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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】メンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20230926BHJP
   G21K 5/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G01N23/04
G21K5/02 X
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020044426
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021144001
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】櫛引 真也
(72)【発明者】
【氏名】七呂 真
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-318062(JP,A)
【文献】特開2016-121993(JP,A)
【文献】特開平9-72863(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172802(JP,U)
【文献】特開平2-211128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N23/00-G01N23/2276
G21K 5/02
G01B15/00-G01B15/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検査装置の内部に設けられ、被検体へ向けてX線を照射するX線源を含むユニットのメンテナンス方法であって、
前記X線検査装置は、
前記X線検査装置の外部から前記X線検査装置の内部へ前記被検体を搬入可能な搬入口と、
前記搬入口から搬入された前記被検体を検査場所まで運搬する運搬部と、を備え、
前記ユニットは、前記検査場所の上方の前記X線検査装置の所定部分に固定され、
前記運搬部上に載置された支持装置により前記ユニットを支持する支持工程と、
前記支持工程において前記支持装置により支持された状態の前記ユニットを前記所定部分から離脱させる離脱工程と、
前記離脱工程において前記所定部分から離脱させた前記ユニットを支持している前記支持装置を前記運搬部の上で前記搬入口まで移動させる移動工程と、
前記移動工程において前記搬入口まで移動させられた前記支持装置により支持されている前記ユニットを前記搬入口から搬出する搬出工程と、を含む、
メンテナンス方法。
【請求項2】
前記ユニットは、
下面が前記被検体と対面するように配置される直方体状の第1部分と、
前記下面よりも前記被検体の方向へ突出する第2部分と、
前記下面よりも前記被検体の方向へ突出し、前記第2部分と並んで設けられる第3部分と、を備え、
前記支持装置は、
前記運搬部に載置可能な台と、
前記台が前記検査場所の前記運搬部に載置された場合に、前記下面と対向して近接する、あるいは前記下面と当接する面を有する支持部と、
前記台と前記支持部とを接続し、さらに支持方向に前記支持部を移動させることを可能にするリンク機構と、
前記支持部の移動を操作可能な操作部と、を備え、
前記支持部には、前記ユニットを支持する面に対して直交方向に貫通し、前記下面と前記ユニットを支持する面とが近接あるいは当接した場合に前記第2部分及び前記第3部分が配置可能な切り欠きが設けられる、
請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記離脱工程において前記所定部分から離脱され、前記支持装置により支持された状態の前記ユニットを、前記ユニットを支持する面の上で滑らすスライド工程を更に含む、
請求項2に記載のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に対してX線を照射し、被検体の不良や欠陥の検出を行うX線検査装置が開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-023664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査場所にセットされた被検体に対してX線を上方から照射する仕様のX線検査装置が考えられる。このようなX線検査装置にはX線源を含むユニットが内蔵されている。そして、このユニットは人間が容易に運ぶことのできる程度の重量ではないことが考えられる。よって、ユニットをメンテナンスのために固定場所から取り外す場合に、安全性又は信頼性の面から取り外し作業が煩雑になることが想定される。
【0005】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体がセットされる検査場所に対して上方に配置されるX線源を含むユニットを簡易にメンテナンス可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち本発明の一側面に係るメンテナンス方法は、X線検査装置の内部に設けられ、被検体へ向けてX線を照射するX線源を含むユニットのメンテナンス方法であって、前記X線検査装置は、前記X線検査装置の外部から前記X線検査装置の内部へ前記被検体を搬入可能な搬入口と、前記搬入口から搬入された前記被検体を検査場所まで運搬する運搬部と、を備え、前記ユニットは、前記検査場所の上方の前記X線検査装置の所定部分に固定され、前記運搬部上に載置された支持装置により前記ユニットを支持する支持工程と、前記支持工程において前記支持装置により支持された状態の前記ユニットを前記所定部分から離脱させる離脱工程と、前記離脱工程において前記所定部分から離脱させた前記ユニットを支持している前記支持装置を前記運搬部の上で前記搬入口まで移動させる移動工程と、前記移動工程において前記搬入口まで移動させられた前記支持装置により支持されている前記ユニットを前記搬入口から搬出する搬出工程と、を含む。
【0008】
当該構成によれば、検査場所の上方の所定部分に固定されているユニットを所定部分から離脱させる場合に、ユニットは支持装置によって支持される。よって、ユニットの離脱は容易に実行可能となる。そして、離脱したユニットを支持する支持装置を、被検体を運搬する運搬部上で移動させることによりユニットを搬入口近傍まで容易に移動させることができる。そして、搬入口からユニットを搬出することができる。このような構成は、被検体がセットされる検査場所に対して上方に配置されるユニットをX線検査装置の内部から外部へ容易に搬出可能とするため、ユニットを簡易にメンテナンス可能にする構成である。
【0009】
上記一側面に係るメンテナンス方法において、前記ユニットは、下面が前記被検体と対面するように配置される直方体状の第1部分と、前記下面よりも前記被検体の方向へ突出する第2部分と、前記下面よりも前記被検体の方向へ突出し、前記第2部分と並んで設けられる第3部分と、を備え、前記支持装置は、前記運搬部に載置可能な台と、前記台が前記検査場所の前記運搬部に載置された場合に、前記下面と対向して近接する、あるいは前記下面と当接する面を有する支持部と、前記台と前記支持部とを接続し、さらに支持方向に前記支持部を移動させることを可能にするリンク機構と、前記支持部の移動を操作可能な操作部と、を備え、前記支持部には、前記ユニットを支持する面に対して直交方向に貫通し、前記下面と前記ユニットを支持する面とが近接あるいは当接した場合に前記第2部分及び前記第3部分が配置可能な切り欠きが設けられてもよい。
【0010】
当該構成によれば、X線源を含むユニットの下面と支持装置のユニットを支持する面とが当接している場合に、ユニットが支持装置により下方から支持される。よって、ユニットを固定場所から着脱させることが容易となる。よって、X線源を含むユニットを簡易にメンテナンスすることができる。また、操作部を操作することによりユニットを支持する面の高さは容易に調節可能である。よって、ユニットの下面とユニットを支持する面とが当接せずに近接している場合であっても、ユニットの下面とユニットを支持する面とを容易に当接させることができる。よって、支持装置によるユニットの支持は容易に行うことができる。また、第2部分及び第3部分が配置可能な切り欠きが支持部に設けられている。よって、被検体の検査場所への方向に突出する第2部分及び第3部分をユニットが有する場合であっても、支持装置はユニットを支持することができる。
【0011】
上記一側面に係るメンテナンス方法において、前記離脱工程において前記所定部分から離脱され、前記支持装置により支持された状態の前記ユニットを、前記ユニットを支持する面の上で滑らすスライド工程を更に含んでもよい。
【0012】
当該構成によれば、支持装置による支持が安定する場所にユニットをスライドさせることができる。よって、移動工程において支持装置が運搬部の上で搬入口まで移動させられている間に、ユニットは支持装置により確実に支持される。よって、ユニットは支持部の上から脱落することは抑制され、ユニットのメンテナンスの安全性又は信頼性は確保される。
【0013】
なお、本発明における上記の課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被検体がセットされる検査場所に対して上方に配置されるX線源を含むユニットを簡易にメンテナンス可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るメンテナンス機器の概要を示している。
図2図2は、X線検査装置の内部構造の概要を示している。
図3図3は、X線検査装置のユニットを取り外してメンテナンスする工程の概要を示している。
図4図4は、メンテナンス機器を使用してユニットをX線検査装置の外部へ搬出する概要を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
§1 構成例
[ハードウェア構成]
次に、本発明の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るメンテナンス機器1の概要を示している。メンテナンス機器1は、後述するX線検査装置50に備わるX線源を含むユニット52を固定場所から取り外す場合に、ユニット52を支持することのできる機器である。なお、取り外されたユニット52には、所定のメンテナンスが実施される。また、メンテナンス機器1は、本発明の「支持装置」の一例である。
【0018】
図1(A)は、メンテナンス機器1の状態の一例を示している。図1(B)は、図1(A)の状態から支持部3を上昇させた場合を示している。なお、以降の説明においては、図1(A)に示されるように支持部3の長手方向をX方向とする。また、支持部3の短手方向をY方向とする。そして、X方向及びY方向と直交する方向をZ方向とする。
【0019】
メンテナンス機器1は、台2と、ユニット52を支持する支持部3と、リンク機構5と、を備える。台2と支持部3とはリンク機構5を介して接続される。ここで、支持部3の上面は平板状である。そして、支持部3の上面をさらに上方(+Z方向)から見た場合に支持部3がコの字状となるように、支持部3には、+X方向の縁から中央部分へ向けて切り欠き12が設けられている。また、支持部3の切り欠き12のY方向の両側の上面には、摺動性の高い摺動板4(本発明の「ユニットを支持する面」の一例)が設けられている。なお、摺動板4の代わりに支持部3の上面に潤滑油が塗られてもよい。
【0020】
また、メンテナンス機器1は、シャフト6を備える。シャフト6は、いわゆる送りねじであり、X方向に対して直交する台2の両側面を貫通するように台2に固定されている。なお、シャフト6が貫通する台2の両側面の部分にはシャフト6を受けるための軸受けが設けられている。また、シャフト6は、台2の内側に配置されるリンク5A(リンク機構5の一部)をX方向に貫通している。ここで、そのシャフト6が貫通するリンク5Aの部分には、シャフト6と螺合する溝が刻まれている。そして、リンク5AのX方向の位置は、シャフト6をX方向の周りに回転することで移動する。そして、リンク5AのX方向の位置が移動した場合、リンク機構5により支持部3がZ方向に移動することになる。より詳細には、例えばリンク5Aが-X方向に移動した場合、支持部3が+Z方向に上昇する。一方、リンク5Aが+X方向に移動した場合、支持部3が-Z方向に下降する。
【0021】
また、メンテナンス機器1は、取手11を備える。取手11は、シャフト6に連結されている。そして、取手11を例えばX方向の周りに時計回りに回転させるとシャフト6が同方向へ回転する。このようにシャフト6が時計回りに回転すると、リンク5Aが-X方向に移動する。このような場合、図1(B)に示されるように、支持部3が+Z方向に上昇することになる。逆に、図1(B)の状態から取手11をX方向の周りに反時計回りに回転させるとシャフト6が同方向へ回転する。このようにシャフト6が反時計回りに回転すると、リンク5Aが+X方向に移動する。よって、支持部3が-Z方向に下降し、図1(A)の状態へ戻る。なお、取手11は、本発明の「操作部」の一例である。
【0022】
図2は、X線検査装置50の内部構造の概要を示している。図2に示されるように、X線検査装置50には、装置外部から内部へ被検体を搬入可能な搬入口59が設けられている。また、X線検査装置50は、搬入口59の近傍まで延びるベルトコンベア51(本発明の「運搬部」の一例)を備える。ベルトコンベア51は、搬入口59から搬入された被検体が載置可能であり、また載置された被検体を検査場所まで自動的に搬送する。また、X線検査装置50は、ベルトコンベア51の上方に、X線源を内蔵したユニット52を備える。ユニット52は、直方体状の本体部58と、本体部58の下面からベルトコンベア51の方向に突出し、X線が被検体へ向けて照射されるX線照射部53と、X線照射部53と並んで設けられ、同じく本体部58の下面からベルトコンベア51の方向に突出する
カメラ54と、を備える。ここで、カメラ54は、X線が照射される前に、被検体の配置場所を撮像する。撮像された画像は、ユニット52の位置補正に利用される。すなわち、撮像画像に写る被検体の位置と適正位置とが比較されることにより、ユニット52の現在位置と適正位置との差分が求められる。そして、求められた差分からユニット52は適正位置へと自動的に移動させられる。なお、本体部58は、本発明の「第1部分」の一例である。また、X線照射部53は、本発明の「第2部分」の一例である。また、カメラ54は、本発明の「第3部分」の一例である。
【0023】
また、X線検査装置50は、ベルトコンベア51から見てユニット52よりもさらに上方にレール55(本発明の「所定部分」の一例)を備える。レール55は、ベルトコンベア51に沿って設けられている。レール55においては、ユニット52の一部がレール55と当接した状態でレール55と嵌合している。また、X線検査装置50は、駆動部57を備える。駆動部57は、ユニット52とボルト56を介して連結されている。駆動部57は、駆動指示信号の入力を受けて、自身と連結されているユニット52を移動させる。よって、上述のユニット52の現在位置と適正位置との差分情報からユニット52の適正位置までの駆動指示信号が生成され、当該信号が駆動部57に入力されると、ユニット52は適正位置へと自動的に移動する。なお、ユニット52の重さは、例えば10kg程度である。また、X線照射部53及びカメラ54の筐体形状は、例えば円筒状である。
【0024】
図3は、X線検査装置50のユニット52を取り外してメンテナンスする工程の概要を示している。
【0025】
(S101)
ステップS101では、X線検査装置50の動作モードが測定モードからメンテナンスモードへ切り替えられる。すると、取り外されるための好適な位置までユニット52はレール55に沿って自動的に移動する。
【0026】
(S102)
ステップS102では、メンテナンス機器1をユニット52の下方に位置するベルトコンベア51上に載置する。図4は、メンテナンス機器1がベルトコンベア51の上に載置される概要を示している。ここで、図4に示されるように、ユニット52の本体部58からベルトコンベア51の方向へ突出しているX線照射部53及びカメラ54が、メンテナンス機器1の切り欠き12に配置されるようにメンテナンス機器1を載置する。このようにメンテナンス機器1がセットされることで、ユニット52の本体部58の下面と、メンテナンス機器1の摺動板4の上面とが近接することになる。
【0027】
(S103)
ステップS103では、ステップS102において載置されたメンテナンス機器1の支持部3の高さが粗調整されることにより、摺動板4が本体部58の下面に対してほぼ当接した状態となる。支持部3の高さの粗調整は、取手11が回転操作されることにより実現される。なお、ステップS103は、本発明の「支持工程」の一例である。
【0028】
(S104)
ステップS104では、ステップS103において摺動板4が本体部58の下面とほぼ当接している状態で、ユニット52と駆動部57とを連結しているボルト56を取り外す。なお、ステップS104は、本発明の「離脱工程」の一例である。
【0029】
(S105)
ステップS105では、取手11が回転操作されることにより、支持部3の高さが本調整される。このような工程により、摺動板4が本体部58の下面に対して確実に当接する
ことになる。
【0030】
(S106)
ステップS106では、ユニット52を摺動板4の上で滑らす。このような作業は、メンテナンス機器1による支持が安定する場所までユニット52をスライドさせるために行われる。なお、ステップS106は、本発明の「スライド工程」の一例である。
【0031】
(S107)
ステップS107では、ステップS106においてユニット52がメンテナンス機器1により安定的に支持されている状態で、取手11を反時計回りに回転させることで支持部3を下降させる。このような作業により、レール55と嵌合しているユニット52の部分は、レール55に対して離間することになる。
【0032】
(S108)
ステップS108では、メンテナンス機器1をベルトコンベア51上で搬入口59の近傍まで移動させる。このような作業により、メンテナンス機器1により支持されているユニット52も搬入口59の近傍まで移動することになる。なお、ステップS108は、本発明の「移動工程」の一例である。
【0033】
(S109)
ステップS109では、ステップS108においてメンテナンス機器1が搬入口59の近傍まで移動した後、メンテナンス機器1によって支持されているユニット52をレール55から取り外す。そして取り外されたユニット52は搬入口59からX線検査装置50の外部へ搬出される。その後、搬出されたユニット52において、各種メンテナンスが実施される。なお、ステップS109は、本発明の「搬出工程」の一例である。
【0034】
[作用・効果]
上記のようなメンテナンス機器1によれば、X線源を含むユニット52の本体部58の下面とメンテナンス機器1の摺動板4とが当接している場合に、ユニット52がメンテナンス機器1により下方から支持される。よって、ユニット52をX線検査装置50のレール55から着脱させることが容易となる。また、離脱したユニット52を支持するメンテナンス機器1を、ベルトコンベア51の上で移動させることによりユニット52を搬入口59の近傍まで容易に移動させることができる。そして、搬入口59からユニット52をX線検査装置50の外部へ搬出することができる。このようなメンテナンス機器1は、検査場所に対して上方のレール55に固定されているユニット52を簡易にメンテナンスすることを可能にする。
【0035】
また、上記のようなメンテナンス機器1によれば、取手11を操作することによりユニット52の摺動板4の高さは容易に調節可能である。よって、ステップS102に示されるように、ユニット52の本体部58の下面と摺動板4とが当接せずに近接している場合であっても、ステップS103あるいはステップS105に示されるように取手11が回転操作されることで、本体部58の下面と摺動板4とを容易に当接させることができる。よって、メンテナンス機器1によるユニット52の支持は容易に行うことができる。
【0036】
また、上記のようなメンテナンス機器1によれば、X線照射部53及びカメラ54が配置可能な切り欠き12が支持部3に設けられている。よって、ベルトコンベア51の方向に突出するX線照射部53及びカメラ54をユニット52が有する場合であっても、メンテナンス機器1は摺動板4がユニット52の本体部58の下面を支持することができる。
【0037】
また、上記のようなメンテナンス機器1によれば、ステップS105に示されるように
ユニット52の本体部58の下面に対して摺動板4が当接する。よって、ステップS106に示されるようにユニット52を摺動板4の上で滑らすことができる。よって、メンテナンス機器1による支持が安定する場所にユニット52をスライドさせることを容易に行える。よって、ステップS108においてメンテナンス機器1がベルトコンベア51上で移動させられている間に、ユニット52はメンテナンス機器1により確実に支持される。よって、ユニット52は摺動板4の上から脱落することは抑制され、ユニット52のメンテナンスの安全性又は信頼性は確保される。
【0038】
なお、メンテナンス機器1には、摺動板4が設けられていなくともよい。そして、ステップS106において、摺動板4が本体部58の下面と当接している状態で、ユニット52を摺動板4の上で滑らさなくともよい。また、X線検査装置50及びユニット52の形態は、上記に記載した形態に限定されない。ユニット52は、被検体の検査場所に対して上方に設置されていればよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、以上で開示した実施形態及び変形例に記載される事項は組み合わせる事ができる。
【0040】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<付記1>
X線検査装置(50)の内部に設けられ、被検体へ向けてX線を照射するX線源を含むユニット(52)のメンテナンス方法であって、
前記X線検査装置(50)は、
前記X線検査装置(50)の外部から前記X線検査装置(50)の内部へ前記被検体を搬入可能な搬入口(59)と、
前記搬入口(59)から搬入された前記被検体を検査場所まで運搬する運搬部(51)と、を備え、
前記ユニット(52)は、前記検査場所の上方の前記X線検査装置(50)の所定部分に固定され、
前記運搬部(51)上に載置された支持装置(1)により前記ユニット(52)を支持する支持工程(S103)と、
前記支持工程(S103)において前記支持装置(1)により支持された状態の前記ユニット(52)を前記所定部分から離脱させる離脱工程(S104)と、
前記離脱工程(S104)において前記所定部分から離脱させた前記ユニット(52)を支持している前記支持装置(1)を前記運搬部(51)の上で前記搬入口(59)まで移動させる移動工程(S108)と、
前記移動工程(S108)において前記搬入口(59)まで移動させられた前記支持装置(1)により支持されている前記ユニット(52)を前記搬入口(59)から搬出する搬出工程(S109)と、を含む、
メンテナンス方法。
<付記2>
前記ユニット(52)は、
下面が前記被検体と対面するように配置される直方体状の第1部分(58)と、
前記下面よりも前記被検体の方向へ突出する第2部分(53)と、
前記下面よりも前記被検体の方向へ突出し、前記第2部分(53)と並んで設けられる第3部分(54)と、を備え、
前記支持装置(1)は、
前記運搬部(51)に載置可能な台(2)と、
前記台(2)が前記検査場所の前記運搬部(51)に載置された場合に、前記下面と対向して近接する、あるいは前記下面と当接する面を有する支持部(3)と、
前記台(2)と前記支持部(3)とを接続し、さらに支持方向に前記支持部(3)を移動させることを可能にするリンク機構と、
前記支持部(3)の移動を操作可能な操作部(11)と、を備え、
前記支持部(3)には、前記ユニット(52)を支持する面(4)に対して直交方向に貫通し、前記下面と前記ユニット(52)を支持する面(4)とが近接あるいは当接した場合に前記第2部分(53)及び前記第3部分(54)が配置可能な切り欠き(12)が設けられる、
付記1に記載のメンテナンス方法。
<付記3>
前記離脱工程(S104)において前記所定部分から離脱され、前記支持装置(1)により支持された状態の前記ユニット(52)を、前記ユニット(52)を支持する面(4)の上で滑らすスライド工程(S106)を更に含む、
付記2に記載のメンテナンス方法。
【符号の説明】
【0041】
1 :メンテナンス機器
2 :台
3 :支持部
4 :摺動板
5 :リンク機構
5A :リンク
6 :シャフト
11 :取手
12 :切り欠き
50 :X線検査装置
51 :ベルトコンベア
52 :ユニット
53 :X線照射部
54 :カメラ
55 :レール
56 :ボルト
57 :駆動部
58 :本体部
59 :搬入口
図1
図2
図3
図4