(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/46 20110101AFI20230926BHJP
F24F 1/44 20110101ALI20230926BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
F24F1/46
F24F1/44
F25B27/00 B
(21)【出願番号】P 2019182673
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕司
【審査官】大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】特許第5609942(JP,B2)
【文献】特開2007-332800(JP,A)
【文献】特開2019-090584(JP,A)
【文献】特開2003-239758(JP,A)
【文献】特開2017-115655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06- 1/68
5/00
13/20
F23K 5/00- 5/22
F23L 1/00-99/00
F23N 1/00
5/26
F25B 27/00
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
複数の骨格部材を接合して形成されたフレーム、及び前記フレームに取り付けられた外装パネルを有する箱状の筐体と、
大気圧とガス燃料の圧力とに基づいて、ガスエンジンへのガス燃料の供給量を調整するガスレギュレーターと、
前記ガスレギュレーターを収容するガスボックスであって、前記フレームの底部の外周部に配置され、前記フレームの外周側へ開放されているガスボックスと、
を備え、
前記外装パネルが、前記ガスボックスの開口面に対面配置された状態で、前記ガスボックスの底壁部のうち、前記外装パネルに対向する端面と、前記外装パネルの内側面との間に形成される隙間であって、下方へ開放された隙間の下方に配置され、前記隙間の開口に対向する面を有するカバー部を備え
、
前記ガスボックスの開口面に対面配置される前記外装パネルは、矩形を呈する本体部を有し、前記本体部の対向する一対の辺が鉛直方向に延び、他の一対の辺が水平方向に延びるように配置され、
前記カバー部は、前記本体部の下端から前記筐体の内側へ延設された下壁部を含む、ガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載のガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機において、
前記カバー部は、前記本体部の左右の端部から前記筐体の内側へそれぞれ延設された側板部を有し、前記側板部の下部に、前記ガスレギュレーターから漏洩したガス燃料の排気口が設けられている、ガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、ガスエンジン駆動式空気調和装置は知られている。一般に、このような空気調和装置の室外機は、箱状の筐体を有し、この筐体内に、ガスエンジン、コンプレッサーなどが収容されている。筐体は、複数の骨格部材から構成されたフレームと、前記フレームに取り付けられる複数の外装パネルとを備える。
【0003】
ガス燃料(都市ガス又はプロパンガス)が流通するガス管が、筐体の外部から筐体内へ引き込まれている。そのガス管は、筐体内に配置されたガスレギュレーター及びガスミキサーを介して、ガスエンジンに接続されている。ガス燃料は、ガスレギュレーターにて、その圧力が調整される。そして、そのガス燃料がガスミキサーにて空気と混合され、ガス燃料と空気の混合気体がガスエンジンに吸い込まれる。
【0004】
ガスレギュレーター(
図3A及び
図3B参照)は、ガス燃料の圧力を略一定に保つととともに、ガスエンジンへのガス燃料の供給量を調整する。具体的には、ガスレギュレーターは、ガス燃料が流通するガス室と、外部(大気)へ開放された大気室とを有し、両者がダイアフラムによって仕切られている。ダイアフラムは、コイルバネによって、大気室側へ付勢されている。また、ダイアフラムは、レバーを介してポペット弁に連結されている。大気室の圧力(大気圧)とガス室の圧力〔ガス圧〕との差に応じて、ポペット弁の開度が決定される。
【0005】
ガスミキサーは、空気とガス燃料を混合して、ガスエンジンへ供給するベンチュリー管を有する。ベンチュリー管の一端が、大気に開放されている。一方、ベンチュリー管の他端がガスエンジンに接続されている。また、ベンチュリー管の中間部が、ガスレギュレーターに接続されている。ガスエンジンの吸気サイクルにおいて、ベンチュリー管の一端から他端へ空気が流通する。その際、ベンチュリー管内の圧力が大気圧より少し低下する(ベンチュリー効果)。このようにして形成された負圧の作用により、ガスレギュレーターからガス燃料がベンチュリー管内へ導入される。そして、ベンチュリー管において、ガス燃料と空気とが混合され、その混合気体がガスエンジンに吸い込まれる。
【0006】
上記のガスレギュレーターは、ガスボックスに収容されている。ガスボックスは、筐体の底部に載置されている。ガスボックスは、筐体の側面へ向かって開放された略直方体状の箱部材である。ガスボックスは、ガスレギュレーターからガス燃料が漏洩した場合に、そのガス燃料が室外機の筐体内に充満してしまうことを防止する。つまり、ガスレギュレーターから漏洩したガス燃料は、次に説明するように、ガスボックスから筐体の外部へ排出されるように構成されている。
【0007】
室外機において、ガスボックスの開口面に対して、外装パネルが対面配置されている。ガスボックスの開口端(つまり、ガスボックスを構成する各壁部の端面)のうち、下側の辺を除く部分に沿って、インシュレーターが取り付けられている。外装パネルがフレームに取り付けられた状態で、インシュレーターが少し弾性変形して、パネル面(内側面)に密着している。これにより、筐体内への雨水の浸入が防止される。ガスボックスの開口端のうち、下側の辺にはインシュレーターが設けられていないので、当該部分とパネル面との間には隙間が形成されている(
図8及び
図9参照)。つまり、ガスボックス内にてガスレギュレーターから漏洩したガス燃料(とくに、空気よりも重いプロパンバス)が、当該隙間から、筐体の外側へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
(発明が解決しようとする課題)
上記のように、筐体の下面と地面との間の空間と、ガスボックス内の空間とが、パネル面とガスボックスの下辺の端面との隙間を介して、連通している。このような室外機の周囲にて強風が吹いているとき、風が、筐体の下面と地面との間に吹き込む虞がある。この場合、筐体の下側の風速が、筐体の周囲の風速より大きくなり、筐体の下側の気圧が少し低下する。これにより、筐体の下側の空間に連通しているガスボックス内の気圧も少し低下する。つまり、ガスレギュレーターの大気室の気圧が少し下がる。すると、ダイアフラムが大気室側へ少し押し戻されるように動作して、ポペット弁が閉じる方向へ移動する。そのため、ガスエンジンへのガス燃料の供給量が減少し、ガスエンジンの動作が不安定になる虞がある。
【0010】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、屋外の風の影響を受け難く、ガスエンジンを安定して動作させることができるガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0011】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するために、本発明に係るガスエンジン駆動式空気調和装置(AC)の室外機(OU)は、複数の骨格部材(11a)を接合して形成されたフレーム(11)、及び前記フレームに取り付けられた外装パネル(12(12a))を有する箱状の筐体(10)と、大気圧とガス燃料の圧力とに基づいて、ガスエンジン(20)へのガス燃料の供給量を調整するガスレギュレーター(40)と、前記ガスレギュレーターを収容するガスボックス(60)であって、前記フレームの底部の外周部に配置され、前記フレームの外周側へ開放されているガスボックスと、を備える。前記外装パネルが、前記ガスボックスの開口面に対面配置された状態で、前記ガスボックスの底壁部のうち、前記外装パネルに対向する端面と、前記外装パネルの内側面との間に形成される隙間であって、下方へ開放された隙間の下方に配置され、前記隙間の開口に対向する面を有するカバー部(Wb)を備え、前記ガスボックスの開口面に対面配置される前記外装パネルは、矩形を呈する本体部を有し、前記本体部の対向する一対の辺が鉛直方向に延び、他の一対の辺が水平方向に延びるように配置され、前記カバー部は、前記本体部の下端から前記筐体の内側へ延設された下壁部を含む。
【0013】
本発明の他の態様に係るガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機において、前記カバー部は、前記本体部の左右の端部から前記筐体の内側へそれぞれ延設された側板部を有し、前記側板部の下部に、前記ガスレギュレーターから漏洩したガス燃料の排気口(d3、CPPG)が設けられている。
【0014】
(発明の効果)
本発明に係るガスエンジン駆動式空気調和装置の室外機によれば、筐体の底面視において、前記隙間の下方に配置されたカバー部が、前記隙間に対面している。したがって、前記隙間に連通しているガスボックス内の気圧は、筐体の底壁部の下方の気圧の影響を受け難い。すなわち、強風が吹いている状態であったとしても、ガスボックス内の気圧は、室外機の周囲の気圧と同等に保たれる。よって、ガスレギュレーターの動作が安定し、ガスエンジンへ、適量のガス燃料が供給される。これにより、ガスエンジンを安定的に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るガスエンジン駆動式空気調和装置の概略を示すブロック図である。
【
図2A】
図1の室外機の内部構成を示すブロック図である。
【
図2B】
図2Aのガスボックス及びその周辺部の正面図である。
【
図3A】ガスレギュレーターの内部構造を示す概略図であって、ポペット弁が閉じている状態を示す図である。
【
図3B】ガスレギュレーターの内部構造を示す概略図であって、ポペット弁が開いている状態を示す図である。
【
図5A】ガスボックスの前方に配置される外装パネルを、前方且つ左斜め上方から見た斜視図である。
【
図5B】ガスボックスの前方に配置される外装パネルを前方且つ右斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】ガスボックス及び外装パネルを後方且つ右斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】本発明の変形例に係る室外機の外装パネルの斜視図である。
【
図8】従来の室外機の内部構成を示すブロック図である。
【
図9】従来のガスボックス及び外装パネルを後方且つ右斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る室外機OUについて説明する。室外機OUは、ガスエンジン駆動式空気調和装置ACの構成要素の1つである。ガスエンジン駆動式空気調和装置ACは、
図1に示すように、冷媒が循環する循環経路としての冷媒管Pと、冷媒管Pに介装された室内機IU及び室外機OUを備える。ガスエンジン駆動式空気調和装置ACは、冷媒管Pに沿って冷媒を循環させ、室内機IU及び室外機OUにおいて、冷媒と空気との間に熱交換を生じさせる。これにより、室内機IUが設置された空間の空気の温度が調整される。室内機IUの構成は周知の空気調和装置の室内機と同一であり、本発明とは直接的には関係がないので、室内機IUの説明を省略する。
【0017】
つぎに、室外機OUの構成について説明する。室外機OUは、略直方体状の筐体10を備える。筐体10は、複数の骨格部材11aを組み合わせて構成された略直方体状のフレーム11と、フレーム11に取り付けられた複数の外装パネル12を備える(
図2A乃至
図2C参照。すなわち、筐体10の内部に閉じた空間が形成されている。筐体10の底部10aの下面には図示しない脚部が取り付けられている。室外機OUが設置された状態では、地面と底部10aの下面との間に、隙間d0が形成されている。
【0018】
筐体10内に、図示しない室外熱交換器、冷却ファンなどが収容されている。室外熱交換器は、冷媒と外気との間に熱交換を生じさせる。冷却ファンは、室外熱交換器に外気を吹き付ける。また、筐体10内に、ガスエンジン20、コンプレッサー30、ガスレギュレーター40、ガスミキサー50、ガスボックス60などが収容されている(
図2A参照)。
【0019】
ガスエンジン20は、コンプレッサー30を駆動する。コンプレッサー30は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して吐出する。これにより、冷媒が冷媒管Pに沿って循環される。
【0020】
筐体10の外部から、ガス燃料(例えば、プロパンガス(LPG))の流路としてのガス管GPが筐体10内へ引き込まれている。ガス管GPは、ガスレギュレーター40及びガスミキサー50を介して、ガスエンジン20に接続されている(
図2A参照)。
【0021】
ガスレギュレーター40の構成は、従来の室外機のガスレギュレーターと同一である。すなわち、
図3A及び
図3Bに示すように、ガスレギュレーター40は、ガス室41、大気室42、ダイアフラム43、レバー44、コイルスプリング45及びポペット弁46を備える。例えば、大気室42の圧力とガス室41の圧力の差に応じて、ポペット弁46の開度が決定され、ガス室41の吸入口41aから排出口41bへ向かうガス燃料の流量が決定される。
【0022】
ガスミキサー50の構成も、従来の室外機のガスミキサーと同一である(
図2A参照)。すなわち、ガスミキサー50は、ベンチュリー管51を有する。ベンチュリー効果によって形成された負圧の作用により、ガスレギュレーター40からガス燃料がガスミキサー50へ導入される。ガスミキサー50の一端が、筐体10の側面(複数の外装パネル12のうちの1つ)に設けられた貫通孔THaに連通している。貫通孔THaの外側には、強風が貫通孔THaに直接的に吹き込むことを抑制するカバーCが設けられている。そのため、ガスエンジン20の吸気サイクルにおけるベンチュリー管51内の圧力は、室外機OUの周囲を吹く風の影響を受けることなく、略一定である。
【0023】
さらに、従来の室外機と同様に、ガスレギュレーター40は、ガスボックス60に収容されている(
図4参照)。ガスボックス60は、箱状の本体部60Aと、ガス管GPとガスレギュレーター40とを連結する連結具60Bを有する。ガスボックス60は、筐体10の底部10aの上面に載置されている。
【0024】
本体部60Aは、筐体10の1つの側面へ向かって開放されている。以下の説明において、本体部60Aの奥行き方向(つまり、開口面に対して垂直な方向)を前後方向と呼ぶ(
図4参照)。また、上下方向(鉛直方向)に垂直、且つ前後方向に垂直な方向を左右方向と呼ぶ。
【0025】
本体部60Aは、その前面が開放され、その他の面が閉じている略直方体状の箱状部材である。すなわち、本体部60Aは、上壁部61、下壁部62、左壁部63、右壁部64、及び後壁部65を備える。上壁部61、下壁部62、左壁部63及び右壁部64によって、前後方向に延びる角筒部が構成され、その角筒部の後端が、後壁部65によって閉じられている。さらに、前記角筒部の前端(開口端)には、その全周に亘るフランジ部66が設けられている。すなわち、フランジ部66は、上壁部61、下壁部62、左壁部63及び右壁部64の前端部に沿ってそれぞれ延びる、上側フランジ部66a、下側フランジ部66b、左側フランジ部66c及び右側フランジ部66dから構成される。そのうち、上側フランジ部66a、左側フランジ部66c及び右側フランジ部66dの前面に、インシュレーター67が取り付けられている。
【0026】
インシュレーター67は、上側フランジ部66a、左側フランジ部66c及び右側フランジ部66dに沿ってそれぞれ延びる、上側インシュレーター部67a、左側インシュレーター部67c及び右側インシュレーター部67dから構成される。上側インシュレーター部67a及び右側インシュレーター部67dは、それぞれ一直線状に一体的に形成されているのに対し、左側インシュレーター部67cは、その長手方向(上下方向)における中央部より少し上方に位置する部分にて分割されている。すなわち、左側インシュレーター部67cは、第1インシュレーター部67c1と、第2インシュレーター部67c2から構成される。第1インシュレーター部67c1は、左側フランジ部66cの上部に配置され、第2インシュレーター部67c2は、第1インシュレーター部67c1の下方に配置されている。第1インシュレーター部67c1の下端と第2インシュレーター部67c2の上端との間に隙間d1が設けられている。第1インシュレーター部67c1の下端面は、その左端が右端よりも下方に位置するように傾斜した平面状に形成されている。第2インシュレーター部67c2の上端面は、その左端が右端よりも下方に位置するように傾斜した平面状に形成されている。第1インシュレーター部67c1の下端面と、第2インシュレーター部67c2の上端面とが平行である。
【0027】
連結具60Bは、上下方向に延びる長方形の板状部材である。連結具60Bの短辺(左右方向の寸法)は、本体部60Aの開口部の左右方向の寸法(左壁部63と右壁部64の対向面間の距離)より短い。連結具60Bの長辺(上下方向の寸法)は、本体部60Aの開口部の上下方向の寸法(上壁部61と下壁部62の対向面間の距離)より短い。連結具60Bの下部が、下側フランジ部66bの左右方向における中央部に締結されている。すなわち、連結具60Bが、本体部60Aの開口部の下方から開口部内へ張り出している。連結具60Bは、本体部60Aの開口部の左右方向における中央部に位置している。
【0028】
連結具60Bの上部には、その板厚方向(前後方向)に貫通する貫通孔TH60Bが形成されている。また、連結具60Bの前面には、ガス管GPが接続される接続プラグCNが設けられている。接続プラグCNと貫通孔TH60Bとが同軸配置されている。連結具60Bの後面に、ガスレギュレーター40の吸入口41aが接続されている。貫通孔TH60Bとガスレギュレーター40の吸入口41aとが同軸配置されている。
【0029】
連結具60Bの前面の縁部には、インシュレーター69が取り付けられている。インシュレーター69は、連結具60Bの上縁部、左縁部及び右縁部に沿ってそれぞれ延びる、上側インシュレーター部69a、左側インシュレーター部69c及び右側インシュレーター部69dから構成される。
【0030】
ガスボックス60の前方に取り付けられる外装パネル12(以下、外装パネル12aと呼ぶ)は、母材としての金属板から略長方形の部材を切り出し(又は打ち抜き)、その部材の外周部を折り曲げて形成される。すなわち、外装パネル12aの前壁部Wf(パネル面)は、
図5A及び
図5Bに示すように、上下方向に延びる長方形を呈する。前壁部Wfの外周縁部には、筐体10の内側へ少し延びる上壁部Wa、下壁部Wb、左壁部Wc及び右壁部Wdが形成されている。前壁部Wfの外周縁の上下方向及び左右方向の寸法が、ガスボックス60のフランジ部66の外周縁の上下方向及び左右方向の寸法より少し大きい。上壁部Waの下面は、左壁部Wc及び右壁部Wdの上端面よりも、少し上方に位置している。つまり、外装パネル12aの上側の両角部には、隙間d2が設けられている。また、下壁部Wbの上面は、左壁部Wc及び右壁部Wdの下端面よりも、少し下方に位置している。つまり、外装パネル12aの下側の両角部には、隙間d3が設けられている。
【0031】
また、前壁部Wfの下縁部の左右方向における中央部には、上方へ入り込む略長方形の切り欠き部CPWfが設けられている。切り欠き部CPWfの外形寸法(左右方向及び上下方向の寸法)は、連結具60Bの外形寸法に比べて少し小さい。また、左壁部Wcの上下方向における中央部より少し上方に位置する部分に、その後側の端面から前側へ入り込む半円形の切り欠き部CPWcが設けられている。
【0032】
上記のように構成された外装パネル12aがフレーム11に取り付けられた状態で、切り欠きCP
Wcが、第1インシュレーター部67c1の下端と第2インシュレーター部67c2の上端との間の隙間d1の左側に隣接している。また、前壁部Wfの後面(筐体10の内側へ向けられた面)に、インシュレーター67及びインシュレーター69が密着している。ただし、上記のように、下側フランジ部67bにはインシュレーターが取り付けられていない。すなわち、左側インシュレーター部67cの下端と、左側インシュレーター部69cの下端との間の部分において、下側フランジ部66bが露出している。また、右側インシュレーター部67dの下端と、右側インシュレーター部69dの下端との間の部分において、下側フランジ部66bが露出している。この下側フランジ部66bの露出部(下壁部62の前端面)と前壁部Wfの内側面とは離間している。すなわち、当該部位に隙間d4が形成されている(
図6参照)。下壁部Wbは、左側インシュレーター部67c及び右側インシュレーター部67d、並びに左側インシュレーター部69c及び右側インシュレーター部69dの下端よりも少し下方に位置している。そして、下壁部Wbの後端面が、フレーム11の前面に当接している。また、上壁部Wa、左壁部Wc及び右壁部Wdの後端面も、フレーム11を構成する骨格部材11aの前面に当接している。このように、隙間d4の下方にて、板状の下壁部Wbが配置されており、下壁部Wbの上面が隙間d4の開口面に対面している。
【0033】
上記のように構成された室外機OUが設置された場所(屋外)において、強風が吹いているとき、地面と底部10aの下面との間に風が吹き込む場合がある。このような幅(上下方向の寸法)の狭い隙間d0(
図2A参照)に風が吹き込むと、その風速が増大する。すなわち、底部10aの下方における風速が、室外機OUの周囲における風速よりも大きくなる。そのため、底部10aの下方の気圧が、室外機OUの側方又は上方の気圧よりも低下する。ここで、本実施形態では、上記のように、筐体10の底面視において、隙間d4に、下壁部Wbが重なっている。すなわち、隙間d4の下方が、下壁部Wbによって覆われている。したがって、隙間d4に連通しているガスボックス60内の気圧は、底部10aの下側の気圧の影響を受け難い。すなわち、強風が吹いている状態であったとしても、ガスボックス60内の気圧は、室外機OUの周囲の気圧と同等に保たれる。よって、ポペット弁46の開度が適正に保たれ、ガスエンジン20へ、適量のガス燃料が供給される。これにより、ガスエンジン20を安定的に動作させることができる。
【0034】
また、ガス燃料としてプロパンガスを用いている場合であって、ガス燃料がガスレギュレーター40から漏れた場合には、そのガス燃料は、外装パネル12aの隙間d3から外装パネル12aの側方へ排出される。一方、ガス燃料として都市ガスを用いている場合であって、ガス燃料がガスレギュレーター40から漏れた場合には、そのガス燃料は、隙間d1から切り欠き部CPWcを通って、外装パネル12aの側方へ排出される。
【0035】
仮に、外装パネル12aの前壁部Wfに、ガス燃料の排出口としての貫通孔を設けた場合、当該貫通孔から、強風がガスボックス60内へ吹き込む場合がある。その場合、ガスボックス60内の気圧が、室外機OUの周囲の気圧よりも高くなり、ポペット弁46の開度が過剰に大きくなる。そのため、ガスエンジン20へのガス燃料の供給量が過剰になり、ガスエンジン20の燃費が増大する。これに対し、本実施形態では、ガス燃料の排出口(切り欠き部CPWc及び隙間d3)が、外装パネル12aの側面部に設けられている。そのため、排出口が外装パネル12aのパネル面(前壁部Wf)に設けられている場合に比べて、ガスボックス60内の気圧が、強風の影響を受け難い。よって、本実施形態によれば、ガスエンジン20の燃費を略一定に保つことができる。
【0036】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、外装パネル12aの下壁部Wbを廃止するとともに、下壁部Wbと同等の平板部材を、フレーム11の底面に取り付けても良い。また、前記平板部材と同等の部位が、フレーム11又はガスボックス60に一体的に設けられていても良い。また、
図7に示すように、左壁部Wbの下部に、プロパンガスの排気口としての切り欠き部CP
PGが設けられていても良い。この場合、隙間d3を廃止すればよい。
【符号の説明】
【0038】
10…筐体、10a…底部、11…フレーム、12a…外装パネル、20…ガスエンジン、30…コンプレッサー、40…ガスレギュレーター、50…ガスミキサー、60…ガスボックス、60A…本体部、60B…連結具、66…フランジ部、67…インシュレーター、69…インシュレーター、AC…ガスエンジン駆動式空気調和装置、FB…平板部材、GP…ガス管、Wf…前壁部、OU…室外機