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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/60 20060101AFI20230926BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B65D5/60 C
B65D5/02 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020081238
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021175670
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田代 英司
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144877(JP,A)
【文献】実開昭58-177313(JP,U)
【文献】特開2005-126109(JP,A)
【文献】特開平10-194263(JP,A)
【文献】特開2011-098748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/60
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の注出口を備える内装容器が収容される包装箱であって、
一対の前後の側板と、一対の左右の側板と、前記前後の側板と前記左右の側板とを繋げる傾斜側板とで構成される胴部と、
前記胴部の天面を構成する一対の内フラップおよび一対の外フラップとを備え、
前記内フラップは、前記前後の側板および前記左右の側板のうち一方の側板に連接され、
前記外フラップは、前記前後の側板および前記左右の側板のうち他方の側板に連接され、
前記一対の内フラップのうち一方の内フラップは、先端に係合凸部を備え、
前記一対の内フラップのうち他方の内フラップは、先端に前記係合凸部と係合される係合凹部を備え
前記包装箱は、前記内フラップと当該内フラップが連接される側板との境界の罫線上に切込み部を備え、
前記切込み部は、当該内フラップが連接される側板に位置し、前記罫線と平行な第1切込みと、前記第1切込みから少なくとも前記罫線まで延在する一対の第2切込みとを備え、
前記外フラップと当該外フラップが連接される側板との境界の罫線上には、前記切込み部が設けられていないことを特徴とする
包装箱。
【請求項2】
前記係合凸部は、先端部が基端部よりも幅広であり、
前記係合凹部は、先端部が基端部よりも幅狭であることを特徴とする
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記係合凸部は、第1係合凸部であり、
前記係合凹部は、第1係合凹部であり、
前記一対の外フラップのうち一方の外フラップは、先端に第2係合凸部を備え、
前記一対の外フラップのうち他方の外フラップは、先端に前記第2係合凸部と係合される第2係合凹部を備えることを特徴とする
請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第2係合凸部は、基端部から先端部まで一定の幅を有しており、
前記第2係合凹部は、基端部から先端部まで一定の幅を有していることを特徴とする
請求項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記一対の外フラップのうち何れかの外フラップは、前記包装箱に収容された前記内装容器の前記注出口を外部に臨ませるための開口部を備え、
前記一対の内フラップは、前記開口部から外部に臨む前記注出口を囲む切欠凹部を備え、
前記切欠凹部が有するコーナ部は、何れも円弧形状を有する
請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が充填される可撓性の内装容器を収容するための包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の小口搬送用の容器として、抽出口が付設された可撓性を有する内装容器が、流体が充填された状態で外装容器としての段ボール製の包装箱に収容されたバッグインボックスがある。バッグインボックスは、軽量で安価である一方で、積み重ねた際に、上部からの荷重、及び、可撓性のある内装容器による箱の内側からの圧力により、包装箱の胴膨れが生じるおそれがある。このため、包装箱の中には、胴部が平面視八角形状を有するように構成され、胴膨れしにくくされたものがある(特許文献1参照)。この包装箱の組立手順は、先ず、側面が構成され、次いで、底面が構成され、この状態で内装容器が胴部に収容され、最後に、天面が構成されて包装箱が封緘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-144877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この包装箱は、側面が8面で構成されるため、底面や天面を組み立てる際に、互いに隣接する側面の境界に設けられた罫線で曲がり易く、胴部の形状が不安定になる。このため、底面や天面の組立作業が行いにくくなるという問題がある。また、底面を組み立てる際には、例えば、胴部に治具を挿入することで、胴部の形状を安定させた状態で組み立てることが可能であるが、天面を組み立てる際には、胴部に内装容器が収容された状態であるため、胴部に治具等を挿入し胴部の形状を安定させることが困難である。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、組立の作業性を向上可能とした包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための包装箱は、流体の注出口を備える内装容器が収容される包装箱であって、一対の前後の側板と、一対の左右の側板と、前記前後の側板と前記左右の側板とを繋げる傾斜側板とで構成される胴部と、前記胴部の天面を構成する一対の内フラップおよび一対の外フラップとを備え、前記内フラップは、前記前後の側板および前記左右の側板のうち一方の側板に連接され、前記外フラップは、前記前後の側板および前記左右の側板のうち他方の側板に連接され、前記一対の内フラップのうち一方の内フラップは、先端に係合凸部を備え、前記一対の内フラップのうち他方の内フラップは、前記係合凸部に係合される係合凹部を備える。
【0007】
上記構成によれば、一対の内フラップの係合凸部と係合凹部とが係合されることで、内フラップが折曲されてから外フラップが貼合されるまでの間において、折曲された内フラップ同士が仮止めされ、内フラップがシートの反発で元に戻ることが抑制されるため、組立時の作業性を向上できる。
【0008】
上記包装箱において、前記内フラップと前記前後の側板との境界の罫線上に切込み部を備え、前記切込み部は、前記前後の側板において前記罫線と平行な第1切込みと、前記第1切込みから、少なくとも前記罫線まで延在する一対の第2切り込みとを備えることが好ましい。上記構成によれば、内フラップが折曲される際、第1切込みと第2切込みとで囲まれた領域が内フラップに対して反対方向に延在される。これにより、第1切込みおよび第2切込みによって形成された縁部同士が干渉して摩擦が生じることで、内フラップと前後の側板との境界において、シートの反発によって折曲された内フラップが元に戻ることが抑制されるため、組立時の作業性をさらに向上できる。
【0009】
上記包装箱において、前記係合凸部は、先端部が基端部よりも幅広であり、前記係合凹部は、先端部が基端部よりも幅狭であることが好ましい。上記構成によれば、折曲された内フラップ同士がより確実に仮止めされ、また、内装容器からの内圧による側面への負荷が支えられることで、側面の形状をより確実に保持できるため、組立時の作業性をさらに向上できる。
【0010】
上記包装箱において、前記係合凸部は、第1係合凸部であり、前記係合凹部は、第1係合凹部であり、前記一対の外フラップのうち一方の外フラップは、先端に第2係合凸部を備え、前記一対の外フラップのうち他方の外フラップは、先端に前記第2係合凸部に係合される第2係合凹部を備えることが好ましい。上記構成によれば、外フラップが折曲されてから完全に貼合されるまでの間において、第2係合凸部と第2係合凹部とが係合されることで、外フラップがずれないように位置決めされるため、組立時の作業性を向上できる。
【0011】
上記包装箱において、前記第2係合凸部は、基端部から先端部まで一定の幅を有しており、前記第2係合凹部は、基端部から先端部まで一定の幅を有していることが好ましい。上記構成によれば、第2係合凸部および第2係合凹部が複雑な形状を有する場合よりも、第2係合凸部と第2係合凹部とを係合させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッグインボックス用の包装箱における組立の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】バッグインボックスを上側から見た斜視図。
図2】包装箱を製造するブランクシートの平面図。
図3】包装箱を組み立てる途中の図であって、包装箱の側面が構成された状態を示す斜視図。
図4図3の続きであって、包装箱の底面が構成された状態を示す斜視図。
図5図4の続きであって、(a)は、包装箱の胴部の上方で内フラップが折曲された状態を示す斜視図、(b)は、切込み部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された包装箱を図1ないし図5を参照して説明する。
図1に示すように、バッグインボックス1は、外装容器としての段ボール製の包装箱2と、包装箱2に収容される内装容器としての内袋3を備えている。内袋3は、プラスチック製の可撓性の容器であり、その内部には飲料水などの流体が充填されている。内袋3は、その上部に流体の抽出口および注入口となるスパウト3aを備えている。
【0015】
本発明が適用された包装箱2は、胴部を構成する側面と、胴部の下方を閉塞する底面と、胴部の上方を閉塞する天面とを備えている。側面は、平面視八角形状を有しており、前後方向の一対の側板である前側板11および後側板13と、左右方向の一対の側板である左側板12および右側板14と、前後の側板11,13および左右の側板12,14における幅方向の両端部を繋げる4枚の傾斜側板15を備えている。前後左右の側板11~14は、ほぼ同じ大きさの矩形状を有しており、高さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きくなっている。4枚の傾斜側板15は、それぞれ同じ大きさの矩形状を有しており、前後左右の側板11~14とほぼ同じ高さ寸法と、前後左右の側板11~14よりも小さい幅寸法とを有している。
【0016】
底面は、下面視八角形状を有しており、底面における外フラップとしての前底面板21と、後底面板23とを備えており、さらに、前後の底面板21,23の内側に、底面における内フラップとしての左底面板22と、右底面板24とを備えている(図2参照)。
【0017】
天面は、上面視八角形状を有しており、前外フラップ31と、後外フラップ33とを備えており、さらに、前後の外フラップ31,33の内側に、左内フラップ32と、右内フラップ34とを備えている。前外フラップ31は、開口部37を備えている。開口部37からは、包装箱2に収容された内袋3のスパウト3aが外部に臨まされている。
【0018】
左内フラップ32は、第1係合凸部38aを備えている。また、右内フラップ34は、第1係合凹部38bを備えている。左右の内フラップ32,34が折曲された状態では、第1係合凸部38aと、第1係合凹部38bとが係合されている。前外フラップ31は、第2係合凸部36aを備えている。また、後外フラップ33は、第2係合凹部36bを備えている。前後の外フラップ31,33が折曲された状態では、第2係合凸部36aと、第2係合凹部36bとが係合されている。
【0019】
図2に示すように、包装箱2のブランクシート4は、その中央に、右から、右側板14、前側板11、左側板12、後側板13、接合片16がこの順に並んでおり、さらに、それぞれの間に傾斜側板15が連接されている。傾斜側板15と、前後左右の側板11~14および接合片16との境界には、側面罫線17が設けられている。側面罫線17は、切断を前提としない圧縮溝である。すなわち、前後左右の側板11~14および接合片16は、隣接する傾斜側板15に対して、側面罫線17によって折曲可能である。接合片16は、包装箱2を組み立てる際に、接着剤、粘着テープなどの接着手段で右側板14と接続される。
【0020】
左右の側板12,14は、その中央部に手掛孔18を備えている。左右の側板12,14における手掛孔18を構成する部分は、手掛孔18の縁部となる位置に、側面罫線17に対して略45°の角度で傾斜した直線形状であって、前側板11側が上方に位置し、後側板13側が下方に位置する一対の平行な直線部と、一対の直線部における端部同士を繋ぐ一対の半円状の円弧部とを備えている。一対の直線部のうち上部に位置する直線部は、切断を前提としない圧縮溝(一点鎖線部分)であり、一対の直線部の下部に位置する直線部、および、一対の円弧部は、厚さ方向に貫通する切込み(実線部分)となっている。
【0021】
手掛孔18は、ブランクシート4の状態において、一対の直線部および一対の円弧部で囲まれた領域が閉塞されている。手掛孔18は、当該領域が内側に押し込まれることで、一対の直線部における上部の直線部を介して内側に折曲され、手掛孔18が構成されて把持部となる。バッグインボックス1の運搬時において、作業者は、後側板13を自身と対向させ、前側板11を自身の前方に向けた状態で手掛孔18に手を掛ける。手掛孔18は、前側板11側が上方に位置し、後側板13側が下方に位置することにより、バッグインボックス1を持った際、側面における前面、後面、および、左右の面が一意に決められる。そのため、運搬時に前面となる前側板11に対して意匠性のよい印刷等を施すことが好適である。
【0022】
前側板11には、底面側に前底面板21が連接され、天面側に前外フラップ31が連接されている。左側板12には、底面側に左底面板22が連接され、天面側に左内フラップ32が連接されている。後側板13には、底面側に後底面板23が連接され、天面側に後外フラップ33が連接されている。右側板14には、底面側に右底面板24が連接され、天面側に右内フラップ34が連接されている。
【0023】
前後左右の底面板21~24は、前後左右の側板11~14の下縁部に位置する底面側罫線25によって折曲可能である。前後の外フラップ31,33および左右の内フラップ32,34は、前後左右の側板11~14の上縁部に位置する天面側罫線35によって折曲可能である。底面側罫線25および天面側罫線35は、切断を前提としない圧縮溝である。
【0024】
前後の底面板21,23は、同一形状を有する突合せフラップである。前後の底面板21,23は、前後の側板11,13の下縁部に位置する底面側罫線25を基端として、基端から先端に向かって幅が広がる台形状の領域を備え、さらに、台形状の領域における先端に一定の幅を有する長方形状の領域を備えている。台形状の領域は、基端が前後の側板11,13とほぼ同じ幅を有し、その幅方向の縁部の長さが傾斜側板15の幅の寸法と対応するように構成されている。長方形状の領域は、その幅方向の縁部の長さが左右の側板12,14の幅の半分の寸法と対応するように構成されている。
【0025】
左右の底面板22,24は、左右対称の形状を有する突合せフラップである。左右の底面板22,24は、左右の側板12,14の下縁部に位置する底面側罫線25を基端として、幅方向において、左右の側板12,14とほぼ同じ寸法を有し、幅方向と直交する方向において、前後の底面板21,23とほぼ同じ寸法を有している。左右の底面板22,24は、先端における前底面板21側のコーナ部が略円弧状で構成されており、内袋3が損傷されにくくなっている。
【0026】
左内フラップ32は、左側板12の上縁部に位置する天面側罫線35を基端として、基端から中央部まで左側板12とほぼ同じ幅を有し、中央部から先端において、前外フラップ31側に左切欠凹部40を備えている。左切欠凹部40は、幅方向の前外フラップ31側の端部に位置する第1コーナ部40aと、幅方向の中央部、かつ、基端側に位置する第2コーナ部40bと、幅方向の中央部、かつ、先端側に位置する第3コーナ部40cとを備えており、何れも略円弧形状を有している。左切欠凹部40は、包装箱2の組立状態において、開口部37の下方に位置する。また、左内フラップ32は、先端における後外フラップ33側に第1係合凸部38aを備えている。第1係合凸部38aは、先端部が基端部よりも幅広の台形状を有している。
【0027】
右内フラップ34は、右側板14の上縁部に位置する天面側罫線35を基端として、基端から中央部まで右側板14とほぼ同じ幅を有し、中央部から先端において、前外フラップ31側に右切欠凹部41を備えている。右切欠凹部41は、幅方向の前外フラップ31側の端部に位置する第4コーナ部41aと、幅方向の中央部、かつ、基端側に位置する第5コーナ部41bと、幅方向の中央部、かつ、先端側に位置する第6コーナ部41cとを備えており、何れも略円弧形状を有している。右切欠凹部41は、包装箱2の組立状態において、開口部37の下方に位置し、左切欠凹部40と右切欠凹部41とで囲まれた領域には、内袋3のスパウト3aが配置される。また、右内フラップ34は、先端における後外フラップ33側に第1係合凹部38bを備えている。第1係合凹部38bは、先端部が基端部よりも幅狭の台形状を有し、第1係合凸部38aと対応した凹部形状を有している。前後の外フラップ31,33および左右の内フラップ32,34は、幅方向と直交する方向において、何れもほぼ同じ寸法を有している。
【0028】
左右の内フラップ32,34は、突合せフラップであり、包装箱2の組立状態において、第1係合凹部38bと第1係合凸部38aとが係合される。第1係合凸部38aの先端部が基端部よりも幅広であり、第1係合凹部38bの先端部が基端部よりも幅狭であることで、折曲された左右の内フラップ32,34が確実に仮止めされる構成となっている。また、第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとの係合は、後述の第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとの係合より外れにくくなっている。
【0029】
左右の側板12,14の上縁部に位置する天面側罫線35には、2つの切込み部39が設けられている。切込み部39は、左右の側板12,14において、天面側罫線35と平行に延在する第1切込み39aと、第1切込み39aの両端を起点として、天面側罫線35を跨いで左右の内フラップ32,34まで延在する一対の第2切込み39bとを備えている。第1切込み39aおよび一対の第2切込み39bは、厚さ方向に貫通する切込みである。包装箱2の組立状態において、第1切込み39aと一対の第2切込み39bとで囲まれた領域は、左右の側板12,14に対して左右の内フラップ32,34と反対側に延出される(図5参照)。
【0030】
前外フラップ31は、前側板11の上縁部に位置する天面側罫線35を基端として、基端から先端に向かって幅が広がる台形状の領域と、台形状の領域の先端に連接される長方形状の領域と、長方形状の領域の先端に連接される第2係合凸部36aとを備えている。台形状の領域は、基端が前側板11とほぼ同じ幅を有し、その幅方向の縁部の長さが傾斜側板15の幅の寸法と対応するように構成されている。第2係合凸部36aは、その基端部から先端部まで一定の幅を有している。
【0031】
また、前外フラップ31は、中央に円形の開口部37を備えている。前外フラップ31における開口部37を構成する部分は、開口部37の縁部となる位置に切断可能な第1ミシン目(点線部分)と、厚さ方向に貫通する切込み(実線部分)とが、環状となるように設けられている。開口部37の縁部となる位置は、その大部分である優弧部分に切断可能な第1ミシン目が設けられ、第1ミシン目の両端から厚さ方向に貫通する劣弧部分に切込みが設けられている。さらに、第1ミシン目と切込みとの境界を起点として、切込みと対向するように第1ミシン目と反対向きの略円弧形状を有した第2ミシン目が設けられている。開口部37は、ブランクシート4の状態では、第1ミシン目および切込みで囲まれた領域がシートによって閉塞されている。バッグインボックス1の使用時には、第1ミシン目および切込みで囲まれた領域を切除することで、開口部37が前外フラップ31の中央に構成される。このとき、切込みと第2ミシン目とで囲まれた領域を押圧して変位させることにより、第1ミシン目および切込みで囲まれた領域を切除し易くなる。
【0032】
後外フラップ33は、後側板13の上縁部に位置する天面側罫線35を基端として、基端から先端に向かって幅が広がる台形状の領域と、台形状の領域の先端に連接される長方形状の領域と、長方形状の領域の先端に連接される第2係合凹部36bとを備えている。台形状の領域は、基端が後側板13とほぼ同じ幅を有し、その幅方向の縁部の長さが傾斜側板15の幅の寸法と対応するように構成されている。第2係合凹部36bは、その基端部から先端部まで一定の幅を有し、第2係合凸部36aと対応した凹部形状を有している。前後の外フラップ31,33は、突合せフラップであり、包装箱2の組立状態において、第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとが係合される。第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bが基端部から先端部まで一定の幅を有しているため、第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとが容易に係合される構成となっている。
【0033】
次に、包装箱2の組立方法について説明する。
図3に示すように、ブランクシート4の状態から、接着剤等により接合片16と右側板14とが貼合されて側面が構成され、筒状の胴部が形成される。次いで、組立用の治具が胴部に挿入され、側面の形状が平面視八角形状に矯正された状態で保持される。組立用の治具としては、例えば、包装箱2が理想的に組み立てられた状態での胴部の形状に相当する八角形状を有するものである。これにより、側面の形状が安定した状態で底面を組み立てることができる。
【0034】
図4に示すように、治具により側面の形状が保持された状態で、左右の底面板22,24が内側に折曲され、さらに、左右の底面板22,24と重なるように前後の底面板21,23が内側に折曲され、前後の底面板21,23と左右の底面板22,24とが接着剤等で貼合されることで底面が構成される。次いで、内袋3が胴部に収容され、内袋3に飲料水等の流体が充填される。このとき、組立状態において、開口部37とスパウト3aとが対応するように、内袋3が配置される。
【0035】
図5に示すように、左右の内フラップ32,34が内側に折曲され、第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとが係合され左右の内フラップ32,34が折曲された状態に仮止めされる。これにより、折曲された左右の内フラップ32,34がシートの反発で元に戻ることが抑制される。同時に、流体が充填された内袋3から側面に負荷される内圧が、第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとの係合によって支えられる。すなわち、左右の内フラップ32,34は、第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとが係合されることにより、作業者が手で押さえなくても、内側に折曲された状態が保持される。
【0036】
さらに、左右の内フラップ32,34が内側に折曲された状態では、切込み部39における第1切込み39aと第2切込み39bとで囲まれた領域が、左右の側板12,14に対して左右の内フラップ32,34と反対側に延出される。このとき、第1切込み39aおよび第2切込み39bによって形成された縁部同士が干渉して摩擦が生じることにより、シートの反発によって左右の内フラップ32,34が元に戻ることが抑制される。
【0037】
また、図5に示す状態では、左切欠凹部40と右切欠凹部41とで囲まれた領域に、内袋3のスパウト3aが配置される。左切欠凹部40と右切欠凹部41とで囲まれた領域において、左切欠凹部40のコーナ部40a~40c、および、右切欠凹部41のコーナ部41a~41cが何れも略円弧状で構成されている。換言すると、左切欠凹部40と右切欠凹部41とで囲まれた領域は、尖った角部が設けられていない構成となっている。これにより、左切欠凹部40のコーナ部40a~40cおよび右切欠凹部41のコーナ部41a~41cによって、内袋3が損傷されにくくなっている。
【0038】
次に、前後の外フラップ31,33が内側に折曲され、第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとが係合されて天面が構成される。このとき、先に係合された第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bによって、左右の内フラップ32,34が仮止めされて側面が支えられているため、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bを容易に係合できる。また、第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bの係合に加えて、それと直交する方向から第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとが係合されることで、側面が2方向から支えられるため、側面の形状がさらに変形しにくくなる。
【0039】
この状態で、前後の外フラップ31,33と左右の内フラップ32,34とが糊付けされる。さらに、包装箱2の天地を逆転させることで、天面が自重による負荷で圧着される。このとき、糊付けの固着が不完全な状態で包装箱2の天地が逆転されても、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bが係合されて前後の外フラップ31,33が位置決めされることで、前後の外フラップ31,33がずれにくくなっている。天面の貼合が完了した後、再度包装箱2の天地を逆転させ、組立が完了する。
【0040】
なお、バッグインボックス1の運搬時には、手掛孔18を把持部として持ち運ぶことができる。また、包装箱2は、平面視八角形状の側面を備えているため、圧縮強度が高められている。これにより、複数のバッグインボックス1を積み重ねて保管した場合でも、包装箱2の胴膨れが発生しにくくなり、積み上げた状態を安定させることができる。また、バッグインボックス1の使用時には、開口部37を閉塞する領域が切断されて前外フラップ31の中央に開口部37が形成され、スパウト3aが外部に臨まされる。
【0041】
以上のような包装箱2によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第1係合凸部38aと、第1係合凹部38bとが係合されることで、左右の内フラップ32,34が折曲されてから前後の外フラップ31,33が貼合されるまでの間において、折曲された左右の内フラップ32,34が仮止めされる。これにより、折曲された左右の内フラップ32,34がシートの反発で元に戻ることが抑制され、作業者が手で押さえなくても内側に折曲された状態が保持されるため、組立時の作業性を向上できる。
【0042】
(2)天面を構成する際には、胴部に内袋3が収容されているため、底面を構成する際に用いる治具等を使用することが困難であるが、第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとが係合されることで、流体が充填された内袋3からの内圧による側面への負荷が支えられるため、組立時の作業性を向上できる。
【0043】
(3)第1係合凸部38aの先端部がその基端部よりも幅広であり、第1係合凹部38bの先端部がその基端部よりも幅狭であることで、左右の内フラップ32,34がより確実に仮止めされ、内袋3からの内圧による側面への負荷がより確実に支えられるため、組立時の作業性を向上できる。
【0044】
(4)天面側罫線35に切込み部39を設けることで、天面側罫線35において、折曲される領域が小さくなり、天面側罫線35における左右の内フラップ32,34の折曲に伴うシートの反発が低減されるため、組立時の作業性を向上できる。
【0045】
(5)切込み部39が第1切込み39aと第2切込み39bとを備えることで、左右の内フラップ32,34が折曲された状態では、切込み部39における第1切込み39aと第2切込み39bとで囲まれた領域が、左右の側板12,14に対して左右の内フラップ32,34と反対側に延出される。これにより、第1切込み39aおよび第2切込み39bによって形成された縁部同士が干渉して摩擦が生じることで、シートの反発によって左右の内フラップ32,34が元に戻ることが抑制されるため、組立時の作業性を向上できる。
【0046】
(6)前外フラップ31の第2係合凸部36aと、後外フラップ33の第2係合凹部36bとが係合されることで、前後の外フラップ31,33がずれないように位置決めされるため、組立時の作業性を向上できる。
【0047】
(7)第1係合凹部38bおよび第1係合凸部38aの係合に加えて、それと直交する方向から第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとが係合されることで、側面が2方向から支えられるため、側面の形状がさらに変形しにくくなる。
【0048】
(8)第2係合凸部36aが基端部から先端部まで一定の幅を有し、第2係合凹部36bが基端部から先端部まで一定の幅を有することで、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bが複雑な形状を有する場合よりも、第2係合凸部36aと第2係合凹部36bとを係合させ易くすることができる。
【0049】
(9)第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bは、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bよりも外れにくい係合構造を有する。これにより、先に係合される第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bによって側面がより確実に支えられて安定するため、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bを容易に係合させることができる。
【0050】
(10)左切欠凹部40と右切欠凹部41とで囲まれた領域において、コーナ部40a~40c、および、コーナ部41a~41cが何れもが、尖った角部ではなく略円弧状で構成されることで、内袋3が損傷されにくくすることができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bは、基端部から先端部まで一定の幅でなくてもよい。例えば、第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bは、第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bと同じ形状であってもよく、第1係合凸部38aおよび第1係合凹部38bよりも複雑な係合構成であって、外れにくい係合構成を有してもよい。例えば、波線形状や鋸歯形状、ジグザグ形状などであってもよく、また、凸部および凹部に限られるものではない。
【0052】
・第2係合凸部36aおよび第2係合凹部36bは、省略してもよい。
・第1係合凸部38aと第1係合凹部38bとの係合によって、左右の内フラップ32,34が十分に仮止めされるのであれば、第1係合凸部38aは、先端部が基端部よりも幅広でなくてもよく、また、第1係合凹部38bは、先端部が基端部よりも幅狭でなくてもよい。例えば、波線形状や鋸歯形状、ジグザグ形状などであってもよい。
【0053】
・左右の内フラップ32,34が折曲された際のシートの反発が少ない場合は、切込み部39が設けられなくてもよい。このような構成の場合、左右の側板12,14と左右の内フラップ32,34との境界における強度の低下を抑制できる。
【0054】
・切込み部39は、前後の側板11,13と前後の外フラップ31,33との境界に設けられてもよい。このような構成の場合、折曲された前後の外フラップ31,33がシートの反発によって元に戻ることを抑制できる。
【0055】
・切込み部39は、第1切込み39aと第2切込み39bとで構成されなくてもよい。例えば、天面側罫線35と同一直線上に切込みが設けられているだけでもよい。このような構成によっても、左右の内フラップ32,34の折曲によるシートの反発を低減することが可能である。
【0056】
・第2切込み39bは、第1切込み39aの両端からではなく、第1切込み39aにおける何れの箇所から延在してもよい。例えば、第1切込み39aの両端の若干内側から延在してもよい。このような構成の場合でも、折曲された左右の内フラップ32,34がシートの反発によって元に戻ることを抑制できる。
【0057】
・第2切込み39bは、第1切込み39aを起点として、天面側罫線35まで延在する切込みであってもよい。このような構成の場合でも、折曲された左右の内フラップ32,34がシートの反発によって元に戻ることを抑制できる。
【0058】
・側面の形状を十分に保持できるのであれば、底面を構成する際に治具を用いなくてもよい。
・開口部37は、円形でなくてもよく、例えば矩形状であってもよい。また、スパウト3aの形状と対応する形状であってもよい。
【0059】
・開口部37は、前外フラップ31ではなく、後外フラップ33に設けられてもよい。また、前後左右の側板11~14に設けられてもよく、前後の底面板21,23に設けられてもよい。すなわち、内袋3のスパウト3aは、天面、側面、および底面の何れの箇所から外部に臨まされてもよい。
【0060】
・内袋3の強度が十分な場合は、左切欠凹部40のコーナ部40a~40c、および、右切欠凹部41のコーナ部41a~41cが略円弧形状で構成されなくてもよい。
・包装箱2に収容される内装容器は、可撓性を有する内袋3に限定されるものではなく、例えば、内袋3よりも形状が安定する内装容器として、剛性を有したPETボトルであってもよい。
【0061】
・内袋3のスパウト3aには、蛇口となる部品が設けられてもよい。
・包装箱2の材料は、段ボールに限定されるものではなく、例えば厚紙でもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…バッグインボックス
2…包装箱
11…前側板
12…左側板
13…後側板
14…右側板
15…傾斜側板
31…前外フラップ
32…左内フラップ
33…後外フラップ
34…右内フラップ
36a…第2係合凸部
36b…第2係合凹部
38a…第1係合凸部
38b…第1係合凹部
39…切込み部
39a…第1切込み
39b…第2切込み
図1
図2
図3
図4
図5