(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】提示システム、提示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230926BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G16H20/00
A61H1/02 R
(21)【出願番号】P 2020127547
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮川 透
(72)【発明者】
【氏名】中島 一誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】岩田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 文貴
(72)【発明者】
【氏名】今井田 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】菅 敬介
(72)【発明者】
【氏名】才藤 栄一
(72)【発明者】
【氏名】大高 洋平
(72)【発明者】
【氏名】平野 哲
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-245175(JP,A)
【文献】米国特許第10130311(US,B1)
【文献】特開2006-072661(JP,A)
【文献】特開2010-282602(JP,A)
【文献】特開2011-253296(JP,A)
【文献】特開2016-197330(JP,A)
【文献】特開2001-000420(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する記憶部と、
身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する取得部と、
前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定し、前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する決定部と、
決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する出力部と、を備え
、
前記記憶部は、前記居住環境を準備するための準備期間に関する準備情報をさらに記憶し、
前記決定部は、前記計画の終了時から前記提示情報に含まれる前記居住環境の準備期間を遡った時点に前記居住環境の準備開始に関する通知を行うことを決定し、
前記出力部は、前記通知を出力する、
提示システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記訓練者のプロファイル情報を併せて取得し、
前記決定部は、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、前記プロファイル情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定する
請求項1に記載の提示システム。
【請求項3】
前記記憶部は、他の複数の訓練者が行った前記訓練に関する統計情報をさらに記憶し、
前記決定部は、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、前記統計情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定する
請求項1に記載の提示システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記提示情報を記憶し、
前記取得部は、前記訓練の計画に対する進捗情報を取得し、
前記決定部は、前記進捗情報に応じて前記第2身体能力情報を更新するとともに、更新された前記第2身体能力情報に応じて前記居住環境を更新する
請求項
1~3のいずれか一項に記載の提示システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記提示情報を記憶し、
前記決定部は、前記計画情報が更新された場合には、更新された計画情報に応じて前記第2身体能力情報を更新し、更新された前記第2身体能力情報に応じて前記居住環境を更新する
請求項
1~3のいずれか一項に記載の提示システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記居住環境の提供者に関する提供者情報をさらに記憶し、
前記出力部は、決定した前記居住環境に関連する前記提供者情報を含んだ前記提示情報を出力する
請求項
1~5のいずれか一項に記載の提示システム。
【請求項7】
前記提供者を選択する指示を受け付ける指示受付部と、
前記指示受付部が受け付けた選択にかかる前記提供者に対して前記選択に関する選択情報を送信する送信部と、
をさらに備える
請求項
6に記載の提示システム。
【請求項8】
身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する記憶ステップと、
身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する取得ステップと、
前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定する推定ステップと、
前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する決定ステップと、
決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する出力ステップと、を備え
、
前記記憶ステップは、前記居住環境を準備するための準備期間に関する準備情報をさらに記憶し、
前記決定ステップは、前記計画の終了時から前記提示情報に含まれる前記居住環境の準備期間を遡った時点に前記居住環境の準備開始に関する通知を行うことを決定し、
前記出力ステップは、前記通知を出力する、
提示方法。
【請求項9】
コンピュータに提示方法を実行させるプログラムであって、
前記提示方法は、
身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する記憶ステップと、
身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する取得ステップと、
前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定する推定ステップと、
前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する決定ステップと、
決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する出力ステップと、
を備え
、
前記記憶ステップは、前記居住環境を準備するための準備期間に関する準備情報をさらに記憶し、
前記決定ステップは、前記計画の終了時から前記提示情報に含まれる前記居住環境の準備期間を遡った時点に前記居住環境の準備開始に関する通知を行うことを決定し、
前記出力ステップは、前記通知を出力する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は提示システム、提示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
訓練者の身体動作の機能回復を目的としたリハビリテーション(リハビリ、訓練)を行うための訓練システムが開発されている。例えば、特許文献1に記載の歩行訓練装置は、歩行補助装置と、第1引張手段と、第2引張手段と、を備えている。歩行補助装置は、訓練者の脚部に装着され、該訓練者の歩行を補助する。第1引張手段は、歩行補助装置及び訓練者の脚部のうち少なくとも一方を上方かつ前方に引張する。第2引張手段は、歩行補助装置及び訓練者の脚部のうち少なくとも一方を上方かつ後方に引張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リハビリ患者(訓練者)は、リハビリ施設においてリハビリを行った後に、居宅に戻り、居宅での生活を再開する。このとき訓練者は、居宅においてこれまで通りの生活をすることが困難となる可能性がある。そのためリハビリ患者の居宅は、リハビリ患者の身体動作に対応させるためのリフォームが行われることが多い。またこのようなリフォームは、リハビリ患者が居宅に戻る際に完了しておくことが望まれる。しかしながら、リハビリ患者の回復度合いや居住環境は多種多様である。そのため、リハビリ患者の回復度合いを適切に予測し、予測した回復度合いに対応させた居住環境等を決定することは難しい。そのため、適切に居住環境を整えることが出来ない場合には、居宅で生活を送る訓練者に負担を強いることとなる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、訓練者の負担の増加を抑制した提示システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる提示システムは、記憶部、取得部、決定部、および出力部を有している。記憶部は、身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する。取得部は、身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する。決定部は、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定し、前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する。出力部は、決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する。
【0007】
このような構成により、提示システムは、ユーザに対して好適な居住環境を提示できる。
【0008】
上記提示システムにおいて、取得部は、前記訓練者のプロファイル情報を併せて取得し、決定部は、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、前記プロファイル情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定するものであってもよい。これにより提示システムは、第2身体能力情報の推定の精度を向上させることができる。
【0009】
また上記提示システムにおいて、記憶部は、他の複数の訓練者が行った訓練に関する統計情報をさらに記憶し、決定部は、第1身体能力情報と、計画情報と、統計情報と、に基づいて、計画の終了後における訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定するものであってもよい。これにより提示システムは、第2身体能力情報の推定の精度を向上させることができる。
【0010】
上記提示システムにおいて、記憶部は、居住環境を準備するための準備期間に関する準備情報をさらに記憶し、決定部は、計画の終了時から提示情報に含まれる居住環境の準備期間を遡った時点に居住環境の準備開始に関する通知を行うことを決定し、出力部は、通知を出力するものであってもよい。これにより提示システムは、好適なタイミングで提示情報を出力できる。
【0011】
上記提示システムにおいて、記憶部は、提示情報を記憶し、取得部は、訓練の計画に対する進捗情報を取得し、決定部は、進捗情報に応じて第2身体能力情報を更新するとともに、更新された第2身体能力情報に応じて居住環境を更新するものであってもよい。これにより提示システムは、柔軟に居住環境情報を提示できる。
【0012】
上記提示システムにおいて、記憶部は、提示情報を記憶し、決定部は、計画情報が更新された場合には、更新された計画情報に応じて第2身体能力情報を更新し、更新された第2身体能力情報に応じて居住環境を更新するものであってもよい。これにより提示システムは、柔軟に居住環境情報を提示できる。
【0013】
上記提示システムにおいて、記憶部は、居住環境の提供者に関する提供者情報をさらに記憶し、出力部は、決定した居住環境に関連する提供者情報を含んだ提示情報を出力するものであってもよい。これにより提示システムは、より好適な内容の提示情報を出力できる。
【0014】
上記提示システムにおいて、提供者を選択する指示を受け付ける指示受付部と、指示受付部が受け付けた選択にかかる提供者に対して選択に関する選択情報を送信する送信部と、をさらに有するものであってもよい。これにより提示システムは、さらに訓練者の負担を軽減できる。
【0015】
本発明にかかる提示方法は、記憶ステップ、取得ステップ、決定ステップ、および出力ステップを有している。記憶ステップは、身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する。取得ステップは、身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する。決定ステップは、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定し、前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する。出力ステップは、決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する。
【0016】
このような構成により、提示システムは、ユーザに対して好適な居住環境を提示できる。
【0017】
本発明にかかるプログラムは、コンピュータに以下の提示方法を実行させるものである。上記提示方法は、記憶ステップ、取得ステップ、決定ステップ、および出力ステップを有している。記憶ステップは、身体能力に応じた居住環境を定義した定義情報を記憶する。取得ステップは、身体能力の維持または回復を目的とした訓練を行う訓練者の前記訓練の前における第1身体能力情報と、前記訓練の計画である計画情報と、を取得する。決定ステップは、前記第1身体能力情報と、前記計画情報と、に基づいて、前記計画の終了後における前記訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定し、前記定義情報に基づいて、前記第2身体能力情報に対応する前記居住環境を決定する。出力ステップは、決定した前記居住環境を含んだ提示情報を出力する。
【0018】
このような構成により、提示システムは、ユーザに対して好適な居住環境を提示できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、訓練者の負担の増加を抑制した提示システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態にかかるリハビリシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる提示システムのブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかる提示システムのフローチャートである。
【
図4】実施の形態1にかかる定義情報の第1例を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかる定義情報の第2例を示す図である。
【
図6】実施の形態1にかかる統計情報を示す図である。
【
図7】実施の形態1にかかる取得部が取得する情報の例を示す図である。
【
図8】実施の形態1にかかる提示情報の例を示す図である。
【
図9】実施の形態2にかかる提示システムのブロック図である。
【
図10】実施の形態2にかかる提示システムのフローチャートである。
【
図11】実施の形態2にかかる提示システムのタイミングチャートである。
【
図12】実施の形態3にかかる提示システムのブロック図である。
【
図13】実施の形態3にかかる提示システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0022】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかるリハビリシステムは、訓練者の身体能力の維持または回復を目的として複数種類の訓練を訓練者が行ったり、日常生活活動(ADL(Activities of Daily Living))の補助または支援を行ったりする。
【0023】
図1は、本実施形態1にかかるリハビリシステムの全体構成を示すブロック図である。図に示すリハビリシステム1は、訓練者90が利用する訓練装置20と、リハビリ施設装置30と、訓練者端末40と、提示システム10と、環境提供者端末51と、環境提供者端末52とを有する。訓練装置20、リハビリ施設装置30、訓練者端末40、提示システム10、環境提供者端末51および環境提供者端末52のそれぞれは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ここで、ネットワークNは、インターネット、イントラネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)等の通信回線網である。
【0024】
訓練者90は、医療機関等のリハビリ施設にて訓練装置20等を用いて、自身の身体能力の回復又は維持のための訓練を行う者である。訓練者90は、例えば、重病又は重症を患ったことに伴い行われた手術後に、身体能力の回復のためにリハビリを行うリハビリ患者である。または、訓練者90は、高齢者等で身体能力の維持に努めるためのリハビリを行う者である。ここで、リハビリ(リハビリテーション)とは、身体機能の回復もしくは維持、又は、身体障害を軽減させるために行う訓練過程を指すものであり、保険適用の有無、医療機器の使用の有無を問わない。
【0025】
訓練装置20は、訓練者90が訓練スタッフの指導又介助などの補助に従って、身体能力の回復又は維持のための訓練を行うための装置である。訓練装置20には、例えば、特許文献1に記載した歩行訓練装置等のリハビリ支援装置を用いることもできるが、これに限定されない。
【0026】
この場合、訓練装置20は、訓練者90のリハビリ実施中に内蔵又は外部のセンサ等により検出(測定)された検出データを取得するものとする。尚、検出データは、身体能力情報の一例であり、測定するための複数の指標(例えば、複数のセンサ)の夫々に対応する測定値の集合であってもよい。また、検出データは、測定値と測定時刻や指標が対応付けられたデータである。
【0027】
検出データとしては、主にセンサデータが挙げられる。センサデータは、訓練装置20の各種センサ(不図示)で検出されたセンサ値である。例えば、センサデータは、姿勢センサで検出された体幹の傾斜角度、手摺りセンサで検出された荷重や傾斜角度、角度センサで検出された角度等である。センサデータを出力するセンサは、加速度センサ、角速度センサ、位置センサ、光センサ、トルクセンサ、加重センサ等である。また、訓練装置20が有する各種ワイヤの巻取機構等のモータに設けられたエンコーダをセンサとして用いてもよい。更には、モータのトルクセンサ(ロードセル)をセンサとしてもよいし、モータを駆動する駆動電流値を検出する電流検知部をセンサとしてもよい。
【0028】
また、センサデータは、例えば、視線を検知する視線検知センサで取得された視線データを含むことができる。同様の視線データは、訓練者90の少なくとも目元を撮影した画像に基づき画像処理により視線を検出して得ることや、訓練者90の少なくとも顔を撮影した画像に基づき顔の向き(上向き/下向き等)を判定して得ることもできる。このようなデータも上記の検出データに含むことができる。また、検出データは、訓練者90又は訓練スタッフの音声を取得するマイク等の音声取得部で取得された音声データ、或いはその音声データを音声解析したテキストデータ、或いはそのテキストデータを解析したデータとすることもできる。訓練スタッフの音声には、訓練者90への歩き方の矯正等に関する声掛けを含めることができる。また、センサデータは、脳波計で訓練者90の脳波を検出したデータとすることもでき、脳波計で訓練スタッフの脳波を検出したデータとすることもできる。
【0029】
また、視線検知センサ、上記画像を撮影する撮影部、マイクなどは、訓練装置20の本体側に設けておくことができるが、例えば、訓練者90に装着させるための眼鏡型ウェアラブル端末に設けておくこともできる。この端末にBluetooth(登録商標)等の無線通信方式でデータを無線通信する無線通信部を備えるとともに、訓練装置20側にも無線通信部を備えておけばよい。これにより、訓練装置20は、ウェアラブル端末で取得されたデータを無線通信により取得することができる。脳波計は、検出精度が良いものに限るが、訓練装置20の本体側に設けて、訓練者90の脳波と訓練スタッフの脳波とを区別して検知できるように構成することができる。但し、脳波計は、上述した眼鏡型ウェアブル端末(例えば眼鏡の枝の部分など)など検知対象者に近接する位置になるように設けておくことが好ましい。
【0030】
また、センサ等、検出データを検出するセンサ等は、上述したものに限らない。例えば、訓練者90にウェア型生体センサ及び/又はウェア型タッチセンサが搭載されたウェアを着用させることができる。ここで言うウェアは、上半身に着用するものに限らず、下半身に着用するものであっても上下セットのものであってもよいし、例えば装具等の一部に着用するものであってもよい。また、ウェア及び訓練装置20に、上述したような無線通信部を備えておく。これにより、訓練装置20は、ウェア型生体センサやウェア型タッチセンサで取得されたデータを無線通信により取得することができる。ウェア型生体センサは、着用者の心拍数等のバイタルデータを取得することができる。ウェア型タッチセンサは、着用者である訓練者90が外部からタッチされた情報、つまり訓練スタッフが訓練者90に触れた位置の情報を示すデータを取得することができる。
【0031】
また、検出データは、各種のセンサ等が検出した検出信号が示す値に限らず、複数のセンサからの検出信号に基づき算出した値や、1又は複数のセンサ等からの検出信号を統計処理した統計値を含むことができる。この統計値としては、例えば平均値、最大値、最小値、標準偏差値等の様々な統計値を採用することができ、また、静態統計による統計値であってもよいし、例えば1日、1訓練、1歩行サイクルなどの一定期間での動態統計による統計値であってもよい。
【0032】
例えば、センサデータは、角度センサで検出された上腿フレームと下腿フレームの角度から算出された膝関節の開き角を含むことができる。さらに、角度センサについてのセンサデータは、角度を微分した角速度を含むことができる。加速度センサについてのセンサデータは、加速度を積分した速度や、2回積分した位置であってもよい。
【0033】
このように、各種センサ等の検出部から直接又は間接的に供給されるデータを検出データに含めることができる。また、上記の検出データは、その検出がなされた日時等の時間情報又は時間以外のタイミング情報を付加しておくことができる。
【0034】
なお、上記の検出データは、一例であり、これ以外の検出データがあってもよい。或いは、上記のうちの一部の検出データは無くてもよい。
【0035】
ここで、身体能力情報には、訓練者90が訓練装置20を利用し実行したリハビリについての、訓練者90の症状、身体能力、及び回復度の少なくとも1つを含む指標データを含むことができる。言い換えると、身体能力情報には、訓練者90の症状情報、Br.stage、SIAS、初期歩行FIM、最新の歩行FIM等を含むことができる。尚、身体能力情報には、訓練者90の身体能力を示す様々なデータを含むことができる。
【0036】
また、身体能力情報には、後述する動作レベルを採用してもよい。動作レベルとは、身体動作において訓練者が使用する道具の種別に関する情報と、身体動作の達成度と、を少なくとも利用して設定された身体動作のレベルを示す指標である。
【0037】
さらに、訓練装置20は、上述した身体能力情報に訓練者90の属性や身体情報等の訓練者属性情報を対応付けて内部の記憶装置に記憶するものであってもよい。ここで、訓練者属性情報は、訓練者90の年齢、性別、体格(身長、体重等)等を含むことができる。
【0038】
訓練装置20は、身体能力情報等をネットワークNを介してリハビリ施設装置30へ送信し、リハビリ施設装置30の内部の記憶装置に記憶してもよい。または、訓練装置20は、訓練スタッフ等の操作、検出データの検出、所定の間隔、又は、提示システム10からの取得要求に応じて、当該身体能力情報等をネットワークNを介して提示システム10へ送信してもよい。
【0039】
リハビリ施設装置30は、医療機関等の訓練者90が訓練装置20を用いてリハビリを行う施設、もしくは、当該リハビリの管理を行う施設に設置された、又は、少なくとも当該施設が運用する情報処理装置である。リハビリ施設装置30は、少なくとも身体能力情報等を管理するデータベースシステムである。
【0040】
例えば、リハビリ施設装置30は、訓練装置20からネットワークNを介して取得した身体能力情報及び訓練者属性情報を受信し、身体能力情報と訓練者属性情報を対応付けて内部の記憶装置に記憶する。また、リハビリ施設装置30は、訓練装置20からネットワークNを介して検出データを取得し、指標データ、訓練者属性情報等を医療機関等の電子カルテシステム(不図示)や訓練スタッフの入力により取得してもよい。または、訓練者90が訓練装置20以外により訓練を行った場合には、リハビリ施設装置30は、上記検出データ相当のデータを訓練スタッフの入力により取得してもよい。
【0041】
また、リハビリ施設装置30は、訓練スタッフ等の操作、身体能力情報等の取得、所定の間隔、又は、提示システム10からの取得要求に応じて、当該身体能力情報等をネットワークNを介して提示システム10へ送信してもよい。尚、リハビリ施設装置30の構成は、公知の情報システム等で実現可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
訓練者端末40は、訓練者90や訓練者90の親族、後見人等の関係者を含む訓練者側のユーザが操作する情報処理装置である。訓練者端末40は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。訓練者端末40は、訓練者側のユーザの操作に応じて入力装置を介して居住環境の提示要求を受け付け、ネットワークNを介して提示システム10へ提示要求を送信する。また、訓練者端末40は、ネットワークNを介して提示システム10から、居住環境の提示情報を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行う。
【0043】
提示システム10は、訓練者のリハビリによる訓練後の身体能力に基づいた居住環境を提示する。提示システム10は、例えば、サーバ装置であり、OS(Operating System)上でウェブサーバ、アプリケーションサーバ及びデータベースサーバが実行され、アプリケーションサーバ上で本実施の形態にかかる居住環境提示処理を実現するウェブアプリケーションが実行されているものとする。但し、提示システム10のソフトウェア構成は、これに限定されない。また、提示システム10の構成の詳細は後述する。
【0044】
環境提供者端末51および環境提供者端末52は、環境提供者が所持する情報処理装置である。環境提供者とは、訓練者に対して予め設定された居住環境の提供を行うことができる者をいう。例えば環境提供者は、訓練者の居宅に対して、訓練者の身体能力に応じたリフォームを施工できる者であってもよい。また環境提供者は、訓練者が居宅で日常生活を送る場合に、介護または介助を行うことができる者であってもよい。あるいは、環境提供者は、訓練者が居宅で日常生活を過ごす際に加入する保険を提供するものであってもよい。
【0045】
環境提供者端末51および環境提供者端末52は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。環境提供者端末51および環境提供者端末52は、かかる環境提供者に属するユーザの操作に応じて入力装置を介して居住環境の提示要求等を受け付ける。また環境提供者端末51および環境提供者端末52は、ネットワークNを介して提示システム10へ居住環境に関する種々の情報を送信できる。
【0046】
図2は、本実施形態1にかかる提示システム10の構成を示すブロック図である。提示システム10は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路およびメモリを少なくとも含むコンピュータ装置を含み、ソフトウェアおよびハードウェアの組合せにより後述の機能を実現する。すなわち提示システム10は、本実施の形態にかかる機能を実現するためのプログラムを含む。提示システム10は主な構成として、記憶部11、取得部12、決定部13および出力部14を有している。
【0047】
記憶部11は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。記憶部11は、定義情報111および統計情報112を記憶する。
【0048】
定義情報111は、身体能力に応じた居住環境情報を定義した情報である。すなわち、定義情報111は、身体能力と居住環境とが対応付けられた構成を有する。例えば、定義情報111は、身体能力に関する情報から居住環境に関する情報(居住環境情報)への変換ルールを定めた変換テーブル又は変換マップである。この場合、定義情報111は、複数種類の身体動作に対して身体動作の種類ごとにそれぞれの変換テーブルを含むものであってもよい。また定義情報111は、身体能力に関する情報から居住環境情報への変換を行う変換器、関数、変換アルゴリズム、または、学習済みの変換モデルであってもよい。
【0049】
身体能力に関する情報は、例えば、訓練者90が訓練装置20により訓練を行った際に測定される測定値(訓練の結果)が含まれる。訓練の結果は、例えば、上述した訓練装置20により検出される検出データ、センサデータであり、複数の指標による測定値の集合であってもよい。訓練は、ADLに関連するものであって、例えば食事に関する嚥下訓練、トイレ動作に関する移乗訓練、歩行訓練、体幹バランス訓練等であってもよい。
【0050】
また、身体能力に関する情報は、訓練者90の訓練中又は訓練後の身体能力の指標値、又は、訓練の結果に基づき決定される身体評価値を含むものであってもよい。身体評価値とは、例えば、上述したBr.stage、SIAS、FIM等である。そのため、定義情報111は、身体評価値と居住環境情報とが対応付けられたものであってもよい。
【0051】
また、身体能力に関する情報は、訓練と定義されない日常生活における動作をセンサ等により検出して評価したものであってもよい。この場合例えば、身体能力に関する情報は、訓練者の身体の任意の位置に装着した加速度センサからのデータを取得することにより得られる。
【0052】
居住環境情報は、居住環境の識別情報、製品またはサービスの種別、当該種別内のランク、居住環境の仕様、設置条件、当該居住環境の施工内容、および当該居住環境で行われるサービスの内容の少なくともいずれかを含む。居住環境は、訓練後に訓練者が過ごす居宅における環境である。居住環境は、例えば、手すり、スロープ、(床の段差をなくすための)フローリング、浴室内の手すり等のいわゆるリフォームのための住宅設備、屋外通路、家具、電化製品等が挙げられる。また、居住環境は、介護士、介助人、介護保険、ホームヘルパー、送迎サービス等も含まれ得る。
【0053】
居住環境の識別情報、製品種別、種別内のランク、及び、居住環境の仕様は、例えば、リフォーム業者が管理する設備に関するデータベースから取得したものであってもよい。尚、居住環境のランクとは、同じ種別の居住環境の中での価格、仕様等のグレードの違いを示す情報である。つまり、定義情報111は、同種の居住環境情報における複数のランクごとに異なる身体評価値が対応付けられていてもよい。これにより、単に、「スロープ」といった居住環境を提示するだけでなく、身体評価値に応じて適切なランクの居住環境を提示することができる。
【0054】
設置条件とは、例えば、スロープの長さ、高さ、勾配、角度、設置場所(玄関の外、玄関内等)といった情報である。または、設置条件には、既存の家具の配置を変更することにより車椅子が通り易くなる場合にはその配置情報を含めても良い。設定情報とは、電化製品の設定内容を示す情報である。例えば、電化製品が生活支援ロボット(HSR(Human Support Robot))である場合、設定情報は、訓練者90の身体能力情報5111に適した支援を行うための設定内容となる。また、電化製品がカメラ付きスマートスピーカである場合、設定情報は、ソフトウェアの設定内容となる。また、電化製品がカメラの場合、設定情報は、例えば、転倒検知機能のオンといった設定内容となる。居住環境の施工内容は、例えば、浴室の拡張工事とその工事内容といったことが挙げられる。
【0055】
統計情報112は、他の複数の訓練者が行った訓練に関するデータである。統計情報112は、例えば、所定の訓練者が行った訓練の内容と、当該訓練において訓練者が使用した道具の種別と、行った訓練に伴うその訓練者の身体能力の変化もしくは回復度と、を関連づけたデータが含まれる。身体能力の変化は、上述の身体評価値(Br.stage、SIAS、FIM等)を利用したものであってもよいし、後述する動作レベルを利用したものであってもよい。
【0056】
取得部12は、外部から所定の情報を取得するためのインタフェースを含み、訓練者の第1身体能力情報と計画情報とを取得する。第1身体能力情報は、身体能力の回復を目的とした訓練を行う訓練者の身体能力に関する情報であって、訓練者が所定の訓練を開始する前の訓練者の身体能力を示すものである。計画情報は、訓練者が行う訓練の計画である。
【0057】
決定部13は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等の演算回路を含み所定のプログラムを実行することにより情報処理を行う。具体的には、決定部13は、取得部12から第1身体能力情報と、計画情報と、を受け取り、これらの情報を利用して、計画の終了後における訓練者の身体能力である第2身体能力情報を推定する。第2身体能力情報は、計画の終了後における訓練者の身体能力を示す情報である。決定部13は、予め設定されたアルゴリズムにより、第1身体能力情報にかかる訓練者が計画情報に含まれる訓練を行った結果としての第2身体能力情報を推定する。このとき決定部13は、統計情報112をさらに利用することにより第2身体能力情報を推定することができる。統計情報112を利用することにより、決定部13は、推定する第2身体能力情報の精度の低下を抑制できる。
【0058】
また決定部13は、第2身体能力情報を推定すると、推定した第2身体能力情報と定義情報から、第2身体能力情報に対応する居住環境を決定する。決定部13は、決定した居住環境を含んだ提示情報を生成し、生成した提示情報を、出力部14に供給する。
【0059】
出力部14は、決定部13から受け取った情報を外部に出力するためのインタフェースを含む。出力部14は、決定した居住環境を含んだ提示情報を出力する。このとき例えば出力部14は、ネットワークNを介して、リハビリ施設装置30もしくは訓練者端末40またはその両方に、提示情報を出力する。
【0060】
次に、
図3を参照して、提示システム10が行う処理について説明する。
図3は、実施の形態1にかかる提示システムのフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、例えば本実施の形態にかかるプログラム居住環境提示処理を実現するためのウェブアプリケーションの起動にかかる操作を受け付けることにより開始される。
【0061】
まず、提示システム10は、定義情報111を記憶する(ステップS11)。提示システム10は、ユーザの操作を受け付けることにより定義情報111を取得してもよい。また提示システム10は、ネットワークNを介して、リハビリ施設装置30等から定義情報111を取得してもよい。
【0062】
次に、提示システム10は、第1身体能力情報および計画情報を取得する(ステップS12)。提示システム10は、ユーザの操作を受け付けることにより第1身体能力情報および計画情報を取得してもよい。また提示システム10は、ネットワークNを介して、リハビリ施設装置30等から第1身体能力情報および計画情報を取得してもよい。
【0063】
次に、提示システム10の決定部13は、第2身体能力情報を推定する(ステップS13)。さらに決定部13は、推定した第2身体能力情報に対応する居住環境を決定し(ステップS14)、決定した居住環境を含む提示情報を出力部14に供給する。次に、提示システム10の出力部14は、決定部13から受け取った提示情報を出力する(ステップS15)。
【0064】
次に、定義情報の具体例について説明する。
図4は、実施の形態1にかかる定義情報の第1例を示す図である。
図4の図は、本実施の形態にかかる定義情報111の一例としての変換テーブルである。
図4に示す変換テーブルは、身体能力のうち、歩行に関する定義情報であって、歩行FIMおよびSIASを採用した例を示す。
【0065】
図4の変換テーブルは、左の列において歩行FIMが1から7の値で示されている。また
図4の変換テーブルは、上の行において下肢遠位テストのSIASが0から5の値で示されている。そして、変換テーブルは、歩行FIMとSIASの値の組合せにそれぞれ対応する居住環境情報が、マトリクス状に示されている。
【0066】
例えば、歩行FIMが1または2であって、SIASが0または1の場合には、居住環境情報は集合Aが対応する。集合Aは、歩行FIMの自立度合いが低く、SIASも低い訓練者のために、最も高いランクの居住環境を提供することが示されている。すなわち例えば集合Aは、車椅子、エレベータ、スロープといったものが含まれる。また集合Aは、訓練者を介助するための介助者を派遣する介助サービスが含まれる。
【0067】
また例えば歩行FIMが3であってSIASが0~2、あるいは、歩行FIMが1~3であってSIASが2の場合には、居住環境情報の集合Bが対応する。集合Bは、歩行FIM、SIASが示す自立度合いがAと比べると高い訓練者に対応している。そのため、居住環境情報は、エレベータが除外され、スロープ、手すりは含まれる。またこの場合、スロープのランクが下がる可能性もある。このように、定義情報111は、歩行FIM及びSIASの組合せが示す自立度合いに応じて、居住環境情報の集合のランクが設定される。
【0068】
上述した
図4の変換テーブルは、歩行動作に関する定義情報を示すものであった。しかし、定義情報111は、種々の身体動作に対応した変換テーブルをそれぞれ有してもよい。例えば、FIMの対象となる運動項目には、セルフケア、排泄、移乗、移動といった中項目が含まれ、これら中項目には複数の小項目が含まれる。変換テーブルにかかる居住環境情報は、上述の運動項目ごとに、対応したものが含まれる。例えば、トイレに関する変換テーブルには、トイレ室の手摺り、ポータブルトイレおよび呼び出し装置などが含まれる。また食事に関する変換テーブルには、食事提供サービスや姿勢補助具などが含まれる。このように、提示システム10は、定義情報111を用いて、様々な指標の身体能力情報に対してより適切な居住環境を設定できる。
【0069】
尚、定義情報111は、身体評価値の上昇度合いと居住環境情報5112とが対応付けられていてもよい。例えば、定義情報111に、訓練者90の訓練結果に基づき決定された身体評価値を上昇させるような居住環境情報の定義を含めても良い。
【0070】
次に、
図5を参照して、定義情報の具体例についてさらに説明する。
図5は、実施の形態1にかかる定義情報の第2例を示す図である。
図5の図は、本実施の形態にかかる定義情報111の一例としての変換テーブルである。
図5に示す変換テーブルは、身体能力を動作レベルで定義し、定義した動作レベルと居住環境とを対応づけた例を示す。
【0071】
動作レベルは、身体動作において訓練者が使用する道具の種別に関する情報と、身体動作の達成度と、を少なくとも利用して設定された身体動作のレベルを示す指標である。
図5の表は、身体動作にかかる動作レベルの一例として、動作A3(歩行)に関する動作レベルが示されている。
図5の表の左側の列は、動作A3の動作レベルとして、1から6までの6段階が示されている。また
図5の表には、動作レベルが1から6の場合における動作要件と、達成率Vが示されている。動作要件は、環境、道具および介助の有無が含まれる。身体動作の達成率Vは、例えば訓練者に姿勢検出センサを装着し、装着した姿勢検出センサの信号から判定できる。
【0072】
以下にまず、
図5に示す動作レベルについて説明する。例えば動作レベルが1の場合、訓練者は環境E31において、道具U310および道具U311を使用し、且つ、介助者の介助を受けた状態で、所定の動作を行う。この場合に、動作の達成率Vが50パーセント未満であれば、動作レベルが1となる。また
図5の下から2行目に示すように、上述の動作要件において動作の達成率が50パーセント以上80パーセント未満の場合には、動作レベルが2となる。
【0073】
また動作要件として、環境E31において、道具U310を使用し、且つ、介助者の介助を受けた状態で、所定の動作を行い、動作の達成率Vが50パーセント以上80パーセント未満の場合には、動作レベルが3となる。動作要件として、環境E31において、道具U310を使用し、且つ、介助者の介助を受けない状態で、所定の動作を行い、動作の達成率Vが50パーセント以上80パーセント未満の場合には、動作レベルが4となる。また動作要件として、環境E32において、道具U320を使用し、且つ、介助者の介助を受けない状態で、所定の動作を行い、動作の達成率Vが50パーセント以上80パーセント未満の場合には、動作レベルが5となる。動作要件として、環境E32において、道具U320を使用し、且つ、介助者の介助を受けない状態で、所定の動作を行い、動作の達成率Vが75パーセント以上の場合には、動作レベルが6となる。
【0074】
なお、上述の環境E31および環境E32は、例えば、施設屋内、屋外、傾斜地、階段および手すりの有無等が含まれる。また、上述の道具U310、道具U311および道具U320は、例えば短下肢装具、長下肢装具、T字杖および四脚杖などである。
【0075】
次に、
図5に示す居住環境について説明する。
図5の表の右側の列には、居住環境が示されている。居住環境は、動作レベルの値のそれぞれに対応して、「A」から「E」までがそれぞれ示されている。例えば、動作レベルが1の場合には、居住環境を示す集合Aが対応する。動作レベルが2の場合には、集合Bが対応する。同様に動作レベルが3、4、5および6の場合には、集合C、D、EおよびEがそれぞれ対応する。
【0076】
ここで、例えば動作レベル1に対応する集合Aは、歩行の動作レベルが低い訓練者のために、最も高いランクの居住環境を提供することが示されている。すなわち例えば集合Aは、車椅子、エレベータ、スロープといったものが含まれる。また集合Aは、訓練者を介助するための介助者を派遣する介助サービスが含まれる。
【0077】
また例えば動作レベル2に対応する集合Bは、動作レベル1よりも相対的に歩行の動作レベルが高い訓練者に対応している。そのため、居住環境情報は、エレベータが除外され、スロープ、手すりは含まれる。またこの場合、スロープのランクが下がる可能性もある。このように、定義情報111は、動作の種別およびその動作レベルに応じて、居住環境情報の集合のランクが設定される。
【0078】
以上、動作レベルを採用した場合の定義情報111について説明した。動作レベルは、主観的な判断によるものではなく、客観的なデータにより構成される。提示システム10は、このような動作レベルを利用することにより、ユーザから訓練者の動作レベルに関する情報を受け取る。これによりユーザは簡便に訓練者の身体能力に関する情報を入力できる。
【0079】
次に、
図6を参照して統計情報について説明する。
図6は、実施の形態1にかかる統計情報を示す図である。
図6の表は、統計情報に含まれるN番目のサンプルである実績サンプルNを抽出して示したものである。実績サンプルNは、統計情報を構成する1つのサンプルデータである。すなわち統計情報は、
図6の表に示すような実績サンプルを複数含む。実績サンプルNは、所定の訓練者が行った訓練の内容と、行った訓練に伴うその訓練者の身体動作の回復度と、を関連づけた情報が含まれる。
【0080】
図6の表は、上の行に、実績サンプルNであることが示されている。また
図6の表は、上から2行目に、動作レベルの推移が示される。動作レベルの推移は、実績サンプルNにおける訓練者の実績としての動作レベルである。動作レベルは、身体動作の種類毎に、所定の期間に区切って示されている。ここで期間W1は、例えば1週間を1つの単位とした期間である。すなわち、期間W1は、第1週目であり、期間W2は第2週目であり、期間Wxは第x週目を意味している。
図6に示す例は、動作A1、動作A2および動作A3の3種類の身体動作についての動作レベルの推移が示されている。動作A1、動作A2および動作A3に採用される動作は、ADLにおける訓練者の身体動作であり、例えば食事、トイレ、移乗、歩行などが該当する。すなわち
図6に示す例は、動作A1、動作A2および動作A3の3種類の身体動作に関する機能回復訓練を行った実績に関する情報である。なお、説明の便宜上、期間W3から期間Wx
-1および、訓練の詳細の一部の欄は省略して示されている。以下同様の表においては、同様の省略が施される場合がある。
【0081】
例えば、実績サンプルNにかかる訓練者の、訓練前における動作A1の動作レベルは2であった。訓練者は、訓練を行うことにより、期間W1終了後に動作A1の動作レベルが4になり、期間W2終了後に動作A1の動作レベルは4を維持し、期間Wx終了後には、動作レベルが6になっている。また例えば、実績サンプルNにかかる訓練者の、訓練前における動作A1、動作A2および動作A3を合計した総合スコアは4であった。訓練者は、訓練を行うことにより、期間W1終了後に総合スコアが9になり、期間W2終了後に総合スコアが10になり、期間Wx終了後には、総合スコアが14になっている。
【0082】
動作レベルの推移の下には、それぞれの期間において行った訓練の詳細が示されている。訓練の詳細には、訓練の内容、訓練で使用された道具、担当した療法士の種別および施行単位(時間)が示されている。ここで、施行単位とは、行われる訓練の時間を示すものであり、例えば1単位が30分として設定されている。
【0083】
図6の表に示す実績サンプルNにおいて、試験前の訓練者の総合スコアは4である。また期間W1終了後の実績レベルは8である。期間W1は、例えば訓練T11と訓練T22が行われている。期間W1に行われた訓練T11は、道具U110が用いられ、療法士であるST(Speech Therapist)すなわち言語療法士が担当し、3単位(すなわち90分)行われたことが、
図6の表に示されている。また
図6の表において期間W1に行われた訓練T22は、道具U210が用いられ、担当する療法士はOT(Occupational Therapist)すなわち作業療法士であり、施行単位は1単位であったことが示されている。
【0084】
同様に、
図6の表に示す実績サンプルNは、期間W2終了後の総合スコアが10であることが示されている。
図6の表によれば、期間W2には、訓練T12と訓練T32が行われている。期間W2の訓練T12は、道具U110が用いられ、担当療法士はSTであり、施行単位は1単位であった。期間W2の訓練T32は、道具U320が用いられ、担当療法士はPT(Physical Therapist)すなわち理学療法士であり、施行単位は3単位であった。さらに、
図6の表によれば、期間Wxには、訓練T22と訓練T32が行われている。期間Wxの訓練T22は、道具U220が用いられ、担当療法士はOTであり、施行単位は1単位であった。期間Wxの訓練T32は、道具U321が用いられ、担当療法士はPTであり、施行単位は2単位であった。
【0085】
上述のように、実績サンプルは、所定の訓練者が行った訓練について、使用した道具や担当した療法士、あるいは身体動作の動作レベルの推移が含まれる。身体動作の動作レベルの推移は、訓練者の回復度を示しているということもできる。決定部13は、このような実績サンプルを複数含む統計情報を利用して、第2身体能力情報を推定する。
【0086】
次に、
図7を参照して取得部12が取得する情報について説明する。
図7は、実施の形態1にかかる取得部が取得する情報の例を示す図である。
図7に示す表は、訓練者の動作レベル、訓練者が行う訓練の内容および居住環境情報の関係を示すものである。
図7の表は、第1フィールドF11、第2フィールドF12および第3フィールドF13を有している。
図7の表は、提示システム10において取得部12が第1身体能力情報と計画情報とを取得した状態を示す。
【0087】
第1フィールドF11は、訓練前における訓練者の動作レベルを示す。すなわち第1フィールドF11に含まれる情報は、訓練者の訓練開始前の第1身体能力情報である。
図7に示す第1フィールドF11には、動作A1、動作A2および動作A3の動作レベルがそれぞれ示されている。また第1フィールドF11には、動作A1、動作A2および動作A3の動作レベルを合計した総合スコアも示されている。具体的には、
図7の表に示された例によれば、訓練者の訓練前における動作A1の動作レベルは2であり、動作A2および動作A3の動作レベルはそれぞれ1である。
【0088】
第2フィールドF12は、訓練者が行う訓練計画を示す。訓練計画には、例えば訓練内容、訓練で使用される道具の種類、担当する療法士の種別および施行単位が含まれる。すなわち訓練計画には、
図6に示した統計情報に対応した項目が含まれる。これにより決定部13は、第2フィールドF12に含まれる情報を利用して、第2身体能力情報を推定できる。
【0089】
取得部12は、例えばユーザが提示システム10に対して入力することにより、上述の第1フィールドF11および第2フィールドF12に示されている情報を取得できる。または、取得部12は、例えばリハビリ施設装置30からネットワークNを介して、上述の第1フィールドF11および第2フィールドF12に示されている情報を取得してもよい。
【0090】
図7の表における第3フィールドF13は、上述の第1フィールドF11に示された第1身体能力情報および第2フィールドF12に示された訓練計画に対応した情報が示される部分である。取得部12が
図7に示す第1身体能力情報と計画情報を取得すると、決定部13は、取得部12が取得したこれらの情報を利用して、第2身体能力情報を推定し、さらに推定した第2身体能力情報に対応した居住環境情報を決定する。すなわち、決定部13は、第3フィールドF13に対応する情報を生成する。なお、
図7の表は、取得部12が第1身体能力情報および訓練計画を取得した直後の状態を示す。よって、第3フィールドF13は、空の状態となっている。
【0091】
図8は、実施の形態1にかかる提示情報の例を示す図である。
図8は、
図7において取得された第1身体能力情報および訓練計画から、決定部13が第3フィールドF13に対応する情報を生成した状態を示している。決定部13は、訓練の期間に対応した動作レベルの推定値を生成する。例えば、決定部13は、期間W1の終了時における訓練者の動作レベルとして、動作A1が4、動作A2が2、動作A3が1であることを推定している。また決定部13は、期間W2の終了時における訓練者の動作レベルとして、動作A1が4、動作A2が2、動作A3が3であることを推定している。さらに決定部13は、期間W5の終了時における訓練者の動作レベルとして、動作A1が6、動作A2が3、動作A3が4であることを推定している。
【0092】
さらに決定部13は、推定した動作レベルに対応する居住環境を決定する。第3フィールドF13の右の列は、決定部13が決定した居住環境情報である。例えば、動作A1が食事であった場合について説明する。期間W5終了後の動作A1に対応する居住環境は集合Eである。ここで、例えばA1の動作レベル6に対応する集合Eは、食事の動作レベルが高い訓練者のために、最も低いランクの居住環境を提供することが示されている。すなわち例えば集合Eは、例えば食事の宅配サービスが含まれる。
【0093】
以上、実施の形態1について説明したが、実施の形態1にかかる提示システム10は、上述の構成に限られない。例えば、提示システム10において、取得部12は、訓練者のプロファイル情報を併せて受け付けるものであってもよい。訓練者のプロファイル情報の一例は、訓練者の属性を示す情報である。訓練者の属性を示す情報は、例えば訓練者の年齢、性別、体格(身長、体重等)、体調の状態を示す情報が含まれる。
図1に示した環境提供者端末は、説明を容易にするための一例であって、居住環境の提供者は1以上であれば数は問わない。
【0094】
訓練者のプロファイル情報の別の一例は、訓練者が罹患した疾患の症状情報である。症状情報は、脳卒中(脳血管障害)、脊髄損傷など、罹患した病気のタイプ(病名又は疾患名)とともにその部位(損傷部位)を含むことができ、タイプによってはその分類を含むことができる。例えば、脳卒中は、脳梗塞、頭蓋内出血(脳出血/くも膜下出血)などに分類されることができる。また、症状情報には、上述の疾患の初期症状、発症時期、および現在の症状を示す情報を含むことができる。症状情報には、主にここに含まれる症状のために訓練者がリハビリを必要としたと捉えることができる情報に加えて、リハビリとは直接関係なさそうな症状についても含めることができる。
【0095】
このような訓練者のプロファイル情報を取得することにより、提示システム10の決定部13は、訓練者のプロファイルも利用して、第2身体能力情報を推定する。これにより提示システム10は、推定する第2身体能力情報の精度を向上させることができる。
【0096】
なお、記憶部11は、居住環境の提供者に関する提供者情報をさらに記憶してもよい。提供者情報は、ネットワークNを介して、環境提供者端末51および環境提供者端末52から供給されてもよい。この場合、出力部14は、決定した居住環境に関連する提供者情報を含んだ提示情報を出力する。
【0097】
また、取得部12が取得する訓練計画は、外部から入力されるのに代えて、提示システム10自身が第1身体能力情報および統計情報から訓練計画を生成することにより取得してもよい。
【0098】
上述の構成により提示システム10は、訓練者の身体能力に応じた好適な居住環境を提示できる。よって、実施の形態1によれば、訓練者の負担の増加を抑制した提示システム等を提供できる。
【0099】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、記憶部が提示情報113および準備情報をさらに記憶している点において、実施の形態1と異なる。また実施の形態2は、提示システムが、準備情報に対応して、居住環境の準備開始に関する通知を行う点が、実施の形態1と異なる。
【0100】
図14は、実施の形態2にかかる提示システムのブロック図である。
図9に示す提示システム10Bは、記憶部11に、提示情報113および準備情報114を記憶している。
【0101】
提示情報113は、決定部13が第2身体能力情報を推定し、推定した第2身体能力情報から居住環境情報を決定した場合に生成されるものである。すなわち、提示システム10Bは、提示情報を出力すると共に、出力にかかる提示情報を記憶部11に記憶する。なお、提示情報を生成する前においては、提示システム10Bは提示情報を有していないともいえる。
図9に示す提示情報113は、提示情報を記憶する領域に含まれる情報であって、例えば、提示システム10Bが出力した提示情報を有していない、という情報も含まれる。
【0102】
準備情報は、居住環境を準備するための準備期間に関する情報である。準備情報は、定義情報に含まれる居住環境情報に連関し、それぞれの居住環境を、訓練者の居宅に提供するために必要な準備期間の情報が含まれる。例えば、居住環境情報に車椅子が含まれる場合に、準備情報には、車椅子の手配をするのに必要な期間が含まれる。また例えば、居住環境情報にサービス介助士が含まれる場合に、準備情報には、サービス介助士を適切なタイミングで依頼するための準備期間が含まれる。また例えば、居住環境情報に手摺りが含まれる場合に、準備情報には、居宅をリフォームして手摺りを追加するための準備期間が含まれる。記憶部11は、決定部13の要求に応じて、準備情報114を決定部13に供給する。
【0103】
本実施の形態における決定部13は、第2身体能力情報を推定し、さらに居住環境情報を決定すると、取得した訓練計画の終了時から提示情報に含まれる居住環境の準備期間を遡った時点に居住環境の準備開始に関する通知を行うことを決定する。
【0104】
次に、
図10を参照して、本実施の形態にかかる処理について説明する。
図10は、実施の形態2にかかる提示システムのフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、例えば提示システム10Bにおいて、例えば毎日の決められた時刻に開始されるように設定される。
【0105】
まず、提示システム10Bは、提示情報を記憶しているか否かを判定する(ステップS21)。提示システム10Bが提示情報を記憶していない場合(ステップS21:No)、提示システム10Bは、処理を終了する。一方、提示システム10Bが提示情報を記憶している場合(ステップS21:Yes)、提示システム10Bは、ステップS22に進む。
【0106】
ステップS22において、提示システム10Bは、未通知の準備情報があるか否かを判定する(ステップS22)。未通知の準備情報があると判定しない場合(ステップS22:No)、提示システム10Bは、処理を終了する。一方、未通知の準備情報があると判定する場合(ステップS22:Yes)、提示システム10Bは、ステップS23に進む。
【0107】
ステップS23において、提示システム10Bは、未通知の準備情報が通知期間を経過したか否かを判定する。例えば、居住環境情報における未通知の準備期間をTthとし、訓練終了時からこの処理を行っている時点までの期間をTxとした場合に、提示システム10Bは、TxがTth以下であるか否かを判定する(ステップS23)。TxがTth以下であると判定しない場合(ステップS23:No)、未通知の準備情報は存在するものの、通知するタイミングは到来していない。そのためこの場合、提示システム10Bは、処理を終了する。
【0108】
一方、TxがTth以下であると判定する場合(ステップS23:Yes)、未通知の準備情報は存在し、かつ、通知するタイミングが到来していることとなる。そのためこの場合、提示システム10Bは、準備開始に関する通知を行うことを決定する(ステップS24)。そして居住環境情報に関する通知を行うと、提示システム10Bは処理を終了する。
【0109】
図11を参照して、準備情報を通知する処理についてさらに説明する。
図11は、実施の形態2にかかる提示システムのタイミングチャートである。
図11に示すタイミングチャートは、横軸が時間(あるいは日にちの経過)を示している。横軸の上に示された帯状の矩形は、それぞれ期間を示す。所定の日にちt0から日にちt3に亘り示された帯状の期間P10は、訓練者が行う訓練期間を示している。すなわち訓練者は、例えばリハビリ施設において、日にちt0から日にちt3までの期間は訓練を行う。すなわち訓練者は、日にちt3から後は居宅で生活を始めることとなる。期間P10の上に示されている期間P11および期間P12は、それぞれ所定の居住環境情報の準備期間を示す。
【0110】
よって、決定部13は、例えば訓練の終了時である日にちt3から、提示情報に含まれる居住環境の準備期間である期間P11を遡った時点である日にちt1に、準備期間として期間P11を要する居住環境に対する準備を開始するタイミングであることを通知する。同様に、決定部13は、日にちt3から、提示情報に含まれる居住環境の準備期間である期間P12を遡った時点である日にちt2に、準備期間として期間P12を要する居住環境に対する準備を開始するタイミングであることを通知する。
【0111】
なお、上述の提示システム10Bにおいて、記憶部11は、提示情報を記憶し、取得部12は、訓練の計画に対する進捗情報を適時取得し、決定部13は、進捗情報に応じて第2身体能力情報を更新してもよい。また決定部13は、更新された第2身体能力情報に応じて居住環境を更新するものであってもよい。これにより提示システムは、柔軟に居住環境情報を提示できる。
【0112】
また上記提示システム10Bにおいて、記憶部11は、提示情報を記憶し、決定部13は、計画情報が更新された場合には、更新された計画情報に応じて第2身体能力情報を更新し、更新された第2身体能力情報に応じて居住環境を更新するものであってもよい。これにより提示システムは、柔軟に居住環境情報を提示できる。
【0113】
以上、実施の形態2について説明した。実施の形態2にかかる提示システム10Bは、訓練の進捗状況に応じて、適時、準備情報にかかる通知を出力する。これにより、実施の形態2によれば、訓練終了時点を見据えた好適なタイミングで居住環境を整えることができる。よって実施の形態2によれば、訓練者の負担の増加を抑制した提示システム等を提供できる。
【0114】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、提示システムが指示受付部および送信部を有している点が、上述の実施の形態と異なる。
【0115】
図12は、実施の形態3にかかる提示システムのブロック図である。
図12に示す提示システム10Cは、指示受付部15および送信部16を有している点が、実施の形態2にかかる提示システム10Bと異なる。
【0116】
指示受付部15は、居住環境を提供する提供者を選択する指示を受け付ける。指示受付部15は、例えば訓練者端末40からネットワークNを介してかかる指示を受け付ける。かかる指示は、例えば、出力部14が提示情報を出力した後に、出力した提示情報にかかる提供者を選択する指示として受け付ける。ユーザはかかる指示をすることにより、居住環境情報に含まれる居住環境の準備を開始するための連絡を、提供者に送信できる。あるいは、選択情報は、居住環境を整えるための注文の指示であってもよい。
【0117】
送信部16は、指示受付部15が受け付けた選択にかかる提供者に対して選択に関する選択情報を送信する。送信部16は、ネットワークNを介して、選択情報を環境提供者端末51および環境提供者端末52の少なくともいずれか1つに送信できる。選択情報を受け取った提供者は、提供者が携わる分野に関する連絡を受けたことを認識できる。
【0118】
図13は、実施の形態3にかかる提示システムのフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、ステップS11からステップS15までが、
図3に示したフローチャートと同じであり、ステップS15から後の処理が
図3に示したフローチャートと異なる。
【0119】
ステップS15において提示情報を出力した後に、提示システム10Cは、ユーザから選択指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS31)。ユーザから選択指示を受け付けたと判定しない場合(ステップS31:No)、提示システムは、処理を終了する。一方、ユーザから選択指示を受け付けたと判定する場合(ステップS31:Yes)、提示システムは、受け付けた指示に応じて、選択情報を環境提供者端末51または環境提供者端末52に送信する(ステップS32)。
【0120】
以上、実施の形態3について説明した。このような構成により提示システム10Cは、タイムリーに居住環境を準備するための情報を提示できる。そのため、提示システム10Cを利用することにより、訓練者は、訓練終了後の生活をスムーズに整えることができる。よって、実施の形態3によれば、訓練者の負担の増加を抑制した提示システム等を提供できる。
【0121】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
10、10B、10C 提示システム
11 記憶部
12 取得部
13 決定部
14 出力部
15 指示受付部
16 送信部
111 定義情報
112 統計情報
113 提示情報
114 準備情報