接続されて構成されている。なお、
図1においては、給紙装置1及び巻取装置3が本体部2と別体に構成されている場合を示しているが、一体的に構成されていてもよい。
【0020】
給紙装置1は、連帳メディアMを本体部2へ給紙する装置である。給紙装置1は、図示しないモーターの駆動により、支持軸Xに巻回された連帳メディアMを一定の速度で本体部2へ搬送する。給紙装置1のモーターの動作は、本体部2が備える制御部10によって制御される。
また、給紙装置1には、連帳メディアMにテンションを付与するテンション付与機構101が設けられている。
【0021】
図3は、テンション付与機構101の構成を示す図である。
図3に示すように、テンション付与機構101は、従動ローラー101a、101b、ダンサーローラー101c、錘101d等を備えて構成されている。
給紙された連帳メディアMは、従動ローラー101a、ダンサーローラー101c、及び従動ローラー101bに巻き掛けられて本体部2に通紙される。ダンサーローラー101cには、錘101dが取り付けられており、その荷重が連帳メディアMにテンションFとして付与される。ダンサーローラー101cは、回転方向は従動して回転し、上下に移動可能なように支持されており、かつ、上下方向の可動範囲が規制されていて、ダンサーローラー101cの位置が一定の場所になるように(すなわち、連帳メディアMに一定のテンションがかかるように)、制御部10により給紙装置1及び巻取装置3のモーターの速度が制御される。画像形成装置100の電源が切られると、給紙装置1及び巻取装置3のモーターも通電しなくなるので、ダンサーローラー101cは可動規制範囲の下限まで自重で落ちてしまい、連帳メディアMにテンションが付与されなくなる。なお、錘101dの荷重の代わりにエアシリンダーなどでダンサーローラー101cに荷重をかけ、その圧力を制御して一定の荷重をかける方式をとっても良い。
【0022】
本体部2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式で給紙装置1から給紙された連帳メディアMに画像形成を行う。
図2に示すように、本体部2は、制御部10、記憶部20、操作表示部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、通信部70等を備える。
【0023】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c等を備える。CPU10aは、ROM10bから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM10cに展開し、展開したプログラムと協働して本体部2の各部や、給紙装置1、巻取装置3等の動作を集中制御する。
【0024】
記憶部20は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部20には、入力された原稿データ、各種設定情報、画像データ等が記憶される。なお、これらのデータ等は制御部10のRAM10cに記憶されても良い。
【0025】
操作表示部30は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部31及び操作部32として機能する。
表示部31は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。
操作部32は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0026】
画像形成部40は、例えば、通信部70を介して外部装置(パーソナルコンピューター等)から入力された画像データに基づいて、感光体ドラム41Y、41M、41C、41K上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を形成して順次中間転写ベルト42に一次転写して4色のトナー像を重ね合わせた後、転写ローラー43により給紙装置1から給紙された連帳メディアMに二次転写することにより、画像を形成(印刷)する。
【0027】
用紙搬送部50は、複数の搬送ローラーを備える通紙経路52等を有する。
用紙搬送部50は、制御部10の制御に基づいて給紙装置1から本体部2へ搬送された連帳メディアMを画像形成部40に搬送し、画像形成部40においてトナー画像が形成された連帳メディアMを定着部60に搬送する。そして、定着部60においてトナー画像が定着された連帳メディアMを巻取装置3に搬送する。
【0028】
本実施形態において、通紙経路52における、定着部60の上流かつ給紙装置1の下流には、少なくとも一対のニップローラー53が備えられている。また、定着部60の下流かつ巻取装置3の上流には、少なくとも一対のニップローラー54が備えられている。ニップローラー53、54は、それぞれ圧着駆動機構により圧着及び離間が可能である。テンション付与機構101及びテンション付与機構301で連帳メディアMにテンションを付与した状態でニップローラー53、54の双方を圧着することによって、ローラーの回転を停止してテンション付与機構101、301のテンション付与を解除してもニップローラー53、54間の連帳メディアMに付与されたテンションを維持し続けることが可能となっている。
【0029】
また、通紙経路52は、定着部60の定着ベルト64と下加圧ローラー65が離間した状態で連帳メディアMにテンションが付与されると、定着ベルト64と連帳メディアMが離れるように設定されている。このとき、
図4に示すように、連帳メディアMが下加圧ローラー65に巻き掛かるように通紙経路52が設定されていると、連帳メディアMがテンションで引っ張られて下加圧ローラー65にならうようになるので、昇温動作時や昇温維持動作時の連帳メディアMの熱による変形が矯正されやすくなる。
【0030】
定着部60は、トナー画像が形成された連帳メディアMを定着ニップで加熱、加圧することにより、連帳メディアMにトナー画像を定着させる。
【0031】
図4は、定着部60の構成を示す模式図である。
図4に示すように、定着部60は、加熱ローラー61と、加熱ローラー61を加熱する加熱源62と、上加圧ローラー63と、加熱ローラー61と上加圧ローラー63との間に架け渡される無端状の定着ベルト64(第1の回転部材)と、下加圧ローラー65(第2の回転部材)と、を備えている。加熱ローラー61~定着ベルト64は、連帳メディアMの定着面側に設けられ、下加圧ローラー65は、連帳メディアMの通紙経路52を挟んで定着ベルト64に対向して(すなわち、連帳メディアMの裏面側に)設けられている。下加圧ローラー65を加熱する加熱源があっても良い。
【0032】
下加圧ローラー65は移動可能に構成されており、図示しない圧着駆動機構の駆動により、上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧着および離間が可能になっている。上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧着、離間することによって、定着ベルト64と下加圧ローラー65の圧着、離間が可能となる。定着ベルト64と下加圧ローラー65が圧着することにより、連帳メディアMを挟持して搬送する定着ニップが形成される。連帳メディアMは、加熱源62によって加熱された状態の定着ベルト64と下加圧ローラー65による定着ニップを通過する際に加熱及び加圧され、トナー画像が定着される。
【0033】
通信部70は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0034】
巻取装置3は、本体部2から搬送されてきた連帳メディアMを巻き取る装置である。巻取装置3は、図示しないモーターの駆動により、本体部2から搬送されてきた連帳メディアMを一定の速度で支持軸Yに巻き取る。巻取装置3の巻き取り動作は、本体部2が備える制御部10によって制御される。
また、巻取装置3には、連帳メディアMにテンションを付与するテンション付与機構301が設けられている。テンション付与機構301は、
図3に示すように、従動ローラー301a、301b、ダンサーローラー301c、錘301d等を備えて構成されている。本体部2から搬送されてきた連帳メディアMは、従動ローラー301a、ダンサーローラー301c、及び従動ローラー301bに巻き掛けられてテンションが付与され支持軸Yに搬送される。テンション付与機構301によるテンション付与の仕組みについては、テンション付与機構101と同様であるので説明を援用する。
【0035】
なお、本実施形態では、給紙装置1及び巻取装置3にテンション付与機構が設けられているが、いずれか一方のみとしてもよい。
【0036】
(画像形成装置100の動作)
次に、画像形成装置100の動作について説明する。
図5は、制御部10により実行される昇温制御処理を示すフローチャートである。
図5に示す昇温制御処理は、画像形成装置100の電源が投入されている場合に、制御部10のCPU10aとROM10bに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0037】
ステップS1において、制御部10は、定着部60の昇温動作を行う(ステップS1)。
定着部60の昇温動作は、
図6に示すように、転写ローラー43を離間させ、定着ベルト64と下加圧ローラー65を離間させ、定着ベルト64を回転させながら、目標温度となるまで加熱源62に電力を供給する動作である。
【0038】
本実施形態において、制御部10は、テンション付与機構101及びテンション付与機構301により連帳メディアMにテンションを付与した状態で、かつニップローラー53、54を圧着した状態で昇温動作を行う。
ここで、上述のように、電源が投入されている間、テンション付与機構101及びテンション付与機構301により連帳メディアMにテンションが付与された状態となるが、画像形成装置100の電源が切られるとテンション付与機構101及びテンション付与機構301から連帳メディアMにテンションが付与されなくなるので、電源投入直後は連帳メディアMがたるんだ状態の可能性がある。そこで、電源投入直後は、連帳メディアMをゆっくり搬送させてテンション付与機構101及びテンション付与機構301により連帳メディアMにテンションが付与された状態としてから昇温動作を行う。また、ニップローラー53、54が離間している場合には、連帳メディアMにテンションが付与された状態で、ニップローラー53、54の双方を圧着して昇温動作を行う。
【0039】
連帳メディアMにテンションを付与することにより、連帳メディアMは、通紙方向に引っ張られた状態になり、定着ベルト64と離れた状態を保つことができる。定着ベルト64と連帳メディアMの距離を保つことができれば、連帳メディアMと回転している定着ベルト64の接触により発生する定着ベルトの傷を抑制することができ、定着ベルト傷による画像品質の低下を抑制することができる。
【0040】
また、ニップローラー53、54を圧着した状態とすることにより、連帳メディアMの搬送を停止した場合であっても、ニップローラー53、54の間の連帳メディアMに付与されたテンションが維持される。すなわち、連帳メディアMを停止してテンション付与機構101、301によるテンション付与を解除してもニップローラー53、54間の連帳メディアMのテンションを維持し続けることが可能となるため、例えば、印刷後に連帳メディアMを切断して印刷物を取り出す場合又は連帳メディアMのロールを交換する場合にテンション付与を解除しても、定着ベルト64と連帳メディアMが離れた状態を保つことができる。その結果、定着部60の昇温動作や昇温維持動作を続行することが可能となり、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出した後や給紙側の連帳メディアの交換後の定着部60の昇温動作の待ち時間を短縮することが可能となる。
【0041】
なお、印刷物の取り出しやロール交換等で連帳メディアMの搬送を停止しなければならない場合を除き、昇温動作は、連帳メディアMの搬送を停止して行っても、搬送(移動させながら)行ってもよい。
ニップローラー53、54が圧着した状態で連帳メディアMが停止している場合、定着部60で発生する熱により連帳メディアMに伸びや変形が生じると、付与されているテンションが緩んでしまい、定着ベルト64と連帳メディアMの距離を保つことが難しくなる。そこで、連帳メディアMを停止して昇温動作を行う場合は、上流側のニップローラー53の圧着で連帳メディアMを保持し、下流側のニップローラー54を圧着した状態で連帳メディアMを下流側に引っ張る方向に駆動トルクを付与して連帳メディアMを下流に送るようにニップローラー54の駆動を制御することが好ましい。これにより、連帳メディアMに変形や伸びが生じてもテンションを維持することが可能になり、変形による伸び縮みを吸収することができる。その結果、連帳メディアMが定着ベルト64と離れた状態を保ち、接触を回避することが可能となる。
一方、ニップローラー53、54を回転させて連帳メディアMを搬送させながら昇温動作を行う場合は、連帳メディアMが一か所にとどまらないため、その変形を抑制することができ、かつ、搬送によりニップローラー53、54間のテンションも一定に保たれるため、連帳メディアMの伸び縮みを吸収することが可能である。
【0042】
次いで、制御部10は、給紙装置1において連帳メディアMのロールが交換されたか否かを判断する(ステップS2)。
給紙装置1において連帳メディアMのロールを交換する際、ユーザーは、操作部32を操作して連帳メディアMの交換を指示して交換作業を行い、交換が終了すると、操作部32で交換終了ボタンを押下する。制御部10は、交換終了ボタンが押下されたか否かに基づいて、連帳メディアMのロールが交換されたか否かを判断する。なお、ロールの交換には、交換前のロールの連帳メディアMと交換後のロールの連帳メディアMを貼り合わせて接続する作業が含まれる。
【0043】
連帳メディアMのロールが交換されたと判断した場合(ステップS2;YES)、制御部10は、給紙装置1、用紙搬送部50、巻取装置3を制御して連帳メディアMの搬送を行い(ステップS3)、所定距離の搬送が終了すると(ステップS4;YES)、ステップS5に移行する。
ここで、給紙装置1で連帳メディアMのロールが交換された場合、連帳メディアMの接続部分(交換前のロールの連帳メディアMと交換後のロールの連帳メディアMを貼り合わせた部分)が定着部60の上流に存在している。メディア接続部分はシワが発生していたり変形していたりするので、定着部60の定着ニップ部に接続部分が到達した際、定着ベルトとメディアの距離を保つことができなくなり、連帳メディアMが定着ベルト64に接触してしまい、定着ベルト64に傷が発生してしまい画像品質の低下を招いてしまう。そこで、連帳メディアMのロールが交換された場合、連帳メディアMを所定距離搬送する。所定距離は、少なくとも接続部分が定着部60の定着ニップ部の位置を通過できる距離であり、予め定められている。
このように、給紙側のロールを交換後に連帳メディアMの接続部分を定着部60の定着ニップ部の位置より下流側に搬送しておくことで、定着ベルト64の傷発生を抑制することができる。
【0044】
連帳メディアMのロールが交換されていないと判断した場合(ステップS2;NO)、ステップS5に移行する。
ステップS5において、制御部10は、図示しない温度センサーを参照し、定着部60が所定温度(目標温度)に到達したか否かを判断する(ステップS5)。所定温度に到達していないと判断した場合(ステップS5;NO)、制御部10は、ステップS1に戻る。
【0045】
一方、定着部60が所定温度(目標温度)に到達したと判断した場合(ステップS5;YES)、制御部10は、定着部60の昇温維持動作(昇温状態を維持する動作)を行う(ステップS6)。
昇温動作が目標温度となるまで加熱源62に電力を供給するのに対し、昇温維持動作は、加熱源62の電力供給のON/OFFを行って目標温度を維持する。それ以外の動作(定着ベルト64と下加圧ローラー65の離間、定着ベルト64の回転、連帳メディアMのへテンションの付与、ニップローラー53、54の圧着等)についてはステップS1で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0046】
次いで、制御部10は、画像形成(印刷)が指示されたか否かを判断する(ステップS7)。画像形成が指示されたと判断した場合(ステップS7;YES)、制御部10は、上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧着して定着ニップを形成し(ステップS8)、連帳メディアMに印刷を行い、すなわち、画像形成部40により連帳メディアM上にトナー画像を形成するとともに、画像形成部40で形成されたトナー画像が定着部60で定着され、定着部60の下流側に搬送されるまで連帳メディアMを搬送し(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0047】
一方、画像形成(印刷)が指示されていないと判断した場合(ステップS7;NO)、制御部10は、給紙装置1において連帳メディアMのロールが交換されたか否かを判断する(ステップS10)。
連帳メディアMのロールが交換されていないと判断した場合(ステップS10;NO)、制御部10は、ステップS6に戻る。
連帳メディアMのロールが交換されたと判断した場合(ステップS10;YES)、制御部10は、給紙装置1、用紙搬送部50、巻取装置3を制御して連帳メディアMの搬送を行い(ステップS11)、所定距離の搬送が終了すると(ステップS12;YES)、ステップS1に戻る。ステップS10~S12の処理は、ステップS2~S4の処理と同様であるので説明を援用する。画像形成装置100に電源が投入されている間、制御部10は、ステップS1~S12を繰り返し実行する。
【0048】
このように、画像形成装置100によれば、テンション付与機構101、301により連帳メディアMにテンションを付与した状態で、ニップローラー53、54を圧着して昇温動作及び昇温維持動作を行うので、印刷後に連帳メディアMを切断して印刷物を取り出す場合や給紙側の連帳メディアMのロール交換の場合等にテンション付与を解除しても、ニップローラー53、54間の連帳メディアMのテンションを維持し続けることが可能である。よって、定着ベルト64と連帳メディアMが離れた状態を保つことができるため、定着部60の昇温動作や昇温維持動作を継続することが可能となる。その結果、印刷後に連帳メディアMを切断して印刷物を取り出した後や給紙側の連帳メディアMのロール交換後の再プリント時の昇温動作の待ち時間を短縮することが可能となる。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、給紙装置1及び巻取装置3にテンション付与機構101、301が備えられている場合を例にとり説明したが、第2の実施形態の画像形成装置200では、
図7に示すように、定着部60の上流側のニップローラー53と下流側のニップローラー54の間にテンション付与機構401が備えられている。テンション付与機構401の構成は、上述のテンション付与機構101、301と同様である。
図7においては、ニップローラー53、54間の定着部60の上流側にテンション付与機構401が備えられている場合を図示しているが、下流側に備えられていることとしてもよい。また、給紙装置1、巻取装置3にもテンション付与機構が備えられている構成としてもよい。
その他の画像形成装置200の各部の構成及び昇温制御処理の動作は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0050】
図7に示す画像形成装置200において、給紙装置1から出た連帳メディアMはニップローラー53を通り、テンション付与機構401でテンションが付与され、転写ローラー43でトナー画像が転写され、定着部60でトナー画像が定着されて巻取装置3に巻き取られる。ニップローラー53、54が圧着している状態では、ニップローラー53より上流の連帳メディアMのテンションは給紙装置1の回転軸Xのトルクによって付与することができる。ニップローラー54より下流の連帳メディアMのテンションは、巻取装置3の回転軸Yのトルクによって付与することができる。ニップローラー53、54間の連帳メディアMのテンションは、テンション付与機構401により付与することができる。ニップローラー53、54を離間すればテンション付与機構401で給紙装置1の回転軸Xから巻取装置3の回転軸Yまで一定のテンションを付与することができる。
【0051】
画像形成装置200によれば、上流側と下流側のニップローラー53、54の間にテンション付与機構401が設けられているので、昇温動作時及び昇温維持動作時にニップローラー53、54の双方を圧着した状態することで、連帳メディアMを停止して給紙装置1や巻取装置3でテンション付与を解除してもニップローラー53、54間の連帳メディアMのテンションを維持することができる。よって、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出し時や連帳メディアMのロール交換時においても連帳メディアMが定着ベルト64と離れた状態を保つことができ、定着部60の昇温動作や昇温維持動作を継続することが可能となる。その結果、印刷後に連帳メディアを切断して印刷物を取り出した後や給紙側の連帳メディアMのロール交換後の昇温動作の待ち時間を短縮することが可能となる。
また、ニップローラー53、54の間にテンション付与機構401が設けられているため、定着部60の昇温動作時や昇温維持動作に伴って発生する熱によって連帳メディアMの伸び、変形が起きた場合に、連帳メディアMに付与したテンションが低下することなく付与し続けることが可能になり、連帳メディアMと定着ベルト64とを離れた状態に保つことが可能となる。
【0052】
以上、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態について説明したが、上記実施形態における記述は、本発明に係る好適な画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記第1及び第2の実施形態では、定着部60の上流かつ給紙装置1の下流に設けられるニップ部、及び定着部60の下流かつ巻取装置3の上流に設けられるニップ部がニップローラー対(ニップローラー53、54)である場合について説明したが、上記ニップ部は、一対の圧着及び離間が可能な加圧部材(回転しない加圧部材)により構成されていることとしてもよい。そして、制御部10は、加圧部材の圧着駆動機構を制御して、連帳メディアMの搬送時、上流側と下流側の双方のニップ部を離間させ、昇温動作時や昇温維持動作時には、連帳メディアMにテンションが付与された状態で連帳メディアMを停止させ、上流側と下流側の双方のニップ部を圧着させることとしてもよい。
また、上流側のニップ部を加圧部材とし、下流側のニップ部をニップローラー54としてもよい。そして、昇温動作時や昇温維持動作時に上流側のニップ部の圧着で連帳メディアMを保持し、下流側のニップローラー54を圧着した状態で連帳メディアMを下流側に引っ張る方向に駆動トルクを付与して連帳メディアMを下流に送るようにしてもよい。
【0053】
ただし、上述のニップ部をニップローラー53、54とすれば、それらによって連帳メディアMを搬送することが可能となるので好ましい。特に、定着を行わずに連帳メディアMを搬送するのみの場合に定着部60の定着ニップを使用して搬送を行うと、連帳メディアMによって定着部60に蓄積した熱を奪われてしまい、搬送後にプリントに必要な目標温度に蓄熱するための昇温動作に時間がかかってしまうが、定着部60の上流および下流にニップローラー対があれば連帳メディアMの搬送に定着部60の定着ニップを使用する必要がなくなる。また、連帳メディアMの搬送中も昇温動作や昇温維持動作を行うことが可能となる。
【0054】
また、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65が圧着した状態で連帳メディアMを搬送する場合(例えば画像形成された連帳メディアMを搬送する場合等)、制御部10は、少なくとも定着部60の下流側のニップローラー54は離間させるように制御することが好ましい。
一般的に、複数のニップローラー対がある場合、連帳メディアMにテンションを付与するためには、下流のニップローラー対の線速度を上流のニップローラー対の線速度より大きく設定することが知られている。すなわち、定着部60の下流にニップローラー対がある場合、そのニップローラー対の線速度を定着部60で形成する定着ニップの線速度より高くすることが好ましい。しかしながら、定着ニップのニップ圧は、一般的に他のニップローラー対のニップ圧より非常に大きいので、下流のニップローラーの線速度が大きいと下流のニップローラー対に負荷がかかりスリップしてしまう。これによって画像面とニップローラー対がこすれることで画像不良が発生してしまう場合がある。そこで、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65が圧着した状態で連帳メディアMを搬送する場合、制御部10は、少なくとも定着部60の下流側のニップローラー54は離間させることで、ニップローラー54でのスリップの発生を抑制することができ、画像不良の発生を回避することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、定着部60が定着ベルト64を用いる構成である場合を例にとり説明したが、本発明は、定着ベルトを用いずに、上加圧ローラーを第1の回転部材とし、下加圧ローラーを第2の回転部材として、第1の回転部材及び第2の回転部材を直接圧着させる構成の定着部に適用することとしてもよい。この場合、例えば、第1の回転部材である上加圧ローラーの近傍に加熱源が備えられ、上加圧ローラーを回転させながら昇温動作及び昇温維持動作を行う。
【0056】
また、上記した実施形態では、画像形成装置100、200が、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置であるものとしたが、単色のトナーで画像形成を行うモノクロ画像形成装置であっても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として半導体メモリーやHDDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【0058】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
100、200 画像形成装置
1 給紙装置
101 テンション付与機構
101a、101b 従動ローラー
101c ダンサーローラー
101d 錘
2 本体部
10 制御部
20 記憶部
30 操作表示部
31 表示部
32 操作部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
61 加熱ローラー
62 加熱源
63 上加圧ローラー
64 定着ベルト
65 下加圧ローラー
70 通信部
3 巻取装置
301 テンション付与機構
301a、301b 従動ローラー
301c ダンサーローラー
301d 錘
401 テンション付与機構