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特許7354952情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G08G1/00 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020120419
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017714
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大角 良太
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101605(JP,A)
【文献】特開2007-071579(JP,A)
【文献】特開2009-058429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数車線の道路を走行中の各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の検出の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報を複数の車両から受信することと、
前記複数の車両から受信した前記区画線情報の中から、前記複数車線のうち隣り合う二車線それぞれに関連する前記区画線情報に含まれる、前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報について集計処理を行うことと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記隣り合う二車線が、進行方向が同一方向の車線であって、一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記隣り合う二車線が、進行方向が互いに逆方向の車線であって、
一方の車線の右側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行い、
一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の左側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と前記他方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記集計処理の結果における区画線の検出の割合に基づいて、区画線のかすれを検出す
る、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記区画線情報には、各車両の位置に対応する時刻に関する情報がさらに含まれており、
前記制御部は、
前記複数の車両から受信した前記区画線情報の中から、所定の期間内の前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報を取得し、前記集計処理を行う、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数車線の道路を走行中の複数の車両から受信した区画線情報であって、各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の検出の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報の中から、前記複数車線のうち隣り合う二車線それぞれに関連する前記区画線情報に含まれる、前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報を取得するステップと、
取得した、前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報について集計処理を行うステップと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項7】
前記隣り合う二車線が、進行方向が同一方向の車線であって、一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記隣り合う二車線が、進行方向が互いに逆方向の車線であって、
一方の車線の右側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行い、
一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の左側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と前記他方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記集計処理の結果における区画線の検出の割合に基づいて、区画線のかすれを検出する、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記区画線情報には、各車両の位置に対応する時刻に関する情報がさらに含まれており、
前記複数の車両から受信した前記区画線情報の中から、所定の期間内の前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報を取得し、前記集計処理を行う、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
複数車線の道路を走行中の複数の車両から受信した区画線情報であって、各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の検出の有無に関する情報
と、が対応付けられた区画線情報の中から、前記複数車線のうち隣り合う二車線それぞれに関連する前記区画線情報に含まれる、前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報を取得するステップと、
取得した、前記隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無に関する情報について集計処理を行うステップと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出するステップと、
を含む、プログラム。
【請求項12】
前記情報処理方法において、
前記隣り合う二車線が、進行方向が同一方向の車線であって、一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の有無の検出に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記情報処理方法において、
前記隣り合う二車線が、進行方向が互いに逆方向の車線であって、
一方の車線の右側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報と、前記他方の車線の右側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行い、
一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の左側の区画線とが共通する場合、前記一方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報と前記他方の車線の左側の区画線の検出の有無に関する情報とに基づいて前記集計処理を行う、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記情報処理方法において、
前記集計処理の結果における区画線の検出の割合に基づいて、区画線のかすれを検出する、
請求項11から13のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の地点で白線を撮像した路面画像を基に白線のかすれの有無を推定する推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-28939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、道路上の区画線の状態を効率的に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
複数車線の道路を走行中の各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報を複数の車両から受信することと、
前記複数の車両から受信した前記区画線情報の中から、同一の位置における同一の区画線の有無に関する情報を取得し、集計処理を行うことと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出することと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数車線の道路を走行中の複数の車両から受信した区画線情報であって、各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報の中から、同一の位置における同一の区画線の有無に関する情報を取得するステップと、
取得した、同一の位置における同一の区画線の有無に関する前記区画線情報について集計処理を行うステップと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出するステップと、
を含む。
【0007】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、
情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
複数車線の道路を走行中の複数の車両から受信した区画線情報であって、各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報の中から、同一の位置における同一の区画線の有無に関する情報を取得するステップと、
取得した、同一の位置における同一の区画線の有無に関する前記区画線情報について集計処理を行うステップと、
前記集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、道路上の区画線の状態を効率的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】検出システムの概略構成を示す図である。
図2】車載装置の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】車載装置が区画線を検出している状況の一例を説明する図である。
図4】区画線情報のテーブル構成の一例を示すである。
図5】管理サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図6】第1実施形態における集計情報データベースに格納される集計情報のテーブル構成の一覧を示す図である。
図7】検出処理のフローチャートである。
図8】第2実施形態における集計情報データベースに格納される集計情報のテーブル構成の一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、道路上の区画線を管理する情報処理装置である。本開示の第1の態様に係る情報処理装置における制御部は、複数車線の道路を走行中の各車両の位置に関する情報と、各車両が走行している車線を区画する区画線の有無に関する情報と、が対応付けられた区画線情報を複数の車両から受信する。これにより、情報処理装置は、複数車線の道路における各車線の各位置における区画線の有無について把握することができる。なお、複数車線の道路とは、片側一車線の道路、すなわち両方向で二車線である道路も含む。そして、情報処理装置における制御部は、複数の車両から受信した区画線情報の中から、同一の位置における同一の区画線の有無に関する情報を取得し、集計処理を行う。さらに、制御部は、集計処理の結果に基づいて、区画線のかすれを検出する。
【0011】
道路上の区画線は、経年劣化等によってかすれてしまい不鮮明となる場合がある。区画線が不鮮明となると、走行中の車両から車線を把握し難くなるといった問題が生じる虞がある。そのため、道路の管理者は、道路上の区画線においてかすれが発生しているか否かを点検する必要がある。しかしながら、管理者が自ら道路上の区画線におけるすべての位置においてかすれの有無を点検するには、膨大な労力が必要となる。そこで、本開示に係る情報処理装置は、区画線情報を複数の車両から受信し、集計処理を行うことで、区画線のかすれを検出する。これにより、管理者は、道路上の区画線を自ら点検しなくても、情報処理装置によって区画線のかすれを把握することができる。このように、情報処理装置によって、道路上の区画線の状態を効率的に把握することが可能となる。
【0012】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
<第1実施形態>
本実施形態における検出システム1について、図1に基づいて説明する。図1は検出システム1の概略構成を示す図である。検出システム1は、複数の車載装置100と管理サーバ200とを含んで構成される。ここで、検出システム1は、道路上の区画線のかすれを検出するためのシステムである。道路の管理者は、道路上の区画線においてかすれが発生しているか否かを点検する必要がある。しかしながら、管理者が自ら道路上の区画線におけるすべての位置においてかすれの有無を点検するには、膨大な労力が必要となる。そこで、道路の管理者は、検出システム1によって区画線のかすれを把握する。
【0014】
各車載装置100は、複数の車両10それぞれに搭載される装置である。各車載装置100は、自身が搭載されている車両10が走行している車線の区画線を検出する装置である。各車載装置100が検出する区画線は、自らが搭載されている車両10が走行している車線の右側および左側の区画線である。区画線には、車道中央線、車線境界線、および車道外側線が含まれる。各車載装置100は、例えば、自らが搭載されている車両10における車線維持支援制御装置(Lane Keeping Assistant System)または車線逸脱防止装置(Lane Departure Prevention System)等である。
【0015】
管理サーバ200は、道路上の区画線を管理するサーバである。管理サーバ200は、プロセッサ210、主記憶部220、補助記憶部230、および通信インタフェース(通信I/F)240を有するコンピュータを含んで構成される。プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部230は、例えば、ROM(Read Only Memory)である。また、補助記憶部230は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、またはCD-ROM、DVDディスク、もしくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。また、補助記憶部230は、リムーバブルメディア(可搬記憶媒体)であってもよい。ここで、リムーバブルメディアとして、例えば、USBメモリまたはSDカードが例示される。通信I/F240は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0016】
管理サーバ200において、補助記憶部230には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。また、管理サーバ200において、プロセッサ210が、補助記憶部230に記憶されたプログラムを主記憶部220にロードして実行することによって、後述するような各種の機能を実現することができる。ただし、管理サーバ200における一部または全部の機能はASICまたはFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管理サーバ200は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。なお、本実施形態における管理サーバ200が、本開示の第1の態様に係る「情報処理装置」に相当する。
【0017】
検出システム1においては、各車載装置100と管理サーバ200とがネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)または、携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。
【0018】
(システム構成)
次に、本実施形態に係る検出システム1を構成する、車載装置100と管理サーバ200とのそれぞれの機能構成について図2から図6に基づいて説明する。
【0019】
(車載装置100)
図2は、車載装置100の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。車載装置100は、制御部101、位置取得部102、撮像部103、および通信部104を含んで構成される。制御部101は、車載装置100の制御をするための演算処理を行う機能を有する。制御部101は、車載装置100におけるプロセッサによって実現できる。
【0020】
撮像部103は、車両10が走行している車線の区画線を撮像する機能を有する。撮像
部103は、車載装置100におけるカメラによって実現できる。制御部101は、撮像部103が撮像した道路の画像または動画像に基づいて、車両10が走行している車線の区画線を検出する。図3は、車載装置100が区画線を検出している状況の一例を説明する図である。図3に示す例においては、三台の車両10(車両10A、車両10Bおよび車両10C)が道路を走行している。また、図3に示す例においては、道路に、進行方向が紙面上方である二車線(A車線およびB車線)と、進行方向が紙面下方である二車線(C車線およびD車線)と、の計四車線が設けられている。つまり、三台の車両10が走行している道路は、走行車線(A車線およびD車線)と追越車線(B車線およびC車線)とが設けられた片側二車線の道路である。
【0021】
図3に示すように、A車線を走行中の車両10Aにおける車載装置100では、撮像部103が、A車線を区画する区画線、すなわち、A車線の左側の区画線L1および右側の区画線L2それぞれが存在する位置の画像または動画像を撮像する。そして、車両10Aにおける車載装置100では、制御部101が、撮像部103によって撮像された画像に基づいて、A車線の左側の区画線L1および右側の区画線L2を検出する。なお、車両10Aが走行する車線をA車線からB車線に変更した場合、車両10Aにおける車載装置100は、B車線の左側の区画線L2および右側の区画線C1それぞれが存在する位置の画像または動画像を撮像し、区画線L2および区画線C1を検出する。
【0022】
また、同様に、B車線を走行中の車両10Bにおける車載装置100では、撮像部103が、B車線を区画する区画線、すなわち、B車線の左側の区画線L2および右側の区画線C1それぞれが存在する位置の画像または動画像を撮像する。そして、車両10Bの車載装置100においては、制御部101が、撮像部103によって撮像された画像または動画像に基づいて、B車線の左側の区画線L2および右側の区画線C1を検出する。また、C車線を走行中の車両10Cにおける車載装置100では、撮像部103が、C車線を区画する区画線、すなわち、C車線の左側の区画線R2および右側の区画線C1それぞれが存在する位置の画像または動画像を撮像する。そして、車両10Cにおける車載装置100では、制御部101が、撮像部103によって撮像された画像または動画像に基づいて、C車線の左側の区画線R2および右側の区画線C1を検出する。
【0023】
ただし、経年によって道路上の区画線にかすれが発生している場合がある。例えば、車両が区画線上を走行することによって区画線が摩耗してしまい、区画線にかすれが発生してしまう。また、例えば、風雨に曝されることで区画線が劣化することにより、区画線にかすれが発生してしまう。ここで、図3の示す例においては、区画線L2および区画線C1の一部にかすれが発生している。なお、区画線L2おいてかすれが発生している位置と、区画線C2においてかすれが発生している位置とはほぼ同一の位置(横並びの位置)となっている。このように、区画線においてかすれが発生していると、制御部101は、かすれの発生位置を撮像した画像または動画像に基づいて区画線を検出できない。
【0024】
ここで、図3において、車両10Bにおける車載装置100は、区画線L2および区画線C2それぞれにおいてかすれが発生している位置の画像または動画像を撮像している。そのため、車両10Bが図3に示す位置を走行したときには、車両10Bにおける車載装置100の制御部101はB車線の左側の区画線および右側の区画線を検出できない。一方で、図3において、車両10Aにおける車載装置100は、区画線L1および区画線L2のいずれにおいても、かすれは発生していない位置の画像または動画像を撮像している。そのため、車両10Aが図3に示す位置を走行したときには、車両10Aにおける車載装置100の制御部101はA車線の左側の区画線および右側の区画線を検出することができる。ただし、車両10Aにおける車載装置100の制御部101も、区画線L2のかすれが発生している位置では、A車線右側の区画線を検出できない。また、図3において、車両10Cにおける車載装置100は、区画線R2においてはかすれが発生していない
位置の画像または動画像を撮像しているが、区画線C2おいてはかすれが発生している位置の画像または動画像を撮像している。そのため、車両10Cが図3に示す位置を走行したときには、車両10Cにおける車載装置100の制御部101は、C車線の左側の区画線を検出することはできるが、C車線の右側の区画線を検出できない。
【0025】
このように、区画線がかすれている位置においては、撮像部103が撮像した道路の画像または動画像に基づいて、制御部101が区画線を検出できない。そこで、本実施形態において、制御部101は、区画線の有無に関する情報として、制御部101による区画線の検出の有無に関する情報を生成する。
【0026】
位置取得部102は、車両10の現在位置を取得する機能を有する。位置取得部102は、GPS受信機によって実現できる。制御部101は、区画線が存在する位置の画像または動画像を撮像部103が撮像した際の車両10の位置を位置取得部102から取得する。
【0027】
制御部101は、車両10が走行している位置に関する情報と、車両10が走行中の車線の左側および右側の区画線の検出の有無に関する情報と、を対応付けた区画線情報を生成する。図4は、区画線情報のテーブル構成の一例を示すである。図4に示すように、区画線情報のテーブルは、車両IDフィールド、区画線フィールド、位置フィールド、および時刻フィールドを有する。車両IDフィールドには、車載装置100が搭載されている車両10を特定するための識別子が入力される。区画線フィールドには、車両10が走行している車線の左側および右側の区画線の検出の有無に関する情報がそれぞれ入力される。区画線フィールドにおいては、制御部101が区画線を検出した場合には「検出」が入力され、制御部101が区画線を検出できなかった場合には「不検出」が入力される。また、位置フィールドには、撮像部103が道路の画像または動画像を撮像した際の車両10の位置についての情報が入力される。位置フィールドには、例えば、緯度および経度等の座標が入力される。また、時刻フィールドには、区画線の検出のために撮像部103が道路の画像または動画像を撮像した際の時刻(日時)が入力される。
【0028】
通信部104は、車載装置100をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部104は、車載装置100における通信I/Fによって実現できる。制御部101は、通信部104を経由して、区画線情報を管理サーバ200に送信する。
【0029】
(管理サーバ)
図5は、管理サーバ200の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。管理サーバ200は、制御部201、通信部202、区画線情報データベース(区画線情報DB)203、および集計情報データベース(集計情報DB)204を含んで構成される。
【0030】
制御部201は、管理サーバ200の制御をするための演算処理を行う機能を有する。制御部201は、管理サーバ200におけるプロセッサ210によって実現できる。通信部202は、管理サーバ200をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部202は、管理サーバ200における通信I/F240によって実現できる。制御部201は、通信部202によって、区画線情報を各車載装置100から受信する。
【0031】
区画線情報DB203は、各車載装置100から受信した区画線情報を格納する機能を有する。区画線情報DB203は、管理サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。
【0032】
制御部201は、区画線情報DB203に格納されている区画線情報の中から、同一の位置における同一の区画線の有無に関する情報を取得し、集計処理を行う。具体的には、
制御部201は、区画線情報DB203に格納されている区画線情報に基づいて、車両10の位置を取得する。制御部201は、取得した車両10の位置に基づいて、該車両10が区画線の有無を検出したときに走行していた車線を特定する。そして、制御部201は、同一の車線に関連する区画線情報に基づいて集計処理を行う。詳細には、制御部201は、特定した車線ごとに、同一の位置における左側および右側の区画線の検出の有無について集計した情報である集計情報を生成する。そして、制御部201は、集計処理によって生成された集計情報を集計情報DB204に格納する。なお、集計情報DB204は、管理サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。
【0033】
図6は、本実施形態における集計情報DB204に格納される集計情報のテーブル構成の一覧を示す図である。図6に示すように、集計情報は、車線フィールド、位置フィールド、および検出回数フィールドが入力される。車線フィールドには、道路における各車線を特定するための情報が入力される。位置フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報における位置フィールドに入力されている各位置が入力される。ここで、位置フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報における各位置フィールドに入力されている位置が、各車線に対応するように入力されている。検出回数フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報における同一の車線に関連する区画線の検出の有無について集計した情報が入力される。具体的には、検出回数フィールドには、集計情報における位置フィールドに入力されている位置に対応した、複数の車載装置100から受信した区画線情報における区画線フィールドに入力されている「検出」および「不検出」の数がそれぞれ入力される。また、検出回数フィールドには、各車線の左側の区画線の「検出」および「不検出」のそれぞれの数と、各車線の右側の区画線の「検出」および「不検出」のそれぞれの数と、がそれぞれ入力される。なお、制御部201は、複数の車載装置100から受信した区画線情報の中から、時刻フィールドに入力された時刻に基づいて、所定の期間内の区画線の検出の有無についての情報を取得して、集計処理を実行する。
【0034】
制御部201は、集計情報DB204に格納されている集計情報に基づいて、区画線のかすれを検出する。具体的には、制御部201は、集計情報において、ある位置における「検出」の割合が所定の割合以下であるときに、該位置において区画線がかすれていると判定する。以下、検出の割合が所定の割合以下になる位置を「かすれ位置」と称する場合がある。
【0035】
また、制御部201は、区画線のかすれを検出した車線および該区画線、並びにかすれ位置、を特定する情報を含む検出情報を生成する。ここで、区画線を特定する情報は、区画線を特定するための識別子等である。また、区画線を特定する情報は、車線のどちら側の検出の割合が所定の割合以下であるかの情報、または車線の両側の検出の割合が所定の割合以下であるとの情報であってもよい。検出情報によって、道路の管理者は、区画線にかすれが発生していることを把握することができる。
【0036】
(検出処理のフロー)
次に、検出システム1において、管理サーバ200における制御部201によって実行される検出処理について、図7に基づいて説明する。図7は、検出処理のフローチャートである。検出処理は、かすれている区画線を検出するための処理である。検出処理は、例えば、管理サーバ200を管理する管理者(道路の管理者)が検出処理のためのプログラムを管理サーバ200に実行させることによって開始される。また、検出処理は、数か月ごと等の所定の周期の到来によって開始されてもよい。
【0037】
検出処理においては、まず、S101において、区画線情報DB203から同一の車線に関連する区画線情報が取得される。次に、S102において、集計処理が実行される。
このとき、集計情報が生成され、集計情報DB204に格納される。次に、S103において、集計情報に基づいて、各区画線におけるかすれが検出される。そして、S104において、S103において検出された区画線のかすれについての検出情報が生成され、検出処理が終了される。
【0038】
以上説明したように、検出システム1において、管理サーバ200が区画線情報を複数の車両10から受信し、集計処理を行う。そして、管理サーバ200が、区画線のかすれを検出し、検出情報を生成する。これにより、道路の管理者は、道路上の区画線を自ら点検しなくても、検出システム1によって区画線にかすれが発生していることを把握することができる。このように、検出システム1によって、道路上の区画線の状態を効率的に把握することが可能となる。
【0039】
(変形例)
なお、本実施形態においては、車載装置100は、区画線の有無に関する情報として、制御部101による区画線の検出の有無に関する情報を生成し、管理サーバ200に送信する。しかしながら、区画線の有無に関する情報は、撮像部103が撮像した画像または動画像であってもよい。この場合において、管理サーバ200における制御部201が、区画線情報に含まれる画像または動画像に基づいて、車載装置100が搭載されている車両10が走行している車線の右側および左側の区画線が検出できるか否かを判別する。そして、制御部201は、区画線を検出できたか否か(区画線の検出の有無)についての情報を、区画線情報DB203に格納する。そして、制御部201は、第1実施形態と同様に、区画線情報DB203に格納されている各車載装置100から受信した区画線情報に基づいて集計処理を行う。
【0040】
また、本実施形態においては、管理サーバ200は、集計情報において、ある位置における「検出」の割合が所定の割合以下であるときに、該位置において区画線がかすれていると判定する。このとき、管理サーバ200は、集計情報において、ある位置における「検出」の割合に基づいて、該位置において区画線がかすれている可能性を推定してもよい。具体的には、管理サーバ200は、ある位置における「検出」の割合に基づいて、該位置における区画線のかすれの可能性をレベル分けしてもよい。区画線のかすれの可能性は、例えば、高確率、中確率、および低確率等によってレベル分けされる。
【0041】
また、車載装置100は、自身が搭載されている車両10が走行している車線を特定するための情報をさらに含んだ区画線情報を管理サーバ200に送信してもよい。この場合、管理サーバ200は、区画線情報DB203に格納されている各車載装置100から受信した区画線情報における車線を特定するための情報に基づいて同一の車線に関連する区画線情報を取得し、集計処理を行う。また、区画線情報は、車両10の進行方向を示す情報を含んでいてもよい。車両10の進行方向を示す情報は、例えば、車両10が走行している車線が上り車線であるか下り車線であるかについての情報、または車両10が走行している方角についての情報である。管理サーバ200は、車両10の進行方向を示す情報によって、片側一車線の道路(両方向で二車線の道路)において車両10がどちらの車線を走行しているかを把握することができる。そこで、管理サーバ200は、車両10の進行方向を示す情報に基づいて、同一の車線に関連する区画線情報を取得し、集計処理を行う。また、区画線情報に含まれる、撮像部103が道路の画像または動画像を撮像した際の車両10の位置についての情報は、車両10が走行している道路についての道路リンクについての情報であってもよい。このようにしても、管理サーバ200は、撮像部103が道路の画像または動画像を撮像した際の車両10の位置を把握することができる。
【0042】
<第2実施形態>
本実施形態においては、管理サーバ200は、隣り合う二車線おいて共通する区画線を
同一視して集計処理を行う点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0043】
制御部201は、複数の車線のうち隣り合う二車線それぞれに関連する区画線情報に含まれる、隣り合う二車線の共通する区画線の有無に関する情報に基づいて、集計処理を行う。具体的には、制御部201は、第1実施形態と同様に、区画線情報DB203に格納されている区画線情報に基づいて、車両10が走行している車線を特定する。そして、制御部201は、特定された複数の車線のうち、隣り合う二車線を特定する。そして、制御部201は、隣り合う二車線の共通する区画線の有無に関する情報に基づいて、集計処理を行い、集計情報を生成する。
【0044】
図8は、本実施形態における集計情報DB204に格納される集計情報のテーブル構成の一覧を示す図である。図8に示すように、集計情報のテーブルは、区画線フィールド、車線フィールド、位置フィールド、および検出回数フィールドを有する。区画線フィールドには、道路における区画線を特定するための情報が入力される。車線フィールドには、各区画線を共通する隣り合う二車線を特定するための情報と、各車線におけるどちら側に区画線があるのかについての情報が入力される。位置フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報における位置フィールドに入力されている各位置が、各車線に対応するように入力される。検出回数フィールドには、隣り合う二車線の共通する区画線の検出の有無を集計した情報が入力される。具体的には、検出回数フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報における各区画線フィールドにおける情報に基づいて、各位置における共通する区画線の「検出」および「不検出」の数が入力される。
【0045】
隣り合う二車線が、進行方向が同一方向の車線であって、一方の車線の左側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合がある。この場合において、制御部201は、一方の車線の左側の区画線の有無に関する情報と、他方の車線の右側の区画線の有無に関する情報とに基づいて集計処理を行う。図8に示す例は、図3に示す道路を想定した場合の集計情報である。図8に示す例においては、区画線L2は、隣り合うA車線とB車線との共通する区画線である。そこで、車線フィールドには、「A車線」と「B車線」とが入力される。また、A車線とB車線とは、進行方向が同一方向の二車線である。つまり、A車線とB車線との共通する区画線L2は、A車線の右側の区画線であり、B車線の左側の区画線である。そこで、車線フィールドには、「A車線」に対応するように「右側」が入力される。また、車線フィールドには、「B車線」に対応するように「左側」が入力される。そして、検出回数フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画情報に基づいて、A車線の右側とB車線の左側との各位置における、「検出」の数の和と、「不検出」の数の和と、がそれぞれ入力される。
【0046】
また、隣り合う二車線が、進行方向が互いに逆方向の車線であって、一方の車線の右側の区画線と、他方の車線の右側の区画線とが共通する場合がある。この場合において、制御部201は、一方の車線の右側の区画線の有無に関する情報と、他方の車線の右側の区画線の有無に関する情報とに基づいて集計処理を行う。図8に示す例においては、区画線C1は、隣り合うB車線とC車線との共通する区画線である。そこで、車線フィールドには、「B車線」と「C車線」とが入力される。また、B車線とC車線とは、進行方向が互いに逆方向の二車線である。つまり、B車線とC車線との共通する区画線C1は、B車線の右側の区画線であり、C車線の右側の区画線である。そこで、車線フィールドには、「B車線」に対応するように「右側」が入力される。また、車線フィールドには、「C車線」に対応するように「右側」が入力される。そして、検出回数フィールドには、複数の車載装置100から受信した区画線情報に基づいて、A車線の右側とB車線の右側との各位置における、「検出」の数の和と、「不検出」の数の和と、が入力される。
【0047】
なお、本実施形態においては、図3に示すように、車両10は左側通行している。そのため、制御部201は、隣り合う二車線の進行方向が互いに逆方向である場合、一方の車線の右側の区画線の有無に関する情報と、他方の車線の右側の区画線の有無に関する情報とに基づいて集計処理を行う。しかしながら、車両10が右側通行する場合(例えば、車両10が右側通行の国で走行する場合)は、制御部201は、隣り合う二車線の進行方向が互いに逆方向である場合、一方の車線の左側の区画線の有無に関する情報と、他方の車線の左側の区画線の有無に関する情報とに基づいて集計処理を行う。
【0048】
制御部201は、第1実施形態と同様に、集計情報DB204に格納されている集計情報に基づいて、区画線のかすれを検出する。そして、制御部201は、区画線のかすれを検出した二車線および該区画線、並びにかすれ位置、を特定する検出情報を生成する。
【0049】
なお、本実施形態における検出処理の流れは、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出システム1によって、道路上の区画線の状態を効率的に把握することが可能となる。
【0051】
<その他の実施形態>
上述の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理および手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0052】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0053】
本開示は、上述の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、またはハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、またはブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・・検出システム
10・・・・車両
100・・・車載装置
101・・・制御部
200・・・管理サーバ
201・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8