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  • 特許-車両用計器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】車両用計器
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230926BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60R16/02 630A
B60K35/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020541272
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2019034813
(87)【国際公開番号】W WO2020050323
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2018167337
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小黒 真
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001515(JP,A)
【文献】特開昭58-219858(JP,A)
【文献】特開平09-246973(JP,A)
【文献】特開平11-283456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作スイッチ群の状態を入力する入力部と、
前記入力部から入力された前記操作スイッチ群の状態に対応する実効電圧となるDuty比のパルス幅変調信号を出力する出力部と、
前記操作スイッチ群の状態と前記パルス幅変調信号の実効電圧との対応関係を表す変換テーブルを記憶する記憶部と、を備え、
前記変換テーブルは、前記操作スイッチ群の状態の組み合わせの出現頻度が高いほど前記パルス幅変調信号の実効電圧が小さくなるように対応付けられている、
車両用計器。
【請求項2】
前記操作スイッチ群の状態は、OFF状態、ON状態を含み、
前記変換テーブルは、前記操作スイッチ群の状態が全て前記OFF状態であるときに前記パルス幅変調信号の実効電圧が最小になるように対応付けられている、
請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記操作スイッチ群の状態は、故障状態を含み、
前記変換テーブルは、前記操作スイッチ群のいずれかが前記故障状態であるときが前記操作スイッチ群の全てが前記故障状態でないときの状態よりも前記パルス幅変調信号の実効電圧が大きくなるように対応付けられている、
請求項2に記載の車両用計器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチの状態を外部機器にゲートウェイする車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のステアリングスイッチの状態をCAN(コントローラエリアネットワーク)を介して、車載オーディオ及び車両用計器が共有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-1515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成においては、ステアリングスイッチの状態を複数の機器が共有するために、各々の機器がそれぞれCANプロトコルを組み込んだ通信手段を持たなければならず、構成が煩雑で高価となってしまう。
【0005】
本開示は、上述した課題に鑑みて、簡易な構成で操作スイッチの状態を外部機器にゲートウェイする車両用計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用計器1は、
操作スイッチ群SWの状態を入力する入力部111と、
前記入力部111から入力された前記操作スイッチ群SWの状態に対応する実効電圧となるDuty比のパルス幅変調信号PWMを出力する出力部と、
前記操作スイッチ群の状態と前記パルス幅変調信号の実効電圧との対応関係を表す変換テーブルを記憶する記憶部と、を備え、
前記変換テーブルは、前記操作スイッチ群の状態の組み合わせの出現頻度が高いほど前記パルス幅変調信号の実効電圧が小さくなるように対応付けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡易な構成で操作スイッチの状態を外部機器にゲートウェイできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の車両用計器の正面図。
図2】本開示の車両用計器のシステムブロック図。
図3】本開示の車両用計器のスイッチ状態値と各スイッチの操作状態との対応関係を示す図。
図4】本開示の車両用計器のスイッチ状態値とパルス幅変調信号のDuty比との対応関係を示す図。
図5】本開示の車両用計器の変形例におけるスイッチ状態値と各スイッチ状態との対応関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の車両用計器を添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1を参照する。車両用計器1は、車両の走行速度やエンジン回転数などの車両情報を目盛と指針によって表示する表示部10を有する計器である。車両用計器1は、操作スイッチ群SWと外部機器EXTと電気的に接続しており、操作スイッチ群SWの状態を外部機器EXTに出力するゲートウェイ機能を有する。
【0011】
図2を参照する。車両用計器1は、表示部10を制御する制御部11を有する。制御部11は、入力部111、変換部112、出力部113を有する。
【0012】
操作スイッチ群SWは、操作スイッチSW1,SW2,SW3から構成される。操作スイッチSW1は、表示切替操作スイッチである。操作スイッチSW2は、決定操作スイッチである。操作スイッチSW3は、キャンセル操作スイッチである。
【0013】
制御部11は、例えば、CPUと揮発性メモリRAMと不揮発性メモリ(記憶部)ROMを有するマイクロコントローラ(集積制御回路)である。制御部11は、車内ネットワークLANから入力された車両情報を表示部10に表示させる。車内ネットワークLANは、例えば、CAN(コントローラエリアネットワーク)であり、制御部11は、CANプロトコルで通信するためのCANコントローラを備えている。
【0014】
また、制御部11は、操作スイッチ群SWの操作状態を外部機器EXTに出力するゲートウェイ機能を有する。このゲートウェイ機能は、入力部111、変換部112、出力部113により実現される。
【0015】
入力部111は、操作スイッチ群SWの操作状態を検出し、この検出した操作状態を変換部112に出力する。
【0016】
変換部112は、不揮発性メモリROMに予め記憶されている操作スイッチ群SWの操作状態の組み合わせと、その組み合わせに対応するスイッチ状態値SVを対応付ける変換テーブルに基づいて、入力部111から入力された操作スイッチ群SWの操作状態を表すスイッチ状態値SVに変換する。
【0017】
スイッチ状態値SVは、操作スイッチ群SWの操作状態の組み合わせを表す数値(あるいは、符号)である。
【0018】
具体的には、図3に示すように、2状態(OFF状態/ON状態)を持つ3つの操作スイッチSW1~SW3の重複のない8つの組み合わせの何れかを一意な数値0(000b)~7(111b)で表したものである。
【0019】
スイッチ状態値SVは、出現頻度が高い組み合わせほど数値が低く、出現頻度が低い組み合わせほど数値が高くなるように定義されている。具体的には、操作スイッチ群SWの操作状態の出現頻度では、OFF状態がON状態よりも出現頻度が高いため、OFF状態を含む組み合わせがON状態を含む組み合わせよりも数値が低くなるように定義されている。また、操作スイッチ群SWのうち1つがON状態となる組み合わせが、同時に複数がON状態である組み合わせよりも出現頻度が高いため、ON状態の数が少ないほどスイッチ状態値SVが小さくなるように定義されている。
【0020】
出力部113は、スイッチ状態値SVに応じたDuty比のパルス幅変調信号PWMの波形を外部機器EXTに出力する。本開示におけるDuty比とは、1周期の期間におけるHi信号を出力している時間の比率(所謂、ON-Duty比)を表す。つまり、Duty比が高いほど出力される1周期当たりの合計電力が大きく、Duty比が低いほど1周期当たり合計電力が小さくなる。
【0021】
図4にスイッチ状態値SVとパルス幅変調信号PWMのDuty比との対応関係を示す。出力部113は、スイッチ状態値SVをスイッチ状態値SVの最大値で割った値を100に乗じた値をDuty比として設定してパルス幅変調信号PWMを出力する。
【0022】
具体的には、スイッチ状態値SVが0(000b)のときはDuty比0%、スイッチ状態値SVが1(001b)のときはDuty比が14.3(Th1)%、スイッチ状態値SVが2(010b)のときはDuty比が28.6(Th2)%、スイッチ状態値SVが3(011b)のときはDuty比が42.9(Th3)%、スイッチ状態値SVが4(100b)のときはDuty比が57.1(Th4)%、スイッチ状態値が5(101b)のときはDuty比が71.4(Th5)%、スイッチ状態値が6(110b)のときはDuty比が85.7(Th6)%、スイッチ状態値が7(111b)のときはDuty比が100%として設定する。
【0023】
出力部113は、操作スイッチ群SWの操作状態の組み合わせの出現頻度が高い組み合わせほど低いDuty比のパルス幅変調信号PWMを出力し、操作スイッチ群SWの操作状態の組み合わせの出現頻度が低い組み合わせほど高いDuty比のパルス幅変調信号PWMを出力している。これにより、より少ない消費電力で操作スイッチ群SWの状態をパルス幅変調信号PWMで外部機器EXTに出力できる。
【0024】
以上のように、本開示の車両用計器1は、操作スイッチ群SWの状態をパルス幅変調信号PWMで外部機器EXTに出力するように構成している。このように構成することで、外部機器EXTは、車両用計器1から操作スイッチ群SWの状態を電圧値の変化のみで知ることができる。
【0025】
本開示の車両用計器1は、以下のような変形をしても良い。
【0026】
入力部111が検出する操作スイッチ群SWの操作状態は、OFF状態/ON状態の他に、故障状態(Failed状態)を含むように構成してもよい。この場合、スイッチ状態値SVは、図5に示すように、3状態(OFF状態/ON状態/Failed状態)を持つ3つの操作スイッチSW1~SW3の重複のない27つの組み合わせの何れかを一意な数値0(00000b)~26(11010b)で表すことができる。
【0027】
故障状態を含む場合においては、OFF状態やON状態よりも故障状態の出現頻度が低いため、故障状態を含む組み合わせが故障状態を含まない組み合わせよりもスイッチ状態値SVの数値が高くなるように定義することが省電力の観点から好ましい。また、故障状態の数が多いほどスイッチ状態値SVの値が高くなるように定義することが省電力の観点から好ましい。
【0028】
また、スイッチ状態値SVは、操作スイッチ群のスイッチ種別の使用頻度が高いほどスイッチ状態値の数値が低くなるように定義することで省電力の観点から好ましい。
【0029】
また、出力部113は、スイッチ状態値SVの値に応じて種々のパルス変調方式によって出力波形を異ならせるものであってもよい。具体的には、パルス密度変調(PDM)信号の密度や正負によりスイッチ状態値SVを区別する、パルス位置変調(PPM)信号のパルス位置で区別する、パルス符号変調(PCM)信号により標本化された信号で区別する、ように構成してもよい。
【0030】
また、不揮発性メモリROMに記憶される操作スイッチ群SWの操作状態の組み合わせと、その組み合わせに対応するスイッチ状態値SVを対応付ける変換テーブルは、社内ネットワークLANを介して差し替え可能に構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用計器
10 表示部
11 制御部
111 入力部
112 変換部
113 出力部
ROM 不揮発性メモリ(記憶部)
SV スイッチ状態値
PWM パルス幅変調信号
SW 操作スイッチ群
SW1 操作スイッチ
SW2 操作スイッチ
SW3 操作スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5