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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】クリーニング装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230926BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G15/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019172337
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021051114
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 明彦
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-149127(JP,A)
【文献】特開2013-033147(JP,A)
【文献】特開2015-052689(JP,A)
【文献】特開2015-041017(JP,A)
【文献】特開2019-008139(JP,A)
【文献】特開2012-203293(JP,A)
【文献】特開2008-299064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より剛性が高く、かつより強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記下流側のクリーニング部材は、金属材料からなる請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より弱く前記像担持体に当接する請求項または請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記下流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さが、前記上流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さよりも長い請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より強く前記シール部材に当接され、かつ前記送り幅方向の長さがより長いことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
前記下流側のクリーニング部材は、板状のスクレーパである請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記上流側のクリーニング部材は、前記下流側のクリーニング部材よりも厚い板状のスクレーパである請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記クリーニング部材は、板状のスクレーパであり、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、板厚がより小さく、かつより強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
前記上流側のクリーニング部材は、前記送り幅方向における端面に前記シール部材が対面し、
前記下流側のクリーニング部材は、前記像担持体に対向する面の反対側の面に前記シール部材が対面する請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記下流側のクリーニング部材の両端に配置された前記シール部材同士の間隙が、前記上流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さよりも長い請求項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
少なくとも一方の前記クリーニング部材に対して、その前記送り方向の上流側に配置されたトナー飛散防止シートと、前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シートを固定するケーシングと、を備え、
前記クリーニング部材、前記クリーニング部材に当接する前記シール部材、前記ケーシング、および前記トナー飛散防止シートは、前記像担持体との間に、前記トナー飛散防止シートと前記像担持体との間隙を除いて閉空間を形成する請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
1つの前記ケーシング、それに固定された前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シート、ならびに前記クリーニング部材に当接する前記シール部材は、前記像担持体に対して着脱可能なクリーニングユニットを構成する請求項11に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材、ならびに、少なくとも一方の前記クリーニング部材に対して、その前記送り方向の上流側に配置されたトナー飛散防止シート、および前記クリーニング部材と前記トナー飛散防止シートを固定するケーシングを備え、
前記クリーニング部材、前記クリーニング部材に当接する前記シール部材、前記ケーシング、および前記トナー飛散防止シートは、前記像担持体との間に、前記トナー飛散防止シートと前記像担持体との間隙を除いて閉空間を形成し、
1つの前記ケーシング、それに固定された前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シート、ならびに前記クリーニング部材に当接する前記シール部材は、前記像担持体に対して着脱可能なクリーニングユニットを構成し、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のクリーニング装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンタや複写機等の電子写真方式の画像形成装置において、トナー像が形成される像担持体(感光体、中間転写ベルト等)の表面の、用紙等への転写部位の下流側にロールブラシやブレード状のワイパー等のクリーニング部材を摺接させることによって、像担持体の表面に付着した残留トナー等の異物を除去(クリーニング)する技術が知られている。ブレード状のクリーニング部材は、像担持体の送り幅方向(回転軸方向)の両端の端面に、像担持体から掻き取ったトナー等が漏れ出さないように、シール部材が当接されている。
【0003】
クリーニング部材は、ゴム等の弾性材料で形成されているので、変形しないように、シール部材を強く当接させ難い。そのため、クリーニング部材とシール部材との間に間隙が生じる場合があり、掻き取ったトナーが間隙から擦り抜けて像担持体や画像形成装置の他の部材に付着することがある。クリーニング部材を変形させない程度にシール部材を間隙なく当接させるには、シール部材をケーシング等に取り付ける際に高い貼付け精度を要する。その結果、画像形成装置の組立において、作業時間がかかったり貼付け不良によって仕損費が増大したりする等、生産性が低下し、また、メンテナンス性が悪化する。そこで、例えば、特許文献1には、クリーニング部材の下流側に、このクリーニング部材よりも送り幅方向長の長いもう一つのクリーニング部材を配置して、間隙から漏出したトナーを除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5986048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された画像形成装置は、下流側に配置したクリーニング部材からもトナーが漏出する虞がある。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成装置において像担持体から残留トナーを確実に除去するクリーニング装置、およびこのようなクリーニング装置を備える画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
【0008】
(1)用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より剛性が高く、かつより強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【0009】
(2)前記下流側のクリーニング部材は、金属材料からなる(1)に記載のクリーニング装置。
【0010】
(3)前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より弱く前記像担持体に当接する(1)または(2)に記載のクリーニング装置。
【0011】
(4)前記下流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さが、前記上流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さよりも長い(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【0012】
(5)用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より強く前記シール部材に当接され、かつ前記送り幅方向の長さがより長いことを特徴とするクリーニング装置。
【0013】
(6)前記下流側のクリーニング部材は、板状のスクレーパである(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【0014】
(7)前記上流側のクリーニング部材は、前記下流側のクリーニング部材よりも厚い板状のスクレーパである(6)に記載のクリーニング装置。
(8)用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、および前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材を備え、
前記クリーニング部材は、板状のスクレーパであり、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、板厚がより小さく、かつより強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【0015】
)前記上流側のクリーニング部材は、前記送り幅方向における端面に前記シール部材が対面し、
前記下流側のクリーニング部材は、前記像担持体に対向する面の反対側の面に前記シール部材が対面する(6)乃至(8)のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【0016】
10)前記下流側のクリーニング部材の両端に配置された前記シール部材同士の間隙が、前記上流側のクリーニング部材の前記送り幅方向の長さよりも長い()に記載のクリーニング装置。
【0017】
11)少なくとも一方の前記クリーニング部材に対して、その前記送り方向の上流側に配置されたトナー飛散防止シートと、前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シートを固定するケーシングと、を備え、
前記クリーニング部材、前記クリーニング部材に当接する前記シール部材、前記ケーシング、および前記トナー飛散防止シートは、前記像担持体との間に、前記トナー飛散防止シートと前記像担持体との間隙を除いて閉空間を形成する(1)乃至(10)のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【0018】
12)1つの前記ケーシング、それに固定された前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シート、ならびに前記クリーニング部材に当接する前記シール部材は、前記像担持体に対して着脱可能なクリーニングユニットを構成する(11)に記載のクリーニング装置。
(13)用紙に転写するトナー像を担持する像担持体から残留トナーを除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体の送り方向の上流側と下流側とで前記像担持体に接触する2つのクリーニング部材、前記クリーニング部材のそれぞれの前記像担持体の送り幅方向における両端に配置されたシール部材、ならびに、少なくとも一方の前記クリーニング部材に対して、その前記送り方向の上流側に配置されたトナー飛散防止シート、および前記クリーニング部材と前記トナー飛散防止シートを固定するケーシングを備え、
前記クリーニング部材、前記クリーニング部材に当接する前記シール部材、前記ケーシング、および前記トナー飛散防止シートは、前記像担持体との間に、前記トナー飛散防止シートと前記像担持体との間隙を除いて閉空間を形成し、
1つの前記ケーシング、それに固定された前記クリーニング部材および前記トナー飛散防止シート、ならびに前記クリーニング部材に当接する前記シール部材は、前記像担持体に対して着脱可能なクリーニングユニットを構成し、
前記下流側のクリーニング部材は、前記上流側のクリーニング部材と比較して、より強く前記シール部材に当接されていることを特徴とするクリーニング装置。
【0019】
14)(1)乃至(13)のいずれか一項に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るクリーニング装置および画像形成装置によれば、像担持体から残留トナーを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る画像形成装置の要部の概略構成図である。
図2】本発明に係るクリーニング装置の断面図であり、図1に示す画像形成装置の部分拡大図である。
図3】本発明に係るクリーニング装置のクリーニングユニットの概略構成図である。
図4】本発明に係るクリーニング装置の、ケーシング内から見た平面図である。
図5A図4のVA-VA線における断面図である。
図5B図4のVB-VB線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態(実施形態)における画像形成装置を、図面を参照して説明する。なお、図面に示す部材は、説明を明確にするために、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一のまたは同質の部材については、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0023】
〔画像形成装置〕
図1は、本発明に係る画像形成装置の要部の概略図であり、側方から見た構成図である。図1に示す画像形成装置100は、フルカラー対応の中間転写方式の画像形成装置であり、紙等のシート状の被印刷物Wの表面にカラー画像を形成する。画像形成装置100は、画像処理部3、4色の画像形成ユニット4y,4m,4c,4k、中間転写ベルト(像担持体)51、中間転写ベルト51の残留トナーを除去するクリーニング装置10、中間転写ベルト51を張架して一定方向に送るローラ52~57、二次転写ローラ61、加熱ローラ62および加圧ローラ63、ならびに、被印刷物Wの搬送機構、これらを収容する筐体、および操作パネル等(図示省略)を備える。
【0024】
(画像処理部)
画像処理部3は、外部から入力された画像データをデジタル画像処理し、処理したデータに基づいて画像形成ユニット4y,4m,4c,4kを制御する。
【0025】
(画像形成ユニット)
画像形成ユニット4y,4m,4c,4kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。画像形成ユニット4y,4m,4c,4kは、それぞれ、感光体ドラム41、帯電装置42、露光装置43、現像装置44、およびドラムクリーニング装置45を備える。感光体ドラム41は、表面(周面)に単色のトナー像を形成される像担持体であり、図1の紙面垂直方向を軸に回転駆動し、周方向に順に、帯電装置42、露光装置43、現像装置44、中間転写ベルト51、ドラムクリーニング装置45と対向する。帯電装置42は、感光体ドラム41の表面を一様に帯電する。露光装置43は、画像処理部3からの信号に基づいて感光体ドラム41にレーザー光等を照射して、表面の画像形成領域を露光して静電潜像を形成する。現像装置44は、帯電したトナーを供給し、電界力の作用により、感光体ドラム41の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する。感光体ドラム41は、中間転写ベルト51を挟んで対向する一次転写ローラ54によって中間転写ベルト51に圧接して、表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写する。ドラムクリーニング装置45は、感光体ドラム41表面の、トナー像が中間転写ベルト51に転写された後に残留するトナーを除去する。ドラムクリーニング装置45は、ロールブラシや後記のクリーニング装置10の第1クリーニング部材11のようなブレードを感光体ドラム41の表面に当接するように配置して備え、例えば、クリーニング装置10の第1クリーニングユニット1(図3参照)のような構成とすることができる。
【0026】
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト51は、画像形成ユニット4y,4m,4c,4kの各感光体ドラム41から順次トナー像を転写されることによってフルカラーのトナー像を表面に形成される像担持体である。中間転写ベルト51は、無端ベルトであり、外周側を表面として、従動ローラ52,53、4つの一次転写ローラ54、駆動ローラ55、二次転写バックアップローラ56、およびクリーニング対向ローラ57で張架されて一定方向(図1では時計回り)に送られる。以下、本明細書において、上流、下流とは、別途記載のない限り、中間転写ベルト51の送り方向(図中、白抜き矢印で表す)におけるものを指す。
【0027】
一次転写ローラ54は、中間転写ベルト51を挟んで、画像形成ユニット4y,4m,4c,4kの各感光体ドラム41と対向して配置され、中間転写ベルト51を感光体ドラム41に圧接させる。二次転写バックアップローラ56は、中間転写ベルト51を挟んで二次転写ローラ61と対向して配置され、搬送されてきた被印刷物Wに中間転写ベルト51を圧接させて、中間転写ベルト51表面のトナー像を被印刷物W表面に転写させる。従動ローラ52,53および駆動ローラ55は、中間転写ベルト51を所定の軌道上で送るために配置され、このうちの駆動ローラ55が回転駆動して中間転写ベルト51を一定方向に送る。駆動ローラ55は、画像形成ユニット4y,4m,4c,4kにおける最下流すなわち画像形成ユニット4kの感光体ドラム41に対向する一次転写ローラ54の下流側に配置されることが好ましく、したがって、前記一次転写ローラ54と二次転写バックアップローラ56との間に配置される。一方、従動ローラ52,53は、画像形成ユニット4yの感光体ドラム41に対向する一次転写ローラ54と、二次転写バックアップローラ56との間に配置される。さらに、図2に示すように、従動ローラ52は、中間転写ベルト51の、クリーニング装置10の第1クリーニング部材11との当接部位の裏面で当接するように配置される。クリーニング対向ローラ57は、中間転写ベルト51の、クリーニング装置10の第2クリーニング部材21との当接部位の下流側近傍の裏面で当接するように配置される。
【0028】
(二次転写ローラ、加熱ローラ、加圧ローラ)
二次転写ローラ61は、中間転写ベルト51を挟んで二次転写バックアップローラ56と対向して配置され、被印刷物Wを搬送しながら中間転写ベルト51に圧接して、中間転写ベルト51表面のトナー像を被印刷物W表面に転写する。加熱ローラ62および加圧ローラ63は、二次転写ローラ61に対して被印刷物Wの搬送方向の下流側に、互いに対向して配置され、一方が回転駆動して他方が従動し、加熱ローラ62がヒータで加熱される。加熱ローラ62および加圧ローラ63は、間に被印刷物Wを挟んで搬送しながら、被印刷物Wにその表面に付着したトナー像を熱圧着して定着させる。
【0029】
〔クリーニング装置〕
図2は、本発明に係るクリーニング装置の断面図であり、図1に示す画像形成装置の部分拡大図である。本実施形態に係るクリーニング装置10は、画像形成装置100の中間転写ベルト51の表面に付着した残留トナー等の異物を除去する。そのために、クリーニング装置10は、中間転写ベルト51の表面に、二次転写ローラ61と画像形成ユニット4yの感光体ドラム41との間で対向するように配置される。クリーニング装置10は、上流と下流の2箇所で中間転写ベルト51の表面に接触するように配置された2つのクリーニング部材11,21、およびクリーニング部材11,21のそれぞれの中間転写ベルト51の送り幅方向における両端(両縁)に配置されたシール部材12,22を備える。クリーニング部材11,21について、上流側を第1クリーニング部材11、下流側を第2クリーニング部材21と称する。また、中間転写ベルト51の送り幅方向(以下、送り幅方向)とは、中間転写ベルト51の送り方向に直交する方向であり、ローラ52~57等の回転軸方向である。
【0030】
クリーニング装置10はさらに、第1クリーニング部材11の上流側に配置されたトナー飛散防止シート13と、第1クリーニング部材11、シール部材12、およびトナー飛散防止シート13を固定するケーシング15と、第2クリーニング部材21の上流側に配置されたトナー飛散防止シート23と、第2クリーニング部材21、シール部材22、およびトナー飛散防止シート23を固定するケーシング25と、を備える。クリーニング装置10はさらに、トナー飛散防止シート13,23のそれぞれの両縁に配置されたシール部材14,24と、第1クリーニング部材11を支持してケーシング15に固定する支持部材16と、を備える。中間転写ベルト51と対向する側(正面側)に開口部を有するケーシング15、ならびにこれに固定された第1クリーニング部材11、シール部材12,14、支持部材16、およびトナー飛散防止シート13は、第1クリーニングユニット1を構成する。同様に、正面側に開口部を有するケーシング25、ならびにこれに固定された第2クリーニング部材21、シール部材22,24、およびトナー飛散防止シート23は、第2クリーニングユニット2を構成する。クリーニング装置10は、このように2つの分離したクリーニングユニット1,2で構成されることにより、画像形成装置100において、中間転写ベルト51に対して個別に着脱可能である。したがって、クリーニング装置10は、画像形成装置100におけるレイアウトの自由度が高く、また、メンテナンス性がよい。
【0031】
(第1クリーニングユニット)
第1クリーニング部材11を備える第1クリーニングユニット1は、電子写真方式の画像形成装置の一般的なクリーニングユニットと同様の構成とすることができ、その一例を図3に示す。図3は、本発明に係るクリーニング装置の第1クリーニングユニットの概略構成図であり、クリーニング対象である画像形成装置の中間転写ベルトに対向する側から見た斜視図である。図4は、ケーシング内から見たクリーニング装置の平面図である。図5Aは、図4のVA-VA線における断面図であり、クリーニング装置の、第1クリーニング部材の中間転写ベルトとの当接部位における断面図である。第1クリーニングユニット1の各要素について、詳細に説明する。
【0032】
第1クリーニング部材11は、弾性材料で形成された細長い長方形の平板状部材であり、具体的には、ウレタンゴム、フッ素ゴム(FKM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルゴム(NBR)等が適用され、厚さが0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。第1クリーニング部材11は、長辺を送り幅方向とし、長辺の一辺(先端)を上流側へ斜め方向に向けて中間転写ベルト51の表面に当接するように配置され、したがって、先端における表面(中間転写ベルト51と対向する面)側の稜線が中間転写ベルト51の表面に接触する。第1クリーニング部材11は、先端が摺接しながら送られる中間転写ベルト51の表面から異物を掻き取るスクレーパである。そのために、第1クリーニング部材11は、当該第1クリーニング部材11の弾性によって、中間転写ベルト51に押し付けられるように当接する。第1クリーニング部材11は、送り幅方向において、長さw1が、中間転写ベルト51のトナー像形成領域よりも長く形成され、一方、中間転写ベルト51の全幅よりも短いことが好ましい。また、第1クリーニング部材11は、軟質であるため、剛性の高い板材である支持部材16を介して、ケーシング15に取り付けられていてもよい。ここでは、第1クリーニング部材11の裏面が支持部材16の表面に接着されている。第1クリーニング部材11は、先端が張り出すように支持部材16に接着され、固定されていない領域の短辺方向長(自由長)が10mm前後であることが好ましい。第1クリーニング部材11は、中間転写ベルト51への当接圧を強くするために、中間転写ベルト51を張架するローラとの当接部位の表側で当接するように配置されることが好ましい。画像形成装置100においては、第1クリーニング部材11は、従動ローラ52に対向して配置される。
【0033】
支持部材16は、長辺が第1クリーニング部材11(w1)以上の長さの長方形の平板状部材であり、第1クリーニング部材11を表面に接着して支持すると共に、ケーシング15に支持される。支持部材16は、軟質な第1クリーニング部材11を、中間転写ベルト51に送り幅方向に一様な荷重で当接させるように支持する。そのために、支持部材16は、変形し難いように剛性が第1クリーニング部材11よりも高く、金属板等で形成される。支持部材16は、長辺を送り幅方向とし、ケーシング15に、第1クリーニング部材11を接着した短辺方向の一端(先端)側を開口部上に張り出させて、他端側を溶接や螺着等によって固定される。
【0034】
シール部材12は、シート状のクッション部材であり、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、モケット、フェルト等の可撓性を有する材料で形成され、弾性を有することが好ましい。シール部材12はさらに、剛性が第1クリーニング部材11以下であることが好ましく、第1クリーニング部材11よりも軟質であることがさらに好ましい。シール部材12は、このような構成により、第1クリーニング部材11にある程度押し付けるように配置されても、第1クリーニング部材11を変形させないようにすることができる。また、シール部材12は、厚さが第1クリーニング部材11以上であることが好ましい。シール部材12は、第1クリーニング部材11とケーシング15、支持部材16とケーシング15のそれぞれの間隙を塞ぐ部材である。シール部材12は、端面が、第1クリーニング部材11の両縁のそれぞれの端面に接触するように、第1クリーニング部材11の送り幅方向両外側にそれぞれ配置され、裏面がケーシング15の表面(外面)に接着されて固定される。図5Aに、シール部材12とケーシング15との接着された界面を太線で表す。詳しくは、シール部材12は、第1クリーニング部材11が中間転写ベルト51に当接した状態で、端面が、第1クリーニング部材11の両縁の各端面の少なくとも一部の領域に接触可能に対面し、第1クリーニング部材11の先端を含む領域で対面することが好ましく、より広い領域で対面することがより好ましい。また、本実施形態では、送り幅方向において支持部材16が第1クリーニング部材11よりも長く形成されているので、支持部材16の第1クリーニング部材11からはみ出した領域については、その表面にシール部材12の裏面が対面する。なお、図4および図5Aにおいては、一方のシール部材12が第1クリーニング部材11の端面に接触し、他方のシール部材12が第1クリーニング部材11との間に間隙を生じた状態で示す。
【0035】
シール部材12は、送り幅方向中心に向かって押し込むような第1クリーニング部材11への当接圧を強くしないように配置され、さらには当接圧0で第1クリーニング部材11に接触していることが好ましい。第1クリーニング部材11は、荷重を強くかけられると、中間転写ベルト51に当接する際の弾性変形を妨げられ、また、長期的に変形する虞があり、さらには、先端が中間転写ベルト51の表面から部分的に浮いて間隙を生じ、異物を掻き取ることができなくなる。
【0036】
さらに、シール部材12は、表面が中間転写ベルト51の表面に接触するように配置されてもよく、中間転写ベルト51の第1クリーニング部材11との当接部位の送り幅方向外側における近傍で接触することが好ましい。本実施形態では、シール部材12は、中間転写ベルト51の表面に、第1クリーニング部材11との当接部位から下流側の近傍まで接触している。シール部材12の中間転写ベルト51への当接圧は、第1クリーニング部材11の中間転写ベルト51への当接圧がシール部材12近傍で低くならないようにするために、前記当接圧以下であることが好ましく、それよりも低いことがさらに好ましい。ケーシング15に固定されたシール部材12が中間転写ベルト51に当接することにより、第1クリーニングユニット1と中間転写ベルト51とで構成される空間の閉塞性が高くなり、中間転写ベルト51の表面から掻き取られた異物が流出し難い。
【0037】
トナー飛散防止シート13は、第1クリーニングユニット1と中間転写ベルト51とで構成される空間の閉塞性を高めて、中間転写ベルト51の表面から掻き取られた異物を流出させないために設けられる。トナー飛散防止シート13は、弾性材料で形成された細長い長方形の平板状部材またはシート状部材であり、長辺を送り幅方向とし、送り方向に第1クリーニング部材11と略対称になるように、長辺の一辺(先端)を下流側へ斜め方向に向けて中間転写ベルト51の表面に当接するように配置される。ただし、トナー飛散防止シート13は、第1クリーニング部材11よりも低荷重で中間転写ベルト51の表面に接触するように配置され、当接圧0、すなわち押し付けられずに中間転写ベルト51の表面と接触していてもよい。具体的には、トナー飛散防止シート13が中間転写ベルト51の表面に付着した異物を掻き取ることのない程度の当接圧であればよい。また、異物を流出させなければ、トナー飛散防止シート13は、中間転写ベルト51に非接触であってもよい。トナー飛散防止シート13は、第1クリーニング部材11と同様の構成とすることができる。また、トナー飛散防止シート13は、送り幅方向において、中間転写ベルト51のトナー像形成領域よりも長く形成され、第1クリーニング部材11(w1)以上の長さに形成されることが好ましい。トナー飛散防止シート13は、第1クリーニング部材11との先端同士の間隙が、中間転写ベルト51の表面の異物が十分に通り抜けられる長さとなるように配置され、ただし、間隙が狭いほど異物を流出させ難い。トナー飛散防止シート13は、ケーシング15に固定されていない領域が自重で垂れ下ったりしないような厚さおよび当該領域の短辺方向長に形成される。
【0038】
クリーニング装置10においては、トナー飛散防止シート13が、第1クリーニング部材11と同様に、両縁にシール部材を接触させていてもよい。このシール部材14は、端面が、トナー飛散防止シート13の両縁のそれぞれの端面に接触するように、トナー飛散防止シート13の送り幅方向両外側にそれぞれ配置され、裏面がケーシング15の外面に接着されて固定される。シール部材14は、シール部材12の材料として前記に挙げたもので形成することができ、また、厚さがトナー飛散防止シート13以上であることが好ましい。シール部材14を設けることにより、第1クリーニングユニット1と中間転写ベルト51とで構成される空間の閉塞性が高くなる。シール部材14とシール部材12とは、対向する端面同士が間隙のないようにケーシング15に固定されていることが好ましく、さらには一体に形成されていてもよい。言い換えると、シール部材12が上流側に延伸して、トナー飛散防止シート13の送り幅方向両外側に配置される。
【0039】
ケーシング15は、中間転写ベルト51の表面から掻き取られた異物を収容すると共に、第1クリーニング部材11を支持する支持部材16、シール部材12,14、およびトナー飛散防止シート13を、それぞれ所定の配置に固定する。そのために、ケーシング15は、十分な強度を有する樹脂等の材料で形成される。図3に示すように、ケーシング15は、送り幅方向に延伸した柱状の筐体であり、中間転写ベルト51と対向する正面が開口している。本実施形態においては、ケーシング15は、正面が、中央ならびにその上流側および下流側の3面で構成され、全体が開口した中央の面(以下、開口面)が突出するように他の2面(上流側正面、下流側正面)が開口面に対して傾斜している。さらに、下流側正面の一部が開口面に連続して開口している。ケーシング15の開口部の下流側正面における深さは、支持部材16の短辺長等に応じて設計される。ケーシング15の開口部は、送り幅方向長が、第1クリーニング部材11および支持部材16よりも長い。また、ケーシング15は、正面の3面が、側面から突出するように送り幅方向両外側に張り出している。ケーシング15の下流側正面に支持部材16が、上流側正面にトナー飛散防止シート13が、それぞれ先端を開口面側に張り出して固定される。シール部材12は、送り幅方向内側の端面が第1クリーニング部材11の両縁の端面に接触するように、また、ケーシング15と支持部材16との間隙を表面から覆うように、ケーシング15の正面の開口面から下流側正面にかけて、張り出し部分(縁部)の表面に接着される。同様に、シール部材14は、送り幅方向内側の端面がトナー飛散防止シート13の両縁の端面に接触するように、ケーシング15の正面の開口面から上流側正面にかけて、縁部の表面に接着される。
【0040】
第1クリーニングユニット1はさらに、送り幅方向を軸に回転駆動するスクリューやローラ等をケーシング15内に備えて、第1クリーニング部材11が掻き取った異物を巻き込んで奥(背面側)やケーシング15外に移動させる構成としてもよい。また、支持部材16は、金具等の保持部材を介在してケーシング15に固定されてもよい。また、第1クリーニングユニット1は、支持部材16を備えず、ケーシング15の開口部の下流側正面における深さを小さくして、第1クリーニング部材11が直接にケーシング15に接着されて固定されてもよい。
【0041】
(第2クリーニングユニット)
第2クリーニング部材21を備える第2クリーニングユニット2は、第2クリーニング部材21が第1クリーニング部材11よりも下流側で中間転写ベルト51の表面に当接するように、第1クリーニングユニット1の下流側に配置される。第2クリーニングユニット2は、図3に示す第1クリーニングユニット1と同様に、ケーシング15と同様の形状のケーシング25に、支持部材16に代えて第2クリーニング部材21が取り付けられ、また、シール部材12,14およびトナー飛散防止シート13に代えてシール部材22,24およびトナー飛散防止シート23がそれぞれ取り付けられている。図5Bは、図4のVB-VB線における断面図であり、クリーニング装置の、第2クリーニング部材の中間転写ベルトとの当接部位における断面図である。以下、第2クリーニングユニット2について、第1クリーニングユニット1と異なる部分について特に詳細に説明する。
【0042】
第2クリーニング部材21は、長方形の平板状部材であり、第1クリーニング部材11と同様に、長辺を送り幅方向とし、長辺の一辺(先端)を上流側へ斜め方向に向けて中間転写ベルト51の表面に当接するように配置される。第2クリーニング部材21は、第1クリーニング部材11と同様に、先端が摺接しながら送られる中間転写ベルト51の表面から異物を掻き取るスクレーパである。ただし、後記するように、第2クリーニング部材21は、第1クリーニング部材11が中間転写ベルト51の表面から掻き取った後に再付着した異物を掬い上げる。そのために、図4に示すように、第2クリーニング部材21は、送り幅方向長w2が第1クリーニング部材11(w1)よりも長い(w2>w1)ことが好ましい。また、第2クリーニング部材21は、外力によって変形し難いように、第1クリーニング部材11よりも剛性が高いことが好ましい。また、第2クリーニング部材21は、異物を裏面上に掬い上げ易いように、厚さが小さいことが好ましい。したがって、第2クリーニング部材21は、ステンレス鋼やリン青銅等の金属板で形成されることが好ましく、厚さが50μm以上1.0mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。第2クリーニング部材21は、第1クリーニングユニット1における支持部材16と同様に、ケーシング25に溶接や螺着等によって固定され、あるいは、保持部材を介在して固定されてもよい。
【0043】
第2クリーニング部材21は、硬質な板材であることから、中間転写ベルト51の表面を疵付けないために、中間転写ベルト51への当接圧が第1クリーニング部材11よりも弱いことが好ましい。したがって、第2クリーニング部材21は、弾性変形可能な板バネであるが、湾曲せず平板状で、または第1クリーニング部材11よりも緩やかに湾曲して、中間転写ベルト51に当接するように配置されることが好ましい。このように、第2クリーニング部材21は、中間転写ベルト51に強く当接させないので、第1クリーニング部材11のように中間転写ベルト51を張架するローラとの当接部位に配置する必要がない。したがって、第2クリーニング部材21およびそれを固定するケーシング25等からなる第2クリーニングユニット2の、画像形成装置100におけるレイアウトの自由度が高く、画像形成装置100を大型化しなくても配置することができる。あるいは、当接圧を制御し易くするために、図2に示すように、第2クリーニング部材21の中間転写ベルト51との当接部位に対して下流側に間隔を空けた近傍の裏側で当接するクリーニング対向ローラ57を配置してもよい。
【0044】
シール部材22は、シール部材12と同様に、シート状のクッション部材であり、第2クリーニング部材21とケーシング25との間隙を塞ぐ部材である。第2クリーニング部材21は、厚さが小さく、端面のみへの接触では間隙を十分に塞ぐことが困難であり、また、中間転写ベルト51への当接圧が弱く、弾性変形による変位量が少ない。そこで、シール部材22は、第2クリーニング部材21の裏面に対面させて、第2クリーニング部材21を裏側から中間転写ベルト51に向けて押し出すように配置することができる。具体的には、シール部材22は、図3に示すシール部材12と同様に、ケーシング25の正面の縁部の表面に接着されるが、送り幅方向内側の開口部上に張り出すように配置される。図5Bに、シール部材22とケーシング25との接着された界面を太線で表す。そして、シール部材22は、図5Bに示すように、張り出した部分が、ケーシング25と第2クリーニング部材21との間隙からケーシング25の内側へ差し込まれて第2クリーニング部材21の裏面に当接する。このとき、ケーシング25の下流側正面の開口部の端に間隙が生じないように、シール部材22は十分な厚さとする。なお、シール部材22は、シール部材12と同じ材料および同じ厚さでなくてよい。また、シール部材22は、シール部材12と同様に、表面が中間転写ベルト51の表面に接触するように配置されてもよい。
【0045】
前記したように、第2クリーニング部材21は、送り幅方向長w2が第1クリーニング部材11(w1)よりも長いことが好ましい。さらに、図4に示すように、第2クリーニング部材21は、両縁のシール部材22,22と対面していない領域が第1クリーニング部材11(w1)よりも長いことが好ましい。すなわち、シール部材22,22同士の間隙w4(<w2)が、第1クリーニング部材11(w1)よりも長い(w4>w1)ことが好ましい。
【0046】
トナー飛散防止シート23およびシール部材24は、それぞれトナー飛散防止シート13およびシール部材14と同様の構成とすることができる。トナー飛散防止シート23は、送り幅方向において、第1クリーニング部材11(w1)よりも長く形成され、第2クリーニング部材21(w2)以上の長さに形成されることが好ましい。また、トナー飛散防止シート23は、第2クリーニング部材21およびトナー飛散防止シート13よりも低荷重で中間転写ベルト51の表面に先端が接触することが好ましく、当接圧0で中間転写ベルト51の表面に接触することがさらに好ましく、中間転写ベルト51に非接触であってもよい。ケーシング25は、ケーシング15と同様の構成とすることができる。ケーシング25の開口部の送り幅方向長w3は、第2クリーニング部材21(w2)よりも長く(w3>w2)、その差(w3-w2)がシール部材22の厚さの2倍程度であることが好ましい。このような構成により、ケーシング25の開口部の端の第2クリーニング部材21との間隙が、差し込まれたシール部材22によって適切に塞がれ、また、シール部材22が第2クリーニング部材21に強く当接する。
【0047】
〔クリーニング装置の動作〕
図4を参照して、本発明に係る画像形成装置の動作時における、クリーニング装置の動作を説明する。図1に示すようにローラ61,56間を通過して表面のトナー像を被印刷物Wに転写した中間転写ベルト51は、表面に部分的に残留したトナーTが付着した状態で、トナー飛散防止シート13の先端、第1クリーニング部材11の先端に順次接触する。
【0048】
中間転写ベルト51の表面に、十分な当接圧で第1クリーニング部材11の先端が摺接することにより、中間転写ベルト51に付着していたトナーTが掻き取られて、第1クリーニング部材11の裏面上に掬い上げられる。しかし、第1クリーニング部材11は厚みがあるので、掻き取ったトナーTの一部が第1クリーニング部材11の先端の端面上に溜まり、さらにその一部が横走りして送り幅方向の端(縁)まで移動することがある。そして、図4に示すように、第1クリーニング部材11とシール部材12との間にトナー粒径の数~十数μmよりも広い間隙が生じていた場合、トナーTがこの間隙を擦り抜けて流出し、中間転写ベルト51の表面に再付着する。その結果、第1クリーニング部材11の先端を通過した中間転写ベルト51は、第1クリーニング部材11の両縁の延長上(図4に一点鎖線で表す)の近傍にトナーTが付着している。このトナーTは、中間転写ベルト51との付着力が、第1クリーニング部材11で掻き取られる前よりも弱い。なお、図4および図5Aにおいては、第1クリーニング部材11の一方の側ではシール部材12に当接し、他方の側でシール部材12との間に間隙を生じている。クリーニング装置10は、図5Aに示す第1クリーニング部材11の中間転写ベルト51との当接部位において、太線で表すシール部材12とケーシング15との接着面を除いて各部材が互いに接着、接合されておらず、ケーシング15への取付けや中間転写ベルト51に対する配置によって接触した状態としている。したがって、接触面積が小さく当接圧が弱い第1クリーニング部材11とシール部材12との接触が維持されず、図4および図5Aに示すように間隙を生じることがある。
【0049】
そして、中間転写ベルト51は、第2クリーニング部材21の先端に接触する。第2クリーニング部材21は当接圧が弱いが、この時点での中間転写ベルト51の表面上のトナーTは付着力が弱いので、第2クリーニング部材21の先端で掻き取ることができる。また、第2クリーニング部材21は、第1クリーニング部材11よりも長い(w2>w1)ので、中間転写ベルト51のトナーTが付着し得る領域をカバーすることができる。さらに、第2クリーニング部材21の両縁のシール部材22,22と対面していない領域の長さw4が第1クリーニング部材11よりも長い(w4>w1)ことにより、第2クリーニング部材21が掻き取ったトナーTがシール部材22との間に入り込んで溜まることなく、ケーシング25内に収容される。また、第2クリーニング部材21は厚さが小さいので、その裏面上にトナーTが容易に掬い上げられる。そして、第2クリーニング部材21は、強い当接圧かつ広い面積でケーシング25との間をシール部材22で塞がれている上、変形し難いので、トナーTが擦り抜けられるような微小な間隙も生じ難く、掻き取ったトナーTが流出する虞が小さい。
【0050】
このように、クリーニング装置10は、本来のクリーニング部材である第1クリーニング部材11に加えて、その下流側に役割の異なる第2クリーニング部材21を備えることにより、中間転写ベルト51の表面から異物を漏れなく除去することができる。
【0051】
クリーニング装置10は、画像形成装置100において、下方が上流側となる配置で図1および図2に示しているが、上下方向は限定されない。すなわち、クリーニング装置10は、上方が上流側となる配置でもよいし、また、中間転写ベルト51の送り方向が水平となる配置であってもよく、この場合、中間転写ベルトの上面下面いずれの側でもよい。
【0052】
〔変形例〕
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば以下の態様が挙げられる。
【0053】
クリーニング装置10は、クリーニング対象がベルトに限られず、ドラム状の像担持体の残留トナーを除去することができる。この場合には、ドラムの周面の位置に合わせて、クリーニング部材11,21等をそれぞれ適切な当接圧となるように配置する。また、クリーニング装置10は、画像形成ユニット4y,4m,4c,4kのそれぞれの感光体ドラム41の残留トナーを除去することもでき、したがって、図1に示すドラムクリーニング装置45に適用することができる。感光体ドラム41においては、帯電装置42の側が下流側であり、こちら側に第2クリーニングユニット2を配置する。そして、画像形成装置100は、中間転写ベルト51(またはドラム)を備えずに、感光体ドラム41から直接に被印刷物Wにトナー像を転写する方式であってもよく、また、モノクロ対応であってもよい。
【0054】
クリーニング装置10は、クリーニング補助部材として、第1クリーニング部材11の上流側で中間転写ベルト51に接触するロールブラシを備えていてもよい。ロールブラシは、中間転写ベルト51の、トナー飛散防止シート13および第1クリーニング部材11のそれぞれとの当接部位同士の間で毛先が摺接するように、送り幅方向を軸にして第1クリーニングユニット1のケーシング15内に配置される。そして、ロールブラシは、中間転写ベルト51の送り方向に対して順方向または逆方向となるように回転駆動する。さらに、ロールブラシは、バイアス電荷を印加されていてもよい。
【0055】
第2クリーニング部材21は、第1クリーニング部材11のように、端面にシール部材22の端面を接触させるように構成されてもよい。この場合、シール部材22は第2クリーニング部材21よりも十分に厚くして、その端面に第2クリーニング部材21の端面が食い込むように当接させることが好ましい。また、シール部材22は、内部の間隙が比較的大きいモケットよりも、独立気泡の発泡ウレタン等が好ましい。
【0056】
第2クリーニング部材21の送り幅方向長w2は、第1クリーニング部材11の送り幅方向長w1以下でもよい。この場合には、第2クリーニング部材21の両縁のシール部材22,22は、送り幅方向において両外側の端同士の距離が第1クリーニング部材11の長さw1よりも長くなるように、また、中間転写ベルト51の表面に接触するように配置される。さらに、前記したように、第2クリーニング部材21の端面にシール部材22の端面を接触させてもよい。このような構成により、第1クリーニング部材11とシール部材12との間隙から流出したトナーTを、第2クリーニング部材21だけでなく、シール部材22の表面で掻き取ることができる。
【0057】
クリーニング装置10は、第1クリーニング部材11と第2クリーニング部材21を、それぞれ別のケーシング15,25に固定して、分離した2つのクリーニングユニット1,2を備える構成としたが、1つのケーシングにクリーニング部材11,21を固定した一体のクリーニングユニットに構成されてもよい。例えば、第2クリーニングユニット2に対して、トナー飛散防止シート23と第2クリーニング部材21との間に、第1クリーニング部材11および支持部材16を追加し、また、そのために、支持部材16を固定する部材をケーシング25内に設け、さらにケーシング25の正面にシール部材12を固定する。
【符号の説明】
【0058】
100 画像形成装置
10 クリーニング装置
1 第1クリーニングユニット(クリーニングユニット)
11 第1クリーニング部材(上流側のクリーニング部材)
12,14 シール部材
13 トナー飛散防止シート
15 ケーシング
16 支持部材
2 第2クリーニングユニット(クリーニングユニット)
21 第2クリーニング部材(下流側のクリーニング部材)
22,24 シール部材
23 トナー飛散防止シート
25 ケーシング
3 画像処理部
4y,4m,4c,4k 画像形成ユニット
41 感光体ドラム
42 帯電装置
43 露光装置
44 現像装置
45 ドラムクリーニング装置
51 中間転写ベルト(像担持体)
52 従動ローラ
53 従動ローラ
54 一次転写ローラ
55 駆動ローラ
56 二次転写バックアップローラ
57 クリーニング対向ローラ
61 二次転写ローラ
62 加熱ローラ
63 加圧ローラ
T トナー
W 被印刷物
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B