(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
A61H3/04
(21)【出願番号】P 2020038949
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019092280
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
(72)【発明者】
【氏名】金谷 学
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐樹
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128724(JP,A)
【文献】特開2013-116146(JP,A)
【文献】特開2009-106446(JP,A)
【文献】特開2015-123330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに設けられた少なくとも1つの駆動輪を含む複数の車輪と、
前記駆動輪を駆動する走行用駆動手段と、
使用者に把持されて前記フレームに対する前後方向であるフレーム前後方向に移動可能とされた左右一対の持ち手と、
それぞれの前記持ち手の状態に応じた検出信号を出力するそれぞれの持ち手状態検出手段と、
それぞれの前記持ち手状態検出手段からの検出信号に基づいて検出したそれぞれの持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御する制御装置と、
前記走行用駆動手段と前記制御装置への電源となるバッテリと、
を有する歩行支援装置であって、
それぞれの前記持ち手の移動範囲を、前記フレーム前後方向において設定された基準位置の近傍に拘束するロック状態と、前記ロック状態を解除した解除状態と、に切り替え可能なそれぞれのロック機構と、
前記ロック状態と前記解除状態とに応じた状態検出信号を出力するそれぞれのロック状態検出手段と、
を有し、
前記制御装置は、
それぞれの前記ロック状態検出手段からの状態検出信号に基づいて、
左右の前記持ち手を把持した使用者が腕を前後に振りながら歩行する腕振り歩行を支援するように、検出した前記持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御するトレーニングモードと、
左右の前記持ち手を把持した使用者が腕を振ることなく歩行する非腕振り歩行を支援するように、検出した前記持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御するアシストモードと、
の異なる2つの動作モードを切り替える、
歩行支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の歩行支援装置であって、
前記走行用駆動手段の制御状態を使用者へ教示する教示手段を備え、
前記制御装置は、
前記アシストモードに切り替えた場合に、前記教示手段を用いて前記アシストモードであることを出力し、
前記トレーニングモードに切り替えた場合に、前記教示手段を用いて前記トレーニングモードであることを出力する、
歩行支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の歩行支援装置であって、
使用者へ警告する警告手段を備え、
前記制御装置は、
左右の前記ロック状態検出手段のそれぞれの状態が互いに異なると判定した場合に、前記警告手段を用いて使用者へ警告する、
歩行支援装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の歩行支援装置であって、
前記駆動輪の回転をロックする駆動輪ロック手段を備え、
前記制御装置は、
左右の前記ロック状態検出手段のそれぞれの状態が互いに異なると判定した場合に、前記駆動輪ロック手段を用いて前記駆動輪をロックする、
歩行支援装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の歩行支援装置であって、
使用者からの前記トレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示を入力可能な指示デバイスと、
使用者からの入力指示である、前記ロック状態にする指示であるロック指示と前記解除状態にする指示である解除指示と、が入力される左右一対のロック指示入力手段と、
それぞれの前記ロック状態検出手段とは別に設けられてそれぞれの前記ロック指示入力手段への前記ロック指示と前記解除指示とに応じた検出信号を出力するそれぞれのロック指示検出手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記動作モードを切り替える際、
それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示における少なくとも一方が前記ロック指示である場合には、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された場合であっても前記トレーニングモードへの切り替えを禁止する切替禁止制御と、
それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示の双方が前記解除指示である場合において、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された場合には、前記トレーニングモードへの切り替えを実行する切替許可制御と、
を実行する制御モード管理部を有している、
歩行支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の歩行支援装置であって、
それぞれの前記ロック機構は、
前記制御装置から制御されて前記ロック状態と前記解除状態とを切り替えるそれぞれのアクチュエータを有している、
歩行支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の歩行支援装置であって、
前記動作モードとして、前記トレーニングモードと前記アシストモードとは異なるスタンバイモードを有し、
前記制御装置は、
前記制御モード管理部にて、
それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示における少なくとも一方が前記ロック指示である場合には、前記動作モードを前記アシストモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記ロック状態へと制御し、
それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示の双方が前記解除指示である場合には、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力されるまでは前記動作モードを前記スタンバイモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記ロック状態へと制御して、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された際に前記動作モードを前記トレーニングモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記解除状態へと制御する、
歩行支援装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の歩行支援装置であって、
前記歩行支援装置は、音声出力手段を有し、
前記制御装置は、
前記制御モード管理部にて前記切替禁止制御を行った場合、それぞれの前記ロック指示入力手段の双方へ前記解除指示を入力することを促す旨の音声を、前記音声出力手段を介して出力する、
歩行支援装置。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の歩行支援装置であって、
前記指示デバイスは、
音声入力手段を有し、
前記音声入力手段を介して前記トレーニングモード開始指示に対応する音声が入力された場合に前記トレーニングモード開始指示を受け付ける、
歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自立歩行可能な使用者が、より質の高い自然な歩行のトレーニングを行うには、歩行器に寄り掛からず、体幹を真っ直ぐにした正しい姿勢で、脚に同期させて正しく腕を振りながら歩行することが非常に重要である。しかしながら使用者が腕を振りながら歩行する腕振り歩行の支援に加えて、腕を振らずに歩行する非腕振り歩行の支援も所望されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の手押し車は、使用者が、左右方向に延びるように手押し車に固定されたハンドルバーを把持してハンドルバーを押すと、手押し車を押す力であるハンドル力の大きさと、その方向に応じて、手押し車に対して進行方向の移動をアシストするアシスト力を発生させる。
【0004】
また例えば、特許文献2に記載の電動式4輪手押し杖車は、左右方向に延びるように電動式4輪手押し杖車に固定された可動手押し外筒が握られて前方斜め下に押されると電動で前進し使用者の歩行をアシストし、手を離すと自動的に停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-12546号公報
【文献】特開平8-280763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、腕振り歩行の支援に加えて、非腕振り歩行の支援も望まれている。また、腕振り歩行を支援する動作モードであるトレーニングモードと、非腕振り歩行を支援する動作モードであるアシストモードを、より手間なく切り替え可能であることが所望されている。
【0007】
特許文献1に記載の手押し車では、使用者がハンドルバーに手を掛けながら歩行できるものの、把持するハンドルバーが手押し車に固定されているので、使用者が、脚の動きに同期させて正しく腕を振りながら歩行する質の高い歩行の訓練を支援することができない。
【0008】
特許文献2に記載の電動式4輪手押し杖車も特許文献1と同様に、使用者が可動手押し外筒を把持して歩行をアシストすることができる。しかしながら使用者が把持する可動手押し外筒が電動式4輪手押し杖車に固定されているので、使用者が、脚の動きに同期させて正しく腕を振りながら歩行する質の高い歩行の訓練を支援することができない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、使用者が、前後方向に移動可能とされた左右の持ち手をロック状態、あるいは解除状態に切り替えることで、腕を振らずに歩行する非腕振り歩行を支援するアシストモードと、脚の動きに同期させて正しく腕を振りながら歩行する腕振り歩行を支援するトレーニングモードと、の異なる2つの動作モードを自動的に切り替えることが可能な歩行支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、フレームと、前記フレームに設けられた少なくとも1つの駆動輪を含む複数の車輪と、前記駆動輪を駆動する走行用駆動手段と、使用者に把持されて前記フレームに対する前後方向であるフレーム前後方向に移動可能とされた左右一対の持ち手と、それぞれの前記持ち手の状態に応じた検出信号を出力するそれぞれの持ち手状態検出手段と、それぞれの前記持ち手状態検出手段からの検出信号に基づいて検出したそれぞれの持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御する制御装置と、前記走行用駆動手段と前記制御装置への電源となるバッテリと、を有する歩行支援装置であって、それぞれの前記持ち手の移動範囲を、前記フレーム前後方向において設定された基準位置の近傍に拘束するロック状態と、前記ロック状態を解除した解除状態と、に切り替え可能なそれぞれのロック機構と、前記ロック状態と前記解除状態とに応じた状態検出信号を出力するそれぞれのロック状態検出手段と、を有し、前記制御装置は、それぞれの前記ロック状態検出手段からの状態検出信号に基づいて、左右の前記持ち手を把持した使用者が腕を前後に振りながら歩行する腕振り歩行を支援するように、検出した前記持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御するトレーニングモードと、左右の前記持ち手を把持した使用者が腕を振ることなく歩行する非腕振り歩行を支援するように、検出した前記持ち手状態に基づいて前記走行用駆動手段を制御するアシストモードと、の異なる2つの動作モードを切り替える、歩行支援装置である。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る歩行支援装置であって、前記走行用駆動手段の制御状態を使用者へ教示する教示手段を備え、前記制御装置は、前記アシストモードに切り替えた場合に、前記教示手段を用いて前記アシストモードであることを出力し、前記トレーニングモードに切り替えた場合に、前記教示手段を用いて前記トレーニングモードであることを出力する、歩行支援装置である。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る歩行支援装置であって、使用者へ警告する警告手段を備え、前記制御装置は、左右の前記ロック状態検出手段のそれぞれの状態が互いに異なると判定した場合に、前記警告手段を用いて使用者へ警告する、歩行支援装置である。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明~第3の発明のいずれか1つに係る歩行支援装置であって、前記駆動輪の回転をロックする駆動輪ロック手段を備え、前記制御装置は、左右の前記ロック状態検出手段のそれぞれの状態が互いに異なると判定した場合に、前記駆動輪ロック手段を用いて前記駆動輪をロックする、歩行支援装置である。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明~第4の発明のいずれか1つに係る歩行支援装置であって、使用者からの前記トレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示を入力可能な指示デバイスと、使用者からの入力指示である、前記ロック状態にする指示であるロック指示と前記解除状態にする指示である解除指示と、が入力される左右一対のロック指示入力手段と、それぞれの前記ロック状態検出手段とは別に設けられてそれぞれの前記ロック指示入力手段への前記ロック指示と前記解除指示とに応じた検出信号を出力するそれぞれのロック指示検出手段と、を有し、前記制御装置は、前記動作モードを切り替える際、それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示における少なくとも一方が前記ロック指示である場合には、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された場合であっても前記トレーニングモードへの切り替えを禁止する切替禁止制御と、それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示の双方が前記解除指示である場合において、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された場合には、前記トレーニングモードへの切り替えを実行する切替許可制御と、を実行する制御モード管理部を有している、歩行支援装置である。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係る歩行支援装置であって、それぞれの前記ロック機構は、前記制御装置から制御されて前記ロック状態と前記解除状態とを切り替えるそれぞれのアクチュエータを有している、歩行支援装置である。
【0016】
次に、本発明の第7の発明は、上記第6の発明に係る歩行支援装置であって、前記動作モードとして、前記トレーニングモードと前記アシストモードとは異なるスタンバイモードを有し、前記制御装置は、前記制御モード管理部にて、それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示における少なくとも一方が前記ロック指示である場合には、前記動作モードを前記アシストモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記ロック状態へと制御し、それぞれの前記ロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの前記入力指示の双方が前記解除指示である場合には、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力されるまでは前記動作モードを前記スタンバイモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記ロック状態へと制御して、前記指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力された際に前記動作モードを前記トレーニングモードに設定してそれぞれの前記アクチュエータを前記解除状態へと制御する、歩行支援装置である。
【0017】
次に、本発明の第8の発明は、上記第5の発明~第7の発明のいずれか1つに係る歩行支援装置であって、前記歩行支援装置は、音声出力手段を有し、前記制御装置は、前記制御モード管理部にて、前記切替禁止制御を行った場合、前記音声出力手段を介して前記ロック機構を前記解除状態にすることを促す旨の音声を出力する、歩行支援装置である。
【0018】
次に、本発明の第9の発明は、上記第5の発明~第8の発明のいずれか1つに係る歩行支援装置であって、前記指示デバイスは、音声入力手段を有し、前記音声入力手段を介して前記トレーニングモード開始指示に対応する音声が入力された場合に前記トレーニングモード開始指示を受け付ける、歩行支援装置である。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、使用者が、前後方向に移動可能とされた左右の持ち手をロック状態、あるいは解除状態と切り替えることで、腕を振らずに歩行する非腕振り歩行を支援するアシストモードと、腕の動きに同期させて正しく腕を振りながら歩行する腕振り歩行を支援するトレーニングモードと、の異なる2つの動作モードを切り替えることが可能である。
【0020】
第2の発明によれば、選択されている歩行支援装置の動作モードの使用者が容易に確認することができる。
【0021】
第3の発明によれば、左右の持ち手のそれぞれのフレームに対するロック状態が互いに異なる場合を使用者が容易に認識できるため、左右の持ち手のそれぞれのロック状態を適切にすることができる。これにより使用者が適切に歩行支援装置の動作モードを選択できる。
【0022】
第4の発明によれば、左右の持ち手のそれぞれのフレームに対するロック状態が互いに異なる場合に駆動輪をロックするため、使用者が予期しない歩行支援装置の走行を防ぐことができ便利である。
【0023】
第5の発明によれば、使用者は、トレーニングモード開始指示を指示デバイスに入力すれば、制御モード管理部が切替許可制御を実行して、動作モードをトレーニングモードに切り替えることができる。従って、歩行支援装置の動作モードをより容易にトレーニングモードに切り替えることができる。
【0024】
第6の発明によれば、歩行支援装置は、左右それぞれのロック機構が、制御装置から制御されてロック状態と解除状態とを切り替えるそれぞれのアクチュエータを有する。これにより、制御装置が左右それぞれの持ち手をロック状態と解除状態とを切り替える制御が可能となる。
【0025】
第7の発明によれば、歩行支援装置は、動作モードとして、トレーニングモードと、アシストモードとに加えて、スタンバイモードを有する。制御モード管理部は、左右それぞれのロック指示検出手段を用いて検出した、それぞれの入力指示の双方が解除指示である場合において、指示デバイスからトレーニングモード開始指示が入力されるまで、左右それぞれのアクチュエータにロック状態にさせて、動作モードをスタンバイモードに設定することが可能となる。さらに、制御モード管理部は、左右それぞれのロック指示検出手段を用いて検出した、それぞれの入力指示の双方が解除指示である場合において、指示デバイスからトレーニングモード開始指示が入力された際に、左右それぞれのアクチュエータに解除状態にさせて、動作モードをトレーニングモードに設定することが可能となる。
【0026】
第8の発明によれば、歩行支援装置は、制御モード管理部にて、トレーニングモード開始指示が指示デバイスに入力された場合であっても、トレーニングモードへの切り替えを行わない切替禁止制御を行った場合、音声出力手段を介してロック機構を解除状態にすることを促す旨の音声を出力する。これにより、使用者が、トレーニングモード開始指示を指示デバイスに入力したにも関わらず、動作モードがトレーニングモードへ切り替わらない場合に、使用者がロック機構を解除状態にする必要性をより容易に知ることが出来る。
【0027】
第9の発明によれば、使用者は、音声で動作モードをトレーニングモードに切り替えさせることができる。従って、使用者は、歩行支援装置の動作モードをより容易にトレーニングモードに切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】歩行支援装置の外観を説明する斜視図である。
【
図2】フレームを左右方向に折り畳む前の開いた状態を説明する図である。
【
図3】フレームを左右方向に折り畳んだ状態を説明する図である。
【
図4】筒状部、シャフト、持ち手の外観と構造の例を説明する斜視図である。
【
図5】
図4において筒状部をV方向から見た図である。
【
図6】ロック機構の構造の例を説明する図であり、シャフトを解除状態にした場合の例を説明する図である。
【
図7】ロック機構の構造の例を説明する図であり、シャフトをロック状態にした場合の例を説明する図である。
【
図8】シャフトがロック状態とされている場合であって、シャフト基準位置にシャフトが戻されている(保持されている)状態を説明する図である。
【
図9】シャフトがロック状態とされている場合であって、前後規制範囲内においてシャフト基準位置よりも前方へと、シャフト及び持ち手が使用者に押されている状態を説明する図である。
【
図10】シャフトがロック状態とされている場合であって、前後規制範囲内においてシャフト基準位置よりも後方へと、シャフト及び持ち手が使用者に引かれている状態を説明する図である。
【
図11】シャフトが解除状態とされている場合であって、前後規制範囲を超えてシャフト基準よりも大きく後方へと、シャフト及び持ち手が使用者に引かれている状態を説明する図である。
【
図12】操作パネルの外観の例を説明する図である。
【
図13】歩行支援装置の制御装置の入出力を説明するブロック図である。
【
図14】歩行支援装置の制御装置の処理手順(全体処理)を説明するフローチャートである。
【
図15】
図14に示す全体処理中の入力処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図16】
図15に示す入力処理中の右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図17】
図14に示す全体処理中の対地速度補正量算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図18】
図14に示す全体処理中の中央位置速度補正量算出処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図19】
図14に示す全体処理中の進行速度調整処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図20】歩行支援装置の平面図であり、持ち手前後位置、持ち手前後中央位置、仮想前後基準位置等を説明する図である。
【
図21】前後方向偏差・中央位置速度補正量特性の例を説明する図である。
【
図22】持ち手を把持して腕を前後に振りながら歩行する使用者と、歩行支援装置及び持ち手の位置、の例を説明する図である。
【
図23】他の実施の形態の歩行支援装置に係る操作パネルの外観の例を説明する図である。
【
図24】他の実施の形態の歩行支援装置に係る操作パネルの外観の例を説明する図である。
【
図25】他の実施の形態の歩行支援装置に係る制御装置の入出力を説明するブロック図である。
【
図26】他の実施の形態の歩行支援装置に係り、
図14に示す全体処理中の入力処理に対応する、入力処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図27】他の実施の形態の歩行支援装置に係る操作パネルの外観の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、各軸は互いに直交している。そしてX軸方向は、歩行支援装置10から見て前方に向かう方向を示し、Y軸方向は、歩行支援装置10から見て左に向かう方向を示し、Z軸方向は、歩行支援装置10からみて鉛直上方に向かう方向を示している。以降では、歩行支援装置10に対して、X軸方向を“前”、X軸方向に対して反対方向を“後”とし、Y軸方向を“左”、Y軸方向に対して反対方向を“右”、Z軸方向を“上”、Z軸方向に対して反対方向を“下”とする。また以降では、フレームの前後方向を「フレーム前後方向」と記載する。
【0030】
●[歩行支援装置10の概略全体構成(
図1~
図3)]
図1を用いて、歩行支援装置10の概略全体構成を説明する。歩行支援装置10は、フレーム50と、前輪60FL、60FRと、後輪60RL、60RRと、走行用駆動手段64L、64Rと、バッテリBと、制御装置40と、持ち手20L、20Rと、シャフト21L、21Rと、筒状部30L、30R、バッグ50K等を有している。
【0031】
フレーム50は、上下方向に延びて筒状部30L、30Rを支持する筒状部支持体51L、51Rと、フレーム50に対する前後方向であるフレーム前後方向に延びて車輪を支持する車輪支持体52L、52R等を有している。車輪支持体52Lは筒状部支持体51Lの下方に固定され、車輪支持体52Rは筒状部支持体51Rの下方に固定されている。また
図2は、フレーム50を左右方向に開いた状態を示し、
図3は、フレーム50を左右方向に折り畳んだ状態を示している。なお
図2及び
図3ではバッグ50Kを省略している。
図2及び
図3に示すように、筒状部支持体51Lと筒状部支持体51Rは、リンク部材54L、54R、55L、55Rにて接続されている。そして
図2及び
図3に示すように、歩行支援装置10は、使用していない場合では、
図3に示すように折り畳むことで、占有スペースを小さくできるので便利である。
【0032】
また歩行支援装置10は、左右に折り畳まれた
図3に示す状態から、左右に開いた
図2に示す状態へと、容易に変更することができる。また、筒状部支持体51Lと筒状部支持体51Rの上方の側には、弾性変形可能な連結体53が設けられている。使用者は、フレーム50の開放されている側(後方)から筒状部30Lと筒状部30Rの間に入り、左右の手で持ち手20Lと持ち手20Rを把持して、歩行支援装置10を操作する。
【0033】
筒状部支持体51Lの上端には筒状部30Lが保持され、筒状部支持体51Lの下方の側には、車輪支持体52Lが固定されている。なお筒状部支持体51Lは上下方向に伸縮可能とされており、腕を振りながら歩行する使用者の手の高さに応じて、筒状部30Lの高さを調整可能とされている。また車輪支持体52Lの前方の側には、旋回自在なキャスタ輪である前輪60FLが設けられており、車輪支持体52Lの後方の側には、走行用駆動手段64Lにて駆動される後輪60RLが設けられている。なお、筒状部支持体51R、筒状部30R、車輪支持体52R、前輪60FR、走行用駆動手段64R、後輪60RRも同様であるので、これらの説明は省略する。上記のように、フレーム50には複数の車輪(前輪60FL、60FR、後輪60RL、60RR)が設けられており、少なくとも1つの車輪(この場合、後輪60RL、後輪60RR)は、駆動輪である。
【0034】
走行用駆動手段64Lは、例えばサーボ機構付き電動モータであり、電源となるバッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40からの制御信号に基づいて、後輪60RLを回転駆動する。同様に、走行用駆動手段64Rは、例えばサーボ機構付き電動モータであり、バッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40からの制御信号に基づいて、後輪60RRを回転駆動する。
【0035】
また走行用駆動手段64Lには、エンコーダ等の進行速度検出手段64LEが設けられており、走行用駆動手段64Lの回転に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、進行速度検出手段64LEからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度(後輪60RLによる進行速度)を検出することができる。同様に、走行用駆動手段64Rには、エンコーダ等の進行速度検出手段64REが設けられており、走行用駆動手段64Rの回転に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度(後輪60RRによる進行速度)を検出することができる。
【0036】
筒状部30Lは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Lを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。同様に、筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Rを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。筒状部30Lと筒状部30Rは、左右一対で設けられている。
【0037】
シャフト21Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ(
図4参照)、筒状部30R内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Rの後端部には、持ち手20Rが固定されている。同様に、シャフト21Lは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ、筒状部30L内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Lの後端部には、持ち手20Lが固定されている。シャフト21Lとシャフト21Rは、左右一対で設けられている。
【0038】
持ち手20Lは、使用者が左手で把持する個所であり、シャフト21Lの後端部に固定され、使用者の歩行に伴う左腕の振りに合わせて、筒状部30Lに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Lとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Lには、後輪60RLの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。同様に、持ち手20Rは、使用者が右手で把持する個所であり、シャフト21Rの後端部に固定され、使用者の歩行に伴う右腕の振りに合わせて、筒状部30Rに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Rとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Rには、後輪60RRの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。持ち手20Lと持ち手20Rは、左右一対で設けられている。
【0039】
筒状部30L内には、持ち手20Lの状態を検出可能な持ち手状態検出手段21LSが設けられている。例えば持ち手状態検出手段21LSはエンコーダであり、シャフト21Lのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30L内におけるシャフト21Lのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Lのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、持ち手状態検出手段21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Lに対する)持ち手20Lのフレーム前後方向の位置である(左)持ち手前後位置を求めることができる。
【0040】
同様に、筒状部30R内には、持ち手20Rの状態を検出可能な持ち手状態検出手段21RSが設けられている。例えば持ち手状態検出手段21RSはエンコーダであり、シャフト21Rのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30R内におけるシャフト21Rのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Rのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、持ち手状態検出手段21RSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Rに対する)持ち手20Rのフレーム前後方向の位置である(右)持ち手前後位置を求めることができる。
【0041】
また筒状部30R(30L)には、使用者によって操作されるロック操作部31R(31L)が設けられている。ロック操作部31R(31L)は、フレーム前後方向に移動可能とされたシャフト21R(21L)及び持ち手20R(20L)を、「ロック状態」と「解除状態」のいずれかの状態に設定する。「ロック状態」では、シャフト21R(21L)及び持ち手20R(20L)のフレーム前後方向の移動範囲は、シャフト基準位置の近傍の前後規制範囲W1内(
図8~
図10参照)に規制され、持ち手20R(20L)を拘束する。「解除状態」では、シャフト21R(21L)及び持ち手20R(20L)の移動範囲は、前後規制範囲W1を超える範囲に許容される(
図11参照)。
【0042】
操作パネル70は、例えば筒状部30Rの上面に設けられており、
図12に示すように、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76等を有している。なお、操作パネル70の詳細については後述する。
【0043】
3軸加速度・角速度センサ50Sは、フレーム50に設けられており、X軸・Y軸・Z軸の3方向の軸のそれぞれに対して加速度を計測するとともに、3方向のそれぞれの軸を中心とした回転の角速度を計測し、計測結果に基づいた検出信号を制御装置40に出力する。例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10が傾斜面を進行している場合、X軸・Y軸・Z軸のそれぞれに対する歩行支援装置10の傾斜角度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10の車体に加えられた加速度(例えば、車体への衝撃)を検出し、検出した加速度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10の車体のピッチ角速度(Y軸回りの角速度)、ヨー角速度(Z軸回りの角速度)、ロール角速度(X軸回りの角速度)を検出し、検出した角速度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号に基づいて、歩行支援装置10のX軸・Y軸・Z軸に対するそれぞれの傾斜角度、加速度(衝撃)の大きさ、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度を検出することができる。
【0044】
●[筒状部30Rとシャフト21Rの詳細構造(
図4、
図5)]
次に
図4を用いて、筒状部及びシャフトの詳細構造について説明する。なお、筒状部及びシャフト(及び持ち手)は、左右一対であるので、右側の筒状部30R、シャフト21R、蓋部34R、持ち手20Rを例として説明し、左側の筒状部30L、シャフト21L、蓋部、持ち手20L(
図1参照)については説明を省略する。
図4は、筒状部30R、シャフト21R、蓋部34R、持ち手20Rの斜視図を示し、
図5は、
図4において筒状部30RをV方向から見た図である。なお
図4及び
図5では、ロック操作部31Rに連動するロック機構(
図6、
図7参照)については記載を省略している。
【0045】
筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、内部には、案内レール32R、案内ローラ33R、持ち手状態検出手段21RS、弾性ユニット35R4等が設けられている。また筒状部30Rの上面には、ロック操作部31R、操作パネル70等が設けられている。シャフト21Rは、持ち手嵌合孔21R1、ロック孔21R2、中空部21R3、被案内部材24R、シャフト側弾性部材26R、抜け防止部材25R等を有している。蓋部34Rには、シャフト21Rが挿通される挿通孔34R1が形成されている。持ち手20Rは、シャフト嵌合部20R1、ブレーキレバーBKL等を有している。
【0046】
なお、
図8に示すように、シャフト側弾性部材26R(シャフト位置復元手段に相当)における一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rが筒状部30R内に挿通された後、筒状部30Rに固定される。また
図8に示すように、シャフト側弾性部材26Rにおける他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rの中空部21R3内に挿通されてシャフト21Rに固定されている。
【0047】
また
図8に示すように、弾性ユニット35R4は、筒状部30R内の前端(X軸方向に向かう側の先端)に固定されている。そして弾性ユニット35R4は、筒状部側弾性部材35R1(シャフト位置復元手段に相当)、カラー35R2、ダンパ35R3等を有している。
図8に示すように、筒状部側弾性部材35R1における一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、弾性ユニット35R4に固定されている。また
図8に示すように、筒状部側弾性部材35R1における他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、カラー35R2における前方の側の面に固定されている。またカラー35R2における後方の側の面には、シャフト21Rの先端が衝突した際の衝撃音等を吸収するダンパ35R3が取り付けられている。そして
図8に示すシャフト基準位置では、ダンパ35R3における後方の側には、シャフト21Rの先端が接触している。
【0048】
図4において、持ち手20Rのシャフト嵌合部20R1は、蓋部34Rの挿通孔34R1に挿通されて、シャフト21Rの持ち手嵌合孔21R1に嵌め込まれ、持ち手20Rとシャフト21Rとが一体化される。そしてシャフト21RはX軸方向回りに右回りに90°旋回されて筒状部30Rの上下の案内ローラ33Rの間に差し込まれ、X軸方向に沿って押し込まれていく。シャフト21Rの先端の抜け防止部材25Rが抜け防止パネル36Rを通過して案内レール32Rに達する前に、シャフト21RはX軸方向回りに左回りに90°旋回される。そしてシャフト21Rが更にX軸方向に沿って押し込まれていくと、シャフト21Rの被案内部材24Rが案内レール32Rの凹状部に差し込まれ、シャフト21Rが案内レール32Rに案内される。そしてシャフト21Rの前方の側の先端がダンパ35R3に接触するまで差し込まれ、シャフト側弾性部材26Rの前方の側の先端が、作業者によって筒状部30Rに固定される。なお、案内レール32Rと被案内部材24Rは、筒状部30Rの内部において、フレーム前後方向に延びるシャフト中心軸線21RJ(
図4参照)回りにシャフト21Rが回転することを防止する回転防止構造に相当する。
【0049】
●[ロック機構の構造(
図6、
図7)]
次に
図6及び
図7を用いて、ロック機構の構造について説明する。
図6及び
図7に示すように、ロック機構は、ロック操作部31R、スイッチ機構31R1、ロック部31R6等を有している。
図6はロック機構を「解除状態」とした場合の例を示し、
図7はロック機構を「ロック状態」とした場合の例を示している。ロック機構も左右一対であるので、筒状部30R、シャフト21Rの側のロック機構を説明し、筒状部30L、シャフト21Lのロック機構については説明を省略する。
【0050】
なお
図6及び
図7は、使用者が持ち手20R(
図1参照)を把持していない状態であってシャフト21Rがシャフト基準位置に保持されている状態(
図8参照)を示しており、ロック突起31R3がロック孔21R2と対向している状態を示している。またロック孔21R2は、ゴミ等が堆積しないように下方に向かって開口していると、より好ましい。
【0051】
ロック操作部31Rは、筒状部30Rに形成された孔部30R1に取り付けられ、孔部30R1に沿ってフレーム前後方向(X軸方向)にスライド可能とされている。使用者がロック操作部31RをX軸方向にスライドさせた
図6に示す状態が「解除状態」であり、使用者がロック操作部31RをX軸方向とは反対の方向にスライドさせた
図7に示す状態が「ロック状態」である。
【0052】
スイッチ機構31R1は、例えばスライドスイッチであり、制御装置40(
図13参照)へ接続されている。スイッチ機構31R1は、ロック操作部31Rがロック側に移動されるとオンの状態になり、ロック操作部31Rが解除側に移動されるとオフの状態になる。
【0053】
ロック部31R6は、例えばソレノイドであり、ロック突起31R3とロック状態検出手段31R7等を有する。ロック部31R6は、制御装置40へ接続されている。ロック部31R6は、電流が供給されないと、図示は省略するがバネ等の付勢手段によりロック突起31R3が上方へ移動し、電流が供給されるとロック突起31R3が下方へ移動する。
図6に示す「解除状態」では、ロック部31R6は、通電状態にされて、ロック突起31R3を下方(解除側)へ移動させる。
図7に示す「ロック状態」では、ロック部31R6は、無通電状態にされて、ロック突起31R3を上方(ロック側)へ移動させる。これにより、電源(バッテリB)が喪失した場合であっても、持ち手20L、20Rが「ロック状態」となり移動できないため、より安全である。
【0054】
図6に示す「解除状態」では、スイッチ機構31R1はオフの状態となり、ロック部31R6の駆動を止めロック突起31R3を下方へ移動させる。
図7に示す「ロック状態」では、スイッチ機構31R1はオンの状態となり、ロック部31R6を駆動しロック突起31R3を上方へ移動させる。スイッチ機構31R1は、オン・オフの状態に対応した信号を制御装置40へ出力する。
【0055】
ロック状態検出手段31R7は、「ロック状態」と「解除状態」とに応じた信号である状態検出信号を出力する。ロック状態検出手段31R7は、例えばプッシュスイッチであり、制御装置40へ接続されている。ロック状態検出手段31R7は、ロック突起31R3の下方の端部側にあっての筒状部30Rの底面の内側に設けられている。
【0056】
図6に示す「解除状態」では、ロック突起31R3が下方へ移動することにより、ロック状態検出手段31R7の先端上部を押し下げロック状態検出手段31R7をオンの状態にする。
図7に示す「ロック状態」では、ロック突起31R3が上方へ移動することにより、ロック状態検出手段31R7の先端上部を押し下げることを止めて、ロック状態検出手段31R7をオフの状態にする。ロック状態検出手段31R7は、オン・オフの状態に対応した信号(状態検出信号)を制御装置40へ出力する。
【0057】
●[ロック状態におけるシャフト21Rの可動範囲(
図8~
図10)と、解除状態におけるシャフト21Rの可動範囲(
図11)]
図8は、使用者が持ち手20Rを把持していない状態、かつ、ロック機構を「ロック状態」とした場合の例を示しており、筒状部30Rに対するフレーム前後方向(X軸方向)におけるシャフト21R及び持ち手20Rの位置が、シャフト基準位置に保持されている状態の例を示している。なお
図8~
図11では、ロック機構の詳細を省略し、ロック突起31R3にて「ロック状態」と「解除状態」を示している。持ち手20Rに前後方向(X軸方向に平行な方向)の力が付与されていない場合、シャフト21R及び持ち手20Rは、ロック機構が「ロック状態」または「解除状態」のいずれの状態であっても、
図8に示すシャフト基準位置に保持される。この場合、シャフト側弾性部材26R(シャフト位置復元手段に相当)及び筒状部側弾性部材35R1(シャフト位置復元手段に相当)が、シャフト21R及び持ち手20Rを、
図8に示すシャフト基準位置に保持する。
【0058】
図8に示すシャフト基準位置では、シャフト側弾性部材26Rと筒状部側弾性部材35R1が共に自由長(力が付与されていない場合の長さ)、あるいは、シャフト側弾性部材26Rがシャフト21Rを前方に引っ張る力と筒状部側弾性部材35R1がシャフト21Rを後方に押す力とが釣り合うように設定されている。このシャフト基準位置では、シャフト21Rに設けられたロック孔21R2の前後方向の長さ範囲である前後規制範囲W1内のほぼ中央位置にロック突起31R3が位置するように、シャフト側弾性部材26Rの長さと、筒状部側弾性部材35R1の長さとが調整されている。なお、シャフト側弾性部材26Rのバネ定数K26よりも、筒状部側弾性部材35R1のバネ定数K35のほうが大きくなるようにバネ定数が設定されている。例えば、シャフト基準位置は、
図8に示すように、フレーム前後方向のシャフト21Rの可動範囲内におけるほぼ前方端に近い位置とされている。
【0059】
図9に示すように、
図8に示す「ロック状態」から、使用者が持ち手20Rを把持して、力Ffにて持ち手20Rを前方(X軸方向)に押すと、ロック突起31R3がロック孔21R2の後方縁部に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは前方に移動可能である。そして
図9に示す状態から使用者が持ち手20Rから手を離すと、筒状部側弾性部材35R1の弾性力によって、シャフト21R及び持ち手20Rは、
図8に示すシャフト基準位置に戻される。
【0060】
図10に示すように、
図8に示す「ロック状態」から、使用者が持ち手20Rを把持して、力Frにて持ち手20Rを後方(X軸方向とは反対の方向)に引くと、ロック突起31R3がロック孔21R2の前方縁部に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは後方に移動可能である。そして
図10に示す状態から使用者が持ち手20Rから手を離すと、シャフト側弾性部材26Rの弾性力によって、シャフト21R及び持ち手20Rは、
図8に示すシャフト基準位置に戻される。
【0061】
また
図11に示すように、「解除状態」では、シャフト21Rのフレーム前後方向の移動範囲が前後規制範囲W1内に規制されない。従って、使用者が持ち手20Rを把持して、力Frにて持ち手20Rを後方に引いた場合、シャフト21Rの先端の抜け防止部材25Rが抜け防止パネル36Rに干渉するまで後方に引くことができる。すなわち、使用者は、
図11に示す「解除状態」にした場合、腕を大きく振りながら歩行支援装置を用いて歩行することができる。この抜け防止部材25Rと抜け防止パネル36Rが、シャフト21Rが筒状部30Rから抜けることを防止する抜け防止構造に相当する。
【0062】
このように、シャフト21R(シャフト21L)には、自身を収容している筒状部30R(筒状部30L)に対するフレーム前後方向における基準位置であるシャフト基準位置が設定されている。
図8に示すように、使用者が持ち手20Rを把持していない場合、シャフト21R及び持ち手20Rは、シャフト位置復元手段(シャフト側弾性部材26R、筒状部側弾性部材35R1)によってシャフト基準位置に保持される。そして
図8に示すように、シャフト21R及び持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合、ロック孔21R2のフレーム前後方向におけるほぼ中央位置が、ロック突起31R3と対向する。そして「ロック状態」では、シャフト21Rはシャフト基準位置の近傍となるようにフレーム前後方向の前後規制範囲W1内に保持される。
【0063】
なお
図8~
図10では、わかりやすくするために、ロック突起31R3からロック孔21R2の前方縁部または後方縁部までの距離を比較的大きくしている。しかし、ロック突起31R3からロック孔21R2の前方縁部または後方縁部までの距離は、1[mm]程度で充分である。また「解除状態」では、使用者はシャフト21Rを、
図8に示すシャフト基準位置から後方へと、例えば150[mm]程度まで引くことができる。
【0064】
●[操作パネル70の外観(
図12)]
次に
図12を用いて操作パネル70について説明する。本実施の形態に示す例では、操作パネル70は、筒状部30Rの上面に設けられている。そして
図12に示すように、操作パネル70は、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76等を有している。
【0065】
メインスイッチ72は、歩行支援装置10の起動を指示するスイッチであり、使用者がオンにするとバッテリBから制御装置40と走行用駆動手段64R、64Lへ電力を供給し、歩行支援装置10の操作及び動作を可能にする。また、バッテリ残量表示部73には、バッテリBの残量が表示されている。
【0066】
駆動トルク調整部76は、歩行支援装置10が進行する際の走行用駆動手段64L、64Rの駆動トルクの強弱を、使用者が調整するための入力部である。例えば上り傾斜面で歩行支援装置10を使用する場合、使用者は、駆動トルク調整部76から駆動トルクを増量する指示を入力する。
【0067】
また、歩行支援装置10には、左右の持ち手20L、20Rを把持した使用者が腕を前後に振りながら歩行する「腕振り歩行」を支援する「トレーニングモード」と、左右の持ち手20L、20Rを把持した使用者が腕を振ることなく歩行する(非腕振り走行)を支援する「アシストモード」と、の2つの動作モードが用意されている。使用者は、「腕振り歩行」を所望する場合、「解除状態」となるようにロック操作部31L、31Rを操作し動作モードを「トレーニングモード」に設定し、左右の持ち手20L、20Rを把持して腕を振りながら歩行する「腕振り歩行」を開始する。また使用者は、「非腕振り歩行」を所望する場合、「ロック状態」となるようにロック操作部31L、31Rを操作し動作モードを「アシストモード」に設定し、左右の持ち手20L、20Rを把持して腕を振らずに歩行する「非腕振り歩行」を開始する。
【0068】
●[制御装置40の入出力(
図13)]
図13は、制御装置40の入出力を示すブロック図である。制御装置40は、図示省略したCPU等の制御手段と、記憶手段44等を有している。また制御装置40には、スイッチ機構31R1、31L1とロック状態検出手段31R7、31L7と進行速度検出手段64LE、64REからの検出信号、持ち手状態検出手段21RS、21LSからの検出信号、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号が入力されている。
【0069】
制御装置40には、操作パネル70から、メインスイッチ72、駆動トルク調整部76の操作状態が入力されている。また制御装置40は、トレーニングモード表示部74とアシストモード表示部75に出力する。トレーニングモード表示部74は、動作モードがトレーニングモードの場合に点灯される。アシストモード表示部75は動作モードがアシストモードの場合に点灯される。また制御装置40は、操作パネル70のバッテリ残量表示部73に表示するためのバッテリ残量情報を操作パネル70に出力し、走行用駆動手段64L、64Rとロック部31R6、31L6に制御信号を出力する。
【0070】
なお制御装置40は、装置対地速度算出手段40A、持ち手前後位置算出手段40B、持ち手移動速度算出手段40C、持ち手対地速度算出手段40D、対地速度補正量算出手段40E、進行速度調整手段40F、持ち手前後中央位置算出手段40G、中央位置速度補正量算出手段40H、駆動輪ロック手段40I、教示手段40J、警告手段40K等を有しているが、これらについては後述する。
【0071】
●[制御装置40の処理手順(
図14~
図19)]
図14は、制御装置40の処理手順における全体処理を示している。使用者がメインスイッチ72をONにすると、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で、
図14に示す処理が起動される。制御装置40は、
図14に示す処理が起動されると、ステップS010へと処理を進める。なお以下では、使用者が歩行支援装置とともに前進するように歩行する場合の例を説明する。
【0072】
ステップS010にて制御装置40は、SB100(入力処理)を実行してステップS015に処理を進める。なおSB100(入力処理)の詳細については後述する。
【0073】
ステップS015にて制御装置40は、動作モードが警告モードであるか否かを判定し、警告モードである場合(Yes)はステップS070Bに処理を進め、そうでない場合(No)はステップS040に処理を進める。
【0074】
ステップS040にて制御装置40は、SB400(対地速度補正量算出処理)を実行してステップS050に処理を進める。なおSB400(対地速度補正量算出処理)の詳細については後述する。
【0075】
ステップS050にて制御装置40は、SB500(中央位置速度補正量算出処理)を実行してステップS060に処理を進める。なおSB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細については後述する。
【0076】
ステップS060にて制御装置40は、SB600(進行速度調整処理)を実行してステップS070Aに処理を進める。なおSB600(進行速度調整処理)の詳細については後述する。
【0077】
ステップS070Aにて制御装置40は、動作モードを教示してステップS080Aに処理を進める。具体的には、制御装置40は、動作モードがトレーニングモードの場合にトレーニングモード表示部74に出力し、動作モードがアシストモードの場合にアシストモード表示部75に出力する。
【0078】
ステップS070Aの処理を実行している制御装置40は、走行用駆動手段64R、64Lの制御状態を使用者へ教示する教示手段40J(
図13参照)に相当する。
【0079】
ステップS080Aにて制御装置40は、走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構の稼働を停止しそれぞれの駆動輪の回転のロックを解除して処理を終了する(リターンする)。
【0080】
ステップS070Bにて制御装置40は、使用者へ警告してステップS080Bに処理を進める。具体的には、制御装置40は、例えばトレーニングモード表示部74とアシストモード表示部75を予め設定された所定の間隔(例えば0.5s)で交互に点滅させる。交互に点滅させることで使用者へ左右の持ち手の状態(「ロック状態」、「解除状態」)が異なることを伝え、同じにするように教示する。
【0081】
ステップS070Bの処理を実行している制御装置40は、左右のロック状態検出手段のそれぞれの状態が互いに異なると判定した場合に、使用者へ警告する警告手段40K(
図13参照)に相当する。
【0082】
ステップS080Bにて制御装置40は、走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させてそれぞれの駆動輪の回転をロックして処理を終了する(リターンする)。
【0083】
ステップS080Bの処理を実行している制御装置40は、走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働しそれぞれの駆動輪の回転をロック(サーボロック)する、駆動輪ロック手段40I(
図13参照)に相当する。
【0084】
●[SB100:入力処理の詳細(
図15)]
次に
図15を用いて、SB100(入力処理)の詳細について説明する。
図14に示すステップS010にてSB100を実行する際、制御装置40は、
図15に示すステップSB010へ処理を進める。
【0085】
ステップSB010にて制御装置40は、目標トルク、右持ち手前後位置、右進行速度、左持ち手前後位置、左進行速度、車体傾斜、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度、右持ち手の状態、左持ち手の状態を更新してステップSB015に処理を進める。
【0086】
具体的には、制御装置40は、駆動トルク調整部76(
図12参照)からの入力情報に基づいた目標トルクを記憶する。また制御装置40は、持ち手状態検出手段21RS(
図1参照)からの検出信号に基づいて求めた、フレーム50に対する持ち手20Rの位置(フレーム前後方向の位置)を右持ち手前後位置に記憶する。また制御装置40は、(右)走行用駆動手段64Rの(右)進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、(右)走行用駆動手段64Rの回転数を検出して後輪60RRの回転数から後輪60RRによる進行速度を検出して右進行速度に記憶する(
図1参照)。
【0087】
同様に制御装置40は、左持ち手前後位置、左進行速度、を記憶する。また制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50S(
図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10の車体の傾斜角度や傾斜方向等の傾斜情報を車体傾斜に記憶する。また制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50S(
図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10のY軸回りの角速度をピッチ角速度に記憶し、Z軸回りの角速度をヨー角速度に記憶し、X軸回りの角速度をロール角速度に記憶する。
【0088】
同様に制御装置40は、ロック状態検出手段31R7、31L7からの状態検出信号に基づいて、左右の持ち手20L、20Rのそれぞれの状態(「ロック状態」、「解除状態」)を記憶する。
【0089】
ステップSB010の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手状態検出手段21RS、21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50(歩行支援装置10)に対するフレーム前後方向のそれぞれの持ち手20R、20Lの位置であるそれぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)を算出する、持ち手前後位置算出手段40B(
図13参照)に相当する。
【0090】
ステップSB015にて制御装置40は、右持ち手の状態(すなわち、上記の様に、右の持ち手20Rが「ロック状態」と、「解除状態」とのどちらの状態になっているか)が左持ち手の状態(すなわち、上記の様に、左の持ち手20Lが、「ロック状態」と、「解除状態」とのどちらの状態になっているか)と同じであるか否かを判定し、同じである場合(Yes)はステップSB030に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB070Cに処理を進める。
【0091】
ステップSB030にて制御装置40は、ステップSB010にて記憶した右進行速度及び左進行速度に基づいて、歩行支援装置の進行速度を求めて記憶し、ステップSB050に処理を進める。例えば制御装置40は、進行速度=(右進行速度+左進行速度)/2にて、進行速度を求める。
【0092】
ステップSB030の処理を実行している制御装置40は、進行速度検出手段からの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度を算出する、装置対地速度算出手段40A(
図13参照)に相当する。
【0093】
ステップSB050にて制御装置40は、左右の持ち手の状態が「ロック状態」であるか否かを判定し、「ロック状態」である場合(Yes)はステップSB070Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB070Bに処理を進める。
【0094】
ステップSB070Aに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードにアシストモードを記憶し、ステップSB080に処理を進める。
【0095】
ステップSB070Bに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードにトレーニングモードを記憶し、ステップSB080に処理を進める。
【0096】
上述したステップSB050、ステップSB070A、ステップSB070Bにより制御装置40は、ロック状態検出手段31R7、31L7からの状態検出信号に基づいて、トレーニングモードとアシストモードの異なる2つの動作モードを切り替える。
【0097】
ステップSB070Cに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードに警告モードを記憶し、ステップSB080に処理を進める。
【0098】
ステップSB080にて制御装置40は、SBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なおSBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細については後述する。
【0099】
●[SBA00:右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理の詳細(
図16)]
次に
図16を用いて、SBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細について説明する。
図15に示すステップSB080にてSBA00を実行する際、制御装置40は、
図16に示すステップSBA05へ処理を進める。
【0100】
ステップSBA05にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSBA10に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。
【0101】
ステップSBA10に処理を進めた場合、制御装置40は、右持ち手移動速度に、「(今回処理時の右持ち手前後位置(今回右持ち手前後位置)-前回処理時の右持ち手前後位置(前回右持ち手前後位置))/時間」にて求めた速度を記憶して、ステップSBA15に処理を進める。なお、この場合の「時間」は、
図14の処理を起動する間隔の時間である(例えば10[ms]間隔で起動する場合は10[ms])。また、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも前方である場合では右持ち手移動速度は「正」の速度となり、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも後方である場合では右持ち手移動速度は「負」の速度となる。
【0102】
ステップSBA15にて制御装置40は、前回処理時の右持ち手移動速度(前回右持ち手移動速度)=正(0より大きい)、かつ、今回処理時の右持ち手移動速度(今回右持ち手移動速度)=負(0以下)であるか否かを判定する。そして制御装置40は、満足する場合(Yes)はステップSBA25Aに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBA20に処理を進める。
【0103】
ステップSBA25Aに処理を進めた場合、制御装置40は、今回右持ち手前後位置を右前端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
【0104】
ステップSBA20に処理を進めた場合、制御装置40は、前回処理時の右持ち手移動速度(前回右持ち手移動速度)=負(0未満)、かつ、今回処理時の右持ち手移動速度(今回右持ち手移動速度)=正(0以上)であるか否かを判定する。そして制御装置40は、満足する場合(Yes)はステップSBA25Bに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBB10に処理を進める。
【0105】
ステップSBA25Bに処理を進めた場合、制御装置40は、今回右持ち手前後位置を右後端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
【0106】
ステップSBA30に処理を進めた場合、制御装置40は、右前端位置-右後端位置(右前端位置>右後端位置)にて求めた長さを右振幅に記憶し、ステップSBB10に処理を進める。
【0107】
ステップSBB10~SBB30の処理は、左の持ち手20Lの左移動速度、左前端位置、左後端位置、左振幅を求める処理であり、右の持ち手20Rの右移動速度、右前端位置、右後端位置、右振幅を求めるステップSBA10~SBA30と同様であるので説明を省略する。
【0108】
ステップSBA10、SBB10の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)に基づいて、歩行支援装置10に対するそれぞれの持ち手の移動速度であるそれぞれの持ち手移動速度(右持ち手移動速度と左持ち手移動速度)を算出する、持ち手移動速度算出手段40C(
図13参照)に相当する。
【0109】
●[SB400:対地速度補正量算出処理の詳細(
図17)]
次に
図17を用いて、SB400(対地速度補正量算出処理)の詳細について説明する。
図14に示すステップS040にてSB400を実行する際、制御装置40は、
図17に示すステップSB405へ処理を進める。
【0110】
ステップSB405にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB410に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)はステップSB450Bに処理を進める。
【0111】
ステップSB410にて制御装置40は、「進行速度+右持ち手移動速度」を求めて右持ち手対地速度に記憶し、「進行速度+左持ち手移動速度」を求めて左持ち手対地速度に記憶し、ステップSB420に処理を進める。なお、「進行速度」は、地面に対する歩行支援装置の速度であり、「右持ち手移動速度」は、歩行支援装置に対する(右)持ち手20Rのフレーム前後方向の移動速度であり、「右持ち手対地速度」は、地面に対する(右)持ち手20Rのフレーム前後方向の移動速度である。また、「右持ち手移動速度」は、「進行速度」と同方向が「正」の速度に設定され、「進行方向」と逆方向が「負」の速度に設定されている。つまり、進行速度が前方へ向かう速度である場合、前方へ向かう右持ち手移動速度は「正」であり、後方へ向かう右持ち手移動速度は「負」である。また、左持ち手対地速度も同様にして求められる。
【0112】
ステップSB410の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手の移動速度と、進行速度とに基づいて、地面に対するそれぞれの持ち手の速度であるそれぞれの持ち手対地速度(右持ち手対地速度と左持ち手対地速度)を算出する、持ち手対地速度算出手段40D(
図13参照)に相当する。
【0113】
ステップSB420にて制御装置40は、右持ち手対地速度が負(0未満)であるか否かを判定し、負(0未満)である場合(Yes)はステップSB440に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB430に処理を進める。
【0114】
ステップSB430に処理を進めた場合、制御装置40は、左持ち手対地速度が負(0未満)であるか否かを判定し、負(0未満)である場合(Yes)はステップSB440に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB450Bに処理を進める。
【0115】
ステップSB440に処理を進めた場合、制御装置40は、進行速度に応じた重み係数を算出してステップSB450Aに処理を進める。例えば重み係数は、進行速度が大きくなるにしたがって小さくなるように設定されている。
【0116】
ステップSB450Aにて制御装置40は、予め設定された加速補正量に重み係数を乗算して求めた値を、対地速度補正量に記憶して処理を終了する(リターンする)。なお、加速補正量は、種々の実験やシミュレーション等によって決められている。この場合の対地速度補正量は、0より大きな値(正の値であり、加速するための補正量)となる。
【0117】
ステップSB440、SB450Aの処理を実行している制御装置40は、進行速度を「正」とした場合にそれぞれの持ち手のそれぞれの持ち手対地速度の少なくとも一方が「負」の速度である場合、歩行支援装置10を進行速度の方向に加速させる対地速度補正量を算出する、対地速度補正量算出手段40E(
図13参照)に相当する。
【0118】
ステップSB450Bに処理を進めた場合、制御装置40は、予め設定された減速補正量を、対地速度補正量に記憶して処理を終了する(リターンする)。なお、減速補正量は、種々の実験やシミュレーション等によって決められている。この場合の対地速度補正量は、0以下の値(ゼロまたは負の値であり、減速するための補正量)となる。
【0119】
なお、対地速度補正量が0より大きな正の値の場合、歩行支援装置の進行速度を加速させることができる。また、対地速度補正量が0未満の負の値の場合、歩行支援装置の進行速度を減速させることができる。また、対地速度補正量がゼロの場合、歩行支援装置は惰性走行となるが、転がり抵抗等によって進行速度は減速される。
【0120】
●[SB500:中央位置速度補正量算出処理の詳細(
図18)]
次に
図18を用いて、SB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細について説明する。
図14に示すステップS050にてSB500を実行する際、制御装置40は、
図18に示すステップSB505へ処理を進める。
【0121】
ステップSB505にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB510に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)はステップSB550に処理を進める。
【0122】
ステップSB510に処理を進めた場合、制御装置40は、「(右持ち手前後位置+左持ち手前後位置)/2」を求めて持ち手前後中央位置に記憶し、ステップSB520に処理を進める。
【0123】
ステップSB510の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手前後位置に対するフレーム前後方向の中央となる持ち手前後中央位置を求める、持ち手前後中央位置算出手段40G(
図13参照)に相当する。
【0124】
図20は、歩行支援装置10を上から見た図であり、(右)持ち手20Rの持ち手前後位置(PmR)、(左)持ち手20Lの持ち手前後位置(PmL)、仮想前後基準位置(Ps)、持ち手前後中央位置(Pmc)、可動範囲(シャフト21L、21Rのフレーム前後方向の移動範囲)の中央位置(Pc)を説明する図である。例えば、フレーム前後方向において、持ち手20R、20Lの可動範囲L1は、可動範囲L1の前端位置(Po)から、可動範囲の後端位置(Pr)までである。そして中央位置(Pc)は、フレーム前後方向における可動範囲L1の中央位置である。例えば可動範囲L1の中央位置(Pc)よりも所定距離Laだけ後方となる位置が、フレーム前後方向における所定位置である仮想前後基準位置(Ps)に設定されている。また、右持ち手前後位置(PmR)と左持ち手前後位置(PmL)とのフレーム前後方向における中央位置が、持ち手前後中央位置(Pmc)となる。
【0125】
ステップSB520にて制御装置40は、「持ち手前後中央位置-仮想前後基準位置」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB530に処理を進める。なお
図20に示すように、前後方向偏差ΔLは、持ち手前後中央位置(Pmc)と仮想前後基準位置(Ps)との偏差である。
【0126】
ステップSB530にて制御装置40は、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、
図21に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40は、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。
【0127】
ステップSB550に処理を進めた場合、制御装置40は、「右持ち手前後位置-持ち手基準位置(シャフト基準位置に対応する持ち手20Rの位置)」を求めて右偏差に記憶し、ステップSB560に処理を進める。動作モードが「アシストモード」の場合、「ロック状態」とされているので、使用者は、持ち手を把持して腕を振りながら歩行することはできない。「アシストモード」の場合、以下のステップSB550~SB580にて、持ち手が前方に押されている場合に、中央位置速度補正にて歩行支援装置10を前方に加速させる。
【0128】
ステップSB560にて制御装置40は、「左持ち手前後位置-持ち手基準位置(シャフト基準位置に対応する持ち手20Lの位置)」を求めて左偏差に記憶し、ステップSB570に処理を進める。
【0129】
ステップSB570にて制御装置40は、「(右偏差+左偏差)/2」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB580に処理を進める。
【0130】
ステップSB580にて制御装置40は、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、
図21に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40は、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。なお、前後方向偏差の値が同じであっても、ロック状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB580)を、解除状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB530)よりも大きくすると、より好ましい。
【0131】
ステップSB520、SB530、SB570、SB580の処理を実行している制御装置40は、フレーム前後方向において、持ち手前後中央位置を仮想前後基準位置に近づけるように歩行支援装置10の進行速度を調整する中央位置速度補正量を算出する、中央位置速度補正量算出手段40H(
図13参照)に相当する。
【0132】
●[SB600:進行速度調整処理の詳細(
図19)]
次に
図19を用いて、SB600(進行速度調整処理)の詳細について説明する。
図14に示すステップS060にてSB600を実行する際、制御装置40は、
図19に示すステップSB610へ処理を進める。
【0133】
ステップSB610にて制御装置40は、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて右目標速度に記憶し、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて左目標速度に記憶し、ステップSB620へ処理を進める。
【0134】
ステップSB620にて制御装置40は、右目標速度、かつ、目標トルクとなるように(右)走行用駆動手段64Rを制御し、左目標速度、かつ、目標トルクとなるように(左)走行用駆動手段64Lを制御し、処理を終了する(リターンする)。
【0135】
ステップSB610、SB620の処理を実行している制御装置40は、進行速度と対地速度補正量(と中央位置速度補正量)とに基づいて求めた目標速度となるように走行用駆動手段を制御する、進行速度調整手段40F(
図13参照)に相当する。
【0136】
●[使用者の腕振り歩行状態と歩行支援装置の移動状態の例(
図22)]
図22は、使用者が右手で(右)持ち手20Rを把持し、左手で(左)持ち手20Lを把持し、左腕を前方から後方に振りながら歩行している状態(右腕は後方から前方に振られている)の例を示している。
【0137】
(左)持ち手20Lが後方に移動する際、地面から見た(左)持ち手20Lの移動速度である(左)持ち手対地速度が「負」になると、対地速度補正量にて歩行支援装置10は前方に加速するので、
図22中に一点鎖線で示すように、(左)持ち手20Lは、地面から見た際、あたかも静止しているように見える。つまり、歩行支援装置10は、地面から見た際に、後方に移動された(左)持ち手20Lがあたかも静止して見えるように、進行速度を調整しながら進行する。
【0138】
●[本願の効果]
以上に説明したように、本実施の形態にて説明した歩行支援装置10は、使用者が、前後方向に移動可能とされた左右の持ち手20R、20Lをロック状態、あるいは解除状態に切り替えることで、腕を振らずに歩行する非腕振り歩行を支援するアシストモードと、脚の動きに同期させて正しく腕を振りながら歩行する腕振り歩行を支援するトレーニングモードと、の異なる2つの動作モードを自動的に切り替えることが可能である。
【0139】
●[他の実施の形態]
本発明の、歩行支援装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0140】
上述した実施の形態の歩行支援装置10は、上述したように、使用者がメインスイッチ72をONにすると、
図14に示す全体処理が所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で起動されて、
図14のステップS010にて
図15にフローチャートを示すSB100(入力処理)が実行される。実施の形態の歩行支援装置10では、
図15にフローチャートを示すSB100(入力処理)にて、制御装置40が、動作モード(警告モードか、アシストモードか、あるいは、トレーニングモードかのいずれか)を設定するのは、左右の持ち手20R、20Lの状態(「ロック状態」、「解除状態」のどちらの状態か)のみに基づいている。そして、左右の持ち手20R、20Lの状態は、使用者がロック操作部31R、31Lを、ロック側(
図7参照)か解除側(
図6参照)かに移動させることで設定される。従って、使用者が、ロック操作部31R,31Lを、ロック側か解除側かに移動させたかに基づいて、動作モード(警告モードか、アシストモードか、あるいは、トレーニングモードかのいずれか)が設定されるともいえる。
【0141】
しかし、動作モードの設定を行う手段として、ロック操作部31R,31Lに加えて、他の手段を設けてもよい。他の手段として、以下に説明する他の実施の形態の歩行支援装置110では、実施の形態の歩行支援装置10の操作パネル70(
図12参照)に替えて、使用者からの指示を入力可能な指示デバイスとしてタッチパネル170(
図23及び
図24参照)を備えている。なお、使用者からの指示を入力可能な指示デバイスとして、タッチパネル170を設ける代わりに、
図25に示すように、指示デバイスをスマートフォン、タブレット等の通信端末180とし、さらに、通信端末との通信を行う無線通信装置RCを制御装置40に設けてもよい。
【0142】
また、以下の他の実施形態の歩行支援装置110の説明において、上述した実施の形態の歩行支援装置10との相違点について、
図23~
図26を用いて主に説明し、同様の点については説明を省略する。
図23及び
図24は、タッチパネル170の外観の例である。また、
図25は、歩行支援装置110の制御装置40の入出力を説明するブロック図である。また、
図26は、歩行支援装置110のSB200(入力処理)の処理手順を説明するフローチャートであり、
図15に示すSB100(入力処理)に対応するフローチャートである。
【0143】
タッチパネル170は、
図23に示すように、切替ボタン171と、スピーカー172と、マイク173とを有している。また、
図23に示すように、タッチパネル170は、実施の形態の歩行支援装置10の操作パネル70(
図12参照)と同様に、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76等を有している。そして、
図25に示すように、タッチパネル170は、制御装置40に接続されており、切替ボタン171、スピーカー172、マイク173等は、制御装置40によって制御されている。
【0144】
切替ボタン171は、制御装置40により制御されて、切替ボタン171の外観である切替ボタン171の表示が、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」や、
図24の切替ボタン171Bに示す「トレーニング終了」等に切り替わる。使用者は、切替ボタン171の表示が、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」の表示となっている場合に、切替ボタン171を押すことでトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示を入力できる。
【0145】
図23の切替ボタン171Aや、
図24の切替ボタン171B等の状態で、切替ボタン171が押されると、切替ボタン171が押されたことを示す制御信号が制御装置40に送られる。制御装置40は、切替ボタン171から切替ボタン171を押されたことを示す制御信号を受け取ると、切替ボタン171が押されたことを記録し、その後に記録を読み出すと切替ボタン171が押されたことの記録を消去する。これにより、制御装置40は、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合には、直近に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されているとの判断できる。一方、切替ボタン171が押されたことの記録がない場合には、直近に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されていないとの判断できる。
【0146】
スピーカー172及びマイク173は、
図25に示すように制御装置40に接続されている。スピーカー172は制御装置40に制御された音声出力手段であり、後述する様に、制御装置40からの制御信号に基づいて音声を発生させる。マイク173は制御装置40に制御された音声入力手段であり、後述する様に、音声が入力されると、制御装置40に音声の内容を含む音声信号を送信する。これにより、制御装置40は、使用者からの音声による指示を受け付けることができる。以上の様に、制御装置40は、音声出力手段であるスピーカー172をタッチパネル170に有している。また、制御装置40は、音声入力手段であるマイク173をタッチパネル170に有している。
【0147】
図6及び
図7を用いて上述した様に、実施の形態の歩行支援装置10では、次の様に、使用者がロック操作部31R、31Lを、ロック側か解除側かに移動させたかに基づいて、動作モードが設定される。以下では、左右の持ち手20L、20Rは同様に構成されているため、右の持ち手20Rの「ロック状態」、「解除状態」について説明するが、左の持ち手20Lも同様である。使用者が、
図6及び
図11に示すように、ロック操作部31Rを解除側に移動させると、スイッチ機構31R1はオフの状態になり、ロック部31R6に電流が供給されて、ロック突起31R3が下方に移動する。これにより、「解除状態」になるとともに、ロック状態検出手段31R7(
図6参照)は、オンの状態になり、ロック状態検出手段31R7のオンの状態に対応した信号(状態検出信号)を、制御装置40へ出力する。この逆に、
図7~
図10に示すように、使用者が、ロック操作部31Rをロック側に移動させると、「ロック状態」になるとともに、ロック状態検出手段31R7は、オフの状態になり、ロック状態検出手段31R7(
図7参照)のオフの状態に対応した信号(状態検出信号)を、制御装置40へ出力する。
【0148】
他の実施の形態の歩行支援装置110では、
図25に示すように、実施の形態の歩行支援装置10と同様に、左右一対のロック機構のロック部31R6、31L6それぞれは、制御装置40に接続されており、制御装置40により電流が供給される。また、左右一対のロック機構のロック部31R6、31L6それぞれは、ロック突起31R3、31L3を上記の様に移動させるアクチュエータとして、電流が供給されたときにロック突起31R3、31L3を下方へ移動させるソレノイドと、ロック突起31R3、31L3を上方へ常時付勢するバネ等の付勢手段(図示省略)と、を有している。換言すれば、左右一対のロック機構それぞれは、制御装置40から制御されてロック状態と解除状態とを切り替えるそれぞれのアクチュエータ(ソレノイドと、バネ等の付勢手段(図示省略)とを含めたもの)を有している。
【0149】
ロック部31R6、31L6に制御装置40から電流が供給されて通電状態とされた場合(
図6参照)には、アクチュエータのソレノイドに電流が流れて、ロック突起31R3、31L3を下方へ移動させた解除状態となる。一方、ロック部31R6、31L6に制御装置40から電流が供給されない無通電状態とされた場合(
図7参照)には、ソレノイドに電流が流れず、バネ等の付勢手段(図示省略)がロック突起31R3、31L3を上方へ移動させたロック状態となる。以下に詳細を説明するが、他の実施の形態の歩行支援装置110では、実施の形態の歩行支援装置10とは異なり、スイッチ機構31R1、31L1がオン(ロック側)・オフ(解除側)のどちらにあるかに関わらず、制御装置40が、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)のアクチュエータのソレノイドに対して、電流供給の有無を制御して、左右一対のロック機構を、解除状態(
図6参照、電流供給あり)か、ロック状態(
図7参照、電流供給なし)に設定できる。歩行支援装置10と同様に、歩行支援装置110の左右一対のロック操作部31R、31Lも、制御装置40に接続されている。以下に説明する様に、オン(ロック指示側)・オフ(解除指示側)のいずれかに使用者が設定できるスイッチ機構31R1、31L1(左右一対のロック操作部31R、31L)は、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1と、左右一対のロック指示検出手段31R1、31L1とを兼ねている。
【0150】
歩行支援装置110では、左右一対のロック操作部31R、31L(スイッチ機構31R1、31L1)が、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1である。すなわち、
図7に示すように、使用者が、スイッチ機構31R1、31L1(左右一対のロック操作部31R、31L)をロック側に移動させて、ロック状態にする指示であるロック指示を使用者がロック操作部31R、31Lに入力する。また、
図6に示すように、使用者が、スイッチ機構31R1、31L1(左右一対のロック操作部31R、31L)を解除側に移動させて、解除状態にする指示である解除指示を使用者がロック操作部31R、31Lに入力する。この様に、左右一対のロック操作部31R、31L(スイッチ機構31R1、31L1)は、使用者からの入力指示である、ロック状態にする指示であるロック指示と、解除状態にする指示である解除指示と、が入力される左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1である。
【0151】
また、歩行支援装置110では、左右一対のロック操作部31R、31L(スイッチ機構31R1、31L1)は、左右一対のロック指示検出手段31R1、31L1でもある。すなわち、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)は、
図25に示すように、制御装置40に接続されている。そして、使用者が、ロック指示入力手段31R1、31L1であるスイッチ機構31R1、31L1(ロック操作部31R、31L)をロック側に移動させることであるロック指示により、スイッチ機構31R1、31Lがオン(ロック側)の状態に応じた検出信号を制御装置40へ出力する。また、使用者が、ロック指示入力手段31R1、31L1であるスイッ装置構31R1、31L1(ロック操作部31R、31L)を解除側に移動させることである解除指示により、スイッチ機構31R1、31Lがオフ(解除側)の状態に応じた検出信号を制御装置40へ出力する。
【0152】
この様に、左右一対のロック操作部31R、31Lであるスイッチ機構31R1、31L1(ロック操作部31R、31L)それぞれは、ロック状態検出手段31R7、31L7とは別に設けられてロック指示入力手段31R1、31L1へのロック指示と解除指示とに応じた検出信号を制御装置40に出力するそれぞれのロック指示検出手段31R1、31L1でもある。そして、制御装置40は、左右一対のロック指示検出手段31R1、31L1を用いて、ロック指示入力手段31R1、31L1それぞれへの入力指示が、ロック指示か、解除指示かを検出できる。
【0153】
以上で説明した様に、他の実施の形態の歩行支援装置110では、使用者が、スイッチ機構31R1、31L1(左右一対のロック指示入力手段31R、31L)に対して、ロック指示を入力したか、解除指示を入力したかに関わらず、制御装置40が、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)のアクチュエータへの電流供給の有無を制御して、左右一対のロック機構を、解除状態(
図6参照、電流供給あり)か、ロック状態(
図7参照、電流供給なし)に設定できる。これにより、次に説明する様に、使用者が、スイッチ機構31R1、31L1(左右一対のロック操作部31R、31L)の双方に解除指示を入力した場合であっても、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が、タッチパネル170の切替ボタン171A(
図23参照)から入力されるまで、左右の持ち手20R、20Lの双方を解除状態にして、トレーニングモードを開始しない制御を制御装置40が行う。
【0154】
●[他の実施の形態の歩行支援装置110の制御装置40の処理手順(
図14~
図19)]
上述した実施の形態の歩行支援装置10では、使用者がメインスイッチ72をONにすると、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で、
図14に示す全体処理が起動される。
図14の全体処理では、まず初めに、
図14のステップS010にて、
図15にフローチャートを示すSB100(入力処理)を行い、制御装置40が、動作モード(警告モードか、アシストモードか、あるいは、トレーニングモードかのいずれか)を設定したうえで、
図14のステップS080Aや、
図14のステップS080Bにて制御装置40が、動作モードに応じて走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させる。ここで、動作モードが設定されるのは、
図15にフローチャートを示すSB100(入力処理)である。
【0155】
他の実施の形態の歩行支援装置110では、使用者がメインスイッチ72をONにすると、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で、
図14にフローチャートを示す全体処理と同様の全体処理が起動される。ここで、他の実施の形態の歩行支援装置110の制御装置40が実行する全体処理が、
図14にフローチャートを示す全体処理と異なる点は、次の点にある。実施の形態の歩行支援装置10の制御装置40は、
図14のステップS010において、
図15にフローチャートを示すSB100(入力処理)を行う。この代わりに、歩行支援装置110の制御装置手段40は、
図26にフローチャートを示すSB200(入力処理)を行う。そこで、以下の説明では、
図26にフローチャートを示すSB200(入力処理)を説明する。
【0156】
●[SB200:他の実施の形態の歩行支援装置110の入力処理の詳細(
図26)]
次に
図26を用いて、他の実施の形態の歩行支援装置110のSB200(入力処理)の詳細について説明する。SB200(入力処理)は、上述した様に、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で実行される全体処理において実行されるため、SB200(入力処理)も所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で実行されて、制御装置40は、
図26に示すステップSB210へ処理を進める。
【0157】
SB200(入力処理)における、歩行支援装置110の動作モードには、実施の形態の歩行支援装置10の動作モードである(1)アシストモード、(2)警告モード、(3)トレーニングモードに加えて、(4)スタンバイモードもある。
(1)アシストモードは、使用者の入力指示が、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方ともにロック指示であり、左右一対の持ち手20R、20Lの双方はロック状態となっている動作モードである。また、アシストモードは、上述した歩行支援装置10のアシストモードと同様に走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させるモードである。
(2)警告モードは、使用者の入力指示が、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)が左右で異なる(左右の入力指示が、一方はロック指示で、他方は解除指示である。)、動作モードである。また、警告モードは、上述した歩行支援装置10の警告モードと同様に走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させるモードである。
(3)トレーニングモードは、使用者の入力指示が、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方ともに解除指示であり、左右一対の持ち手20R、20Lの双方は解除状態となっている動作モードである。また、トレーニングモードは、上述した歩行支援装置10のトレーニングモードと同様に走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させるモードである。
(4)スタンバイモードは、使用者の入力指示が、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方ともに解除指示であるにも関わらず、左右一対の持ち手20R、20Lの双方はロック状態となっている動作モードである。また、スタンバイモードは、上述した歩行支援装置10のアシストモードと同様に走行用駆動手段64R、64Lのそれぞれのサーボ機構を稼働させるモードである。そこで、スタンバイモードでは、他の処理(全体処理、SB400、SB500、SB600)では動作モードがアシストモードとなるよう、スタンバイモードの場合では、SB200(入力処理)において、動作モードをアシストモードに設定(下記のステップSB280B、ステップSB280E)する。
【0158】
なお、使用者がタッチパネル170からメインスイッチ72をONにしてから初めてSB200(入力処理)が実行されるときに、前回モードに警告モードを記憶する。前回モードとは、原則として、直近にSB200(入力処理)が実行されたときの、動作モード(アシストモード、警告モード、トレーニングモード、スタンバイモードのいづれか)である。
【0159】
ステップSB210にて、制御装置40は、
図15のSB100(入力処理)のステップSB010と同様に、目標トルク、右持ち手前後位置、右進行速度、左持ち手前後位置、左進行速度、車体傾斜、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度を更新する。ステップSB210が、
図15のSB100(入力処理)のステップSB010とは異なる点は次の点にある。すなわち、ステップSB210では、ロック指示検出手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)が、制御装置40に出力した、使用者からの入力指示である、ロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)へのロック指示と解除指示とに応じた検出信号に基づいて、左右の入力指示それぞれが、ロック指示か、解除指示かのいずれかに設定されているかを更新する。制御装置40は、以上の様にステップSB210にて更新して、SB220に処理を進める。
【0160】
ステップSB220にて、制御装置40は、右の入力指示(ロック指示または解除指示)が、左の入力指示(ロック指示または解除指示)と同じであるか否かを判定し、同じである場合(Yes)はステップSB225に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB230Aに処理を進める。なお、ステップSB225に処理を進める場合(ステップSB220:Yes)は、入力指示が左右で同じ場合であり、以下に説明する様に、左右の入力指示が双方ともロック側にある場合(ステップSB225に続くステップで動作モードをアシストモードに設定する場合)か、あるいは、左右の入力指示が双方とも解除側にある場合(ステップSB225に続くステップで動作モードをスタンバイモードまたはトレーニングモードに設定する場合)かのいずれかである。ステップSB230Aに処理を進める場合(ステップSB220:No)は、入力指示が左右で異なる場合であり、ステップSB230A以降の処理(ステップSB260A~SB280A)において、動作モードを警告モードに設定する。
【0161】
ステップSB225に処理を進めた場合は、制御装置40は、
図15のSB100(入力処理)のステップSB030と同様に進行速度を求め、ステップSB230Bに処理を進める。なお、ステップSB225は、ステップSB220にて入力指示が左右で同じ場合と判定された場合であり、以下に説明する様に、ステップSB225に続くステップにて、動作モードは、アシストモード、スタンバイモード、あるいは、トレーニングモードに設定される。
【0162】
ステップSB230Aに処理を進めた場合は、制御装置40は、タッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171が押されたことの記録があるか否かを判定し、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(Yes)はステップSB235Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB260Aに処理を進める。なお、ステップSB230Aは、上述したステップSB220にて、入力指示が左右で異なると判定された場合に実行されるステップであり、続くステップ(ステップSB235A~SB280A)にて警告モードに設定する。ステップSB230Aにて、タッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(SB230A:Yes)には、直近(前回、SB200(入力処理)を実行した時)に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されているとの判定できる。一方、切替ボタン171が押されたことの記録がない場合(SB230A:No)には、直近に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されていないとの判定できる。なお、切替ボタン171が押された場合には、ステップSB235A以降のステップ(ステップSB235A~SB280A)において、指示デバイスから前記トレーニングモード開始指示が入力されたとみなす。
【0163】
ステップSB235Aに処理を進めた場合は、制御装置40は、スピーカー172を用いてロックの解除を「ロックを解除して下さい」等の音声で促し、ステップSB260Aに処理を進める。なお、ステップSB235Aは、ステップSB230Aに続くステップであり、ステップSB235A以降のステップ(ステップSB235A~SB280A)において、動作モードを警告モードに設定する。ステップSB235Aは、直近に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されているとの判定できる場合に実行される処理であり、以後、動作モードをトレーニングモードを設定するためには、左右一対のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)のうち、入力指示がロック指示となっている方に、使用者が解除指示を入力する必要がある。換言すれば、左右それぞれのロック指示入力手段31R1、31L1の双方へ解除指示を入力する必要がある。そこで、ステップSB235Aでは、左右のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方へ解除指示を入力することをスピーカー172を用いて音声で促す。
【0164】
そして、動作モードを警告モードに設定する、ステップSB235A~SB280Aの制御を実行する制御装置40は、制御モード管理部に相当する。そして、ステップSB235A~SB280Aの処理は、動作モードを切り替える際、左右それぞれのロック指示検出手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)を用いて検出したそれぞれの入力指示における少なくとも一方がロック指示である場合には、使用者によりタッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171を押されたことにより、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が入力された場合であっても、トレーニングモードへの切り替えを禁止する切替禁止制御に相当する。
【0165】
また、スピーカー172は、音声出力手段に相当する。上記の様に、ステップSB235Aの処理において、制御モード管理部に相当する制御装置40(制御モード管理部)は、切替禁止制御を行った場合、それぞれのロック指示入力手段スイッチ機構31R1、31L1)の双方へ解除指示を入力することを促す旨の音声を、前記音声出力手段を介して出力する。
【0166】
ステップSB260Aに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171の表示を、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」の表示に設定する。
【0167】
ステップSB270Aにて、制御装置40は、前回モードを警告モードに記憶し、ステップSB280Aに処理を進める。
【0168】
ステップSB275Aにて、制御装置40は、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)を電流が供給されない無通電状態にすることで左右双方のアクチュエータを制御して、左右双方の持ち手をロック状態に設定して、ステップSB280Aに処理を進める。
【0169】
ステップSB280Aにて、制御装置40は、動作モードを警告モードに設定し、ステップSB290に処理を進める。
【0170】
ステップSB290にて、制御装置40は、
図16にフローチャートを示すSBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。
【0171】
ステップSB230Bに処理を進めた場合、制御装置40は、左右双方の入力指示が、ロック指示か否かを判定し、ロック指示である場合(Yes)はステップSB240Bに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB240Cに処理を進める。なお、ステップSB230Bは、左右の入力指示が双方とも同じと判定された場合(ステップSB220:Yes)に実行されるステップSB220に続くステップである。左右の入力指示が、双方ともロック指示である場合(SB230B:Yes)には、ステップSB240B以降(ステップSB240B~ステップSB280B)の処理にて動作モードをアシストモードに設定する。一方、左右の入力指示が、双方とも解除指示にある場合(SB230B:No)には、ステップSB240C以降の処理にて、動作モードをスタンバイモードあるいはトレーニングモードに設定する。
【0172】
ステップSB240Bに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171が押されたことの記録があるか否かを判定し、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(Yes)はステップSB245Bに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB250Bに処理を進める。なお、上述した様に、ステップSB240B以降(ステップSB240B~ステップSB280B)の処理では、制御装置40は、動作モードをアシストモードに設定する。
【0173】
ステップSB245Bに処理を進めた場合は、制御装置40は、スピーカー172を用いてロックの解除を「ロックを解除して下さい」等の音声で促し、ステップSB250Bに処理を進める。なお、ステップSB245Bは、直近に記録を読みだした時から後に切替ボタン171が押されているとの判定できる場合にされる処理であり、なおかつ、動作モードがアシストモードとなる場合に実行される処理である。以後、動作モードをトレーニングモードを設定するためには、左右それぞれのロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方へ解除指示を入力する必要がある。そこで、ステップSB245Bでは、左右のロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の双方へ解除指示を入力することをスピーカー172を用いて音声で促す。
【0174】
そして、動作モードをアシストモードに設定する、ステップSB240B~SB280Bの制御を実行する制御装置40は、制御モード管理部に相当する。そして、ステップSB245B~SB280Bの処理は、動作モードを切り替える際、左右それぞれのロック指示検出手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)を用いて検出したそれぞれの入力指示における少なくとも一方がロック指示である場合には、使用者によりタッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171を押されたことにより、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が入力された場合であっても、トレーニングモードへの切り替えを禁止する切替禁止制御に相当する。
【0175】
また、スピーカー172は、音声出力手段に相当する。上記の様に、ステップSB245Bの処理において、制御モード管理部に相当する制御装置40(制御モード管理部)は、切替禁止制御を行った場合、それぞれのロック指示入力手段スイッチ機構31R1、31L1)の双方へ解除指示を入力することを促す旨の音声を、前記音声出力手段を介して出力する。
【0176】
ステップSB250Bに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171の表示を、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」の表示に設定する。
【0177】
ステップSB260Bにて、制御装置40は、前回モードをアシストモードに記憶し、ステップSB280Bに処理を進める。
【0178】
ステップSB275Bにて、制御装置40は、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)を電流が供給されない無通電状態にすることで左右双方のアクチュエータを制御して、左右双方の持ち手20R、20Lをロック状態に設定して、ステップSB280Bに処理を進める。
【0179】
ステップSB280Bにて、制御装置40は、動作モードをアシストモードに設定し、ステップSB290に処理を進める。
【0180】
ステップSB240Cに処理を進めた場合、制御装置40は、記憶している前回モードがトレーニングモードか否かを判定し、前回モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB250Cに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB250Dに処理を進める。
【0181】
なお、ステップSB240Cは、左右の入力指示が、双方とも解除指示にあると判定された場合(SB230B:No)に実行される処理である。左右の入力指示が、双方とも解除指示となるのは、次の(A)~(D)の場合がある。(A)前回の動作モードが警告モード(前回モード=警告モード)であったが、前回から左右の入力指示が、双方とも解除指示になった場合。(B)前回の動作モードがアシストモード(前回モード=アシストモード)であったが、前回から左右の入力指示が、双方とも解除指示になった場合。(C)前回の動作モードがスタンバイモード(前回モード=スタンバイモード)であり、前回から左右の双方の入力指示に変化がなく、前回から双方とも解除指示のままである場合。(D)前回の動作モードがトレーニングモード(前回モード=トレーニングモード)であり、前回から左右の双方の入力指示に変化がなく、前回から双方とも解除指示のままである場合。
【0182】
上述した様に、ステップSB240Cでは、前回モードが(D)のトレーニングモードの場合(ステップSB240C:Yes)には、ステップSB250Cに処理を進める。一方、ステップSB240Cでは、前回モードが(A)の警告モードの場合、(B)のアシストモードの場合、あるいは、(C)のスタンバイモードの場合の、全ての場合(ステップSB240C:Nos)には、ステップSB250Dに処理を進める。
【0183】
ステップSB250Cに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171が押されたことの記録があるか否かを判定し、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(Yes)はステップSB255Cに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB270Dに処理を進める。なお、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(SB250C:Yes)は、前回モードがトレーニングモードであり(SB240C:Yes)、切替ボタン171(後述するように、
図24の「トレーニング終了」と表示された切替ボタン171B)が押された場合である。そこで、SB250C:Yesに続くステップSB255C以降の処理にてトレーニングモードを終了するとともに、動作モードをスタンバイモードに切り替える。
【0184】
一方、ステップSB250Cにて、切替ボタン171が押されたことの記録がない場合(SB250C:No)は、「トレーニング終了」と表示された切替ボタン171Bが押されていない場合であるので、動作モードをトレーングモードから変更する必要がない。このため、SB250C:Noに続くステップSB270D~ステップSB280Dでは、後述する様に、動作モードをトレーニングモードにする処理を実行する。
【0185】
ステップSB255Cに処理を進めた場合は、制御装置40は、制御装置40は、スピーカー172を用いて「トレーニングを終了します。左右両方の持ち手を放して下さい。」等の音声でトレーニングを終了の旨を音声で報知し、さらに、所定時間(例えば20秒)待機して、ステップSB260Cに処理を進める。なお、「左右両方の持ち手を放して下さい。」と、音声で報知し、さらに所定時間待機することで、使用者は、左右両方の持ち手20R、20Lを解放し、
図11に示すように、シャフト側弾性部材26R、26L(シャフト位置復元手段)の弾性力によって持ち手20R、20Lはシャフト基準位置(
図8参照)に戻される。これにより、左右双方の持ち手20R、20Lの状態は、制御装置40が左右双方のアクチュエータを制御して、左右双方の持ち手をロック状態に切り替えることができる状態となる。
【0186】
ステップSB260Cにて、制御装置40は、切替ボタン171の表示を、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」の表示に設定して、ステップSB270Cに処理を進める。なお、ステップSB260Cは、ステップSB255Cに続いて実行される処理であり、トレーニングモードを終了して動作モードをスタンバイモードに切り替えるために実行される処理の一部である。
【0187】
ステップSB270Cにて、制御装置40は、前回モードをスタンバイモードに記憶し、ステップSB275B(上述)に処理を進める。なお、上述した様に、ステップSB270Cに続く、ステップSB275Bにて左右双方の持ち手はロック状態に設定され、さらに、ステップSB280Bにて、動作モードはアシストモードに設定される。
【0188】
ステップSB250Dに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171が押されたことの記録があるか否かを判定し、切替ボタン171が押されたことの記録がある場合(Yes)はステップSB255Dに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB260Eに処理を進める。なお、ステップSB250Dは、上述したステップSB240C:No(左右の持ち手20R、20Lの状態が双方とも「解除状態」であり、かつ、前回モードがトレーニングモードではない、(A)の前回モードが警告モードの場合、(B)の前回モードがアシストモードの場合、あるいは、(C)の前回モードがスタンバイモードの場合の、いずれかの場合)に続くステップである。
【0189】
従って、ステップSB250Dにて、切替ボタン171が押されたことの記録があると判定された場合(ステップSB250D:Yes)では、左右の持ち手20R、20Lが双方とも解除状態であり、かつ、前回モードがトレーニングモードではない場合であり、さらに、使用者により切替ボタン171を押されたことで、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が入力された場合である。そこで、ステップSB250D:Yesに続くステップSB255D~SB280Dにて、歩行支援装置110のトレーニングモードの作動を開始し、動作モードをトレーニングモードに切り替える処理を実行する。
【0190】
そして、ステップSB250D~SB280Dの制御は、それぞれのロック指示検出手段を用いて検出したそれぞれの入力指示の双方が解除指示である場合において、使用者によりタッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171を押されたことにより、指示デバイス31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)からトレーニングモード開始指示が入力された場合には、トレーニングモードへの切り替えを実行する切替許可制御に相当する。
【0191】
一方、ステップSB250Dにて切替ボタン171が押されたことの記録がないと判定された場合(ステップSB250D:No)は、指示デバイス31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)からトレーニングモード開始指示が入力されていない場合である。かつ、左右の持ち手20R、20Lの状態が双方とも解除状態であり、かつ、前回モードが(A)の警告モードの場合、(B)のアシストモードの場合、あるいは、(C)のスタンバイモードの場合の、いずれかの場合である。そこで、ステップSB250D:Noに続くステップSB260E~SB280Eにて、動作モードをスタンバイモードにする処理を実行する。
【0192】
ステップSB255Dに処理を進めた場合は、制御装置40は、スピーカー172を用いて「トレーニングを開始します」等の音声でトレーニングを開始をする旨を音声で報知し、ステップSB260Dに処理を進める。なお、上述した様に、ステップSB255D~SB280Dは、動作モードをトレーニングモードに切り替える処理である。
【0193】
ステップSB260Dに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171の表示を、
図24の切替ボタン171Bに示す「トレーニング終了」の表示に設定し、ステップSB270Dに処理を進める。
【0194】
ステップSB270Dにて、制御装置40は、前回モードをトレーニングモードに記憶し、ステップSB275Dに処理を進める。
【0195】
ステップSB275Dにて、制御装置40は、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)に電流を供給する通電状態にすることで左右双方のアクチュエータを制御して、左右双方の持ち手20R、20Lを解除状態に設定して、ステップSB280Dに処理を進める。
【0196】
ステップSB280Dにて、制御装置40は、動作モードをトレーニングモードに設定し、ステップSB290に処理を進める。
【0197】
ステップSB260Eに処理を進めた場合は、制御装置40は、切替ボタン171の表示を、
図23の切替ボタン171Aに示す「トレーニング開始」の表示に設定して、ステップSB265Eに処理を進める。なお、上述した様に、ステップSB260E~SB280Dは、動作モードをスタンバイモードに切り替える処理である。
【0198】
ステップSB270Eにて、制御装置40は、前回モードをスタンバイモードに記憶し、ステップSB280Eに処理を進める。
【0199】
ステップSB275Eにて、制御装置40は、左右一対のロック機構(ロック部31R6、31L6)を電流が供給されない無通電状態にすることで左右双方のアクチュエータを制御して、左右双方の持ち手20R、20Lをロック状態に設定して、ステップSB280Eに処理を進める。
【0200】
ステップSB280Eに処理を進めた場合は、制御装置40は、動作モードをアシストモードに設定し、ステップSB290に処理を進める。
【0201】
なお、上述した様に、タッチパネル170は、マイク173を音声入力手段として有している。そして、以上で説明したSB200(入力処理)では、使用者によりタッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171が押されたことで、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が入力される(上述のステップSB230A、SB240B、SB250C、SB250D参照)。この様に切替ボタン171で入力することに替えて、使用者が、トレーニングモードの開始の旨の音声(トレーニングモード開始指示に対応する音声)を発して、マイク173(音声入力手段)が、音声の内容であるトレーニングモードの開始の旨を含む音声信号を制御装置40に送信し、さらに、制御装置40は受け取った音声信号を読み取って、トレーニングモード開始指示を受け付けてもよい。この様にすれば、使用者は、音声で動作モードをトレーニングモードに切り替えさせることができる(
図26のステップSB250C、SB250D)。従って、使用者は、歩行支援装置の動作モードをより容易にトレーニングモードに切り替えることができる。
【0202】
また、動作モードを切り替える際、左右それぞれのロック指示検出手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)を用いて検出したそれぞれの入力指示における少なくとも一方がロック指示である場合には、使用者によりタッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171を押されたことにより、使用者からのトレーニングモードの開始の指示であるトレーニングモード開始指示が入力された場合であっても、トレーニングモードへの切り替えを禁止する切替禁止制御を行った場合(
図26のステップSB235A~SB280A、ステップSB245B~SB280B)、スピーカー172(音声出力手段)を介してロック機構を解除状態にすることを促す旨の音声を出力(
図26のステップSB235A、ステップSB245B)する。ここで、スピーカー172(音声出力手段)を介してロック機構を解除状態にすることを促す代わりに、ロック機構を解除状態にすることを促す文字をタッチパネル170(指示デバイス)出力して促してもよい。例えば、
図27の切替ボタン171Cに示す様に、切替ボタン171に文字をロックの解除を促す文字171CAを表示してもよい。
【0203】
また、例えば、
図23の切替ボタン171Aの色を青にし、
図24の切替ボタン171Bの色を赤にするなど、切替ボタン171の表示内容が変更されたことを切替ボタン171の色を変えることで強調してもよい。また、
図24の切替ボタン171Bの色を赤にすることで、動作モードがトレーニングモードであり、歩行支援装置110がトレーニングモードの作動をしていることを、使用者により明確に報知できる。
【0204】
●[他の実施の形態の効果]
図26のステップSB250C~ステップSB280Bの処理について上述した様に、使用者は、タッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171を押してトレーニングモード開始指示をタッチパネル170(指示デバイス)に入力すれば、制御モード管理部に相当する制御装置40が切替許可制御を実行して、動作モードをトレーニングモードに切り替えることができる。従って、使用者は、歩行支援装置110の動作モードをより容易にトレーニングモードに切り替えることができる。
【0205】
また、歩行支援装置110は、左右それぞれのロック機構(ロック部31R6、31L6)が、制御装置40から制御されてロック状態と解除状態とを切り替えるそれぞれのアクチュエータを有する。これにより、制御装置40が左右それぞれの持ち手20R、20Lをロック状態と解除状態とを切り替える制御が可能となる。
【0206】
また、歩行支援装置110は、動作モードとして、トレーニングモードと、アシストモードとに加えて、スタンバイモードを有する。制御モード管理部は、左右それぞれのスイッチ機構31R1、31L1(ロック指示検出手段31R1、31L1)を用いて検出した、それぞれの入力指示の双方が解除指示である場合において、タッチパネル170(指示デバイス)からトレーニングモード開始指示が入力されるまで、左右それぞれのアクチュエータにロック状態にさせて、動作モードをスタンバイモードに設定することが可能となる。さらに、制御モード管理部(制御装置40)は、左右それぞれのスイッチ機構31R1、31L1(ロック指示検出手段31R1、31L1)を用いて検出した、それぞれの入力指示の双方が解除指示である場合において、タッチパネル170(指示デバイス)からトレーニングモード開始指示が入力された際に、左右それぞれのアクチュエータに解除状態にさせて、動作モードをトレーニングモードに設定することが可能となる。
【0207】
また、歩行支援装置110は、制御モード管理部に相当する制御装置40にて、タッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171が押されることでトレーニングモード開始指示がタッチパネル170(指示デバイス)に入力された場合であっても、トレーニングモードへの切り替えを行わない切替禁止制御を行った場合(
図26のステップSB235A~SB280A、ステップSB245B~SB280B)、音声出力手段を介してロック機構を解除状態にすることを促す旨の音声を出力(
図26のステップSB235A、ステップSB245B)する。これにより、使用者が、タッチパネル170(指示デバイス)の切替ボタン171が押してトレーニングモード開始指示をタッチパネル170(指示デバイス)に入力したにも関わらず、動作モードがトレーニングモードへ切り替わらない場合(
図26のステップSB230A、SB235A~SB280A、
図26のステップSB240B、SB245B~SB280B)に、使用者がロック機構を解除状態にする必要性をより容易に知ることが出来る。従って、例えば、使用者が、左右それぞれのロック指示入力手段31R1、31L1(スイッチ機構31R1、31L1)の少なくとも一方に、ロック指示が入力されていることに気が付かずにトレーニングしようとする場合において、動作モードがトレーニングモードへ切り替わらず、持ち手が動かないことに使用者が慌てることを回避できる。
【0208】
上述した実施の形態では、複数の車輪を有する歩行支援装置を、四輪車として2個の駆動輪を設けた例を説明したが、歩行支援装置を前一輪、後ろ二輪の三輪車にして、前輪を駆動輪、後輪の二輪をキャスタ輪としてもよい。つまり、歩行支援装置10、110は、少なくとも1つの駆動輪を有していればよい。また上述した実施の形態の説明では、走行用駆動手段(サーボ機構付き電動モータ)の制御において、「進行速度」を調整する例を説明したが、「速度」の制御に限らず「トルク」を制御するようにしてもよく、モータトルクを制御して進行速度を調整するようにしてもよい。
【0209】
また、上述した実施の形態では、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75を交互に点灯することで使用者へ警告したが、これに代えてあるいはこれに加えてスピーカー等の音発生手段を備え、警告音声・警告音等で警告しても良い。なお、警告音声は、使用者へ左右の持ち手20R、20Lの状態(「ロック状態」、「解除状態」)が互いに異なることを伝え、両方の状態を同じにすることを教示するものであれば良い。
【0210】
上述した実施の形態では、ロック部31R6、31L6としてソレノイドを用いた例で説明したが、これに限定されず、電気的に駆動される直動機構であれば良い。例えば、直動機構としては、ボールねじとナット、ラック・ピニオンを用いた機構で良い。また、ロック部は、直動機構の代わりにリンク機構により構成しても良い。
【0211】
上述した実施の形態では、持ち手20L、20Rに設けられたロック操作部31L、31Rを操作してロック機構の「ロック状態」、「解除状態」を切り替える例で説明したが、これに限定されない。例えば操作パネル70にロック機構の「ロック状態」、「解除状態」を切り替える手段(例えば切替スイッチ)を設けて、操作パネル70を操作して制御装置40に対してロック機構の「ロック状態」、「解除状態」に相当する信号を送ることでそれぞれのロック機構の状態を切り替えても良い。また、ロック操作部31R、スイッチ機構31R等のメカニカルなスイッチを用いる代わりに、スマートフォン、タブレット等の通信端末との通信を行う無線通信装置を備え、スマートフォン等を操作して制御装置40に対してロック機構の「ロック状態」、「解除状態」に相当する信号を送ることでそれぞれのロック機構の状態を切り替えても良い。
【0212】
上述した実施の形態では、駆動輪ロック手段として、サーボ機構付き電動モータを用いてサーボロックにすることで駆動輪をロック状態にする例で説明した。これに限定されず、別途電動のブレーキ機構を設けることでロック状態にしても良い。例えば、電動のブレーキ機構は、駆動輪(後輪)にドラムブレーキを設け、これを電気的に制御するもので良い。
【0213】
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0214】
10 歩行支援装置
20L、20R 持ち手
21L、21R シャフト
21LS、21RS 持ち手状態検出手段
21R1 持ち手嵌合孔
21R2 ロック孔
24R 被案内部材(回転防止構造)
25R 抜け防止部材(抜け防止構造)
26R シャフト側弾性部材(シャフト位置復元手段)
30L、30R 筒状部
30R1 孔部
31L、31R ロック操作部
31R1、31L1 スイッチ機構(スライドスイッチ、ロック指示入力手段、ロック指示検出手段)
31R3 ロック突起
31R6、31L6 ロック部
31R7、31L7 ロック状態検出手段(プッシュスイッチ)
32R 案内レール(回転防止構造)
33R 案内ローラ
34R 蓋部
35R1 筒状部側弾性部材(シャフト位置復元手段)
35R2 カラー
35R3 ダンパ
35R4 弾性ユニット
36R 抜け防止パネル(抜け防止構造)
40 制御装置
40A 装置対地速度算出手段
40B 持ち手前後位置算出手段
40C 持ち手移動速度算出手段
40D 持ち手対地速度算出手段
40E 対地速度補正量算出手段
40F 進行速度調整手段
40G 持ち手前後中央位置算出手段
40H 中央位置速度補正量算出手段
40I 駆動輪ロック手段
40J 教示手段
40K 警告手段
44 記憶手段
50 フレーム
50K バッグ
50S 3軸加速度・角速度センサ
51L、51R 筒状部支持体
52L、52R 車輪支持体
53 連結体
60FL、60FR 前輪
60RL、60RR 後輪(駆動輪)
64L、64R 走行用駆動手段(サーボ機構付き電動モータ)
64LE、64RE 進行速度検出手段
70 操作パネル
72 メインスイッチ
73 バッテリ残量表示部
74 トレーニングモード表示部
75 アシストモード表示部
76 駆動トルク調整部
170 タッチパネル(指示デバイス)
171A、171B、171C、171 切替ボタン
172 スピーカー(音声出力手段)
173 マイク(音声入力手段)
180 通信端末(指示デバイス)
B バッテリ
BKL ブレーキレバー
RC 無線通信装置
Pmc 持ち手前後中央位置
PmL、PmR 持ち手前後位置
Ps 仮想前後基準位置
W1 前後規制範囲