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特許7354811通信装置及び端末装置のためのコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】通信装置及び端末装置のためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230926BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230926BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230926BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20230926BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230926BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20230926BHJP
   H04W 12/0431 20210101ALI20230926BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20230926BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/06
G06F3/12 336
G06F3/12 392
G06F3/12 303
H04W4/00 110
H04W12/0431
H04W12/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019219888
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021090153
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 宗久
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 弘崇
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓弥
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-14545(JP,A)
【文献】特開2017-73747(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0281643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
Bluetooth規格に従った無線通信を実行するための第1の無線インターフェースであって、前記Bluetooth規格のバージョン5以降で利用可能な拡張アドバタイジング信号と、前記Bluetooth規格の前記バージョン5未満で利用可能な拡張されていない通常アドバタイジング信号と、のどちらも送信可能である前記第1の無線インターフェースと、
Wi-Fi規格に従った無線通信を実行するための第2の無線インターフェースと、
前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続が確立されていない場合に、前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する第1のインターフェース制御部であって、
前記拡張アドバタイジング信号は、前記通信装置と端末装置との間で所定通信を実行するための所定情報を含み、
前記所定通信は、前記端末装置から接続情報を受信するための通信であり、
前記接続情報は、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続を確立するための情報である、前記第1のインターフェース制御部と、
前記拡張アドバタイジング信号が前記端末装置によって受信される場合に、前記所定情報が利用された前記所定通信を前記端末装置と実行して、前記端末装置から前記接続情報を受信する接続情報受信部と、
前記端末装置から前記接続情報が受信される場合に、前記接続情報を利用して、前記第2の無線インターフェースを介して、前記アクセスポイントとの前記無線接続を確立する接続確立部と、
前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されている場合に、前記通常アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する第2のインターフェース制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、さらに、
画像処理実行部と、
前記通常アドバタイジング信号が前記端末装置によって受信される場合に、前記無線接続を利用して、前記アクセスポイント及び前記第2の無線インターフェースを介して、前記端末装置から画像処理実行指示を受信する指示受信部と、
前記端末装置から前記画像処理実行指示が受信される場合に、画像処理を前記画像処理実行部に実行させる画像処理制御部と、
を備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記画像処理実行部は、印刷実行部であり、
前記画像処理実行指示は、印刷対象の画像を表わす画像ファイルを含み、
前記画像処理は、前記画像の印刷を含む、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通常アドバタイジング信号は、前記端末装置が前記端末装置と前記通信装置との間の距離を算出するための情報を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通常アドバタイジング信号は、前記通信装置のIPアドレスを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置は、さらに、
前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されていない場合に、前記通常アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する第3のインターフェース制御部と、
前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されていない状態で、前記通常アドバタイジング信号が前記端末装置によって受信され、かつ、前記第1の無線インターフェースを介して前記端末装置から所定指示が受信されない場合に、前記第1の無線インターフェースを介して、前記端末装置との無線リンクを確立するリンク確立部であって、前記所定指示は、前記通常アドバタイジング信号に代えて前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記通信装置に要求するための指示である、前記リンク確立部と、
前記端末装置との前記無線リンクが確立される場合に、前記無線リンクを利用して、前記第1の無線インターフェースを介して、前記所定情報を前記端末装置に送信する所定情報送信部と、を備え、
前記第1のインターフェース制御部は、前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されていない状態で、前記通常アドバタイジング信号が前記端末装置によって受信され、かつ、前記第1の無線インターフェースを介して前記端末装置から前記所定指示が受信される場合に、前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は、さらに、
メモリと、
前記端末装置から前記接続情報が受信される場合に、前記接続情報を前記メモリに記憶させる記憶制御部を備え、
前記第1のインターフェース制御部は、前記接続情報が前記メモリに記憶されていない場合に、前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御し、
前記第2のインターフェース制御部は、前記接続情報が前記メモリに記憶されている場合に、前記通常アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置は、
Bluetooth規格に従った無線通信を実行するための第1の無線インターフェースと、
Wi-Fi規格に従った無線通信を実行するための第2の無線インターフェースと、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、
前記第1の無線インターフェースを介して、通信装置から、前記Bluetooth規格のバージョン5以降で利用可能な拡張アドバタイジング信号を受信する第1のアドバタイジング信号受信部であって、
前記拡張アドバタイジング信号は、前記通信装置と前記端末装置との間で所定通信を実行するための所定情報を含み、
前記所定通信は、接続情報を前記通信装置に送信するための通信であり、
前記接続情報は、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を確立するための情報である、前記第1のアドバタイジング信号受信部と、
前記通信装置から前記拡張アドバタイジング信号が受信される場合に、前記所定情報が利用された前記所定通信を前記通信装置と実行して、前記接続情報を前記通信装置に送信する接続情報送信部と、
前記通信装置が前記接続情報を利用して前記アクセスポイントとの前記無線接続を確立した後に、前記第1の無線インターフェースを介して、前記通信装置から、前記Bluetooth規格の前記バージョン5未満で利用可能な拡張されていない通常アドバタイジング信号を受信する第2のアドバタイジング信号受信部と、
前記通信装置から前記通常アドバタイジング信号が受信される場合に、前記第2の無線インターフェース及び前記アクセスポイントを介して、画像処理実行指示を前記通信装置に送信する実行指示送信部であって、前記画像処理実行指示は、画像処理を前記通信装置に実行させるための指示である、前記実行指示送信部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、
前記通信装置から前記通常アドバタイジング信号が受信される場合に、前記通常アドバタイジング信号に含まれる情報を利用して、前記端末装置と前記通信装置との間の距離を算出する算出部と、
算出済みの前記距離に関する情報を示す特定画面を前記端末装置の表示部に表示させる表示制御部と、
として機能させる、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記第2のアドバタイジング信号受信部は、前記第1の無線インターフェースを介して、前記通信装置を含む複数個の装置のそれぞれから前記通常アドバタイジング信号を受信し、
前記算出部は、前記複数個の装置のそれぞれから前記通常アドバタイジング信号が受信される場合に、前記複数個の装置のそれぞれについて、当該装置から受信された前記通常アドバタイジング信号に含まれる情報を利用して、前記端末装置と当該装置との間の距離を算出し、
前記表示制御部は、前記複数個の装置に対応する複数個の算出済みの前記距離に従って、前記複数個の装置を識別する複数個の識別情報がソートされている前記特定画面を前記表示部に表示させ、
前記実行指示送信部は、前記特定画面において、前記複数個の識別情報の中から前記通信装置を識別する識別情報が選択される場合に、前記画像処理実行指示を前記通信装置に送信する、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記通常アドバタイジング信号は、前記通信装置のIPアドレスを含み、
前記実行指示送信部は、前記通常アドバタイジング信号に含まれる前記IPアドレスを送信先IPアドレスとして含む前記画像処理実行指示を前記通信装置に送信する、請求項8から10のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、
前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されていない場合に、前記第1の無線インターフェースを介して、前記通信装置から前記通常アドバタイジング信号を受信する第3のアドバタイジング信号受信部と、
前記通信装置から前記通常アドバタイジング信号が受信される場合に、前記第1の無線インターフェースを介して、所定指示を前記通信装置に送信する所定指示送信部であって、前記所定指示は、前記通常アドバタイジング信号に代えて前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記通信装置に要求するための指示である、前記所定指示送信部と、を備え、
前記第1のアドバタイジング信号受信部は、前記所定指示が前記通信装置に送信される場合に、前記第1の無線インターフェースを介して、前記通信装置から前記拡張アドバタイジング信号を受信する、請求項8から11のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、Bluetooth(登録商標)規格に従った無線通信によって端末装置から通信装置に接続情報が送信され、通信装置が当該接続情報を利用してアクセスポイントとの無線接続を確立する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、DPP(Device Provisioning Protocolの略)方式に従って、或る装置とアクセスポイントとの間にWi-Fi接続を確立させるための技術が開示されている。この文献には、Bluetooth規格に従った無線通信を利用して、当該或る装置の公開鍵を外部に送信することが開示されている。特に、Bluetooth規格のバージョン5で利用可能な拡張アドバタイジング信号を利用して、公開鍵を外部に送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「Device Provisioning Protocol Specification Version 1.1」 Wi-Fi Alliance, 2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、アドバタイジング信号を受信する装置が、アドバタイジング信号の種類に応じた適切な処理を実行し得る技術を提供する。
【0005】
本明細書によって開示される通信装置は、Bluetooth規格に従った無線通信を実行するための第1の無線インターフェースであって、前記Bluetooth規格のバージョン5以降で利用可能な拡張アドバタイジング信号と、前記Bluetooth規格の前記バージョン5未満で利用可能な拡張されていない通常アドバタイジング信号と、のどちらも送信可能である前記第1の無線インターフェースと、Wi-Fi規格に従った無線通信を実行するための第2の無線インターフェースと、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続が確立されていない場合に、前記拡張アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する第1のインターフェース制御部であって、前記拡張アドバタイジング信号は、前記通信装置と端末装置との間で所定通信を実行するための所定情報を含み、前記所定通信は、前記端末装置から接続情報を受信するための通信であり、前記接続情報は、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続を確立するための情報である、前記第1のインターフェース制御部と、前記拡張アドバタイジング信号が前記端末装置によって受信される場合に、前記所定情報が利用された前記所定通信を前記端末装置と実行して、前記端末装置から前記接続情報を受信する接続情報受信部と、前記端末装置から前記接続情報が受信される場合に、前記接続情報を利用して、前記第2の無線インターフェースを介して、前記アクセスポイントとの前記無線接続を確立する接続確立部と、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記無線接続が確立されている場合に、前記通常アドバタイジング信号を送信するように前記第1の無線インターフェースを制御する第2のインターフェース制御部と、を備えていてもよい。
【0006】
上記の構成によると、通信装置は、アクセスポイントとの無線接続が確立されていない場合に、所定情報を含む拡張アドバタイジング信号を送信する。このために、通信装置は、拡張アドバタイジング信号を受信した端末装置から接続情報を受信し、アクセスポイントとの無線接続を確立することができる。一方、通信装置は、アクセスポイントとの無線接続が確立されている場合に、通常アドバタイジング信号を送信する。このために、通信装置とは異なる装置(例えば上記の端末装置)は、通常アドバタイジング信号を利用することができる。このように、上記の構成によると、アドバタイジング信号を受信する装置(例えば上記の端末装置)は、アドバタイジング信号の種類(即ち拡張アドバタイジング信号又は通常アドバタイジング信号)に応じた適切な処理を実行し得る。
【0007】
本明細書では、端末装置のためのコンピュータプログラムも開示する。前記端末装置は、Bluetooth規格に従った無線通信を実行するための第1の無線インターフェースと、Wi-Fi規格に従った無線通信を実行するための第2の無線インターフェースと、コンピュータと、を備えていてもよい。前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、前記第1の無線インターフェースを介して、通信装置から、前記Bluetooth規格のバージョン5以降で利用可能な拡張アドバタイジング信号を受信する第1のアドバタイジング信号受信部であって、前記拡張アドバタイジング信号は、前記通信装置と前記端末装置との間で所定通信を実行するための所定情報を含み、前記所定通信は、接続情報を前記通信装置に送信するための通信であり、前記接続情報は、前記第2の無線インターフェースを介して、前記通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を確立するための情報である、前記第1のアドバタイジング信号受信部と、前記通信装置から前記拡張アドバタイジング信号が受信される場合に、前記所定情報が利用された前記所定通信を前記通信装置と実行して、前記接続情報を前記通信装置に送信する接続情報送信部と、前記通信装置が前記接続情報を利用して前記アクセスポイントとの前記無線接続を確立した後に、前記第1の無線インターフェースを介して、前記通信装置から、前記Bluetooth規格の前記バージョン5未満で利用可能な拡張されていない通常アドバタイジング信号を受信する第2のアドバタイジング信号受信部と、前記通信装置から前記通常アドバタイジング信号が受信される場合に、前記第2の無線インターフェース及び前記アクセスポイントを介して、画像処理実行指示を前記通信装置に送信する実行指示送信部であって、前記画像処理実行指示は、画像処理を前記通信装置に実行させるための指示である、前記実行指示送信部と、として機能させてもよい。
【0008】
上記の構成によると、端末装置は、通信装置から所定情報を含む拡張アドバタイジング信号を受信する場合に、接続情報を通信装置に送信する。このために、通信装置は、接続情報を利用して、アクセスポイントとの無線接続を確立することができる。その後、端末装置は、通信装置から通常アドバタイジング信号を受信する場合に、アクセスポイントを介して、画像処理実行指示を通信装置に送信する。このように、上記の構成によると、アドバタイジング信号を受信する端末装置は、アドバタイジング信号の種類(即ち拡張アドバタイジング信号又は通常アドバタイジング信号)に応じた適切な処理を実行し得る。
【0009】
上記の通信装置を実現するためのコンピュータプログラム、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体、及び、上記の通信装置によって実行される方法も新規で有用である。上記の端末装置のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体、上記の端末装置そのもの、及び、上記の端末装置によって実行される方法も新規で有用である。また、上記の通信装置と上記の端末装置とを備えるシステムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムの構成を示す。
図2】第1実施例のシーケンス図を示す。
図3図2の続きを示す。
図4】第2実施例のケースA及びケースBのシーケンス図を示す。
図5】第3実施例のケースCのシーケンス図を示す。
図6】第3実施例のケースDのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
(通信システム2の構成:図1
図1に示されるように、通信システム2は、複数個のプリンタ10,50と携帯端末100とを備える。プリンタ50及び携帯端末100のそれぞれは、Wi-Fi規格に従った無線接続(以下では「Wi-Fi接続」と記載する)をアクセスポイント200と確立している。即ち、プリンタ50及び携帯端末100は、アクセスポイント200によって形成される同じ無線ネットワークに所属している。以下では、携帯端末、アクセスポイントのことを、それぞれ、「端末」、「AP」と簡単に記載する。
【0012】
本実施例では、まず、プリンタ10と携帯端末100との間でBlueTooth(登録商標)規格に従った無線通信が実行され、AP200とのWi-Fi接続を確立するための接続情報が端末100からプリンタ10に送信される。その後、プリンタ10とAP200との間でWi-Fi接続が確立される。
【0013】
(プリンタ10,50の構成)
各プリンタ10,50は、印刷機能を実行可能な周辺装置(例えば端末100の周辺装置)である。プリンタ10のモデル名は「M1」であり、プリンタ50のモデル名は「M1」とは異なる「M2」である。プリンタ10は、表示部12と、印刷実行部14と、BT(BlueToothの略)インターフェース16と、Wi-Fiインターフェース18と、制御部30と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0014】
表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部12は、ユーザから指示を受け付けるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。印刷実行部14は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備える。
【0015】
BTI/F16は、BT規格に従った無線通信を実行するためのI/Fである。BT規格は、例えば、IEEE802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格に基づく無線通信方式である。BTI/F16は、BT規格のバージョン5以降で定義されているI/Fである。BT規格のバージョン5以降では、拡張アドバタイジング信号(いわゆるAdvertising Extensions)が採用されている。BTI/F16は、BT規格のバージョン5.0以降で利用可能な拡張アドバタイジング信号と、BT規格のバージョン5未満で利用可能な拡張されていない通常アドバタイジング信号と、のどちらも送信可能である。拡張アドバタイジング信号に含めることが可能なデータのサイズは、通常アドバタイジング信号に含めることが可能なデータのサイズよりも大きい。このために、BTI/F16は、拡張アドバタイジング信号を利用して、比較的に大きいサイズのデータ(例えば後述の公開鍵300)を送信することができる。以下では、アドバタイジング信号のことを「AD信号」と記載する。
【0016】
Wi-FiI/F14は、Wi-Fi規格に従った無線通信を実行するための無線インターフェースである。Wi-Fi規格は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n,11ac等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。Wi-FiI/F14は、特に、Wi-Fi Allianceによって策定されたDPP(Device Provisioning Protocolの略)方式をサポートしている。DPP方式は、Wi-Fi Allianceによって作成された規格書「Device Provisioning Protocol Specification Version 1.1」に記述されている無線通信方式である。
【0017】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0018】
プリンタ50のハードウェア構成(図示省略)は、プリンタ10と同様である。即ち、プリンタ50は、BT規格のバージョン5以降で定義されているBTI/Fと、DPP方式をサポートしているWi-FiI/Fと、を備える。
【0019】
(端末100の構成)
端末100は、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、タブレットPC等の可搬型の端末装置である。端末100は、表示部112と、BTI/F116と、Wi-FiI/F118と、制御部130と、を備える。
【0020】
表示部112は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部112は、ユーザから指示を受け付けるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。BTI/F116は、プリンタ10のBTI/F16と同様である。即ち、BTI/F116は、BT規格のバージョン5以降で定義されているI/Fであり、拡張AD信号及び通常AD信号のどちらも解釈可能である。Wi-FiI/F118は、プリンタ10のWi-FiI/F18と同様である。即ち、Wi-FiI/F118は、DPP方式をサポートしている。
【0021】
制御部130は、CPU132とメモリ134とを備える。CPU132は、メモリ134に格納されているプログラム136,138に従って、様々な処理を実行する。メモリ134は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成され、OS(Operating Systemの略)プログラム136(以下では単に「OS136」と記載する)とプリントアプリケーション138(以下では単に「アプリ138」と記載する)とを記憶する。
【0022】
OS136は、端末100の基本的な動作を制御するためのプログラムであり、例えば、iOS(登録商標)、アンドロイド(登録商標)等である。アプリ138は、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続を確立させたり、プリンタ10に印刷を実行させたりするためのプログラムである。アプリ138は、例えば、プリンタ10のベンダによって提供されるインターネット上のサーバから端末100にインストールされてもよいし、プリンタ10と共に出荷されるメディアから端末100にインストールされてもよい。
【0023】
(各デバイス10,50,100によって実行される処理:図2
続いて、図2及び図3を参照して、各デバイス10等によって実行される具体的な処理を説明する。以下では、端末100のCPU132がOS136又はアプリ138に従って実行する処理を説明する際に、OS136又はアプリ138を主体として説明する。図2及び図3では、各デバイス10等の間のBT規格に従った通信、Wi-Fi規格に従った通信を、それぞれ、実線、破線で示す。この点は、第2及び第3実施例の図4図6でも同様である。
【0024】
T100では、プリンタ10の電源がユーザによってONされる。この状態では、プリンタ10は、AP200とのWi-Fi接続を確立していない。この場合、プリンタ10のCPU32は、拡張AD信号の送信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、T102において、拡張AD信号を繰り返し送信する。拡張AD信号は、プリンタ10のモデル名M1と、プリンタ10の公開鍵300と、を含む。公開鍵300は、DPP方式の信号であるAuthentication Requestの送信に利用される情報である。
【0025】
T110では、端末100のアプリ138を起動する操作がユーザによって実行され、T112では、プリンタ10とAP200との間のWi-Fi接続を確立するためのWi-Fi接続操作がユーザによって実行される。この場合、T120では、アプリ138は、AD信号の受信を指示するための受信指示をOS136に供給する。
【0026】
OS136は、アプリ138から受信指示を取得すると(T120)、BTI/F116を起動し、T122において、BTI/F116を介して、プリンタ10から拡張AD信号を受信する。そして、OS136は、T124において、拡張AD信号に含まれるモデル名M1及び公開鍵300をアプリ138に供給する。
【0027】
アプリ138は、OS136からモデル名M1及び公開鍵300を取得すると(T124)、T130において、接続確認画面を表示部112に表示する。接続確認画面は、取得済みのモデル名M1を有するプリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続を確立させるのか否かをユーザに問い合わせるメッセージと、YESボタンと、Cancelボタンと、を含む。
【0028】
T132では、接続確認画面内のYESボタンがユーザによって選択される。この場合、アプリ138は、T140において、DPP方式に従った無線通信の実行を指示するためのDPP指示をOS136に供給する。DPP指示は、T124で取得済みの公開鍵300を含む。
【0029】
OS136は、アプリ138からDPP指示を取得すると(T140)、T142において、DPP方式のAuthentication(以下では「Auth」と記載する)をプリンタ10と実行する。具体的には、OS136は、まず、公開鍵300と端末100の秘密鍵とを利用して共有鍵を生成し、当該共有鍵を利用して暗号化データを生成する。そして、OS136は、Wi-FiI/F118を介して、当該暗号化データと端末100の公開鍵とを含むAuth Requestをプリンタ10に送信する。当該Requestは、認証の実行をプリンタ10に要求する信号である。
【0030】
CPU32は、Wi-FiI/F18を介して、端末100から当該Requestを受信すると、当該Requestに含まれる暗号化データの認証を実行する。CPU32は、認証が成功すると、Wi-FiI/F18を介して、成功を示すAuth Responseを端末100に送信する。以下では、Request、Responseのことを、それぞれ、「Req」、「Res」と記載する。
【0031】
CPU32は、Auth Resを端末100に送信すると(T142)、T144において、DPP方式のConfiguration(以下では「Config」と記載する)を端末100と実行する。具体的には、CPU32は、Wi-FiI/F18を介して、Config Reqを端末100に送信する。当該Reqは、プリンタ用Config Objectの送信をプリンタ10に要求する信号である。当該Objectは、プリンタ10がAP200とのWi-Fi接続を確立するために必要な接続情報であり、プリンタ用Signed-Connector等を含む。以下では、Config Object、Signed-Connectorのことを、それぞれ、「CO」、「SC」と記載する。
【0032】
OS136は、Wi-FiI/F118を介して、プリンタ10からConfig Reqを受信すると、プリンタ用SCを含むプリンタ用COを生成する。次いで、OS136は、Wi-FiI/F118を介して、プリンタ用COを含むConfig Resをプリンタ10に送信する。
【0033】
CPU32は、Wi-FiI/F18を介して、端末100からConfig Resを受信すると(T144)、T146において、プリンタ用COをメモリ34に記憶する。
【0034】
次いで、CPU32は、T148において、DPP方式のNetwork AccessをAP200と実行する。具体的には、CPU32は、まず、T146で記憶済みのプリンタ用COに含まれるプリンタ用SCを取得する。そして、CPU32は、Wi-FiI/F18を介して、プリンタ用SCを含むDPP Peer Discovery ReqをAP200に送信する。当該Reqは、認証の実行をAP200に要求する信号である。以下では、DPP Peer Discoveryのことを、単に「Discovery」と記載する。
【0035】
AP200は、プリンタ10からDiscovery Reqを受信すると、当該Reqに含まれるプリンタ用SCを利用して認証を実行する。AP200は、認証が成功すると、接続キーを生成すると共に、AP用SCを含むDiscovery Resをプリンタ10に送信する。
【0036】
CPU32は、Wi-FiI/F18を介して、AP200からDiscovery Resを受信すると、当該Resに含まれるAP用SCを利用して認証を実行する。CPU32は、認証が成功すると、接続キーを生成する。ここで生成される接続キーは、AP200によって生成される接続キーと同じものである。これにより、プリンタ10及びAP200の間で接続キーが共有される。
【0037】
CPU32は、接続キーを利用して、Wi-FiI/F18を介して、4way-handshakeの通信をAP200と実行する。この結果、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続が確立される。
【0038】
CPU32は、プリンタ用COをメモリ34に記憶すると(T146)、換言すると、AP200とのWi-Fi接続を確立すると(T148)、通常AD信号の送信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、T150において、通常AD信号を繰り返し送信する。通常AD信号は、電波強度情報E1と、プリンタ10のIPアドレスIP1と、を含む。電波強度情報E1は、通常AD信号の送信時における搬送波の電波強度である送信電波強度を示す情報である。より詳細には、送信電波強度は、通常AD信号の送信元であるプリンタ10から1m離れた地点で測定される搬送波の受信電波強度に等しい。BTI/F16は、予め決められている送信電波強度を示す電波強度情報E1を含む通常AD信号を送信する。
【0039】
上述したように、プリンタ10は、プリンタ用COがメモリ34に記憶されていない場合には、拡張AD信号を送信し(T102)、プリンタ用COがメモリ34に記憶されている場合(T146)には、通常AD信号を送信する(T150)。図示省略しているが、プリンタ10は、プリンタ用COがメモリ34に記憶された後に、プリンタ用COがメモリ34から消去される場合には、拡張AD信号を再び送信する。このように、プリンタ10は、プリンタ用COを記憶しているのか否かに応じて、即ち、AP200とのWi-Fi接続を確立しているのか否かに応じて、適切なAD信号を送信することができる。
【0040】
図2の続きの処理:図3
続いて、図3を参照して、図2の続きの処理を説明する。図2の処理において、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続が確立されると(T148)、各プリンタ10,50及び端末100がAP200によって形成される同じ無線ネットワークに所属する状態になる。この状態では、プリンタ10は、通常AD信号を繰り返し送信する(図2のT150)。また、プリンタ50も、通常AD信号を繰り返し送信する。当該AD信号は、送信電波強度を示す電波強度情報E2と、プリンタ50のIPアドレスIP2と、を含む。
【0041】
T210では、印刷対象の画像を表わす画像ファイルを選択するためのファイル選択操作がユーザによって実行される。ここで選択される画像ファイルは、端末100のメモリ134に記憶されているファイルであってもよいし、インターネットを介して取得されるファイルであってもよい。この場合、T220では、アプリ138は、プリンタ10,50の検索を指示するための検索指示をOS136に供給する。
【0042】
OS136は、アプリ138から検索指示を取得すると(T220)、T222において、Wi-Fi接続を利用して(即ちWi-FiI/F118を介して)、検索信号をブロードキャストによってAP200に送信する。この結果、検索信号が各プリンタ10,50によって受信される。
【0043】
プリンタ10のCPU32は、Wi-Fi接続を利用して(即ちWi-FiI/F18を介して)、端末100から検索信号を受信すると(T222)、T224Aにおいて、Wi-Fi接続を利用して、プリンタ10のモデル名M1と、プリンタ10のIPアドレスIP1と、を含む応答信号を端末100に送信する。同様に、プリンタ50は、T224Bにおいて、Wi-Fi接続を利用して、プリンタ50のモデル名M2と、プリンタ50のIPアドレスIP2と、を含む応答信号を端末100に送信する。
【0044】
OS136は、Wi-Fi接続を利用して、各プリンタ10,50から各応答信号を受信すると(T224A,T224B)、T226において、各応答信号に含まれる各情報(即ち、モデル名M1とIPアドレスIP1のセット、及び、モデル名M2とIPアドレスIP2のセット)をアプリ138に供給する。
【0045】
アプリ138は、OS136から各情報を取得すると(T226)、T230において、AD信号の受信を指示するための受信指示をOS136に供給する。
【0046】
OS136は、アプリ138から受信指示を取得すると(T230)、BTI/F116を起動し、T232Aにおいて、BTI/F116を介して、プリンタ10から通常AD信号を受信し、T232Bにおいて、BTI/F116を介して、プリンタ50から通常AD信号を受信する。この場合、OS136は、T234において、各通常AD信号に含まれる各情報(即ち、電波強度情報E1及びIPアドレスIP1のセット、並びに、電波強度情報E2及びIPアドレスIP2のセット)をアプリ138に供給する。
【0047】
アプリ138は、OS136から各情報を取得すると(T234)、T240において、プリンタ10から受信された電波強度情報E1を利用して、プリンタ10と端末100との間の距離を算出すると共に、プリンタ50から受信された電波強度情報E2を利用して、プリンタ50と端末100との間の距離を算出する。具体的には、アプリ138は、まず、電波強度情報E1から送信電波強度を特定する。次いで、アプリ138は、BTI/F116から、プリンタ10からの通常AD信号の受信時における搬送波の電波強度である受信電波強度を取得する。そして、アプリ138は、特定済みの送信電波強度と取得済みの受信電波強度とをT240に示される数式に代入して、プリンタ10と端末100との間の距離を算出する。同様に、アプリ138は、プリンタ50と端末100との間の距離を算出する。
【0048】
アプリ138は、T250において、T226で取得済みの各情報と、T240で算出済みの各距離と、を利用して、プリンタ選択画面を表示する。プリンタ選択画面は、印刷を実行すべきプリンタを選択することをユーザに促すメッセージと、T226で取得済みの各情報に含まれる各モデル名M1,M2と、を含む。ここで、アプリ138は、プリンタ10との距離がプリンタ50との距離よりも小さい場合には、プリンタ10のモデル名M1がプリンタ50のモデル名M2よりも上方に配置されるように、各モデル名M1,M2をソートして表示する(図3のT250のプリンタ選択画面参照)。一方、アプリ138は、プリンタ10との距離がプリンタ50との距離よりも大きい場合には、プリンタ10のモデル名M1がプリンタ50のモデル名M2よりも下方に配置されるように、各モデル名M1,M2をソートして表示する。このように、端末100との距離が近いプリンタが優先的に(即ち上方に)表示されるので、ユーザは、端末100との距離が近いプリンタを知ることができ、当該プリンタを選択することができる。
【0049】
上述したように、T232A及びT232Bの各通常AD信号は、IPアドレスIP1,IP2を含む。このために、アプリ138は、例えば、T232Aの通常AD信号に含まれる電波強度情報E1から算出される距離と、当該通常AD信号に含まれるIPアドレスIP1と、を対応付けることができる。また、アプリ138は、モデル名M1及びIPアドレスIP1のセットを取得済みである(T226)。このために、アプリ138は、IPアドレスIP1に対応付けられている距離が、モデル名M1を有するプリンタ10との距離であることを特定することができる。同様に、アプリ138は、IPアドレスIP2に対応付けられている距離が、モデル名M2を有するプリンタ50との距離であることを特定することができる。このように、アプリ138は、IPアドレスを介して、モデル名と距離とを対応付けることができる。なお、変形例では、通常AD信号は、IPアドレスに代えて、プリンタを識別する他の識別情報(例えばプリンタのシリアル番号等)を含んでいてもよい。この場合、T224A及びT224Bの各応答信号は、当該識別情報をさらに含んでいてもよい。本変形例では、アプリ138は、当該識別情報を介して、モデル名と距離とを対応付けることができる。
【0050】
T252では、プリンタ選択画面において、プリンタ10のモデル名M1がユーザによって選択される。この場合、アプリ138は、T260において、画像ファイルの送信を指示するための印刷指示をOS136に供給する。印刷指示は、T226及びT234で取得済みのプリンタ10のIPアドレスIP1と、T210で選択済みの画像ファイルのファイル名と、を含む。
【0051】
OS136は、アプリ138から印刷指示を取得すると、T262において、Wi-Fi接続を利用して、送信先としてのIPアドレスIP1と、選択済みの画像ファイルと、を含む印刷指示をプリンタ10に送信する。
【0052】
CPU32は、端末100から印刷指示を受信すると(T262)、T270において、当該画像ファイルによって表わされる画像の印刷を印刷実行部14に指示する。この結果、印刷実行部14は、当該画像の印刷を実行する。
【0053】
(本実施例の効果)
本実施例によると、プリンタ10は、AP200とのWi-Fi接続が確立されていない場合に、公開鍵300を含む拡張AD信号を送信する(図2のT102)。このために、プリンタ10は、拡張AD信号を受信した端末100からプリンタ用COを受信し(T144)、AP200とのWi-Fi接続を確立することができる(T148)。一方、プリンタ10は、AP200とのWi-Fi接続が確立されている場合に、通常AD信号を送信する(T150)。このために、端末100は、通常AD信号を利用することができる(図3のT240~T262)。具体的には、端末100は、各プリンタ10,50との距離に従ってソートされたプリンタ選択画面を表示し(T240,T250)、プリンタ選択画面においてプリンタ10のモデル名M1が選択される場合(T252)に、印刷指示をプリンタ10に送信する(T260,T262)。この結果、プリンタ10は、画像の印刷を実行することができる(T270)。このように、本実施例によると、AD信号を受信する端末100は、AD信号の種類(即ち拡張AD信号又は通常AD信号)に応じた適切な処理を実行することができる。
【0054】
(対応関係)
プリンタ10、端末100が、それぞれ、「通信装置」、「端末装置」の一例である。印刷実行部14、BTI/F16、Wi-FiI/F18が、それぞれ、「通信装置」の「画像処理実行部」、「第1の無線インターフェース」、「第2の無線インターフェース」の一例である。BTI/F116、Wi-FiI/F118が、それぞれ、「端末装置」の「第1の無線インターフェース」、「第2の無線インターフェース」の一例である。公開鍵300、プリンタ用COが、それぞれ、「所定情報」、「接続情報」の一例である。図2のT142及びT144の通信が、「所定通信」の一例である。図3のT262の印刷指示が、「画像処理実行指示」の一例である。電波強度情報E1が、「距離を算出するための情報」の一例である。T250のプリンタ選択画面が、「特定画面」の一例である。モデル名M1,M2が、「複数個の識別情報」の一例である。
【0055】
「通信装置」に関する対応関係は以下のとおりである。図2のT102の処理、T144の処理、T146の処理、T148の処理、T150の処理が、それぞれ、「第1のインターフェース制御部」、「接続情報受信部」、「記憶制御部」、「接続確立部」、「第2のインターフェース制御部」によって実行される処理の一例である。図3のT262の処理、T270の処理が、それぞれ、「指示受信部」、「画像処理制御部」によって実行される処理の一例である。
【0056】
「端末装置」に関する対応関係は以下のとおりである。図2のT120に起因するT122の処理が、「第1のアドバタイジング信号受信部」によって実行される処理の一例である。T140に起因するT144の処理が、「接続情報送信部」によって実行される処理の一例である。図3のT230に起因するT232Aの処理が、「第2のアドバタイジング信号受信部」によって実行される処理の一例である。T240の処理、T250の処理が、それぞれ、「算出部」、「表示制御部」によって実行される処理の一例である。
【0057】
(第2実施例)
第2実施例では、図1に示されるように、AP200及びAP250は、有線によって接続されていり、互いに通信可能である。また、端末100とは異なる端末150は、AP250とのWi-Fi接続を確立している。端末150のハードウェア構成(図示省略)は、端末100と同様である。
【0058】
本実施例では、図2と同様の処理が実行され、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続が確立される。その後、図4の処理が実行される。第1実施例とは異なり、端末100は、各プリンタ10,50との距離を算出せず、プリンタ選択画面(図3のT250参照)を表示しない。以下では、端末100を利用してプリンタ10に印刷を実行させるケースAと、端末150を利用してプリンタ10に印刷を実行させるケースBと、を説明する。
【0059】
(第2実施例の処理:図4
(ケースA)
アプリ138は、T310において、ファイル選択操作が実行されると、T330において、AD信号の受信を指示するための受信指示をOS136に供給する。
【0060】
OS136は、アプリ138から受信指示を取得すると(T330)、T332において、BTI/F116を介して、プリンタ10から通常AD信号を受信する。通常AD信号は、第1実施例とは異なり、モデル名M1をさらに含む。また、本実施例では、通常AD信号は、電波強度情報E1を含んでいなくてもよい。そして、OS136は、T334において、通常AD信号に含まれるモデル名M1及びIPアドレスIP1をアプリ138に供給する。
【0061】
アプリ138は、OS136から各情報を取得すると(T334)、T350において、取得済みの各情報を利用して、印刷確認画面を表示する。印刷確認画面は、モデル名M1を有するプリンタ10が見つかったことを示すメッセージと、プリンタ10に印刷を実行させるのか否かをユーザに問い合わせるメッセージと、YESボタンと、キャンセルボタンと、を含む。T352では、印刷確認画面内のYESボタンがユーザによって選択される。この場合、アプリ138は、T360において、印刷指示をOS136に供給する。印刷指示は、T334で取得済みのプリンタ10のIPアドレスIP1と、T310で選択済みの画像ファイルのファイル名と、を含む。T362及びT370は、図3のT262及びT270と同様である。
【0062】
上述したように、通常AD信号は、プリンタ10のIPアドレスIP1を含む。このために、端末100は、通常AD信号に含まれるIPアドレスIP1を送信先IPアドレスとして含む印刷指示をプリンタ10に送信することができる(T360,T362)。このために、端末100は、プリンタ10に印刷を適切に実行させることができる。
【0063】
(ケースB)
ケースBでは、端末150は、T310~T360と同様の処理を実行する。この結果、端末150は、T382において、IPアドレスIP1を送信先IPアドレスとして含む印刷指示を送信することができる。当該印刷指示は、まず、端末150とのWi-Fi接続を確立しているAP250に送信される。
【0064】
AP250は、印刷指示に含まれるIPアドレスIP1が、AP250自身によって形成されている無線ネットワークで利用されているIPアドレスでないと判断し、印刷指示をAP200に送信する。AP200は、印刷指示に含まれるIPアドレスIP1が、AP200自身によって形成されている無線ネットワークで利用されているIPアドレスである(即ちプリンタ10のIPアドレスである)と判断し、印刷指示をプリンタ10に送信する。このために、T390において、プリンタ10によって印刷が実行される。
【0065】
上述したように、プリンタ10がAP200とのWi-Fi接続を確立しており、端末150がAP250とのWi-Fi接続を確立している。即ち、プリンタ10及び端末150は、異なる無線ネットワークに所属している。本実施例では、このような状況においても、端末150は、プリンタ10から受信される通常AD信号に含まれるIPアドレスIP1を送信先として印刷指示を送信することによって(T382)、プリンタ10に印刷を適切に実行させることができる。
【0066】
(第3実施例)
本実施例では、プリンタ10が、AP200とのWi-Fi接続を確立していない状態において、通常AD信号又は拡張AD信号を選択的に送信する点が第1実施例とは異なる。また、図1に示されるように、本実施例では、端末150とAP200との間にWi-Fi接続が確立されている。ここで、端末150は、BT規格のバージョン4.2で定義されているBTI/Fを備える。従って、端末150は、通常AD信号を解釈可能であるが、拡張AD信号を解釈不可能である。
【0067】
(第3実施例のケースCの処理:図5
図5のケースCでは、端末100を利用してプリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続を確立させる。プリンタ10のCPU32は、T400において、電源がONされると、通常AD信号の送信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、T402において、通常AD信号を繰り返し送信する。通常AD信号は、プリンタ10のモデル名M1を含むが、公開鍵300を含まない。この状態では、プリンタ10がAP200とのWi-Fi接続を確立していないので、当該通常AD信号は、IPアドレスIP1も含まない。
【0068】
T410~T432は、拡張AD信号に代えて通常AD信号が利用される点と、公開鍵300が利用されない点と、を除いて、図2のT110~T132と同様である。T440では、アプリ138は、通常AD信号の送信を指示するための送信指示をOS136に供給する。
【0069】
OS136は、アプリ138から送信指示を取得すると(T440)、T442において、BTI/F116を介して、切替指示を含む通常AD信号を送信する。切替指示は、通常AD信号に代えて拡張AD信号を送信するようにプリンタ10に要求するための指示である。
【0070】
プリンタ10のCPU32は、T400において、電源がONされる場合に、通常AD信号の送信をBTI/F16に指示すると共に、通常AD信号の受信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、通常AD信号を送信する処理(T402)と、通常AD信号の受信を待機する処理と、を交互に実行する。このために、T442において、CPU32は、BTI/F16を介して、端末100から通常AD信号を受信することができる。この場合、CPU32は、当該通常AD信号に含まれる切替指示に従って、拡張AD信号の送信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、T450において、通常AD信号に代えて拡張AD信号を繰り返し送信する。当該拡張AD信号は、図2のT102で送信される拡張AD信号と同様である。
【0071】
アプリ138は、送信指示をOS136に供給すると(T440)、次いで、T460において、受信指示をOS136に供給する。この結果、OS136は、T462において、BTI/F116を介して、プリンタ10から拡張AD信号を受信し、T464において、拡張AD信号に含まれる各情報をアプリ138に供給する。
【0072】
その後、図2のT140~T148と同様の処理が実行され、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続が確立される。この場合、プリンタ10のCPU32は、通常AD信号の送信をBTI/F16に指示する。この結果、BTI/F16は、T470において、拡張AD信号に代えて通常AD信号を繰り返し送信する。この状態では、プリンタ10がAP200とのWi-Fi接続を確立しているので、当該通常AD信号は、IPアドレスIP1を含む。この後の処理は、第1実施例(図3参照)と同様であってもよいし、第2実施例(図4参照)と同様であってもよい。
【0073】
(第3実施例のケースDの処理:図6
図6のケースDでは、端末150を利用してプリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続を確立させる。上述したように、端末150は、BT規格のバージョン4.2で定義されているBTI/Fを備え、拡張AD信号を解釈不可能である。
【0074】
T500~T532は、端末150が利用される点を除くと、図5のT400~T432と同様である。端末150のアプリ(図示省略)は、T540において、BT接続指示をOS(図示省略)に供給する。この場合、T542において、OSは、BTI/Fを介して、L2CAP Linkをプリンタ10と確立する。なお、L2CAP Linkの確立のためには、通常、プリンタ10及び端末150の一方のデバイスにおいて、PINコードが表示され、他方のデバイスにおいて、当該PINコードが入力される。
【0075】
プリンタ10のCPU32は、L2CAP Linkが確立されると(T542)、T550において、当該Linkを利用して、公開鍵300を端末150に供給する。その後の処理は、端末150が利用される点を除くと、図2のT140~148と同様である。この結果、プリンタ10とAP200との間にWi-Fi接続が確立される。T570は、図5のT470と同様である。
【0076】
(本実施例の効果)
図5に示されるように、プリンタ10は、AP200とのWi-Fi接続を確立していない場合に、通常AD信号を送信する(図5のT402)。そして、プリンタ10は、当該通常AD信号が端末100によって受信され(T422)、かつ、端末100から切替指示が受信される場合(T442)に、公開鍵300を含む拡張AD信号を送信する(T450)。このために、プリンタ10は、端末100からプリンタ用COを受信して(図5で引用する図2のT144)、AP200とのWi-Fi接続を適切に確立することができる。また、図6に示されるように、プリンタ10は、AP200とのWi-Fi接続を確立していない場合に、通常AD信号を送信する(T502)。そして、プリンタ10は、当該通常AD信号が端末150によって受信され(T522)、かつ、端末150から切替指示が受信されない場合に、端末150とL2CAP Linkを確立する(T542)。そして、プリンタ10は、当該Linkを利用して、公開鍵300を端末150に送信する(T550)。このために、プリンタ10は、端末150からプリンタ用COを受信して(図6で引用する図2のT144)、AP200とのWi-Fi接続を適切に確立することができる。本実施例によると、プリンタ10は、拡張AD信号を解釈可能な端末100とBT規格の通信することによって、AP200とのWi-Fi接続を確立することができ(図5のケースC)、さらに、拡張AD信号を解釈不可能な端末150とBT規格の通信することによって、AP200とのWi-Fi接続を確立することができる(図6のケースD)。
【0077】
(対応関係)
「切替指示」が、「所定指示」の一例である。「通信装置」に関する対応関係は以下のとおりである。図5のT402及び図6のT502の処理が、「第3のインターフェース制御部」によって実行される処理の一例である。図5のT450の処理が、「第1のインターフェース制御部」によって実行される処理の一例である。図6のT542の処理、T550の処理が、それぞれ、「リンク確立部」、「所定情報送信部」によって実行される処理の一例である。「端末装置」に関する対応関係は以下のとおりである。図5のT420に起因するT422の処理が、「第3のアドバタイジング信号受信部」によって実行される処理の一例である。T440に起因するT442の処理が、「所定指示送信部」によって実行される処理の一例である。T460に起因するT462の処理が、「第1のアドバタイジング信号受信部」によって実行される処理の一例である。
【0078】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0079】
(変形例1)端末100は、DPP方式をサポートしていなくてもよく、通常のWi-Fi規格の手法に従って、AP200とのWi-Fi接続を確立してもよい。この場合、端末100は、AP200によって形成されている無線ネットワークのSSID及びパスワード(以下では「AP接続情報」と記載する)を記憶済みである。また、プリンタ10は、WFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式のGroup Owner(以下では「G/O」と記載する)として動作可能であってもよい。この場合、プリンタ10は、図2のT102において、プリンタ10がG/Oとして動作する無線ネットワークのSSID及びパスワード(以下では「WFD接続情報」と記載する)を含む拡張AD信号を送信してもよい。端末100は、拡張AD信号を受信することによって、WFD接続情報を取得することができる。この場合、端末100は、WFD接続情報を利用して、Wi-FiI/F118を介して、WFD方式の無線接続をプリンタ10と確立することができる。その後、端末100は、WFD方式の無線接続を利用して、Wi-FiI/F118を介して、AP接続情報をプリンタ10に送信する。このために、プリンタ10は、AP接続情報を利用して、AP200とのWi-Fi接続を確立することができる。本変形例では、WFD接続情報、AP接続情報が、それぞれ、「所定情報」、「接続情報」の一例である。WFD方式の無線接続を利用した通信が、「所定通信」の一例である。
【0080】
(変形例2)上記の変形例1と同様に、端末100は、通常のWi-Fi規格の手法に従ってAP200とのWi-Fi接続を確立し、AP接続情報を記憶済みであってもよい。そして、プリンタ10は、図2のT102において、公開鍵300に代えて、BT規格のペアリングを実行するためのペアリング情報(例えばPINコード)を含む拡張AD信号を送信してもよい。端末100は、拡張AD信号を受信することによって、ペアリング情報を取得することができる。この場合、端末100は、ペアリング情報を利用して、BTI/F116を介して、プリンタ10とのペアリングを実行して、L2CAP Linkをプリンタ10と確立することができる。その後、端末100は、L2CAP Linkを利用して、BTI/F116を介して、AP接続情報をプリンタ10に送信する。このために、プリンタ10は、AP接続情報を利用して、AP200とのWi-Fi接続を確立することができる。本変形例では、ペアリング情報、AP接続情報が、それぞれ、「所定情報」、「接続情報」の一例である。L2CAP Linkを利用した通信が、「所定通信」の一例である。
【0081】
(変形例3)プリンタ10に代えて、スキャン実行部を備えるスキャナが利用されてもよい。この場合、端末100は、図3のT260,T262において、AP200を介して、印刷指示に代えてスキャン指示をスキャナに送信する。そして、スキャナは、T270において、スキャン実行部にスキャンを実行させ、その後、AP200を介して、スキャンデータを端末100に送信する。本変形例では、スキャン実行部、スキャン指示、スキャンが、それぞれ、「画像処理実行部」、「画像処理実行指示」、「画像処理」の一例である。
【0082】
(変形例4)プリンタ10は、図2のT150において、電波強度情報E1及びIPアドレスIP1に代えて、プリンタ10の現在のステータスを示すステータス情報を含む通常AD信号を送信してもよい。この場合、端末100は、通常AD信号を受信することによって、通常AD信号に含まれるステータス情報を表示することができる。本変形例では、プリンタ10は、端末100から印刷指示を受信しなくてもよい。本変形例では、「通信装置」の「指示受信部」及び「画像処理制御部」を省略可能である。
【0083】
(変形例5)端末100は、図3のT250において、各プリンタ10,50の各モデル名M1,M2をソートせずに、各モデル名M1,M2に対応付けて算出済みの各距離を表示してもよい。この場合、ユーザは、印刷確認画面内の各距離を見ることによって、どのプリンタに印刷を実行させるのかを決定することができる。また、別の変形例では、端末100は、図4のT350の前にプリンタ10の距離を算出し、T350において、当該距離を含む印刷確認画面を表示してもよい。この場合、ユーザは、印刷確認画面内の距離に応じて、プリンタ10に印刷を実行させるのか否かを決定することができる。一般的に言うと、「端末装置」の「表示制御部」は、複数個の識別情報がソートされている特定画面を表示部に表示させなくてもよく、距離に関する情報を示す特定画面を表示させればよい。
【0084】
(変形例6)「通信装置」は、プリンタ10でなくてもよく、例えば、スキャナ、FAX装置、多機能機、PC、サーバ等であってもよい。
【0085】
(変形例7)上記の各実施例では、プリンタ10のCPU32がプログラム36(即ちソフトウェア)を実行すること、及び、端末100のCPU132がプログラム136,138を実行することによって、図2図6の各処理が実現される。これに代えて、いずれかの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
2:通信システム、10:プリンタ、12:表示部、14:印刷実行部、16:BTI/F、18:Wi-FiI/F、30:制御部、32:CPU、34:メモリ、36:プログラム、50:プリンタ、100:携帯端末、112:表示部、116:BTI/F、118:Wi-FiI/F、130:制御部、132:CPU、134:メモリ、136:OSプログラム、138:プリントアプリケーション、150:携帯端末、200,250:AP
図1
図2
図3
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図5
図6