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特許7354888情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230926BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20230926BHJP
   B60K 28/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/00 300
B60K28/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020046182
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021149250
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 丈亮
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 涼介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 佳緒莉
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151030(JP,A)
【文献】特開2017-150957(JP,A)
【文献】国際公開第2009/107210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B60K 28/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている車両アバターに対応付けられており、前記運転行動情報の入力に対して前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを生成するように学習済みの学習済みモデルに、前記運転行動情報を入力して、前記車両アバターの基本人格に沿った、前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを取得する
ことと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車両アバターについて、所定のSNS(ソーシャルネットワークサービス)のアカウント情報を有し、
前記メッセージを前記車両アバターの前記アカウント情報を用いて前記所定のSNSへ投稿することで前記出力とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転が丁寧であることが示される場合には、前記車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示される場合には、前記車両のアバターが負の感情であることを示すメッセージを作成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得することをさらに実行し、
前記運転行動情報と前記環境に関する情報とに基づいて、前記メッセージを作成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示されるものの、前記環境に関する情報によって周辺環境が前記運転者の感情に負の影響を与えることが示される場合には、前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示され、前記環境に関する情報によって周辺環境が前記運転者の感情に負の影響を与えないことが示される場合よりも、前記車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得することをさらに実行し、
前記環境に関する情報に基づいて、前記メッセージの表示画面の背景を生成し、
前記メッセージとともに前記表示画面の背景に関する情報を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記運転行動情報は、急ブレーキ回数、急ハンドル回数、急発進回数、及び、クラクション回数のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている車両アバターに対応付けられており、前記運転行動情報の入力に対して前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを生成するように学習済みの学習済みモデルに、前記運転行動情報を入力して、前記車両アバターの基本人格に沿った、前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを取得することと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記車両アバターについて、所定のSNS(ソーシャルネットワークサービス)のアカウント情報を有させ、
前記メッセージを前記車両アバターの前記アカウント情報を用いて前記所定のSNSへ投稿することで前記出力とさせる、
請求項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータに、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転が丁寧であることが示される場合には、前記車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成させる、
請求項又は10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示される場合には、前記車両のアバターが負の感情であることを示すメッセージを作成させる、
請求項から11のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータに、
前記車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得することをさらに実行させ、
前記運転行動情報と前記環境に関する情報とに基づいて、前記メッセージを作成させる、
請求項から12のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータに、
前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示されるものの、前記環境に関する情報によって周辺環境が前記運転者の感情に負の影響を与えることが示される場合には、前記運転行動情報によって前記運転者の運転に丁寧さが足りないことが示され、前記環境に関する情報によって周辺環境が前記運転者の感情に負の影響を与えないことが示される場合よりも、前記車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成させる、
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータに、
前記車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得することをさらに実行させ、
前記環境に関する情報に基づいて、前記メッセージの表示画面の背景を生成させ、
前記メッセージとともに前記表示画面の背景に関する情報を出力させる、
請求項から12のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項16】
コンピュータが、
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている車両アバターに対応付けられており、前記運転行動情報の入力に対して前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを生成するように学習済みの学習済みモデルに、前記運転行動情報を入力して、前記車両アバターの基本人格に沿った、前記車両に関する情報及び前記運転行動情報とは関連のない内容のメッセージを取得することと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによる車両の取り扱いを、車両が人格を有していると仮定した仮想の感情により表現し、所定のキャラクタの表情によりこの仮想の感情を表示させる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-72488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の態様の一つは、安全運転の促進可能な情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記運転行動情報に基づいて、前記車両アバターの基本人格に沿ったメッセージを生成することと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータに、
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記運転行動情報に基づいて、前記車両アバターの基本人格に沿ったメッセージを生成することと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を実行させるためのプログラムである。
【0007】
本開示の他の態様の一つは、
車両の運転者の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得することと、
前記車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている、前記車両に対応する車両アバターを取得することと、
前記運転行動情報に基づいて、前記車両アバターの基本人格に沿ったメッセージを生成することと、
前記メッセージを前記車両アバターの発言として出力することと、
を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、安全運転を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る車両アバターシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、車両のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、車載装置の機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、アバター設定テーブルの一例である。
図5図5は、車載装置の車両アバター登録処理のフローチャートの一例である。
図6図6は、車載装置のメッセージ投稿処理のフローチャートの一例である。
図7図7は、運動行動情報により運転が丁寧であることが示される場合の車両アバターのメッセージの出力の一例である。
図8図8は、運動行動情報により運転が丁寧でないことが示される場合の車両アバターのメッセージの出力の一例である。
図9図9は、第1実施形態の変形例に係る車載装置のメッセージ投稿処理のフローチャートの一例である。
図10図10は、第2変形例に係る投稿メッセージの表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
車両の運転時には、客観性を失いがちになることがある。例えば、運転時、普段とは異なり乱暴な運転を行う人がいたりする。本開示では、運転者に自身を客観視させることで、自身の運転を顧みる機会を提示する。
【0011】
本開示の態様の一つは、車両の運転の丁寧さの指標となる運転行動情報を取得し、当該運転行動情報に基づいて、車両アバターの基本人格に沿ったメッセージを生成し、当該メッセージを車両アバターの発言として出力する制御部を備える情報処理装置である。車両アバターは、車両に対応しており、当該車両を擬人化した場合の仮想人物である。車両アバターには、車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている。
【0012】
例えば、制御部は、運転行動情報によって運転が丁寧であることが示される場合には、車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成するようにしてもよい。また、制御部は、運転行動情報によって運転に丁寧さが足りないことが示される場合には、車両のアバターが負の感情であることを示すメッセージを作成するようにしてもよい。正の感情は、例えば、うれしい、楽しい、やさしい、及び、面白い等の感情である。負の感情は、例えば、怒り、及び、悲しい等の感情である。
【0013】
また、制御部は、車両に関する情報に応じた基本人格が設定されている車両アバターに対応付けられている学習済みモデルに、運転行動情報を入力して得られる出力として、メッセージを取得するようにしてもよい。
【0014】
運転行動情報には、例えば、急ブレーキ回数、急ハンドル回数、急発進回数、及び、クラクション回数のうちの少なくとも1つが含まれるようにしてもよい。ただし、運転行動情報として採用される情報はこれらに限定されない。
【0015】
本開示の態様の一つによれば、車両アバターの発言が運転行動情報に依存するので、当該車両の運転者が車両アバターの発言内容を確認することで、自身の運転を客観的に顧みることができ、安全運転を促すことができる。
【0016】
本開示の態様の一つでは、制御部は、車両アバターについて、所定のSNS(ソーシャ
ルネットワークサービス)のアカウント情報を有し、車両アバターのアカウントを用いてメッセージを当該SNSに投稿するようにしてもよい。アカウント情報には、例えば、アカウント名、及び、ログインパスワード等の情報が含まれる。車両アバターのメッセージが公開されることによって、他人の目を気にするようになり、当該車両の運転者が安全運転をより心がけるようにすることができる。
【0017】
また、本開示の態様の一つでは、制御部は、車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得し、運転行動情報と当該環境に関する情報とに基づいて、メッセージを生成するようにしてもよい。例えば、運転者の感情は、周囲環境に影響されることがある。例えば、渋滞が発生していたり、道路工事していたりする場合には、思うように走行できない等で運転者はイライラすることがあり、その感情が運転に反映されて、運転が荒くなることがある。しかしながら、そのような場合の運転は、運転者の本来の特性ではないと考えられる。
【0018】
そこで、制御部は、運転行動情報によって運転に丁寧さが足りないことが示されるものの、環境に関する情報によって周辺環境が車両の運転者の感情に負の影響を与えることが示される場合には、運転行動情報によって運転に丁寧さが足りないことが示され、環境に関する情報によって周辺環境が車両の運転者の感情に負の影響を与えないことが示される場合よりも、車両のアバターが正の感情であることを示すメッセージを作成するようにしてもよい。これによって、周囲環境が運手者の感情への悪影響が、車両アバターのメッセージに反映されることを抑制することができる。
【0019】
または、制御部は、車両が走行した道路の周辺の環境に関する情報を取得し、当該環境に関する情報に基づいて、メッセージの表示画面の背景を生成し、メッセージとともに表示画面の背景に関する情報を出力するようにしてもよい。例えば、渋滞が発生していても、運転者が丁寧な運転を行った場合には、メッセージの表示画面は、車両アバターのメッセージが楽しそうな内容である一方、背景画像は暗いイメージを与えるものとなる。運転者が当該メッセージを見た場合に、周囲環境に影響されずに丁寧な運転を心掛けたことを顧みることができる。
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る車両アバターシステム100のシステム構成の一例を示す図である。車両アバターシステム100は、車両に対応するアバターが、当該車両の運転者の運転の丁寧さに応じたメッセージをSNSに投稿するシステムである。車両アバターシステム100は、車両10に搭載された車載装置1と、ユーザ端末2と、SNSサーバ3と、を含む。車載装置1は、例えば、インターネットを通じて、SNSサーバ3と通信可能である。SNSサーバ3は、例えば、インターネットを通じて、ユーザ端末2と通信可能である。ユーザ端末2は、車両10の運転者の所有する端末である。車載装置1は無線通信により、例えば、携帯電話網又はWiFi網に接続可能であり、これらのアクセス網を通じてインターネットに接続可能である。
【0022】
車載装置1は、例えば、ユーザ操作によって、車両アバターシステム100によって提供される車両アバターサービスの利用の登録が入力されると、車両10を擬人化させた車両アバターを生成し、SNSサーバ3へ当該車両アバターのアカウントを登録する。車両アバターは、車両10及び車両10の運転者と関連のないものとして作成される。
【0023】
車載装置1は、車両10の運転行動情報を収集する。運転行動情報は、運転者による車
両10の運転中に発生する所定のイベントの履歴情報であり、運転の丁寧さの指標となる情報である。所定イベントには、例えば、急ブレーキ、急ハンドル、急発進、クラクションの吹鳴、及び、蛇行運転の検出等がある。また、所定イベントには、歩行者に道を譲る、及び、他の車両を車線に入れてあげる合流支援等のカメラによる撮像画像の認識結果から得られるイベントが含まれてもよい。なお、所定のイベントはこれらに限定されない。
【0024】
車載装置1は、所定のタイミングで、所定期間の運動行動情報に基づいて、車両アバターのメッセージを生成し、SNSサーバ3へ送信して、車両アバターとして投稿する。メッセージの作成及びSNSへの投稿のタイミングは、例えば、一日に一回決められた時刻に、又は、走行が終わったタイミングである。車両10の走行の終わりは、例えば、エンジン停止から所定時間が経過したことによって検出されてもよい。
【0025】
例えば、運動行動情報が車両10の運転者の運転が丁寧であることを示している場合には、車両アバターのメッセージとして「今日は一日楽しかったな」等の、当該車両アバターが正の感情を有していることを示すメッセージを生成する。例えば、運動行動情報が車両10の運転者の運転が丁寧でないことを示している場合には、車両アバターのメッセージとして「今日はいいことなかったな」等の、当該車両アバターが負の感情を有していることを示すメッセージを生成する。
【0026】
例えば、車両10の運転者がユーザ端末2を通じて、当該SNSの車両アバターのアカウントのページを閲覧することで、車両10の運転者が車両10の車両アバターの投稿メッセージを見ることになる。これによって、車両アバターの投稿メッセージのニュアンス、又はテンション等から自身の運転の丁寧さを顧みることができる。
【0027】
図2は、車両10のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図2では、車両10のハードウェア構成のうち、車両アバターシステム100の処理に係るハードウェア構成が抽出されて示されている。車両10は、車両アバターシステム100の処理に係るハードウェア構成として、車載装置1、ABS(Anti-lock Braking System) 111、加速度センサ112、カメラ113、転舵角検出装置114、アクセル踏圧量検出装置115、ブレーキ踏圧量検出装置116、及び、GPS受信部118を備える。
【0028】
ABS 111は、急ブレーキをかけた時などにタイヤがロックするのを防ぐシステムである。ABS 111によって、急ブレーキがかけられた際の車両の進行方向の安定性が保たれ、ハンドル操作で障害物を回避できる可能性が高められる。第1実施形態では、ABS 111は、例えば、急ブレーキの検出に用いられてもよい。
【0029】
加速度センサ112は、車両10にかかる加速度を計測する。加速度センサ112の検知値は、例えば、急ブレーキ及び急発進の検出に用いられてもよい。カメラ113は、車両10の外側に向けて設置され、例えば、車両10の外向きの前方の画像を撮像する。カメラ113の画像は、例えば、歩行者への進路譲渡、及び、他の車両の合流支援等の検出に用いられてもよい。
【0030】
転舵角検出装置114は、運転者がステアリングホイールを回転させた角度である転舵角を検出する。転舵角は、例えば、急ハンドルの検出に用いられてもよい。アクセル踏圧量検出装置115は、運転者によるアクセルペダルの踏圧量を検出する。アクセルペダルの踏圧量は、例えば、急発進の検出に用いられてもよい。ブレーキ踏圧量検出装置116は、運転者によるブレーキペダルの踏圧量を検出する。ブレーキペダルの踏圧量は、例えば、急ブレーキの検出に用いられてもよい。なお、アクセル踏圧量検出装置115の代わりに、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダル踏込量検出装置が用いられ、急発進の検出にアクセルペダルの踏む込み量が用いられてもよい。ブレーキ踏圧量検出
装置116の代わりに、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダル踏込量検出装置が用いられ、急ブレーキの検出にブレーキペダルの踏む込み量が用いられてもよい。
【0031】
GPS(Global Positioning System)受信部118は、地球の周囲を周回する複数の
人工衛星(Global Positioning Satellite)から時刻信号の電波を受信し、当該検出信号から、位置情報として、例えば、緯度と経度を算出する。
【0032】
次に、車載装置1は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)
101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を有する。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。車載装置1は、「情報処理装置」の一例である。
【0033】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、車両アバター制御プログラム、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。車両アバター制御プログラムは、車両10の車両アバターを制御するためのプログラムである。
【0034】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(RandomAccess Memory)のような半導体メモリを含む。
【0035】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「情報処理装置」の「制御部」の一例である。
【0036】
通信部104は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフェースである。通信部104は、無線のネットワークと接続するインタフェースである。通信部104は、例えば、5G(5th Generation)、LTE(Long Term Evolution)、及び、3G(3rd Generation)等の移動体通信方式、または、WiFi等の無線通信規格に基づく通信を行う。
【0037】
インタフェース105は、車両10内の車載装置1以外のハードウェア構成要素と車載装置1とを接続する。インタフェース105には、ABS 111、加速度センサ112、カメラ113、転舵角検出装置114、アクセル踏圧量検出装置115、ブレーキ踏圧量検出装置116、及び、GPS受信部118等が接続される。なお、車両10のハードウェア構成は、図2に示されるものに限定されない。
【0038】
図3は、車載装置1の機能構成の一例を示す図である。車載装置1は、機能構成要素として、運転行動情報取得部11、アバター制御部12、及び、運転行動情報データベース(DB)13を備える。これらの機能構成要素は、例えば、車載装置1のCPU 101が車両アバター制御プログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0039】
運転行動情報取得部11は、運転行動情報を生成する。具体的には、運転行動情報取得部11は、所定のイベントの発生の検出に応じて、運転行動情報を生成する。所定のイベントは、例えば、急ブレーキ、急発進、急ハンドル、クラクションの吹鳴、歩行者への進
路譲渡、および、他車両の合流支援等である。
【0040】
運転行動情報取得部11は、所定の周期で、インタフェース105を通じて、車両10に備えられる加速度センサ112、カメラ113、転舵角検出装置114、アクセル踏圧量検出装置115、及び、ブレーキ踏圧量検出装置116から、それぞれによって検知された検知値を取得する。運転行動情報取得部11は、これらの検知値から所定のイベントの発生を検出する。
【0041】
急ブレーキは、例えば、ブレーキ踏圧量の変動量が所定の閾値以上であること、車両10の進行方向とは反対方向の加速度センサ112の値が閾値以上であること、又は/及び、ABS 111による検出によって検出されてもよい。急ハンドルは、例えば、転舵角の変動量が所定の閾値以上であること、又は/及び、所定方向にかかる加速度センサ112の値が閾値以上であることによって検出されてもよい。急発進は、例えば、アクセル踏圧量の変動量が所定の閾値以上であること、又は/及び、車両10の進行方向の加速度センサ112の値が閾値以上であること、によって検出されてもよい。クラクションの吹鳴は、例えば、クラクションの押下信号の入力等によって検出されてもよい。歩行者への進路譲渡及び他の車両の合流支援は、例えば、カメラ113の撮像画像の認識結果を監視することで検出される。
【0042】
運転行動情報取得部11は、上述の所定のイベントの発生を検出すると、運転行動情報を生成する。運転行動情報には、例えば、ユーザの識別情報、車両10の識別情報、イベントの種類、及び、イベントの発生時刻が含まれる。なお、イベントの種類には、急ブレーキ、急発進、急ハンドル、クラクションの吹鳴、歩行者への進路譲渡、及び、他車両の合流支援等がある。
【0043】
なお、運転行動情報取得部11は、運転行動情報を生成する際に、渋滞情報を確認し、現在走行中の道路の区間が渋滞している場合には、運転行動情報に、道路状況として渋滞していることを含めてもよい。すなわち、運転行動情報には、例えば、ユーザの識別情報、車両10の識別情報、イベントの種類、イベントの発生時刻、及び、道路状況が含まれる。なお、渋滞情報は、例えば、車両10に備えられているカーナビゲーションシステムを通じて、道路交通情報通信システム(VICS(登録商標))から取得されてもよい。
【0044】
アバター制御部12は、車両アバターに関する制御を行う。まず、アバター制御部12は、ユーザ操作によって、車両アバターのサービスの利用が登録されると、車両10に対応するアバターを生成する。ユーザからの車両アバターのサービスの利用の登録の操作は、例えば、車載装置1に備えられるタッチパネル等の入力装置、車両10に搭載され、車載装置1と接続するカーナビゲーションシステムのタッチパネル等の入力装置、又は、所定の無線通信を通じてユーザ端末2から入力される。
【0045】
アバター制御部12は、例えば、車両10に関する情報に基づいて、アバターを生成する。具体的には、アバター制御部12は、アバター設定テーブルを有し、アバター設定テーブルにおいて、車両10に関する情報に該当するアバターを、車両10のアバターとして取得する。
【0046】
図4は、アバター設定テーブルの一例である。アバター設定テーブルは、車載装置1の外部記憶装置103の記憶領域に格納されている。アバター設定テーブルには、例えば、車両に関する情報とアバター及び学習済みモデルとの対応付けが含まれている。車両に関する情報は、例えば、車両10の車種、及び、車体色等である。ただし、車両に関する情報はこれに限定されない。
【0047】
図4に示されるアバター設定テーブルには、車種、車体色、アバターID、及びモデルIDのフィールドが含まれている。車種のフィールドには、車両の車種を示す情報が格納されている。車体色のフィールドには、車両の車体色を示す情報が格納されている。アバターIDのフィールドには、アバターの識別情報が格納されている。モデルIDのフィールドには、学習済みモデルの識別情報が格納されている。
【0048】
例えば、アバター制御部12は、車両10の車種と車体色とに合致するアバター設定テーブルのエントリを特定し、当該エントリのアバターIDとモデルIDとのフィールドからアバター及び学習済みモデルの識別情報を取得する。アバター制御部12は、例えば、所定のサーバへ、取得したアバター及び学習済みモデルの識別情報を送信して、対応するアバターに関する情報と学習済みモデルのデータとを取得する。アバターに関する情報は、アバターの性別、年代、及び、基本性格等のアバターの設定に関する情報である。アバターに関する情報にアバターの外観データが含まれていてもよい。
【0049】
なお、各アバターに関する情報と学習済みモデルのデータとは、車載装置1の外部記憶装置103に格納されており、その中から車両10に対応するものが選択されてもよい。
【0050】
図3に戻って、車両アバターを取得すると、アバター制御部12は、SNSサーバ3へアクセスし、SNSへ車両アバターのアカウントを登録する。アカウント名及びログインパスワード等は、アバター制御部12が自動で生成する。なお、車両10の運転者がSNSのアカウントを有している場合でも、友達又はフォロー及びフォロワー登録したりなど、車両10の車両アバターのアカウントと運転者のアカウントとを関連付けることは行われない。アバター制御部12は、車両アバターのアカウント名およびログインパスワード等を含むアカウント情報を、例えば、外部記憶装置103の所定の記憶領域に格納する。
【0051】
次に、アバター制御部12は、所定のタイミングで、運転行動情報に基づいて、車両アバターのメッセージを生成し、SNSサーバへ送信して、当該車両アバターとして投稿を行う。車両アバターのメッセージの生成及びSNSへの投稿のタイミングは、例えば、一日一回の決められた時刻、又は、1回の走行の終了の検出のタイミングである。
【0052】
アバター制御部12は、例えば、取得した学習済みモデルを用いて、車両アバターのメッセージを生成する。学習済みモデルは、例えば、入力として運転行動情報と、出力としてメッセージとを教師データとして学習済みの機械学習モデルである。教師データのメッセージは、各アバターの設定に応じたものとなっている。すなわち、教師データのメッセージは、車両アバターの性別、年代、及び基本性格を考慮した言い回し、語尾、又は、口調のメッセージとなっている。第1実施形態では、各車両10に関する情報について学習済みモデルが用意される。各学習済みモデルは、例えば、同じ内容の運転行動情報が入力されても、まったく同一のメッセージを出力することはなく、それぞれに対応するアバターの設定に応じたニュアンス、口調、言い回し、又は語尾のメッセージとなる。
【0053】
アバター制御部12は、所定期間の運転行動情報を、車両アバターに応じた学習済みモデルに入力し、その出力として、メッセージを取得する。対象となる期間は、例えば、現時点を含む一日、又は、今回の走行開始から走行終了までの期間、である。次に、アバター制御部12は、車両アバターのアカウント情報を用いてSNSへログインし、生成したメッセージを投稿する。
【0054】
運動行動情報DB 13は、例えば、外部記憶装置103の所定の記憶領域に作成される。運動行動情報DB 13には、上述の運動行動情報、すなわち、所定のイベントの履歴情報が格納されている。運動行動情報DB 13に格納されている運動行動情報は、所定のタイミングで削除されてもよい。運動行動情報が削除されるタイミングは、例えば、
登録されてから所定時間が経過したときである。ただし、これに限定されない。
【0055】
<処理の流れ>
図5は、車載装置1の車両アバター登録処理のフローチャートの一例である。図5に示される処理は、例えば、ユーザ操作によって、車両アバターのサービスの利用の登録が入力されると開始される。図5に示される処理の実行主体は、車載装置1のCPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。以降のフローチャートについても同様である。
【0056】
OP101では、アバター制御部12は、車両10に関する情報に対応するアバター及び学習済みモデルを取得する。車両10に関する情報は、例えば、車載装置1の外部記憶装置103の所定の記憶領域にあらかじめ設定されてもよいし、車両10に搭載された他のコンピュータに問い合わせて取得されてもよい。OP101では、例えば、アバター制御部12は、アバター設定テーブル(図4)から車両10に関する情報に対応するアバター及び学習済みモデルの識別情報を取得し、所定のサーバに問い合わせることで、アバターに関する情報及び学習済みモデルを取得する。
【0057】
OP102では、アバター制御部12は、車両アバターのアカウント名を生成する。OP103では、アバター制御部12は、SNSサーバ3へアクセスし、車両アバターのアカウントを登録する。アカウントを登録するとは、例えば、SNS側が求める情報を提供し、車両アバターを一人の人格としてSNSに登録することである。例えば、年代、性別等の情報の入力が求められる場合には、アバター制御部12は、アバターに関する情報に基づいて、要求される情報を提供する。例えば、パスワードが要求される場合には、アバター制御部12はパスワードも生成する。アバター制御部12は、車両アバターのアカウント等を含むアカウント情報を、例えば、外部記憶装置103の所定の記憶領域に格納する。
【0058】
OP104では、アバター制御部12は、所定の方法で、車両10の運転者へ車両アバターのアカウントが登録されたことを通知する。車両10の運転者への通知の方法は、例えば、車両10内のディスプレイへの表示、車両10の運転者のユーザ端末2への電子メールの送信、又は、車両10の運転者のユーザ端末2への所定の無線通信方式による通知等がある。その後、図5に示される処理が終了する。
【0059】
図6は、車載装置1のメッセージ投稿処理のフローチャートの一例である。図6に示される処理は、例えば、上述のタイミングで開始される。
【0060】
OP201では、アバター制御部12は、所定期間の運転行動情報を運転行動情報DB
13から取得する。OP202では、アバター制御部12は、取得した運転行動情報を学習済みモデルへ入力し、その出力としてメッセージを取得する。OP203では、アバター制御部12は、SNSサーバ3へアクセスし、車両アバターのアカウントでSNSへログインし、生成したメッセージを投稿する。その後、アバター制御部12はSNSからログアウトし、図6に示される処理が終了する。
【0061】
図7及び図8は、SNSの車両アバターの投稿メッセージの表示画面の一例である。例えば、学習済みモデルへは、所定期間分の運転行動情報の集計結果が入力される。所定期間分の運動行動情報の集計結果は、例えば、所定イベントの発生回数である。より具体的には、急ブレーキ、急発進、急ハンドル、クラクションの吹鳴、歩行者への進路譲渡、及び、他車両の合流支援等のそれぞれの発生回数である。例えば、急ブレーキ、急発進、急ハンドル、クラクションの吹鳴の回数が多いほど運転が丁寧でないことが示され、回数が少ないほど運転が丁寧であることが示される。また、例えば、歩行者への進路譲渡、及び
、他車両の合流支援の回数が多いほど運転が丁寧であることが示される。
【0062】
車両10の運転者が、例えば、SNSの車両アバターのページをアクセスすると、車両アバターの投稿メッセージを確認することができる。
【0063】
図7は、運動行動情報により運転が丁寧であることが示される場合の車両アバターのメッセージの出力の一例である。図7では、車両アバターのメッセージは「今日は天気が良くて気持ち良かった~!!」という内容であり、車両アバターが正の感情であることが示されている。すなわち、運転行動情報により運転が丁寧であったことが車両アバターの投稿により暗示されている。
【0064】
図8は、運動行動情報により運転が丁寧でないことが示される場合の車両アバターのメッセージの出力の一例である。図8では、車両アバターのメッセージは「今日は応援しているチームが負けて残念・・・」という内容であり、車両アバターが負の感情であることが示されている。すなわち、運転行動情報により運転が丁寧でなかったことが車両アバターの投稿により暗示されている。
【0065】
車両アバターのSNSページでは、車両10の運転者と車両アバターとはSNS上では関連付けられていないので、当該車両アバターのSNSページから車両10の運転者が特定されることはない。また、車両アバターのメッセージは、車両10の運転者の運転行動情報とは関連のない内容となるように、学習済みモデルが設定されているため、第三者が車両アバターの投稿メッセージを閲覧しても、車両10の運転者の運転が丁寧であるか否か等については特定されることがない。
【0066】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施地形態では、車両10に対応する車両アバターが、車両10の運転者の運転の丁寧さに応じたメッセージをSNSへ投稿する。車両アバターの投稿メッセージを閲覧することで、車両10の運転者は、自身の運転の丁寧さを顧みることができる。また、車両アバターは、車両10の運転者とは関連のないアバターであるため、車両10の運転者は車両アバターの投稿メッセージをより客観的に見ることができる。これによって、車両10の運転者に安全な運転を促すことができる。
【0067】
また、SNSは不特定多数のユーザによって利用されており、車両アバターの投稿メッセージも不特定多数のユーザに公開される。これによって、車両10の運転者が大衆の目を気にするようにすることができ、より安全運転を心がけるように促すことができる。
【0068】
<第1変形例>
第1実施形態では、車両アバターのメッセージは、運転行動情報に基づいて作成される。これに限られず、車両アバターのメッセージは、運転行動情報に加えて、車両10が走行した道路の周辺環境に関する情報にも基づいて作成されてもよい。
【0069】
例えば、渋滞している場合には、車両10の運転者は苛立ちやすくなり、これによって、運転の丁寧さが損なわれてしまうことがある。しかしながら、車両10の運転者は周囲環境の影響を受けたため、運転の丁寧さが損なわれており、本来の特性ではないことが考えられる。そこで、アバター制御部12は、周辺環境も考慮して、車両アバターのメッセージを生成する。周辺環境に関する情報を、以降、環境要因情報と称する。
【0070】
第1変形例では、周辺環境に関する情報として、渋滞情報が採用される。なお、第1実施形態では、渋滞情報は、例えば、運転行動情報が生成される際に、車両10に備えられているカーナビゲーションシステムを通じて、道路交通情報通信システム(VICS(登録商
標))から取得され、運転行動情報DB 13に格納されている。
【0071】
ただし、周辺環境に関する情報は、渋滞情報に限定されない。また、学習済みモデルは、運転行動情報と周辺に関する情報とを入力として作成及び学習される。例えば、第1変形例では、車両運転情報によって運転が丁寧でないことが示されていても、渋滞があった場合には、渋滞がなかった場合に比べて、正の感情が大きい、又は、負の感情が小さいことが示されるように、車両アバターのメッセージが生成される。また、例えば、第1変形例では、車両運転情報によって運転が丁寧であることが示されていても、渋滞があった場合には、渋滞がなかった場合に比べて、より正の感情が大きいことが示されるように、車両アバターのメッセージが生成される。
【0072】
図9は、第1実施形態の変形例に係る車載装置1のメッセージ投稿処理のフローチャートの一例である。OP301では、アバター制御部12は、所定期間の運転行動情報を運転行動情報DB 13から取得する。OP302では、アバター制御部12は、当該所定期間分の環境要因情報を取得する。ただし、OP302の処理は、運転行動情報DB 13に、運転行動情報とともに渋滞情報が格納されている場合には実行されなくてもよい。運転行動情報DB 13に、渋滞情報が格納されていない場合には、アバター制御部12は、所定のサーバにアクセスして、渋滞情報を取得してもよい。
【0073】
OP303では、アバター制御部12は、取得した運転行動情報と環境要因情報とを学習済みモデルへ入力し、その出力としてメッセージを取得する。OP304では、アバター制御部12は、SNSサーバ3へアクセスし、車両アバターのアカウントでSNSへログインし、生成したメッセージを投稿する。その後、アバター制御部12はSNSからログアウトし、図9に示される処理が終了する。
【0074】
第1変形例では、例えば、運転行動情報によって運転が丁寧ではないことが示されていても、渋滞が発生していた場合には、図7に示されるような、正の感情を示すメッセージが投稿されることがある。なお、第1実施形態では、運転行動情報によって運転が丁寧ではないことが示されている場合には、渋滞の発生の有無にかかわらず、図8に示されるような、負の感情を示すメッセージが投稿される。これによって、車両アバターの投稿メッセージへ周辺環境が運転者に与える負の影響を抑制することができる。
【0075】
<第2変形例>
第2変形例では、車両アバターのメッセージは車両行動情報に基づいて生成され、車両アバターの投稿メッセージの表示画面は環境要因情報に基づいて生成される。例えば、車載装置1のアバター制御部12は、メッセージ生成用の学習済みモデルと背景生成用の学習済みモデルとを用いてもよい。メッセージ生成用の学習済みモデルは、車両行動情報が入力であり、メッセージが出力となる。背景生成用の学習済みモデルは、環境要因情報が入力であり、投稿メッセージの表示画面の背景が出力となる。ただし、これに限られず、アバター制御部12は、1つの学習済みモデルを用いて、投稿メッセージと背景とを取得してもよい。この場合には、当該学習済みモデルは、運転行動情報と環境要因情報とを入力とし、投稿メッセージと背景とを出力とする。
【0076】
図10は、第2変形例に係る投稿メッセージの表示画面の一例である。第2変形例では、例えば、アバター制御部12は、環境要因情報によって車両10の周囲環境が車両10の運転者へ負の影響を与えることが示される場合には、投稿メッセージの背景を、暗い印象を与えるようなものとする。また、例えば、アバター制御部12は、環境要因情報によって車両10の周囲環境が車両10の運転者へ負の影響を与えないことが示される場合には、投稿メッセージの背景を、明るい印象を与えるようなものとする。また、環境要因情報によって、車両10の周囲環境が車両10の運転者へ与える負の影響の大きさが大きい
ほど、投稿メッセージの背景をより暗いものとしてもよい。周囲環境が車両10の運転者へ与える負の影響の大きさは、例えば、走行時間に占める渋滞であった時間の割合、又は、渋滞に巻き込まれた回数等に基づいて決定されてもよい。
【0077】
図10では、車両アバターの投稿メッセージは、正の感情であることを示すものであるが、背景は暗い印象を与える色となっている。このような場合には、車両10の周辺環境は車両10の運転者へ負の影響を与えるものであったにも関わらず、車両10の運転者の運転は丁寧であったことが示される。
【0078】
例えば、車両アバターの投稿メッセージの表示画面が、メッセージは負の感情であることを示すものであり、背景は暗い印象を与える色である場合には、車両10の運転者は、当該画面を閲覧することで、該当する期間の運転は周囲環境から負の影響を受けていたことを知ることができる。これによって、例えば、車両10の運転者は、周囲環境がどのようであっても丁寧な運転を心がけるように自身を顧みることができる。
【0079】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0080】
第1実施形態及び変形例では、車両アバターのメッセージの作成及び投稿を車載装置1が行うが、これに限定されない。例えば、車両アバターのメッセージの作成及び投稿は、所定のサーバが行ってもよい。所定のサーバが車両アバターのメッセージの作成及び投稿を行う場合には、車載装置1は、例えば、所定のタイミングで運動行動情報を当該サーバへ送信し、当該サーバはユーザごとに運動行動情報を保持する。車載装置1が運動行動情報をサーバへ送信するタイミングは、例えば、所定の周期、運動行動情報が作成されたタイミング、走行の終了が検出されたタイミング、又は、一日一回の所定時刻のタイミング等のいずれか1つ又は複数である。サーバは、車載装置1から受信された運転行動に基づいて、車両アバターのメッセージを生成する。メッセージの生成方法は、第1実施形態及び変形例と同様であってもよい。車両アバターの生成およびSNSへの登録は、車載装置1が行う場合でもサーバが行う場合でも、サーバが車両アバターのメッセージの生成および投稿を行う場合には、サーバは、車両アバターのアカウントおよびログインパスワード等の情報を保持している。車両アバターのメッセージの生成および投稿をサーバが行う場合には、当該サーバは「情報処理装置」の一例である。
【0081】
車両アバターのメッセージの生成および投稿をサーバが行う場合には、サーバは、環境要因情報としてより多くの種類及び数の情報を収集することができる。例えば、環境要因情報として、車両10が走行した地域の、ストレス値、工事情報、又は、工事情報等も収集することができ、車両10のメッセージの作成の際に考慮することができる。
【0082】
第1実施形態及び変形例では、車両アバターのメッセージは、SNSへ投稿されることで公開される。ただし、これに限定されず、車両アバターのメッセージは、SNSへは投稿されずに、例えば、車両10に備えられるディスプレイに表示されたり、車両10の運転者のユーザ端末2に送信されてディスプレイに表示されたりすることで、報知されてもよい。
【0083】
第1実施形態及び変形例では、車両10に関する情報に対応して学習済みモデルが用意されているが、これに限定されない。例えば、車両10に関する情報にかかわりなく、共通の学習済みモデルを用いて、車両アバターのメッセージが生成されてもよい。この場合に共通の学習済みモデルは、例えば、車両に関する情報と運転行動情報とを入力とし、これらの出力として、車両に関する情報に応じた口調等のメッセージが取得されてもよい。
【0084】
また、第1実施形態及び変形例は、車両アバターのメッセージの作成には、学習済みモデルが用いられるが、これに限定されない。車両アバターのメッセージは、例えば、運転行動情報の数値化したそれぞれの値に応じて予め設定されたものを、各車両に関する情報に応じて、表現又は口調等を変えることによって生成されてもよい。
【0085】
また、車両10の運転者が複数である場合には、車載装置1は、各運転者について、車両アバターを生成してもよい。この場合には、車両10は、運転者の識別情報と車両アバターの識別情報とを対応付けて記憶し、車両10の走行の度に運転者に識別情報の入力を求め、対象となる車両アバターを切り替えるようにしてもよい。また、運転者ごとに車両アバターの基本設定(外観、人格、性別、及び年代等)を変えてもよい。なお、車両アバターが異なるとSNSのアカウントも異なることとなる。また、車載装置1は、運転者の識別情報と車両アバターの識別情報と車両アバターのアカウント情報とを対応付けて記憶してもよい。
【0086】
また、第1実施形態及び変形例では、車載装置1は車両アバターのメッセージを生成し、SNSへ投稿するが、これに限定されず、車両アバターの投稿は、画像、音声データ、又は動画であってもよい。また、車両アバターの投稿は、メッセージと、画像、音声データ、又は、動画との組み合わせであってもよい。また、車両アバターのメッセージは、時事情報の他のパラメータを用いて作成されてもよい。
【0087】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0088】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0089】
本発明は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0090】
1 :車載装置
2 :ユーザ端末
3 :SNSサーバ
10 :車両
11 :運転行動情報取得部
12 :アバター制御部
100 :車両アバターシステム
102 :メモリ
103 :外部記憶装置
104 :通信部
図1
図2
図3
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図7
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図10