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特許7354771記録システム、記録方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】記録システム、記録方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20230926BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230926BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230926BHJP
【FI】
H04N7/18 U
B60R11/02 Z
H04N7/18 J
H04N23/60 300
H04N23/60 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019198606
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021072559
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 芳伸
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/111745(WO,A1)
【文献】特開2018-187959(JP,A)
【文献】特開2018-151693(JP,A)
【文献】特開2010-182189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 11/02
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記撮影データから同乗者を検出する同乗者検出部と、
予め設定された範囲の運転者を検出する運転者検出部と、
前記車室内に存在する前記同乗者が降車したことを判定する判定部と、
前記運転者検出部が検出していた前記運転者を検出しなくなった後に、前記判定部が前記同乗者の降車を判定した場合には、前記車室外の撮影データを記録装置に記録することを指示する記録制御部と、を備える
記録システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記車両のドアが閉扉状態から開扉状態に変化したことを検出するとともに、前記開扉状態の前記ドアから前記同乗者が降車したことを判定する
請求項1に記載の記録システム。
【請求項3】
前記記録制御部は、前記運転者検出部が再び前記運転者を検出したことに応じて、前記記録を停止することを指示する、
請求項1または2に記載の記録システム。
【請求項4】
前記記録にかかる情報である降車情報を前記車両の外部へ送信可能な通信部を制御する通信制御部をさらに備え、
前記記録制御部は、前記記録の指示とともに、前記通信制御部に前記降車情報を送信することを指示する
請求項1~3のいずれか一項に記載の記録システム。
【請求項5】
前記撮影データ取得部は、前記車両が有する複数のカメラから撮影データをそれぞれ取得し、
前記記録制御部は、前記判定部が前記同乗者の降車を判定した場合には、前記同乗者が撮影されている前記撮影データを選択して前記記録することを指示する
請求項1~4のいずれか一項に記載の記録システム。
【請求項6】
車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記撮影データから同乗者を検出する同乗者検出ステップと、
予め設定された範囲の運転者を検出する運転者検出ステップと、
前記車室内に存在する前記同乗者が降車したか否かを判定する判定ステップと、
検出されていた前記運転者が検出されなくなった後に、前記同乗者が降車したと判定した場合には、前記車室外の撮影データを記録装置に記録することを指示する記録制御ステップと、を備える
記録方法。
【請求項7】
車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記撮影データから同乗者を検出する同乗者検出ステップと、
予め設定された範囲の運転者を検出する運転者検出ステップと、
前記車室内に存在する前記同乗者が降車したか否かを判定する判定ステップと、
検出されていた前記運転者が検出されなくなった後に、前記同乗者が降車したと判定した場合には、前記車室外の撮影データを記録装置に記録することを指示する記録制御ステップと、を備える
記録方法を、コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録システム、記録方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者を含む乗員が車両から降車をする際の車室内の状態を撮影ないし撮像する技術が存在している。
【0003】
例えば、特許文献1には、ドライバが降車を準備している状態であると判定されたときに撮像された基準画像と、施錠状態であると判定されたときに撮像された比較画像との比較結果に基づいて、車室内に乗員が残存しているか否かを判定する装置が提案されている。
【0004】
特許文献2には、乗員が車両から降車する前に、カメラとディスプレイを起動させ、カメラの撮影画像をディスプレイに表示させる装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/111745号
【文献】特開2018-187959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術が存在する一方、運転者が一時的に降車している間に、車室内に残っている同乗者が運転者の意思に関わらず降車してしまい、運転者は同乗者の動向を把握できないことがある。このような事態になった場合に、運転者が同乗者の動向を把握するための技術は存在しなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、停車中の車両から降車した同乗者の動向を好適に把握できる記録システム等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる記録システムは、撮影データ取得部、同乗者検出部、運転者検出部、判定部および記録制御部を有する。撮影データ取得部は、運転者および同乗者が搭乗する車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する。同乗者検出部は、撮影データから同乗者を少なくとも検出する。運転者検出部は、予め設定された範囲の運転者を検出する。判定部は、車室内に存在する同乗者が降車したか否かを判定する。記録制御部は、運転者検出部が検出していた運転者を検出しなくなった後に、判定部が同乗者の降車を判定した場合には、車室外の撮影データを記録装置に記録することを指示する。
【0009】
本発明にかかる記録方法は、撮影データ取得ステップ、同乗者検出ステップ、運転者検出ステップ、判定ステップおよび記録制御ステップを有する。撮影データ取得ステップは、運転者および同乗者が搭乗する車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する。同乗者検出ステップは、撮影データから同乗者を少なくとも検出する。運転者検出ステップは、予め設定された範囲の運転者を検出する。判定ステップは、車室内に存在する同乗者が降車したか否かを判定する。記録制御ステップは、検出されていた運転者が検出されなくなった後に、同乗者が降車したと判定した場合には、車室外の撮影データを記録装置に記録することを指示する。
【0010】
本発明にかかるプログラムは、撮影データ取得ステップ、同乗者検出ステップ、運転者検出ステップ、判定ステップおよび記録制御ステップを有する方法をコンピュータに実行させる。撮影データ取得ステップは、運転者および同乗者が搭乗する車両の車室内および車室外の画像を撮影するカメラから撮影データを取得する。同乗者検出ステップは、撮影データから同乗者を少なくとも検出する。運転者検出ステップは、予め設定された範囲の運転者を検出する。判定ステップは、車室内に存在する同乗者が降車したか否かを判定する。記録制御ステップは、検出されていた運転者が検出されなくなった後に、同乗者が降車したと判定した場合には、降車した同乗者を撮影した撮影データを記録装置に記録することを指示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、停車中の車両から降車した同乗者の動向を好適に把握できる記録システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる記録システムを搭載した車両の上面図である。
図2】実施の形態1にかかる記録システムのブロック図である。
図3】記録システムが行う同乗者認識処理を示すフローチャートである。
図4】記録システムが行う降車記録処理を示すフローチャートである。
図5】記録システムが生成する撮影データの例を示す第1の図である。
図6】記録システムが生成する撮影データの例を示す第2の図である。
図7】記録システムが生成する撮影ファイルの例を示す第1の図である。
図8】記録システムが生成する撮影ファイルの例を示す第2の図である。
図9】実施の形態2にかかる記録システムを搭載した車両の上面図である。
図10】実施の形態2にかかる記録システムのブロック図である。
図11】実施の形態2にかかる降車記録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
<実施の形態1>
以下、図を参照して実施の形態の構成について説明する。図1は、記録システムを搭載した車両の上面図である。車両900には、記録システム10が設置されている。記録システム10は、移動体である車両900のキャビン内において、ウィンドシールド上部に固定されている。
【0015】
記録システム10は、カメラを有しており、カメラが撮影した撮影データを記録および再生する所謂ドライブレコーダとしての機能を有している。記録システム10が有しているカメラは、全天周カメラである。全天周カメラは、記録システム10の周囲360度の風景を撮像する。そのため、記録システム10は、車両900の外部(すなわち車両900の車室外)や、車両900の車室内を撮影できる。
【0016】
一般的なドライブレコーダの機能として、記録システム10は、予め設定されたトリガを受け付けた場合に、予め設定された期間分の撮影データを「イベント記録データ」として再生可能に記録する。予め設定されたトリガを受け付けた場合とは、例えば予め設定された大きさの突発的な衝撃を検出した場合である。車両の運転者等は、このイベント記録データを再生し、再生したイベント記録データの映像を見ることによりイベントの状況を把握できる。
【0017】
次に、図2を参照して記録システム10の機能構成について説明する。図2は、記録システム10の構成を示すブロック図である。図に示すように、記録システム10は、各構成要素の制御を司る制御部100および制御部100に接続された複数の構成要素を有している。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、および複数のインタフェース等が実装された回路基板を有する制御装置であって、格納されているプログラムを実行して種々の処理を実行する。
【0018】
以下に制御部100の詳細について説明する。制御部100は主な構成として、撮影データ取得部120、バッファメモリ121、撮影データ処理部122、記録制御部123、再生制御部124、操作制御部125、表示制御部126、イベント検出部127、位置情報取得部128、同乗者検出部129、運転者検出部130、判定部131および通信制御部132を有している。記録システム10が行う処理は、制御部100が実行するプログラムによって実現される。便宜的に、これらの構成はそれぞれバスライン110に接続しているように表現する。
【0019】
撮影データ取得部120は、カメラ150から供給された撮影データを取得する。カメラ150は、例えば毎秒30フレーム(30fps)の撮影データを生成し、生成した撮影データを60分の1秒ごとに撮影データ取得部120に供給する。撮影データ取得部120は、バスライン110を介して撮影データをバッファメモリ121に供給する。
【0020】
バッファメモリ121は、揮発性または不揮発性のメモリ装置である。バッファメモリ121は、撮影データ取得部120を介してカメラ150が定期的に生成する撮影データを順次受け取り、受け取った撮影データを一時的に記憶する。バッファメモリ121が一時的に記憶する撮影データは予め設定された期間分である。バッファメモリ121は、予め設定された期間を経過した撮影データを順次消去するか、あるいは、新たに受け取った撮影データを順次上書きする。すなわちバッファメモリ121はリングバッファとして機能する。
【0021】
撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が記憶している撮影データから、予め設定された方式に準拠した撮影ファイルを生成する。予め設定された方式とは、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの方式である。撮影データ処理部122が生成する撮影ファイルには、ヘッダとペイロードが含まれる。撮影ファイルのヘッダにはファイルが生成された日時等が含まれ、ペイロードには撮影データが含まれる。
【0022】
撮影データ処理部122は、さらに、同乗者検出部129または運転者検出部130と連携し、車室内の動体を検出するための処理を施してもよい。本実施の形態において「車室内の動体」とは、車室内の運転者や同乗者を指す。また同乗者とはペットなどの動物を含んでもよい。すなわち、撮影データ処理部122は、車室内の動体を検出するための処理として、例えば同乗者検出部129または運転者検出部130が撮影データに含まれる車室内の動体の特徴量を算出するための前処理として、撮影データに対して所定の処理を施してもよい。所定の処理とは、例えば、HOG特徴量(Histograms of Oriented Gradients)の算出やSVM(Support Vector Machine)などの手法に従った画像認識処理等である。
【0023】
記録制御部123は、撮影データ処理部122が生成した撮影ファイルを記録装置160に記録させるための制御を行う。例えば、イベント検出部127がイベントを検出した場合、記録制御部123は、イベントの検出に応じて予め設定された期間分の撮影ファイルを、上書き禁止されたイベント記録ファイルとして記録装置160に記録させる。なお、記録制御部123が記録装置160にイベント記録ファイルを記録させる処理を、「イベント記録」と称する。
【0024】
記録制御部123はイベント記録ファイルを、記録装置160における所定の記録領域に記録させる。所定の記録領域とは例えば、上書きまたは消去禁止とすることを定められた保護領域である。あるいは、記録制御部123により記録装置160に供給されたイベント記録ファイルは、上書きまたは消去禁止であることを示すフラグをファイル内に含めて記録されてもよい。
【0025】
記録制御部123は、上述のイベント記録に加えて、「降車記録」を行う。「降車記録」とは、運転者検出部が検出していた運転者を検出しなくなった後に、同乗者が降車した場合には、後述する同乗者検出部129で同乗者の降車を検出し、移動した同乗者を撮影した撮影データを含む車室外の撮影データを降車記録ファイルとして記録装置160に記録させる処理をいう。
【0026】
降車記録は、運転者が車両900から離れた場合に、運転者が認識しない状況下で同乗者が車両900から降車した場合に、降車した同乗者の動向を記録することを目的としている。降車記録を行うことにより、記録システム10は、運転者に対して降車した同乗者の動向を認識させることができる。
【0027】
より具体的には、例えば、車両900を停車させた運転者が一時的に車両900から離脱する場合において、運転者の知らない間に同乗者が車両900を降り、車両900から離れてしまうことがある。この場合、車両900に戻ってきた運転者は、同乗者の行方が分からない。そこで運転者は、降車記録により記録された撮影データを後述する携帯端末で視認することにより、降車した同乗者がどちらの方面へ向かったのかを認識できる。
【0028】
再生制御部124は、記録装置160が記録している撮影ファイルを管理し、記録されている撮影データを再生するための処理を行う。再生制御部124は、例えばユーザからの指示に応じて、選択された撮影ファイルを読み取り、読み取った撮影ファイルを再生するために表示制御部に供給する。
【0029】
操作制御部125は、操作部140が受け付けた操作情報を取得し、操作情報に基づいた操作指示を、各構成要素に出力する。例えば操作制御部125は、操作部140から再生対象となる撮影ファイルの選択指示を取得した場合、再生制御部124に対して、記録装置160に記録されている撮影ファイルを選択させる。操作制御部125は、操作部140から各種データの再生に関する指示を取得した場合、再生制御部124に再生に関する処理を行わせる。各種データの再生に関する指示とは、例えば、再生開始、一時停止、再生停止、拡大表示などである。
【0030】
表示制御部126は、表示部141に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部126は、カメラ150が撮影中の撮影データを表示部141に表示させる。また、表示制御部126は、再生制御部124から供給された撮影データを受け取り、受け取った撮影データを表示部141に表示させる。表示制御部126は、表示部141に、操作部140の機能としてタッチセンサが重畳されている場合、タッチセンサに対応したアイコンなどを表示部141に適宜表示させる。
【0031】
イベント検出部127は、加速度センサ142が検出する加速度に関する情報を受け取り、受け取った加速度に関する情報に基づき、加速度を示す信号の大きさや信号パターンから所定のイベントが発生したことを検出する。外部から受ける加速度とは、記録システム10が車両900から受ける加速度であって、例えば車両900が他の物体と衝突したときに発生する衝撃などにより生じる加速度である。
【0032】
イベント検出部127は、加速度センサ142から受け取った信号が所定のイベントの発生に該当することを検出した場合には、イベントの発生を検出したことを示す信号を撮影データ処理部122に供給する。イベントの発生とは、例えば、急ブレーキによる衝撃や、車両に対して物体が衝突した場合の衝撃などである。
【0033】
位置情報取得部128は、測位情報受信部143が受信した測位衛星からの信号を受け取り、受け取った信号から現在位置に関する情報である位置情報を取得し、取得した位置情報を記録制御部123に供給する。位置情報には例えば、測位衛星から信号を受け取った時刻における車両の緯度および経度が含まれる。
【0034】
同乗者検出部129は、撮影データを解析し、車室内の助手席または後部座席に搭乗している乗員を検出する。乗員とは、車両900に搭乗している同乗者である。同乗者は、人間だけでなく、動物も含まれていてもよい。同乗者検出部129は、撮影データ処理部122と連携し、撮影データに含まれる車室内の助手席または後部座席に搭乗している物体の特徴量を抽出し、抽出した特徴量から、車室内の人間や動物などを検出する。特徴量は、検出したい物体を特徴づけるもののことであっても良い。この場合、人間の場合の特徴量は、目の位置、手の形等が撮影された撮影データに関連し、動物の場合の特徴量は、目の位置や体毛等が撮影された撮影データに関連する。
【0035】
同乗者検出部129は、同乗者情報記憶部144に接続し、検出した同乗者に関する情報として同乗者が車両900の乗車した時の座った座席の位置を同乗者情報記憶部144に記憶させる。また同乗者検出部129は、同乗者情報記憶部144に記憶させた同乗者に関する情報を読み取り、読み取った情報を適宜利用できる。これにより同乗者検出部129、例えば、検出した同乗者が過去に検出されたことのある同乗者であった場合には、過去の情報と関連付けた処理を行うことができる。例えば同乗者検出部129は、判定部131と連携し、降車したと判定された同乗者に関する固有情報を関連付けて、降車した同乗者が誰かを特定できる。
【0036】
運転者検出部130は、運転席の位置と、運転席に搭乗する運転者の外見の特徴とを認識するとともに、予め設定された範囲の運転者を検出する。運転者検出部130は、カメラ150により撮影される撮影データにおいてどの位置が運転席かを予め記憶する。そして運転者検出部130は、運転席に搭乗する人物を運転者であると判定する。予め設定された範囲は、記録システム10に予め設定されたものであって、記録システム10が運転者を認識しうる一定の距離より近い範囲である。例えば、予め設定された範囲は、撮影データに運転者が検出可能に存在する範囲である。
【0037】
予め設定された範囲は、撮影データから検出される運転者が予め設定された距離より近くに存在すると推定される範囲であってもよい。このような機能を実現するために、例えば運転者検出部130は、運転中の運転者の画像データから頭部の大きさを記憶し、運転席を下りた運転者の画像データとの比較を行うことにより、運転者の位置を推定してもよい。予め設定された範囲は、車両内と設定されていてもよい。
【0038】
なお運転者検出部130は、撮影データから運転者を検出するのに代えて、車両900に設けられたセンサから運転者を検出してもよい。車両900に設けられたセンサの例は、運転席に設けられた圧力センサ、歪センサまたは温度センサ等である。また運転者検出部130が有するセンサは、赤外光により運転者が運転席に搭乗しているか否かを検出できる人感センサであってもよい。運転者検出部130が有するセンサは、運転者が所持する発信機の電波強度を検出する受信機であってもよい。
【0039】
判定部131は、撮影データに含まれる同乗者の位置から、車室内に存在する同乗者が降車したか否かを判定する。撮影データは、車室内の範囲が予め設定されている。そのため、判定部131は、同乗者が車室内に存在するのか車室外に存在するのかを検出できる。車室内の範囲を設定する手段として、判定部131は、車室内と車室外との境界を認識してもよい。これにより、判定部131は、車室内の同乗者が境界を越えて車室外へ出たか否かを判定できる。同乗者が降車したことを検出するために、開扉状態の車室内における車室外との境界近傍にマーカが設置されていてもよい。これにより判定部131は、マーカを超えて移動した同乗者について降車したと判定できる。
【0040】
また判定部131は、車両のドアが閉扉状態から開扉状態に変化したか否かを検出するとともに、閉扉状態を検出したドアから同乗者が降車したか否かを判定するものであってもよい。この場合、判定部131は撮影データから開扉状態と閉扉状態とを識別可能に設定されていてもよい。あるいはこの場合に、記録システム10は、車両900のECU(Electronic Control Unit)と通信可能に接続されており、車両900からドアの開閉に関する情報を取得してもよい。
【0041】
通信制御部132は、通信部170を介して行う外部装置との通信(外部通信)を制御する。外部通信は、記録システム10が記録システム10の外部と行う通信であって、例えば車両900を離れた運転者が所持する携帯端末との通信である。
【0042】
通信制御部132は、同乗者が降車したことを判定した場合に、同乗者の降車に関する情報(降車情報)を外部通信により運転者が所持する携帯端末に送信する。同乗者の降車に関する情報には、例えば、同乗者が降車した日時、降車した同乗者の固有情報、同乗者が降車した際の撮影データのうち少なくともいずれか1つが含まれる。なお、通信制御部132が送信する撮影データは、静止画であってもよいし、所定の長さの動画であってもよい。
【0043】
次に、制御部100に接続している各構成について説明する。記録システム10は、操作部140、表示部141、加速度センサ142、測位情報受信部143、同乗者情報記憶部144、カメラ150、記録装置160および通信部170を有している。
【0044】
操作部140は、記録システム10に対して運転者が行う操作を受け付けるユーザインタフェースである。ユーザインタフェースは、例えば操作ボタンであってもよいし、表示部141に重畳して設置されたタッチセンサであってもよい。またユーザインタフェースは、赤外線や無線通信の受信部であって、リモコン等から送信される信号を受け付けるものであってもよい。操作部140は、受け付けた操作に関する情報である操作情報を、所定のインタフェースを介して制御部100に供給する。操作情報は例えば、イベント記録開始の指示やイベント記録データの再生を行う指示等である。
【0045】
表示部141は、表示制御部126の制御により各種情報を表示する表示装置である。表示部141は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)などの表示パネルを少なくとも有している。表示部141は、表示制御部126に接続し、表示制御部126から供給される信号を表示する。表示部141は、例えば撮影データに含まれる映像を表示するように構成されている。
【0046】
加速度センサ142は、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ142は、加速度センサ142に印加された加速度を検出し、検出した加速度に応じて、検出した加速度に関する情報を出力する。加速度センサ142は、イベント検出部127に接続しており、検出した加速度に関する情報をイベント検出部127に出力する。なお、加速度センサ142は、3軸加速度センサに代えて、1軸または2軸加速度センサであってもよい。
【0047】
測位情報受信部143は、GPS(Global Positioning System)あるいはGNSS(Global Navigation Satellite System)と称される衛星測位システムにより車両の現在位置に関する情報を受信する。測位情報受信部143は、測位信号を受信するためのアンテナであってもよいし、車両が取得する位置情報を受け取るための通信インタフェースであってもよい。測位情報受信部143は、受信した現在位置に関する信号を、位置情報取得部128に供給する。
【0048】
同乗者情報記憶部144は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリまたはSSD(Solid State Drive)などの揮発性もしくは不揮発性またはこれら組み合わせにより構成されるメモリを含む記憶装置である。同乗者情報記憶部144は、同乗者検出部129が検出した同乗者に関する情報を記憶するとともに、記憶した情報を同乗者検出部129に供給できる。
【0049】
カメラ150は、対物レンズ、撮像素子およびA-D(Analog to Digital)変換素子等を有する撮像装置である。カメラ150は、移動体である車両の周囲の景色を含む映像を撮像し、撮像した映像のデータである撮影データを生成する。カメラ150は、生成した撮影データを撮影データ取得部120に供給する。
【0050】
記録装置160は、カメラ150から供給された撮影データを格納する記録装置である。記録装置160は、例えばフラッシュメモリを含むメモリカードや、SSDまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性の記録装置である。記録装置160は、記録制御部123に接続し、記録制御部123から所定のデータを受け取り、受け取ったデータを記録する。また、記録装置160は、再生制御部124の指示に応じて再生制御部124に対して記録しておいたイベント記録データを含むイベントファイルを供給する。記録装置160は記録システム10から脱着可能に構成されていてもよいし、取り外しできない構成であってもよい。
【0051】
通信部170は、運転者が所持する携帯端末等と通信可能に接続するインタフェースであり、例えばアンテナおよびアンテナを介して送信する信号の変調または復調を行う回路等により構成される。通信部170は、上述した携帯端末と直接通信を行ってもよいし基地局や中継機等を介して通信を行ってもよい。すなわち通信部170は、通信制御部132から降車情報を受け取り、受け取った降車情報を携帯端末に送信可能に構成されている。
【0052】
次に、図3を参照して記録システム10が同乗者を認識する処理について説明する。図3は、記録システム10が行う同乗者認識処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、記録システム10の制御部100の各構成が行う処理を示すものである。図3に示す処理は、例えば記録システム10が起動することにより開始する。
【0053】
まず制御部100は、車両900が移動を開始したか否かを判定する(ステップS10)。車両900が移動を開始したか否かは位置情報取得部128が取得する位置情報により検出できる。制御部100は、車両900が停車状態から移動状態に変化すると、移動を開始したと判定する。車両900が移動を開始したと判定しない場合(ステップS10:No)、制御部100は、ステップS10を繰り返す。
【0054】
車両900が移動開始したと判定した場合(ステップS10:Yes)、制御部100の撮影データ取得部120は、カメラ150が生成する撮影データの取得を開始する(ステップS11)。撮影データ取得部120が撮影データの取得を開始すると、撮影データは、バッファメモリ121に供給される。
【0055】
次に、同乗者検出部129は、取得された撮影データから同乗者を検出する(ステップS12)。さらに同乗者検出部129は、検出した同乗者に関する情報を、同乗者情報記憶部144に記憶させる(ステップS13)。
【0056】
上述の処理により、記録システム10は、移動を開始した車両900に搭乗している同乗者に関する情報を記憶する。これにより、車両900が停車した際に、同乗者が降車したことを検出するとともに、降車した同乗者をカメラ150により撮影できる。なお、上述の処理は車両900が停車状態から移動状態に変化する度に行ってもよいし、車両900のドアの開閉を検出し、閉扉状態から変化がない場合には処理を省略してもよい。なお、搭乗している同乗者に関する情報の記憶は、車両900のエンジン起動時をトリガとして実行されても良い。
【0057】
次に、図4を参照して記録システム10が降車記録を行う処理について説明する。図4は、記録システム10が行う降車記録処理を示すフローチャートである。図4は、記録システム10が行う降車の記録に関する処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、例えば、車両900が停車したことを条件として開始する。
【0058】
制御部100は、同乗者がいるか否かを判定する(ステップS20)。同乗者がいると判定しない場合(ステップS20:No)、制御部100は、処理を終了させる。一方、同乗者がいると判定する場合(ステップS20:Yes)、制御部100は、ステップS21に進む。
【0059】
ステップS21において、制御部100の運転者検出部130は、運転者が検出されているか否かを判定する(ステップS21)。運転者検出部130が運転者を検出していると判定する場合(ステップS21:Yes)、制御部100は、ステップS21を繰り返す。一方、運転者検出部130が運転者を検出していると判定しない場合(ステップS21:No)、制御部100は、ステップS22に進む。
【0060】
ステップS22において、制御部100の撮影データ取得部120は、撮影データの取得を開始する(ステップS22)。取得された撮影データはバッファメモリ121に供給され、リングバッファとして機能するバッファメモリ121において予め設定された期間を遡った時点から後のデータが蓄積される。これにより、同乗者が降車したことを検出した場合に、降車の検出より前の時点の同乗者の状況を記録できる。
【0061】
次に、制御部100の判定部131は、同乗者が降車したか否かを判定する(ステップS23)。同乗者が降車したと判定しない場合(ステップS23:No)、制御部100は、ステップS28に進む。
【0062】
ステップS28において、制御部100の運転者検出部130は、運転者が検出されているか否かを判定する(ステップS28)。一度検出されなくなった運転者が車両900に戻ってきた場合、運転者検出部130は運転者を検出していると判定する(ステップS28:Yes)。この場合、制御部100は、撮影データの取得を停止し(ステップS29)、ステップS21に戻る。一方、依然として運転者検出部130が運転者を検出していると判定しない場合(ステップS28:No)、制御部100は、ステップS23に戻る。
【0063】
なお、当然ながら、ステップS21において運転者が検出されなくなる場合の運転者検出部130の閾値と、ステップS28において運転者が再び検出されることになる場合の運転者検出部130の閾値は、同じである必要はない。すなわち、運転者検出部130が運転者の頭部の大きさを検出する場合、ステップS28において運転者が再び検出されることになる場合の運転者の頭部の大きさは、ステップS21において運転者が検出されなくなる場合の運転者の頭部の大きさより大きいのが好ましい。あるいは、運転者検出部130は、運転者が検出されなくなる場合の範囲(例えば、運転者と車両900との距離が20メートルの範囲)が、運転者が再び検出されることになる場合の範囲(例えば、運転者と車両900との距離が15メートルの範囲)よりも広くなるように設定されていることが好ましい。このように一定のヒステリシスを有することにより、記録システム10は円滑な処理を実現できる。
【0064】
ステップS23に戻る。ステップS23において、同乗者が降車したと判定部131が判定した場合(ステップS23:Yes)、判定部131は、同乗者の降車を検出したことを示す信号を記録制御部123に供給するとともに、制御部100はステップS24に進む。
【0065】
ステップS24において、制御部100は、降車記録ファイルの生成を開始する(ステップS24)。具体的には、同乗者の降車を検出したことを示す信号を受け取った記録制御部123が、撮影データ処理部122に対して降車記録ファイルの生成を指示する。
【0066】
次にステップS25において、制御部100は、通信制御部132および通信部170を介して、運転者が所持する携帯端末に対して降車情報を送信する(ステップS25)。
【0067】
次にステップS26において、制御部100は、生成している降車記録ファイルが記録装置160に記録可能か否かを判定する(ステップS26)。生成している降車記録ファイルが記録装置160の記録可能領域の容量を超えない場合には、制御部100は降車記録ファイルが記録可能でると判定する(ステップS26:Yes)。その場合、記録制御部123は、ステップS30に進む。
【0068】
ステップS30において、制御部100の運転者検出部130は、運転者が検出されているか否かを判定する(ステップS30)。運転者検出部130が運転者を検出していると判定しない場合(ステップS30:No)、制御部100は、ステップS26に戻る。一方、一度検出されなくなった運転者が車両900に戻ってきた場合、運転者検出部130は運転者を検出していると判定する(ステップS30:Yes)。この場合、制御部100は、ステップS27に進む。
【0069】
ステップS26に戻る。ステップS26において、生成している降車記録ファイルが記録装置160の記録可能領域の容量を超える可能性がある場合には、制御部100は降車記録ファイルが記録可能でると判定しない(ステップS26:No)。その場合、記録制御部123は、降車記録ファイルの生成を終了させる(ステップS27)。さらに撮影データ取得部120は、撮影データの取得を終了させると(ステップS31)、制御部100は、一連の処理を終了させる。
【0070】
以上の処理により、記録システム10は、運転者が車両900から離れている間に同乗者が降車した場合に、同乗者の状況を撮影するとともに、すみやかに降車情報を運転者に送信する。
【0071】
なお、上述の処理においてステップS22において撮影データ取得を開始し、ステップS29において撮影データ取得を停止する処理を示したが、撮影データは常時取得し続けていてもよい。
【0072】
次に、図5図8を参照して記録システム10が生成する撮影データについて説明する。図5は、記録システム10が生成する撮影データの例を示す第1の図である。図5は、撮影データと所定の時刻との関係を示している。図において、横軸は時刻を表しており、時刻t00から時刻t10に向かって矢印の方向(右方向)に時間が経過することを示している。図6図8も、図5と同様に、撮影データと所定の時刻との関係をそれぞれ示している。
【0073】
図5は、時刻t10における撮影データの状態を示している。図5において、時刻t10より過去の時刻t00は、記録システム10が運転者を検出しなくなった時刻であり、図4で示した処理のステップS22に対応する。時刻t00の後の時刻t01は、記録システム10が撮影データの取得を開始した時刻であり、図4で示した処理のステップS22に対応する。時間軸に沿って示された長尺形状は、時刻t01より後の時刻t10における撮影データC10である。撮影データC10は、カメラ150が生成した撮影データであって、バッファメモリ121に記憶されている。撮影データC10は、時刻t01から時刻t10までの期間における撮影データである。
【0074】
次に、図6について説明する。図6は、記録システム10が生成する撮影データの例を示す第2の図である。図6は、時刻t10より後の時刻t20における撮影データの状態を示している。時間軸に沿って示された長尺形状は、時刻t20における撮影データC20である。記録システム10は、予め設定された期間Pnの撮影データを常に記憶しておくように設定されている。期間Pnは、例えば60秒、120秒あるいは150秒などの期間である。時刻t20における撮影データC20は、時刻t20から期間Pnを遡った時刻t11が、撮影データの取得を開始した時刻t01よりも後の時刻となっている。そのため、時刻t20における撮影データC20は、時刻t11から時刻t20までの期間Pnにおける撮影データとなっている。
【0075】
なお、バッファメモリ121に記憶される撮影データは時刻の経過とともに、期間Pnより過去の撮影データは順次消去される。そのため、時刻t01から時刻t11までの撮影データは消去されている。
【0076】
次に、図7について説明する。図7は、記録システム10が生成する撮影ファイルの例を示す第1の図である。図7は、時刻t20より後の時刻t30における撮影データの状態を示している。時刻t30は、判定部131が同乗者の降車を判定した時刻であり、図4に示す処理のステップS23に対応している。
【0077】
時刻t30においてバッファメモリ121に記憶されている撮影データC30は、時刻t30から期間Pnを遡った時刻t21から時刻t30までのものである。
【0078】
撮影データC30の下に示されているハッチングが施された矩形は、撮影ファイルに含まれる撮影データD30である。撮影データD30は時刻t30に降車が検出されたことをトリガとして時刻t30より期間P1遡った時刻t22から後の撮影データにより生成されている。なお、期間P1はゼロであってもよい。
【0079】
次に、図8について説明する。図8は、記録システム10が生成する撮影ファイルの例を示す第2の図である。図8は、時刻t30より後の時刻t40における撮影データの状態を示している。時刻t40は、制御部100が降車記録ファイルの生成を終了した時刻であり、図4に示す処理のステップS27に対応している。
【0080】
時刻t40においてバッファメモリ121に記憶されている撮影データC40は、時刻t40から期間Pnを遡った時刻t31から時刻t40までのものである。
【0081】
撮影データC40の下に示されているハッチングが施された矩形は、撮影ファイルに含まれる撮影データD40である。撮影データD40は、図7で示した時刻t22から継続して生成されている。制御部100は、時刻t40において、撮影ファイルの生成を終了する。結果として、制御部100は、時刻t22から時刻t40までの撮影データを含む撮影ファイルを生成する。なお、上述のように生成された降車記録ファイルは、1個のまとまったファイルであってもよいし、所定のサイズごとに分割して生成されたものであってもよい。
【0082】
以上、実施の形態1について説明したが、実施の形態1にかかる記録システム10は、上述の構成に限られない。例えば、記録装置160は、車両900に搭載されておらず、通信部170を介して車両900と離れた場所に設けられていてもよい。その場合、記録制御部123は、通信制御部132および通信部170を介して撮影データを送信する。
【0083】
また、図4に示したフローチャートにおいて、ステップS22に示した撮影データ取得のトリガは、運転者を検出しなくなったことに加えて、車両900のドアが閉扉状態から開扉状態へ変化したことを条件としてもよい。この場合、記録システム10は、撮影データから開扉状態を検出してもよいし、車両900のECUから取得したドアの開閉情報から開扉状態を検出してもよい。また、開扉状態を検出したことをトリガとして撮影データの取得を開始する場合、降車記録ファイルの開始時刻は、開扉状態を検出した時刻であってもよい。
【0084】
すなわち、記録システム10において、判定部131は、車両900のドアが閉扉状態から開扉状態に変化したことを検出するとともに、開扉状態のドアから同乗者が降車したことを判定してもよい。また記録制御部123は、開扉状態を検出した時刻から降車記録ファイルが生成されることを指示してもよい。
【0085】
図4に示したフローチャートのステップS30は必須ではなく省略されてもよい。その場合、降車記録ファイルは、予め設定された期間を記録するように構成されていてもよいし、記録装置160が有する記録可能容量で記録できる期間を記録するように構成されていてもよい。またステップS27に対応する処理は、運転者が操作することにより行われてもよい。
【0086】
記録システム10は1個の製品として構成されている必要はなく、複数の製品の組み合わせにより実現されてもよい。例えば、記録システム10は、ドライブレコーダとナビゲーションシステムとが連携することにより構成されていてもよい。また記録システム10は、車両900が有する構成と連携することにより実現されてもよい。
【0087】
以上のとおり、実施の形態1によれば、停車中の車両から降車した同乗者の動向を好適に把握できる記録システム等を提供することができる。
【0088】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる記録システムは、カメラを複数有している点が、実施の形態1にかかる記録システム10と異なる。
【0089】
図9および図10を参照して、実施の形態2にかかる記録システムの構成について説明する。図9は、実施の形態2にかかる記録システム20を搭載した車両の上面図である。図10は、実施の形態2にかかる記録システム20のブロック図である。
【0090】
実施の形態2にかかる記録システム20は、全天周カメラに代えて、カメラ250を有している。カメラ250は、2つのカメラ(第1カメラ251および第2カメラ252)から構成されている。すなわち、第1カメラ251は、車両900の前方を撮影し、第2カメラは車両900の後方を撮影する。第1カメラ251および第2カメラ252は、それぞれ撮影データ取得部120に接続し、生成した撮影データを撮影データ取得部120に供給する。
【0091】
バッファメモリ121は、第1カメラ251および第2カメラ252のそれぞれから取得された撮影データを蓄積し、蓄積したそれぞれの撮影データを、撮影データ処理部122に供給する。
【0092】
撮影データ処理部122は、第1カメラ251および第2カメラ252から取得した撮影データのそれぞれに対して処理を行う。また、記録システム20にかかる撮影データ処理部122は、第1カメラ251から取得した撮影データと第2カメラ252から取得した撮影データとを合成することにより、第1カメラ251で撮影した画像および第2カメラ252で撮影した画像を所定のディスプレイで一時に視認できるよう処理してもよい。
【0093】
記録制御部123は、判定部131から受け取る信号から、降車した同乗者が、どちらのカメラから取得した撮影データに含まれるかを判断する。そして、記録制御部123は、降車記録ファイルの生成を撮影データ処理部122に指示する際に、第1カメラ251および第2カメラ252からそれぞれ取得した撮影データのうちいずれのカメラから取得した撮影データを利用するかを選択する。
【0094】
同乗者検出部129は、第1カメラ251および第2カメラ252からそれぞれ取得した撮影データに対して、実施の形態1において説明した処理と同様の処理を施すことにより、同乗者を検出する。
【0095】
判定部131は、同乗者の降車を検出する場合に、第1カメラ251および第2カメラ252のうちどちらのカメラから取得した撮影データに、降車した同乗者が含まれるかを検出する。判定部131は、ドアの開閉後に同乗者の降車を検出したことを示す信号に、どちらのカメラに降車した同乗者が含まれるかという情報を含めて記録制御部123に供給する。
【0096】
次に、図11を参照して記録システム20の処理について説明する。図11は、実施の形態2にかかる降車記録処理を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる降車記録処理は、第1カメラ251および第2カメラ252のうちいずれかのカメラを選択する処理を行う点が、実施の形態1にかかる処理と異なる。以下に、実施の形態1にかかる処理と同様の処理については説明を適宜省略しつつ、実施の形態1にかかる処理と異なる点について説明する。ステップS20からステップS22までの処理は、実施の形態1と同様である。
【0097】
ステップS23において、制御部100の判定部131は、同乗者が降車したか否かを判定する(ステップS23)。同乗者が降車したと判定しない場合(ステップS23:No)、制御部100は、ステップS28に進む。一方、同乗者が降車したと判定部131が判定した場合(ステップS23:Yes)、判定部131は、同乗者の降車を検出したことを示す信号を記録制御部123に供給するとともに、制御部100はステップS32に進む。
【0098】
ステップS32において、制御部100の記録制御部123は、第1カメラ251および第2カメラ252のうちいずれのカメラで撮影した画像を記録するかを選択する(ステップS32)。
【0099】
次に、記録制御部123は、選択したカメラにより撮影した画像を利用して降車記録ファイルの生成を開始することを撮影データ処理部122に指示する(ステップS24)。ステップS25以降の処理は、実施の形態1と同様である。
【0100】
以上、実施の形態2について説明したが、上述の記録システム20は、例えばカメラを3つ以上有していてもよい。カメラは車両900が有しているものであってもよく、その場合、記録システム20は、CAN(Controller Area Network)などの車両900の通信バスを介して撮影データを取得するものであってもよい。
【0101】
実施の形態2にかかる記録システム20は、上述の構成により、複数のカメラから適宜選択されたカメラにより降車した同乗者を撮影する。これにより、記録システム20は、記録する撮影データを効率よく生成できる。すなわち実施の形態2によれば、停車中の車両から降車した同乗者の動向を好適に且つ効率よく把握できる記録システム等を提供することができる。
【0102】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、および電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線および光ファイバ等の有線通信路、または無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0103】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
10、20 記録システム
100 制御部
110 バスライン
120 撮影データ取得部
121 バッファメモリ
122 撮影データ処理部
123 記録制御部
124 再生制御部
125 操作制御部
126 表示制御部
127 イベント検出部
128 位置情報取得部
129 同乗者検出部
130 運転者検出部
131 判定部
132 通信制御部
140 操作部
141 表示部
142 加速度センサ
143 測位情報受信部
144 同乗者情報記憶部
150、250 カメラ
160 記録装置
170 通信部
251 第1カメラ
252 第2カメラ
900 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11