(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】運行管理装置、システム、運行管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20230926BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230926BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230926BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G08G1/09 F
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2020176951
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】東出 宇史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慶一
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160836(JP,A)
【文献】特開昭54-071600(JP,A)
【文献】特開2020-140351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを決定する制御部を備え
、
前記制御部は、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの前記第1車両の残り周回数に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定する運行管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り周回数が閾値未満である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定する請求項
1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記閾値は1である請求項
2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを決定する制御部を備え
、
前記制御部は、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの残り時間に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定する運行管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り時間が前記第2車両の投入準備に要する時間以下である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定する請求項
4に記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記第1車両及び前記第2車両は、それぞれ運転手なしで運行可能な周回バスである請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の運行管理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の運行管理装置と、
前記第1車両及び前記第2車両を含む複数台の車両と
を備えるシステム。
【請求項8】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置
が決定することを含
み、
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの前記第1車両の残り周回数に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定することを含む運行管理方法。
【請求項9】
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り周回数が閾値未満である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定することを含む請求項
8に記載の運行管理方法。
【請求項10】
前記閾値は1である請求項
9に記載の運行管理方法。
【請求項11】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置
が決定することを含
み、
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの残り時間に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定することを含む運行管理方法。
【請求項12】
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り時間が前記第2車両の投入準備に要する時間以下である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定することを含む請求項
11に記載の運行管理方法。
【請求項13】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置により決定することを含む動作をコンピュータに実行させ
、
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの前記第1車両の残り周回数に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定することを含むプログラム。
【請求項14】
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り周回数が閾値未満である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定することを含む請求項
13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記閾値は1である請求項
14に記載のプログラム。
【請求項16】
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置により決定することを含む動作をコンピュータに実行させ
、
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における、前記入替え時点までの残り時間に応じて、前記入替え時点まで前記第2車両を運行するかどうかを決定することを含むプログラム。
【請求項17】
前記決定することは、前記第1車両が運行不能になった時点における前記残り時間が前記第2車両の投入準備に要する時間以下である場合に、前記入替え時点まで前記第2車両を運行しないことを決定することを含む請求項
16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行管理装置、システム、運行管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周回する電動車両の入替えに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Nを1以上の整数としたとき、周回する電動車両をN周ごとに入れ替えて、充電などの整備を行うことが考えられるが、故障などの要因で車両が運行不能になった場合は、次の車両入替えまで運行が長時間停止するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、通常の車両入替えとは別に、操作による車両入替えを実施できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運行管理装置は、
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを決定する制御部を備える。
【0007】
本開示に係る運行管理方法は、
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置により決定することを含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、
周回する車両を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両が運行不能になった場合に、前記スケジュールで定められた、前記第1車両を入れ替える時点である入替え時点まで前記第1車両を代替する第2車両を運行するかどうかを運行管理装置により決定することを含む動作をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、通常の車両入替えとは別に、操作による車両入替えを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る運行管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るシステムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に係る車両が通行するルートの例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る車両を運行するためのスケジュールの例を示す図である。
【
図6】
図5に示したスケジュールが変更される例を示す図である。
【
図7】
図5に示したスケジュールが変更される別の例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態の一変形例に係るシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0012】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係るシステム10の構成を説明する。
【0014】
システム10は、少なくとも1台の運行管理装置20と、少なくとも1台の第1端末装置30と、複数台の車両40と、複数台の第2端末装置50とを備える。運行管理装置20は、ネットワーク60を介して、第1端末装置30、複数台の車両40、及び複数台の第2端末装置50と通信可能である。第1端末装置30は、複数台の車両40、及び複数台の第2端末装置50と通信可能であってもよい。それぞれの車両40は、対応する第2端末装置50と通信可能であってもよい。
【0015】
運行管理装置20は、データセンタなどの施設に設置される。運行管理装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
【0016】
第1端末装置30は、運行管理室に設置され、複数台の車両40の運行を管理する管理者11によって利用される。第1端末装置30は、例えば、PCなどの汎用機器、又は専用機器である。「PC」は、personal computerの略語である。
【0017】
複数台の車両40は、スケジュールに沿って、周回するように運行される。スケジュールとは、周回する車両40を入れ替える時点を定めた計画のことである。スケジュールにおいて、それぞれの車両40がいつ、どこに位置すべきかが定められてもよい。「どこ」には、例えば、それぞれの車両40が出発する地点、それぞれの車両40が乗客の乗降のために停留する地点、又はそれぞれの車両40が最終的に到着する地点が含まれる。「いつ」には、例えば、各地点に対応する時刻、すなわち、それぞれの車両40が出発する時刻、それぞれの車両40が乗客の乗降のために停留する時刻、又はそれぞれの車両40が最終的に到着する時刻が含まれる。スケジュールにおいて、それぞれの車両40が停留する地点ごとに、それぞれの車両40の停留時間が定められてもよい。
【0018】
それぞれの車両40は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV、PHV、EV、又はFCVなどの任意の種類の自動車である。「HV」は、hybrid vehicleの略語である。「PHV」は、plug-in hybrid vehicleの略語である。「EV」は、electric vehicleの略語である。「FCV」は、fuel cell vehicleの略語である。それぞれの車両40は、本実施形態ではAVであるが、運転手によって運転されてもよいし、又は任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。「AV」は、autonomous vehicleの略語である。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。それぞれの車両40は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0019】
それぞれの第2端末装置50は、対応する車両40の運行を支援する搭乗員12によって保持され、搭乗員12によって利用される。それぞれの第2端末装置50は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、又はタブレットなどのモバイル機器である。
【0020】
ネットワーク60は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク60は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0021】
本実施形態の一変形例として、第1端末装置30は、運行管理室に設置される代わりに、管理者11によって保持されてもよい。そのような変形例において、第1端末装置30は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、又はタブレットなどのモバイル機器である。
【0022】
本実施形態の一変形例として、それぞれの第2端末装置50は、搭乗員12によって保持される代わりに、対応する車両40に搭載されてもよい。そのような変形例において、それぞれの第2端末装置50は、例えば、カーナビゲーション機器又は専用機器である。
【0023】
【0024】
運行管理装置20は、周回する車両40を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両41が運行不能になった場合に、スケジュールで定められた、第1車両41を入れ替える時点である入替え時点まで第1車両41を代替する第2車両42を運行するかどうかを決定する。したがって、本実施形態によれば、通常の車両入替えとは別に、操作による車両入替えを実施することができる。
【0025】
第1車両41が最終周であるなど、入替え時点までに第2車両42の投入準備が間に合わない場合は、無理に車両入替えをしようとすると、通常の車両入替えと、操作による車両入替えとが競合する。しかし、本実施形態では、運行管理装置20は、第1車両41が運行不能になった時点における、入替え時点までの第1車両41の残り周回数に応じて、入替え時点まで第2車両42を運行するかどうかを決定する。したがって、本実施形態によれば、通常の車両入替えと、操作による車両入替えとの競合を防ぐことができる。
【0026】
図2を参照して、本実施形態に係る運行管理装置20の構成を説明する。
【0027】
運行管理装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0028】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、運行管理装置20の各部を制御しながら、運行管理装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0029】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、運行管理装置20の動作に用いられるデータと、運行管理装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0030】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、運行管理装置20の動作に用いられるデータを受信し、また運行管理装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0031】
運行管理装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、運行管理装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、運行管理装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを運行管理装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って運行管理装置20の動作を実行することにより運行管理装置20として機能する。
【0032】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0033】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0034】
運行管理装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、運行管理装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0035】
図3を参照して、本実施形態に係るシステム10の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る運行管理方法に相当する。
【0036】
ステップS101において、運行管理装置20の制御部21は、周回する車両40を入れ替える時点を定めたスケジュールを参照する。スケジュールは、運行管理装置20の記憶部22、又は外部のストレージに予め記憶されている。制御部21は、現時点が入替え時点であるかどうかを判定する。入替え時点とは、スケジュールで定められた、第1車両41を入れ替える時点のことである。第1車両41とは、現時点で周回中の車両40のことである。制御部21は、現時点が入替え時点である場合、現時点で通常の車両入替えを実施することを決定する。そして、ステップS102の処理が実行される。制御部21は、現時点が入替え時点でない場合、現時点では通常の車両入替えを実施しないことを決定する。そして、ステップS103の処理が実行される。
【0037】
ステップS102において、通常の車両入替えが実施される。通常の車両入替えは、任意の手順で実施されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実施される。
【0038】
運行管理装置20の制御部21は、車両入替えを指示する第1指示データを通信部23に送信させる。通信部23は、第1指示データを第1車両41及び交替車両に送信する。交替車両とは、スケジュールで定められた、第1車両41に代わって周回を開始する車両40のことである。
【0039】
第1車両41は、LTE、4G規格、又は5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された第1指示データを運行管理装置20から受信する。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th generationの略語である。「5G」は、5th generationの略語である。第1車両41は、受信した第1指示データに従って周回を終了し、
図4に示すような車庫13に戻る。
【0040】
交替車両は、LTE、4G規格、又は5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された第1指示データを運行管理装置20から受信する。交替車両は、受信した第1指示データに従って車庫13から出て、周回を開始する。この時点からは、交替車両が第1車両41となる。
【0041】
車両入替え後は、ステップS101の処理が再び実行される。
【0042】
ステップS103において、運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行可能であるかどうかを判定する。この処理は、任意の手順で実行されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実行される。
【0043】
運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行可能であるかどうかを問い合わせる問合せデータを通信部23に送信させる。通信部23は、問合せデータを第1車両41に送信する。
【0044】
第1車両41は、移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された問合せデータを受信する。第1車両41は、受信した問合せデータに応じて、移動通信規格に対応したインタフェースを介して、第1車両41が運行可能であるかどうかを示す状態データを運行管理装置20に送信する。第1車両41は、故障などの要因で運行不能になった場合、運行不能になったことを独自に検知してもよいし、又は運行不能になったことを搭乗員12から通知されてもよい。後者の場合、第1車両41は、移動通信規格に対応したインタフェース、若しくはBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に対応したインタフェースを介して、運行不能になったことを通知するデータを第2端末装置50から受信する。
【0045】
運行管理装置20の通信部23は、送信された状態データを第1車両41から受信する。運行管理装置20の制御部21は、通信部23により受信された状態データを取得する。制御部21は、取得した状態データを参照することで、第1車両41が運行可能であるかどうかを判定する。
【0046】
状態データは、運行管理装置20からの問合せなしに第1車両41から運行管理装置20に送信されてもよい。例えば、状態データは、定期的に、又は故障など、第1車両41の運行に影響を及ぼすイベントが発生したときに第1車両41から運行管理装置20に送信されてもよい。
【0047】
第1車両41が運行可能であれば、ステップS101の処理が再び実行される。第1車両41が運行不能であれば、ステップS104の処理が実行される。
【0048】
ステップS104において、運行管理装置20の制御部21は、スケジュールに沿って運行されていた第1車両41が運行不能になったことを管理者11に通知する。この処理は、任意の手順で実行されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実行される。
【0049】
運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行不能になったことを通知する通知データを通信部23に送信させる。通信部23は、通知データを第1端末装置30に送信する。
【0050】
第1端末装置30は、LANインタフェース、又はLTE、4G規格、若しくは5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された通知データを運行管理装置20から受信する。第1端末装置30は、受信した通知データをLCD又は有機ELディスプレイなどのディスプレイに表示する。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。第1端末装置30は、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクなどのインタフェースを介して、第1車両41を代替する第2車両42を投入するかどうかを選択する操作を管理者11から受け付ける。第1端末装置30は、第2車両42を投入することが選択された場合、移動通信規格に対応したインタフェースを介して、操作による車両入替えを実施することを要求する要求データを運行管理装置20に送信する。
【0051】
運行管理装置20の通信部23は、送信された要求データを第1端末装置30から受信する。運行管理装置20の制御部21は、通信部23により受信された要求データを取得する。
【0052】
ステップS105において、運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行不能になった時点における、入替え時点までの第1車両41の残り周回数を閾値Thと比較する。閾値Thは、本実施形態では1であるが、2でもよい。制御部21は、残り周回数が閾値Th未満である場合、入替え時点まで第2車両42を運行しないことを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施しないことを決定する。具体的には、制御部21は、ステップS104で要求データを取得していても、管理者11からの要求に応じないことを決定し、要求に応じないことを管理者11に通知する。そして、ステップS101の処理が再び実行される。制御部21は、残り周回数が閾値Th以上である場合、入替え時点まで第2車両42を運行することを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施することを決定する。具体的には、制御部21は、ステップS104で要求データを取得していれば、管理者11からの要求に応じることを決定し、要求に応じることを管理者11に通知する。そして、ステップS106の処理が実行される。制御部21は、ステップS104で要求データを取得していなければ、操作による車両入替えを実施しないことを決定してもよい。その場合は、ステップS101の処理が再び実行される。
【0053】
ステップS106において、操作による車両入替えが実施される。操作による車両入替えは、任意の手順で実施されてよいが、本実施形態では、以下の手順で実施される。
【0054】
運行管理装置20の制御部21は、車両入替えを指示する第2指示データを通信部23に送信させる。通信部23は、第2指示データを第1車両41及び第2車両42に送信する。第2車両42とは、単なる交替車両と異なり、スケジュールで定められていない、第1車両41に代わって周回を開始する車両40のことである。
【0055】
第1車両41は、移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された第2指示データを運行管理装置20から受信する。第1車両41は、受信した第2指示データに従って車庫13に戻る。あるいは、第1車両41は、自力で戻れない場合は牽引車によって車庫13に戻される。
【0056】
第2車両42は、LTE、4G規格、又は5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された第2指示データを運行管理装置20から受信する。第2車両42は、受信した第2指示データに従って車庫13から出て、周回を開始する。この時点からは、第2車両42が第1車両41となる。
【0057】
車両入替え後は、ステップS101の処理が再び実行される。
【0058】
図4から
図7を参照して、本実施形態に係るシステム10の動作の具体例を説明する。
【0059】
図4に示すように、本例では、それぞれ車両40に相当する7台の周回バスのうち、3台の周回バスがルート15を周回し、残りの4台の周回バスが車庫13で待機する。それぞれの周回バスは、運転手なしで運行可能なAVである。それぞれの周回バスは、EVでもあり、待機中に車庫13内の充電設備14を用いて充電される。それぞれの周回バスは、スケジュールに従って、車庫13を出発し、ルート15上の停留所P1、停留所P2、及び停留所P3で乗客の乗降のために停留し、最終的に車庫13に到着する。
【0060】
図5に示すように、本例では、周回バスB1、周回バスB2、及び周回バスB3が、1周ずつ遅れて車庫13を順番に出る。周回バスB1、周回バスB2、及び周回バスB3は、それぞれルート15を5周し、車庫13に順番に戻る。車庫13に戻った周回バスB1、周回バスB2、及び周回バスB3と入れ替わるように、周回バスB4、周回バスB5、及び周回バスB6が、1周ずつ遅れて車庫13を順番に出る。周回バスB4、周回バスB5、及び周回バスB6は、それぞれルート15を5周し、車庫13に順番に戻る。車庫13に戻った周回バスB4、周回バスB5、及び周回バスB6と入れ替わるように、周回バスB1、周回バスB2、及び周回バスB3が、1周ずつ遅れて再び車庫13を順番に出る。以降、同様に周回バスの運行が繰り返される。
【0061】
スケジュールにおいて、それぞれの周回バスが車庫13を何時に出て、停留所P1、停留所P2、及び停留所P3に何時に着き、何分間停留し、車庫13に何時に戻るべきかが定められている。本例では、それぞれの周回バスが車庫13に戻る直前に停留所P3に停留したときには、乗客全員が降車しなければならず、1人も乗車することができないものとする。
【0062】
図6に示すように、周回バスB2が3周目の途中で故障などの要因により運行不能になったとする。
【0063】
ステップS101において、運行管理装置20の制御部21は、現時点が入替え時点であるかどうかを判定する。現時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた3周目の途中の時点である。入替え時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた5周目の終わりの時点である。制御部21は、現時点が入替え時点でないため、現時点では通常の車両入替えを実施しないことを決定する。
【0064】
ステップS103において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能であると判定する。
【0065】
ステップS104において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能になったことを通知する通知データを通信部23に送信させる。第1端末装置30は、送信された通知データをディスプレイに表示する。第1端末装置30は、第1車両41に相当する周回バスB2を代替する第2車両42として、予備の周回バスB7を投入するかどうかを選択する操作を管理者11から受け付ける。第1端末装置30は、周回バスB7を投入することが選択されたとすると、操作による車両入替えを実施することを要求する要求データを運行管理装置20に送信する。運行管理装置20の制御部21は、送信された要求データを取得する。
【0066】
ステップS105において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能になった時点における、入替え時点までの周回バスB2の残り周回数を閾値Thと比較する。周回バスB2の残り周回数は2周である。閾値Thは1である。制御部21は、残り周回数が閾値Th以上であるため、入替え時点まで周回バスB7を運行することを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施することを決定する。制御部21は、要求に応じることを管理者11に通知する。
【0067】
ステップS106において、操作による車両入替えが実施される。具体的には、運行管理装置20の制御部21は、車両入替えを指示する第2指示データを通信部23に送信させる。周回バスB2は、送信された第2指示データに従って車庫13に戻る。あるいは、周回バスB2は、自力で戻れない場合は牽引車によって車庫13に戻される。周回バスB7は、送信された第2指示データに従って車庫13から出て、周回を開始する。周回バスB7が周回を開始する時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた4周目の始まりの時点である。
【0068】
周回バスB7は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた入替え時点まで運行される。つまり、周回バスB7が周回を終了する時点、すなわち、周回バスB7に対して通常の車両入替えが実施される時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた5周目の終わりの時点である。以降、本例では、周回バスB7が周回バスB2を代替するように運行される。例えば、全体の11周目と12周目との間では、通常の車両入替えが実施され、周回バスB7が周回バスB5との入替りで周回を開始する。
【0069】
図7に示すように、周回バスB2が5周目の途中で故障などの要因により運行不能になったとする。
【0070】
ステップS101において、運行管理装置20の制御部21は、現時点が入替え時点であるかどうかを判定する。現時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた5周目の途中の時点である。入替え時点は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた5周目の終わりの時点である。制御部21は、現時点が入替え時点でないため、現時点では通常の車両入替えを実施しないことを決定する。
【0071】
ステップS103において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能であると判定する。
【0072】
ステップS104において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能になったことを通知する通知データを通信部23に送信させる。第1端末装置30は、送信された通知データをディスプレイに表示する。第1端末装置30は、第1車両41に相当する周回バスB2を代替する第2車両42として、予備の周回バスB7を投入するかどうかを選択する操作を管理者11から受け付ける。第1端末装置30は、周回バスB7を投入することが選択されたとすると、操作による車両入替えを実施することを要求する要求データを運行管理装置20に送信する。運行管理装置20の制御部21は、送信された要求データを取得する。
【0073】
ステップS105において、運行管理装置20の制御部21は、周回バスB2が運行不能になった時点における、入替え時点までの周回バスB2の残り周回数を閾値Thと比較する。周回バスB2の残り周回数は0周である。閾値Thは1である。制御部21は、残り周回数が閾値Th未満であるため、入替え時点まで周回バスB7を運行しないことを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施しないことを決定する。制御部21は、要求に応じないことを管理者11に通知する。
【0074】
周回バスB7は、周回バスB2に対してスケジュールで定められた入替え時点までは運行されない。しかし、周回バスB2に対してスケジュールで定められた入替え時点以降は、本例では、周回バスB7が周回バスB2を代替するように運行される。例えば、全体の11周目と12周目との間では、通常の車両入替えが実施され、周回バスB7が周回バスB5との入替りで周回を開始する。
【0075】
上述のように、本実施形態では、運行管理装置20の制御部21は、周回する車両40を入れ替える時点を定めたスケジュールに沿って運行されていた第1車両41が運行不能になった場合に、スケジュールで定められた、第1車両41を入れ替える時点である入替え時点まで第1車両41を代替する第2車両42を運行するかどうかを決定する。具体的には、制御部21は、第1車両41が運行不能になった時点における、入替え時点までの第1車両41の残り周回数に応じて、入替え時点まで第2車両42を運行するかどうかを決定する。したがって、本実施形態によれば、通常の車両入替えと、操作による車両入替えとの競合を防ぐことができる。
【0076】
本実施形態の一変形例として、運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行不能になった時点における、入替え時点までの残り「時間」に応じて、入替え時点まで第2車両42を運行するかどうかを決定してもよい。この変形例によれば、第1車両41が運行不能になった時点における残り「周回数」に応じて、入替え時点まで第2車両42を運行するかどうかを決定する場合と同様に、通常の車両入替えと、操作による車両入替えとの競合を防ぐことができる。
【0077】
図8を参照して、この変形例に係るシステム10の動作を説明する。この動作は、この変形例に係る運行管理方法に相当する。
【0078】
ステップS201からステップS204の処理については、
図3のステップS101からステップS104の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0079】
ステップS205において、運行管理装置20の制御部21は、第1車両41が運行不能になった時点における、入替え時点までの残り時間を第2車両42の投入準備に要する時間Tiと比較する。時間Tiは、例えば、第2車両42に搭乗員12が乗り込む時間を含む。制御部21は、残り時間が時間Ti以下である場合、入替え時点まで第2車両42を運行しないことを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施しないことを決定する。具体的には、制御部21は、ステップS204で要求データを取得していても、管理者11からの要求に応じないことを決定し、要求に応じないことを管理者11に通知する。そして、ステップS201の処理が再び実行される。制御部21は、残り時間が時間Tiよりも長い場合、入替え時点まで第2車両42を運行することを決定する。すなわち、制御部21は、操作による車両入替えを実施することを決定する。具体的には、制御部21は、ステップS204で要求データを取得していれば、管理者11からの要求に応じることを決定し、要求に応じることを管理者11に通知する。そして、ステップS206の処理が実行される。制御部21は、ステップS204で要求データを取得していなければ、操作による車両入替えを実施しないことを決定してもよい。その場合は、ステップS201の処理が再び実行される。
【0080】
ステップS206の処理については、
図3のステップS106の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0081】
本実施形態の別の変形例として、第1車両41が運行不能になった場合に、第1車両41が運行不能になった地点が臨時の停留所として設定されてもよい。例えば、その停留所で、第1車両41に乗っていた乗客全員が降車してもよい。操作による車両入替えが実施された場合に、その停留所から第2車両42の運行が開始されてもよい。
【0082】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 システム
11 管理者
12 搭乗員
13 車庫
14 充電設備
15 ルート
20 運行管理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 第1端末装置
40 車両
41 第1車両
42 第2車両
50 第2端末装置
60 ネットワーク