(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20230926BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230926BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2019192864
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】橘 康介
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-263118(JP,A)
【文献】特開平06-190088(JP,A)
【文献】特開2018-093938(JP,A)
【文献】特開2016-106886(JP,A)
【文献】特開2004-041376(JP,A)
【文献】特開平08-000776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0029404(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、
クラウン部と、
ソール部と、
を備え、
前記フェース部、前記クラウン部、及び前記ソール部によって囲まれた内部空間が形成され、
前記クラウン部及びソール部の少なくとも一方における、前記フェース部の周縁から所定距離だけ離れた位置に、前記内部空間に通じる、少なくとも一つのスリットが形成され、
前記スリットに充填材が充填されており
前記充填材を構成する材料のヤング率は、前記フェース部の周縁と前記スリットとの間の周縁領域を構成する材料のヤング率よりも大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記スリットは、トゥ-ヒール方向に沿うように、配置されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
複数の前記スリットが形成されており、当該複数のスリットは、トゥ-ヒール方向に沿って略一直線上に並ぶように、配置されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
複数の前記スリットが形成されており、当該複数のスリットのうち、少なくとも一つのスリットのフェース-バック方向の位置が、他のスリットとずれている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記スリットは、前記クラウン部及びソール部の両方に形成されている、請求項1から4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記スリットは、前記フェース部の周縁から、前記ソール部またはクラウン部のフェース-バック方向の長さの1/3以内の位置に配置されている、請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記周縁領域の肉厚は、フェース側よりもバック側の方が
小さい、請求項1から6のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ウッド型のゴルフクラブヘッドは、従来から、多くの改良がなされてきており、飛距離を延ばすために種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、フェース部の周縁を折り返した、いわゆるカップフェース構造のフェース部材を用い、これによって反発性能を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カップフェース構造のゴルフクラブヘッドは、フェース部材の加工などが複雑であり、製造コストが高いという問題があった。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、カップフェース構造を採用することなく、反発性能を高めることができる、ゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、フェース部と、クラウン部と、ソール部と、を備え、前記フェース部、前記クラウン部、及び前記ソール部によって囲まれた内部空間が形成され、前記クラウン部及びソール部の少なくとも一方における、前記フェース部の周縁から所定距離だけ離れた位置に、前記内部空間に通じる、少なくとも一つのスリットが形成され、前記スリットに充填材が充填されており、前記充填材を構成する材料のヤング率は、前記フェース部の周縁と前記スリットとの間の周縁領域を構成する材料のヤング率よりも大きい。
【0006】
上記ゴルフクラブヘッドにおいて、前記スリットは、トゥ-ヒール方向に沿うように、配置することができる。
【0007】
上記ゴルフクラブヘッドにおいては、複数の前記スリットを形成することができ、当該複数のスリットは、トゥ-ヒール方向に沿って略一直線上に並ぶように、配置することができる。
【0008】
上記ゴルフクラブヘッドにおいては、複数の前記スリットを形成することができ、当該複数のスリットのうち、少なくとも一つのスリットのフェース-バック方向の位置を、他のスリットとずらすことができる。
【0009】
上記ゴルフクラブヘッドにおいて、前記スリットは、前記クラウン部及びソール部の両方に形成することができる。
【0010】
上記ゴルフクラブヘッドにおいて、前記スリットは、前記フェース部の周縁から、前記ソール部またはクラウン部のフェース-バック方向の長さの1/3以内の位置に配置することができる。
【0011】
上記ゴルフクラブヘッドにおいて、前記周縁領域の肉厚は、フェース側よりもバック側の方を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るゴルフクラブヘッドによれば、さらに反発性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【
図2】
図1のゴルフクラブヘッドの基準状態での平面図である。
【
図3】基準状態にあるゴルフクラブヘッドを下方から見た平面図である。
【
図6】フェース部及び周縁領域の変形の例を示す断面図である。
【
図9】本発明のゴルフクラブヘッドの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<1.ゴルフクラブヘッドの概要>
図1は、このゴルフクラブヘッドの斜視図、
図2は、ヘッドの基準状態での平面図、
図3は、基準状態にあるゴルフクラブヘッドを下方から見た平面図、
図4は、
図2のA-A線断面図である。
図1~
図4に示すように、このゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある)100は、内部空間を有する中空構造であり、フェース部1、クラウン部2、ソール部3、及びホーゼル部4によって壁面が形成されたウッド型のゴルフクラブヘッドである。具体的には、ユーティリティ(ハイブリッド)、フェアウェイウッド、ドライバーといったゴルフクラブヘッドに適用することができる。
【0016】
フェース部1は、ボールを打球する面であるフェース面を有しており、クラウン部2はフェース部1と隣接し、ヘッド100の上面を構成する。ソール部3は、主としてヘッド100の底面を構成し、フェース部1とクラウン部2以外のヘッド100の外周面を構成する。すなわち、ヘッド100の底面のほか、フェース部1のトウ側からヘッドのバック側を通りフェース部1のヒール側へと延びる部位もソール部3の一部である。さらに、ホーゼル部4は、クラウン部2のヒール側に隣接して設けられる部位であり、ゴルフクラブのシャフト(図示省略)が挿入される挿入孔41を有し、ヘッドの内部まで延びる筒状に形成されている。そして、この挿入孔41の中心軸線Zは、シャフトの軸線に一致している。
【0017】
ここで、ゴルフクラブヘッド100を地面に設置するときの基準状態について説明する。まず、
図2に示すように、上記中心軸線Zが地面に対して垂直な平面P1に含まれ、且つ所定のライ角及びリアルロフト角で地面上にヘッドが載置された状態を基準状態と規定する。そして、上記平面P1を基準垂直面と称する。また、
図2に示すように、上記基準垂直面P1と地面との交線の方向をトゥ-ヒール方向と称し、このトゥ-ヒール方向に対して垂直であり且つ地面に対して平行な方向をフェース-バック方向と称することとする。また、トゥ-ヒール方向及びフェース-バック方向に直交する方向を上下方向と称することがある。
【0018】
本実施形態において、フェース部1とクラウン部2、及びフェース部1とソール部3との境界は、次のように定義することができる。すなわち、両者の間に稜線が形成されている場合には、これが境界となる。一方、明確な稜線が形成されていない場合には、
図5Aに示されるように、ヘッド重心GとスイートスポットSSとを結ぶ直線Nを含む各断面E1、E2、E3…において、
図5Bに示されるように、フェース外面輪郭線Lfの曲率半径rがスイートスポット側からフェース外側に向かって初めて200mmとなる位置Peがフェース部1の周縁となり、これがクラウン部2またはソール部3との境界として定義される。なお、スイートスポットSSとは、ヘッド重心Gを通るフェース面の法線(直線N)とこのフェース面との交点である。
【0019】
また、本実施形態において、クラウン部2とソール部3との境界は次のように定義することができる。すなわち、クラウン部2とソール部3との間に稜線が形成されている場合には、これが境界となる。一方、これらの間に明確な稜線が形成されていない場合には、ヘッドを基準状態に設置し、これをヘッド100の重心の真上から見たときの輪郭が境界となる。
【0020】
ヘッド100は、例えば、比重がほぼ4.3~4.5程度のチタン合金(Ti-6Al-4V、Ti-8Al-1Mo-1V等)で形成することができる。また、チタン合金以外にも、例えばステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはアモルファス合金などの中から1種または2種以上を用いて形成することもできる。以上は、後述するヘッド本体101を構成する材料であるが、後述するフェース部材12の材料は、例えば、チタン合金(Ti-6Al-4V、Ti-8Al-1Mo-1V等)で形成することができる。また、チタン合金以外にも、例えばステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはアモルファス合金などの中から1種または2種以上を用いて形成することもできる。
【0021】
このゴルフクラブヘッド100の体積は、例えば、90cm3以上、470cm3以下が望ましい。
【0022】
<2.ゴルフクラブヘッドの組立構造>
本実施形態に係るゴルフクラブヘッド100は、
図1及び
図4に示すように、フェース部1、クラウン部2、及びソール部3を有するヘッド本体101と、フェース部1に形成された開口11に嵌め込まれたフェース部材12と、を組み立てることで構成される。フェース部材12は、溶接などによって、フェース部1の開口11に固定される。
【0023】
<3.ソール部の構造>
続いて、ソール部3の構造について説明する。
図3及び
図4に示すように、ソール部3において、フェース部1の近傍には、トゥ-ヒール方向に延びるスリット31が形成されている。このスリット31は、ソール部3の外面から内部空間に通じる貫通孔であり、フェース部1とソール部3との境界に沿うように、フェース側にやや凸となるように湾曲している。このスリット31の位置は特には限定されないが、例えば、
図4に示すように、ソール部3のフェース-バック方向の長さL1の1/2の位置よりもフェース側に形成されることが好ましい。ここで、ヘッド100のリーディングエッジ(フェース部1の縁部)からバック方向へ長さL2の位置にスリット31が形成されているとすると、この長さL2は、ソール部3のフェース-バック方向の長さL1の1/3以下であることが好ましく、7/24以下であることがさらに好ましく、1/4以下であることが特に好ましい。また、以下では、ソール部3において、スリット31とフェース部1との間の領域を、周縁領域32と称することとする。
【0024】
また、スリット31の幅L3(フェース-バック方向の長さ)は、例えば、1~10mmとすることが好ましく、2~8mmであることがさらに好ましい。さらに、
図3に示すように、スリット31のトゥ-ヒール方向の長さXも特には限定されないが、例えば、ヘッドのトゥ-ヒール方向の長さの40~80%であることが好ましく、45~75%であることがさらに好ましい。なお、ヘッド100のトゥ-ヒール方向の長さとは、USGA/R&Aゴルフ規則の付属規則II.4.b.(i)に記載の通り、ライ角を60度とした基準状態において、ヘッドのトゥ側の端部と、設置面から0.875インチ上方のヘッド100のヒール側の端部との間の距離である。
【0025】
そして、このスリット31には、充填材5が充填されている。この充填材5は、ヘッド100と同様の材料の金属によって形成することができるが、充填材5を構成する材料のヤング率が、ヘッド100の周縁領域32を構成する材料のヤング率よりも高いことが好ましい。例えば、充填材5のヤング率は、40~150GPaとすることができ、周縁領域32を構成する材料のヤング率は、60~220GPaとすることができる。なお、本実施形態では、ヘッド本体101は一体的に形成されるため、ヘッド本体101を構成する材料が、周縁領域32を構成する材料となる。また、ヤング率の測定方法は、例えば、引張試験、圧縮試験、ねじり試験、共振法、超音波パルス法、振子法等とすることができる。また、充填材5を構成する具体的な材料としては、例えば、チタン合金、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはアモルファス合金等を採用することができる。
【0026】
さらには、周縁領域32と充填材5の剛性の比(周縁領域32のヤング率/充填材5のヤング率)は、例えば、20~80%の範囲であることが好ましい。
【0027】
<4.ゴルフクラブヘッドの製造方法>
次に、上記のゴルフクラブヘッドの製造方法の一例について説明する。まず、上述したヘッド本体101とフェース部材102とを準備する。このようなヘッド本体101及びフェース部材102は、種々の方法で作製することができる。例えば、ヘッド本体101は、公知のロストワックス精密鋳造法などの鋳造によって製造することができる。また、フェース部材102は、例えば、鍛造製法や、平板のプレス加工、鋳造等により製造することができる。また、圧延材料を用いてフェース部材102を形成する場合、フェース部材102の加工前の平板は、圧延方向が、フェース部1のトゥ側の上部からヒール側の下部に向かう方向とほぼ一致するように加工される。
【0028】
そして、これらを、例えば、溶接(TIG(タングステン-不活性ガス)溶接、プラズマ溶接、レーザー溶接、ロウ付けなど)により接合した後、所定の塗装を施す。また、スリット31に充填材5を充填する。この場合、例えば、充填材5を溶融させつつ、スリット31に充填することができる。こうして、ゴルフクラブヘッドが完成する。
【0029】
<5.特徴>
以上の実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
【0030】
(1) 充填材5のヤング率が、周縁領域32のヤング率よりも大きいため、周縁領域32の方が充填材5よりも変形しやすくなる。そのため、例えば、
図6の点線で示すように、フェース部1によってボールを打撃したとき、充填材5よりもフェース側の周縁領域32に変形が集中し、撓みやすくなる。その結果、フェース部1にも大きい撓みが生じやすくなり、反発性能を向上することができる。したがって、いわゆるカップフェース構造によりフェース部1を形成しなくても、ソール部3にスリット31を形成し、ヤング率の高い充填材5を充填するだけで、反発性能を向上することができる。そのため、製造コストを低減することができる。なお、
図6は説明のため、変形(点線)を大きく誇張して描いており、現実の変形を正確に示したものではない。
【0031】
特に、上述した長さL2を長さL1の1/3以下とすることで、周縁領域32を小さくし、インパクト時の衝撃エネルギーをこの小さい周縁領域32に集中させることができる。その結果、周縁領域32をより撓みやすくし、ひいてはフェース部1の撓みをより大きくすることができる。
【0032】
(2) ヘッド本体101を成形する金型にスリット用の突部を設けるだけで、スリット31を形成することができるため、従来のスリット無しのヘッド本体用の金型を流用して、容易に金型を製造することができる。したがって、金型に係るコストを低減することができる。
【0033】
(3) 反発性能の変更は、ヘッド本体101の形状を変更することなく、充填材5の材料を変えることで行うことができる。例えば、周縁領域32の撓みを小さくするには、充填材5のヤング率を小さくすればよい。したがって、反発性能の調整を容易に行うことができる。
【0034】
(4) 変形しがたい部分を、ソール部3の肉厚を厚くするのではなく、充填材5によって形成している。これにより、余剰重量を創出することができ、ヘッド100の重心設計の自由度を高めることができる。
【0035】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、以下の変更が可能である。
【0036】
<6-1>
スリット31の形状は特には限定されず、種々形状が可能である。例えば、上記実施形態では、スリット31をフェース側にやや凸となるように湾曲させているが、トゥーヒール方向にまっすぐに延びるように形成することができる。また、
図7Aに示すように、トゥーヒール方向に所定間隔をおいてほぼ一直線上に並ぶ複数のスリット31を形成し、各スリット31に充填材5を充填することができる。あるいは、複数のスリット31を一直線上に並べず、フェース-バック方向にずらして配置することもできる。
図7Bの例では、3つのスリット31を形成し、トゥーヒール方向の中央のスリット31をフェース側にずらしている。その他、各スリット31の形状、数、位置等は、適宜変更することができる。
【0037】
また、スリット31の幅は一定でなくてもよく、トゥーヒール方向において変化するようにすることもできる。さらに、複数のスリット31を形成する場合、各スリット31に充填する充填材5の材料が異なるようにしてもよい。以上のように、スリット31の位置、形状を変えたり、充填材5の材料を変えることで、反発性能を容易に調整することができる。
【0038】
<6-2>
上記実施形態では、ソール部3にスリット31を形成し、これに充填材5を充填しているが、例えば、
図8に示すように、クラウン部2にスリット21を形成し、これに充填材5を充填することもできる。このスリット21の位置、形状は、ソール部3に形成したものと同じにすることができる。例えば、
図8に示すように、フェース部1の縁部からバック方向へ長さL4の位置よりもフェース側に形成されることが好ましい。この長さL4は、長さL2と同様に、クラウン部2のフェース-バック方向の長さL5の1/3以下であることが好ましい。
【0039】
また、充填材5も同じものを用いることができる。このように、クラウン部2にもスリット21を形成し、充填材5を充填することで、このスリット21よりもフェース側の周縁領域22が撓みやすくなる。したがって、ソール部3及びクラウン部2の両方において、周縁領域が撓みやすくなるため、フェース部における反発性能をより向上することができる。なお、ソール部3にスリットを形成せず、クラウン部2にのみスリット21を形成し、充填材5を充填することもできる。
【0040】
<6-3>
上記実施形態では、周縁領域32の肉厚が概ね一定であるが、例えば、
図9に示すように、バック側にいくにしたがって周縁領域32の肉厚が小さくなるようにすることもできる。このようにすることで、変形しがたい充填材の近傍で、周縁領域32がより変形しやすくなるため、反発性能をより向上することができる。なお、周縁領域32の肉厚は、
図9に示すように、徐々に小さくしてもよいし、段階的に(階段状に)小さくすることもできる。
【0041】
また、クラウン部2においても、同様に周縁領域の肉厚を変化させることもできる。この場合、クラウン部2に、スリットを設けている場合、あるいは設けていない場合の両方において、同様に、周縁領域の肉厚を変化させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 フェース部
2 クラウン部
3 ソール部
31 スリット
5 充填材