IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特許7354876画像形成システム、画像形成装置およびプログラム
<>
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図1
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図2
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図3
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図4
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図5
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図6
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図7
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図8
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図9
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図10
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図11
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図12
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図13
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図14
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図15
  • 特許-画像形成システム、画像形成装置およびプログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20230926BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230926BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20230926BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230926BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/00 H
G03G21/14
G03G21/00 500
H04N1/00 567L
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020030415
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133570
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】内田 憲一
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082133(JP,A)
【文献】特開2015-075727(JP,A)
【文献】特開2014-034132(JP,A)
【文献】特開2005-329623(JP,A)
【文献】特開2010-208703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0196606(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/14
G03G 21/00
H04N 1/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行する複数の後処理手段と、
画像形成された記録媒体の搬送先を、前記複数の後処理手段のいずれかに切り替える切替手段と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせる
画像形成システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも長い場合に、前記第1の時間と前記第2の時間との差分だけ、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を遅らせる請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも短い場合に、後の印刷指示に基づく印刷処理を遅らせずに開始する請求項1又は2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送される搬送時間と、後処理手段により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して前記第1の時間を算出し、
後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送される各搬送時間の合計時間と、後処理手段により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して前記第2の時間を算出する請求項2又は3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示に基づく印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく後処理を、前の印刷指示に基づく後処理を実行する後処理手段とは異なる後処理手段により実行して排出するよりも、前の印刷指示に基づく後処理を実行する後処理手段により実行して排出した方が、後処理を実行して排出するまでの時間が短い場合は、前記切替手段により記録媒体の搬送先を切り替えないで、後の印刷指示に基づく印刷処理を開始する
請求項1記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を中止する
請求項2から4のいずれか記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を実行後に、後処理が実行された記録媒体の排出を中止する
請求項2から4のいずれか記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を中断する
請求項2から4のいずれか記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前の印刷指示に基づく後処理の異常が解消された場合に、中断されていた前記後の印刷指示に基づく後処理を再開する
請求項8記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前の印刷指示に基づく処理の異常が解消された場合に、異常が解消された当該前の印刷指示に基づく処理を最初から開始する
請求項6から9のいずれか記載の画像形成システム。
【請求項11】
印刷指示毎に記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行する複数の後処理手段と、
画像形成された記録媒体の搬送先を、前記複数の後処理手段のいずれかに切り替える切替手段と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせる
画像形成装置。
【請求項12】
画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行するステップと、
画像形成された記録媒体の搬送先を、複数の後処理手段のいずれかに切り替えるステップと、
複数の印刷指示に基づく後処理を前記複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送された記録媒体に対して処理対象単位毎に後処理を行う第1折りたたみ処理部及び第2折りたたみ処理部を備える画像形成システムにおいて、第1折りたたみ処理部及び第2折りたたみ処理部の処理対象単位での処理に要する時間が、画像形成装置から排出される記録媒体の排出間隔よりも長い場合に、その処理対象単位毎に記録媒体の搬送先を処理可能な後処理部に切り替えるようにして、後処理手段の処理対象単位での処理に時間がかかっても画像形成システムの生産性が落ちることを抑制するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-208703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成された記録媒体に対する後処理時間を短くするために、複数の印刷ジョブに対して同一の機能を備えた複数の後処理手段を用いて後処理を行う場合がある。しかし、複数の後処理手段を用いて後処理を行った場合には、後処理手段の配置や後処理の内容によって、後処理終了後の印刷ジョブの排出順番が入れ替わってしまう場合がある。
【0005】
そして、印刷ジョブの排出順番が入れ替わってしまうと、例えばある印刷ジョブを実行中にエラーが発生して処理が中断した場合も、エラーが解消されて中断していた印刷ジョブが再開されると、次の印刷ジョブについては排出が完了しているにもかかわらず、次の印刷ジョブに対する処理も再度実行されてしまう。すなわち、同じ印刷ジョブが重複して処理されてしまうこととなる。
【0006】
本発明の目的は、後処理終了後の排出順番を入れ替えないで、1つの後処理手段を用いて後処理を行う場合と比較して、後処理時間を短くすることが可能な画像形成システム、画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[画像形成システム]
請求項1に係る本発明は、画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行する複数の後処理手段と、
画像形成された記録媒体の搬送先を、前記複数の後処理手段のいずれかに切り替える切替手段と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせる画像形成システムである。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサが、前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも長い場合に、前記第1の時間と前記第2の時間との差分だけ、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を遅らせる請求項1記載の画像形成システムである。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送されて後処理手段により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも短い場合に、後の印刷指示に基づく印刷処理を遅らせずに開始する請求項1又は2記載の画像形成システムである。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサが、前の印刷指示に基づく印刷処理の最終頁が後処理手段まで搬送される搬送時間と、後処理手段により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して前記第1の時間を算出し、
後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が後処理手段まで搬送される各搬送時間の合計時間と、後処理手段により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して前記第2の時間を算出する請求項2又は3記載の画像形成システムである。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサが、前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示に基づく印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく後処理を、前の印刷指示に基づく後処理を実行する後処理手段とは異なる後処理手段により実行して排出するよりも、前の印刷指示に基づく後処理を実行する後処理手段により実行して排出した方が、後処理を実行して排出するまでの時間が短い場合は、前記切替手段により記録媒体の搬送先を切り替えないで、後の印刷指示に基づく印刷処理を開始する請求項1記載の画像形成システムである。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサが、後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を中止する請求項2から4のいずれか記載の画像形成システムである。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記プロセッサが、後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を実行後に、後処理が実行された記録媒体の排出を中止する請求項2から4のいずれか記載の画像形成システムである。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記プロセッサが、後の印刷指示に基づく後処理を実行中に、前の印刷指示に基づく後処理に異常があった場合に、前記後の印刷指示に基づく後処理を中断する請求項2から4のいずれか記載の画像形成システムである。
【0015】
請求項9に係る本発明は、前記プロセッサが、前の印刷指示に基づく後処理の異常が解消された場合に、中断されていた前記後の印刷指示に基づく後処理を再開する請求項8記載の画像形成システムである。
【0016】
請求項10に係る本発明は、前記プロセッサが、前の印刷指示に基づく処理の異常が解消された場合に、異常が解消された当該前の印刷指示に基づく処理を最初から開始する請求項6から9のいずれか記載の画像形成システムである。
【0017】
[画像形成装置]
請求項11に係る本発明は、印刷指示毎に記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行する複数の後処理手段と、
画像形成された記録媒体の搬送先を、前記複数の後処理手段のいずれかに切り替える切替手段と、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記切替手段を制御して複数の印刷指示に基づく後処理を複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせる画像形成装置である。
【0018】
[プログラム]
請求項12に係る本発明は、画像が形成された記録媒体に対して印刷指示毎に指定された後処理を実行するステップと、
画像形成された記録媒体の搬送先を、複数の後処理手段のいずれかに切り替えるステップと、
複数の印刷指示に基づく後処理を前記複数の後処理手段に振り分けて実行する際に、前の印刷指示の印刷処理の完了後に、後の印刷指示に基づく印刷処理の開始を、前の印刷指示に対する後処理の完了が、後の印刷指示に対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る本発明によれば、後処理終了後の排出順番を入れ替えないで、1つの後処理手段を用いて後処理を行う場合と比較して、後処理時間を短くすることが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0020】
請求項2に係る本発明によれば、後処理終了後の排出順番を入れ替えないで、1つの後処理手段を用いて後処理を行う場合と比較して、後処理時間を短くすることが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0021】
請求項3に係る本発明によれば、後処理終了後の排出順番が入れ替わらない場合には、後の印刷指示に基づく印刷処理を遅らせることなく実行することができる。
【0022】
請求項4に係る本発明によれば、記録媒体が後処理手段に搬送されるまでの搬送時間と、後処理の実行に必要な時間とから、前の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が排出されるまでの時間と、後の印刷指示に基づく印刷処理の全頁が排出されるまでの時間を算出することができる。
【0023】
請求項5に係る本発明によれば、複数の印刷指示に基づく印刷処理を異なる後処理部に振り分けたことにより、排出完了までの時間が長くなってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0024】
請求項6に係る本発明によれば、前の印刷指示に基づく後処理に異常が発生した場合でも、前の印刷指示に基づく印刷処理と後の印刷指示に基づく印刷処理の排出順序が入れ替わることを防ぐことができる。
【0025】
請求項7に係る本発明によれば、前の印刷指示に基づく後処理に異常が発生した場合でも、後の印刷指示については後処理が実行された記録媒体の排出を中止することにより、前の印刷指示に基づく印刷処理と後の印刷指示に基づく印刷処理の排出順序が入れ替わることを防ぐことができる。
【0026】
請求項8に係る本発明によれば、前の印刷指示に基づく後処理に異常が発生した場合でも、前の印刷指示に基づく印刷処理と後の印刷指示に基づく印刷処理の排出順序が入れ替わることを防ぐことができる。
【0027】
請求項9に係る本発明によれば、前の印刷指示に基づく後処理の異常が解消された場合には、後の印刷指示に基づく後処理を再実行する手間を省くことができる。
【0028】
請求項10に係る本発明によれば、前の印刷指示に基づく処理に異常が発生した場合でも、前の印刷指示に基づく処理を再実行する手間を省くことができる。
【0029】
請求項11に係る本発明によれば、後処理終了後の排出順番を入れ替えないで、1つの後処理手段を用いて後処理を行う場合と比較して、後処理時間を短くすることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0030】
請求項12に係る本発明によれば、後処理終了後の排出順番を入れ替えないで、1つの後処理手段を用いて後処理を行う場合と比較して、後処理時間を短くすることが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態の印刷システムのシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における画像形成システム10の構成を説明するための図である。
図3】印刷制御部41、後処理制御部61のハードウェア構成を説明するための図である。
図4】後処理制御部61の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】後処理装置51、52における搬送路の分岐点と、後処理部71、72との位置関係を説明するための図である。
図6】印刷ジョブの後処理を実行した場合の具体的な処理時間例を示す図である。
図7】画像形成システム10において実行される具体的な印刷処理例1を説明するための図である。
図8】印刷ジョブ2の最終ページ(P7)が分岐点を通過する際の様子を示す図である。
図9図7に示した具体的な印刷処理例1において、印刷ジョブ2の最終ページ(P7)が分岐点を通過した時刻を基準として、その後に印刷ジョブ2、3の排出が完了するまでの時間を説明するための図である。
図10図7に示した具体的な印刷処理例1において、印刷ジョブ3の印刷処理を遅延させずに実行した場合の時刻T1における各印刷ジョブの様子を示す図である。
図11図7に示した具体的な印刷処理例1において、印刷ジョブ3が印刷ジョブ2により先に排出完了しないための遅延時間を印刷ジョブ3の印刷処理の開始前に設ける様子を説明するための図である。
図12】画像形成システム10において実行される具体的な印刷処理例2を説明するための図である。
図13図12に示した具体的な印刷処理例2において、印刷ジョブ2の最終ページ(P5)が分岐点を通過した時刻を基準として、その後に印刷ジョブ2、3の排出が完了するまでの時間を説明するための図である。
図14】画像形成システム10において実行される具体的な印刷処理例3を説明するための図である。
図15図14に示した具体的な印刷処理例3において、印刷ジョブ1の最終ページ(P9)が分岐点を通過した時刻を基準として、その後に印刷ジョブ1、2の排出が完了するまでの時間を説明するための図である。
図16図14に示した具体的な印刷処理例3において、印刷ジョブ2が印刷ジョブ1により先に排出完了しないための遅延時間を印刷ジョブ2の印刷処理の開始前に設ける様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態の印刷システムのシステム構成を示す図である。
【0034】
本発明の一実施形態の印刷システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成システム10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成システム10に対して送信する。画像形成システム10は、端末装置20から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。
【0035】
次に、本実施形態の画像形成システム10の構成について図2を参照して説明する。
【0036】
本実施形態の画像形成システム10は、画像形成装置40と、後処理装置51、52とから構成されている。
【0037】
画像形成装置40は、画像形成装置40における印刷処理を制御する印刷制御部41と、複数の用紙供給カセット42と、用紙供給カセット42から供給された用紙を搬送する搬送路43と、搬送路43上を搬送される用紙に対して印刷ジョブ毎に画像を形成する画像形成部44とを備えている。
【0038】
画像形成部44は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各感光体が並んで配設されていると共に、中間転写ベルトが設けられている。そして、各感光体の周囲には、帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写装置及びクリーニング装置など(図示せず)が配置され、各感光体に形成されたトナー像が中間転写ベルトに転写される。そして、中間転写ベルトのトナー像は、二次転写ロールにより、搬送路43上を搬送されてきた記録媒体等の用紙に転写され、定着装置により定着され、このトナー像が定着された用紙が後処理装置51に搬送されるようになっている。
【0039】
そして、後処理装置51は、後処理装置51、52の動作を制御している後処理制御部61と、折り処理、冊子作成処理、ステープル処理等の後処理を実行する後処理部71と、切替器62と、排出装置63と、搬送路64、65とを備えている
【0040】
また、後処理装置52は、後処理装置51の後段に配置されており、後処理部72と排出トレイ66と搬送路67とを備えている。
【0041】
後処理部71、72は、それぞれ、画像が形成された用紙に対して印刷ジョブ毎に指定された後処理を実行する。切替器62は、画像形成された用紙の搬送先を、後処理部71、72のいずれかに切り替える。
【0042】
画像形成装置40から搬送されてきた用紙は、後処理装置51において、切替器62により搬送路64、65のいずれかに切り替えて搬送される。ここで、搬送路64は、後段に接続された後処理装置52に用紙を搬送するためのものである。また、搬送路65は、後処理部71に用紙を搬送するためのものである。
【0043】
つまり、画像形成装置40において印刷処理が行われた後の用紙は、切替器62が設けられた地点を分岐点として、後処理装置52の後処理部72、または後処理部71のいずれかに振り分けられて搬送される。
【0044】
ここで、切替器62は、後処理制御部61により制御されており、画像形成装置40から搬送されてきた印刷処理後の用紙に対して指定された後処理の内容に応じて、後処理部71、72のいずれかに振り分けられるようになっている。
【0045】
そして、後処理部71において後処理が行われた後の用紙は、排出装置63に排出される。また、切替器62において搬送路64に切り替えられた用紙は、後処理装置52の搬送路67を経由して、後処理部72に搬送されるようになっている。
【0046】
そして、後処理部72において後処理が行われた後の用紙は、排出トレイ66に排出される。
【0047】
ここで、後処理部71と後処理部72とは、同様な機能となっており、折り処理、冊子作成処理、ステープル処理等の後処理をいずれにおいても実行可能な構成となっている。
【0048】
次に、印刷制御部41、後処理制御部61のハードウェア構成について図3を参照して説明する。印刷制御部41、後処理制御部61は、それぞれ、図3に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14を有する。これらの構成要素は、制御バス15を介して互いに接続されている。
【0049】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、印刷制御部41、後処理制御部61の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0050】
そして、印刷制御部41、後処理制御部61は、それぞれ、画像形成装置40、後処理装置51、52の動作を制御している。なお、印刷制御部41は、端末装置20から送信された印刷指示である印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行するとともに、この印刷ジョブにおいて指定されている後処理の処理内容を後処理制御部61に通知する。
【0051】
後処理制御部61は、印刷制御部41から通知された後処理の内容に応じて、切替器62の切り替えを実行して、印刷処理が行われた後の用紙を後処理部71、72のいずれかに振り分けて後処理を実行する。
【0052】
このように本実施形態の画像形成システム10において2つの後処理部71、72が設けられている理由について説明する。一般的には、折り処理や冊子作成処理のような後処理は、印刷処理と比較して長い時間が必要となる。そのため、後処理部が1つのみしか備えられていない場合、後処理部において後処理が終了して排出が完了するまでは次の印刷ジョブの印刷処理を開始することができずに待機しなければならない。
【0053】
そこで、本実施形態の画像形成システム10では、同等の機能を有する2つの後処理部71、72を備えていることにより、1つの後処理部のみを備えている場合と比較して、後処理を実行して排出するまでの時間を短縮することができる。
【0054】
しかし、このように複数の後処理手段を用いて後処理を行った場合には、後処理手段の配置や後処理の内容によって、後処理終了後の印刷ジョブの排出順番が入れ替わってしまう場合がある。具体的には、前の印刷ジョブに基づく処理の排出が完了する前に、後ろの印刷ジョブに基づく処理の排出が行われてしまう場合がある。
【0055】
そして、印刷ジョブの排出順番が入れ替わってしまうと、例えばある印刷ジョブを実行中にエラーが発生して処理が中断した場合も、エラーが解消されて中断していた印刷ジョブが再開されると、次の印刷ジョブについては排出が完了しているにもかかわらず、次の印刷ジョブに対する処理も再度実行されてしまう。すなわち、同じ印刷ジョブが重複して処理されてしまうこととなる。
【0056】
そこで、本実施形態の画像形成システム10では、このような弊害の発生を防ぐために、複数の後処理手段を用いて効率的な後処理を実現する場合でも、以下において説明するような処理を行うことにより、後処理終了後の排出順番が入れ替わってしまうことを防ぐようにしている。
【0057】
具体的には、後処理制御部61は、切替器62を制御して複数の印刷ジョブに基づく後処理を2つの後処理部71、72に振り分けて実行する際に、前の印刷ジョブの印刷処理の完了後に、後の印刷ジョブに基づく印刷処理の開始を、前の印刷ジョブに対する後処理の完了が、後の印刷ジョブに対する後処理の完了よりも遅くならないように遅らせる。
【0058】
より具体的には、後処理制御部61は、前の印刷ジョブに基づく印刷処理の最終ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送されて後処理部71、72により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷ジョブに基づく印刷処理の全ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送されて後処理部71、72により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも長い場合に、第1の時間と第2の時間との差分だけ、後の印刷ジョブに基づく印刷処理の開始を遅らせるよう印刷制御部41に通知を行う。
【0059】
なお、後処理制御部61は、前の印刷ジョブに基づく印刷処理の最終ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送されて後処理部71、72により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷ジョブに基づく印刷処理の全ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送されて後処理部71、72により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも短い場合に、後の印刷ジョブに基づく印刷処理を遅らせずに開始するよう印刷制御部41に通知する。
【0060】
ここで、後処理制御部61は、前の印刷ジョブに基づく印刷処理の最終ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送される搬送時間と、後処理部71、72により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して上記の第1の時間を算出する。
【0061】
そして、後処理制御部61は、後の印刷ジョブに基づく印刷処理の全ページが後処理部71、72のいずれかまで搬送される各搬送時間の合計時間と、後処理部71、72により後処理を実行するのに必要な時間とを加算して上記の第2の時間を算出する。
【0062】
なお、後処理制御部61は、切替器62を制御して複数の印刷ジョブに基づく後処理を複数の後処理部71、72に振り分けて実行する際に、前の印刷ジョブに基づく印刷処理の完了後に、後の印刷ジョブに基づく後処理を、前の印刷ジョブに基づく後処理を実行する後処理部とは異なる後処理部により実行して排出するよりも、前の印刷ジョブに基づく後処理を実行する後処理部により実行して排出した方が、後処理を実行して排出するまでの時間が短い場合は、切替器62により用紙の搬送先を切り替えないで、後の印刷ジョブに基づく印刷処理を開始するよう印刷制御部41に通知する。
【0063】
なお、印刷ジョブに基づく後処理においては、紙づまり等の異常が発生する場合がある。このような異常が発生した場合にも、印刷ジョブの排出順序が入れ替わってしまうことを防ぐ必要がある。
【0064】
そのため、後処理制御部61は、後の印刷ジョブに基づく後処理を実行中に、前の印刷ジョブに基づく後処理に異常があった場合に、後の印刷ジョブに基づく後処理を中止する。なお、ここでの「後処理を中止する」は後処理をとりやめることである。
【0065】
具体的には、後処理制御部61は、後の印刷ジョブに基づく後処理を実行中に、前の印刷ジョブに基づく後処理に異常があった場合に、後の印刷ジョブに基づく後処理を実行後に、後処理が実行された印刷ジョブの排出を中止する。
【0066】
また、後処理制御部61は、後の印刷ジョブに基づく後処理を実行中に、前の印刷ジョブに基づく後処理に異常があった場合に、後の印刷ジョブに基づく後処理を中断するようにしても良い。この場合には、後処理制御部61は、前の印刷ジョブに基づく後処理の異常が解消された場合に、中断されていた後の印刷ジョブに基づく後処理を再開する。
【0067】
なお、印刷制御部41と後処理制御部61は、前の印刷ジョブに基づく処理の異常が解消された場合に、異常が解消されたその前の印刷ジョブに基づく処理を最初から開始する。つまり、ある印刷ジョブの後処理の途中で異常が発生して、最終的な排出完了までの処理が正常に実行されなかった場合、後処理制御部61と印刷制御部41は、その印刷ジョブの印刷処理の再実行から開始する。
【0068】
次に、本実施形態の画像形成システム10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0069】
まず、画像形成システム10において複数の印刷ジョブを順次実行する際に、後処理制御部61が印刷制御部41に対して印刷ジョブの開始タイミング遅らせる遅延時間を通知することにより各印刷ジョブの排出順序が入れ替わってしまうことを防ぐ際の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
まず、後処理制御部61は、ステップS101において、印刷制御部41から印刷ジョブの処理内容を受信する。そして、後処理制御部61は、ステップS102において、受信した処理内容に基づいて、後処理部71、72における後処理時間と、分岐点から後処理部71、72までの搬送時間をそれぞれ算出する。
【0071】
ここで、分岐点から後処理部71、72までのそれぞれの搬送時間は、分岐点から後処理部71、72までの距離と、用紙搬送速度とから算出することが可能である。
【0072】
そして、後処理制御部61は、ステップS103において、先行する印刷ジョブの排出完了前に、次の印刷ジョブの排出が完了するような事態の発生があるか否かを判定する。なお、後処理制御部61が具体的にどのような処理を行うことにより、先行する印刷ジョブの排出完了前に、次の印刷ジョブの排出が完了するような事態の発生があるか否かを判定するかについての詳細については後述する。
【0073】
そして、先行する印刷ジョブの排出完了前に、次の印刷ジョブの排出が完了するような事態の発生があると判定した場合、後処理制御部61は、ステップS104において、排出順序が逆転しないような遅延時間を算出して、その遅延時間を印刷制御部41に通知する。
【0074】
なお、先行する印刷ジョブの排出完了前に、次の印刷ジョブの排出が完了するような事態の発生がないと判定した場合、後処理制御部61は、ステップS105において、最短時間で次の印刷ジョブを開始するように印刷制御部41に通知する。
【0075】
次に、上記で説明した後処理制御部61の詳細な動作内容を、具体例を用いて説明する。
【0076】
まず、後処理装置51、52における搬送路の分岐点と、後処理部71、72との位置関係について図5を参照して説明する。なお、図5では、用紙の搬送速度が1000mm/秒であるものとして説明する。
【0077】
図5を参照すると、切替器62が設けられている分岐点から後処理部71までの搬送路65の距離が100mmであり、この分岐点から後処理部72までの搬送路64、67の距離が500mmとなっている。
【0078】
つまり、分岐点を通過した用紙が搬送路65上を搬送されて後処理部71に到達するまでの時間は下記の式により算出され0.1秒となる。
【0079】
100(mm)/1000(mm/秒)=0.1(秒)
【0080】
また、分岐点を通過した用紙が搬送路64、67上を搬送されて後処理部72に到達するまでの時間は下記の式により算出され0.5秒となる。
【0081】
500(mm)/1000(mm/秒)=0.5(秒)
【0082】
なお、後処理部71、72において、折り処理を実行するために必要な折り処理時間はともに1秒で、冊子を作成するために必要な冊子作成時間はともに3秒であるものとして説明する。
【0083】
後処理部71、72が配置されている位置関係および後処理部71、72における処理時間が図5に示したようになっている場合に、印刷ジョブの後処理を実行した場合の具体的な処理時間例を図6に示す。
【0084】
(1)図6を参照すると、後処理手段71において、5枚の用紙を搬送して折り処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は1.5秒となることが分かる。具体的には、5枚の用紙を1枚ずつ分岐点から後処理部71まで搬送るための搬送時間は0.1秒×5により0.5秒となる。そして、この5枚の用紙に対して後処理部71において一括で折り処理を行うための時間が1秒であるため、合計処理時間は搬送時間0.5秒に折り処理時間1秒を加算した1.5秒となる。
【0085】
(2)同様に、後処理手段71において、7枚の用紙を搬送して冊子作成処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は3.7秒となることが分かる。
【0086】
(3)また、後処理手段71において、9枚の用紙を搬送して冊子作成処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は3.9秒となることが分かる。
【0087】
(4)また、後処理手段72において、5枚の用紙を搬送して折り処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は3.5秒となることが分かる。
【0088】
(5)また、後処理手段72において、7枚の用紙を搬送して冊子作成処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は6.5秒となることが分かる。
【0089】
(6)また、後処理手段72において、9枚の用紙を搬送して冊子作成処理を実行して完了するまでに必要となる必要時間は7.5秒となることが分かる。
【0090】
次に、具体的な印刷ジョブ例を用いて、複数の後処理部71、72に対して各印刷ジョブを振り分けた場合でも排出順序が逆転しないような遅延時間を印刷ジョブ間に設ける場合の具体的な処理について説明する。
【0091】
まず、図7に示すような具体的な印刷処理例1を画像形成システム10において実行する場合について説明する。
【0092】
この図7に示した具体的な印刷処理例1では、5枚の用紙に対して印刷処理を行った後に折り処理を実行する印刷ジョブと、7枚の用紙に対して印刷処理を行った後に冊子作成処理を実行する印刷ジョブを交互に実行するものである。
【0093】
そして、この印刷処理例1では、5枚の用紙に対して印刷処理を行った後に折り処理を実行する印刷ジョブ1、3、・・・を後処理部71に振り分けて実行し、7枚の用紙に対して印刷処理を行った後に冊子作成処理を実行する印刷ジョブ2、・・・を後処理部72に振り分けて実行するものとして説明する。
【0094】
このような図7に示した印刷処理例1を画像形成システム10において実行する際に、印刷ジョブ1の処理が完了して排出装置63に排出され、印刷ジョブ2の1ページから6ページ(P1~P6)までが後処理部72に搬送され、印刷ジョブ2の最終ページ(P7)が分岐点を通過する際の様子を図8に示す。
【0095】
図8を参照すると、5ページの印刷ジョブ1については後処理部71において折り処理が完了して排出装置63に対して排出されて排出が完了した状態となっている。そして、印刷ジョブ2について、6ページ目まで(P1~P6)までが後処理部72に対して搬送が行われていて、7ページ目(P7)が分岐点を通過しようとしている状態であることが分かる。
【0096】
後処理制御部61は、この図8に示したような状態において、後続の印刷ジョブ3の印刷開始を遅らせるべきか否かの判定を行う。
【0097】
具体的には、後処理制御部61は、先行している前の印刷ジョブ2に基づく印刷処理の最終ページP7が後処理部72まで搬送されて後処理部72により後処理が実行されて排出されるまでの第1の時間が、後の印刷ジョブ3に基づく印刷処理の全頁が後処理部71まで搬送されて後処理部71により後処理が実行されて排出されるまでの第2の時間よりも長い場合に、第1の時間と第2の時間との差分だけ、後の印刷ジョブ3に基づく印刷処理の開始を遅らせる。
【0098】
この後処理制御部61により算出される第1の時間と、第2の時間の具体例を図9に示す。
【0099】
図9では、印刷ジョブ2の最終ページ(P7)が分岐点を通過した時刻を基準として、その後に印刷ジョブ2、3の排出が完了するまでの時間を算出した場合が示されている。
【0100】
印刷ジョブ2については、最終ページ(P7)が搬送路64、67を経由して後処理部72にまで搬送される搬送時間である0.5秒に、後処理部72における冊子作成時間である3秒を加算して得られる3.5秒が排出完了までの時間となる。
【0101】
そして、印刷ジョブ3については、全ページ(P1~P5)が搬送路65を経由して後処理部71にまで搬送される搬送時間の合計である0.5秒に、後処理部71における折り処理時間である1秒を加算して得られる1.5秒が排出完了までの時間となる。
【0102】
つまり、印刷ジョブ3の排出が完了するまでの時間1.5秒の方が、印刷ジョブ2の排出が完了するまでの時間3.5秒よりも短くなっており、このまま印刷ジョブ3の印刷処理を開始したのでは、印刷ジョブ2の排出が完了する前に印刷ジョブ3の排出が行われてしまうことが分かる。
【0103】
ここで、図9では、印刷ジョブ3の排出が完了する時刻をT1として表し、印刷ジョブ2の排出が完了する時刻をT2として表している。
【0104】
このような状況において印刷ジョブ3の印刷処理を遅延させずに実行した場合の時刻T1における各印刷ジョブの様子を図10に示す。
【0105】
図10を参照すると、この時刻T1においては印刷ジョブ3の後処理部71における後処理が完了して排出装置63に排出されているのが分かる。しかし、この時点においても後処理部72においては印刷ジョブ2に対する冊子作成処理が実行されており、排出トレイ66への排出は完了していないのが分かる。
【0106】
つまり、印刷ジョブ2の印刷処理の直後に印刷ジョブ3の印刷処理をそのまま開始したのでは、図10に示したように、印刷ジョブ3の方が先に排出完了してしまい排出順序が、印刷ジョブの実行順序とは異なってしまう。
【0107】
そのため、本実施形態の後処理制御部61は、図11に示すように、印刷ジョブ3の印刷処理の開始を遅延させるための遅延時間を設けるよう印刷制御部41に通知する。
【0108】
具体的には、後処理制御部61は、図9に示した、印刷ジョブ2の排出が完了するまでの時間3.5秒と、印刷ジョブ3の排出が完了するまでの時間1.5秒との差である2秒を、印刷ジョブ3の印刷処理の開始を遅らせるための遅延時間として印刷制御部41に通知する。
【0109】
なお、印刷ジョブ3の印刷処理の開始を2秒遅らせた場合、印刷ジョブ2の排出が完了するまでの時間と印刷ジョブ3の排出が完了するまでの時間とが同じ値となるが、実際には印刷ジョブ2の最終ページの印刷処理と、印刷ジョブ3の最初のページの印刷処理との間にはある程度の時間差が発生するため、印刷ジョブ3の印刷処理の開始を2秒遅らせることにより印刷ジョブ2の排出完了は印刷ジョブ3の排出完了よりも前に確実に行われることになる。
【0110】
次に、図12に示すような具体的な印刷処理例2を画像形成システム10において実行する場合について説明する。
【0111】
この図12に示した具体的な印刷処理例2では、5枚の用紙に対して印刷処理を行った後に折り処理を実行する3つの印刷ジョブを実行するものである。
【0112】
そして、この印刷処理例2では、最初の印刷ジョブ1を後処理部71に振り分けて実行し、次の印刷ジョブ2を後処理部72に振り分けて実行し、最後の印刷ジョブ3を後処理部71に振り分けて実行するものとして説明する。
【0113】
ここで、印刷ジョブ1と印刷ジョブ2については同一内容の印刷ジョブとなっており、最初に排出されるべき印刷ジョブ1の方がより搬送路の短い後処理部71に振り分けられるため、排出順序が逆転することはない。そのため、以下においては印刷ジョブ2と印刷ジョブ3との間で排出順序が逆転するか否かの判定を行う場合について説明する。
【0114】
この印刷処理例2において、印刷ジョブ2の最終ページ(P5)が分岐点を通過した後に、印刷ジョブ2、3の排出がそれぞれ完了するまでの時間を図13に示す。
【0115】
印刷ジョブ2については、最終ページ(P5)が搬送路64、67を経由して後処理部72にまで搬送される搬送時間である0.5秒に、後処理部72における折り処理時間である1秒を加算して得られる1.5秒が排出完了までの時間となる。
【0116】
そして、印刷ジョブ3については、全ページ(P1~P5)が搬送路65を経由して後処理部71にまで搬送される搬送時間の合計である0.5秒に、後処理部71における折り処理時間である1秒を加算して得られる1.5秒が排出完了までの時間となる。
【0117】
よって、後処理制御部61は、後の印刷ジョブの排出完了までの時間が前の印刷ジョブの排出完了までの時間よりも短くはなっていないため、印刷制御部41に対して印刷ジョブ3の印刷処理の開始を遅延させる必要は無い旨を通知する。
【0118】
次に、図14に示すような具体的な印刷処理例3を画像形成システム10において実行する場合について説明する。
【0119】
この図14に示した具体的な印刷処理例3では、9枚の用紙に対して印刷処理を行った後に冊子作成処理を実行する印刷ジョブと、2枚の用紙に対して印刷処理を行った後に折り処理を実行する印刷ジョブを交互に実行するものである。
【0120】
そして、この印刷処理例3では、9枚の用紙に対して印刷処理を行った後に冊子作成処理を実行する印刷ジョブ1、3、・・・を後処理部71に振り分けて実行し、2枚の用紙に対して印刷処理を行った後に折り処理を実行する印刷ジョブ2、・・・を後処理部72に振り分けて実行するものとして説明する。
【0121】
この印刷処理例3において、印刷ジョブ1の最終ページ(P9)が分岐点を通過した後に、印刷ジョブ1、2の排出がそれぞれ完了するまでの時間を図15に示す。
【0122】
印刷ジョブ1については、最終ページ(P9)が搬送路65を経由して後処理部71にまで搬送される搬送時間である0.1秒に、後処理部71における冊子作成時間である3秒を加算して得られる3.1秒が排出完了までの時間となる。
【0123】
そして、印刷ジョブ2については、全ページ(P1、P2)が搬送路64、67を経由して後処理部72にまで搬送される搬送時間の合計である1.0秒に、後処理部72における折り処理時間である1秒を加算して得られる2.0秒が排出完了までの時間となる。
【0124】
この図15を参照すると、印刷ジョブ1の排出完了までの時間3.1秒が、印刷ジョブ2の排出完了までの時間2.0秒よりも長くなっているのが分かる。そのため、後処理制御部61は、印刷ジョブ1の次に印刷ジョブ2の印刷処理を遅延させることなく開始したのでは、印刷ジョブ2の排出完了が印刷ジョブ1の排出完了よりも前になってしまうと判定する。
【0125】
そのため、後処理制御部61は、図16に示すように、印刷ジョブ1の排出が完了するまでの時間3.1秒と、印刷ジョブ2の排出が完了するまでの時間2.0秒との差である1.1秒を、印刷ジョブ2の印刷処理の開始を遅らせるための遅延時間として印刷制御部41に通知する。
【0126】
なお、上記で説明した実施形態では、印刷制御部41が画像形成装置40に設けられ、後処理制御部61が後処理装置51に設けられた構成の場合について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、印刷制御部41と後処理制御部61の機能が1つの制御部により実現されて画像形成装置40内に設けられているような構成とすることもできる。
【0127】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0128】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 画像形成システム
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
40 画像形成装置
41 印刷制御部
42 用紙供給カセット
43 搬送路
44 画像形成部
51、52 後処理装置
61 後処理制御部
62 切替器
63 排出装置
64、65 搬送路
66 排出トレイ
67 搬送路
71、72 後処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16