(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】吸収性物品、吸収性物品の製造装置及び吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20230926BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20230926BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20230926BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61F13/511 100
A61F13/511 300
A61F13/532 200
A61F13/533 200
A61F13/15 352
A61F13/15 390
(21)【出願番号】P 2019228127
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-150686(JP,A)
【文献】特開2012-075638(JP,A)
【文献】特開2011-132623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/511
A61F 13/532
A61F 13/533
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股下に装着される吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収体よりも前記着用者側に配置されており、前記着用者の肌が当接する芯鞘繊維製不織布のトップシートと、
前記トップシート側から前記吸収体側へ向けた圧搾加工によって前記トップシートの表面に形成される圧搾溝と、
前記トップシートのうち少なくとも前記圧搾溝同士が交わる交点に対応する部分
及び前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重なる仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられており、前記芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より低い低嵩部分と、
を備え
、
前記圧搾溝同士の間において、前記仮想直線上の前記交点以外の前記低嵩部分の周囲に高嵩部分が設けられている、
吸収性物品。
【請求項2】
前記高嵩部分は、前記トップシートを構成する2種以上の芯鞘繊維の熱変形によって嵩が高く形成されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記低嵩部分は、前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重なる仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられている、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記高嵩部分は、前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重ならない仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられている、
請求項1から3の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記高嵩部分は、前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重ならない仮想直線において、等間隔に設けられている、
請求項1から4の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記高嵩部分は、前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重なる仮想直線において、等間隔に設けられている、
請求項1から3の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記低嵩部分は、前記圧搾溝を構成する各直線の部分に設けられている、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記高嵩部分は、前記圧搾溝を構成する直線の隣に、該直線に沿って点線又は破線状に設けられている、
請求項1、2又は7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記
高嵩部分は、前記圧搾溝を構成する直線によって区画される枠内の中央部に設けられている、
請求項1、2又は7に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記
高嵩部分は、点状の形態で前記トップシートに規則的又は不規則に設けられている、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項11】
着用者の股下に装着される吸収性物品の製造装置であって、
吸収体の前記着用者側に配置される芯鞘繊維製不織布のトップシート側から、前記吸収体側へ向けた圧搾加工によって前記トップシートの表面に圧搾溝を形成する圧搾機構と、
前記トップシートのうち少なくとも前記圧搾溝同士が交わる交点
及び前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重なる仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられる低嵩部分以外の部分に、前記芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より高い高嵩部分を設ける嵩回復機構と、を備
え、
前記嵩回復機構は、前記圧搾溝同士の間において、前記仮想直線上の前記交点以外の前記低嵩部分の周囲に前記高嵩部分を設ける、
吸収性物品の製造装置。
【請求項12】
着用者の股下に装着される吸収性物品の製造方法であって、
吸収体の前記着用者側に配置される芯鞘繊維製不織布のトップシート側から、前記吸収体側へ向けた圧搾加工によって前記トップシートの表面に圧搾溝を形成する圧搾工程と、
前記トップシートのうち少なくとも前記圧搾溝同士が交わる交点
及び前記トップシートの長手方向に沿い且つ前記交点と重なる仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられる低嵩部分以外の部分に、前記芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より高い高嵩部分を設ける嵩回復工程と、を有
し、
前記嵩回復工程は、前記圧搾溝同士の間において、前記仮想直線上の前記交点以外の前記低嵩部分の周囲に前記高嵩部分を設ける、
吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、吸収性物品の製造装置及び吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品は、尿や体液等の液体を吸収する吸収体を備えている。これらの吸収性物品には、各種の不織布が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品に用いられる不織布は、当該不織布の製造工場で製造され、吸収性物品の製造工場へ輸送される。よって、当該不織布は、通常、長尺な原反であり、芯材に巻き付けたロール状の状態で輸送される。したがって、当該不織布を用いる吸収性物品の製造工場では、ロール状に巻き付けられることによって物理的に圧縮されて失われた不織布の嵩を回復させるべく、例えば、芯部と鞘部で原料が互いに異なる芯鞘繊維を用いた不織布の場合には、当該不織布に熱風を通して2種材料間の熱収縮率の違いを利用した嵩の回復が行われる。
【0005】
ところで、吸収性物品には、通気性を向上させるべく、着用者の肌が当接する面に溝を設けたものが存在する。このような溝は、例えば、不織布等の各種資材を積み重ねた積層体に、着用者の肌が当接する面から圧搾加工を施すことにより形成可能である。しかしながら、例えば、肌が当接する面を形成するシートが、上述した熱風による嵩の回復が行われた不織布である場合、当該不織布が嵩高なため、圧搾しても当該不織布が他の資材と十分に結合できず、圧搾加工を施しても溝が消失する場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、嵩高な不織布であっても圧搾加工による溝が消失するのを可及的に抑制する吸収性物品、吸収性物品の製造装置及び吸収性物品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、トップシートのうち少なくとも圧搾溝同士が交わる交点に対応する部分に、芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より低い低嵩部分を設けることにした。
【0008】
詳細には、本発明は、着用者の股下に装着される吸収性物品であって、吸収体と、吸収体よりも着用者側に配置されており、着用者の肌が当接する芯鞘繊維製不織布のトップシートと、トップシート側から吸収体側へ向けた圧搾加工によってトップシートの表面に形成される圧搾溝と、トップシートのうち少なくとも圧搾溝同士が交わる交点に対応する部分に設けられており、芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より低い低嵩部分と、を備える。
【0009】
なお、低嵩部分の周囲の高嵩部分は、トップシートを構成する2種以上の芯鞘繊維の熱変形によって嵩が高く形成されていてもよい。
【0010】
また、低嵩部分は、トップシートの長手方向に沿い且つ交点と重なる仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられていてもよい。
【0011】
また、高嵩部分は、トップシートの長手方向に沿い且つ交点と重ならない仮想直線において、実線、点線又は破線状に設けられていてもよい。
【0012】
また、高嵩部分は、トップシートの長手方向に沿い且つ交点と重ならない仮想直線において、等間隔に設けられていてもよい。
【0013】
また、高嵩部分は、トップシートの長手方向に沿い且つ交点と重なる仮想直線において、等間隔に設けられていてもよい。
【0014】
また、低嵩部分は、圧搾溝を構成する各直線の部分に設けられていてもよい。
【0015】
また、高嵩部分は、圧搾溝を構成する直線の隣に、該直線に沿って点線又は破線状に設けられていてもよい。
【0016】
また、嵩高部分は、圧搾溝を構成する直線によって区画される枠内の中央部に設けられていてもよい。
【0017】
また、嵩高部分は、点状の形態でトップシートに規則的又は不規則に設けられていてもよい。
【0018】
また、本発明は、製造装置の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、着用者の股下に装着される吸収性物品の製造装置であって、吸収体の着用者側に配置される芯鞘繊維製不織布のトップシート側から、吸収体側へ向けた圧搾加工によってトップシートの表面に圧搾溝を形成する圧搾機構と、トップシートのうち少なくとも圧搾溝同士が交わる交点以外の部分に、芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より高い高嵩部分を設ける嵩回復機構と、を備えるものであってもよい。
【0019】
また、本発明は、製造方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、着用者の股下に装着される吸収性物品の製造方法であって、吸収体の着用者側に配置される芯鞘繊維製不織布のトップシート側から、吸収体側へ向けた圧搾加工によってトップシートの表面に圧搾溝を形成する圧搾工程と、トップシートのうち少なくとも圧搾溝同士が交差する交点以外の部分に、芯鞘繊維製不織布の嵩が周囲より高い高嵩部分を設ける嵩回復工程と、を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、嵩高な不織布であっても圧搾加工による溝が消失するのを可及的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態に係るおむつの斜視図である。
【
図3】
図3は、非装着状態におけるおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図5】
図5は、トップシートと吸収体の構造図の第1例を示した図である。
【
図6】
図6は、おむつの製造工程の一部を示した第1例の図である。
【
図7】
図7は、トップシートと吸収体の構造図の第2例を示した図である。
【
図8】
図8は、トップシートと吸収体の構造図の第3例を示した図である。
【
図9】
図9は、トップシートと吸収体の構造図の第4例を示した図である。
【
図10】
図10は、トップシートと吸収体の構造図の第4例を示した図である。
【
図11】
図11は、おむつの製造工程の一部を示した第2例の図である。
【
図12】
図12は、熱風吹き出し機能を有する凹ローラの内部構造の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0023】
<実施形態>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0024】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下領域に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。よって、おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0025】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の大腿部を取り巻く部位に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。立体ギャザー3BL,3BRとウェストギャザー3Rは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から殆ど漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
【0026】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、
図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する箇所に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチ
レン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0027】
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6C、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6Cの吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6Cに進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
【0028】
バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6Cに覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6Cに接触することになる。
【0029】
また、おむつ1は、上述した立体ギャザー3BL,3BRを形成するための細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、おむつ1の立体ギャザー3BL,3BRと同様、着用者の大腿部が位置する箇所に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには糸ゴム8EL,8ERが長手方向に沿って編み込まれている。よって、サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、糸ゴム8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザーとなる。
【0030】
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための糸ゴム9ERは、吸収体6Cの端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7の間に設けられる。糸ゴム9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでバックシート5とトップシート7の間に設けられる。よって、糸ゴム9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、糸ゴム9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。なお、カバーシート4にも、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ糸ゴム4SL,4SRが糸ゴム4Cの長手方向に沿って設けられている。糸ゴム4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数で適宜の位置に設けられる。
【0031】
吸収体6Cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋
構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0032】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0033】
ところで、本実施形態のおむつ1には、トップシート7側から吸収体6C側へ向けた圧搾加工によってトップシート7の表面に格子状に形成される圧搾溝が備わっている。
図4は、圧搾溝の一例を示した図である。圧搾溝9は、例えば、
図4に示されるように、吸収体6Cの部分を含むトップシート7の表面の主要な領域に格子状に形成されている。主要な領域とは、トップシート7の中心部を含む領域であり、例えば、トップシート7の表面全体、トップシート7の表面のうち着用者の尿道口及び肛門に対応する部位、その他各種の部位の何れであってもよい。また、圧搾溝9は、
図4に示されるように、溝を構成する直線が直角に交差して格子を形成する形態に限定されるものではない。圧搾溝9は、溝を構成する直線が斜めに交差して格子を形成する形態であってもよい。また、圧搾溝9は、溝を構成する直線が平行に複数並ぶ形態に限定されるものではない。圧搾溝9は、溝を構成する直線同士が非平行であってもよい。また、圧搾溝9は、溝を構成する直線が実線状の形態に限定されるものでなく、例えば、点線あるいは破線状の形態であってもよい。
【0034】
また、本実施形態のおむつ1には、低嵩部分7Tが設けられている。低嵩部分7Tとは、トップシート7の嵩(厚み)が周囲よりも低い部分である。そして、低嵩部分7Tは嵩が低い部分なので、低嵩部分7Tの周囲は、高嵩部分7Fとなる。低嵩部分7Tは、
図4に示されるように、トップシート7の長手方向に沿い、且つ、圧搾溝9の溝を構成する各直線同士が交差する交点9Kと重なる仮想直線において、実線状に設けられている。低嵩部分7Tは、実線の代わりに、点線又は破線状に設けられていてもよい。
【0035】
低嵩部分7Tについて詳述する。
図5は、トップシート7と吸収体6Cの構造図の第1例を示した図である。低嵩部分7Tは、トップシート7に設けられた低嵩の部分であり、低嵩部分7Tの周囲の高嵩部分7Fの部分に比べてトップシート7の厚さが薄くなっている。このように、トップシート7自体に低嵩部分7Tと高嵩部分7Fとが存在するため、
図5のA1-A1断面図に示すように、圧搾溝9同士の間であってもトップシート7の厚さは一様ではなく、圧搾溝9同士の間には低嵩部分7Tと高嵩部分7Fとが存在し得る。
【0036】
本実施形態のおむつ1では、トップシート7に低嵩部分7Tと高嵩部分7Fが存在しており、交点9Kについては低嵩部分7Tに位置するように圧搾加工が施されているため、圧搾溝9のうち少なくとも交点9Kについては圧搾加工の押圧力がトップシート7の厚みによって分散しにくく、当該押圧力がトップシート7の表面から吸収体6Cへ伝わりやすい。このため、交点9Kについてはトップシート7と吸収体6Cの十分な圧搾によってその形態が強固に維持される。よって、上記実施形態のおむつ1は、トップシート7に低嵩部分7Tが存在しない吸収性物品に比べて、例えば、吸収体6Cにおける吸水後に圧搾溝9が消失する可能性が低い。圧搾溝9が消失する可能性が低くなると、圧搾溝9によってトップシート7の表面に付与される通気性が失われる可能性も低くなる。このため、上記
実施形態のおむつ1は、トップシート7に低嵩部分7Tが存在しない吸収性物品に比べると、トップシート7の表面の通気性が高いと言える。また、上記実施形態のおむつ1は、トップシート7に低嵩部分7Tのみならず高嵩部分7Fが存在しているため、トップシート7に高嵩部分7Fが存在しないものに比べると、圧搾溝9が肌に触れにくく、トップシート7の表面の肌触りを柔らかくすることができる。
【0037】
低嵩部分7Tと高嵩部分7Fは、次のようにして形成することができる。例えば、トップシート7が、芯部と鞘部で原料が互いに異なる2種以上の原料からなる芯鞘繊維で製造された芯鞘繊維製不織布である場合、トップシート7を構成する繊維は、原反ロールに巻かれた状態において、ロールの巻き付け力によって押し潰されている。しかし、芯鞘繊維は、加熱されると、芯部を構成する物質と鞘部を構成する物質との熱収縮率の相違によって嵩が回復するという性質がある。そこで、トップシート7の嵩を加熱で回復させる際、例えば、トップシート7へ熱風を吹き当てるノズルを、トップシート7を取り扱う装置のMD方向(MD:Machine Direction)と交差する長細い開口とし、熱風が吹き出ない箇所を部分的に設けることで、熱風が当たる箇所に高嵩部分7Fを、熱風が当たらない箇所に低嵩部分7Tを設けることができる。高嵩部分7Fを形成するためのトップシート7に対する加熱は、圧搾溝9の形成前に行われてもよいし、圧搾溝9の形成後に行われてもよいし、或いは、圧搾溝9の形成と同時に行われてもよい。
【0038】
図6は、おむつ1の製造工程の一部を示した第1例の図である。トップシート7を嵩高にし、トップシート7の表面に圧搾溝9を形成するには、例えば、
図6に示されるように、熱風を吹き出す加熱ノズル10(本願でいう「嵩回復機構」の一例である)と、加熱ノズル10を通過したトップシート7に圧搾溝9を形成する凹ローラ11及び支持ローラ12をおむつ1の製造装置に設ける。加熱ノズル10は、トップシート7の表面に熱風を吹きつけてトップシート7を加熱し、トップシート7の嵩を回復させる。加熱ノズル10の開口部は、トップシート7の長手方向(MD方向)に対して直交する方向に延在する細長い形状となっている。そして、加熱ノズル10の開口部は、低嵩部分7Tに対応する部分が閉鎖されており、全体的に破線状の開口を形成している。すなわち、加熱ノズル10が破線状の開口部を有しているため、トップシート7は、熱風が当たる部分のみが加熱による嵩回復で高嵩部分7Fとなり、熱風が当たらない部分は嵩が回復せずに低嵩部分7Tのままとなる。そして、表面に筋状に高嵩部分7Fと低嵩部分7Tが形成されたトップシート7は、外周面に格子状の圧搾端11B(本願でいう「圧搾機構」の一例である)を有する凹ローラ11によって圧搾される。凹ローラ11による圧搾は、トップシート7を挟んで凹ローラ11の反対側に配置される支持ローラ12と共に行われる。よって、トップシート7の表面には、凹ローラ11の圧搾端11Bと支持ローラ12との間にトップシート7が挟まれることによって形成される圧搾溝9が形成される。また、凹ローラ11には、圧搾端11B以外の部位が凹部11Aとなっているため、加熱ノズル10で形成された高嵩部分7Fは、圧搾端11Bに圧搾されて圧搾溝9が形成された部位以外については凹ローラ11に押し潰されることなく嵩高の状態が維持される。
【0039】
ここで、
図6を見ると判るように、凹ローラ11は、外周面に形成されている圧搾端11Bの格子の交点が低嵩部分7Tに対応する部分に配置されている。よって、凹ローラ11の圧搾によって形成された圧搾溝9の交点9Kは、高嵩部分7Fではなく低嵩部分7Tの部分に形成される。このように、加熱ノズル10、凹ローラ11及び支持ローラ12をおむつ1の製造装置に設けた場合、交点9Kについては低嵩部分7Tに位置するように圧搾加工が施されるため、圧搾溝9のうち少なくとも交点9Kについては圧搾端11Bによる圧搾加工の押圧力がトップシート7の厚みによって分散しにくく、当該押圧力がトップシート7の表面から吸収体6Cへ伝わりやすい。このため、交点9Kについてはトップシート7と吸収体6Cの十分な圧搾によってその形態が強固に維持される。これより、圧搾溝9が消失する可能性を抑制し、圧搾溝9によってトップシート7の表面に付与される通
気性と、トップシート7の表面の肌触りの向上を図ることができる。
【0040】
<変形例>
ところで、低嵩部分7Tは、交点9Kの部分に設ける形態に限定されるものではない。低嵩部分7Tは、例えば、圧搾溝9の部分全体に設ける形態であってもよい。
図7は、トップシート7と吸収体6Cの構造図の第2例を示した図である。低嵩部分7Tは、例えば、
図7に示されるように、圧搾溝9の部分全体に設けられていてもよい。これによれば、交点9Kのみならず圧搾溝9の部分全体が低嵩部分7Tに位置するように圧搾加工が施されているため、圧搾溝9では圧搾加工の押圧力がトップシート7の厚みによって分散しにくく、当該押圧力がトップシート7の表面から吸収体6Cへ伝わりやすい。このため、圧搾溝9ではトップシート7と吸収体6Cの十分な圧搾によってその形態が強固に維持される。よって、本変形例のおむつ1は、圧搾溝9が消失する可能性が低い。このため、圧搾溝9によってトップシート7の表面に付与される通気性と、トップシート7の表面の肌触りの向上を図ることができる。すなわち、例えば、吸収体6Cが尿の吸収で膨れて圧搾溝9が消失しても、トップシート7には高嵩部分7F及び低嵩部分7Tが形成されているので、圧搾溝9によってトップシート7表面に付与されていたのと同等の通気性が維持される。
【0041】
なお、
図7を見ると判るように、本変形例では、トップシート7の長手方向に沿い且つ交点9Kの交点と重なる仮想直線において、高嵩部分7Fが等間隔に配置されていると言える。また、
図7では、圧搾溝9の部分以外は全て高嵩部分7Fとなっている様子が図示されているが、高嵩部分7Fは、圧搾溝9に沿って線状に形成されることで、圧搾溝9の各格子枠内で菱形の線を描くように形成されるものであってもよい。この場合、高嵩部分7Fは、実線、点線又は破線状に形成される。
【0042】
また、低嵩部分7Tは、トップシート7の表面に筋状に設ける形態に限定されるものではない。トップシート7は、例えば、ほぼ全体が低嵩部分7Tとなっており、円形の高嵩部分7Fがドット状に離散配置される形態であってもよい。
図8は、トップシート7と吸収体6Cの構造図の第3例を示した図である。トップシート7は、例えば、
図8に示されるように、ほぼ全体が低嵩部分7Tとなっており、円形の高嵩部分7Fが圧搾溝9沿いに離散配置されていてもよい。これによれば、圧搾溝9の部分全体が低嵩部分7Tに位置するように圧搾加工が施されているため、圧搾溝9では圧搾加工の押圧力がトップシート7の厚みによって分散しにくく、当該押圧力がトップシート7の表面から吸収体6Cへ伝わりやすい。このため、圧搾溝9ではトップシート7と吸収体6Cの十分な圧搾によってその形態が強固に維持される。よって、本変形例のおむつ1は、圧搾溝9が消失する可能性が低い。このため、圧搾溝9によってトップシート7の表面に付与される通気性と、トップシート7の表面の肌触りの向上を図ることができる。すなわち、例えば、吸収体6Cが尿の吸収で膨れて圧搾溝9が消失しても、トップシート7に形成されている高嵩部分7F及び低嵩部分7Tにより、圧搾溝9によってトップシート7表面に付与されていたのと同等の通気性が維持される。
【0043】
また、ドット状の高嵩部分7Fは、同じ大きさのものが圧搾溝9沿いに離散配置される形態に限定されるものではない。高嵩部分7Fは、例えば、大きさの異なる大小様々な円形の高嵩部分7Fがドット状に離散配置される形態であってもよい。
図9は、トップシート7と吸収体6Cの構造図の第4例を示した図である。トップシート7は、例えば、
図9に示されるように、ほぼ全体が低嵩部分7Tとなっており、円形で小径の高嵩部分7Fが圧搾溝9沿いに離散配置され、円形で大径の高嵩部分7Fが圧搾溝9の格子の枠内中央に配置されていてもよい。これによれば、圧搾溝9の格子の枠内中央に大径の高嵩部分7Fが設けられているので、
図8に示した変形例よりもトップシート7の表面の肌触りの向上を図ることができる。
【0044】
また、ドット状の高嵩部分7Fは、圧搾溝9沿いに離散配置される形態に限定されるものではない。高嵩部分7Fは、例えば、トップシート7の長手方向に沿って配列される形態であってもよい。
図10は、トップシート7と吸収体6Cの構造図の第4例を示した図である。トップシート7は、例えば、
図10に示されるように、ほぼ全体が低嵩部分7Tとなっており、交点9Kの横に配置される円形の高嵩部分7Fがトップシート7の長手方向に沿って配列されていてもよい。これによれば、圧搾溝9が消失する可能性を抑制しつつ、交点9K付近におけるトップシート7の表面の肌触りの向上を図ることができる。
【0045】
なお、
図10を見ると判るように、本変形例では、トップシート7の長手方向に沿い且つ交点9Kの交点と重ならない仮想直線において、高嵩部分7Fが等間隔に配置されていると言える。また、ドット状の高嵩部分7Fは、上述したように規則的に配列される形態に限定されるものでなく、例えば、トップシート7の表面に不規則に配置されていてもよい。また、圧搾溝9は、上述したように、菱形の格子枠を形成する形態に限定されるものでなく、例えば、縦横の格子線によって矩形の格子枠を形成するものであってもよいし、或いは、不規則に形成される形態であってもよい。また、低嵩部分7Tは、圧搾溝9同士が交差する交点9Kに設けられていればよく、非格子状の形態を構成する圧搾溝9同士が交差する交点9Kに設けられていてもよい。
【0046】
図11は、おむつ1の製造工程の一部を示した第2例の図である。例えば、
図7に示したように、低嵩部分7Tを圧搾溝9の部分全体に設け、それ以外の部分に高嵩部分7Fを設けるには、例えば、
図11に示されるように、凹ローラ11に熱風を吹き出す機能を設け、加熱ノズル10を省略する。凹ローラ11の凹部11Aから熱風が吹き出ると、トップシート7の表面のうち、圧搾端11Bに圧搾される部位以外の嵩が回復する。よって、
図11に示されるように、低嵩部分7Tが圧搾溝9の部分全体に形成され、それ以外の部分に高嵩部分7Fが形成される。
【0047】
図12は、熱風吹き出し機能を有する凹ローラ11の内部構造の一例を示した図である。凹ローラ11に熱風吹き出し機能を設けたい場合、例えば、
図12に示されるように、凹ローラ11を中空の円筒状にし、各凹部11Aの底面に通気孔11Cを設ける。また、支持ローラ12の外周面全体にも通気孔を設ける。通気孔11Cは、凹ローラ11の内部空間と外部とを連通する貫通孔であり、微細な孔を多数配列した形態となっている。そして、凹ローラ11の内部には、吸気チャンバー11Dと熱風チャンバー11E(本願でいう「嵩回復機構」の一例である)を設ける。吸気チャンバー11Dは、図示しない吸引装置に繋がっている。また、熱風チャンバー11Eは、図示しない熱風の吹き出し装置に繋がっている。凹ローラ11が回転するのに対し、凹ローラ11の内部にある吸気チャンバー11Dと熱風チャンバー11Eは、図示しない部材によって固定されている。このような凹ローラ11では、繰り出しローラ13から繰り出されたトップシート7と吸収体6Cの積層体が、通気孔11Cを通じて吸気チャンバー11Dに吸引される空気の力で凹ローラ11の外周面に吸着される。これにより、トップシート7と吸収体6Cの積層体は、凹ローラ11の外周面に沿った状態となる。そして、凹ローラ11が回転すると、通気孔11Cを通じて熱風チャンバー11Eから吹き出される熱風の熱で積層体が加熱され、凹部11Aの部分でトップシート7の嵩が回復する。また、圧搾端11Bの部分では積層体が圧搾され、圧搾溝9が形成される。トップシート7と吸収体6Cの積層体は、熱風吹き出し機能を有する凹ローラ11を通過した後に送風等で冷却されることにより、加熱によって嵩が回復した高嵩部分7Fがパッケージング等の後工程で再び潰れないように処理される。
【0048】
凹ローラ11がこのように形成されていれば、例えば、
図7に示したように、低嵩部分7Tを圧搾溝9の部分全体に設け、それ以外の部分に高嵩部分7Fを設けることができる
。また、通気孔11Cの形状パターンを適宜変更することにより、例えば、
図8から
図10までに示した各種形状の高嵩部分7Fを形成することもできる。
【0049】
なお、高嵩部分7Fは、
図6や
図11に示した製造工程で形成されるものに限定されるものではなく、その他の製造工程で形成されるものであってもよい。例えば、
図10に示したように、高嵩部分7Fが交点9Kの横(幅方向)に配置される形態、換言すると、高嵩部分7Fが交点9KのMD方向上の仮想直線上に配置されない形態となっており、高嵩部分7Fがトップシート7の長手方向(MD方向)に沿って実線、点線あるいは破線状に形成される形態の場合、嵩回復のための加熱機構と、圧搾溝9を形成するための圧搾機構とを同期させなくても、高嵩部分7Fが交点9Kと重ならない位置に形成することが可能である。また、高嵩部分7Fを点状あるいは破線状に形成する場合は、各高嵩部分7Fの間隔を圧搾溝9の間隔の非整数倍にするか、或いは、圧搾溝9の間隔が各高嵩部分7Fの間隔の非整数倍にすれば、圧搾溝9に重なる高嵩部分7Fの数を可及的に抑制することができる。
【0050】
また、トップシート7の原反ロールは、原反を芯材に巻き付けたものなので、ロールの芯材側の方が外周側よりも圧縮されており、嵩が低い。そこで、嵩回復のための加熱時間は、原反ロールの始端側から終端側へ向かうにつれて徐々に長くすることが好ましい。例えば、原反ロールから繰り出す原反の速度を徐々に遅くすれば、嵩回復のための加熱時間を徐々に長くすることができる。
【0051】
また、上記実施形態や変形例では、テープ型のおむつを例示したが、パンツ型のおむつやその他各種形態の吸収性物品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2FT・・通気孔
2L,2R・・テープ
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER・・糸ゴム
5・・バックシート
6C・・吸収体
7・・トップシート
7F・・高嵩部分
7T・・低嵩部分
8・・サイドシート
8KL,8KR・・括れ
9・・圧搾溝
9K・・交点
10・・加熱ノズル
11・・凹ローラ
11A・・凹部
11B・・圧搾端
11C・・通気孔
11D・・吸気チャンバー
11E・・熱風チャンバー
12・・支持ローラ
13・・繰り出しローラ