(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20230926BHJP
F04D 15/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
F04D15/00 B
F04D15/00 D
F04D15/00 H
F04D15/00 J
F04D15/02
(21)【出願番号】P 2020088937
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-183767(JP,A)
【文献】実開平04-105994(JP,U)
【文献】特開昭61-275593(JP,A)
【文献】特開2012-215176(JP,A)
【文献】実開昭53-086975(JP,U)
【文献】特開2019-127876(JP,A)
【文献】特開2017-150403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00-15/02
F04D 13/12
F04B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部を含む第1水中電動ポンプと、
第2制御部を含み、前記第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、
前記第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、
前記第2水中電動ポンプに設けられ、前記第1通信部と無線通信を行う第2通信部と、を備え、
前記第1通信部および前記第2通信部は、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されており、
交互運転中において前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができなくなった場合、交互運転の順番に従って、前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方により、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を運転させるように構成されており、
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されている、水中電動ポンプシステム。
【請求項2】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断して、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項3】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、前記断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させる制御、前記断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる制御、および、前記断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させる制御のうち、少なくとも1つを行うように構成されている、請求項2に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項4】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、前記断続運転モードにより設定時間間隔毎に断続運転させている場合において、運転および停止を設定回数繰り返した場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、設定した時刻毎に断続運転させるように切り替えるように構成されている、請求項3に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項5】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信が所定期間経過後に再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するとともに、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を一旦停止させるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項6】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方が、交互運転における運転の順番の場合において、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができなくなった場合、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を運転させて、第1所定期間経過後に前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信が再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を継続させて、第2所定期間がさらに経過した後でも前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信が再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されており、
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方が、交互運転における運転の順番でない場合において、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができなくなった場合、前記第1所定期間経過後に前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信が再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を開始させて、運転開始から前記第2所定期間経過後に前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信が再開しない場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項7】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、運転を開始させた後、内部の温度変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項8】
前記第1制御部および前記第2制御部のうち一方は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの対応する一方を、運転を開始させた後、駆動電流の変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項9】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項10】
前記第1通信部は、金属部分を避けて前記第1水中電動ポンプに配置されており、
前記第2通信部は、金属部分を避けて前記第2水中電動ポンプに配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項11】
水中電動ポンプ本体と、
前記水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、
前記水中電動ポンプ本体に設けられ、交互運転を行う他の水中電動ポンプの通信部と互いに無線通信を行う通信部と、を備え、
前記通信部は、水位が上がって水中に配置された場合に前記他の水中電動ポンプの通信部と無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記制御部は、前記通信部および前記他の水中電動ポンプの通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記他の水中電動ポンプとの交互運転の際の運転および休止の順番に従って、前記水中電動ポンプ本体を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されており、
前記制御部は、前記他の水中電動ポンプとの交互運転中において前記通信部と前記他の水中電動ポンプの通信部との無線通信ができなくなった場合、交互運転の順番に従って、前記水中電動ポンプ本体を運転させるとともに、無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、交互運転を行っている前記他の水中電動ポンプが故障していると判断するように構成されている、水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中電動ポンプシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水位センサと、制御コントローラとを含む水中ポンプを2台備える水中ポンプシステム(水中電動ポンプシステム)が開示されている。上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサは、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、水位センサにより検知した水位に基づいて、運転と休止とを交互に行うことにより、2台の水中ポンプにより交互に運転する制御を行うように構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサが、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。このため、水位センサの電極が腐食したり、電極に汚れが付着しやすいため、水位センサが故障しやすいという不都合がある。また、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。このため、1台の水中ポンプに故障が発生した場合に、もう1台の水中ポンプについては、単独運転になるにも関らず、交互運転の制御により運転されるため、効率よく水中ポンプを運転させることが困難であるという不都合がある。その結果、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位を検知する水位センサが故障しやすいとともに、1台の水中ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中ポンプを効率よく運転させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、水位を検知する要素が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることが可能な水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムは、第1制御部を含む第1水中電動ポンプと、第2制御部を含み、第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、第2水中電動ポンプに設けられ、第1通信部と無線通信を行う第2通信部と、を備え、第1通信部および第2通信部は、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、第1制御部および第2制御部は、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されており、交互運転中において第1通信部および第2通信部の無線通信ができなくなった場合、交互運転の順番に従って、第1制御部および第2制御部のうち一方により、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を運転させるように構成されており、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1通信部および第2通信部の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムでは、上記のように、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する第1通信部および第2通信部による無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、第1制御部および第2制御部は、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着することがない。これにより、水位を検知する要素(第1通信部および第2通信部)が故障するのを抑制することができる。また、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1通信部および第2通信部の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断する。これにより、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御をやめることができる。たとえば、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御から、単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、残りの水中電動ポンプが交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(第1通信部および第2通信部)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。
【0009】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断して、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合でも、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプのうち故障していない一方を、単独で断続的に運転させて排水を行うことができる。
【0010】
上記第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させる構成において、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させる制御、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる制御、および、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させる制御のうち、少なくとも1つを行うように構成されている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプのうち故障していない一方を、断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させることにより、略一定の水の流入により水位が上昇する場合において、所定時間間隔毎に排水を行うことができるので、水位の上昇を効果的に抑制することができる。また、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプのうち故障していない一方を、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる、または、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させることにより、水の流入が一定ではない場合でも、ランダムなタイミングにより排水を行うことができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、断続運転モードにより設定時間間隔毎に断続運転させている場合において、運転および停止を設定回数繰り返した場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、設定した時刻毎に断続運転させるように切り替えるように構成されている。このように構成すれば、水が流入して水位が上昇する時刻が過去の実績や運転履歴などからある程度分かっている場合に、適切な時刻毎に水中電動ポンプを運転させることにより、より効果的に排水を行うことができる。
【0012】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1通信部および第2通信部の無線通信が所定期間経過後に再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するとともに、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を一旦停止させるように構成されている。このように構成すれば、1台の水中電動ポンプが故障したことに起因して無線通信が再開しない場合でも、運転中の水中電動ポンプの運転を一旦停止させることができるので、水位が下がって水中電動ポンプが長時間空運転するのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方が、交互運転における運転の順番の場合において、第1通信部および第2通信部の無線通信ができなくなった場合、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を運転させて、第1所定期間経過後に第1通信部および第2通信部の無線通信が再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を継続させて、第2所定期間がさらに経過した後でも第1通信部および第2通信部の無線通信が再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されており、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方が、交互運転における運転の順番でない場合において、第1通信部および第2通信部の無線通信ができなくなった場合、第1所定期間経過後に第1通信部および第2通信部の無線通信が再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方の運転を開始させて、運転開始から第2所定期間経過後に第1通信部および第2通信部の無線通信が再開しない場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断するように構成されている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方の故障に起因して無線通信ができなくなった場合において、交互運転における運転の順番である場合は、第1所定期間の運転および追加での第2所定期間の運転をした後、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障であることを判断することができる。また、交互運転における運転の順番でない場合は、第1所定期間の待機後に、追掛け運転を第2所定期間した後、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障であることを判断することができる。
【0014】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、運転を開始させた後、内部の温度変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合でも、内部の温度変化に基づいて、水中電動ポンプの運転を停止させることができるので、水位が下がって水中電動ポンプが長時間空運転するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部のうち一方は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの他方が故障していると判断した場合に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの対応する一方を、運転を開始させた後、駆動電流の変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合でも、駆動電流の変化に基づいて、水中電動ポンプの運転を停止させることができるので、水位が下がって水中電動ポンプが長時間空運転するのを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第1通信部および第2通信部が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。このように構成すれば、複数の水中電動ポンプの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、第1水中電動ポンプと第2水中電動ポンプとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1通信部は、金属部分を避けて第1水中電動ポンプに配置されており、第2通信部は、金属部分を避けて第2水中電動ポンプに配置されている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信が金属部分により阻害されるのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプは、水中電動ポンプ本体と、水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、水中電動ポンプ本体に設けられ、交互運転を行う他の水中電動ポンプの通信部と互いに無線通信を行う通信部と、を備え、通信部は、水位が上がって水中に配置された場合に他の水中電動ポンプの通信部と無線通信強度が減衰するように構成されており、制御部は、通信部および他の水中電動ポンプの通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、他の水中電動ポンプとの交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ本体を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されており、制御部は、他の水中電動ポンプとの交互運転中において通信部と他の水中電動ポンプの通信部との無線通信ができなくなった場合、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ本体を運転させるとともに、無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、交互運転を行っている他の水中電動ポンプが故障していると判断するように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、制御部は、水中電動ポンプ本体を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着することがない。これにより、水位を検知する要素(通信部)が故障するのを抑制することができる。また、制御部は、無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、他の水中電動ポンプが故障していると判断する。これにより、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御をやめることができる。たとえば、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御から、単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、残りの水中電動ポンプが交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(通信部)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、水位を検知する要素が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第1動作例を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第2動作例を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第3動作例を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第4動作例を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第5動作例を説明するための図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第6動作例を説明するための図である。
【
図9】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの第7動作例を説明するための図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による水中電動ポンプシステムの運転時間の決定を説明するための図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図12】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプが設置された位置の水位を説明するための図である。
【
図13】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの水位が低い場合の温度変化の一例を示した図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの水位が高い場合の温度変化の一例を示した図である。
【
図15】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの停止タイミングを説明するための第1例を示した図である。
【
図16】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの停止タイミングを説明するための第2例を示した図である。
【
図17】本発明の第2実施形態による水中電動ポンプの停止タイミングを説明するための第3例を示した図である。
【
図18】本発明の第3実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図19】本発明の第3実施形態による水中電動ポンプの水位が低い場合の電流変化の一例を示した図である。
【
図20】本発明の第3実施形態による水中電動ポンプの水位が高い場合の電流変化の一例を示した図である。
【
図21】本発明の第3実施形態による水中電動ポンプの停止タイミングを説明するための例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1~
図9を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0024】
(水中電動ポンプシステムの構成)
第1実施形態による水中電動ポンプシステム100は、タンク1に流入する水を排水するように構成されている。水中電動ポンプシステム100は、
図1に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bを備えている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から供給される電力により駆動するように構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、同一の構成を有している。水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31と、制御部32と、通信部33と、カバー34と、ポンプ制御回路35(
図2参照)と、モータ36(
図2参照)と、を含んでいる。なお、水中電動ポンプ3aは、特許請求の範囲の「第1水中電動ポンプ」の一例であり、水中電動ポンプ3bは、特許請求の範囲の「第2水中電動ポンプ」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの制御部32は、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの制御部32は、特許請求の範囲の「第2制御部」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの通信部33は、特許請求の範囲の「第1通信部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの通信部33は、特許請求の範囲の「第2通信部」の一例である。
【0025】
タンク1は、流入する水を貯留するように構成されている。タンク1に流入した水は、水中電動ポンプ3aおよび3bにより排水される。
【0026】
交流電源2は、水中電動ポンプ3aおよび3bに電力を供給するように構成されている。なお、交流電源2は、商用電力を供給してもよいし、バッテリなどから電力を供給してもよい。交流電源2は、水中電動ポンプ本体31に接続される電源コードおよび電源コードの先端に設けられたプラグを介して水中電動ポンプ本体31に電力を供給する。つまり、プラグが交流電源2に挿入された場合に、水中電動ポンプ本体31に電力が供給され、プラグが交流電源2から抜かれた場合に、水中電動ポンプ本体31への電力の供給が停止される。
【0027】
水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内に配置されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内の水を外部に排水するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から電力が供給させることにより運転するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、水中でも使用可能に構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、水位が上昇して排水する場合に、一方を運転させ、一方を休止させることを交互に行う交互運転を行うように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、一方の運転により排水を開始してから、所定の時間経過した場合でも、運転を停止させる水位まで下がらない場合に、他方を追掛け運転させて、2台の運転により排水させるように構成されている。
【0028】
図2に示すように、水中電動ポンプ3a(3b)は、モータ36に交流電源2から交流電力が供給されることにより運転する。制御部32は、水中電動ポンプ3aおよび3b(水中電動ポンプ本体31)の運転を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ制御回路35を介して、モータ36に交流電力を供給する制御を行う。制御部32は、CPU(中央演算処理ユニット)321と、メモリ322とを有している。CPU321は、メモリ322内に記憶された制御プログラムを実行して、水中電動ポンプ本体31の制御を行う。
【0029】
通信部33は、他の水中電動ポンプ3aまたは3bの通信部33と無線通信を行うように構成されている。具体的には、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とは、互いに常時もしくは定期的に無線通信を行うように構成されている。通信部33は、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格による通信を行うように構成されている。水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とは、水位が上がって水中(水面下)に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されている。
【0030】
カバー34は、制御部32、通信部33、ポンプ制御回路35を覆うように構成されている。つまり、制御部32、通信部33、ポンプ制御回路35は、水中電動ポンプ本体31の内部に配置される。カバー34は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。つまり、通信部33は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。なお、通信部33は水中電動ポンプ本体31の上部のように、モータ36等の金属を含む部分を避けて配置することが望ましい。通信部33を金属を含む部分を避けて配置することにより、金属部分により通信が阻害されることを抑制することが可能となる。
【0031】
ポンプ制御回路35は、交流電源2からモータ36への電力の供給・停止を制御するように構成されている。具体的には、ポンプ制御回路35は、スイッチ351を制御して、モータ36への電力の供給・停止を制御する。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して制御部32に供給するように構成されている。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して通信部33に供給するように構成されている。
【0032】
ポンプ制御回路35は、コンデンサ、抵抗を含んでいる。また、ポンプ制御回路35は、たとえば、コンデンサおよび抵抗を用いて、交流電源2から供給される電力の電圧を下げて、制御部32および通信部33に電力を供給する。また、ポンプ制御回路35は、トランスを用いて交流電源2から供給される電力の電圧を下げるよう構成してもよい。
【0033】
モータ36は、交流電源2から供給される電力により回転駆動するように構成されている。モータ36は、羽根車を回転させることにより、タンク1から水を吸入して管37を介して吸入した水を吐出させる。
【0034】
制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて水位を検知するように構成されている。ここで、無線電波は、水中では飛びにくくなるため、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33が水中にある場合には、無線通信強度が減衰する状態となる。つまり、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33による無線通信強度が減衰することに基づいて、タンク1内の水位が、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33よりも上方の位置の水位であることを検知するように構成されている。また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33による無線通信ができる(無線通信強度が所定値以上である)ことに基づいて、タンク1内の水位が、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33よりも下方の位置の水位であることを検知するように構成されている。
【0035】
通信部33の通信は、一方の通信部33からパルス信号を送信し、パルス信号に対する他方の通信部33からの応答信号を一方の通信部33が受信する。つまり、制御部32は、パルス信号の送信に対して応答信号を受信することにより、通信が可能であると判断する。また、制御部32は、パルス信号に対する応答信号を受信しない場合に、通信ができていないと判断する。
【0036】
また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。つまり、タンク1内の水位がON水位以上になった(無線通信強度が所定値未満となった)ことに基づいて、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち一方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、タンク1内の水位がOFF水位以下になった(無線通信強度が所定値以上に復帰した)ことに基づいて、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。具体的には、無線通信強度が所定値以上に復帰してから、所定時間運転後に、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。そして、次に、タンク1内の水位がON水位以上になった場合は、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち他方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、同様に水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転させながら、タンク1内の水を排水させる。
【0037】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32と、水中電動ポンプ3bの制御部32とは、互いに独立して、各々の水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。つまり、交互運転させる場合に、タンク1内の水位がON水位以上となった場合に、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番の制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。また、タンク1内の水位がON水位以上となった場合でも、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)ように制御する。
【0038】
なお、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上となった後、所定時間経過後に、タンク1内の水位がOFF水位以下とならない(無線通信が再開しない)場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。つまり、休止中の水中電動ポンプ3aおよび3bの他方は、運転中の水中電動ポンプ3aおよび3bの一方に対して追掛けるようにして運転を開始する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの両方により排水が行われる。
【0039】
また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0040】
具体的には、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信による信号の発信と受信との順番により、水中電動ポンプ3aおよび3bの交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0041】
詳細には、制御部32は、水中電動ポンプ本体31に電力が供給された場合に、所定時間経過後に、通信部33から信号を発信する。その際に、制御部32は、他の水中電動ポンプ3aまたは3bからの同様の信号を受信するタイミングに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。制御部32は、通信部33から信号を発信した後に、他の水中電動ポンプ3aまたは3bからの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を先に運転させる先行ポンプとして順番を決定する。一方、制御部32は、通信部33から信号を発信するより前に、他の水中電動ポンプ3aまたは3bからの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を後に運転させる(先に休止させる)後行ポンプとして順番を決定する。つまり、先に通信部33から信号を発信した(先に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、先行ポンプとして決定され、後に通信部33から信号を発信した(後に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、後行ポンプとして決定される。
【0042】
なお、この場合、水中電動ポンプ3aおよび3bに同時に電力が供給された場合でも、ポンプ制御回路35の抵抗やコンデンサの個体差により、制御部32に電力が供給される時間に差が生じる。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち、いずれか一方が先行ポンプとして決定され、他方が後行ポンプとして決定される。
【0043】
ここで、第1実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、交互運転中において水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信強度が小さくなり無線通信ができなくなった場合、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させるように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。なお、所定期間は、通常の排水に必要な運転時間よりも長く設定されている。これにより、故障が発生していない排水中において無線通信が再開しない場合に、誤って他の水中電動ポンプ3b(3a)が故障であると判断することを抑制することが可能である。
【0044】
また、第1実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている。
【0045】
具体的には、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させる制御、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる制御、および、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させる制御のうち、少なくとも1つを行うように構成されている。
【0046】
断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させる制御では、
図6に示す第4動作例のように、制御部32は、所定時間Te間隔毎に、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させるように構成されている。たとえば、制御部32は、所定時間Teとして60分間隔毎に水中電動ポンプ3a(3b)を120秒運転させるように構成されている。なお、運転間隔および運転時間は、タンク1の容量、タンク1への水の流入量により適した時間が設定される。
【0047】
また、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる制御では、
図7に示す第5動作例のように、制御部32は、運転間隔(Te1、Te2、Te3、Te4・・・)をランダムに設定して、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させるように構成されている。
【0048】
また、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させる制御では、
図8に示す第6動作例のように、制御部32は、運転間隔(Te11、Te12、Te13・・・)をランダムに設定するととともに、運転時間をランダムに設定して、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させるように構成されている。
【0049】
また、第1実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードにより設定時間間隔毎に断続運転させている場合において、運転および停止を設定回数繰り返した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、設定した時刻毎に断続運転させるように切り替えるように構成されている。たとえば、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を、運転および停止を設定回数(数回程度)繰り返した場合に、通信部33の故障と判断し、設定した時刻になると水中電動ポンプ3a(3b)を運転させるタイマー運転モードにより運転させるように構成されている。
【0050】
たとえば、
図9に示す第7動作例のように、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を7時に1分間運転、13時に1分間運転させるように制御する。
【0051】
なお、運転させる時刻は、これまでの運転履歴から機械学習して決定してもよいし、作業者により決定してもよい。
【0052】
また、第1実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が所定期間経過後に再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するとともに、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を一旦停止させるように構成されている。
【0053】
また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)が、交互運転における運転の順番の場合において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信強度が小さくなり無線通信ができなくなった場合、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させて、第1所定期間Tc経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を継続させて、第2所定期間Tdがさらに経過した後でも水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)が、交互運転における運転の順番でない場合において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信強度が小さくなり無線通信ができなくなった場合、第1所定期間Tc経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させて、運転開始から第2所定期間Td経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。
【0054】
(第1動作例)
図3を参照して、第1実施形態の水中電動ポンプシステム100の第1動作例について説明する。第1動作例では、水中電動ポンプ3aおよび3bとにより交互運転を行っている場合において、水中電動ポンプ3bに故障が発生し、その際に、水中電動ポンプ3aが交互運転の運転の順番である場合の例について説明する。
【0055】
時間t0において、水中電動ポンプ3aの電源がONにされる。続いて、時間t1において、水中電動ポンプ3bの電源がONにされる。水中電動ポンプ3aの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3aの制御部32は、所定時間Ta後の時間t2において、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3aの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。水中電動ポンプ3bの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3bの制御部32は、所定時間Ta後の時間t3において、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3bの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。
【0056】
この場合、水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t2に通信部33から信号を発信し、時間t2よりも後の時間t3に他の通信部33からの信号を受信するので、水中電動ポンプ3aを先に運転させる先行ポンプとして、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。また、水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t2に他の通信部33から信号を受信し、時間t2よりも後の時間t3に通信部33から信号を発信するので、水中電動ポンプ3aを先に運転させる後行ポンプとして、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。
【0057】
時間t4において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位以上であることを検知する。そして、水中電動ポンプ3aの制御部32は、自身が先行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させる。一方、水中電動ポンプ3bの制御部32は、自身が後行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)。
【0058】
時間t5において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が再開される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。運転中の水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t5から所定時間Tb経過後の時間t6において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0059】
時間t7において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位以上であることを検知する。そして、水中電動ポンプ3aの制御部32は、自身が前回運転したため、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)。一方、水中電動ポンプ3bの制御部32は、自身が前回休止したため、水中電動ポンプ本体31を運転させる。
【0060】
時間t8において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が再開される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。運転中の水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t8から所定時間Tb経過後の時間t9において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0061】
その後、時間t10において、水中電動ポンプ3bに故障が発生する。その結果、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。ここで、交互運転の運転の順番である水中電動ポンプ3aでは、制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上であると判断する。そして、運転の順番であるため、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aを運転させる。
【0062】
時間t11において、水中電動ポンプ3aを運転させてから(水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから)、第1所定期間Tc経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aの運転を継続させる。時間t12において、水中電動ポンプ3aの運転を継続させてから、さらに第2所定期間Td経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3bが故障していると判断する。また、時間t12において、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aの運転を停止させる。
【0063】
また、時間t12以降は、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aを単独で断続的に運転させる断続運転モードに切り替えて制御を行う。時間t13において、休止期間が所定時間Te経過すると、水中電動ポンプ3aの制御部32は、所定時間Tfだけ水中電動ポンプ3aを運転させる。以降は、所定時間Te毎に水中電動ポンプ3aが運転される。
【0064】
(第2動作例)
図4を参照して、第1実施形態の水中電動ポンプシステム100の第2動作例について説明する。第2動作例では、水中電動ポンプ3aおよび3bとにより交互運転を行っている場合において、水中電動ポンプ3aに故障が発生し、その際に、水中電動ポンプ3bが交互運転の運転の順番でない場合の例について説明する。
【0065】
水中電動ポンプ3aおよび3bにおいて、順番決めが行われ、交互運転が行われている場合において、時間t20において、水中電動ポンプ3aに故障が発生する。その結果、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。ここで、交互運転の運転の順番ではない水中電動ポンプ3bでは、制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上であると判断する。そして、運転の順番ではないため、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3bを休止(待機)させる。
【0066】
時間t21において、時間t20から第1所定期間Tc経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3bの運転を開始させる(追掛け運転させる)。時間t22において、水中電動ポンプ3bの運転を開始させてから、第2所定期間Td経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3aが故障していると判断する。また、時間t22において、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3bの運転を停止させる。
【0067】
また、時間t22以降は、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3bを単独で断続的に運転させる断続運転モードに切り替えて制御を行う。時間t23において、休止期間が所定時間Te経過すると、水中電動ポンプ3bの制御部32は、所定時間Tfだけ水中電動ポンプ3bを運転させる。以降は、所定時間Te毎に水中電動ポンプ3bが運転される。
【0068】
(第3動作例)
図5を参照して、第1実施形態の水中電動ポンプシステム100の第3動作例について説明する。第3動作例では、水中電動ポンプ3aおよび3bとにより交互運転を行っている場合において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の少なくとも一方に故障が発生した場合の例について説明する。
【0069】
水中電動ポンプ3aおよび3bにおいて、順番決めが行われ、交互運転が行われている場合において、時間t30において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の少なくとも一方に故障が発生する。その結果、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。ここで、交互運転の運転の順番である水中電動ポンプ3aでは、制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上であると判断する。そして、運転の順番であるため、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aを運転させる。また、交互運転の運転の順番ではない水中電動ポンプ3bでは、制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上であると判断する。そして、運転の順番ではないため、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3bを休止(待機)させる。
【0070】
時間t31において、水中電動ポンプ3aを運転させてから(水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから)、第1所定期間Tc経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aの運転を継続させる。また、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3aの運転を開始させる(追掛け運転させる)。
【0071】
時間t32において、水中電動ポンプ3aの運転を継続させてから、さらに第2所定期間Td経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3bが故障していると判断する。また、時間t12において、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ3aの運転を停止させる。
【0072】
また、時間t32において、水中電動ポンプ3bの運転を開始させてから、第2所定期間Td経過してもなお、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3aが故障していると判断する。また、時間t32において、水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ3bの運転を停止させる。
【0073】
また、時間t32以降は、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させる断続運転モードに切り替えて制御を行う。時間t33において、休止期間が所定時間Te経過すると、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、所定時間Tfだけ水中電動ポンプ3a(3b)を運転させる。以降は、所定時間Te毎に水中電動ポンプ3a(3b)が運転される。
【0074】
(運転時間の決定)
図10を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の運転時間の決定処理について説明する。
【0075】
制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御する。具体的には、制御部32は、無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定する。ここで、制御部32は、通信部33による無線通信が再開されたことに基づいてタンク1内の水位が通信部33よりも下方になったことを検知する。そして、制御部32は、通信部33による無線通信が再開されてから所定の時間だけ水中電動ポンプ本体31を運転させて、タンク1内の水位をさらに下げる。つまり、水中電動ポンプ本体31の排水量が一定である場合に、タンク1の断面積やタンク1に流入する水の量に応じて水位が下がる量は異なる。そこで、制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させた場合の水位の変化を取得して、タンク1内の水位を所定の範囲の位置まで下げてから、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる制御を行う。
【0076】
たとえば、制御部32は、無線通信の信号強度のレベルをLV0からLV10までの間で設定しておく。なお、信号強度のレベルは、複数の通信部33の無線通信の信号強度が最大値となる場合をLV10とし、複数の通信部33の通信が不可能になる場合をLV0として、相対的に設定される。また、制御部32は、たとえば、複数の通信部33の無線通信の信号強度のレベルがLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31の運転を開始する。つまり、制御部32は、信号強度のレベルが最良のLV10から変化してLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように構成されている。
【0077】
また、制御部32は、水中電動ポンプ本体31を起動してから信号強度のレベルがLV10となるまでの時間を計測して、水中電動ポンプ本体31を運転させ続けるタイマー時間を決定する。つまり、制御部32は、LV5の水位と、LV10となる上限の水位とを記憶している。そして、制御部32は、LV5に対応する水位からLV10に対応する水位まで変化する時間に基づいて、水中電動ポンプ本体31を運転させる時間を決定する。
【0078】
制御部32は、信号強度のレベルが、運転開始の信号強度のレベルであるLV5からLV10に変化するまでの時間Tmと、LV5に対応する水位およびLV10に対応する水位の水位差d1と、LV5に対応する水位および運転停止水位の水位差d2と、に基づいて、運転開始から運転停止までの運転時間Tnを決定する。
【0079】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第1実施形態では、上記のように、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33による無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着することがない。これにより、水位を検知する要素(通信部33)が故障するのを抑制することができる。また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、交互運転を行っている他の水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断する。これにより、1台の水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプ3a(3b)は、交互運転の制御をやめることができる。たとえば、1台の水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプ3a(3b)は、交互運転の制御から、単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、残りの水中電動ポンプ3a(3b)が交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(通信部33)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を効率よく運転させることができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている。これにより、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合でも、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bのうち故障していない一方を、単独で断続的に運転させて排水を行うことができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させる制御、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる制御、および、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させる制御のうち、少なくとも1つを行うように構成されている。これにより、故障していない水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードにより所定時間間隔毎に断続運転させることにより、略一定の水の流入により水位が上昇する場合において、所定時間間隔毎に排水を行うことができるので、水位の上昇を効果的に抑制することができる。また、故障していない水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎に断続運転させる、または、断続運転モードによりランダムな時間間隔毎にランダムな運転時間により断続運転させることにより、水の流入が一定ではない場合でも、ランダムなタイミングにより排水を行うことができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)を、断続運転モードにより設定時間間隔毎に断続運転させている場合において、運転および停止を設定回数繰り返した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、設定した時刻毎に断続運転させるように切り替えるように構成されている。これにより、水が流入して水位が上昇する時刻が過去の実績や運転履歴などからある程度分かっている場合に、適切な時刻毎に水中電動ポンプ3a(3b)を運転させることにより、より効果的に排水を行うことができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が所定期間経過後に再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するとともに、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を一旦停止させるように構成されている。これにより、1台の水中電動ポンプ3b(3a)が故障したことに起因して無線通信が再開しない場合でも、運転中の水中電動ポンプ3a(3b)の運転を一旦停止させることができるので、水位が下がって水中電動ポンプ3a(3b)が長時間空運転するのを抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)が、交互運転における運転の順番の場合において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなった場合、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させて、第1所定期間Tc経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を継続させて、第2所定期間Tdがさらに経過した後でも水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。また、制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)が、交互運転における運転の順番でない場合において、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなった場合、第1所定期間Tc経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させて、運転開始から第2所定期間Td経過後に水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信が再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。これにより、水中電動ポンプ3b(3a)の故障に起因して無線通信ができなくなった場合において、交互運転における運転の順番である場合は、第1所定期間Tcの運転および追加での第2所定期間Tdの運転をした後、水中電動ポンプ3b(3a)が故障であることを判断することができる。また、交互運転における運転の順番でない場合は、第1所定期間Tcの待機後に、追掛け運転を第2所定期間Tdした後、水中電動ポンプ3b(3a)が故障であることを判断することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。これにより、複数の水中電動ポンプ3aおよび3bの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0087】
(第2実施形態)
次に、
図11~
図17を参照して、第2実施形態による水中電動ポンプシステム100の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、通信部33の無線通信ができなくなり、水位の検知ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の温度変化に基づいて水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる構成の例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0088】
図11に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31(
図1参照)と、制御部32と、通信部33と、カバー34と、ポンプ制御回路35と、モータ36と、温度検知部38と、を含んでいる。なお、水中電動ポンプ3aは、特許請求の範囲の「第1水中電動ポンプ」の一例であり、水中電動ポンプ3bは、特許請求の範囲の「第2水中電動ポンプ」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの制御部32は、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの制御部32は、特許請求の範囲の「第2制御部」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの通信部33は、特許請求の範囲の「第1通信部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの通信部33は、特許請求の範囲の「第2通信部」の一例である。
【0089】
温度検知部38は、水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度を検知するように構成されている。具体的には、温度検知部38は、モータ36の駆動により変化する水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度を検知する。水中電動ポンプ3a(3b)では、モータ36が駆動することにより、内部の温度が上昇する。
【0090】
ここで、第2実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている。
【0091】
また、第2実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、運転を開始させた後、内部の温度変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている。
【0092】
具体的には、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、温度検知部38により検知した温度を取得するように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。つまり、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、設定された時間間隔毎または設定された時刻に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。そして、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、温度検知部38により検知した温度に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。
【0093】
また、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度変化(dT/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。
【0094】
ここで、
図12に示すタンク1の水位が水位L1より低く、低水位である場合、
図13に示す例のように、時間t41において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始した場合、水位が低く水中電動ポンプ3a(3b)が空運転しており、水中電動ポンプ3a(3b)の運転負荷が小さいため、温度は、緩やかに上昇する。また、時間t42において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止した場合、温度は緩やかに下降する。
【0095】
また、
図12に示すタンク1の水位が水位L2より高く、高水位である場合、
図14に示す例のように、時間t43において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始した場合、水位が高く水中電動ポンプ3a(3b)の負荷が大きいため、温度は、急に上昇する。また、時間t44において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止した場合、温度は急に下降する。
【0096】
制御部32は、この低水位の場合の温度変化(dT/dt)と、高水位の場合の温度変化(dT/dt)とを検知する。そして、制御部32は、温度変化(dT/dt)が下降する方向に変化した事に基づいて、水位が下がったことを判断して、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、低水位の場合の温度変化(dT/dt)と高水位の場合の温度変化(dT/dt)とは、メモリ322に予め記憶されていてもよいし、通信部33の通信により水位が検知できる際の運転に基づいて取得してメモリ322に記憶してもよい。
【0097】
図15に示す第1例では、時間t51まで高水位(水位L2より高い)であり、時間t51から時間t52まで中水位(水位L1および水位L2の間)であり、時間t52から低水位(水位L1より低い)である場合について説明する。
【0098】
時間t50において、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始する。時間t52において低水位(水位L1より低い)となる。そして、時間t52から時間t53にかけて、温度変化(dT/dt)が小さくなるように変化する。この場合、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、温度変化(dT/dt)が小さく変化した(グラフ上で下降に転じた)ことに基づいて、水位が下がったことを判断して、時間t53において、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、制御部32は、時間t52において、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させることを判断し、時間t53において、実際に運転を停止させる。時間t52と時間t53との間は制御の遅延時間である。時間t53において水中電動ポンプ(3b)の運転を停止させたあとは更に温度低下が加速することとなる。
【0099】
図16に示す第2例では、時間t55まで中水位(水位L1および水位L2の間)であり、時間t55から低水位(水位L1より低い)である場合について説明する。
【0100】
時間t54において、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始する。時間t55において低水位(水位L1より低い)となる。そして、時間t55から時間t56にかけて、温度変化(dT/dt)が小さくなるように変化する。この場合、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、温度変化(dT/dt)が小さく変化した(グラフ上で下降に転じた)ことに基づいて、水位が下がったことを判断して、時間t56において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、制御部32は、時間t55において、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させることを判断し、時間t56において、実際に運転を停止させる。時間t55と時間t56との間は制御の遅延時間である。時間t56において水中電動ポンプ(3b)の運転を停止させたあとは更に温度低下が加速することとなる。
【0101】
図17に示す第3例では、時間t58まで低水位(水位L1より低い)であり、時間t58から時間t59まで中水位(水位L1および水位L2の間)であり、時間t59から低水位(水位L1より低い)である場合について説明する。つまり、時間t58において、水がタンク1に流入している。
【0102】
時間t57において、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始する。時間t58において、温度変化(dT/dt)が大きくなる。この場合、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水位が上がったことを判断する。時間t59において低水位(水位L1より低い)となる。そして、時間t59から時間t60にかけて、温度変化(dT/dt)が小さくなるように変化する。この場合、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、温度変化(dT/dt)が小さく変化した(グラフ上で下降に転じた)ことに基づき、水位が下がったことを判断して、時間t60において水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。時間t60において水中電動ポンプ(3b)の運転を停止させたあとは更に温度低下が加速することとなる。
【0103】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、水位を検知する要素(通信部33)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を効率よく運転させることができる。
【0105】
また、第2実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。これにより、通信部33による通信により水位を検知できなくなった場合でも、運転中に水位が低くなったことを判断して、的確な水位で水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させることができる。これにより、水中電動ポンプ3b(3a)の空運転を効果的に抑制することができる。
【0106】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0107】
(第3実施形態)
次に、
図18~
図23を参照して、第3実施形態による水中電動ポンプシステム100の構成について説明する。第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、通信部33の無線通信ができなくなり、水位の検知ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を駆動する電流の変化に基づいて水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる構成の例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0108】
図18に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31(
図1参照)と、制御部32と、通信部33と、カバー34と、ポンプ制御回路35と、モータ36と、を含んでいる。ポンプ制御回路35は、電流検知部39を有している。なお、水中電動ポンプ3aは、特許請求の範囲の「第1水中電動ポンプ」の一例であり、水中電動ポンプ3bは、特許請求の範囲の「第2水中電動ポンプ」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの制御部32は、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの制御部32は、特許請求の範囲の「第2制御部」の一例である。また、水中電動ポンプ3aの通信部33は、特許請求の範囲の「第1通信部」の一例であり、水中電動ポンプ3bの通信部33は、特許請求の範囲の「第2通信部」の一例である。
【0109】
電流検知部39は、水中電動ポンプ3a(3b)のモータ36の駆動電流を検知するように構成されている。水中電動ポンプ3a(3b)では、水位が高く負荷が大きい場合に、モータ36を駆動する電流が大きくなる。
【0110】
ここで、第3実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信ができなくなってから所定期間経過後に再開しない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断するように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化により水位を検知できなくなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、単独で断続的に運転させる断続運転モードにより制御して、運転および停止させるように構成されている。
【0111】
また、第3実施形態では、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)を、運転を開始させた後、駆動電流の変化に基づいて、運転を停止させる制御を行うように構成されている。
【0112】
具体的には、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、電流検知部39により検知した駆動電流を取得するように構成されている。また、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の駆動電流に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。つまり、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、設定された時間間隔毎または設定された時刻に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。そして、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、電流検知部39により検知した駆動電流に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。
【0113】
また、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の駆動電流の変化(dI/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。
【0114】
ここで、
図12に示すタンク1の水位が水位L1より低く、低水位である場合、
図19に示す例のように、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始した場合、水位が低く水中電動ポンプ3a(3b)が空運転しており、水中電動ポンプ3a(3b)の運転負荷が小さいため、駆動電流は、小さくなる。また、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止した場合、駆動電流は直ちに0になる。
【0115】
また、
図12に示すタンク1の水位が水位L1より高い場合、
図20に示す例のように、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始した場合、水中電動ポンプ3a(3b)の負荷が空転時(タンク1の水位が水位L1より低い場合)より大きいため、駆動電流は、空転時よりも大きくなる。また、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止した場合、駆動電流は直ちに0になる。
【0116】
また、水位が低くなり、水位L1より低くなった場合、駆動電流は急に下降し、しばらくの間、水および空気の両方を吸い込みながら運転し、その後、空転する。制御部32は、この低水位となった場合の電流変化(dI/dt)を検知する。そして、制御部32は、電流変化(dI/dt)が下降する方向に変化した事に基づいて、水位が下がったことを判断して、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、低水位となった場合の電流変化(dI/dt)は、メモリ322に予め記憶されていてもよいし、通信部33の通信により水位が検知できる際の運転に基づいて取得してメモリ322に記憶してもよい。また、制御部32は、水位が低くなり、水および空気の両方を吸い込みながら運転する際(空転するまでの間)の電流変化(振動する電流変化)を検知して、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させてもよい。
【0117】
図21に示す例では、時間t62まで水位があり(水位L1より高い)、時間t62から低水位(水位L1より低い)である場合について説明する。
【0118】
時間t61において、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始する。時間t62において低水位(水位L1より低い)となる。そして、時間t62から、電流変化(dI/dt)が小さくなるよう変化する。この場合、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、電流変化(dI/dt)が小さく変化した(グラフ上で下降に転じた)ことに基づいて、水位が下がったことを判断して、時間t63において、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、制御部32は、時間t62において、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させることを判断し、時間t63において、実際に運転を停止させる。時間t62と時間t63との間は制御の遅延時間である。時間t63において水中電動ポンプ(3b)の運転を停止させると、駆動電流は0になる。
【0119】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0120】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、水位を検知する要素(通信部33)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を効率よく運転させることができる。
【0121】
また、第3実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断して、水中電動ポンプ3a(3b)を単独で断続的に運転させている場合に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の駆動電流に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させるように構成されている。これにより、通信部33による通信により水位を検知できなくなった場合でも、運転中に水位が低くなったことを判断して、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させることができる。
【0122】
また、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0123】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0124】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、水中電動ポンプシステムに水中電動ポンプを2台設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプシステムに3台以上の水中電動ポンプを設けてもよい。この場合、水中電動ポンプを1台ずつ順番に交互に運転させてもよいし、水中電動ポンプを複数台ずつ順番に交互に運転させてもよい。
【0125】
また、上記第1~第3実施形態では、2台の水中電動ポンプの通信部による信号の送信および受信の順番に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の水中電動ポンプの通信部により互いに異なる個体識別情報を無線通信により送受信することにより、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成してもよい。たとえば、数字、アルファベットなどにより表される個体識別情報を通信部を介して送受信して、送信した自身の個体識別情報と、受信した相手方の個体識別情報とを比較して、所定の法則に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定してもよい。
【0126】
また、上記第1~第3実施形態では、水中電動ポンプに交流電力が供給される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに直流電力が供給されてもよい。この場合、水中電動ポンプは、直流電力を交流電力に変換する電力変換部を備えていてもよい。
【0127】
また、上記第1~第3実施形態では、複数の通信部がBluetooth規格により無線通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の通信部がBluetooth規格以外の規格により無線通信を行ってもよい。たとえば、複数の通信部がZigBee規格や、WiFi規格などの規格により無線通信を行ってもよい。また、複数の通信部が赤外線通信により無線通信を行ってもよい。
【0128】
また、上記第1~第3実施形態では、水中電動ポンプをタンク内に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプをタンク以外の排水が必要な領域に配置してもよい。たとえば、池、河川、湖などに水中電動ポンプを配置してもよいし、上水設備または下水設備に水中電動ポンプを配置してもよい。
【0129】
また、上記第1~第3実施形態では、通信部を水中電動ポンプのカバー内に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、通信部を水中電動ポンプのカバー外に設けてもよい。
【0130】
また、上記第1~第3実施形態では、通信部を外部の電力により動作させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、通信部を水中電動ポンプに設けた電池(バッテリ)により動作させてもよい。また、電池を設ける場合、1枚のプリント基板上にポンプ制御回路、制御部および通信部を搭載し、通信部のみ電池から電力が供給されてもよい。また、この場合、ポンプ制御回路、制御部も電池から電力が供給されてもよい。また、電池もプリント基板上に搭載してもよい。
【0131】
また、プリント基板および電池を防水ケースに格納し、ポンプ内部に浸水してもこれら部分には浸水しないようにしてもよい。また、防水ケースを開閉し、電池交換を可能としてもよい。また、通信部による通信には、極力情報を載せず、通信可否程度の最小通信により水位検出することで電池の消耗を防止してもよい。また、電池は、1次電池もしくは、交流電源から充電可能な2次電池であってもよい。このように構成することで、通信部を水中電動ポンプとは独立させて駆動させることが可能となるため、一方の水中電動ポンプが故障または電源オフの状況になったとしても、通信部と他方の水中電動ポンプとを双方向通信させることにより水中電動ポンプの運転を継続させることが可能となる。
【0132】
また、上記第2実施形態では、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断された際に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度変化(dT/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していない場合でも、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の内部の温度変化(dT/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成してもよい。
【0133】
また、上記第3実施形態では、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断された際に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の電流変化(dI/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していない場合でも、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の電流変化(dI/dt)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成してもよい。
【0134】
また、上記第3実施形態では、水中電動ポンプ3b(3a)が故障していると判断された際に、取得した水中電動ポンプ3a(3b)の電流変化(dI/dt)(電流の単位時間当たりの変化率)に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプ3a(3b)の電流が低下した時点で運転を停止させる等、電流値の変化が生じた時点で運転を制御させるように構成してもよい。また、この制御は水中電動ポンプ3b(3a)が故障していない場合でも行うよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
3a 水中電動ポンプ(第1水中電動ポンプ)
3b 水中電動ポンプ(第2水中電動ポンプ)
31 水中電動ポンプ本体
32 制御部(第1制御部、第2制御部)
33 通信部(第1通信部、第2通信部)
100 水中電動ポンプシステム