(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230926BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230926BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230926BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20230926BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20230926BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230926BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20230926BHJP
【FI】
F21S2/00 622
F21S2/00 621
F21V23/00 140
F21V23/00 120
H05B45/20
H05B47/105
H05B47/155
F21Y115:10
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2019180698
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 喜子
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-045206(JP,A)
【文献】特開2008-174621(JP,A)
【文献】特開2010-021039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
H05B 45/00、47/00
F21Y 115/10
F21Y 113/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる発光色毎に分けられた複数の光源を有し、それぞれの前記光源は複数の発光ダイオードを含む照明装置であって;
前記光源の中に
、第1光源
と、第2光源と、第3光源と、を含み
;
前記第1光源は、
色度座標x,yの(0.509,0.383)、(0.556,0.444)、(0.582,0.419)、(0.543,0.374)で囲まれる領域の発光色の光を照射する複数の第1の発光ダイオードと;
色度座標x,yの(0.704,0.278)、(0.714,0.286)、(0.732,0.268)、(0.722,0.260)で囲まれる領域の発光色の光を照射する複数の第2の発光ダイオードと;
が含まれ;
前記第1の発光ダイオードと前記第2の発光ダイオードからそれぞれ照射された光が混色された発光色の色度座標は、前記色度座標上に設定された前記第1の発光ダイオードの前記領域と前記第2の発光ダイオードの前記領域を結ぶ直線上で、色度座標のx軸の0.560と0.580の間に
あり;
前記第2光源は、照射する光の色度座標x,yの(0.308,0.339)、(0.427,0.425)、(0.403,0.367)、(0.313,0.305)で囲まれる領域にある複数の第3の発光ダイオードを含み;
前記第3光源は、照射する光の色度座標x,yの(0.381,0.505)、(0.420,0.580)、(0.433,0.566)、(0.397,0.498)で囲まれる領域にある複数の第4の発光ダイオードを含み;
前記第1光源、前記第2光源及び前記第3光源から、それぞれに照射された光を混色した発光色の光は、色温度1800K~3000K範囲の色温度の時に、特別演色評価R9の演色評価数は、85以上である、照明装置。
【請求項2】
前記第2の発光ダイオードは、照射する光のピーク値が波長670nm~700nmの範囲内である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の光源にそれぞれに駆動電力を供給する電源部と;
前記電源部を個々に制御する制御部と;
を有する、請求項
1又は2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオードを光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、舞台あるいはスタジオ等に設置される照明装置は、照明光の照射面前にカラーフィルタを装着し、所望する色の光によって空間を演出している。この照明装置の光源として、その多くはハロゲンランプが用いられている。しかし、近年、照明装置の光源として、ハロゲンランプに替わって、半導体技術により作成される発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いる照明装置が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したLEDを光源とする照明装置から照射される照明光は、人が色を知覚できる光を効率良く出力するように構成されるが、太陽光の昼白色に近いとされるハロゲンランプを光源とする照明装置の光とは分光分布が同一ではない。このため、LEDを光源とする照明装置とハロゲンランプを光源とする照明装置とでは、演色性が異なり、同じ物体を照明した場合であっても異なる色で視認される。また現在、一般的に流通しているLEDを光源とする照明装置は、LEDが発光する3色の光を混色してもハロゲンランプの演色性に近似する演色性を求めるには難しいものである。
【0005】
そこで本発明の実施形態は、LEDを光源として、人物等が自然な色合いで視認される高い演色性を有する照明光を照射する照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る照明装置は、異なる発光色毎に分けられた複数の光源を有し、それぞれの前記光源は複数の発光ダイオードを含む照明装置であって;前記光源の中に、第1光源と、第2光源と、第3光源と、を含み、前記第1光源は、色度座標x,yの(0.509,0.383)、(0.556,0.444)、(0.582,0.419)、(0.543,0.374)で囲まれる領域の発光色の光を照射する複数の第1の発光ダイオードと、色度座標x,yの(0.704,0.278)、(0.714,0.286)、(0.732,0.268)、(0.722,0.260)で囲まれる領域の発光色の光を照射する複数の第2の発光ダイオードと、が含まれ、前記第1の発光ダイオードと前記第2の発光ダイオードからそれぞれ照射された光が混色された発光色の色度座標は、前記色度座標上に設定された前記第1の発光ダイオードの前記領域と前記第2の発光ダイオードの前記領域を結ぶ直線上で、色度座標のx軸の0.560と0.580の間にあり、前記第2光源は、照射する光の色度座標x,yの(0.308,0.339)、(0.427,0.425)、(0.403,0.367)、(0.313,0.305)で囲まれる領域にある複数の第3の発光ダイオードを含み、前記第3光源は、照射する光の色度座標x,yの(0.381,0.505)、(0.420,0.580)、(0.433,0.566)、(0.397,0.498)で囲まれる領域にある複数の第4の発光ダイオードを含み、前記第1光源、前記第2光源及び前記第3光源から、それぞれに照射された光を混色した発光色の光は、色温度1800K~3000K範囲の色温度の時に、特別演色評価R9の演色評価数は、85以上である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る照明装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態の照明装置が搭載するLEDの色度の範囲を平面座標で示す色度座標及び色温度を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の照明装置が搭載する4個のLEDの色度座標を示す図である。
【
図4】
図4は、第1光源が照射する光の色度座標を示す図である。
【
図5】
図5は、第1光源が照射する光の発光色の色度座標(x,y)の数値例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の4個のLEDを所定の色温度を変化させた際の色温度における色度座標と赤色R9の特性を示す図である。
【
図7】
図7は、LED1とLED2の光束の比率を示す図である。
【
図8】
図8は、LED1とLED2の光強度の変化の特性を示す図である。
【
図9】
図9は、第1光源のLED1とLED2の光の強度の比率を変えた構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で説明する実施形態に係る照明装置は、複数色の光源により照射された色の異なる光を混色して、所望する発光色や所望する明るさの照明光が得られる。本実施形態では、発光色が異なる複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)がそれぞれに直列接続された群で構成される3つの第1光源乃至第3光源を用いて、白色光の照明光を生成する。第1光源は、色度座標が異なる2種類のLEDから照射された光が混色され、赤色の発光色を発生させる。
【0009】
本実施形態に係る照明装置は、所望する照明環境が例えば、舞台あるいはスタジオ等の空間で人物を照明することを想定する。この照明装置は、舞台あるいはスタジオ等の空間を照明するものであれば良く、その形態は天井や壁などに固定するものであっても良いし、スタンドにセットされるものであってもよい。また、照明装置にカラーフィルタを備えることで、舞台あるいはスタジオ等の空間の色を変化させることができる。なお、一般に、人間の目で感じとれることが可能な可視光線は波長が380nm~780nmの範囲とされている。このため、本実施形態においては、波長が380nm~780nmの範囲の光について説明するものとする。
【0010】
図1は、一実施形態に係る照明装置の構成例を示すブロック図を示している。
図1に示す照明装置11は、第1光源12(LED1,LED2)と、第2光源13(LED3)と、第3光源14(LED4)と、制御部15とを備えている。
【0011】
第1光源12は、光源として、複数のLED1(第1の発光ダイオード)と複数のLED2(第2の発光ダイオード)で構成される第1LED素子群24と、各LED1,2を発光させるための駆動電力(又は、電流電圧)を供給する電源部21を備えている。
第1LED素子群24は、複数のLED1からなるLED1素子群22及び、複数のLED2からなるLED2素子群23で構成される。第1LED素子群24は、例えば、LED1とLED2とが交互に直列接続された構成である。但し、直列接続は、1個ずつの交互に限定されるものではなく、設計仕様に従い、複数の同数個の交互の配置でもよいし、1個ずつ交互、次に2個ずつ交互を繰り返し配置するなど異なる数を交互に配置してもよい。LED1とLED2の数は、同数である制限はなく、後述する色度座標の値が得られればよい。
【0012】
また本実施形態では、LED1とLED2とが直列接続された構成例を示しているが、勿論、このような直列接続に限定されるものではない。このような直列接続は、電源部21と各LED1間の配線の引き回しや配線数の関係や回路の簡素化が考慮された構成であり、電源部21に対して、LED1とLED2を並列に接続してもよい。例えば、LED1素子群22とLED2素子群23との2つのグループに分けて、電源部21と並列に接続してもよい。LED1素子群22及びLED2素子群23内のLED1とLED2においても、直列又は並列に接続することができる。また、後述する第2光源13と、第3光源14も同様である。第2光源13においては、複数のLED3を直列又は並列に接続し、第3光源14においては、複数のLED4を直列又は並列に接続する。尚、LED1及びLED2と、LED3と、LED4とを、それぞれ並列に接続した場合には、制御部15は、電源部21,31,41を制御して、各LED1~4を同時に点灯、消灯及び調光させる制御を行う。
【0013】
第2光源13は、光源となる複数のLED3が直列接続された第2LED素子群32と、これらのLED3を発光させるための駆動電力を供給する電源部31を備えている。第3光源14は、光源となる複数のLED4が直列接続された第4LED素子群42と、これらのLED4を発光させるための駆動電力を供給する電源部41を備えている。これらのLED1,2,3,4は、それぞれ4種類の色の異なる光を発光する。ここでは、LED1及びLED2は、混色により赤色領域の光を発光し、LED3は、白色領域の光を発光し、LED4は、黄緑領域の光を発光する。
【0014】
制御部15は、それぞれの第1光源12の電源部21、第2光源13の電源部31及び、第3光源14の電源部41に対して個別に制御し、各LED1~4が発光する光量をリニアに変化又は、段階的に変化させて、明るさを調光する。制御部15は、プロセッサ又はパーソナルコンピュータで構成され、予め設定されたプログラムや制御命令に従って、それぞれの電源部21、31、41を制御する。
【0015】
次に、
図2に示す色度座標及び色温度及び
図3に示す色度座標情報を参照して、第1光源12、第2光源13及び、第3光源14における各LED1~4が発光する光について説明する。
まず、第1光源12について説明する。第1光源12は、LED1とLED2の発光色が異なる光を混色した赤色系の光を生成する。
【0016】
本実施形態においては、LED1が照射する光のピーク波長の色度座標は、中央点x,yが(0.562,0.415)を範囲の略中心として、周囲の第1点x,yが(0.509,0.383)、第2点x,yが(0.556,0.444)、第3点x,yが(0.582,0.419)、第4点x,yが(0.543,0.374)の4点の座標に囲まれる四角形の領域を有する。この領域内にピーク波長を有する発光色(色相)は、赤みを有するオレンジ色系である。
【0017】
LED2が照射する光のピーク波長の色度座標は、中央点x,yが(0.719,0.277)を範囲の略中心として、周囲の第1点x,yが(0.704,0.278)、第2点x,yが(0.714,0.286)、第3点x,yが(0.732,0.268)、第4点x,yが(0.722,0.260)の4点の座標に囲まれる四角形の領域を有する。この領域は、光の波長が少なくとも670nm~700nmを含んでいる。この領域内にピーク波長を有する発光色は、人の目には、色相として認識しにくい純紫軌跡に近い領域に有り、赤外光(赤外線)領域に近傍する深い赤色系である。このため、一般的な照明装置においては発光効率に寄与しないことから、白色光を生成するための赤色として、LED単体で使用されることは少ない。また、赤色の発光色の光を得るためには、従来では、LEDと蛍光体との組み合わせで取得していたが、本実施形態における第1光源12が照射する光の発光色は、LEDと蛍光体との組み合わせでは実現ではなかった。本実施形態の前述したLED1とLED2の混色により実現される。
【0018】
図4及び
図5を参照して、第1光源12では、LED1とLED2の比率を変動させたときの色度座標について説明する。
図4は、第1光源12が照射する光の色度座標を示す図である。
第1光源12のLED1とLED2の比率について説明する。
本実施形態の第1光源12が照射する光は、前述したLED1と、LED2との光が混色された発光色を用いる。LED1とLED2の比率は、LED1の光束(光の強度)とLED2の光束(光の強度)との比による。ここでは、照射する光が、例えば、
図8に示すように、波長が630nmほどにピークを有するLED1と、波長が695nm程にピークを有すLED2のそれぞれの全体の明るさを変化させることで、LED1の光束(光の強度)とLED2の光束(光の強度)との比が変化する。この例では、
図7に示すように、LED1が100%~90%とし、LED2が0%~10%の範囲内で、LED1とLED2との合計が100%を一例とする。また、以下では、
図4に示すように、第1光源12の発光色は、前述したLED1の中央点x,yが(0.562,0.415)と、LED2の中央点x,yが(0.719,0.277)とを直線mで結んだ色度座標上に位置するとして説明を行う。なお、第1光源12の発光色は、上述したLED1が照射する光のピーク波長の色度座標の四角形の領域内の任意の1点と、上述したLED2が照射する光のピーク波長の色度座標の四角形の領域内の任意の1点と、を直線で結んだ色度座標上に存在する。
【0019】
LED1とLED2の素子数と、それぞれの素子に流れる電流の値を変化させることでLED1とLED2から照射される光(光強度)の比率を変化させることができる。前述した
図1に示す構成では、第1光源12は、LED1とLED2を直列に接続する構成であったが、
図9に示す構成例で、第1光源61のLED1とLED2の光の強度の比率を変化させても良い。この構成例では、第1LED素子群62が並列接続された2個のLED1と、1個のLED2とを交互に直列接続した構成である。この接続によれば、2個のLED1のそれぞれに等しく分流した電流が1個のLED2で合流して、LED1の2倍の電流を流すことができる。つまり、直列接続されたLED1とLED2に比べて、LED2に2倍の電流を流すことで、照射される光の光量を変化させて、それぞれの光の光束(光の強度)の比率を変化させることができる。
【0020】
よって、LED1とLED2との混色された発光色が、光束の比率で変化した際に、色度座標内で設定した直線上の関係(一次関数)を有する場合、x軸の色度座標を変えると、一義的にy軸の色度座標が決定される。即ち、x軸の色度座標を変えると、x:yの比率も直線mに沿ってリニアに変化する。つまり、色度座標(x,y)の比率を色度座標(x’,y’)の比率に変化することで、色度座標に設定した直線mに従って、第1光源12が照射する混色された発光色が変化する。
【0021】
図5、
図7及び
図8を参照して、本実施形態の第1光源12が照射する光における色度座標内で設定した直線mによる色度座標(x,y)の変動について説明する。ここで、
図5に示す(1)LED1は、
図7に示す(1)比率に関わり、
図5の(2)LED1,LED2は、
図7に示す(2)比率に関わる。つまり、
図7(1)に示す比率でLED1とLED2を点灯させることで、
図5(1)に示す色度座標の発光を得られ、
図7(2)に示す比率でLED1とLED2を点灯させることで、
図5(2)に示す色度座標の発光を得らえる。以下同様に、
図5(3)~(5)LED1,LED2は、
図7(3)~(5)の比率に関わる。
図5は、第1光源12が照射する光の発光色の色度座標(x,y)の数値例を示す図である。
図7は、LED1とLED2の光束の比率を示す図で有り、
図8は、LED1とLED2の光強度の変化の特性を示す図である。この例では、
図4に示した直線mは、負の傾きを有する一次関数(y=-aX:aは任意数)であり、色度座標xの評価数の数値が増大すると、色度座標yの評価数の数値が減少する。
【0022】
(1)LED1のみが光を照射し、LED2が光を照射しない場合、即ち、
図7における(1)の比率に示すLED1が100%、LED2が0%である。この時の色度座標x,yが(0.562,0.415)である。
(2)LED1及びLED2が光を
図7における(2)の比率に示すLED1が97.3%、LED2が2.7%で照射した場合である。この時、色度座標xが0.569の時に、色度座標yが0.409となる。色度座標x,yは(0.569,0.409)である。前記(1)に比べて、LED2の比率(光強度)が増加した分、色度座標yの数値が減少し、yの数値に対するxの数値が大きくなる。
【0023】
(3)LED1及びLED2が光を
図7における(3)の比率に示すLED1が94.7%、LED2が5.3%で照射した場合で、色度座標xが0.574の時に、色度座標yが0.404となる。色度座標x,yは(0.574,0.404)である。前記(2)に比べて、LED2の比率(光強度)が増加した分、色度座標yの数値が減少し、yの数値に対するxの数値が大きくなる。また、この比率の段階で、LED2の光のピーク強度は、LED1の光のピーク強度より2倍以上、3倍未満の強度を示す。
【0024】
(4)LED1及びLED2が光を
図7における(4)の比率に示すLED1が92.3%、LED2が7.7%で照射した場合で、色度座標xが0.580の時に、色度座標yが0.400となる。色度座標x,yは(0.580,0.400)である。前記(3)に比べて、LED2の比率(光強度)が増加した分、色度座標yの数値が減少し、yの数値に対するxの数値が大きくなる。また、この比率の段階で、LED2の光のピーク強度は、LED1の光のピーク強度より3倍以上、4倍未満の強度を示す。
【0025】
(5)LED1及びLED2が光を
図7に示す(5)の比率に示すLED1が90.0%、LED2が10.0%で照射した場合で、色度座標xが0.585の時に、色度座標yが0.395となる。色度座標x,yは(0.585,0.395)である。前記(4)に比べて、LED2の比率(光強度)が増加した分、色度座標yの数値が減少し、yの数値に対するxの数値が大きくなる。また、この比率の段階で、LED2の光のピーク強度は、LED1の光のピーク強度より4倍以上の強度を示す。
【0026】
本実施形態においては、発光色の色度座標x,yとして(0.562,0.415)~(0.585,0.395)を確認した結果、直線m上で、色度座標xが少なくとも0.560~0.580の間の発光色が好適する。
【0027】
次に、本実施形態の第2光源13について説明する。第2光源13は、複数のLED3(第3の発光ダイオード)から白色系の光を照射する。
LED3が照射する光のピーク波長の色度座標は、中央点x,yが(0.380,0.374)を範囲の略中心として、周囲の第1点x,yが(0.308,0.339)、第2点x,yが(0.427,0.425)、第3点x,yが(0.403,0.367)、第4点x,yが(0.313,0.305)の4点の座標に囲まれる四角形の領域を有する。この領域内にピーク波長を有する発光色(色相)は、白色系である。
【0028】
次に、本実施形態の第3光源14について説明する。第3光源14は、複数のLED4(第4の発光ダイオード)から黄緑色系の光を照射する。
LED4が照射する光のピーク波長の色度座標は、中央点x,yが(0.405,0.519)を範囲の略中心として、周囲の第1点x,yが(0.381,0.505)、第2点x,yが(0.420,0.580)、第3点x,yが(0.433,0.566)、第4点x,yが(0.397,0.498)(0.397,0.499)の4点の座標に囲まれる四角形の領域を有する。この領域内にピーク波長を有する発光色(色相)は、黄緑色系である。
【0029】
次に
図6を参照して、本実施形態の照明装置11の第1光源12と第2光源13と第3光源14により照射された光の色温度に対する色度座標と特殊演色評価数の試験色の赤色R9の特性について説明する。
図6は、3つの発光色の色温度における色度座標と赤色R9の特性を示す図である。但し、LED1及びLED2が照射する混色された光は、1つの発光色としている。尚、
図1には、色度座標図上に黒体軌跡おける色温度特性を示している。
【0030】
特殊演色評価数の赤色R9は、周知なように、CIE(国際照明委員会)により設定された基準光の演色性と相対的に比較する比較方法に用いられている。
図6においては、横軸に色度座標を示し、縦軸に色温度2000K(ケルビン),2500K,3000Kの時の赤色R9の基準光と、照明装置11から照射される照明光との比較結果の数値を示している。
図6の縦軸の演色評価数の数値は、照明光が赤色R9の基準光に近いほど100に近づく評価結果となる。尚、色温度は、低温から高温に変化するに従い、白色といわれる範囲内において、赤みを有する白色、黄みを有する白色、白色、青みを有する白色等に変化する。
【0031】
まず、色温度2000Kにおいては、
x色度座標:0.563-R9演色評価数:87
0.564 92
0.567 97.5
0.580 85
0.585 66.5
である。色温度2500Kにおいては、
x色度座標:0.563-R9演色評価数:88
0.564 93
0.567 94.5
0.580 86
0.586 71
である。色温度3000Kにおいては、
x色度座標:0.563-R9演色評価数:90
0.564 95
0.567 98
0.580 90
0.585 82.5
である。
【0032】
図6に示すように、本実施形態の照明装置11から照射される照明光の演色評価数は、各色温度において、共にx色度座標が0.560から増加して、略0.574の時をピーク値として、演色評価数は増加から減少に転じる凸形状(逆V字)の特性を有している。色温度が1800K~3000Kの範囲内で、x色度座標が0.560~0.580の時に、特殊演色評価数の赤色R9の評価数が85以上になる。
【0033】
実用化されているLED1においては、特殊演色評価数の基準となる赤色R9に対して、50以下の評価数を有している発光素子が多い。このLED1の発光色である赤みオレンジ色にLED2の発光色である深い赤色を混色させることで、LED3,4の発光色と混色される白色に寄与するR9の評価数を高め、自然光(昼白色)により近い発光色(色相)を得ることができる。
【0034】
また、本実施形態の第LED1(x:0.562,y:0.415)と、LED2(x:0.719,y:0.277)とを直線mで結んだ色度座標上に位置する第1光源12が照射する光の発光色は、人物等の肌に対して、光を受けて照り輝く、美的に調和するなどの肌が映える光を与えることができる。
【0035】
さらに、第1光源、第2光源、第3光源及び第4光源の各LED1~4の規格に対して、色度座標に範囲を設定しているため、製造誤差に対して許容範囲を有しており、製品不良が少なくなる。
本実施形態は、人物が照明対象の中心となる撮影スタジオや舞台の照明に適したハロゲンランプと同等の高い演色性を有する照明装置を提供できる。他にも、本実施形態の照明装置は、美容に関わる照明、例えば、パウダールーム、理容室及び、美容室等の人物に対する照明に好適する。
【0036】
また、本実施形態の照明装置は、光源としてLEDを用いているため、ハロゲンランプに比べて、発熱量が少なく、照明される対象物又は人物への放熱を抑制し、照明装置が配置された周囲温度の上昇も抑制することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
11…照明装置、12…第1光源、13…第2光源、14…第3光源、15…制御部、21,31,41…電源部、22…LED1素子群、23…LED2素子群、24…第1LED素子群、32…第2LED素子群、42…第4LED素子群。