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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230926BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20230926BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20230926BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/528
H01M50/531
H01M50/466
H01M50/477
H01M50/474
H01M50/184 A
H01M50/186
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020152872
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047130
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 学
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-130370(JP,A)
【文献】特開平09-017441(JP,A)
【文献】特開平10-079254(JP,A)
【文献】特開2016-110856(JP,A)
【文献】特開2012-109124(JP,A)
【文献】特開2020-092003(JP,A)
【文献】特開2014-035998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0583
H01M 50/528-50/531
H01M 50/466
H01M 50/474-50/477
H01M 50/183-50/186
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が互いに並列となるように接続された電池モジュールであって、
第1主面及び第2主面を有する正極集電体と、前記正極集電体の前記第1主面に設けられた第1正極活物質層と、前記正極集電体の前記第2主面に設けられた第2正極活物質層と、を有する正極部材と、
第1主面及び第2主面を有する負極集電体と、前記負極集電体の前記第1主面に設けられた第1負極活物質層と、前記負極集電体の前記第2主面に設けられた第2負極活物質層と、を有する負極部材と、
前記正極部材と前記負極部材との間に配置されたセパレータと、を備え、
前記正極集電体は、前記第1正極活物質層と前記第2正極活物質層とが前記第1正極活物質層の厚み方向に並ぶように当該正極集電体が折り返された正極折返し部を有し、
前記負極集電体は、前記第1負極活物質層と前記第2負極活物質層とが前記第1負極活物質層の厚み方向に並ぶように当該負極集電体が折り返された負極折返し部を有し、
前記第2正極活物質層は、前記正極集電体の前記正極折返し部が折り返されていない状態において前記正極集電体のうち当該正極集電体の厚み方向に前記第1正極活物質層と重ならない部位に設けられており、
前記第2負極活物質層は、前記負極集電体の前記負極折返し部が折り返されていない状態において前記負極集電体のうち当該負極集電体の厚み方向に前記第1負極活物質層と重ならない部位に設けられており、
前記第1負極活物質層は、前記第1正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第1正極活物質層とともに第1電極を構成しており、
前記第2負極活物質層は、前記第2正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第2正極活物質層とともに前記第1電極に並列接続された第2電極を構成しており、
前記負極折返し部は、前記第1電極及び前記第2電極を基準として前記正極折返し部が形成された側と反対側に形成されており、
前記セパレータは、
前記第1正極活物質層と前記第1負極活物質層との間に介在する第1介在部と、
前記第2正極活物質層と前記第2負極活物質層との間に介在する第2介在部と、
前記第1電極及び前記第2電極間を通るとともに前記第1介在部と前記第2介在部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、
前記第1電極及び前記第2電極間を通過する通過要素と、
前記第1負極活物質層と前記正極折返し部との間で折り返されており、前記第1介在部と前記通過要素とを連結する第1折返し要素と、
前記第2正極活物質層と前記負極折返し部との間で折り返されており、前記第2介在部と前記通過要素とを連結する第2折返し要素と、を有する、電池モジュール。
【請求項2】
絶縁体からなる枠部材をさらに備える、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記正極折返し部は、前記枠部材に固定されている、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記負極折返し部は、前記枠部材に固定されている、請求項2又は3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記セパレータの端部は、前記枠部材に固定されている、請求項2から4のいずれかに記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2020-24827号公報には、バイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、電極積層体を取り囲む枠対と、を備えるバイポーラ電池が開示されている。バイポーラ電極は、集電体と、集電体の一方面に形成された正極活物質からなる正極と、集電体の他方面に形成された負極活物質からなる負極と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-24827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2020-24827号公報に記載されるバイポーラ電池では、所定の搭載面積内において、容量の増大と出力の向上とを両立することが困難である。例えば、上記バイポーラ電池において、バイポーラ電極の積層数を増やす(厚みを増やす)ことにより、容量は増大するものの、内部抵抗の増大に起因して出力が低下する。一方、各活物質層の厚みを低減することにより、抵抗が低減されるため、出力は向上するものの、容量が低下する。
【0005】
本開示の目的は、所定の搭載面積において、容量を増大と出力の向上とを達成可能な電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った電池モジュールは、複数の電極が互いに並列となるように接続された電池モジュールであって、正極集電体と、前記正極集電体に設けられた第1正極活物質層と、前記正極集電体に設けられた第2正極活物質層と、を有する正極部材と、負極集電体と、前記負極集電体に設けられた第1負極活物質層と、前記負極集電体に設けられた第2負極活物質層と、を有する負極部材と、前記正極部材と前記負極部材との間に配置されたセパレータと、を備え、前記正極集電体は、前記第1正極活物質層と前記第2正極活物質層とが前記第1正極活物質層の厚み方向に並ぶように当該正極集電体が折り返された正極折返し部を有し、前記負極集電体は、前記第1負極活物質層と前記第2負極活物質層とが前記第1負極活物質層の厚み方向に並ぶように当該負極集電体が折り返された負極折返し部を有し、前記第1負極活物質層は、前記第1正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第1正極活物質層とともに第1電極を構成しており、前記第2負極活物質層は、前記第2正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第2正極活物質層とともに前記第1電極に並列接続された第2電極を構成しており、前記セパレータは、前記第1正極活物質層と前記第1負極活物質層との間に介在する第1介在部と、前記第2正極活物質層と前記第2負極活物質層との間に介在する第2介在部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、所定の搭載面積において、容量を増大と出力の向上とを達成可能な電池モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態の電池モジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図2】正極部材及び負極部材の構成を概略的に示す断面図である。
図3】正極部材及び負極部材の積層工程を概略的に示す図である。
図4】正極部材に枠部材を配置する工程を示す斜視図である。
図5】正極部材に枠部材を配置する工程を示す斜視図である。
図6】正極部材に枠部材を配置する工程を示す斜視図である。
図7】正極部材上にセパレータが配置された状態を示す斜視図である。
図8】セパレータ上に負極部材を配置する工程を示す斜視図である。
図9】セパレータ及び正極部材が折り返された状態を示す斜視図である。
図10】セパレータ及び負極部材が折り返された状態を示す斜視図である。
図11】比較例の回路構成を概略的に示す図である。
図12】比較例の回路構成を概略的に示す図である。
図13】本開示の第2実施形態の電池モジュールの正極部材及び負極部材の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態の電池モジュールの構成を概略的に示す断面図である。図2は、正極部材及び負極部材の構成を概略的に示す断面図である。この電池モジュール1は、例えば、車両のフロアの下面に搭載される。
【0011】
図1及び図2に示されるように、電池モジュール1は、正極部材10と、負極部材20と、セパレータ30と、枠部材40と、正極集電板51と、負極集電板52と、絶縁部材60と、拘束プレート70と、拘束部材80と、を備えている。この電池モジュール1では、複数の電極が互いに並列に接続されている。なお、図1では、セパレータ30、枠部材40の図示は省略されている。
【0012】
図2に示されるように、正極部材10は、正極集電体12と、第1正極活物質層14と、第2正極活物質層16と、を有している。正極部材10は、図2における紙面奥行き方向に長く伸びる形状を有している。
【0013】
正極集電体12は、薄い膜状に形成されている。本実施形態では、正極集電体12は、アルミ箔で構成されている。正極集電体12は、第1主面12S1と、第1主面12S1と反対側の第2主面12S2と、を有している。
【0014】
第1正極活物質層14は、正極集電体12に設けられている。本実施形態では、第1正極活物質層14は、正極集電体12の第1主面12S1に設けられている。第1正極活物質層14は、第1主面12S1に正極活物質が塗工されることにより形成される。
【0015】
第2正極活物質層16は、正極集電体12に設けられている。本実施形態では、第2正極活物質層16は、正極集電体12の第2主面12S2のうち第1正極活物質層14の厚み方向に第1正極活物質層14と重ならない部位に設けられている。第2正極活物質層16は、第2主面12S2に正極活物質が塗工されることにより形成される。第2正極活物質層16の厚みは、第1正極活物質層14の厚みと同じに設定されている。
【0016】
図2に示されるように、正極集電体12は、正極折返し部12aを有している。正極折返し部12aは、第1正極活物質層14と第2正極活物質層16とが第1正極活物質層14の厚み方向に並ぶように正極集電体12が折り返された部位である。
【0017】
正極集電板51は、正極集電体12の第2主面12S2のうち厚み方向に第1正極活物質層14と重なる部位に接続されている。
【0018】
負極部材20は、負極集電体22と、第1負極活物質層24と、第2負極活物質層26と、を有している。負極部材20は、図2における紙面奥行き方向に長く伸びる形状を有している。
【0019】
負極集電体22は、薄い膜状に形成されている。本実施形態では、負極集電体22は、銅箔で構成されている。負極集電体22は、第1主面22S1と、第1主面22S1と反対側の第2主面22S2と、を有している。
【0020】
第1負極活物質層24は、負極集電体22に設けられている。本実施形態では、第1負極活物質層24は、負極集電体22の第1主面22S1に設けられている。第1負極活物質層24は、第1主面22S1に負活物質が塗工されることにより形成される。第1負極活物質層24の厚みは、第1正極活物質層14の厚みと同じに設定されている。第1負極活物質層24は、第1正極活物質層14と対向するように配置されることによって第1正極活物質層14とともに第1電極E1を構成している。
【0021】
第2負極活物質層26は、負極集電体22に設けられている。本実施形態では、第2負極活物質層26は、負極集電体22の第2主面22S2のうち第1負極活物質層24の厚み方向に第1負極活物質層24と重ならない部位に設けられている。第2負極活物質層26は、第2主面22S2に負極活物質が塗工されることにより形成される。第2負極活物質層26の厚みは、第1負極活物質層24の厚みと同じに設定されている。第2負極活物質層26は、第2正極活物質層16と対向するように配置されることによって第2正極活物質層16とともに前記第1電極E1に並列接続された第2電極E2を構成している。
【0022】
図2に示されるように、負極集電体22は、負極折返し部22aを有している。負極折返し部22aは、第1負極活物質層24と第2負極活物質層26とが第1負極活物質層24の厚み方向に並ぶように負極集電体22が折り返された部位である。
【0023】
負極集電板52は、負極集電体22の第1主面22S1のうち厚み方向に第2負極活物質層26と重なる部位に接続されている。
【0024】
図1に示されるように、正極集電板51及び負極集電板52は、絶縁部材60を介して各電極E1,E2の積層方向における両側から拘束プレート70で拘束されている。拘束部材80は、拘束プレート70を締め付けている。本実施形態では、拘束部材80としてボルトが用いられている。
【0025】
セパレータ30は、正極部材10と負極部材20との間に配置されている。セパレータ30は、シート状に形成されている。セパレータ30は、多孔質フィルムや不織布等で形成されている。セパレータ30は、第1介在部31と、第2介在部32と、連結部33と、を有している。
【0026】
第1介在部31は、第1正極活物質層14と第1負極活物質層24との間に介在している。
【0027】
第2介在部32は、第2正極活物質層16と第2負極活物質層26との間に介在している。
【0028】
連結部33は、第1介在部31と第2介在部32とを連結している。連結部33は、第1電極E1及び第2電極E2間を通るように配置されている。具体的に、連結部33は、負極集電体22の第2主面22S2と正極集電体12の第1主面12S1との間を通るとともに、第1介在部31と第2介在部32とを連結している。
【0029】
枠部材40は、合成樹脂等の絶縁体からなる。枠部材40は、環状に形成されている。枠部材40は、第1枠部41と、第2枠部42と、を有している。
【0030】
第1枠部41は、第1正極活物質層14と第1負極活物質層24とが互いに対向する方向(各電極の積層方向)と直交する直交方向における一方側に配置されている。第1枠部41は、前記積層方向及び前記直交方向の双方に直交する方向に沿って延びる形状を有している。
【0031】
第2枠部42は、前記直交方向における他方側に配置されている。第2枠部42は、第1枠部41と対向している。第2枠部42は、前記積層方向及び前記直交方向の双方に直交する方向に沿って延びる形状を有している。
【0032】
図2に示されるように、正極集電体12の一端部12bは、第1枠部41に固定されている。この一端部12bには、電圧検出のため、Ni等からなるプレート91と、基板(例えばフレキシブルプリント基板)92と、が接続されている。正極折返し部12aは、第2枠部42に固定されている。
【0033】
負極集電体22の一端部22bは、第2枠部42に固定されている。負極折返し部22aは、第1枠部41に固定されている。
【0034】
セパレータ30の一端部30aは、第1枠部41に固定されている。より詳細には、前記一端部30aは、第1枠部41のうち正極集電体12の一端部12bと負極折返し部22aとの間の部位に固定されている。セパレータ30の他端部30bは、第2枠部42に固定されている。より詳細には、前記他端部30bは、第1枠部41のうち正極折返し部12aと負極集電体22の一端部22bとの間の部位に固定されている。
【0035】
次に、図3を参照しながら、正極部材10及び負極部材20の積層工程について説明する。
【0036】
まず、第1正極活物質層14と第1負極活物質層24とが第1介在部31を介して互いに対向するように配置される。これにより、第1正極活物質層14と第1負極活物質層24とによって第1電極E1が構成される。
【0037】
そして、図3において矢印AR31で示されるように、セパレータ30が負極集電体22の第2主面22S2と対向するように当該セパレータ30が折り返されるとともに、第2正極活物質層16が前記厚み方向に第1正極活物質層14と重なるように正極集電体12が折り返される。
【0038】
その後、図3において矢印AR32で示されるように、セパレータ30が第2正極活物質層16と対向するように正極集電体12が折り返されるとともに、第2負極活物質層26が第2介在部32を介して第2正極活物質層16と対向するように負極集電体22が折り返される。これにより、第2正極活物質層16と第2負極活物質層26とによって第2電極E2が構成される。
【0039】
続いて、図4図10を参照しながら、正極部材10及び負極部材20の積層工程をより詳細に説明する。なお、図4図10では、枠部材40の一部は省略されている。
【0040】
まず、図4に示されるように、正極集電体12の第1主面12S1のうち第1正極活物質層14の周囲に枠部材40の一部が載置される。なお、正極集電体12は、枠部材40に干渉するのを避けるための切欠き12cを有している。
【0041】
次に、図5において矢印AR51で示されるように、正極集電体12が折り曲げられるとともに、矢印AR52で示されるように、第1枠部41が枠部材40のうち第1枠部41以外の部位に接続される。これにより、枠部材40が環状となる。
【0042】
その後、図6において矢印AR61で示されるように、正極集電体12が第1枠部41上に重なるように折り曲げられた後、図7に示されるように、正極部材10上にセパレータ30が載置される。
【0043】
そして、図8において矢印AR81で示されるように、第1負極活物質層24が第1介在部31を介して第1正極活物質層14と対向するように負極部材20が載置される。これにより、第1正極活物質層14と第1負極活物質層24とによって第1電極E1が構成される。
【0044】
その後、図8において矢印AR82で示されるように、セパレータ30が第2負極活物質層26上に積層されるようにセパレータ30が折り返されるとともに、第2正極活物質層16が第1負極活物質層24と重なるように正極集電体12が折り返される。
【0045】
続いて、図9において矢印AR91で示されるように、第2介在部32が第2正極活物質層16上に重なるようにセパレータ30が折り返されるとともに、第2負極活物質層26が第2介在部32を介して第2正極活物質層16と対向するように負極集電体22が折り返される。これにより、第2正極活物質層16と第2負極活物質層26とによって第2電極E2が構成される。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態の電池モジュール1では、第1正極活物質層14及び第1負極活物質層24により構成される第1電極E1と、第2正極活物質層16及び第2負極活物質層26により構成される第2電極E2と、が互いに並列となるように接続されているため、各電極E1,E2が直列に接続される場合に比べて出力が向上する。さらに、第1電極E1及び第2電極E2は、第1正極活物質層14と第2正極活物質層16とが互いに対向する方向に積層されているため、搭載面積の拡大が抑制される。よって、この電池モジュール1では、所定の搭載面積内において、容量の増大と出力の向上との双方が達成される。
【0047】
ここで、図11及び図12を参照しながら、本実施形態に対する比較例の構造について説明する。
【0048】
図11は、従来構造のバイポーラ電池が並列に接続された場合の回路図である。このようにバイポーラ電池101,102が並列接続された場合、各バイポーラ電池101,102における通電抵抗差に起因して、互いに等電位となるべき部分間に例えば10%程度の電位差が生じる場合がある。このため、この比較例の構造では、電池の外側に循環電流用の専用配線103が必要となる。
【0049】
また、図12に示されるように、専用配線103の断線を検知するためのヒューズ104や、電圧検知ユニット105も必要となる。このため、電池モジュールの構造が複雑化するとともに、コストも高くなる。
【0050】
これに対し、本実施形態では、正極集電体12及び負極集電体22の面積が十分に確保されているため、ヒューズ等を設けることが不要となる。このため、電池モジュール1の構造の複雑化が回避される。
【0051】
(第2実施形態)
次に、図13を参照しながら、本開示の第2実施形態の電池モジュール1の正極部材10及び負極部材20の構成について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明が行われ、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返されない。
【0052】
本実施形態では、正極活物質層と負極活物質層とが3層積層されている。つまり、本実施形態の電池モジュール1は、3つの電極E1~E3を有している。
【0053】
正極部材10は、第3正極活物質層18をさらに有し、負極部材20は、第3負極活物質層28をさらに有している。第3正極活物質層18及び第3負極活物質層28は、第3電極E3を構成している。
【0054】
各正極活物質層14,16,18は、正極集電体12の第1主面12S1に設けられている。第1負極活物質層24は、負極集電体22の第1主面22S1に設けられており、第2負極活物質層26及び第3負極活物質層28は、負極集電体22の第2主面22S2に設けられている。
【0055】
なお、図13では、説明のため、正極集電体12のうち第2正極活物質層16を支持する部位12eとこの部位12eと対向する部位12fとの間に隙間が形成されており、正極集電体12のうち第3正極活物質層18を支持する部位12gとこの部位12gと対向する部位12hとの間に隙間が形成されており、負極集電体22のうち第2負極活物質層26を支持する部位22eとこの部位22eと対向する部位22fとの間に隙間が形成されている。ただし、実際は、部位12eと部位12fとは互いに接触しており、部位12gと部位12hとは互いに接触しており、部位22eと部位22fとは互いに接触している。
【0056】
セパレータ30は、第3正極活物質層18と第3負極活物質層28との間に介在する第3介在部34と、第2介在部32と第3介在部34とを連結する他の連結部35と、を有している。
【0057】
なお、正極活物質層と負極活物質層とが4層以上積層される場合についても、図13に示される構造と同様に積層される。
【0058】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0059】
上記実施形態における電池モジュールは、複数の電極が互いに並列となるように接続された電池モジュールであって、正極集電体と、前記正極集電体に設けられた第1正極活物質層と、前記正極集電体に設けられた第2正極活物質層と、を有する正極部材と、負極集電体と、前記負極集電体に設けられた第1負極活物質層と、前記負極集電体に設けられた第2負極活物質層と、を有する負極部材と、前記正極部材と前記負極部材との間に配置されたセパレータと、を備え、前記正極集電体は、前記第1正極活物質層と前記第2正極活物質層とが前記第1正極活物質層の厚み方向に並ぶように当該正極集電体が折り返された正極折返し部を有し、前記負極集電体は、前記第1負極活物質層と前記第2負極活物質層とが前記第1負極活物質層の厚み方向に並ぶように当該負極集電体が折り返された負極折返し部を有し、前記第1負極活物質層は、前記第1正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第1正極活物質層とともに第1電極を構成しており、前記第2負極活物質層は、前記第2正極活物質層と対向するように配置されることによって前記第2正極活物質層とともに前記第1電極に並列接続された第2電極を構成しており、前記セパレータは、前記第1正極活物質層と前記第1負極活物質層との間に介在する第1介在部と、前記第2正極活物質層と前記第2負極活物質層との間に介在する第2介在部と、を有する。
【0060】
この電池モジュールでは、第1正極活物質層及び第1負極活物質層により構成される第1電極と、第2正極活物質層及び第2負極活物質層により構成される第2電極と、が互いに並列となるように接続されているため、各電極が直列に接続される場合に比べて出力が向上する。さらに、第1電極及び第2電極は、第1正極活物質層と第2正極活物質層とが互いに対向する方向に積層されているため、搭載面積の拡大が抑制される。よって、この電池モジュールでは、所定の搭載面積内において、容量の増大と出力の向上との双方が達成される。
【0061】
また、電池モジュールは、絶縁体からなる枠部材をさらに備えることが好ましい。
【0062】
この場合において、前記正極折返し部は、前記枠部材に固定されていることが好ましい。
【0063】
このようにすれば、枠部材に対する正極部材の相対変位が抑制される。
【0064】
また、前記負極折返し部は、前記枠部材に固定されていることが好ましい。
【0065】
このようにすれば、枠部材に対する負極部材の相対変位が抑制される。
【0066】
また、前記セパレータの端部は、前記枠部材に固定されていることが好ましい。
【0067】
このようにすれば、枠部材に対するセパレータの相対変位が抑制される。
【0068】
また、前記正極集電体は、第1主面及び第2主面を有し、前記第1正極活物質層は、前記正極集電体の前記第1主面に設けられており、前記第2正極活物質層は、前記正極集電体の前記第2主面のうち前記正極集電体の厚み方向に前記第1正極活物質層と重ならない部位に設けられており、前記負極集電体は、第1主面及び第2主面を有し、前記第1負極活物質層は、前記負極集電体の前記第1主面に設けられており、前記第2負極活物質層は、前記負極集電体の前記第2主面のうち前記負極集電体の厚み方向に前記第1負極活物質層と重ならない部位に設けられていてもよい。
【0069】
また、前記セパレータは、前記第1電極及び前記第2電極間を通るとともに前記第1介在部と前記第2介在部とを連結する連結部をさらに有することが好ましい。
【0070】
このようにすれば、第1介在部と第2介在部とが互いに別体で構成されている場合に比べ、セパレータの取り扱いが容易になる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 電池モジュール、10 正極部材、12 正極集電体、12S1 第1主面、12S2 第2主面、14 第1正極活物質層、16 第2正極活物質層、18 第3正極活物質層、20 負極部材、22 負極集電体、22S1 第1主面、22S2 第2主面、24 第1負極活物質層、26 第2負極活物質層、28 第3負極活物質層、30 セパレータ、31 第1介在部、32 第2介在部、33 連結部、34 第3介在部、35 他の連結部、40 枠部材、41 第1枠部、42 第2枠部、51 正極集電板、52 負極集電板、60 絶縁部材、70 拘束プレート、80 拘束部材、E1 第1電極、E2 第2電飾、E3 第3電極。
図1
図2
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図13