(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】制御装置、無人航空機、及び方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/18 20060101AFI20230926BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230926BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20230926BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20230926BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20230926BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64D47/00
B64U10/13
B64U101:64
(21)【出願番号】P 2020171398
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】西村 和也
(72)【発明者】
【氏名】金子 宗太郎
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-021616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0189016(US,A1)
【文献】特開2018-112029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 47/00
B64U 10/13
B64U 101/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御部を備える制御装置であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記制御部は、
音量が
閾値未満である少なくとも1つの前記音源装置の音量を、前記閾値以上となるように制御
し、
前記音源装置の音量が前記閾値未満である部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、制御装置。
【請求項2】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御部を備える制御装置であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置によってノイズキャンセリングが実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、ノイズキャンセリングが実施されていない部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、制御装置。
【請求項3】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御部を備える制御装置であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋において音声対話が実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、音声対話が実施されている部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、制御装置。
【請求項4】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御部を備える制御装置であって、
前記制御部は、
前記部屋の窓の開閉状態を示す情報を取得し、
窓の開閉状態を示す情報に基づいて、前記窓が開いている部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、制御装置。
【請求項5】
請求項
2から4の何れか一項に記載の制御装置であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記制御部は、前記音源装置の音量が閾値未満である部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、制御装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記部屋の音に関する前記情報を、前記部屋に設けられた室内装置から取得し、
前記室内装置は、マイクロフォン及び音源装置の少なくとも一方を含む、制御装置。
【請求項7】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報に基づいて前記建物の前記外壁に沿って移動するように自機の動作を制御する制御部を備える無人航空機であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記制御部は、
音量が
閾値未満である少なくとも1つの前記音源装置の音量を、前記閾値以上となるように制御
し、
前記建物の前記外壁に沿って移動する際に前記音源装置の音量が前記閾値未満である部屋を避けるように、自機の動作を制御する、無人航空機。
【請求項8】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報に基づいて前記建物の前記外壁に沿って移動するように自機の動作を制御する制御部を備える無人航空機であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置によってノイズキャンセリングが実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、前記建物の前記外壁に沿って移動する際にノイズキャンセリングが実施されていない部屋を避けるように、自機の動作を制御する、無人航空機。
【請求項9】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報に基づいて前記建物の前記外壁に沿って移動するように自機の動作を制御する制御部を備える無人航空機であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋において音声対話が実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、音声対話が実施されている部屋を避けて移動するように、自機の動作を制御する、無人航空機。
【請求項10】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報に基づいて前記建物の前記外壁に沿って移動するように自機の動作を制御する制御部を備える無人航空機であって、
前記制御部は、前記部屋の窓の開閉状態を示す情報に基づいて、前記建物の前記外壁に沿って移動する際に前記窓が開いている部屋を避けるように、自機の動作を制御する、無人航空機。
【請求項11】
請求項8
から10の何れか一項に記載の無人航空機であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記制御部は、前記建物の前記外壁に沿って移動する際に前記音源装置の音量が閾値未満である部屋を避けるように、自機の動作を制御する、無人航空機。
【請求項12】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御装置が実行する方法であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記方法は、音量が
閾値未満である少なくとも1つの前記音源装置の音量を、前記閾値以上となるように制御することを更に含
み、
前記制御装置は、前記音源装置の音量が前記閾値未満である部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、方法。
【請求項13】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御装置が実行する方法であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置によってノイズキャンセリングが実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御装置は、ノイズキャンセリングが実施されていない部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、方法。
【請求項14】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御装置が実行する方法であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋において音声対話が実施されているか否かを示す情報を含み、
前記制御装置は、音声対話が実施されている部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、方法。
【請求項15】
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、音に関する前記情報に基づいて無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる制御装置が実行する方法であって、
前記部屋の窓の開閉状態を示す情報を取得することを更に含み、
前記制御装置は、窓の開閉状態を示す前記情報に基づいて、前記窓が開いている部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、方法。
【請求項16】
請求項
13から15の何れか一項に記載の方法であって、
部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた音源装置の音量を示す情報を含み、
前記音源装置の音量が閾値未満である部屋を避けて前記無人航空機を移動させる、方法。
【請求項17】
請求項
12から16の何れか一項に記載の方法であって、
前記部屋の音に関する前記情報は、前記部屋に設けられた室内装置から取得され、
前記室内装置は、マイクロフォン及び音源装置の少なくとも一方を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、無人航空機、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローン等の無人航空機を制御する技術が知られている。例えば特許文献1には、建物のバルコニーにドローンポートを設け、ドローンを使った宅配を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の近くを無人航空機が飛行する場合、建物内の人々が無人航空機の騒音を不快に感じる可能性がある。したがって、無人航空機を制御する技術には改善の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、無人航空機を制御する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、
制御部を備える制御装置であって、
前記制御部は、
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得し、
音に関する前記情報に基づいて、無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させる。
【0007】
本開示の一実施形態に係る無人航空機は、
制御部を備える無人航空機であって、
前記制御部は、建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報に基づいて、前記建物の前記外壁に沿って移動するように自機の動作を制御する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る方法は、
制御装置が実行する方法であって、
建物の外壁に沿って存在する部屋の音に関する情報を取得すること、及び
音に関する前記情報に基づいて、無人航空機を前記建物の前記外壁に沿って移動させることを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、無人航空機を制御する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】無人航空機の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、複数の室内装置10と、無人航空機20と、制御装置30と、を備える。
【0013】
室内装置10は、例えば集合住宅等の建物の各部屋に設けられる。本実施形態において室内装置10は、部屋の音に関する情報又は部屋の窓の開閉状態を示す情報を、無線又は有線を介して出力する。例えば、部屋の音に関する情報を出力する室内装置10は、テレビ、コンピュータ、スマートフォン、スピーカ、若しくはヘッドフォン等の音源装置、又は部屋内の音を収音するマイクロフォンであるが、これらに限られない。また例えば、窓の開閉状態を示す情報を出力する室内装置10は、部屋の窓の開閉状態を検出するセンサ、又は窓を撮像可能なカメラであるが、これに限られない。或いは室内装置10は、上述した音源装置、マイクロフォン、センサ、又はカメラと通信可能な、アクセスポイント等のネットワーク機器であってもよい。
【0014】
制御装置30は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置30は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク40を介して、室内装置10及び無人航空機20とそれぞれ通信可能である。本実施形態において、無人航空機20及び制御装置30は、物流サービスの提供者によって管理される。
【0015】
無人航空機20は、人が搭乗しない任意の航空機である。例えばドローン又はマルチコプタ等の航空機が、無人航空機20として採用可能である。無人航空機20には、後述するようにカメラ等が搭載される。無人航空機20は、自律的に又は制御装置30と協働することによって、飛行可能である。例えば、無人航空機20は、制御装置30から取得した飛行経路に沿って移動可能であってもよい。また無人航空機20は、カメラを用いて障害物を検出すると、自律的に当該障害物を迂回可能であってもよい。
【0016】
本実施形態において無人航空機20は、荷物を輸送する物流サービスに利用される。無人航空機20は、荷物の差出人又は受取人との間で荷物の受け渡しを行う。例えば
図2に示すように、無人航空機20は、集合住宅等の建物50の近くに到着すると、複数の部屋A~Fのうち目的とする部屋CのベランダC1まで建物50の外壁に沿って移動し、ベランダC1で荷物の受け渡しを行う。荷物の受け渡しは、集荷及び配達のいずれであってもよい。
【0017】
ここで無人航空機20は、例えば建物50の外壁面から一定の距離を保つことによって、建物50の外壁に沿って移動し得る。当該一定の距離は、例えば1mであるがこれに限られない。仮に、移動する無人航空機20と建物50の外壁面との間の距離が比較的長い場合、外壁面に設けられた窓A1~F1を介して部屋A~Fの内部が無人航空機20のカメラに映り込んでしまう可能性がある。これに対して、無人航空機20が建物50の外壁に沿って移動することにより、部屋A~Fの内部が無人航空機20のカメラに映り込んでしまう可能性が低減するので、住人のプライバシーが保護され得る。
【0018】
一方で、無人航空機20が建物50の外壁に沿って移動する場合には、無人航空機20と建物50の外壁面との間の距離が比較的短いため、建物50の住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性がある。これに対して本実施形態によれば、後述するように、建物50の住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性が低減する。
【0019】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。本実施形態において制御装置30は、例えばネットワーク40を介して室内装置10から、建物50の外壁に沿って存在する複数の部屋A~Fそれぞれの音に関する情報を取得する。そして制御装置30は、音に関する当該情報に基づいて、無人航空機20を建物50の外壁に沿って移動させる。
【0020】
このように、本実施形態によれば、無人航空機20を建物50の外壁に沿って移動させる際に、建物50の各部屋A~Fの音に関する情報が用いられる。このため、例えば部屋内の音量が比較的小さい静かな部屋等、住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性の高い部屋を避けて無人航空機20を移動させることができる。したがって、建物50の住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性が低減し得る点で、無人航空機20を制御する技術が改善される。
【0021】
例えば
図2において、部屋D及びEの音量が比較的小さい場合、無人航空機20は飛行経路60(60a)に沿って目的の部屋Cまで移動し得る。具体的には無人航空機20は、部屋D及びEを避けて、部屋A及びBのベランダA2及びB2の前を通過して部屋Cまで移動する。かかる場合、比較的静かな部屋D及びEにいる住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性が低減する。一方、部屋A及びBの音量が比較的小さい場合、無人航空機20は飛行経路60(60b)に沿って目的の部屋Cまで移動し得る。具体的には無人航空機20は、部屋A及びBを避けて、部屋D及びEのベランダD2及びE2の前を通過して部屋Cまで移動する。かかる場合、比較的静かな部屋A及びBにいる住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性が低減する。
【0022】
次に、システム1の各構成について、詳細に説明する。
【0023】
(無人航空機の構成)
図3に示すように、無人航空機20は、通信部21と、記憶部22と、測位部23と、検出部24と、制御部25と、を備える。
【0024】
通信部21は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、無人航空機20は、通信部21を介して制御装置30と通信する。
【0025】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、無人航空機20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0026】
測位部23は、衛星測位システムに対応する受信機を含む。当該受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)に対応するが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応してもよい。また測位部23は、例えばジャイロセンサ、地磁気センサ、及び気圧センサを含む。本実施形態において無人航空機20は、測位部23を用いて自機の位置情報、自機が向いている方角、及び自機の傾きを取得可能である。位置情報は、緯度及び経度を含む二次元座標データを含んでもよく、緯度及び経度に加えて高度を含む三次元座標データを含んでもよい。
【0027】
検出部24は、無人航空機20の周囲に存在する障害物の検出に用いられる1つ以上のセンサを含む。本実施形態において当該センサは、カメラを含むがこれに限られず、例えばミリ波レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等を更に含んでもよい検出部24のセンサの出力情報は、例えば無人航空機20が周囲の障害物を自律的に迂回して飛行するために用いられ得る。
【0028】
制御部25は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部25は、無人航空機20全体の動作を制御する。
【0029】
(制御装置の構成)
図4に示すように、制御装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。
【0030】
通信部31は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、制御装置30は、通信部31を介して室内装置10及び無人航空機20と通信する。
【0031】
記憶部32は、1つ以上のメモリを含む。記憶部32に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、制御装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。記憶部32に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0032】
本実施形態において記憶部32は、荷物の発送元又は配達先として指定され得る1つ以上の建物に関する情報を記憶する。建物に関する情報は、無人航空機20が当該建物の外壁に沿って目的の部屋まで移動する飛行経路を決定するために用いられる任意の情報を含む。例えば、建物に関する情報は、当該建物の三次元測量データ、及び当該建物に設定された基準位置の三次元座標データを含むが、これらに限られない。
【0033】
建物の三次元測量データは、例えば当該建物に対応する複数の三次元座標データ(すなわち、三次元点群データ)である。複数の三次元座標データのそれぞれには、例えば建物の外壁、各部屋の窓、及び各部屋のベランダの何れに該当するかを示す情報が紐づけられている。制御装置30は、建物の三次元測量データに基づいて、当該建物の外壁、各部屋の位置、各部屋の窓の位置、及び各部屋のベランダの位置をそれぞれ特定可能である。
【0034】
基準位置は、建物に応じて予め設定される。本実施形態において無人航空機20は、後述するように第1飛行経路に沿って建物の基準位置まで移動し、その後、第2飛行経路に沿って基準位置から目的の部屋のベランダまで建物の外壁に沿って移動する。例えば
図2において建物50の基準位置は、無人航空機20が図示されている位置(図中で部屋Dの左側)である。
【0035】
制御部33は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部33は、制御装置30全体の動作を制御する。制御部33によって制御される制御装置30の動作の詳細については後述する。
【0036】
(制御装置の動作フロー)
図5を参照して、本実施形態に係る制御装置30の動作について説明する。
【0037】
ステップS100:制御装置30の制御部33は、通信部31を介して、例えば荷物の差出人又は受取人であるユーザの端末装置から、当該荷物の発送元又は配達先である建物及び部屋を示す情報を取得する。当該情報には、例えば建物の所在地及び部屋番号が含まれるが、これらに限られない。
【0038】
ステップS101:制御部33は、ステップS100の建物に関する情報を記憶部32から取得する。上述したように、建物に関する情報は、例えば当該建物の三次元測量データ、及び当該建物に設定された基準位置の三次元座標データが含まれる。
【0039】
ステップS102:制御部33は、建物に設定された基準位置まで無人航空機20を移動させる。
【0040】
具体的には、制御部33は、無人航空機20の現在位置を出発地とし、ステップS101で取得された基準位置を目的地とする第1飛行経路を決定する。制御部33は、通信部31を介して第1飛行経路を無人航空機20に通知する。無人航空機20は、通知された第1飛行経路に沿って、現在位置から基準位置まで移動する。
【0041】
ステップS103:制御部33は、通信部31を介して建物に設けられた複数の室内装置10から、建物の外壁に沿って存在する複数の部屋それぞれの音に関する情報及び窓の開閉状態を示す情報の少なくとも一方を取得する。
【0042】
ここで、部屋の音に関する情報は、例えば当該部屋に設けられた室内装置10である音源装置の音量を示す情報、音源装置によってノイズキャンセリングが実施されているか否かを示す情報、室内装置10であるマイクロフォンが収音した部屋内の音の音量を示す情報、当該部屋において音声対話が実施されているか否かを示す情報、又はこれらの組み合わせを含む。なお、部屋において音声対話が実施されているか否かを示す情報は、例えばマイクロフォンが収音した部屋の音を用いる任意の音声認識処理によって得ることができる。
【0043】
ステップS104:制御部33は、ステップS101で取得された建物に関する情報と、ステップS103で取得された情報とに基づいて、基準位置から目的の部屋(すなわち、ステップS100で取得された情報により示される部屋)まで無人航空機20を建物の外壁に沿って移動させる。
【0044】
具体的には、制御部33は、建物に関する情報(すなわち、建物の三次元測量データ及び基準位置の三次元座標データ)に基づいて、建物の基準位置を出発地とし、目的の部屋のベランダを目的地とし、建物の外壁面から一定の距離を保つように第2飛行経路を決定する。
【0045】
ここで制御部33は、ステップS103で取得された各部屋の音に関する情報に基づいて、特定の部屋を避けて第2飛行経路を決定してもよい。特定の部屋は、例えば室内装置10である音源装置の音量が閾値未満である部屋、音源装置によってノイズキャンセリングが実施されていない部屋、音声対話が実施されている部屋、またはこれらの組み合わせを含む。また制御部33は、ステップS103で取得された各部屋の窓の開閉状態を示す情報に基づいて、窓が開いている部屋を避けて第2飛行経路を決定してもよい。
【0046】
制御部33は、通信部31を介して第2飛行経路を無人航空機20に通知する。無人航空機20は、通知された第2飛行経路に沿って、建物の基準位置から目的の部屋のベランダまで特定の部屋を避けて移動し、荷物の受け渡しを行う。
【0047】
以上述べたように、本実施形態に係る制御装置30は、建物の外壁に沿って存在する複数の部屋それぞれの音に関する情報を取得する。制御装置30は、音に関する当該情報に基づいて、無人航空機20を建物の外壁に沿って移動させる。
【0048】
かかる構成によれば、無人航空機20を建物の外壁に沿って移動させる際に、建物の各部屋の音に関する情報が用いられる。このため、例えば部屋内の音量が比較的小さい静かな部屋等、住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性の高い部屋を避けて無人航空機20を移動させることができる。したがって、建物の住人が無人航空機20の騒音を不快に感じる可能性が低減し得る点で、無人航空機20を制御する技術が改善される。
【0049】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0050】
例えば、上述した実施形態において、制御装置30の構成及び動作を、互いに通信可能な複数の情報処理装置に分散させた実施形態も可能である。また例えば、制御装置30の一部又は全部の構成要素を無人航空機20に設けた実施形態も可能である。また、上述した実施形態において、建物50の外壁に沿って存在する部屋の数が2つ以上である場合について説明したが、部屋の数は1つであってもよい。
【0051】
また、上述した実施形態において制御装置30は、室内装置10である音源装置の音量が閾値未満である部屋を避けて無人航空機20を移動させる。ここで制御装置30は、音量が閾値未満である少なくとも1つの音源装置の音量を、当該閾値以上となるように制御する実施形態も可能である。具体的には、制御装置30の制御部33は、通信部31を介して音源装置へ、音量を増加させる指示を送信する。当該指示を受信した音源装置は、出力する音の音量を閾値以上となるように変化させる。ここで音源装置は、音量を一度に変化させてもよく、所定の時間をかけて徐々に変化させてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態において、制御装置30が、部屋の音に関する情報に基づいて、特定の部屋を避けて第2飛行経路を決定することについて説明した。ここで、部屋の音に関する情報は、実施形態において説明した具体例に限られない。
例えば、部屋の音に関する情報は、当該部屋に設けられた室内装置10である音源装置が再生している楽曲のジャンルを示す情報を含んでもよい。かかる場合において、制御装置30の制御部33は、各部屋の音に関する情報に基づいて、所定のジャンルの楽曲が再生されている部屋を避けて第2飛行経路を決定する。所定のジャンルは、例えばアンビエント等、音量が比較的小さい傾向のあるジャンルであるが、これに限られず適宜に定められてもよい。
【0053】
或いは、部屋の音に関する情報は、当該部屋に設けられた室内装置10である音源装置が出力する音に対して住人の意識が向いているか否かを示す情報を含んでもよい。音源装置が出力する音に対して住人の意識が向いているか否かを示す情報は、例えば室内装置10であるカメラの映像を用いる画像分析処理によって得ることができる。例えば、音を出力している音源装置に住人の視線が向けられている場合、音に対して住人の意識が向いていると判定可能である。制御装置30の制御部33は、各部屋の音に関する情報に基づいて、音源装置が出力する音に対して住人の意識が向いている部屋を避けて第2飛行経路を決定する。
【0054】
また、例えば汎用のドローン又はコンピュータを、上述した実施形態に係る無人航空機20又は制御装置30として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る無人航空機20又は制御装置30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のドローン又はコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 システム
10 室内装置
20 無人航空機
21 通信部
22 記憶部
23 測位部
24 検出部
25 制御部
30 制御装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
40 ネットワーク
50 建物
60、60a、60b 飛行経路