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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】車両用開閉体制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/43 20150101AFI20230926BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20230926BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230926BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230926BHJP
   B60J 5/10 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
E05F15/43
E05F15/611
B60J5/00 K
B60J5/04 C
B60J5/10 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020054408
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155924
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木暮 孝典
(72)【発明者】
【氏名】田村 拓也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-57527(JP,A)
【文献】特開2009-235820(JP,A)
【文献】特開2005-240545(JP,A)
【文献】特開2005-69867(JP,A)
【文献】特開平8-179032(JP,A)
【文献】特開昭60-64282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0055639(US,A1)
【文献】国際公開第2008/023714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する車体と、前記車体に対して揺動しつつ前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を駆動するアクチュエータと、前記開閉体に設置され、検出波を発信するとともに前記検出波の反射波を受信する距離センサと、を備える車両に適用され、
前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが受信する前記反射波の強度が閾値以上になるまでの時間としての第1経過時間を取得する取得部と、
前記第1経過時間に基づいて前記開閉体から障害物までの距離を算出する算出部と、
前記アクチュエータを制御することにより、前記障害物と対向する前記開閉体を全閉位置から開作動させる際に、前記距離に基づいて前記障害物に接触する前に前記開閉体を停止させる制御部と、を備え、
前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが前記反射波を受信し始めるまでの時間を第2経過時間としたとき、
前記算出部は、前記第1経過時間に基づいて前記第2経過時間に対応する前記距離を算出するものであり、前記開閉体の開度が大きいほど、前記第1経過時間及び前記第2経過時間の差分が大きいものとして前記距離を算出する
車両用開閉体制御装置。
【請求項2】
前記制御部が前記全閉位置から前記開閉体の開作動を開始する前に、前記算出部が算出する前記距離を初期距離としたとき、
前記算出部は、前記初期距離が長いほど、前記第1経過時間及び前記第2経過時間の差分が大きいものとして前記距離を算出する
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記開度が大きいほど小さくなる補正係数であって且つ前記初期距離が長いほど小さくなる補正係数に前記第1経過時間を乗じることで前記第2経過時間を算出し、前記第2経過時間と前記検出波の速度とに基づいて前記距離を算出する
請求項2に記載の車両用開閉体制御装置。
【請求項4】
長さの異なる複数の前記初期距離ごとに、前記開度に応じた前記補正係数を算出する複数の補正式を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、
前記制御部が前記開閉体の開作動を開始する際に、前記記憶部に記憶される複数の前記補正式の中から、今回の前記初期距離に対応する2以上の前記補正式を選択し、
前記制御部が前記開閉体を開作動させる際に、選択した2以上の前記補正式に基づき現在の前記開度に応じてそれぞれ算出される2以上の前記補正係数の補間により、今回の前記初期距離と現在の前記開度とに応じた前記補正係数を取得する
請求項3に記載の車両用開閉体制御装置。
【請求項5】
長さの異なる複数の前記初期距離ごとに、前記開度に応じた前記補正係数を算出する複数の補正式を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、
前記制御部が前記開閉体の開作動を開始する際に、前記記憶部に記憶される複数の前記補正式の中から、今回の前記初期距離に対応する1つの前記補正式を選択し、
前記制御部が前記開閉体を開作動させる際に、選択した1つの前記補正式に基づき現在の前記開度に応じた前記補正係数を取得する
請求項3に記載の車両用開閉体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用開閉体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両後方にドア開口部が設けられる車体と、ドア開口部を開閉するバックドアと、バックドアを駆動するモータと、バックドアの開方向に存在する障害物を検出する障害物センサと、障害物センサの検出結果に基づいてモータを制御する制御装置と、を備える車両が記載されている。制御装置は、バックドアの開作動中に、障害物センサの検出結果に基づきバックドアが障害物に接近しているか否かを判定する。制御装置は、バックドアの開作動中に、バックドアが障害物に接近した場合、バックドアを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-108556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような制御装置では、バックドアが障害物に接することがないように、バックドアの停止精度を向上させることが好ましい。こうした実情は、バックドアに限らず、車体に揺動可能に支持される開閉体においても概ね共通する。
【0005】
本発明の目的は、開閉体を開作動させる際に開閉体を障害物の手前で精度良く停止できる車両用開閉体制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、開口部を有する車体と、前記車体に対して揺動しつつ前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を駆動するアクチュエータと、前記開閉体に設置され、検出波を発信するとともに前記検出波の反射波を受信する距離センサと、を備える車両に適用され、前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが受信する前記反射波の強度が閾値以上になるまでの時間としての第1経過時間を取得する取得部と、前記第1経過時間に基づいて前記開閉体から障害物までの距離を算出する算出部と、前記アクチュエータを制御することにより、前記障害物と対向する前記開閉体を全閉位置から開作動させる際に、前記距離に基づいて前記障害物に接触する前に前記開閉体を停止させる制御部と、を備え、前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが前記反射波を受信し始めるまでの時間を第2経過時間としたとき、前記算出部は、前記第1経過時間に基づいて前記第2経過時間に対応する前記距離を算出するものであり、前記開閉体の開度が大きいほど、前記第1経過時間及び前記第2経過時間の差分が大きいものとして前記距離を算出する。
【0007】
距離センサが検出波を発信してから反射波を受信し始めるまでの第2経過時間に基づいて、開閉体から障害物までの距離を直接算出する場合、外乱の影響を受けやすくなる点で、開閉体から障害物までの距離が誤って算出されるおそれがある。一方、距離センサが検出波を発信してから距離センサが受信する反射波の強度が閾値以上となるまでの第1経過時間に基づいて、開閉体から障害物までの距離を算出する場合、外乱の影響を受けにくくなるものの、開閉体から障害物までの距離が現実の距離よりも長く算出される。そこで、上記構成の車両用開閉体制御装置は、第1経過時間に基づいて第2経過時間に対応する開閉体から障害物までの距離を算出する。
【0008】
また、全閉位置に配置される開閉体と対向する障害物が存在している場合、開閉体が全閉位置に配置されていれば、距離センサから障害物に向かって発信された検出波の反射方向は距離センサを向く。一方、開閉体の開作動に伴って開閉体の開度が大きくなると、距離センサから障害物に向かって発信された検出波の反射方向は距離センサとは異なる方向を向く。つまり、開閉体の開度が大きくなるほど、距離センサが受信する反射波の強度が弱まる点で、距離センサが受信する反射波の時間変化が緩やかになる。その結果、第1経過時間及び第2経過時間の乖離が大きくなる。
【0009】
そこで、車両用開閉体制御装置は、開閉体の開度が大きいほど、第1経過時間及び第2経過時間の差分が大きいものとして、開閉体から障害物までの距離を算出する。例えば、第1経過時間が等しい場合であっても、開閉体の開度が大きい場合には、開閉体の開度が小さい場合に比較して、開閉体から障害物までの距離が短く算出される。このように、車両用開閉体制御装置は、開閉体から障害物までの距離に基づき、開閉体を障害物の手前で精度良く停止できる。
【0010】
上記車両用開閉体制御装置において、前記制御部が前記全閉位置から前記開閉体の開作動を開始する前に、前記算出部が算出した前記距離を初期距離としたとき、前記算出部は、前記初期距離が長いほど、前記第1経過時間及び前記第2経過時間の差分が大きいものとして前記距離を算出することが好ましい。
【0011】
距離センサから発信される検出波は空気中を進むにつれて減衰する。つまり、開閉体から障害物までの距離が長くなるほど、距離センサが受信する反射波の強度が弱まる点で、距離センサが受信する反射波の時間変化が緩やかになる。その結果、第1経過時間及び第2経過時間の乖離が大きくなる。
【0012】
そこで、車両用開閉体制御装置は、初期距離が長いほど、第1経過時間及び第2経過時間の差分が大きいものとして、開閉体から障害物までの距離を算出する。したがって、車両用開閉体制御装置は、より正確な開閉体から障害物までの距離に基づき、開閉体を障害物の手前で精度良く停止できる。
【0013】
上記車両用開閉体制御装置において、前記算出部は、前記開度が大きいほど小さくなる補正係数であって且つ前記初期距離が長いほど小さくなる補正係数に前記第1経過時間を乗じることで前記第2経過時間を算出し、前記第2経過時間と前記検出波の速度とに基づいて前記距離を算出することが好ましい。
【0014】
上記構成の車両用開閉体制御装置は、簡易な計算式により開閉体から障害物までの距離を算出できる。
上記車両用開閉体制御装置は、長さの異なる複数の前記初期距離ごとに、前記開度に応じた前記補正係数を算出する複数の補正式を記憶する記憶部を備え、前記算出部は、前記制御部が前記開閉体の開作動を開始する際に、前記記憶部に記憶される複数の前記補正式の中から、今回の前記初期距離に対応する2以上の前記補正式を選択し、前記制御部が前記開閉体を開作動させる際に、選択した2以上の前記補正式に基づき現在の前記開度に応じてそれぞれ算出される2以上の前記補正係数の補間により、今回の前記初期距離と現在の前記開度とに応じた前記補正係数を取得することが好ましい。
【0015】
上記構成の車両用開閉体制御装置は、多くの補正式を記憶しなくても、今回の初期距離と開閉体の開度とに応じたより正確な補正係数を取得できる。
上記車両用開閉体制御装置は、長さの異なる複数の前記初期距離ごとに、前記開度に応じた前記補正係数を算出する複数の補正式を記憶する記憶部を備え、前記算出部は、前記制御部が前記開閉体の開作動を開始する際に、前記記憶部に記憶される複数の前記補正式の中から、今回の前記初期距離に対応する1つの前記補正式を選択し、前記制御部が前記開閉体を開作動させる際に、選択した1つの前記補正式に基づき現在の前記開度に応じた前記補正係数を取得することが好ましい。
【0016】
上記構成の車両用開閉体制御装置は、多くの補正式を記憶しなくても、今回の初期距離と開閉体の開度とに応じた補正係数を容易に取得できる。
【発明の効果】
【0017】
車両用開閉体制御装置は、開閉体を開作動させる際に開閉体を障害物の手前で精度良く停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係るドア制御装置を備える車両の概略構成を示す模式図。
図2】バックドアと障害物との位置関係を例示する側面図。
図3】バックドアと障害物との位置関係と、距離センサが受信する反射波の強度の関係を示すグラフ。
図4】長さの異なる複数の初期距離ごとの補正式を示すグラフ。
図5】バックドアの開作動時にドア制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、一実施形態に係る車両用開閉体制御装置を備える車両について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、車両10は、後部にドア開口部21を有する車体20と、ドア開口部21を開閉するバックドア30と、バックドア30に設置される距離センサSEと、バックドア30を車体20に拘束するラッチ機構40と、を備える。また、車両10は、ラッチ機構40を駆動するリリースアクチュエータ50と、バックドア30を駆動するドアアクチュエータ60と、リリースアクチュエータ50及びドアアクチュエータ60を制御するドア制御装置70と、を備える。
【0020】
バックドア30は、車体20におけるドア開口部21の上部に揺動可能に支持される。バックドア30の揺動軸線は、車両10の幅方向に延びる。バックドア30は、ドア開口部21を全閉する全閉位置及びドア開口部21を全開する全開位置の間を揺動する。バックドア30は、「開口部」の一例としてのドア開口部21を開閉する「開閉体」の一例に相当する。
【0021】
距離センサSEは、バックドア30の下端部に設置される。距離センサSEは、バックドア30の幅方向に間隔をあけて複数設置してもよいし、バックドア30の幅方向における中央部に1つだけ設置してもよい。距離センサSEは、バックドア30の開方向に位置する障害物100を検出したり、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出したりするための構成である。なお、本実施形態において、バックドア30から障害物100までの距離Lとは、バックドア30における距離センサSEが設けられる部位から障害物100までの距離である。本実施形態で想定する障害物100は、例えば、建物及びガレージなどの壁並びに他の車両などである。
【0022】
距離センサSEは、図示を省略するが、バックドア30の外面と交差する方向に検出波を発信する発信部と、発信部が発信した検出波の反射波を受信する受信部と、を有する。本実施形態では、検出波として、指向性を有する超音波が採用されるが、電波を採用してもよいし、光を採用してもよい。
【0023】
ラッチ機構40は、全閉位置に配置されるバックドア30を車体20に拘束するフルラッチ状態と、全閉位置に配置されるバックドア30を車体20に拘束しないアンラッチ状態と、に切り替わる。バックドア30が全閉位置に配置される場合には、ラッチ機構40はフルラッチ状態とされ、バックドア30を開作動させる場合には、ラッチ機構40はアンラッチ状態に切り替えられる。リリースアクチュエータ50は、ラッチ機構40の状態をフルラッチ状態からアンラッチ状態に移行させる。以降の説明では、ラッチ機構40がフルラッチ状態からアンラッチ状態に移行することを「アンラッチ作動」ともいう。
【0024】
ドアアクチュエータ60は、図2に示すように、伸縮することでバックドア30を駆動する構成であるが、リンク機構によりバックドア30を駆動する構成としてもよい。ドアアクチュエータ60の長手方向における一端は車体20に連結され、ドアアクチュエータ60の長手方向における他端はバックドア30に連結される。ドアアクチュエータ60により、バックドア30は、全閉位置から全開位置に向かう方向に開作動したり、全開位置から全閉位置に向かう方向に閉作動したりする。ドアアクチュエータ60は、「アクチュエータ」の一例に相当する。
【0025】
次に、ドア制御装置70について説明する。
図1に示すように、ドア制御装置70は、距離センサSEの検出結果に基づいてバックドア30と障害物100との間で超音波が往復する時間を取得する取得部71と、取得部71の取得した時間に基づいてバックドア30から障害物100までの距離Lを算出する算出部72と、を備える。また、ドア制御装置70は、算出部72がバックドア30から障害物100までの距離Lを算出する際に使用する情報を記憶する記憶部73と、ドアアクチュエータ60によりバックドア30を開閉作動させる制御部74と、を備える。
【0026】
取得部71は、距離センサSEが超音波を発信してから、距離センサSEが受信する反射波の強度が閾値Rth以上となるまでの時間としての第1経過時間T1を取得する。第1経過時間T1は、距離センサSEが超音波を発信してから、距離センサSEが反射波を受信し始めるまでの時間としての第2経過時間T2よりも長い時間である。
【0027】
超音波がバックドア30と障害物100との間で往復するのに要する時間は、第2経過時間T2であるが、距離センサSEは外乱を受信するおそれがあるため、取得部71は、第2経過時間T2を正確に取得することが難しい。例えば、距離センサSEが超音波を発信した直後であって、超音波が障害物100に到達していないタイミングであっても、距離センサSEが外乱を受信していれば、距離センサSEが外乱を受信したタイミングが第2経過時間T2の終期となる。この場合には、実際には、バックドア30から障害物100までの距離Lが長いにも関わらず、バックドア30から障害物100までの距離Lが非常に短いと判断され得る。
【0028】
このため、取得部71は、超音波がバックドア30と障害物100との間で往復するのに要する時間よりも長い時間となるが外乱の影響を受けにくい第1経過時間T1を取得する。閾値Rthの大きさは、例えば、外乱の強度及び発生頻度などの距離センサSEの使用環境を考慮して適宜に決定されることが好ましい。
【0029】
算出部72は、第1経過時間T1に基づいて、第2経過時間T2に対応するバックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。詳しくは、算出部72は、第1経過時間T1に「1」未満の補正係数Kを乗じることで、超音波がバックドア30と障害物100との間で往復するのに要する時間である第2経過時間T2を算出する。言い換えれば、算出部72は、第1経過時間T1を第2経過時間T2に補正する。そして、算出部72は、第2経過時間T2の半分の時間に超音波の速度、すなわち音速を乗じることにより、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。音速は、温度などの環境要因により、適宜に補正された値を用いることが好ましい。
【0030】
ここで、算出部72において、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する際、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分及び比率は一定であるとは限らない。このため、算出部72は、状況に応じて適切な補正係数Kを選択することが好ましい。以下、図2及び図3を参照して、詳しく説明する。
【0031】
図2は、バックドア30から障害物100までの距離Lが距離L1,L2,L3である場合のバックドア30と障害物100との位置関係を示す側面図である。図3は、バックドア30から障害物100までの距離Lが距離L1,L2,L3である場合において、距離センサSEが超音波を発信してからの時間経過と、距離センサSEが受信する反射波の強度との関係を示すグラフである。
【0032】
バックドア30と障害物100とが図2に実線で示すバックドア30と実線で示す障害物100との位置関係を取るとき、言い換えれば、バックドア30から障害物100までの距離Lが距離L1であるとき、図3に実線で示すように反射波R1の強度が推移する。図2に示すように、バックドア30と障害物100とが対向する場合には、超音波の反射方向が距離センサSEを向く点で、距離センサSEが受信する反射波R1の強度が比較的強くなる。このため、図3に実線で示すように、反射波R1の強度分布がシャープになりやすい。詳しくは、反射波R1の強度が閾値Rth前後の値を取るとき、反射波R1の強度の勾配が急勾配になりやすい。したがって、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTは、比較的小さな第1差分ΔT1となる。
【0033】
バックドア30と障害物100とが図2に二点鎖線で示すバックドア30と一点鎖線で示す障害物100との位置関係を取るとき、言い換えれば、バックドア30から障害物100までの距離Lが距離L2であるとき、図3に二点鎖線で示すように反射波R2の強度が推移する。図2に示すように、バックドア30から障害物100までの距離L2が短い場合であっても、バックドア30の開度θが大きい場合には、超音波の反射方向が距離センサSEを向きにくくなる点で、距離センサSEが受信する反射波R2の強度が弱くなりやすい。この傾向は、距離センサSEが指向性の強い超音波を使用するほど顕著になる。このため、図3に二点鎖線で示すように、反射波R2の強度分布がブロードになりやすい。詳しくは、反射波R2の強度が閾値Rth前後の値を取るとき、反射波R2の強度の勾配が緩勾配になりやすい。したがって、この場合には、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTは、第1差分ΔT1よりも大きな第2差分ΔT2となる。
【0034】
以上説明したように、バックドア30の開度θが大きくなるにつれて、超音波の反射方向が距離センサSEを向きにくくなる。このため、バックドア30の開度θが大きくなるにつれて、距離センサSEが受信する反射波の強度がブロードになり、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きくなる。
【0035】
そこで、算出部72は、バックドア30の開度θが大きいほど、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きいものとして、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。詳しくは、算出部72は、第2経過時間T2を算出する際に、第1経過時間T1に乗じる補正係数Kを、バックドア30の開度θが大きいほど小さくする。
【0036】
その一方で、バックドア30と障害物100とが図2に実線で示すバックドア30と一点鎖線で示す障害物100との位置関係を取るとき、言い換えれば、バックドア30から障害物100までの距離Lが距離L3であるとき、図3に一点鎖線で示すように反射波R3の強度が推移する。図2に示すように、バックドア30と障害物100とが対向する場合であっても、バックドア30から障害物100までの距離L3が長い場合には、空気中を進む超音波が減衰する点で、距離センサSEが受信する反射波R3の強度が弱くなりやすい。このため、図3に一点鎖線で示すように、反射波R3の強度分布がブロードになりやすい。詳しくは、反射波R3の強度が閾値Rth前後の値を取るとき、反射波R3の強度の勾配が緩勾配になりやすい。したがって、この場合には、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTは、第1差分ΔT1よりも大きな第3差分ΔT3となる。
【0037】
以上説明したように、バックドア30が全閉位置に配置されるときのバックドア30から障害物100までの距離Lを「初期距離Li」とすると、初期距離Liが長くなるにつれて、距離センサSEが検出する反射波が減衰しやすくなる。このため、初期距離Liが長くなるにつれて、距離センサSEが受信する反射波の強度がブロードになり、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きくなる。
【0038】
そこで、算出部72は、初期距離Liが長いほど、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きいものとして、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。詳しくは、算出部72は、第2経過時間T2を算出する際に、第1経過時間T1に乗じる補正係数Kを、初期距離Liが長いほど小さくする。
【0039】
記憶部73は、長さの異なる複数の初期距離Liごとに、補正係数Kと開度θとの関係を示す補正式を複数記憶する。補正式は、実験及びシミュレーションなどから事前に設定されることが好ましい。補正式は、一次関数でも二次関数でもよいし、三次以上の高次関数でもよい。
【0040】
図4は、記憶部73が記憶する複数の補正式の一例を示すグラフである。本実施形態では、記憶部73は、初期距離Liが比較的短い初期距離Li1であるときの第1補正式K1(θ)、初期距離Liが中程度の初期距離Li2であるときの第2補正式K2(θ)及び初期距離Liが比較的長い初期距離Li3であるときの第3補正式K3(θ)を記憶する。各補正式の(θ)は、開度θの関数であることを示す。
【0041】
図4に示すように、上方から第1補正式K1(θ)、第2補正式K2(θ)及び第3補正式K3(θ)が並んでいる点で、初期距離Liが短い場合よりも長い場合の方が、補正係数Kが小さくなっている。また、第1補正式K1(θ)、第2補正式K2(θ)及び第3補正式K3(θ)において、開度θが小さい場合よりも開度θが大きい場合の方が、補正係数Kが小さくなっている。
【0042】
ここで、車両10が停車する状況によって、初期距離Liは様々な値を取り得るため、なるべく多くの初期距離Liに対応する補正式が記憶部73に記憶されることが好ましい。ところが、記憶部73に記憶する補正式の数が多くなると、記憶部73の記憶容量を大きくする必要が生じたり、記憶部73の記憶容量を圧迫したりする可能性がある。
【0043】
そこで、本実施形態では、記憶部73に、第1補正式K1(θ)、第2補正式K2(θ)及び第3補正式K3(θ)の3つの補正式を記憶させ、算出部72に、3つの補正式から任意の初期距離Li*と任意の開度θとに応じた補正係数Kを算出させる。始めに、算出部72は、今回のバックドア30の開作動を開始する際の初期距離Liと等しい初期距離Liに対応する補正式が記憶部73に記憶されているか否かを判定する。
【0044】
今回の初期距離Liと等しい初期距離Liに対応する補正式が記憶部73に記憶されている場合、算出部72は、当該補正式を1つ選択する。この場合、算出部72は、選択した1つの補正式に、バックドア30の開作動中に大きくなる開度θを都度代入し、バックドア30の開度θに応じた補正係数Kを都度取得する。こうして、算出部72は、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得する。
【0045】
一方、今回の初期距離Liと等しい初期距離Liに対応する補正式が記憶部73に記憶されていない場合、算出部72は、今回の初期距離Liと対応する複数の補正式を選択する。詳しくは、算出部72は、今回の初期距離Liと近い値の初期距離Liに対応する2つの補正式を選択する。続いて、算出部72は、選択した2つの補正式に、バックドア30の開作動中に大きくなる開度θを都度代入し、バックドア30の開度θに応じた2つの補正係数Kを都度取得する。そして、算出部72は、2つの補正係数Kから、今回の初期距離Liに対応する補正係数Kを補間することにより算出する。ここで、今回の初期距離Liが選択した2つの補正式に対応する2の初期距離Liの間の値であれば、今回の初期距離Liに対応する補正係数Kが内挿により補間される。一方、今回の初期距離Liが選択した2つの補正式に対応する初期距離Liの間の値でなければ、今回の初期距離Liに対応する補正係数Kが外挿により補間される。こうして、算出部72は、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得する。
【0046】
一例として、今回の初期距離Li*が初期距離Li1及び初期距離Li2の間の値を取るとき、任意の開度θxに対する補正係数K*(θx)は、次式で表現される。ここで、K1(θx)は、第1補正式K1(θ)に任意の開度θxを代入したときの補正係数Kであり、K2(θx)は、第2補正式K2(θ)に任意の開度θxを代入したときの補正係数Kである。なお、今回の初期距離Li*が初期距離Li1及び初期距離Li2の間の値を取らない場合でも同様の式となる。
【0047】
K*(θx)=((Li*-Li1))/((Li2-Li1))
・(K2(θx)-K1(θx))+K1(θx)
なお、算出部72が3つの補正式を選択した場合、今回の初期距離Liと任意の開度θxとに対する補正係数K*(θx)は、より高次の関数で補間される。
【0048】
制御部74は、開作動指令信号又は閉作動指令信号が入力される場合に、リリースアクチュエータ50及びドアアクチュエータ60を制御することにより、バックドア30を開作動させたり閉作動させたりする。開作動指令信号及び閉作動指令信号は、例えば、電子キーなどの携帯機の設けられたスイッチをユーザが操作する場合、運転席の周囲に設けられたスイッチをユーザが操作する場合などに、制御部74に入力される。
【0049】
制御部74は、全閉位置に配置されるバックドア30を開作動させる場合には、リリースアクチュエータ50によりラッチ機構40をアンラッチ作動させる。続いて、制御部74は、ドアアクチュエータ60により、バックドア30を開作動させる。バックドア30の開作動中において、制御部74は、算出部72が算出したバックドア30から障害物100までの距離Lに基づき、バックドア30が障害物100に接近した場合にバックドア30を停止させる。一方、制御部74は、全開位置に配置されるバックドア30を閉作動させる場合には、ドアアクチュエータ60によりバックドア30を閉作動させる。なお、制御部74は、全閉位置及び全開位置の間の中途位置に配置されるバックドア30を開閉作動させる場合もある。
【0050】
また、制御部74は、バックドア30の開閉作動時に、モータの出力軸が所定量だけ回転する度に出力されるパルスをカウントすることにより、バックドア30の位置、言い換えれば、バックドア30の開度θを算出する。
【0051】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、開作動指令信号が入力されたときに、ドア制御装置70が実施する処理の流れについて説明する。なお、本処理は、全閉位置に配置されるバックドア30と障害物100とが対向する位置関係を取るときに実施される処理である。
【0052】
図5に示すように、ドア制御装置70は、距離センサSEの検出結果に基づいて、第1経過時間T1を取得し(S11)、第1経過時間T1の半分の時間に音速を乗じることで、初期距離Liを算出する(S12)。ステップS12で算出される初期距離Liは、補正係数Kによって補正されない距離である。その後、ドア制御装置70は、初期距離Liに対応する補正式を選択する(S13)。
【0053】
補正式の選択後、ドア制御装置70は、リリースアクチュエータ50によりラッチ機構40をアンラッチ作動させ、ドアアクチュエータ60によりバックドア30の開作動を開始させる(S14)。つまり、ステップS14の実施後は、時間の経過とともにバックドア30の開度θが次第に大きくなる。
【0054】
その後、ドア制御装置70は、選択した補正式と現在のバックドア30の開度θとに基づいて、補正係数Kを取得する(S15)。今回の初期距離Liと合致する補正式が選択できていれば、ドア制御装置70は、現在のバックドア30の開度θを補正式に入力することにより、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θに応じた補正係数Kを取得する。一方、今回の初期距離Liと合致する補正式を選択できていなければ、ドア制御装置70は、現在のバックドア30の開度θを2つの補正式に入力するとともに、得られた2つの補正係数Kの補間により、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θに応じた補正係数Kを取得する。
【0055】
続いて、ドア制御装置70は、距離センサSEの検出結果に基づいて、第1経過時間T1を取得し(S16)、第1経過時間T1の半分の時間に、先のステップS15で取得した補正係数Kと音速とを乗じることで、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する(S17)。言い換えれば、ドア制御装置70は、第2経過時間T2に対応する距離Lを算出する。
【0056】
その後、ドア制御装置70は、ステップS17で算出されたバックドア30から障害物100までの距離Lに基づき、バックドア30が障害物100に接近しているか否かを判定する(S18)。バックドア30が障害物100に接近しているか否かの判定値は、例えば、数cm~数十cmの間で適宜に決定すればよい。
【0057】
バックドア30が障害物100に接近している場合(S18:YES)、ドア制御装置70は、ドアアクチュエータ60を停止させ、バックドア30の開作動を終了させる(S20)。その後、ドア制御装置70は、本処理を終了する。一方、バックドア30が障害物100に接近していない場合(S18:NO)、ドア制御装置70は、バックドア30が全閉位置に到達したか否かを判定する(S19)。バックドア30が全閉位置に到達している場合(S19:YES)、ドア制御装置70は、ステップS20の処理を実施する。つまり、バックドア30の開作動が終了される。一方、バックドア30が全閉位置に到達していなければ、ドア制御装置70は、ステップS15の処理を実施する。つまり、バックドア30の開作動が継続される。
【0058】
本実施形態の作用について説明する。
バックドア30の後方に障害物100が存在する状況下において、ドアアクチュエータ60により、バックドア30が開作動される場合には、距離センサSEの検出結果に基づき、バックドア30から障害物100までの距離Lが精度良く算出される。このため、バックドア30の開作動時に、バックドア30を障害物100の直前に停止させたり、バックドア30を障害物100から余裕のある位置で停止させたりすることが可能となる。
【0059】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ドア制御装置70は、バックドア30の開度θが大きいほど、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きいものとして、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。したがって、ドア制御装置70は、バックドア30から障害物100までの距離Lを精度良く算出できる。その結果、ドア制御装置70は、バックドア30を障害物100の手前で精度良く停止できる。
【0060】
(2)ドア制御装置70は、初期距離Liが長いほど、第1経過時間T1及び第2経過時間T2の差分ΔTが大きいものとして、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出する。したがって、ドア制御装置70は、バックドア30から障害物100までの距離Lをより精度良く算出できる。その結果、ドア制御装置70は、バックドア30を障害物100の手前でより精度良く停止できる。
【0061】
(3)ドア制御装置70は、開度θが大きいほど小さくなる補正係数Kであって且つ初期距離Liが長いほど小さくなる補正係数Kに第1経過時間T1を乗じることで第2経過時間T2を算出し、第2経過時間T2と超音波の速度とに基づいて距離Lを算出する。このため、ドア制御装置70は、簡易な計算式によりバックドア30から障害物100までの距離Lを算出できる。
【0062】
(4)ドア制御装置70は、記憶部73に記憶される複数の補正式の中から、今回の初期距離Liに対応する2つの補正式を選択し、選択した2つの補正式に基づきそれぞれ算出される現在の開度θに応じた2以上の補正係数Kの補間により、今回の初期距離Liと現在の開度θとに応じた補正係数Kを取得する。このため、ドア制御装置70は、多くの補正式を記憶しなくても、今回の初期距離Liとバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得できる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・算出部72は、補正式に基づき補正係数Kを取得しなくてもよい。例えば、算出部72は、バックドア30の開度θと初期距離Liと補正係数Kとの関係を示すマップ及びテーブルにより、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得してもよい。
【0064】
・算出部72は、開度θにのみ基づく補正係数Kを用いて第1経過時間T1を補正してもよいし、初期距離Liにのみに基づく補正係数Kを用いて第1経過時間T1を補正してもよい。
【0065】
・算出部72は、第2経過時間T2の半分の時間に音速を乗じることによりバックドア30から障害物100までの補正前距離を算出してもよい。そして、算出部72は、補正前距離に補正係数Kを乗じることにより補正後距離、すなわち、バックドア30から障害物100までの距離Lを算出してもよい。つまり、補正係数Kを乗じる対象は、時間でもよいし、距離Lでもよい。
【0066】
・記憶部73は、初期距離Liと開度θとを変数とする1つの補正式を記憶してもよい。この場合、算出部72は、今回の初期距離Liと現在の開度θとを補正式に代入することにより、今回の初期距離Liとバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得してもよい。
【0067】
・今回の初期距離Liと等しい初期距離Liに対応する補正式が記憶部73に記憶されていない場合、算出部72は、今回の初期距離Liと最も近い値の初期距離Liに対応する補正式を1つ選択してもよい。そして、算出部72は、選択した1つの補正式に現在のバックドア30の開度θを代入することにより、今回の初期距離Liと現在のバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを取得してもよい。ドア制御装置70は、多くの補正式を記憶しなくても、今回の初期距離Liとバックドア30の開度θとに応じた補正係数Kを容易に取得できる。
【0068】
・開閉体は、車両10のサイドドアでもよいし、車両10のボンネットパネルでもよいし、車両10のサンルーフパネルでもよいし、車両10のフューエルリッドでもよい。
・ドア制御装置70は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0069】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、開口部を有する車体と、前記車体に対して揺動しつつ前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を駆動するアクチュエータと、前記開閉体に設置され、検出波を発信するとともに前記検出波の反射波を受信する距離センサと、を備える車両に適用され、前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが受信する前記反射波の強度が閾値以上になるまでの時間としての第1経過時間を取得する取得部と、前記第1経過時間に基づいて前記開閉体から障害物までの距離を算出する算出部と、前記アクチュエータを制御することにより、前記障害物と対向する前記開閉体を全閉位置から開作動させる際に、前記距離に基づいて前記障害物に接触する前に前記開閉体を停止させる制御部と、を備え、前記距離センサが前記検出波を発信してから前記距離センサが前記反射波を受信し始めるまでの時間を第2経過時間とし、前記制御部が前記全閉位置から前記開閉体の開作動を開始する前に、前記算出部が算出する前記距離を初期距離としたとき、前記算出部は、前記第1経過時間に基づいて前記第2経過時間に対応する前記距離を算出するものであり、前記初期距離が長いほど、前記第1経過時間及び前記第2経過時間の差分が大きいものとして前記距離を算出する。
【符号の説明】
【0070】
10…車両
21…ドア開口部(開口部の一例)
20…車体
30…バックドア(開閉体の一例)
60…ドアアクチュエータ(アクチュエータの一例)
70…ドア制御装置(車両用開閉体制御装置の一例)
71…取得部
72…算出部
73…記憶部
74…制御部
100…障害物
SE…距離センサ
L…距離
Li…初期距離
K…補正係数
T1…第1経過時間
T2…第2経過時間
θ…開度
図1
図2
図3
図4
図5