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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】植物栽培設備
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20230926BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20230926BHJP
   A01D 46/20 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G9/14 W
A01D46/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019193625
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021065166
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138212(WO,A2)
【文献】特開2013-5724(JP,A)
【文献】特開2019-83750(JP,A)
【文献】特開2011-160735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 9/14
A01D 46/20
A01D 46/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物(P)を栽培する栽培ベッド(5)を複数併設し、前記栽培ベッド(5)間を走行する作業移動車(3)を備えた植物栽培設備において、前記作業移動車(3)に植物(P)を撮像する撮像カメラ(25f,25r)と、撮像データを受信して解析するコントローラ(26)と、ディスプレイ(28)を有し前記コントローラ(26)に接続されてデータを送受信可能とした端末(27)を備え、
前記コントローラ(26)によって、前記撮像カメラ(25f、25r)の撮像データの解析を行うことによって成熟した果実を検出し、その成熟した果実が検出された状態の撮像データを管理者コンピュータへ送信し、
植物(P)に対する葉欠き作業の作業高さを示す作業ライン(L1、L2)を指示者が手動で、前記管理者コンピュータの、前記検出された状態の撮像データの表示画面に接触して設定すると共に、
該作業ライン(L1,L2)のデータを前記管理者コンピュータが前記コントローラ(26)または前記端末(27)へ送信し、前記作業ライン(L1,L2)がリアルタイム画像を表示する前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした植物栽培設備。
【請求項2】
上下方向に延びる植物(P)に対して一定間隔の垂直の誘引作業ライン(L3,L4)を指示者が手動で前記表示画面に接触して設定すると共に、該誘引作業ライン(L3,L4)は前記リアルタイム画像の前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした請求項1記載の植物栽培設備。
【請求項3】
上下方向に延びる植物(P)に対して上側作業ライン(L6,L8,L10)と下側作業ライン(L7,L9,L11)の間に摘花作業領域(Z1,Z2,Z3)を指示者が手動で前記表示画面に接触して設定すると共に、該摘花作業領域(Z1,Z2,Z3)は前記リアルタイム画像の前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした請求項1又は請求項2記載の植物栽培設備。
【請求項4】
前記コントローラによって画像データの解析を行う代わりに、前記管理者コンピュータ(29)によって画像データの解析を行う構成とした請求項1から請求項3のいずれか一に記載の植物栽培設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培設備に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培設備において、ハウス内に複数併設する栽培ベッド間を作業者が搭乗する作業移動車を走行させる構成、及び該作業移動車に撮像カメラを備え果実の成熟度を検出する構成がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-195895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、カメラが撮影した画像データから色彩判別器等の果実判別装置により成熟した果実を検出する構成で、栽培条ごとの成熟果実の総数及び栽培室内全体の成熟果実の総数を演算し、これらの成熟果実の総数から成熟果実を収穫する作業者を割り振り設定したり熟練度に応じて作業領域設定を行うことができる。
【0005】
しかしながら、果実の収穫作業を行いながらリアルタイムで果実画像を解析するにはその処理速度に伴う作業効率の点で課題がある。
【0006】
本発明は、簡易な方法で非熟練者が摘花や摘果等の作業を行い易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、植物(P)を栽培する栽培ベッド(5)を複数併設し、前記栽培ベッド(5)間を走行する作業移動車(3)を備えた植物栽培設備において、前記作業移動車(3)に植物(P)を撮像する撮像カメラ(25f,25r)と、撮像データを受信して解析するコントローラ(26)と、ディスプレイ(28)を有し前記コントローラ(26)に接続されてデータを送受信可能とした端末(27)を備え、
前記コントローラ(26)によって、前記撮像カメラ(25f、25r)の撮像データの解析を行うことによって成熟した果実を検出し、その成熟した果実が検出された状態の撮像データを管理者コンピュータへ送信し、
植物(P)に対する葉欠き作業の作業高さを示す作業ライン(L1、L2)を指示者が手動で、前記管理者コンピュータの、前記検出された状態の撮像データの表示画面に接触して設定すると共に、
該作業ライン(L1,L2)のデータを前記管理者コンピュータが前記コントローラ(26)または前記端末(27)へ送信し、前記作業ライン(L1,L2)がリアルタイム画像を表示する前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした植物栽培設備である。
第2の本発明は、上下方向に延びる植物(P)に対して一定間隔の垂直の誘引作業ライン(L3,L4)を指示者が手動で前記表示画面に接触して設定すると共に、該誘引作業ライン(L3,L4)は前記リアルタイム画像の前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした第1の本発明の植物栽培設備である。
第3の本発明は、
上下方向に延びる植物(P)に対して上側作業ライン(L6,L8,L10)と下側作業ライン(L7,L9,L11)の間に摘花作業領域(Z1,Z2,Z3)を指示者が手動で前記表示画面に接触して設定すると共に、該摘花作業領域(Z1,Z2,Z3)は前記リアルタイム画像の前記ディスプレイ(28)に重ねて表示される構成とした第1又は2の本発明の植物栽培設備である。
第4の本発明は、
前記コントローラによって画像データの解析を行う代わりに、前記管理者コンピュータ(29)によって画像データの解析を行う構成とした第1から3のいずれか一の本発明の植物栽培設備である。
本発明に関連する第1の発明は、植物Pを栽培する栽培ベッド5を複数併設し、栽培ベッド5間を走行する作業移動車3を備えた植物栽培設備において、作業移動車3に植物Pを撮像する撮像カメラ25f,25rと、撮像データを受信して解析するコントローラ26と、ディスプレイ28を有しコントローラ26に接続されてデータを送受信可能とした端末27を備え、予め撮像データの解析によって植物Pに対する所定作業の作業高さを示す作業ラインL1、L2を設定し、リアルタイム画像のディスプレイ28に作業ラインL1,L2を表示する。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、植物Pを栽培する栽培ベッド5を複数併設し、栽培ベッド5間を走行する作業移動車3を備えた植物栽培設備において、作業移動車3に植物Pを撮像する撮像カメラ25f,25rと、撮像データを受信して解析するコントローラ26と、ディスプレイ28を有しコントローラ26に接続されてデータを送受信可能とした端末27を備え、予め撮像データの解析によって上下方向に延びる植物Pに対して一定間隔の垂直の作業ラインL3、L4を設定し、リアルタイム画像のディスプレイ28に作業ラインL3,L4を表示する。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、植物Pを栽培する栽培ベッド5を複数併設し、栽培ベッド5間を走行する作業移動車3を備えた植物栽培設備において、作業移動車3に植物Pを撮像する撮像カメラ25f,25rと、撮像データを受信して解析するコントローラ26と、ディスプレイ28を有しコントローラ26に接続されてデータを送受信可能とした端末27を備え、予め撮像データの解析によって上下方向に延びる植物Pに対して上側作業ラインL6,L8,L10と下側作業ラインL7,L9,L11の間に作業領域Z1,Z2,Z3を設定し、リアルタイム画像のディスプレイ28に作業領域Z1,Z2,Z3を表示する。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、本発明に関連する第1から3のいずれか一の発明において、管理者コンピュータ29によって画像データの解析と作業ラインの設定を実行し、管理者コンピュータ29の設定内容を車載のコントローラ26を経由し又は迂回して端末27に送信する構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非熟練者であっても葉欠き作業や誘引作業を容易に行える。
本発明に関連する第1の発明によると、管理作業者が作業ラインL1,L2を設定することで、作業移動車3に搭乗する作業者は作業高さを把握し易くなるので、非熟練者であっても葉欠き作業や誘引作業を容易に行える。
【0012】
本発明に関連する第2の発明によると、生長による植物Pの位置をずらせる作業を行うが、ずらし位置をラインに合わせることで、非熟練者でも植物を均等の間隔に配置でき良好な栽培を実現できる。
【0013】
本発明に関連する第3の発明によると、作業者が行う摘花、摘果又は葉欠きの各作業範囲を示すことができ、作業者が非熟練者でも作業範囲を判別し易い。
【0014】
本発明に関連する第4の発明は、本発明に関連する第1から3の発明の効果に加え、作業前準備を多様に行えることができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態の植物栽培設備の概要図である。
図2】(A)本発明における実施の形態の栽培設備一部の概要と制御システム概要を示す概念図と、(B)本発明における実施の形態の別例の制御システム概念図である。
図3】本発明における実施の形態の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図4】本発明における実施の形態の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図5】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図6】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図7】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図8】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図9】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図10】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図11】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図12】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図13】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図14】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図15】本発明における実施の形態の他の栽培設備一例の概要とディスプレイ一例の概要図である。
図16】本発明における実施の形態のディスプレイ一例の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態の温室設備について以下説明する。
【0017】
図1は栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1と、該栽培室1に隣接する出荷室2とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は移動作業車である作業移動車(作業台車)3あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路4を設けており、このメイン通路4は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路4の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成している。尚、前記栽培ベッド5は培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっている。
【0018】
また、メイン通路4の両端には開閉扉を備える栽培室1への出入り口8を設け、一方の出入り口8を介して隣接する出荷室2へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、作業移動車3をメイン通路4から各々の栽培ベッド5の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培ベッド5に沿って作業移動車3を移動させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路9は、各々の栽培ベッド5の左右間で前後方向に形成される通路となる。尚、作業移動車3は、サブ通路9上に敷設された温室全体を暖房する左右の暖房用管を走行用のレール13として走行する。
【0019】
前記出荷室2内には、前述した養液供給装置7と、収穫されたトマト等の収穫物(果実)を重量や大きさあるいは等級別に選別する選別装置10とを備えている。尚、該選別装置10が、栽培された作物を出荷前に処理する前処理装置となる。選別装置10は、収穫物を搬送して選別する選別コンベア11と、該選別コンベア11の両側の側方に設けられた各階級毎の収穫物収容部12とを備えて構成され、選別コンベア11から各収穫物収容部12へ収穫物を供給して各階級に選別する構成となっている。尚、前記選別コンベア11は、平面視でL字状に屈曲した構成となっている。また、各々の収穫物収容部12には収穫物を収容する収容箱を設けて、この収容箱ごとに収穫物を出荷すればよい。
【0020】
栽培ベッド5の上側には、該栽培条に沿う誘引ワイヤ15を設け、栽培される植物Pの栽培株は、誘引ワイヤ15により誘引される構成となっており、誘引ワイヤ15から誘引フック16を介して垂れ下がる誘引紐17により誘引される。尚、誘引フック16は、誘引ワイヤ15に吊り下げられる構成であり、巻き付けた誘引紐17を適宜繰り出して下方に垂れ下がらせる周知の構成となっている。また、植物が所定の高さ(誘引フック16の近く)まで成長した以降は、誘引フック16から誘引紐17を繰り出しながら、順次誘引紐17を前記複数の栽培株の配列方向、すなわち栽培ベッド5の長手方向にずらせて植物の高さを低下させ、植物を継続的に栽培する。従って、例えばトマトを栽培する場合、トマトの茎が栽培ベッド5から誘引紐17を伝って伸長することになる。
【0021】
作業移動車3は、前後左右の走行車輪20と、作業者が搭乗する昇降可能な昇降台21と、走行車輪20及び昇降台21を駆動する駆動源となる電動モータを備え、作業者が昇降台21に搭乗し昇降台21を所望の高さに昇降させながら、栽培植物の葉欠き、芽欠き及び収穫等の作業を行う周知の構成となっている。走行車輪20は、機体の左右方向外側に配置される大径部と機体の左右方向内側に配置される小径部が一体に形成され、大径部と小径部との段差で前記レール13に沿って移動できる。
【0022】
作業移動車3は、進行方向の前後に撮像カメラ25f,25rを備え、作業移動車3を移動させながら栽培株の果実や葉の撮像データを作業移動車制御部(コントローラ)26に送信できる。なお、コントローラ26には撮像データの他予め取得し又は演算された各種データを記憶している。さらに、コントローラ26と通信できる携帯端末27を設け、携帯端末27には撮像データの他各種データを取得できるようになっており、ディスプレイ28には撮像データ等を表示できる構成である。携帯端末27は作業移動車3の所定箇所に装着可能とし、搭乗する作業者が容易に視認できる位置に装着するものである。
【0023】
撮像カメラ25f,25rを前後2台とすると、作業移動車3の移動と共に前後を切替て撮像データを取り込むことによってサブ通路を作業移動車3が往復動しても栽培ベッド5の端隅部の植物Pを逃がさず撮像できる。そして更には、前側の撮像カメラ25fで作業前の植物Pの状態を撮像し、後側の撮像カメラ25rで作業後の植物Pの状態を撮像することで、管理作業者は作業状況を視認できる。
【0024】
前記携帯端末27について、図2(A)に示す例では、コントローラ26と通信できる構成として、後述記憶画像に対し作業ラインLの生成表示を行うと共に、リアルタイム画像において作業ラインLを表示して各種作業の支援を行える構成としているが、図2(B)に示す例では、車載のコントローラ26と管理者コンピュータ29を通信で連携し、管理者コンピュータ29からコントローラ26に対し各種データを送受信でき、該管理者コンピュータ29側にて後述記憶画像に対し作業ラインLの生成表示を行い、車載のコントローラ26に送りさらに携帯端末27に表示させる構成とする。車載のコントローラ26を経由せず迂回して管理者コンピュータ29から直接的に携帯端末27に送信する形態とすることもできる。
【0025】
次いで、携帯端末27のディスプレイ28の表示例について説明する。カメラにより、作業移動車3又は防除作業車を走行させながら、各々の栽培株で成熟した果実を自動的に検出する。撮像カメラ25f,25rが撮影した画像データが無線によりコントローラ26に送信され、コントローラ26内の果実判別装置により成熟した果実を検出する。例えば、果実がトマトである場合、果実が成熟すれば赤くなるので、果実判別装置は撮影した画像データを処理して色彩判別することにより成熟度を判定する構成となっている。尚、色彩判別以外に、形状や大きさ等により成熟した果実を判別する構成としてもよい。そして、ディスプレイ28に表示される果実のうち、所定の成熟度に判定された果実には、目印の矢印Aを付すように構成している(図3)。なお、図4図5は、成熟度サンプルの表示例を示し、トマトのように表面色で作業指示をする例(図4)、パプリカのように表面色が複数の場合には色付き割合で指示する例(図5)である。図4の場合には収穫可能な標準赤色を示してこれ以上に赤味を呈するものは収穫対象と判定できる。
【0026】
このように構成すると、不慣れな作業者の作業支援となり、かつ作業ばらつきの解消となる。
【0027】
図6に示す例は、ディスプレイ28のリアルタイム画像に作業ラインL1を表示させることにより葉欠き作業を容易化する。なお、作業ラインL1は、撮影データを表示するディスプレイ28に直接触れて描く形態とし、指示作業者がタッチペン(図示せず)で事前、なるべく直前に撮像した記憶画像に、判定した位置をなぞることによって指定のラインを描くことができる。作業ラインL1はリアルタイム画像上でも記憶されて表示されていて、作業者は、該作業ラインL1を目安にリアルタイム画像を確認しつつ葉欠き作業を行うべき対象作物を特定して葉欠きを行うことができる。例えば、図6の例では作業ラインL1以下の葉を全て葉欠きするものであり、葉欠き作業を容易化する。
【0028】
なお、作業ラインL1の描き方について、上例ではタッチペンで画面をなぞって描く構成としたが、ディスプレイ画面は縦横にピクセル数が指定されており、タッチペンで一点を指定すると縦のピクセル数を演算して横方向にライン表示することができる構成としてもよい。またタッチペンで左右2点を指定すると2点を通る直線を演算することによってライン表示できる構成でもよい。
【0029】
また、図16に示すように上下動させるスイッチ31a、31bを操作して作業ラインを上下移動させる構成でも良い。あるいは、作業ラインを左右移動させるスイッチ(図示せず)を設けてL3やL4のように縦の作業ラインを表示させてもよい。
【0030】
図7に示す例について、ディスプレイ28のリアルタイム画像に作業ラインL2を表示することにより生長点誘引作業を容易化する。作業ラインL2は、指示作業者がタッチペンで事前に撮像した記憶画像に、生長点付近と判定した位置をなぞることによって指定のラインを描くことができる。作業者は、該作業ラインL2を目安にリアルタイム画像を見ながら誘引を行う。
【0031】
図8に示す例について、ディスプレイ28のリアルタイム画像に垂直の作業ラインL3を所定間隔に表示することにより誘引作業を容易化する。作業ラインL3は、基準の作業ラインL3´を決めると共に、予め設定した植物茎間隔に見合うピクセル数を演算させることにより、基準の作業ラインL3´から所定間隔Dに作業ラインL3,L3を描くことができる。作業者は、該作業ラインL3´、L3を目安にリアルタイム画像を見ながら誘引作業を行うべき箇所を指定することができる。図例では、作業ラインL3´に沿うよう誘引を行う。なお、図8における例では、携帯端末27に撮像カメラ25´を組み込む構成としている。
【0032】
図9に示す例について、ディスプレイ28のリアルタイム画像に垂直の作業ラインL4を表示することにより誘引作業を容易化する。作業ラインL4は、前記垂直の作業ラインL3と共通の方法で描くものとする。作業者は、該作業ラインL4を目安にリアルタイム画像を見ながら植物P茎先端の離隔状況d1を確認し誘引作業を適正に行うことができる。
【0033】
図10に示す例について、車載のコントローラ26から管理者コンピュータ29へ送信された記憶画像に、生長点推定ラインとしての作業ラインL5を表示することにより植物の状態評価に利用できる。指示作業者は、該作業ラインL4を目安にリアルタイム画像を見ながら植物P茎先端近傍の花群(花房)の離隔状況d2を確認し生長が果実生長寄りか、葉・茎生長寄りかを判定できる。
【0034】
図11から図14に示す例について、ディスプレイ28のリアルタイム画像に作業領域Z1,Z2,Z3又はZ4を表示することにより摘花作業、摘果作業、葉欠き作業又は障害果実除去作業を容易化する。作業領域Z1は、上側作業ラインL6と下側作業ラインL7の間に設定され、上側作業ラインL6の上領域および下側作業ラインL7の下領域の作業領域外を暈した上下レイヤー領域Za,Zbとすることで当該作業領域Z1は鮮明化され、摘花対象を表示させる。そして、別途に適正な花の数を表示するサンプル画像S1を準備し確認することにより、ディスプレイ28に表示されるリアルタイム画像の花群(花房)からどの花を摘花すべきか判定し、実際に摘花を行う。サンプル画像S1には、適正な花の数(例えば4個)の画像、及び適切なコメント表示、例えば「開花しきらない上の花は取らない」を表示する。
【0035】
また、作業領域Z2は上側作業ラインL8と下側作業ラインL9の間に設定され、上側作業ラインL8の上領域および下側作業ラインL9の下領域の作業領域外を暈した上下レイヤー領域Zc,Zdとすることで当該作業領域Z2は鮮明化され、摘果対象を表示させる。そして、別途に適正な果実数を表示するサンプル画像S2を準備し確認することにより、ディスプレイ28に表示されるリアルタイム画像の果実群からどの果実を摘果すべきか判定し、実際に摘果を行う。サンプル画像S2には適正な実の数(例えば3個)の画像、及びコメント表示、例えば「未成熟果実は様子見のこと」を表示する。
【0036】
さらに、作業領域Z3は上側作業ラインL10と下側作業ラインL11の間に設定され、上側作業ラインL10の上領域および下側作業ラインL11の下領域の作業領域外を暈した上下レイヤー領域Ze,Zfとすることで当該作業領域Z4は鮮明化され、葉欠き対象を表示させる。そして、別途に葉欠きを表示するサンプル画像S3を準備し確認することにより、リアルタイム画像に表示される植物茎からどの葉を除去すべきか判定し、実際に葉欠きを行う。サンプル画像S3には、サンプル画像S3には花房間の中間葉、花房横の葉など画像、及びコメント表示する。
【0037】
さらに、作業領域Z4は作業ラインL12の下側に設定され、作業ラインL12の上領域の作業領域外を暈した上レイヤー領域Zgとすることで当該作業領域Z3は鮮明化され、障害果実除去対象を表示させる。そして、別途に障害果実除去果実を表示するサンプル画像S4を準備し確認することにより、ディスプレイ28に表示されるリアルタイム画像の果実群からどの果実を障害果実として除去すべきか判定し、実際に果実除去を行う。サンプル画像S4には除去する障害果実の詳細図、不要な実の除去の指示図および必要なコメントを表示する。
【0038】
図15において、撮像データに基づく画像中の花の面積を演算算出し、収穫量を予測できる一例を示している。すなわち、コントローラ26には過去の花の面積と対応する収穫量を記憶し、撮像された花の面積から当該花房の収穫量を予測できるものである。そして、所定に着色した花の面積が所定以上となると、花が過多であると判定し、摘花指示を出す構成としている。例えば、花の色に対応する黄色面積が少ない場合(F1)、花は少なくて果実少なく収量減を予測できる。逆に、黄色面積が多い場合(F2)、花・果実は多く収量増を予測できる。
【0039】
図3図14に示すように撮像データを表示するディスプレイ28に作業ラインや作業領域を指定する構成とすると、作業に不慣れな者であっても正確に判断でき、人的要因のばらつきを少なくできる。
【符号の説明】
【0040】
3 作業移動車
5 栽培ベッド
25f 撮像カメラ
25r 撮像カメラ
26 コントローラ
27 携帯端末(端末)
28 ディスプレイ
29 管理者コンピュータ
L1 作業ライン
L2 作業ライン
L3 作業ライン
L4 作業ライン
L6 上側作業ライン
L7 下側作業ライン
L8 上側作業ライン
L9 下側作業ライン
L10 上側作業ライン
L11 下側作業ライン
P 植物
Z1 作業領域
Z2 作業領域
Z3 作業領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16