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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/16 20160101AFI20230926BHJP
   B60K 6/22 20071001ALI20230926BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20230926BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20230926BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20230926BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20230926BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20230926BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20230926BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60W20/16
B60K6/22 ZHV
B60K6/445
B60L50/16
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/00 900
B60W20/20
F01N3/023 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174605
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065854
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉本 仁己
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167618(JP,A)
【文献】特開2020-152339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/16
B60K 6/22
B60K 6/445
B60W 10/06
B60W 10/08
B60W 20/00
B60W 20/20
F01N 3/023
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気に含まれる粒子状物質(PM)を除去するように構成されたフィルタを有するエンジンと、ハイブリッド車両を駆動するように構成されたモータと、を備えるハイブリッド車両を制御するように構成されたハイブリッド車両制御装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、前記フィルタにおいて堆積している粒子状物質の堆積量を推定するPM堆積量推定処理を実行するように構成され、
前記処理回路は、前記エンジンと前記モータとの制御を規定する制御モードとして、第1モードと第2モードとを切り替え可能に構成されており、
前記第2モードと比較して前記第1モードにおいては前記エンジンの使用が制限されており、
前記処理回路は、前記制御モードが前記第2モードである場合には、推定した前記堆積量が所定量以上であるときに前記フィルタの再生が必要であるとユーザに表示する表示処理を実行し、前記制御モードが前記第1モードである場合には、常に前記表示処理を実行しないように構成されている、
ハイブリッド車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両制御装置であって、
前記処理回路は、推定した前記堆積量が前記所定量以上であり且つ前記制御モードが前記第1モードであると判定した場合、前記表示処理とは別の処理として、前記フィルタの再生を許可するか否かを前記ユーザに問い合わせる処理を実行するように構成され、
前記処理回路は、前記フィルタの再生を許可することを示す前記ユーザの入力を受信した場合、前記制御モードを前記第2モードに切り替えるように構成されている、
ハイブリッド車両制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両制御装置であって、
前記処理回路は、前記フィルタを再生する場合は前記ハイブリッド車両の駆動トルクに対する前記エンジンのトルクの寄与度を、前記フィルタを再生しない場合よりも増やすことによって、前記フィルタを再生するように構成されている、
ハイブリッド車両制御装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載のハイブリッド車両制御装置であって、
前記処理回路は、前記第1モードにおいては前記エンジンの使用を禁止して前記モータのみで前記ハイブリッド車両を駆動し、前記第2モードにおいては前記エンジンの使用を許容して前記ハイブリッド車両を駆動するように構成されている
ハイブリッド車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のハイブリッド車両は、排気に含まれる粒子状物質(PM)を除去するフィルタを有するエンジンと、ハイブリッド車両を駆動するためのモータと、を備える。さらに、ハイブリッド車両は、複数のモードから選択されたモードに従ってエンジンを制御する制御装置を備える。複数のモードは、通常モードと、通常モードに比べてエンジンの出力を制限するエコモードと、通常モードに比べてエンジンの出力を大きくするスポーツモードとを含む。フィルタにおける粒子状物質の堆積量が閾値以上のとき、制御装置は、フィルタの再生が必要であると運転者に通知し、スポーツモードでの走行を運転者に促す。スポーツモードでは、例えば、エンジンが高負荷で運転されて排気温度が上昇する。これによって、フィルタの温度が上昇し、フィルタに堆積した粒子状物質が燃焼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-167618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常モード又はエコモード中においてフィルタの再生が必要であると運転者に通知することは望ましくない場合がある。上述したようにフィルタの再生には、エンジンを積極的に使用することが必要である。通常モード及びエコモードにおいては、スポーツモードと比較してエンジンの使用が制限されている。このため、通常モード及びエコモードにおいては、フィルタの再生が困難である。すなわち、エンジンを使用してフィルタを再生するためには、通常モード又はエコモードからスポーツモードへ変更する必要がある。換言すると、通常モード又はエコモードを維持するような場合には、フィルタを再生することが困難である。このため、通常モード又はエコモード中においてフィルタの再生が必要であると運転者に通知すると、運転者に不安感を抱かせる場合がある。このような課題は、エンジンを停止させてモータでハイブリッド車両を駆動するCD(Charge Depleting)モードと、エンジンを使用可能なCS(Charge Sustaining)モードと、を有するハイブリッド車両においても生じ得る。同様の課題は、フィルタを十分に再生できない程度にエンジンの使用を制限する第1モードと、フィルタを再生できる程度にエンジンの使用を許容する第2モードとを有するハイブリッド車両においても生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
本開示の一態様によれば、排気に含まれる粒子状物質(PM)を除去するように構成されたフィルタを有するエンジンと、ハイブリッド車両を駆動するように構成されたモータと、を備えるハイブリッド車両を制御するように構成されたハイブリッド車両制御装置であって、処理回路を備え、前記処理回路は、前記フィルタにおいて堆積している粒子状物質の堆積量を推定するPM堆積量推定処理を実行するように構成され、前記処理回路は、前記エンジンと前記モータとの制御を規定する制御モードとして、第1モードと第2モードとを切り替え可能に構成されており、前記第2モードと比較して前記第1モードにおいては前記エンジンの使用が制限されており、前記処理回路は、前記制御モードが前記第2モードである場合には、推定した前記堆積量が所定量以上であるときに前記フィルタの再生が必要であるとユーザに表示する表示処理を実行し、前記制御モードが前記第1モードである場合には、前記堆積量が前記所定量以上であっても前記表示処理を実行しないように構成されている、ハイブリッド車両制御装置が提供される。
【0006】
第2モードと比較して第1モードにおいてはエンジンの使用が制限されている。このため、第1モード中においてエンジンを使用してフィルタを十分に再生することは困難である。このため、第1モード中においてフィルタの再生が必要であるとユーザに表示すると、ユーザに不安感が生じる可能性がある。すなわち、フィルタを十分に再生することが困難である状況においてフィルタの再生が必要であるとユーザに表示すると、ユーザに不安感が生じる可能性がある。上記構成では、第1モード中においては、推定された粒子状物質の堆積量が所定量以上であっても、フィルタの再生が必要であるとユーザに表示されない。このため、第1モード中において表示処理をユーザに行うことに起因して生じ得るユーザの不安感を抑制できる。
【0007】
上記ハイブリッド車両制御装置において、前記処理回路は、推定した前記堆積量が前記所定量以上であり且つ前記制御モードが前記第1モードであると判定した場合、前記フィルタの再生を許可するか否かを前記ユーザに問い合わせるように構成され、前記処理回路は、前記フィルタの再生を許可することを示す前記ユーザの入力を受信した場合、前記制御モードを前記第2モードに切り替えるように構成されていてもよい。
【0008】
第1モード中において粒子状物質の堆積量が所定量以上であるときに、ユーザがフィルタの再生を許可する場合がある。係る場合には、処理回路は、制御モードを第2モードに切り替えてエンジンの稼働機会を増やす。これによりフィルタを再生できる。
【0009】
上記ハイブリッド車両制御装置において前記処理回路は、前記フィルタの再生を許可しないことを示す前記ユーザの入力を受信した場合、前記表示処理を禁止するように構成されていてもよい。
【0010】
第1モード中において粒子状物質の堆積量が所定量以上であるときに、ユーザがフィルタの再生を許可しない場合がある。係る場合には、処理回路は、表示処理を禁止する。このため、ユーザがフィルタを再生する意思がないとき、表示処理に起因した不快感を抑制できる。
【0011】
上記ハイブリッド車両制御装置において前記処理回路は、前記フィルタを再生する場合は前記ハイブリッド車両の駆動トルクに対する前記エンジンのトルクの寄与度を、前記フィルタを再生しない場合よりも増やすことによって、前記フィルタを再生するように構成されていてもよい。
【0012】
エンジンのトルクを大きくすることによって排気温度が上昇する。上記構成では、フィルタを再生する場合は、フィルタを再生しない場合と比較してエンジンのトルクが大きくなるため、フィルタの温度が上昇する。その結果、フィルタに堆積した粒子状物質が燃焼して、粒子状物質がフィルタから除去される。
【0013】
上記ハイブリッド車両制御装置において前記処理回路は、前記第1モードにおいては前記エンジンの使用を禁止して前記モータのみで前記ハイブリッド車両を駆動し、前記第2モードにおいては前記エンジンの使用を許容して前記ハイブリッド車両を駆動するように構成されていてもよい。
【0014】
上記構成では、第1モードではエンジンの使用が禁止されている。このため、第1モードでは、エンジンを使用して粒子状物質をフィルタから除去することが不可能である。本開示に係るハイブリッド車両制御装置は、制御モードが第1モードを含む場合において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る制御装置と、同制御装置の制御対象であるハイブリッド車両とを示す模式図。
図2図1の制御装置が実行するPM堆積量推定処理を示すフローチャート。
図3図2のPM堆積量推定処理によって推定されたPM堆積量に応じて表示要求フラグを設定するための処理を示すフローチャート。
図4図3の表示要求フラグを参照して表示処理を実行するか否かを決定する処理を示すフローチャート。
図5】第2の実施形態に係る制御装置が実行する処理を示すフローチャート。
図6図5中の表示禁止フラグがOnにされることを条件に実行される、表示禁止フラグをOffにするための処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係るハイブリッド車両制御装置である制御装置39について、図1図4を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のハイブリッド車両10は、エンジン11を備えている。以下において、ハイブリッド車両10は、車両10と記載する。車両10は、バッテリ28を備えている。車両10は、第1モータ12及び第2モータ13を備えている。第1モータ12及び第2モータ13の各々は、モータモードと発電機モードとを有する。モータモードでは、バッテリ28から第1モータ12及び/又は第2モータ13に電力が供給され、供給された電力が駆動力に変換される。すなわち、第1モータ12及び/又は第2モータ13は、車両10を駆動することが可能である。発電機モードでは、外部から第1モータ12及び/又は第2モータ13に駆動力が供給される。供給された駆動力を利用して発電した電力をバッテリ28に充電する。
【0018】
遊星ギア機構17が、車両10に設けられている。遊星ギア機構17は、3つの回転要素を有する。すなわち、遊星ギア機構17は、サンギア14、プラネタリキャリア15、リングギア16を有する。プラネタリキャリア15には、トランスアクスルダンパ18を介してエンジン11が連結されている。サンギア14には第1モータ12が連結されている。リングギア16には、カウンタドライブギア19が一体に設けられている。カウンタドライブギア19には、カウンタドリブンギア20が噛み合わされている。そして、第2モータ13は、カウンタドリブンギア20に噛み合わされたリダクションギア21に連結されている。
【0019】
カウンタドリブンギア20には、ファイナルドライブギア22が一体回転可能に連結されている。ファイナルドライブギア22には、ファイナルドリブンギア23が噛み合わされている。そして、ファイナルドリブンギア23には、差動機構24を介して、車輪25の駆動軸26が連結されている。
【0020】
第1モータ12及び第2モータ13は、パワーコントロールユニット(PCU)27を介してバッテリ28に電気的に接続されている。PCU27は、バッテリ28から第1モータ12及び第2モータ13へ供給される電力の量を調整する。PCU27は、第1モータ12及び第2モータ13からバッテリ28へ供給される電力の量を調整する。すなわち、PCU27は、放電量及び充電量を調整する。車両10には、外部電源29と接続可能な電源コネクタ30が設けられている。このため、バッテリ28は、外部電源29から供給される電力によって充電され得る。すなわち、本実施形態では、車両10は、プラグインハイブリッド車両である。
【0021】
エンジン11は、複数の気筒31と、吸気通路32と、排気通路33と、を備えている。吸気が吸気通路32を流れて各気筒31に流入する。各気筒31において、混合気が燃焼される。各気筒31での燃焼により生じた排気が、排気通路33を流れる。吸気通路32には、吸気通路32を流れる吸気の流量を調整するための弁であるスロットルバルブ34が設けられている。吸気中に燃料を噴射する複数の燃料噴射弁35が、それぞれ、複数の気筒31に設けられている。燃料と吸気との混合気を火花放電により点火する複数の点火プラグ36が、それぞれ、複数の気筒31に設けられている。さらに、排気通路33には、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ37が設けられている。フィルタ37は、排気に含まれる粒子状物質を除去できる。フィルタ37を構成する多孔質材の表面には、捕集したPMの酸化反応を促進する酸化触媒が担持されている。フィルタ37は、例えば、ガソリン・パーティキュレート・フィルタ(GPF)である。
【0022】
車両10には、エンジン11を制御する電子制御装置であるエンジン制御部38が搭載されている。また、車両10には、エンジン制御部38及びPCU27を統括的に制御する制御装置39が搭載されている。すなわち、制御装置39は、車両10を制御する。エンジン制御部38及び制御装置39はそれぞれ、コンピュータユニットとして構成されている。コンピュータユニットは、Read Only Memory(ROM)、 Central Processing Unit(CPU)、及びRandom Access Memory(RAM)を備える。ROMは、制御用のプログラムやデータを記憶する。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域である。
【0023】
エンジン制御部38には、エンジン11の吸入空気量を検出するエアフローメータ40の検出信号が入力されている。エンジン制御部38には、エンジン11の回転角を検出するクランク角センサ41の検出信号が入力されている。エンジン制御部38には、エンジン11の冷却水の温度を検出する水温センサ42の検出信号が入力されている。エンジン制御部38には、フィルタ37に流入する排気の温度を検出する排気温センサ43の検出信号が入力されている。エンジン制御部38は、クランク角センサ41の検出信号に基づき、エンジン11の回転数(エンジン回転数)を演算する。また、エンジン制御部38は、エンジン回転数及び吸入空気量に基づき、エンジン負荷率KLを演算する。エンジン負荷率KLについて説明する。吸気行程において各気筒31に流入する空気の量は、シリンダ流入空気量と称される。現在のエンジン回転数においてスロットルバルブ34を全開とした状態でエンジン11を定常運転したときのシリンダ流入空気量を全開空気量とする。エンジン負荷率KLは、この全開空気量に対する、現在のシリンダ流入空気量の比率を表している。
【0024】
制御装置39には、バッテリ28の電流IB、電圧VB、及び温度TBが入力されている。そして、制御装置39は、これら電流IB、電圧VB、及び温度TBに基づき、バッテリ28の蓄電率(SOC:State Of Charge)を演算している。また、制御装置39には、運転者のアクセルペダルの踏込量であるアクセル開度ACCPを検出するアクセルペダルセンサ44の検出信号が入力されている。制御装置39には、車両10の走行速度である車速Vを検出する車速センサ45の検出信号が入力されている。制御装置39には、空燃比センサ46の検出信号が入力されている。なお、空燃比センサ46は、排気通路33におけるフィルタ37よりも上流側の部分に設けられ、排気通路33を流れるガスの酸素濃度を検出する。すなわち、空燃比センサ46は、混合気の空燃比を検出する。そして、制御装置39は、アクセル開度ACCP及び車速Vに基づき車両10の駆動力の要求値である車両要求駆動力を演算する。制御装置39は、車両要求駆動力、及び蓄電率SOC等に基づき、エンジン出力の要求値である要求エンジン出力を演算する。制御装置39は、車両要求駆動力、及び蓄電率SOC等に基づき、第1モータ12の力行/回生トルクの要求値であるMG1要求トルクを演算する。制御装置39は、車両要求駆動力、及び蓄電率SOC等に基づき、第2モータ13の力行/回生トルクの要求値であるMG2要求トルクを演算する。そして、車両10の走行制御が行われる。詳細には、エンジン制御部38が要求エンジン出力に応じてエンジン11の出力制御を行う。PCU27がMG1要求トルク及びMG2要求トルクに応じて第1モータ12及び第2モータ13のトルク制御を行う。
【0025】
なお、制御装置39は、エンジン11と第1モータ12と第2モータ13との制御を規定する制御モードとして、CDモードとCSモードとを切り替え可能である。CDモードでは、車両10は、エンジン11の稼働を停止した状態で走行する。すなわち、制御装置39は、CDモードにおいてはエンジン11の使用を禁止して第1モータ12及び第2モータ13のみで車両10を駆動する。CSモードでは、車両10は、エンジン11を稼働した状態で走行できる。すなわち、制御装置39は、CSモードにおいてはエンジン11の使用を許容してエンジン11と第1モータ12と第2モータ13とを用いて車両10を駆動する。制御装置39は、アクセル開度ACCPや車速V、蓄電率SOC等に基づいてCDモードとCSモードとの切り替えを自動的に行っている。例えば、制御装置39は、原則、蓄電率SOCが30%以上であるとき、制御モードとしてCDモードを選択する。制御装置39は、原則、蓄電率SOCが30%未満であるとき、制御モードとしてCSモードを選択する。CSモード中、制御装置39は、蓄電率SOCを所定の制御中心値(例えば、20%)に維持するよう、エンジン11、第1モータ12、及び第2モータ13を制御できる。制御装置39は、要求エンジン出力の値として、CDモード時には「0」を設定する。制御装置39は、要求エンジン出力の値として、CSモード時には正の値を演算する。そして、エンジン制御部38が、要求エンジン出力の値が正の値から「0」に切り替わったときにエンジン11の稼働を停止する。エンジン制御部38が、要求エンジン出力の値が「0」から正の値に切り替わったときにエンジン11を始動する。このようにして、CDモードとCSモードとが切り替えられる。
【0026】
制御装置39は、フィルタ再生処理を実行する。フィルタ再生処理は、PMが自己燃焼する温度までフィルタ37を昇温することによって、フィルタ37に堆積したPMを除去する。本実施形態では、制御装置39は、エンジン11の負荷を増大させて排気の温度を上昇させることによって、排気通路33におけるフィルタ37を昇温する。具体的には、制御装置39は、CSモードにおいて蓄電率SOCの目標値を増加させることによって、エンジン11の負荷を増大させる。例えば、蓄電率SOCの目標値が増大すると、エンジン11を使用して発電する機会が増え、エンジン11の負荷が増大する。例えば、蓄電率SOCの目標値が増大すると、第1モータ12及び第2モータ13における電力消費が抑制される。これにより、第1モータ12及び第2モータ13からの出力低下を補うべくエンジン11の負荷が増大し得る。
【0027】
制御装置39は、フィルタ37の再生に関して通知部50を通じて通知を行うことができる。通知部50は、例えば、メーター及びナビゲーションシステム等のディスプレイであってよい。通知部50は、例えば、スピーカであってもよい。ユーザは、タッチパネル及びボタン等の入力部51を通じて通知に応じることができる。
【0028】
図2を参照して、フィルタ37において堆積している粒子状物質の堆積量を推定するPM堆積量推定処理を説明する。制御装置39は、PM堆積量推定処理を所定周期で繰り返し実行する。なお、参照符号の先頭文字のSは、ステップを意味する。制御装置39は、前回のPM堆積量を取得する(S200)。制御装置39は、PM生成量を算出する(S202)。制御装置39は、PM燃焼量を算出する(S204)。制御装置39は、PM生成量からPM燃焼量を引くことによって得られた差を、前回のPM堆積量に対して加算することによってPM堆積量を更新する(S206)。
【0029】
PM生成量は、気筒31内での混合気の燃焼により生成されるPMの量である。制御装置39は、エンジン11の運転状態、具体的には吸入空気量、燃料噴射量等からPM生成量を演算する。
【0030】
また、PM燃焼量は、フィルタ37内で燃焼するPMの量である。フィルタ37に流入するガスの温度が高いほど、フィルタ37の温度も高くなる。よって、排気温センサ43によって検出される温度からフィルタ37の温度を求めることができる。制御装置39は、フィルタ37に流入するガスの温度及び流量、外気の温度に基づくフィルタ37の熱収支モデルを用いてフィルタ37の温度であるフィルタ温度を推定する。なお、フィルタ37に流入するガスの流量は、吸入空気量と燃料噴射量とから求めることができ、外気の温度としてはエアフローメータ40によって検出される吸気温度を用いることができる。フィルタ温度が触媒活性温度以上となっている状態で、酸素を含んだガスがフィルタ37に流入すると、フィルタ37に堆積したPMが燃焼するようになる。PMの燃焼には酸素が必要であるから、このときにフィルタ37内で燃焼するPMの量は、フィルタ37に流入するガス中の酸素の量に応じて決まる。フィルタ37に流入するガスの酸素濃度は、空燃比センサ46の検出結果から求めることができる。そこで、制御装置39は、排気温センサ43によって検出されるガスの温度、空燃比センサ46によって検出される酸素濃度、吸入空気量、及び燃料噴射量に基づいてPM燃焼量を演算している。
【0031】
図3を参照して、PM堆積量に応じて表示要求フラグを設定するための処理を説明する。制御装置39は、係る処理を所定周期で繰り返し実行する。図4を参照して後述するように、表示要求フラグがOnであることは、表示処理を実行するための前提条件となっている。表示処理は、フィルタ37の再生に関して通知部50を通じて通知を行う処理であり、詳細については後述する。
【0032】
制御装置39は、PM堆積量を取得する(S300)。制御装置39は、PM堆積量が第1所定値以上であるか否かを判定する(S302)。「第1所定値」は「所定量」に相当する。PM堆積量が第1所定値以上であることは、フィルタ37を再生するための処置をユーザが行うべき状況であることを意味する。制御装置39は、PM堆積量が第1所定値以上であるとき(S302:Yes)、S304に進む。制御装置39は、表示要求フラグをOnにして(S304)、本フローを終了する。
【0033】
制御装置39は、PM堆積量が第1所定値未満であるとき(S302:No)、S306に進む。制御装置39は、PM堆積量が第2所定値以下であるとき(S306:Yes)、S308に進む。第2所定値は、第1所定値よりも小さな値であり、表示要求フラグのOn/Offの切り替えがヒステリシスを有するように設定されている。制御装置39は、表示要求フラグをOffにして(S308)、本フローを終了する。なお、制御装置39は、PM堆積量が第2所定値よりも大きいとき(S306:No)、表示要求フラグのOn/Offの切り替えを行うことなく、本フローを終了する。
【0034】
図4を参照して、表示処理を実行するか否かを決定する処理について説明する。制御装置39は、係る処理を所定周期で繰り返し実行する。
制御装置39は、まず、表示要求フラグがOnであるか否か判定する(S400)。制御装置39は、表示要求フラグがOnであるとき(S400:Yes)、S402に進む。制御装置39は、制御モードがCSモードであるか否か判定する(S402)。制御装置39は、制御モードがCSモードであるとき(S402:Yes)、S404に進む。制御装置39は、表示処理を実行する(S404)。すなわち、制御装置39は、表示要求フラグがOnであり且つ制御モードがCSモードであるとき、表示処理を実行する。上述したように、推定したPM堆積量が第1所定値以上であるとき表示要求フラグがOnとなる。よって、制御装置39は、推定したPM堆積量が第1所定値以上であるときに制御モードがCSモードである場合、表示処理を実行する。
【0035】
制御装置39は、制御モードがCDモードであるとき(S402:No)、S406に進む。制御装置39は、表示処理を実行しない(S406)。すなわち、制御装置39は、表示要求フラグがOnであり且つ制御モードがCDモードであるとき、表示処理を実行しない。このため、制御装置39は、推定したPM堆積量が第1所定値以上であっても制御モードがCDモードである場合には、表示処理を実行しない。「表示処理を実行しない」とは、直前に行った表示処理を消すことを意味し得る。
【0036】
表示処理とは、フィルタ37の再生が必要であるとユーザに表示する処理である。例えば、表示処理は、望ましい運転パターンをユーザに通知する。具体的には、表示処理は、望ましい車速、望ましい運転時間及び運転距離、及び望ましい暖機時間等をユーザに通知する。表示処理は、望ましい運転パターンが記載されたマニュアルを参照するようユーザに通知してもよい。ユーザが望ましい運転パターンにて車両10を運転することで、エンジン11から排出される排気の温度が上昇する。これによって、排気通路33に設けられたフィルタ37の温度が上昇し、フィルタ37中の粒子状物質が燃焼する。これにより、フィルタ37から粒子状物質が除去される。すなわち、フィルタ37が再生される。
【0037】
これに代えて、表示処理は、上述したフィルタ再生処理の実行を推奨してもよい。例えば、表示処理は、フィルタ再生処理の実行を許可するか否かユーザに問い合わせてもよい。
【0038】
このように、フィルタ37を再生するためには、エンジン11が稼働していることが前提となっている。CDモード中においてはエンジン11の稼働を禁止している。このため、CDモード中においてはエンジン11を用いたフィルタ37の再生ができない。このため、CDモード中において、エンジン11を用いたフィルタ37の再生を実行するようユーザに通知すると、ユーザは不安感を覚える可能性がある。上述したように、制御装置39は、推定したPM堆積量が第1所定値以上であっても制御モードがCDモードである場合には、表示処理を実行しない。これにより、表示処理に起因したユーザの不安感を抑制できる。
【0039】
第1の実施形態の作用について説明する。
制御モードがCSモードである場合、エンジン11において燃焼が行われ得る。このため、制御モードがCSモードである場合、エンジン11から排出される排気がPM堆積量を増大させる可能性がある。これに対し、制御モードがCDモードである場合、エンジン11において燃焼が行われず、PM堆積量は増大しない。
【0040】
したがって、PM堆積量が増大して第1所定値を上回るのは、制御モードがCDモードであるときではなく、CSモードであるときである。PM堆積量が増大して第1所定値を上回るタイミングにおいて、表示要求フラグがOnとなり(S304)、表示処理が実行される(S404)。
【0041】
表示要求フラグがOnからOffに切り替わる前に、制御モードがCDモードに切り替わる場合がある。係る場合、表示要求フラグがOnであるにもかかわらず、表示処理が実行されなくなる(S406)。すなわち、この場合には、CSモードのときに実行されていた表示処理が、制御モードがCDモードに切り替わったときに停止され、表示が消される。
【0042】
第1の実施形態の効果について説明する。
(1)CSモードと比較してCDモードにおいてはエンジン11の使用が制限されている。このため、CDモード中においてエンジン11を使用してフィルタ37を十分に再生することは困難である。このため、CDモード中においてフィルタ37の再生が必要であるとユーザに表示すると、ユーザに不安感が生じる可能性がある。すなわち、フィルタ37を十分に再生することが困難である状況においてフィルタ37の再生が必要であるとユーザに表示すると、ユーザに不安感が生じる可能性がある。上記構成では、CDモード中においては、推定されたPM堆積量が第1所定値以上であっても、フィルタ37の再生が必要であるとユーザに表示されない。このため、CDモード中において表示処理をユーザに行うことに起因して生じ得るユーザの不安感を抑制できる。
【0043】
(2)CDモードではエンジン11の使用が禁止されている。このため、CDモードでは、エンジン11を使用して粒子状物質をフィルタ37から除去することが不可能である。本開示に係るハイブリッド車両制御装置は、制御モードがCDモードを含む場合において特に有用である。
【0044】
(第2の実施形態)
図5及び図6を参照して、第2の実施形態に係る処理を説明する。第1の実施形態では、表示要求フラグがOnである最中に制御モードがCSモードからCDモードに切り替わる場合、直ちに表示処理が停止される。これに対し、第2の実施形態では、表示要求フラグがOnである最中に制御モードがCSモードからCDモードに切り替わる場合、制御装置39は、ユーザにフィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせる。そして、ユーザがフィルタ37の再生を許可しない場合、表示処理が実行されなくなる。なお、第2の実施形態に係る表示処理は、第1の実施形態に係る表示処理と同様の処理である。
【0045】
制御装置39は、図5に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。
制御装置39は、表示禁止フラグがOffであるか否か判定する(S500)。表示禁止フラグは、初期設定ではOffになっている。表示禁止フラグは、S516においてOnになった場合、図6に示す処理を通じてOffにされる。制御装置39は、表示禁止フラグがOffである場合(S500:Yes)、S502に進む。制御装置39は、表示禁止フラグがOffでない場合(S500:No)、本フローを終了する。すなわち、表示禁止フラグがOnである場合、S502~S518の処理が行われない。
【0046】
制御装置39は、表示要求フラグがOnであるか否かを判定する(S502)。制御装置39は、表示要求フラグがOnである場合(S502:Yes)、S504に進む。制御装置39は、表示要求フラグがOnでない場合(S502:No)、S518に進む。制御装置39は、表示処理を実行せず(S518)、本フローを終了する。
【0047】
制御装置39は、制御モードがCSモードであるか否かを判定する(S504)。制御装置39は、制御モードがCSモードである場合(S504:Yes)、S506に進む。制御装置39は、表示処理を実行し(S506)、本フローを終了する。制御装置39は、制御モードがCSモードでない場合(S504:No)、S508に進む。
【0048】
制御装置39は、フィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせる(S508)。すなわち、制御装置39は、推定したPM堆積量が第1所定値以上であり且つ制御モードがCDモードであると判定した場合、フィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせる。これは、S502、S504、及びS508の処理に相当する。次いで、制御装置39は、S510に進む。
【0049】
制御装置39は、フィルタ37の再生を許可することを示すユーザの入力を受信したか否かを判定する(S510)。制御装置39は、フィルタ37の再生を許可することを示すユーザの入力を受信した場合(S510:Yes)、S512に進み、制御モードをCSモードに切り替える。次いで、制御装置39は、S514に進み上述したフィルタ再生処理を実行し、本フローを終了する。なお、フィルタ再生処理は、表示要求フラグがOffになるまで継続されてもよい。制御装置39は、フィルタ37の再生を許可しないことを示すユーザの入力を受信した場合(S510:No)、S516に進み表示処理を禁止し、本フローを終了する。表示処理を禁止することは、表示禁止フラグをOnにすること、及び、表示処理を実行しないことを意味する。
【0050】
図6を参照して、表示禁止フラグがOnにされることを条件に実行される、表示禁止フラグをOffにするための処理を説明する。
制御装置39は、カウンタ値iを0に設定し(S600)、S602に進む。制御装置39は、カウンタ値iのインクリメントを行い(S602)、S604に進む。制御装置39は、カウンタ値iが判定値Nに到達したか否かを判定する(S604)。制御装置39は、カウンタ値iが判定値Nに到達していない場合(S604:No)、S602に進み、処理を継続する。制御装置39は、カウンタ値iが判定値Nに到達した場合(S604:Yes)、S606に進む。制御装置39は、表示禁止フラグをOffにし(S606)、本フローを終了する。
【0051】
このように、表示禁止フラグがOnになった時点から所定時間経過すると、表示禁止フラグはOnからOffに切り替わる。所定時間は、S602の処理をN回繰り返すのにかかる時間に対応する。ユーザがフィルタ37の再生を許可しない場合(S510:No)、表示禁止フラグはOnとなる(S516)。表示禁止フラグがOnとなった時点から所定時間経過するまでは、フィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせるS508の処理が実行されない。
【0052】
第2の実施形態の作用について説明する。
PM堆積量が増大して第1所定値を上回るのは、制御モードがCDモードであるときではなく、CSモードであるときである。PM堆積量が増大して第1所定値を上回るタイミングにおいて、表示要求フラグがOnとなり(S304)、表示処理が実行される(S506)。
【0053】
表示要求フラグがOffに切り替わる前に、制御モードがCDモードに切り替わる場合がある。係る場合、制御装置39は、フィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせる(S508)。制御装置39は、フィルタ37の再生を許可しないことを示すユーザの入力を受信した場合(S510:No)、S516に進み表示処理を禁止する。このため、制御装置39は、表示要求フラグがOnである最中に制御モードがCSモードからCDモードに切り替わる場合、フィルタ37の再生を許可するか否かをユーザに問い合わせる。
【0054】
第2の実施形態の効果について説明する。第2の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)及び(2)効果に加えて、以下の効果が得られる。
(3)CDモード中においてPM堆積量が第1所定値以上であるときに、ユーザがフィルタ37の再生を許可する場合がある。係る場合には、制御装置39は、制御モードをCSモードに切り替えてエンジン11の稼働機会を増やす。これによりフィルタ37を再生できる。
【0055】
(4)CDモード中においてPM堆積量が第1所定値以上であるときに、ユーザがフィルタ37の再生を許可しない場合がある。係る場合には、制御装置39は、表示処理を禁止する。このため、ユーザがフィルタ37を再生する意思がないとき、表示処理に起因した不快感を抑制できる。
【0056】
上記第1及び第2の実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1及び第2の実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・上記第1及び第2の実施形態では、車両10は、第1モータ12及び第2モータ13を備えている。しかしながら、車両10を駆動するためのモータの数は変更可能である。
・上記第1及び第2の実施形態では、車両10は、プラグインハイブリッド車両である。しかしながら、これは例示に過ぎず、車両10は、ハイブリッド車両であってもよい。すなわち、外部電源29と接続可能な電源コネクタ30は省略可能である。
【0058】
・上記第1及び第2の実施形態では、制御装置39は、エンジン11と第1モータ12と第2モータ13との制御を規定する制御モードとして、CDモードとCSモードとを切り替え可能である。しかしながら、これは例示に過ぎない。制御装置39は、CDモードに代えて、エンジン11を使用して十分にフィルタ37を再生できない程度にエンジン11の使用を制限する第1モードを有していてもよい。制御装置39は、CSモードに代えて、エンジン11を使用してフィルタ37を再生できる程度にエンジン11の使用を許容する第2モードを有していてもよい。すなわち、制御装置39は、第2モードと比較してエンジン11の使用が制限されている第1モードを有していてもよい。例えば、第1モードとしては、エンジン11の出力を制限して燃料消費量の低減を図るエコモードが考えられる。制御装置39は、エコモード中において、部分的にフィルタ37を再生し得る。
【0059】
・上記第1及び第2の実施形態では、制御装置39は、アクセル開度ACCPや車速V、蓄電率SOC等に基づいてCDモードとCSモードとの切り替えを自動的に行っている。しかしながら、これは例示に過ぎない。例えば、ユーザが制御モードを決定してもよい。
【0060】
・上記第1の実施形態では、制御装置39は、制御モードがCDモードである場合表示処理を実行しない。さらに、制御装置39は、制御モードがCDモードである場合、フィルタ37の再生ができない旨を表示する処理を実行してもよい。
【0061】
・上記第1及び第2の実施形態では、制御装置39は、CSモードにおいて蓄電率SOCの目標値を増加させることによって、エンジン11の負荷を増大させることを通じてフィルタ再生処理を実行する。しかしながら、これは例示に過ぎない。フィルタ再生処理は、エンジン11を使用して粒子状物質をフィルタ37から除去することができる制御であればよい。例えば、フィルタ再生処理において、フィルタ37は、ディザ制御を通じて昇温されてもよい。ディザ制御では、複数の気筒31のうちの一部をリッチ気筒に設定し、残りの気筒をリーン気筒に設定する。ここで、リッチ気筒では、理論空燃比よりも低い空燃比で燃焼が行われる。リーン気筒では、理論空燃比よりも高い空燃比で燃焼が行われる。余剰酸素を多く含んだリーン気筒の排気がフィルタ37に流入し、フィルタ37内の酸素が増大する。次いで、未燃燃料を多く含んだリッチ気筒の排気がフィルタ37に流入し、未燃燃料が燃焼する。これによって、フィルタ37の昇温を促進している。
【0062】
こうしたディザ制御は、ディザ制御の実行許可条件が成立している場合に実行される。ディザ制御の実行許可条件は、例えば、エンジン11が始動してからの吸入空気量の積算値InGが閾値InGth以上であるとき、成立していると判定される。実行許可条件は、フィルタ37の上流側の端部の温度が、触媒活性温度に達していることを判定するための条件である。実行許可条件は、リッチ燃焼気筒から流出した未燃燃料成分や不完全燃焼成分と、リーン燃焼気筒から流出した酸素との反応を促進し、効果的にフィルタ37を昇温するための条件である。ちなみに、積算値InGは、エンジン11の始動時以降において燃焼室において混合気が燃焼することにより生じた熱エネルギの総量と相関を有する量として利用している。また、ディザ制御は、フィルタ37が全体に渡って触媒活性温度となるまでの期間において実行されてもよい。
【0063】
フィルタ再生処理は、上記の他、単気筒フューエルカットを通じて実行されてもよい。係る場合、フューエルカットが行われる気筒は、ディザ制御におけるリーン気筒に相当する。フィルタ再生処理は、点火時期を遅角する処理を通じて実行されてもよい。フィルタ再生処理は、燃料を一定にした状態で空燃比を高くする処理を通じて実行されてもよい。フィルタ再生処理は、排気ガス再循環(EGR)を抑制する処理を通じて実行されてもよい。フィルタ再生処理は、エンジン11の回転数の下限値を引き上げる処理を通じて実行されてもよい。制御装置39は、フィルタ再生処理中に車両10の駆動トルクに対するエンジン11のトルクの寄与度を、フィルタ37を再生しない場合よりも増やすことによって、フィルタ37を再生してもよい。駆動トルクに対するエンジン11のトルクの寄与度は、エンジン11が積極的に使用されてエンジン11の回転数の変化が車速Vに反映されやすいモードを選択することによって増やされてもよい。
【0064】
・上記第2の実施形態では、制御装置39は、フィルタ37の再生を許可することを示すユーザの入力を受信した場合、車両10をCSモードに切り替え、フィルタ再生処理を実行する。これを次のように変更してもよい。制御装置39は、フィルタ37の再生を許可することを示すユーザの入力を受信した場合、車両10をCSモードに切り替える。そして、制御装置39は、望ましい運転パターンをユーザに通知する。すなわち、フィルタ再生処理は省略されてもよい。
【0065】
・上記第2の実施形態では、表示禁止フラグは、Onになった後、所定時間が経過するとOffにされる(図6参照)。しかしながら、これは例示に過ぎない。例えば、表示禁止フラグは、制御モードがCSモードに切り替わるときにOffにされてもよい。
【0066】
・上記第2の実施形態では、制御装置39は、制御モードをCDモードからCSモードに切り替えてフィルタ再生処理を実行し、フローを完了する(S512及びS514)。制御装置39は、表示要求フラグがOffになることを条件に、フィルタ再生処理を終了し、制御モードをCSモードからCDモードに切り替えてもよい。
【0067】
・上記第1及び第2の実施形態では、制御装置39は、CPUとROMとRAMとを備えて、ソフトウェア処理を実行する。しかしながら、これは例示に過ぎない。例えば、制御装置39は、上記実施形態において実行されるソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(例えばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置39は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)制御装置39は、プログラムに従って全ての処理を実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。すなわち、制御装置39は、ソフトウェア実行装置を備える。(b)制御装置39は、プログラムに従って処理の一部を実行する処理装置と、プログラム格納装置とを備える。さらに、制御装置39は、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路を備える。(c)制御装置39は、全ての処理を実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、ソフトウェア実行装置、及び/又は、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、ソフトウェア実行装置及び専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路(processing circuitry)によって実行され得る。処理回路に含まれるソフトウェア実行装置及び専用のハードウェア回路は複数であってもよい。プログラム格納装置すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【符号の説明】
【0068】
10…ハイブリッド車両(車両)
11…エンジン
12…第1モータ
13…第2モータ
27…パワーコントロールユニット(PCU)
37…フィルタ
38…エンジン制御部
39…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6