(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20230926BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230926BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 302C
B60R16/02 645A
B60R16/02 650U
(21)【出願番号】P 2020082596
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高田 和良
(72)【発明者】
【氏名】牟田 光治
(72)【発明者】
【氏名】田端 寛敬
(72)【発明者】
【氏名】菊地 匡哉
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165080(JP,A)
【文献】特開2010-093980(JP,A)
【文献】特開2004-092564(JP,A)
【文献】特開2005-218159(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012471(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/121974(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
第1バッテリと、
前記第1バッテリと直列に接続される第2バッテリと、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に接続される第1電気負荷と、
電力が供給されることによって動作する保護負荷と、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの直列接続体に対して直列に接続され、前記内燃機関を始動させるスタータと、
を備える車両に搭載される電力変換装置であって、
前記電力変換装置は、
入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、スイッチと、前記スイッチを制御する制御部と、を有し、
前記入力端子を通じて、前記直列接続体に対して直列に接続され、
前記第1出力端子を通じて、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間
における前記第1電気負荷と前記第2バッテリとの間に接続され、
前記第2出力端子を通じて、前記保護負荷と接続され、
前記入力端子から入力される電圧を変換し、変換した電力を前記第1出力端子と前記第2出力端子とから出力し、
前記スイッチは、
前記電力変換装置内において前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に配置され、
ONとなる場合に、前記第1出力端子から電流が流れることを許容し、
OFFとなる場合に、前記第1出力端子から流れる電流を遮断し、
前記制御部は、アイドリングストップ後の前記内燃機関を再始動する際に、前記スイッチをOFFにする電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記スタータの始動時に降下する前記直列接続体の電圧を推定し、
推定した前記直列接続体の電圧が、前記保護負荷が動作するために必要となる動作電圧を出力するために必要な最低入力電圧未満である場合に、アイドリングストップの中止または禁止を要求する請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スイッチは、MOSFETであり、
前記スイッチは、ボディダイオードを有し、
前記ボディダイオードのアノードは、前記第1出力端子と接続される請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1バッテリと、第2バッテリと、電気負荷と、電力変換装置と、スタータとを備える車両の電源装置が記載されている。第1バッテリと第2バッテリとは、直列に接続される。電気負荷は、電力が供給されることによって動作する。電力変換装置は、第2バッテリに接続される。電力変換装置は、第1バッテリと第2バッテリとの間に接続される。電力変換装置は、供給される電力を変換し、変換した電力を出力する。スタータは、第2バッテリと接続され、第1バッテリと第2バッテリとから電力が供給されることによって始動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される電源装置においては、スタータの始動時に突入電流が流れることによって、第1バッテリの電圧と第2バッテリの電圧とが降下する。第1バッテリの電圧と第2バッテリの電圧とが降下すると、電力変換装置から出力される電流が第1バッテリと第2バッテリとの間に向けて引き込まれる。
【0005】
電気負荷には、動作が保護される必要のあるオーディオなどの保護負荷が含まれる。電力変換装置が出力する電力によって保護負荷が動作する場合、アイドリングストップ後のスタータの始動時に、第1バッテリと第2バッテリとの間に電流が引き込まれることによって、保護負荷に供給される電力が不足することがある。保護負荷に供給される電力が不足することによって、保護負荷の動作が不安定になるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、保護負荷の動作を安定させた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電力変換装置は、内燃機関と、第1バッテリと、前記第1バッテリと直列に接続される第2バッテリと、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に接続される第1電気負荷と、電力が供給されることによって動作する保護負荷と、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの直列接続体に対して直列に接続され、前記内燃機関を始動させるスタータと、を備える車両に搭載される電力変換装置であって、前記電力変換装置は、入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、スイッチと、前記スイッチを制御する制御部と、を有し、前記入力端子を通じて、前記直列接続体に対して直列に接続され、前記第1出力端子を通じて、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間における前記第1電気負荷と前記第2バッテリとの間に接続され、前記第2出力端子を通じて、前記保護負荷と接続され、前記入力端子から入力される電圧を変換し、変換した電力を前記第1出力端子と前記第2出力端子とから出力し、前記スイッチは、前記電力変換装置内において前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に配置され、ONとなる場合に、前記第1出力端子から電流が流れることを許容し、OFFとなる場合に、前記第1出力端子から流れる電流を遮断し、前記制御部は、アイドリングストップ後の前記内燃機関を再始動する際に、前記スイッチをOFFにする。
【0008】
上記構成によれば、アイドリングストップ後の内燃機関を再始動する際に、スタータが始動する。スタータの始動によって突入電流が流れた場合に、スイッチがOFFであるため、第1出力端子から第1バッテリと第2バッテリとの間に向けて電流が流れない。第1出力端子から第1バッテリと第2バッテリとの間に向けて電流が流れないことによって、第2出力端子の出力電圧が降下しない。すなわち、第2出力端子から出力される電力が不足しないため、第2電気負荷の動作が安定する。
【0009】
上記電力変換装置において、前記制御部は、前記スタータの始動時に降下する前記直列接続体の電圧を推定し、推定した前記直列接続体の電圧が、前記保護負荷が動作するために必要となる動作電圧を出力するために必要な最低入力電圧未満である場合に、アイドリングストップの中止または禁止を要求してもよい。
【0010】
上記構成によれば、保護負荷が動作するために必要となる動作電圧が電力変換装置から出力されることが担保される。そのため、保護負荷の動作が安定する。
上記電力変換装置において、前記スイッチは、MOSFETであり、前記スイッチは、ボディダイオードを有し、前記ボディダイオードのアノードは、前記第1出力端子と接続されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、電力変換装置が停止している場合に、第1バッテリから保護負荷に電力が供給される。すなわち、第1バッテリから保護負荷に暗電流を供給できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保護負荷の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両が備える電力変換装置の一実施形態を示す回路図。
【
図2】制御部が実行する第1処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】制御部が実行する第2処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電力変換装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態では、電力変換装置は、電源装置を構成する。
図1に示すように、電源装置11は、内燃機関12を備える車両13に搭載される。内燃機関12は、例えば、エンジンである。車両13は、例えば、自動車である。
【0015】
電源装置11は、第1バッテリ21と、第2バッテリ22と、第1電気負荷23と、保護負荷としての第2電気負荷24と、オルタネータ25と、電力変換装置としての電力変換部26とを備える。本実施形態の電源装置11は、さらに、第1バッテリセンサ28と、第2バッテリセンサ29とを備える。電源装置11は、さらに、スタータ30を備える。
【0016】
電源装置11は、上述した複数の構成が複数のラインで接続されることによって構成される。本実施形態の電源装置11は、ラインとして、第1ライン31、第2ライン32、第3ライン33、第4ライン34、第5ライン35、第6ライン36及び第7ライン37を備える。
【0017】
まず、ラインについて説明する。
第1ライン31は、第1バッテリ21と第2バッテリ22とに接続されるラインである。本実施形態の第1ライン31は、その途中に第1接続点P1を有する。
【0018】
第2ライン32は、第2バッテリ22と電力変換部26とに接続されるラインである。本実施形態の第2ライン32は、その途中に第2接続点P2を有する。
第3ライン33は、第1ライン31と第1電気負荷23とに接続されるラインである。そのため、第3ライン33は、第1ライン31から分岐するともいえる。
【0019】
第4ライン34は、第2ライン32とオルタネータ25とに接続されるラインである。そのため、第4ライン34は、第2ライン32から分岐するともいえる。本実施形態では、第2ライン32と第4ライン34との接続点を第2接続点P2という。
【0020】
第5ライン35は、第1ライン31と電力変換部26とに接続されるラインである。そのため、第5ライン35は、第1ライン31から分岐するともいえる。本実施形態の第5ライン35は、第1ライン31に対し、第3ライン33と第2バッテリ22との間に接続される。本実施形態では、第1ライン31と第5ライン35との接続点を第1接続点P1という。
【0021】
第6ライン36は、第2電気負荷24と電力変換部26とに接続されるラインである。
第7ライン37は、第4ライン34とスタータ30とに接続されるラインである。そのため、第7ライン37は、第4ライン34から分岐するともいえる。
【0022】
次に、電源装置11の各種構成について説明する。
第1バッテリ21は、蓄電池である。第1バッテリ21は、例えば、鉛蓄電池であるが、ニッケル水素電池でもよいし、リチウムイオン電池でもよい。本実施形態では、第1バッテリ21は、公称電圧12Vの蓄電池である。
【0023】
第1バッテリ21の正極端子は、第1ライン31によって、第2バッテリ22と接続される。第1バッテリ21の正極端子は、第1ライン31と第3ライン33とによって、第1電気負荷23と接続される。第1バッテリ21の正極端子は、第1ライン31と第5ライン35とによって、電力変換部26と接続される。第1バッテリ21の負極端子は、接地される。
【0024】
第2バッテリ22は、蓄電池である。本実施形態では、第2バッテリ22は、第1バッテリ21と同種のバッテリである。そのため、本実施形態では、第2バッテリ22は、鉛蓄電池であるが、ニッケル水素電池でもよいし、リチウムイオン電池でもよい。第2バッテリ22は、公称電圧12Vの蓄電池である。
【0025】
第1バッテリ21と第2バッテリ22とは、互いに直列接続されている。そのため、第1バッテリ21と第2バッテリ22とは、互いが直列接続されることによって形成される直列接続体38を構成する。
【0026】
第2バッテリ22の正極端子は、第2ライン32によって、電力変換部26と接続される。第2バッテリ22の正極端子は、第2ライン32と第4ライン34とによって、オルタネータ25と接続される。第2バッテリ22の正極端子は、第2ライン32と第4ライン34と第7ライン37とによって、スタータ30と接続される。
【0027】
第2バッテリ22の負極端子は、第1ライン31によって、第1バッテリ21の正極端子と接続される。第2バッテリ22の負極端子は、第1ライン31と第3ライン33とによって、第1電気負荷23と接続される。第2バッテリ22の負極端子は、第1ラインと第5ライン35とによって、電力変換部26と接続される。
【0028】
第1電気負荷23は、電力が供給されることによって動作する。第1電気負荷23は、例えば、シートヒーター、シガーソケットなどの電装部品を含む。第1電気負荷23は、例えば、12Vの電圧で動作する。本実施形態では、第1電気負荷23が動作するために最低限必要な電圧を、第1電気負荷23の動作電圧という。
【0029】
第1電気負荷23は、第1ライン31と第3ライン33とによって、第1バッテリ21の正極端子と第2バッテリ22の負極端子とに接続される。すなわち、第1電気負荷23は、第1バッテリ21と第2バッテリ22との間に接続される。第1電気負荷23は、第1ライン31と第3ライン33と第5ライン35とによって、電力変換部26と接続される。第1電気負荷23は、第1バッテリ21及び電力変換部26の少なくとも一方から電力が供給されることによって、動作する。
【0030】
本実施形態では、第1電気負荷23は、電力の供給が担保されていない電気負荷である。そのため、第1電気負荷23に対しては、所定の状況下で電力の供給が途切れることがある。したがって、第1電気負荷23は、電力の供給が途切れても車両13の走行に支障のない電装部品を含む。
【0031】
第2電気負荷24は、第1電気負荷23と同様に、電力が供給されることによって動作する。第2電気負荷24は、例えば、オーディオ、ブレーキなどの電装部品を含む。第2電気負荷24は、第1電気負荷23と同様に、例えば、12Vの電圧で動作する。本実施形態では、第2電気負荷24が動作するために最低限必要な電圧を、第2電気負荷24の動作電圧という。
【0032】
第2電気負荷24は、第6ライン36によって、電力変換部26と接続される。第2電気負荷24は、電力変換部26から電力が供給されることによって、動作する。
本実施形態では、第2電気負荷24は、第1電気負荷23と異なり、電力の供給が担保されている電気負荷である。すなわち、第1電気負荷23に対しては電力の供給が途切れる状況下であっても、第2電気負荷24に対しては、電力が途切れることなく供給される。したがって、第2電気負荷24は、車両13の走行に関わる電装部品を含む。
【0033】
オルタネータ25は、内燃機関12と接続される。オルタネータ25は、内燃機関12の駆動によって駆動する。オルタネータ25は、駆動することによって発電する。オルタネータ25は、レギュレータ39を有する。レギュレータ39は、オルタネータ25の出力電圧を制御する。
【0034】
オルタネータ25は、第2ライン32と第4ライン34とによって、第2バッテリ22と電力変換部26とに接続される。すなわち、オルタネータ25は、第2バッテリ22と電力変換部26との間に接続される。オルタネータ25は、第4ライン34と第7ライン37とによって、スタータ30と接続される。
【0035】
オルタネータ25によって発電された電力は、第2接続点P2を通じて第1バッテリ21、第2バッテリ22、第1電気負荷23、第2電気負荷24及び電力変換部26に供給される。オルタネータ25から第1バッテリ21と第2バッテリ22とに電力が供給されると、第1バッテリ21と第2バッテリ22とが充電される。
【0036】
オルタネータ25が発電する場合、第2接続点P2の電位は、オルタネータ25の出力電圧と一致する。オルタネータ25の出力電圧は、例えば、24Vである。そのため、この場合には、第2接続点P2の電位は、24Vとなる。すなわち、電力変換部26には、オルタネータから24Vの出力電圧が供給される。オルタネータ25が発電しない場合、第2接続点P2の電位は、直列接続体38の電圧と一致する。
【0037】
電力変換部26は、例えば、DC/DCコンバータである。電力変換部26は、供給される電力を変換する。電力変換部26は、変換した電力を出力する。本実施形態では、電力変換部26は、降圧型のDC/DCコンバータである。
【0038】
電力変換部26は、制御部27と、第1スイッチング素子41と、第2スイッチング素子42と、第3スイッチング素子43と、第4スイッチング素子44と、第5スイッチング素子45と、コイル46とを有する。電力変換部26は、さらに、電力が入力される入力端子47と、電力が出力される第1出力端子48と、電力が出力される第2出力端子49とを有する。制御部27については、後述する。
【0039】
第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、例えば、MOSFETである。MOSFETとは、金属酸化膜電界効果トランジスタである。本実施形態では、第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、Nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、それぞれボディダイオード50を有する。
【0040】
第1スイッチング素子41のドレインは、入力端子47と接続される。第1スイッチング素子41のソースは、第2スイッチング素子42とコイル46の一端とに接続される。第1スイッチング素子41のゲートは、制御部27と接続される。
【0041】
第2スイッチング素子42のドレインは、第1スイッチング素子41のソースとコイル46の一端とに接続される。第2スイッチング素子42のソースは、接地される。第2スイッチング素子42のゲートは、制御部27と接続される。
【0042】
第3スイッチング素子43のドレインは、コイル46の他端と接続される。第3スイッチング素子43のソースは、第4スイッチング素子44と接続される。第3スイッチング素子43のゲートは、制御部27と接続される。
【0043】
第4スイッチング素子44のドレインは、第5スイッチング素子45と第2出力端子49とに接続される。第4スイッチング素子44のソースは、第3スイッチング素子43のソースと接続される。第4スイッチング素子44により、電力変換部26の第1出力端子48と第2出力端子49とから電力変換部26に逆電流が流れることが抑制される。第4スイッチング素子44のゲートは、制御部27と接続される。
【0044】
第5スイッチング素子45のドレインは、第4スイッチング素子44のドレインと第2出力端子49とに接続される。第5スイッチング素子45のソースは、第1出力端子48と接続される。すなわち、第5スイッチング素子45は、第4スイッチング素子44と第1出力端子48との間に位置する。第5スイッチング素子45のゲートは、制御部27と接続される。
【0045】
コイル46は、第1スイッチング素子41及び第2スイッチング素子42の間と、第3スイッチング素子43とに接続される。具体的には、コイル46は、第1スイッチング素子41のソース及び第2スイッチング素子42のドレインの間と、第3スイッチング素子43のドレインとに接続される。
【0046】
入力端子47は、第2ライン32と第1スイッチング素子41のドレインとに接続される。そのため、電力変換部26は、入力端子47を通じて、第2ライン32によって、第2バッテリ22の正極端子と接続される。すなわち、電力変換部26は、入力端子47を通じて、直列接続体38に対して直列に接続される。電力変換部26は、入力端子47を通じて、第2ライン32と第4ライン34とによって、オルタネータ25と接続される。電力変換部26は、入力端子47を通じて、第2ライン32と第4ライン34と第7ライン37とによって、スタータ30と接続される。
【0047】
第1出力端子48は、第5ライン35と第5スイッチング素子45のソースと接続される。そのため、電力変換部26は、第1出力端子48を通じて、第1ライン31と第5ライン35とによって、第1バッテリ21の正極端子と第2バッテリ22の負極端子とに接続される。すなわち、電力変換部26は、第1出力端子48を通じて、第1バッテリ21と第2バッテリ22との間に接続される。電力変換部26は、第1出力端子48を通じて、第1ライン31と第3ライン33と第5ライン35とによって、第1電気負荷23と接続される。
【0048】
第2出力端子49は、第6ライン36と第4スイッチング素子44のドレインと第5スイッチング素子45のドレインとに接続される。電力変換部26は、第2出力端子49を通じて、第6ライン36によって、第2電気負荷24に接続される。
【0049】
第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、制御部27からの信号によって、ONとOFFとで切り替わる。第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、ONの場合にソース及びドレイン間を通電させ、OFFの場合にソース及びドレイン間を遮断する。第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、ノーマリーオンでもよいし、ノーマリーオフでもよい。
【0050】
電力変換部26は、例えば、第3スイッチング素子43と第4スイッチング素子44とがONの状態で、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42とがONとOFFとで交互に切り替わることによって、入力された電圧を降圧する。すなわち、第1スイッチング素子41がONの間、第2スイッチング素子42がOFFとなる。第1スイッチング素子41がOFFの間、第2スイッチング素子42がONとなる。第1スイッチング素子41におけるONとOFFとのデューティ比によって、電力変換部26の出力電圧が変化する。このようにして、電力変換部26は、入力端子47から入力された電力を変換し、変換した電力を第1出力端子48及び第2出力端子49から出力する。
【0051】
第5スイッチング素子45がONとOFFとで切り替わることによって、第1出力端子48から電流が流れたり流れなくなったりする。この点で、第5スイッチング素子45は、電力変換部26のスイッチに相当する。
【0052】
第5スイッチング素子45は、ONとなる場合に、第1出力端子48から電流が流れることを許容する。すなわち、第5スイッチング素子45がONになると、第4スイッチング素子44から第1出力端子48に向けて流れる。第5スイッチング素子45がONになると、電力変換部26において、入力端子47から第1出力端子48に向けて電流が流れる。その結果、電力変換部26から第1接続点P1に向けて電流が流れる。
【0053】
第5スイッチング素子45は、OFFとなる場合に、第1出力端子48から流れる電流を遮断する。すなわち、第5スイッチング素子45がOFFになると、第4スイッチング素子44から第1出力端子48に向けて電流が流れなくなる。第5スイッチング素子45がOFFになると、電力変換部26において、入力端子47から第1出力端子48に向けて電流が流れなくなる。その結果、電力変換部26から第1接続点P1に向けて電流が流れなくなる。
【0054】
第5スイッチング素子45においては、ボディダイオード50のアノードが第1出力端子48と接続される。第5スイッチング素子45は、電力変換部26が停止している場合に、OFFとなる。そのため、本実施形態では、電力変換部26が停止している場合に、第5スイッチング素子45のボディダイオード50によって、第1出力端子48を通じて、第1バッテリ21から第2電気負荷24に電流が流れる。すなわち、第1バッテリ21の暗電流が第2電気負荷24に流れる。電力変換部26が停止している場合とは、例えば、車両13が停止している場合、すなわちイグニッション信号がOFFの場合である。
【0055】
電力変換部26は、直列接続体38及びオルタネータ25の少なくとも一方から供給される電力を変換する。電力変換部26は、変換した電力を第1電気負荷23と第2電気負荷24とに出力する。オルタネータ25が出力する電力が電力変換部26に供給される場合、電力変換部26が出力する電力は、オルタネータ25が出力する電力であるともいえる。
【0056】
電力変換部26の入力電圧は、第2接続点P2の電位と一致する。そのため、電力変換部26の入力電圧は、例えば、24Vである。電力変換部26は、24Vの電圧を、例えば、12Vに降圧する。この場合、電力変換部26の出力電圧は、12Vである。このように、本実施形態の電力変換部26は、第1電気負荷23と第2電気負荷24とに12Vの電圧を供給する。その結果、第1接続点P1の電位は、電力変換部26の出力電圧と一致する。
【0057】
電力変換部26が所定の電圧を出力するためには、所定の電圧よりも大きな電圧が電力変換部26に入力される必要がある。例えば、電力変換部26が12Vの電圧を出力するためには、12Vよりも大きい電圧が電力変換部26に入力される必要がある。すなわち、電力変換部26において、出力電圧を12Vとするためには、入力電圧が12Vよりも大きい必要がある。
【0058】
第2電気負荷24の動作電圧を電力変換部26が出力するためには、最低入力電圧以上の電圧が電力変換部26に入力される必要がある。最低入力電圧とは、第2電気負荷24の動作電圧を電力変換部26が出力するために最低限必要となる電力変換部26の入力電圧である。最低入力電圧以上の電圧が電力変換部26に入力されることによって、電力変換部26から第2電気負荷24に動作電圧が供給される。
【0059】
制御部27は、α:コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、γ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成される。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0060】
制御部27は、電力変換部26に搭載される。制御部27は、電力変換部26を制御する。具体的には、制御部27は、第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45のON及びOFFを個別に制御する。制御部27は、電力変換部26を制御することによって、電力変換部26の出力電圧を制御する。制御部27は、第5スイッチング素子45を制御することによって、第1出力端子48から出力される電流の流れを制御する。
【0061】
本実施形態では、制御部27は、オルタネータ25も制御する。本実施形態の制御部27は、レギュレータ39に信号を送信することによって、オルタネータ25を制御する。制御部27は、オルタネータ25を制御することによって、オルタネータ25の出力電圧を制御する。
【0062】
第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21の状態を検知する。第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21の正極端子と負極端子とに接続される。第1バッテリセンサ28は、制御部27と接続される。
【0063】
第1バッテリセンサ28は、例えば、電圧計、電流計、温度計、コントローラなどを有する。第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21の電圧、電流、温度を測定することによって、第1バッテリ21の状態を検知する。具体的には、第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21のSOCと、第1バッテリ21の内部抵抗とを検知する。第1バッテリセンサは28、検知結果を制御部27に送信する。
【0064】
第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21のOCVに基づいて、第1バッテリ21のSOCを算出する。OCVとは、開回路電圧である。SOCとは、充電率である。SOCは、OCVと相関がある。これにより、第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21のSOCを検知する。
【0065】
第1バッテリセンサ28は、スタータ30を始動する場合に第1バッテリ21に流れる電流、すなわちクランキング時の電流に基づいて、第1バッテリ21の内部抵抗を算出する。具体的には、第1バッテリセンサ28は、クランキング時に第1バッテリ21に流れる電流と、第1バッテリ21に生じる電圧降下とに基づいて、第1バッテリ21の内部抵抗を算出する。このようにして、第1バッテリセンサ28は、第1バッテリ21の内部抵抗を検知する。
【0066】
第1バッテリ21の内部抵抗は、第1バッテリ21の劣化が進行するほど大きくなる。そのため、第1バッテリ21の内部抵抗は、第1バッテリ21の劣化具合を示すパラメータである。第1バッテリ21は、充電及び放電を繰り返すことによって、劣化する。
【0067】
第2バッテリセンサ29は、第2バッテリ22の状態を検知する。第2バッテリセンサ29は、第2バッテリ22の正極端子と負極端子とに接続される。第2バッテリセンサ29は、制御部27と接続される。
【0068】
第2バッテリセンサ29は、第1バッテリセンサ28と同様の構成である。そのため、第2バッテリセンサ29は、第1バッテリセンサ28と同様の方法によって、第2バッテリ22の状態を検知する。すなわち、第2バッテリセンサ29は、第1バッテリセンサ28と同様の方法によって、第2バッテリ22のSOCと、第2バッテリ22の内部抵抗とを検知する。第2バッテリセンサ29は、検知結果を制御部27に送信する。
【0069】
第2バッテリ22の内部抵抗は、第2バッテリ22の劣化が進行するほど大きくなる。そのため、第2バッテリ22の内部抵抗は、第2バッテリ22の劣化具合を示すパラメータである。第2バッテリ22は、充電及び放電を繰り返すことによって、劣化する。
【0070】
スタータ30は、内燃機関12を始動させる機構である。スタータ30は、第1バッテリ21と第2バッテリ22とから電力が供給されることによって、始動する。すなわち、スタータ30は、直列接続体38から電力が供給されることによって、始動する。スタータ30が始動すると、内燃機関12が始動する。
【0071】
スタータ30は、第4ライン34と第7ライン37とによって、オルタネータ25と接続される。スタータ30は、第2ライン32と第4ライン34と第7ライン37とによって、第2バッテリ22と電力変換部26とに接続される。すなわち、スタータ30は、直列接続体38に対して直列に接続される。
【0072】
次に、電源装置11の動作について説明する。
制御部27にイグニッション信号が入力されると、すなわちイグニッション信号がONになると、スタータ30のスイッチがONとなる。スタータ30のスイッチがONとなることによって、第1バッテリ21と第2バッテリ22とからスタータ30に電力が供給される。イグニッション信号は、例えば、ユーザーが車両13に搭載されるスイッチを押すことによって、制御部27に発信される。スタータ30が駆動すると、内燃機関12が駆動する。内燃機関12が駆動すると、オルタネータ25が駆動する。オルタネータ25から出力される電力は、第1バッテリ21、第2バッテリ22、第1電気負荷23、第2電気負荷24、電力変換部26などに供給される。
【0073】
第1電気負荷23、第2電気負荷24などは、第1バッテリ21、第2バッテリ22、もしくはその両方を用いて動作する。ここで、第1電気負荷23、第2電気負荷24の使用状況や消費電力によって、第1バッテリ21の状態と第2バッテリ22の状態とが異なってくる。こういった状態は第1バッテリセンサ28、第2バッテリセンサ29によって検知することができる。ここで、制御部27は、例えば、オルタネータ25を制御することで第2接続点P2の電圧を制御する。さらに、制御部27は、第3スイッチング素子43と第4スイッチング素子44と第5スイッチング素子45とをONの状態とし、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42とをONとOFFとで交互に切り替えることによって、入力された電圧を降圧させて第1接続点P1の電圧を制御する。このようにして、制御部27は、第1バッテリ21の状態と第2バッテリ22の状態とが均衡するように動作させる。
【0074】
一方で、車両13においては、所定の条件が満たされることによって、アイドリングストップが実行される。アイドリングストップとは、内燃機関12のアイドル回転を停止する制御である。例えば、車両13の速度が所定速度以下である場合にブレーキペダルが踏まれると、アイドリングストップが実行される。アイドリングストップが実行されると、内燃機関12が停止する。内燃機関12の停止に伴い、オルタネータ25が停止する。アイドリングストップによって内燃機関12が停止している間は、第1バッテリ21の電力と第2バッテリ22の電力とが、第1電気負荷23と第2電気負荷24とに供給される。
【0075】
アイドリングストップにより内燃機関12が停止した状態で、所定の条件が満たされることによって、車両13がアイドリングストップから復帰する。すなわち、アイドリングストップにより内燃機関12が停止した状態で、所定の条件が満たされることによって、スタータ30が始動する。例えば、アイドリングストップにより内燃機関12が停止した状態でアクセルペダルが踏まれると、制御部27にスタータ信号が入力される。制御部27にスタータ信号が入力されると、スタータ30のスイッチがONとなる。これにより、第1バッテリ21と第2バッテリ22とから電力がスタータ30に供給される。その結果、スタータ30が始動する。スタータ30が始動することによって、内燃機関12が再始動し、車両13がアイドリングストップから復帰する。
【0076】
内燃機関12が再始動すると、オルタネータ25が始動する。オルタネータ25が始動すると、オルタネータ25から出力される電力が第1電気負荷23と第2電気負荷24とに供給される。
【0077】
スタータ30の始動時、すなわちクランキング時に、スタータ30に突入電流が流れる。突入電流が流れることによって、第1バッテリ21の電圧と第2バッテリ22の電圧とが一時的に降下する。この電圧降下は、第1バッテリ21の内部抵抗と第2バッテリ22の内部抵抗とによって生じる。第1バッテリ21の内部抵抗が大きいほど、第1バッテリ21の電圧降下が大きくなる。第2バッテリ22の内部抵抗が大きいほど、第2バッテリ22の電圧降下が大きくなる。
【0078】
クランキング時の突入電流によって、第1バッテリ21の電圧が降下すると、第1接続点P1の電位が低くなる。第1接続点P1の電位が、第1電気負荷23の動作電圧よりも低くなると、第1電気負荷23に供給される電力が不足することになる。すなわち、第1接続点P1の電位が第1電気負荷23の動作電圧未満となると、第1バッテリ21から第1電気負荷23への電力の供給が途切れることになる。
【0079】
第1接続点P1の電位が低くなると、第1出力端子48から第1接続点P1に向けて電流が引き込まれる。すなわち、第1接続点P1の電位が低くなると、第1出力端子48を通じて、第2出力端子49から出力される電圧が低くなる。第2出力端子49から出力される電圧が低くなると、第2電気負荷24に供給される電力が不足することになる。この場合、第2電気負荷24への電力の供給が途切れることになる。しかし、第2電気負荷24には走行に関わる電装部品が含まれるため、第2電気負荷24への電力の供給を担保する必要がある。
【0080】
例えば、第2出力端子49と第2電気負荷24との間に昇圧型のコンバータを設けることによって、第2電気負荷24への電力の供給を担保できる。しかし、この場合には、昇圧型のコンバータを設ける必要があるため、電源装置11の大型化、電源装置11の複雑化などに繋がる。
【0081】
クランキング時の突入電流によって、第2バッテリ22の電圧が降下すると、第2接続点P2の電位が低くなる。第2接続点P2の電位が低くなると、電力変換部26の入力電圧が低くなる。電力変換部26の入力電圧が低くなると、第2電気負荷24の動作電圧を電力変換部26が出力できなくなるおそれがある。電力変換部26の出力電圧が第2電気負荷24の動作電圧未満となると、第2電気負荷24への電力の供給が途切れることになる。
【0082】
本実施形態では、第2電気負荷24への電力の供給を担保するために、制御部27は、第1処理と第2処理とを実行する。
まず、第1処理について説明する。本実施形態の制御部27は、例えば、アイドリングストップ中において、アクセルペダルが踏まれた場合、すなわち制御部27にスタータ信号が入力された場合に、第1処理を実行する。
【0083】
図2に示すように、第1処理を実行する制御部27は、ステップS11において、所定の時間にわたって、第5スイッチング素子45をOFFにする。すなわち、制御部27は、アイドリングストップ後の内燃機関12を再始動する際に、つまりスタータ30の始動時に、第5スイッチング素子45をOFFにする。所定の時間とは、例えば、制御部27にスタータ信号が入力されている間の時間である。制御部27は、ステップS11の処理を終えると、第1処理を終了する。
【0084】
第1処理によって第5スイッチング素子45がOFFになる間、第1出力端子48から第1接続点P1に向けて電流が流れなくなる。これにより、スタータ30の始動時に生じる第1バッテリ21と第2バッテリ22との電圧降下によって第2出力端子49から出力される電圧が低下するおそれが低減される。すなわち、第2出力端子49から出力される電圧が維持される。したがって、第2電気負荷24への電力の供給が担保される。
【0085】
次に、第2処理について説明する。本実施形態の制御部27は、車両13が駆動している間、第2処理を実行する。
図3に示すように、第2処理を実行する制御部27は、ステップS21において、スタータ30の始動時に降下する直列接続体38の電圧を推定する。このとき、制御部27は、第1バッテリセンサ28によって検知された第1バッテリ21の状態に基づいて、第1バッテリ21の電圧を推定する。制御部27は、第2バッテリセンサ29によって検知された第2バッテリ22の状態に基づいて、第2バッテリ22の電圧を推定する。詳述すると、制御部27は、例えば、第1バッテリセンサ28によって検知された第1バッテリ21の内部抵抗と、スタータ30の始動時にスタータ30に流れる電流とから、第1バッテリ21で生じる電圧降下量を推定する。制御部27は、第1バッテリ21で生じると推定される電圧降下量と第1バッテリセンサ28によって検知された第1バッテリ21の電圧から減算することで、スタータ30の始動時の第1バッテリの電圧を推定することができる。同様に、スタータ30の始動時の第2バッテリの電圧を推定することができる。このようにして、制御部27は、直列接続体38の電圧を推定する。
【0086】
制御部27は、ステップS22において、ステップS21で推定した直列接続体38の電圧が最低入力電圧未満であるか否かを判定する。すなわち、制御部27は、ステップS22において、直列接続体38の推定電圧が電力変換部26に入力される場合に、電力変換部26の出力電圧が第2電気負荷24の動作電圧未満であるか否かを判定する。直列接続体38の推定電圧が最低入力電圧未満である場合、電力変換部26の出力電圧は第2電気負荷24の動作電圧未満となる。直列接続体38の推定電圧が最低入力電圧以上である場合、電力変換部26の出力電圧は第2電気負荷24の動作電圧以上となる。
【0087】
直列接続体38の推定電圧が最低入力電圧未満である場合、制御部27は、ステップS23に処理を移行する。推定電圧が最低入力電圧未満ではない場合、すなわち推定電圧が最低入力電圧以上である場合、制御部27は、ステップS24に処理を移行する。
【0088】
制御部27は、ステップS23において、アイドリングストップ禁止を要求する。制御部27は、例えば、内燃機関12を制御するECUに信号を送信することによって、アイドリングストップ禁止を要求する。ECUとは、エレクトロニックコントロールユニットである。
【0089】
アイドリングストップ禁止とは、アイドリングストップの条件を満たす状況下であっても、アイドリングストップを実行しないことである。すなわち、制御部27がアイドリングストップ禁止を要求する場合、内燃機関12は、車両13が所定の速度以下であって且つブレーキペダルが踏まれた場合でも、アイドリングストップしない。
【0090】
仮に、推定電圧が最低入力未満である場合にアイドリングストップをすると、スタータ30の始動時に、電力変換部26の入力電圧が最低入力電圧未満となるため、第2電気負荷24への電力の供給が途切れるおそれがある。そのため、推定電圧が最低入力電圧未満である場合には、アイドリングストップをしない。制御部27は、ステップS23の処理を終えると、第2処理をリターンする。
【0091】
制御部27は、ステップS24において、アイドリングストップ禁止の解除を要求する。制御部27は、例えば、内燃機関12を制御するECUに信号を送信することによって、アイドリングストップ禁止の解除を要求する。これにより、アイドリングストップ禁止が解除される。アイドリングストップ禁止が解除されると、アイドリングストップの条件を満たす状況下で、アイドリングストップが実行される。制御部27は、ステップS24の処理を終えると第2処理をリターンする。
【0092】
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)制御部27は、アイドリングストップ後の内燃機関12を再始動する際に、電力変換部26のスイッチである第5スイッチング素子45をOFFにする。
【0093】
アイドリングストップ後の内燃機関12を再始動する際に、スタータ30が始動する。スタータ30の始動によって突入電流が流れた場合に、スイッチである第5スイッチング素子45がOFFであるため、第1出力端子48から第1バッテリ21と第2バッテリ22との間に向けて電流が流れない。第1出力端子48から第1バッテリ21と第2バッテリ22との間に向けて電流が流れないことによって、第2出力端子49の出力電圧が降下しない。すなわち、第2出力端子49から出力される電力が不足しないため、第2電気負荷24の動作が安定する。
【0094】
また、第1バッテリ21の状態と第2バッテリ22の状態を均衡するように制御する電力変換部26のみで第2電気負荷24の動作を安定させることができ、別の電力変換装置が不要である。
【0095】
(2)制御部27は、推定した直列接続体38の電圧が最低入力電圧未満である場合に、アイドリングストップの禁止を要求する。
こうすると、第2電気負荷24が動作するために必要となる動作電圧が電力変換部26から出力されることが担保される。そのため、第2電気負荷24の動作が安定する。
【0096】
(3)第5スイッチング素子45が有するボディダイオード50のアノードは、第1出力端子48と接続される。
こうすると、電力変換部26が停止している場合に、第1バッテリ21から第2電気負荷24に電力が供給される。すなわち、第1バッテリ21から第2電気負荷24に暗電流を供給できる。
【0097】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○電源装置11は、第2バッテリセンサ29の代わりに、電圧計を備える構成としてもよい。この電圧計は、例えば、電力変換部26に搭載される。電圧計は、第2バッテリ22の正極端子と負極端子とに接続される。電圧計は、制御部27と接続される。電圧計は、第2バッテリ22の電圧を検知する。電圧計は、検知結果を制御部27に送信する。
【0098】
制御部27は、第1バッテリセンサ28の検知結果と電圧計の検知結果とに基づいて、第2バッテリ22の内部抵抗を推定する。具体的には、制御部27は、クランキング時に発生する第1バッテリ21の電圧降下と第2バッテリ22の電圧降下との比に基づいて、第1バッテリ21の内部抵抗から第2バッテリ22の内部抵抗を推定する。この変更例において、制御部27は、第2バッテリ22の内部抵抗を推定することによって、スタータ30の始動時に降下する直列接続体38の電圧を推定できる。
【0099】
○第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44及び第5スイッチング素子45は、MOSFETに限らず、BJT、IGBTでもよい。BJTとは、バイポーラトランジスタである。IGBTとは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタである。
【0100】
○電源装置11は、第3ライン33に、昇圧型のコンバータを備えてもよい。この場合、第1電気負荷23へ電力の供給が維持されるため、第1電気負荷23の動作が安定する。
【0101】
○
図3に示す第2処理について、車両13が駆動している間、すなわち内燃機関12が駆動している間に限らず、アイドリングストップ中に処理してもよい。この場合、ステップS23は「アイドリングストップを中止」、ステップS24は「アイドリングストップを継続」とよみかえる。また、この場合には、ステップS21にて推定する直列接続体38の電圧は、今現在の電圧ではなく、所定時間後の電圧である。例えば、制御部27は、第1バッテリ21及び第2バッテリ22における、今現在の電圧と、単位時間当たりの電力消費量とに基づいて、所定時間後の直列接続体38の電圧を推定する。
【0102】
電源装置11において、アイドリングストップ中にも、第1電気負荷23や第2電気負荷24などによって直列接続体38の電力が消費される。この場合、アイドリングストップ中に直列接続体38の電圧が最低入力電圧未満になるまで消費されることによって、内燃機関12の再始動時に第2電気負荷24が動作するために必要となる動作電圧が電力変換部26から出力できなくなる前に、アイドリングストップを中止できる。すなわち、動作電圧が電力変換部26から出力できなくなる前に、内燃機関12を再始動させることができる。
【符号の説明】
【0103】
11…電源装置、12…内燃機関、13…車両、21…第1バッテリ、22…第2バッテリ、23…第1電気負荷、24…保護負荷としての第2電気負荷、25…オルタネータ、26…電力変換装置としての電力変換部、27…制御部、28…第1バッテリセンサ、29…第2バッテリセンサ、30…スタータ、31…第1ライン、32…第2ライン、33…第3ライン、34…第4ライン、35…第5ライン、36…第6ライン、37…第7ライン、38…直列接続体、39…レギュレータ、41…第1スイッチング素子、42…第2スイッチング素子、43…第3スイッチング素子、44…第4スイッチング素子、45…第5スイッチング素子、46…コイル、47…入力端子、48…第1出力端子、49…第2出力端子、50…ボディダイオード、P1…第1接続点、P2…第2接続点。