(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】自動駐車システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20230926BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2021009428
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 仙之
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201700(JP,A)
【文献】特開2018-039294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00-99/00
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場を管理する駐車場管制サーバが前記駐車場内の自動運転車両に指示を行うことにより、前記自動運転車両を前記駐車場内の目標駐車スペースに自動駐車させる自動駐車システムであって、
前記自動運転車両の車両位置と前記目標駐車スペースの位置と駐車場地図情報とに基づいて、前記目標駐車スペースの入口までの前記駐車場の走路に沿って並ぶ複数の走行座標の情報を取得する走行座標取得部と、
前記走行座標の情報と車載の外部センサの検出結果とに基づいて、前記自動運転車両の進路を生成する進路生成部と、を備え、
前記進路生成部は、
前記外部センサを用いた物標認識が一定精度で可能な範囲であって前記自動運転車両の所定位置を基準とする範囲である物標認識範囲と、前記走行座標の情報と、前記目標駐車スペースの位置とに基づいて、前記目標駐車スペースの入口の認識可否を判定し、
前記目標駐車スペースの入口の認識が可能ではないと判定する場合、前記目標駐車スペースの入口を認識するための物標が前記物標認識範囲に含まれるように前記走路における前記目標駐車スペース側に前記自動運転車両を寄せる前記進路を生成
し、
前記走行座標は、前記進路を構成する座標であって前記目標駐車スペースが面する前記走路上に位置する第1座標と、前記進路を構成する座標であって前記自動運転車両の進行方向において前記第1座標から所定個数手前に位置する第2座標と、を含み、
前記進路生成部は、前記第2座標から先の区間において前記目標駐車スペース側に前記自動運転車両を寄せるように前記進路を生成する、自動駐車システム。
【請求項2】
前記進路生成部は、前記走路における前記目標駐車スペース側に前記自動運転車両を寄せるための前記進路を前記自動運転車両が前記第1座標に到達するまでに予め生成する、請求項1に記載の自動駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動駐車システムに関する技術文献として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1は、障害物情報と車両情報と地図情報とに基づいて生成された指示情報を車両に送信し、車両を目標地点まで自動走行させる管制装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術分野では、走路を走行する自動運転車両の車載の外部センサを用いて、走路に面した目標駐車スペースの入口を認識するための物標認識を行うことがある。物標認識が一定精度で可能な物標認識範囲は、外部センサの諸元及び車載位置等によって予め定まる。そのため、例えば幅広の走路においては、認識すべき物標が物標認識範囲から外れて位置する可能性がある。
【0005】
本発明は、目標駐車スペースの入口を認識するための物標認識の確実化が図られた自動駐車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、駐車場を管理する駐車場管制サーバが駐車場内の自動運転車両に指示を行うことにより、自動運転車両を駐車場内の目標駐車スペースに自動駐車させる自動駐車システムであって、自動運転車両の車両位置と目標駐車スペースの位置と駐車場地図情報とに基づいて、目標駐車スペースの入口までの駐車場の走路に沿って並ぶ複数の走行座標の情報を取得する走行座標取得部と、走行座標の情報と車載の外部センサの検出結果とに基づいて、自動運転車両の進路を生成する進路生成部と、を備え、進路生成部は、外部センサを用いた物標認識が一定精度で可能な範囲であって自動運転車両の所定位置を基準とする範囲である物標認識範囲と、走行座標の情報と、目標駐車スペースの位置とに基づいて、目標駐車スペースの入口の認識可否を判定し、目標駐車スペースの入口の認識が可能ではないと判定する場合、目標駐車スペースの入口を認識するための物標が物標認識範囲に含まれるように走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路を生成する。
【0007】
本発明の一態様に係る自動駐車システムによれば、物標認識範囲と走行座標の情報と目標駐車スペースの位置とに基づいて、目標駐車スペースの入口の認識可否が判定される。例えば認識すべき物標が物標認識範囲から外れて位置する可能性がある場合など、目標駐車スペースの入口を認識不可能と判定される場合、目標駐車スペースの入口を認識するための物標が物標認識範囲に含まれるように走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路が生成される。これにより、認識すべき物標が物標認識範囲から外れて位置することが抑制される。よって、目標駐車スペースの入口を認識するための物標認識の確実化を図ることが可能となる。
【0008】
一実施形態において、走行座標は、進路を構成する座標であって目標駐車スペースが面する走路上に位置する第1座標を含み、進路生成部は、走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せるための進路を自動運転車両が第1座標に到達するまでに予め生成してもよい。この場合、走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路を予め生成することで、自動運転車両が第1座標に到達するまでに当該進路に沿って走行させることができる。
【0009】
一実施形態において、走行座標は、進路を構成する座標であって目標駐車スペースが面する走路上に位置する第1座標と、進路を構成する座標であって自動運転車両の進行方向において第1座標から所定個数手前に位置する第2座標と、を含み、進路生成部は、第2座標から先の区間において目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せるように進路を生成してもよい。この場合、第2座標よりも手前においては、第2座標から先の区間と比べて、走路において目標駐車スペースから離れた進路に沿って自動運転車両が走行する。よって、例えば目標駐車スペース側に他車両及び柱等の障害物が位置する場合に、当該障害物に対する自動運転車両の空間的なマージンを保つことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る自動駐車システムによれば、目標駐車スペースの入口を認識するための物標認識の確実化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
【
図2】一実施形態に係る自動駐車システムを示すブロック図である。
【
図3】駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】目標駐車スペースの入口を認識不可能と判定される場合の一例を示す平面図である。
【
図5】走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路の一例を示す平面図である。
【
図6】目標駐車スペースの入口を認識不可能と判定される場合の他の例を示す平面図である。
【
図7】走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路の他の例を示す平面図である。
【
図8】駐車場管制サーバの指示処理を例示するフローチャートである。
【
図9】自動運転ECUの走行進路生成処理を例示するフローチャートである。
【
図10】
図9の走行進路生成処理の具体例を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。自動バレーパーキング[Automated Valet Parking]とは、駐車場[Parking place]における降車場でユーザ(乗員)が降りた無人の自動運転車両2を駐車場側からの指示によって目標ルートに沿って走行させ、駐車場内の目標駐車スペースに自動で駐車させるサービスである。目標駐車スペースとは、自動運転車両2の駐車位置として予め設定された駐車区画[Parking space]である。目標ルートとは、自動運転車両2が目標駐車スペースに到達するために走行する駐車場内のルートである。なお、出庫時における目標ルートは、後述する乗車用スペースに到達するために走行するルートとなる。
【0014】
駐車場は、自動バレーパーキング専用の駐車場であってもよく、自動バレーパーキングの対象外である一般車両用の駐車場を兼ねていてもよい。一般車両用の駐車場の一部を自動バレーパーキング専用のエリアとして用いてもよい。本実施形態では、自動バレーパーキング専用の駐車場を例として説明に用いる。
【0015】
図1に示されるように、自動バレーパーキング用の駐車場50は、駐車エリア[Parking area]51、降車場[Drop-off area]52、乗車場[Pick-up area]53、及び走路54[Runway]を含んでいる。なお、
図1の例では、降車場52及び乗車場53が別々に設けられているが、乗降場として一体的に設けられていてもよい。走路54には、自動運転車両2が車両位置を認識するための位置基準(例えば、マーカー)が設置されていても良い。
【0016】
駐車エリア51は、自動バレーパーキングにより自動運転車両2が駐車する駐車スペース(駐車枠)61が形成された場所である。
図1では、複数の駐車スペース61は、一例として、一方向(駐車車両の車幅方向)に並ぶように形成されている。降車場52は、駐車場50の出入口付近に設けられ、入庫前の自動運転車両2からユーザを含む乗員が降車するための場所である。降車場52には、乗員の降車時に自動運転車両2が停車するための降車用スペース62が形成されている。乗車場53は、駐車場50の出入口付近に設けられ、出庫してきた自動運転車両2に乗員が乗車するための場所である。乗車場53には、乗員の乗車のために自動運転車両2が待機するための乗車用スペース63が形成されている。
【0017】
[自動駐車システムの構成]
以下、自動駐車システム100の構成について図面を参照して説明する。
図2は一実施形態に係る自動駐車システム100を示すブロック図である。
図2に示す自動駐車システム[AVPS:Automated Valet Parking System]100は、駐車場における自動運転車両2の自動バレーパーキングを行うためのシステムである。自動駐車システム100では、駐車場50を管理する駐車場管制サーバ1が駐車場50内の自動運転車両2に指示を行うことにより、駐車場50内の目標駐車スペースに自動運転車両2を自動駐車させる。なお、以下の説明では、自動駐車の対象となる自動運転車両2を「対象車両2X」と記すことがある。
【0018】
自動駐車システム100では、例えば、駐車場50に入場[Entering]した対象車両2Xが降車用スペース62で乗員を降ろした後、対象車両2Xの指示権限を得て自動バレーパーキングを開始する。自動駐車システム100は、駐車エリア51内の目標駐車スペースに向かって対象車両2Xを走行させ、対象車両2Xを目標駐車スペースに駐車させる。自動駐車システム100は、出庫要求[Pick-up request]に応じて駐車中の対象車両2Xを乗車場53に向かって走行させ、乗車用スペース63で乗員の到着まで待機させる。
【0019】
ここでの自動駐車システム100では、一例として、自動運転車両2を目標駐車スペースの入口まで走路54に沿って自動運転させる自動走行制御と、目標駐車スペースの入口に達した自動運転車両2を目標駐車スペースへと自動駐車させる自動駐車制御と、を実行することができる。自動走行制御は、駐車場管制サーバ1から対象車両2Xに送信される走行地図情報に基づいて、自動運転車両2に搭載される自動運転ECU[Electric Control Unit]20によって行われる。
【0020】
図2に示されるように、自動駐車システム100は、駐車場管制サーバ1を備えている。駐車場管制サーバ1は、駐車場を管理するためのサーバであり、管制センタとして機能する。
【0021】
駐車場管制サーバ1は、自動運転車両2と通信可能に構成されている。駐車場管制サーバ1は、ユーザ端末[User frontend]3と通信可能に構成されていてもよい。自動運転車両2及びユーザ端末3について詳しくは後述する。駐車場管制サーバ1は、駐車場に設けられていてもよく、駐車場から離れた施設に設けられていてもよい。駐車場管制サーバ1は、異なる場所に設けられた複数のコンピュータから構成されていてもよい。なお、本実施形態に係る自動駐車システム100は、必ずしもユーザ端末3を含まなくてもよい。
【0022】
駐車場管制サーバ1は、駐車場センサ4及び駐車場地図データベース5と接続されている。駐車場センサ4は、駐車場50内の状況を認識するための駐車場施設センサ(インフラセンサ)である。駐車場センサ4には、駐車場50内に存在する障害物を撮像する固定カメラが含まれる。障害物としては、対象車両2X以外の他車両、駐車場の柱、駐車場のゲート、駐車場の壁、ポール、セーフティコーン、走路54上の落下物、等が挙げられる。固定カメラは、駐車場の天井や壁に設けられていてもよい。固定カメラは、撮像画像を駐車場管制サーバ1に送信する。
【0023】
駐車場センサ4には、各駐車スペースに駐車車両が存在するか否か(各駐車スペースが満車であるか空車であるか)を検出するための空車センサが含まれてもよい。空車センサは、公知の構成のものを用いることができる。上述の固定カメラを空車センサとして用いてもよい。
【0024】
駐車場地図データベース5は、駐車場地図情報を記憶するデータベースである。駐車場地図情報には、駐車場における駐車スペースの位置情報、降車用スペースの位置情報、乗車用スペースの位置情報、及び駐車場における走路54の情報が含まれている。駐車場地図情報には、自動運転車両2の車両位置の認識に用いる物標の位置情報が含まれている。駐車場地図情報には、自動運転車両2の自動運転に用いる走行境界の位置情報が含まれていてもよい。
【0025】
物標とは、駐車場50内における自動運転車両2の位置を認識するための相対位置の基準となる物体を意味する。物標としては、駐車場50に設けられた物体を用いることができる。物標には、駐車スペース61を区画する物体が含まれる。駐車スペース61を区画する物体としては、例えば、駐車スペース61を区画する区画線、駐車スペース61を区画するポール、駐車スペース61を区画する路面鋲、駐車場50の柱、駐車場50の壁、駐車スペース61を区画するセーフティコーン等のうち少なくとも一つが用いられる。なお、本実施形態では、自動駐車を精度良く実行するために、駐車場地図情報に含まれる物標の位置情報に加えて、又は、駐車場地図情報に含まれる物標の位置情報に代えて、後述の外部センサ22で検出した物標の位置情報が用いられる。
【0026】
走行境界とは、自動運転車両2が自動運転で走行する際の走行可能範囲を規定し得る物体を意味する。走行境界としては、駐車場50に固定して設けられた物体上の位置を用いることができる。走行境界としては、例えば駐車場50の柱の表面上の所定位置(例えば頂点)、駐車場50の壁面上の所定位置、ポールの設置位置、セーフティコーンの設置位置、路面鋲の設置位置等のうち少なくとも一つが用いられる。
【0027】
また、駐車場地図情報には、駐車場50内の複数の走路54に対応して予め設定された複数のノード64の位置情報、走路54がカーブする箇所及びその曲率半径が含まれていてもよい。ノード64の位置情報としては、例えば、2次元地図座標系上の座標とすることができる。2次元座標系は、例えば駐車場50のいずれかの角を原点として水平面に沿って互いに直交するX軸及びY軸であってもよい。なお、X軸及びY軸に直交するZ軸を定義し、Z座標を立体駐車場の一階及び二階などに対応させてもよい。
【0028】
図1には、駐車場50内の複数の走路54に対応して予め設定された複数のノード64が丸印で例示されている。一例として、複数のノード64の一部は、駐車場50内の複数の走路54に沿って延在する仮想線上に所定の間隔で離間して並んでいる。
図1の例では、駐車場50内の複数の走路54に沿って延在する仮想線が一点鎖線で示されている。所定の間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。走路54の車線幅方向においては、複数のノード64は、例えば、走路54の車線幅方向中央付近に位置している。
【0029】
例えば走路54の直線区間では、直線区間の端点(始点及び終点)に一対のノード64が設定されている。走路54の直線区間の端点に挟まれる区間において、更にノード64が設定されていてもよい。走路54のカーブ区間の始点及び終点は、カーブ区間を挟む直線区間の端点のうち当該カーブ区間側の端点に位置するノード64によって規定されている。これらのノード64は、自動運転車両2が走路54に沿って自動運転するための走行地図を構成する走行座標(後述)として用いられる。なお、駐車スペース61の正面に位置するノードには、例えば「駐車スペース前」との種別が与えられていてもよい。
【0030】
走路54に各駐車スペース61の入口が面している場合、各駐車スペース61の入口にノード64が設定されてもよい。
図1の例では、駐車スペース61の入口に相当する正面の枠線上にノード64が設定されている。これらのノードは、自動運転車両2が目標とする駐車スペース61への自動駐車制御を行う際に用いられてもよい。なお、駐車スペース61の周辺に更にノードが設定されていてもよい。
【0031】
駐車場管制サーバ1のハードウェア構成について説明する。
図3は、駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示されるように、駐車場管制サーバ1は、プロセッサ40、メモリ41、ストレージ42、通信インターフェイス43、及びユーザインターフェイス44を備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0032】
プロセッサ40は、各種オペレーティングシステムを動作させて駐車場管制サーバ1を制御する。プロセッサ40は、制御装置、演算装置、レジスタ等を含むCPU[Central Processing Unit]等の演算器である。プロセッサ40は、メモリ41、ストレージ42、通信インターフェイス43、及びユーザインターフェイス44を統括的に制御する。メモリ41は、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等の記録媒体である。ストレージ42は、HDD[Hard Disk Drive]等の記録媒体である。
【0033】
通信インターフェイス43は、ネットワークを介した無線通信を行うための通信デバイスである。通信インターフェイス43には、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード等を用いることができる。駐車場管制サーバ1は、通信インターフェイス43を用いて自動運転車両2及びユーザ端末3と通信を行う。ユーザインターフェイス44は、駐車場管制サーバ1の管理者等に対する駐車場管制サーバ1の入出力部である。ユーザインターフェイス44は、ディスプレイ、スピーカ等の出力器、及び、タッチパネル等の入力器を含む。
【0034】
次に、駐車場管制サーバ1の機能的構成について説明する。
図2に示されるように、駐車場管制サーバ1は、車両情報取得部11、走行地図情報取得部(走行座標取得部)12、及び、車両指示部13を有している。
【0035】
車両情報取得部11は、自動運転車両2との通信により自動運転車両2の車両情報を取得する。車両情報には、自動運転車両2の識別情報、駐車場における自動運転車両2の車両位置の情報、及び、目標駐車スペースの情報が含まれる。車両位置の情報は、自動運転車両2の駐車場地図上の位置である車両位置についての情報である。識別情報は、個々の自動運転車両2を特定できる情報であればよい。識別情報は、ID番号[Identification Number]であってもよく、車両番号であってもよく、自動バレーパーキングの予約番号等であってもよい。
【0036】
車両情報には、自動運転車両2の外部センサ22の物標認識範囲(詳しくは後述)が含まれている。車両情報には、自動運転車両2の車種が含まれていてもよい。車両情報には、自動運転車両2の旋回半径、全長、車幅、全高等の車体情報が含まれていてもよい。車両情報には、車体情報として、自動運転車両2の車格を表す情報を含めてもよい。
【0037】
車両情報には、自動運転車両2の走行状態及び外部環境の認識結果が含まれていてもよい。その他、車両情報には、識別情報とは別に車両番号が含まれていてもよい。自動運転機能に関する情報には自動運転のバージョン情報が含まれていてもよい。車両情報には、入庫予約時刻等の入庫予約情報が含まれていてもよく、出庫予定時刻が含まれていてもよい。自動運転車両2の自動運転機能に関する情報が含まれていてもよい。
【0038】
走行地図情報取得部12は、例えば、対象車両2Xの自動走行制御の開始前に、対象車両2Xの車両位置と目標駐車スペースの位置と駐車場50の地図情報と駐車場50の状況とに基づいて、走行地図情報を取得する。走行地図情報は、走行地図に関する情報である。走行地図とは、駐車場50において対象車両2Xが出発地点(車両位置)から目的地点(目標駐車スペース)まで走路54に沿って自動走行するための駐車場地図上の走行経路を意味する。
【0039】
走行地図は、複数の走行座標を含んで構成される。複数の走行座標の位置としては、例えば、対象車両2Xの車両位置から目標駐車スペースの入口までの間に走路54に沿って並ぶ複数のノード64の位置を用いることができる。
【0040】
走行座標の情報は、複数の走行座標の駐車場地図上の位置情報のほか、第1座標の情報及び第2座標の情報を含むことができる。第1座標は、目標駐車スペースが面する走路上に位置する走行座標である。第2座標は、自動運転車両2の進行方向において第1座標から所定個数手前に位置する走行座標である。進行方向とは、自動運転車両2が対象車両2Xとして自動走行する際に対象車両2Xが進行する方向である。「手前」とは、進行方向とは反対の方向と意味する。所定個数とは、特に限定されないが、例えば1個とすることができる。所定個数は、2以上の整数であってもよい。所定個数は、例えば、対象車両2Xを目標駐車スペース側に幅寄せする際、幅寄せ量及び対象車両2Xの予想される挙動を考慮して、適した経路変更のタイミングに応じて個数を選択することができる。
【0041】
図1の例では、目標駐車スペース61Tが面する走路54上に位置する走行座標65,66,67のうち、目標駐車スペース61Tに最も近い走行座標65を第1座標とすることができる。また、
図1の例では、目標駐車スペース61Tが面する走路54上に位置する走行座標65,66,67のうち、第1座標から1個数手前に位置する走行座標66を第2座標とすることができる。走行地図に含まれる複数の走行座標65,66,67は、後述の走行進路生成部34によって生成される進路を構成する。
【0042】
走行地図情報取得部12は、自動運転車両2の車両位置と目標駐車スペースの位置と駐車場50の地図情報とに基づいて、目標駐車スペースの入口までの駐車場50の走路54に沿って並ぶ複数の走行座標の情報を取得する。走行地図情報取得部12は、取得した複数の走行座標を互いに結んで得られる走行経路を走行地図として取得する。
【0043】
車両指示部13は、自動バレーパーキングを行う自動運転車両2に対して指示を行う。車両指示部13は、対象車両2Xが目標駐車スペース等の目的地点に至るための目標ルートとして、走行地図情報取得部12で取得した走行地図を用いる。車両指示部13は、走行地図情報取得部12で取得した走行地図情報及び対象車両2Xの目標車速等を走行指示情報として対象車両2Xに配信する。
【0044】
続いて、駐車場管制サーバ1と通信を行う自動運転車両2及びユーザ端末3について説明する。
【0045】
図2に示されるように、自動運転車両2は、一例として、自動運転ECU20を有している。自動運転ECU20は、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0046】
自動運転ECU20は、通信部21、外部センサ22、内部センサ23、及び、アクチュエータ24と接続されている。
【0047】
通信部21は、自動運転車両2の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。通信部21は、駐車場管制サーバ1との通信により各種情報の送信及び受信を行う。通信部21は、例えば、駐車場管制サーバ1に車両情報を送信すると共に、駐車場管制サーバ1から自動バレーパーキングのために必要な情報(例えば走行地図情報等)を取得する。また、通信部21は、自動運転車両2と関連付けられたユーザ端末3との通信を行ってもよい。
【0048】
外部センサ22は、自動運転車両2の外部環境を検出する車載センサである。外部センサ22は、フロントカメラを少なくとも含む。フロントカメラは、自動運転車両2の外部環境を撮像する撮像機器である。フロントカメラは、例えば自動運転車両2のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。フロントカメラは、自動運転車両2の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU20へ送信する。フロントカメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。フロントカメラは、複数台設けられていてもよく、自動運転車両2の前方の他、左右の側方及び後方を撮像してもよい。
【0049】
外部センサ22は、レーダセンサを含んでもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自動運転車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自動運転車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU20へ送信する。また、外部センサ22は、自動運転車両2の外部の音を検出するソナーセンサを含んでもよい。
【0050】
外部センサ22は、サイドカメラを含んでもよい。サイドカメラは、自動運転車両2の側方の外部環境を撮像する撮像機器である。サイドカメラは、例えば自動運転車両2の左右それぞれのドアミラーの下端側に下方を向いて設けられ、車両側方において前後方向に延びる所定範囲を撮像する。撮像された所定範囲の画像は、自動運転車両2の車両位置の認識に用いる物標を認識するために用いられる。撮像された所定範囲の画像は、その他、例えばパノラミックビューモニタ機能のために用いられてもよい。サイドカメラは、自動運転車両2の側方の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0051】
外部センサ22には、物標認識範囲が予め定められている。物標認識範囲は、外部センサ22を用いた物標認識が一定精度で可能な範囲である。「外部センサ22を用いた物標認識」とは、目標駐車スペースの入口を認識するための物体を外部センサ22を用いて認識することを意味する。目標駐車スペースの入口を認識するための物体としては、駐車スペース61を区画する区画線、駐車スペース61を区画するポール、駐車スペース61を区画する路面鋲、駐車場50の柱、駐車場50の壁、駐車スペース61を区画するセーフティコーン等のうち少なくとも一つが用いられる。目標駐車スペースの入口を認識するための物体は、駐車スペース61を区画する物体と同じものであってよく、自動運転車両2の車両位置の認識のための物標として用いられる。物標認識範囲は、外部センサ22のうち、目標駐車スペースの入口を認識するために用いられるセンサについて定められていればよい。
【0052】
物標認識範囲は、例えば、平面視にて自動運転車両2の所定位置(例えば自動運転車両2の車両中心)を基準として自動運転車両2の周辺に広がる所定の範囲として規定されている。このような所定の範囲は、自動運転車両2の諸元(車幅及び全長)と、自動運転車両2における外部センサ22の取付け位置と、取付け位置から外部センサ22で物標認識が一定精度で可能な範囲とに基づいて、定めることができる。一例として、外部センサ22がサイドカメラの場合、車両平面視で、車幅方向でおよそ5m~6m、車両前後方向でおよそ8mの長方形状の領域を、物標認識範囲SRとして用いることができる(
図4~
図7参照)。なお、物標認識範囲は、この例に限定されない。
【0053】
内部センサ23は、自動運転車両2の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、自動運転車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、自動運転車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU20に送信する。
【0054】
加速度センサは、自動運転車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる。加速度センサは、自動運転車両2の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の加速度情報を自動運転ECU20に送信する。ヨーレートセンサは、自動運転車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自動運転車両2のヨーレート情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0055】
アクチュエータ24は、自動運転車両2の制御に用いられる機器である。アクチュエータ24は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自動運転車両2の駆動力を制御する。なお、自動運転車両2がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自動運転車両2が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ24を構成する。
【0056】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自動運転車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を自動運転ECU20からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは自動運転車両2の操舵トルクを制御する。
【0057】
次に、自動運転ECU20の機能的構成の一例について説明する。自動運転ECU20は、外部環境認識部31、走行状態認識部32、車両位置認識部33、走行進路生成部(進路生成部)34、駐車進路生成部35、及び車両制御部36を有している。
【0058】
外部環境認識部31は、外部センサ22の検出結果に基づいて、自動運転車両2の外部環境を認識する。外部センサ22の検出結果には、サイドカメラの撮像画像が含まれる。外部センサ22の検出結果には、フロントカメラの撮像画像及びレーダセンサの検出した物体情報の少なくとも一方が含まれてもよい。
【0059】
外部環境には、外部センサ22で検出される物標の位置情報が含まれる。ここでの物標は、走路54に面した目標駐車スペースの入口を認識するための物体を含む。外部環境認識部31は、白線認識又はパターンマッチング等により、目標駐車スペースの入口を認識するための物体を認識する。外部センサ22で検出される物標は、駐車場地図情報に位置情報が含まれる物標であってもよい。
【0060】
外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の障害物の相対位置が含まれる。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の障害物の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。このような障害物としては、対象車両2X以外の他車両、駐車場のゲート、走路54上の落下物などが挙げられる。外部環境認識部31は、パターンマッチング等により、障害物となる物体を認識する。
【0061】
走行状態認識部32は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両2の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両2の車速、自動運転車両2の加速度、自動運転車両2のヨーレートが含まれる。具体的に、走行状態認識部32は、車速センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の車速を認識する。走行状態認識部32は、加速度センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の加速度を認識する。走行状態認識部32は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、自動運転車両2の向きを認識する。走行状態認識部32は、自車の車両特性として、対象車両2Xの車両情報(自動運転車両2の車種、自動運転車両2の旋回半径、全長、全高、車幅等の車体情報)を認識してもよい。これらの車両情報は、自動運転ECU20のROMに予め記憶されていてもよい。
【0062】
車両位置認識部33は、外部環境認識部31で認識した外部環境に基づいて、自動運転車両2の車両位置を認識する。車両位置認識部33は、外部環境認識部31で認識した自動運転車両2に対する物標の相対位置に基づいて、自動運転車両2の車両位置を認識する。このような外部センサ22を用いて認識された車両位置は、自動運転車両2の自動駐車制御で用いられる。
【0063】
車両位置認識部33は、通信部21を通じて駐車場管制サーバ1から取得した駐車場地図情報に更に基づいて、自動運転車両2の車両位置を認識してもよい。車両位置認識部33は、例えば、駐車場地図情報に含まれる駐車場内の物標の位置情報を更に用いて、自動運転車両2の車両位置を認識してもよい。なお、車両位置認識部33は、更に、内部センサ23の検出結果に基づいて、デッドレコニングにより自動運転車両2の位置を認識してもよい。また、更に、車両位置認識部33は、駐車場に設けられたビーコンとの通信により自動運転車両2の位置を認識してもよい。このような駐車場地図情報を用いて認識された車両位置は、自動運転車両2の自動走行制御で用いられてもよい。
【0064】
走行進路生成部34は、走行座標の情報と車載の外部センサ22の検出結果とに基づいて、自動運転車両2の進路を生成する。走行進路生成部34は、例えば、走行地図(目標ルート)、対象車両2Xの位置、対象車両2Xの外部環境、及び対象車両2Xの走行状態に基づいて、対象車両2Xの進路[trajectory]を生成する。進路は自動運転の走行計画に相当する。進路には、自動運転で車両が走行する経路[path]と自動運転における車速計画とが含まれる。
【0065】
走行進路生成部34は、配信された走行地図情報に基づいて、出発地点から目的地点まで複数の走行座標に沿って対象車両2Xの経路の生成を行う。走行進路生成部34は、例えば、走行地図に含まれる複数の走行座標のうち、対象車両2Xの現在の車両位置から数個(例えば3個)先に位置する走行座標までの経路を順次生成してもよい。進路には、走行地図に含まれる各走行座標(各ノード64)を通過する際の対象車両2Xのヨー方向の姿勢を定める偏向角度の情報を含めてもよい。偏向角度は、例えば、X軸の正方向に平行な方向を0degとし、反時計回りを正とした角度である。進路には、走行地図に含まれる各走行座標を対象車両2Xが通過する順序及び通過可能時刻といった情報を含めてもよい。
【0066】
走行進路生成部34は、外部センサ22の物標認識範囲SRと走行座標の情報と目標駐車スペース61Tの位置とに基づいて、目標駐車スペース61Tの入口の認識可否を判定する。走行進路生成部34は、例えば、対象車両2Xが目標駐車スペース61Tの前に位置していると仮定した場合に、目標駐車スペースの入口を認識するための物体が外部センサ22の物標認識範囲SRに含まれるか否かを判定する。
【0067】
具体的には、走行進路生成部34は、対象車両2Xの車両中心の位置が第1座標の位置と一致していると仮定した場合に、対象車両2Xの車両中心から見て目標駐車スペースの入口を認識するための物体の位置に向かう方向において、対象車両2Xの車両中心から外部センサ22で物標認識が一定精度で可能な距離の範囲内に、当該物体が含まれているか否かを判定することにより、目標駐車スペース61Tの入口の認識可否を判定する。
【0068】
目標駐車スペース61Tの入口の認識可否の判定は、例えば、自動バレーパーキングが開始される前に実行される。あるいは、目標駐車スペース61Tの入口の認識可否の判定は、自動バレーパーキングが開始された後、対象車両2Xが第2座標に到達するまでに実行されてもよい。この場合、対象車両2Xの現在の車両位置から数個先に位置する走行座標までの経路を順次生成するのと併せて当該判定が実行されてもよい。目標駐車スペース61Tの入口の認識可否の判定は、少なくとも対象車両2Xが第1座標に到達するまでに実行される。すなわち、走行進路生成部34は、走路54における目標駐車スペース61T側に自動運転車両2を寄せるための進路を、自動運転車両2が第1座標に到達するまでに予め生成する。
【0069】
図4は、目標駐車スペースの入口を認識不可能と判定される場合の一例を示す平面図である。
図4は、対象車両2Xの進行方向左方に位置する目標駐車スペース61Aに対象車両2Xを自動駐車させるために、目標駐車スペース61Aが面する走路RW1に位置する座標(第1座標)65Aまで進路T1に沿って対象車両2Xを自動走行させると仮定した場合の平面図である。進路T1は、座標65A,66A,67A,68Aに沿って延びる経路として生成された進路である。座標65A,66A,67A,68Aが走路RW1に沿って並んでいる。座標66Aは、第2座標であるとする。
【0070】
図4の例では、対象車両2Xの車両中心の位置が座標65Aの位置と一致している。対象車両2Xの左方に位置する目標駐車スペース61Aの入口を認識するために、対象車両2Xの左方にて延在する区画線L2が、外部センサ22によって認識すべき物標とされる。走路RW1は、一対の区画線L1,L2に挟まれて延在する直線区間である。
【0071】
図4の例では、走行進路生成部34は、対象車両2Xの車両中心(座標65A)から見て目標駐車スペース61Aの入口を認識するための区画線L2の位置に向かう方向(進行方向左方)において、距離D2の範囲内に区画線L2が含まれているか否かを判定する。距離D2は、進行方向左方において、対象車両2Xの車両中心から外部センサ22で物標認識が一定精度で可能な距離である。距離D1は、進行方向左方において、対象車両2Xの車両中心から区画線L2までの距離である。距離D1は、対象車両2Xの車両位置の情報と、駐車場地図情報(区画線L2の位置情報)とに基づいて、算出することができる。
【0072】
図4では、距離D2の範囲内に区画線L2が含まれていないことから、走行進路生成部34は、目標駐車スペース61Aの入口の認識が可能ではないと判定する。走行進路生成部34は、目標駐車スペース61Aの入口の認識が可能ではないと判定する場合、目標駐車スペース61Aの入口を認識するための区画線L2が物標認識範囲SRに含まれるように走路RW1における目標駐車スペース61A側に対象車両2Xを寄せる進路T2を生成する(
図5参照)。進路T2は、進路T1と比べて、走路RW1における目標駐車スペース61A側に対象車両2Xを寄せるような経路を有する走行進路である。
【0073】
図5は、走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路の一例を示す平面図である。
図5は、
図4の状況と比べて、座標66Aから座標69Aまでの区間で目標駐車スペース61A側に対象車両2Xを寄せる進路T2が生成されている点で異なっている。すなわち、走行進路生成部34は、座標66A(第2座標)から先の区間において目標駐車スペース61A側に自動運転車両2を寄せるように進路T2を生成する。
【0074】
進路T2の座標69Aは、進路T1の座標65Aと比べて、距離D3だけ対象車両2Xの進行方向左方に移動されている。距離D3は、
図4の例において距離D1から距離D2を減算した距離に相当する。
図4の例では、距離D2の範囲内に区画線L2が含まれていないことから、距離D3が正の値となる。この距離D3だけ進路T2を左方に寄せることにより、
図5に示されるように、距離D2の範囲内に区画線L2が含まれるようにすることができる。なお、進路T2の座標69Aは、進路T1の座標65Aとは異なる座標として新設してもよいし、新設ではなく進路T1の座標65Aを移動させるように取り扱ってもよい。
【0075】
なお、
図4及び
図5の例において、目標駐車スペース61Aは、対象車両2Xの進行方向に対して直角に延在していたが、対象車両2Xの進行方向に対して斜めに交差する方向に延在する駐車スペース61に対しても、上述したような進路T2の生成が有効である。
【0076】
別の具体例について説明する。
図6は、目標駐車スペースの入口を認識不可能と判定される場合の他の例を示す平面図である。
図6は、対象車両2Xの進行方向前方に位置する目標駐車スペース61Bに対象車両2Xを自動駐車させるために、目標駐車スペース61Bが面する走路RW3に位置する座標(第1座標)65Bまで進路T3に沿って対象車両2Xを自動走行させると仮定した場合の平面図である。進路T3は、座標65B,66B,67B,68Bに沿って延びる経路として生成された進路である。座標65B,66B,67B,68Bが走路RW2に沿って並んでいる。つまり、
図6の走路RW2,RW3は、T字路として互いに交差している。座標66Bは、第2座標であるとする。
【0077】
図6の例では、対象車両2Xの車両中心の位置が座標65Bの位置と一致している。対象車両2Xの前方に位置する目標駐車スペース61Bの入口を認識するために、対象車両2Xの前方にて延在する区画線L3が、外部センサ22によって認識すべき物標とされる。走路RW3は、区画線L3に沿って延在する。
【0078】
図6の例では、走行進路生成部34は、対象車両2Xの車両中心(座標65B)から見て目標駐車スペース61Bの入口を認識するための区画線L3の位置に向かう方向(進行方向前方)において、距離D5の範囲内に区画線L3が含まれているか否かを判定する。距離D5は、進行方向前方において、対象車両2Xの車両中心から外部センサ22で物標認識が一定精度で可能な距離である。距離D4は、対象車両2Xの車両中心から区画線L3までの距離である。距離D4は、進行方向前方において、対象車両2Xの車両位置の情報と、駐車場地図情報(区画線L3の位置情報)とに基づいて、算出することができる。
【0079】
図6では、距離D5の範囲内に区画線L3が含まれていないことから、走行進路生成部34は、目標駐車スペース61Bの入口の認識が可能ではないと判定する。走行進路生成部34は、目標駐車スペース61Bの入口の認識が可能ではないと判定する場合、目標駐車スペース61Bの入口を認識するための区画線L3が物標認識範囲SRに含まれるように走路RW3における目標駐車スペース61B側に対象車両2Xを寄せる進路T4を生成する(
図7参照)。進路T4は、進路T3と比べて、走路RW3における目標駐車スペース61B側に対象車両2Xを寄せるような経路を有する走行進路である。
【0080】
図7は、走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる進路の他の例を示す平面図である。
図7は、
図6の状況と比べて、座標66Bから座標69Bまでの区間で目標駐車スペース61B側に対象車両2Xを寄せる進路T4が生成されている点で異なっている。すなわち、走行進路生成部34は、座標66B(第2座標)から先の区間において目標駐車スペース61B側に自動運転車両2を寄せるように進路T4を生成する。
【0081】
進路T4の座標69Bは、進路T3の座標65Bと比べて、距離D6だけ対象車両2Xの進行方向前方に移動されている。距離D6は、
図6の例において距離D4から距離D5を減算した距離に相当する。
図6の例では、距離D5の範囲内に区画線L3が含まれていないことから、距離D6が正の値となる。この距離D6だけ進路T4を前方に寄せる(延ばす)ことにより、距離D5の範囲内に区画線L3が含まれるようにすることができる。なお、進路T4の座標69Bは、進路T3の座標65Bとは異なる座標として新設してもよいし、新設ではなく進路T3の座標65Bを移動させるように取り扱ってもよい。
【0082】
なお、
図6及び
図7の例において、目標駐車スペース61Bは、走路RW2の先の袋小路に位置していてもよい。つまり、走路RW3が進行方向左右に延在していない袋小路の状況に対しても、上述したような進路T4の生成が有効である。この場合、区画線L3は、目標駐車スペース61Bの入口に設けられていればよい。
【0083】
駐車進路生成部35は、例えば、目標駐車スペース61Tの位置、対象車両2Xの位置、対象車両2Xの外部環境、及び対象車両2Xの走行状態に基づいて、対象車両2Xの駐車進路を生成する。対象車両2Xの駐車進路の生成は、公知の手法を用いることができる。
【0084】
車両制御部36は、対象車両2Xの自動走行制御及び自動駐車制御を実行する。対象車両2Xが目標駐車スペース61Tの前に到達するまでの自動走行制御では、走行進路生成部34で生成された自動走行制御の走行進路に沿って、公知の手法により自動運転車両2を自動で走行させる。対象車両2Xが目標駐車スペース61Tの前に到達してからの自動駐車制御では、駐車進路生成部35で生成された自動駐車制御の駐車進路に沿って、公知の手法により自動運転車両2を自動で目標駐車スペース61Tに駐車させる。
【0085】
ユーザ端末3は、自動運転車両2と関連付けられたユーザの携帯情報端末である。ユーザ端末3は、例えば自動運転車両2の所有者の端末として自動運転車両2に登録されている。ユーザ端末3は、レンタルによる一時的な所有者、所有者からの指示権限の移譲によって、自動運転車両2に権限所持者として登録されたユーザの端末であってもよい。ユーザ端末3は、例えばCPU等のプロセッサと、ROM又はRAM等のメモリと、ディスプレイ兼タッチパネル等を含むユーザインターフェイスとを含むコンピュータにより構成されている。
【0086】
ユーザ端末3は、駐車場管制サーバ1に対する入庫要求及び出庫要求を行う機能を有している。ユーザは、ユーザ端末3を操作することにより自動バレーパーキングの入庫要求及び出庫要求を行うことができる。ユーザは、例えば駐車場50の降車場52の降車用スペース62に自動運転車両2を停車して降車した後、ユーザ端末3を操作して入庫要求を完了させることで自動運転車両2に対する指示権限を駐車場管制サーバ1に与える。
【0087】
ユーザは、出庫要求を行うことにより駐車場管制サーバ1を介して駐車スペース61に駐車している自動運転車両2を乗車場53の乗車用スペース63まで走行させる。自動運転車両2は、乗車用スペース63でユーザを待つ。駐車場管制サーバ1は、例えば、自動運転車両2が乗車用スペース63に到着して停止した場合、自動運転車両2に対する指示権限を終了する。指示権限は、ユーザが自動運転車両2にドア開放又は発進の指示を出したときに終了してもよい。指示権限の終了は自動運転車両2が行ってもよい。なお、入庫要求及び出庫要求に伴う自動運転車両2の動作は上記の態様に限られない。駐車場管制サーバ1についても同様である。
【0088】
[自動駐車システムの処理]
次に、自動駐車システム100の処理について図面を参照して説明する。
図8は、駐車場管制サーバの指示処理を例示するフローチャートである。駐車場管制サーバの指示処理は、例えば、駐車場管制サーバ1と通信可能な自動運転車両2が駐車場に入場した場合等、自動バレーパーキングが開始される前に駐車場管制サーバ1によって実行される。
【0089】
図8に示されるように、自動駐車システム100の駐車場管制サーバ1は、S11において、車両情報取得部11により、対象車両2Xの車両位置及び目標駐車スペースの位置に関する情報の取得を行う。駐車場管制サーバ1は、S12において、走行地図情報取得部12により、走行座標の情報を含む走行地図情報の取得を行う。駐車場管制サーバ1は、S13において、車両指示部13により、走行地図情報の配信を行う。その後、駐車場管制サーバ1は、
図8の処理を終了する。
【0090】
図9は、自動運転ECUの進路生成処理を例示するフローチャートである。自動運転ECU20の走行進路生成処理は、例えば、駐車場管制サーバ1の車両指示部13によって走行地図情報が対象車両2Xに配信された場合に自動運転ECU20によって実行される。自動運転ECU20の走行進路生成処理は、対象車両2Xが目標駐車スペースの入口に達するまでの自動走行制御の走行進路を生成する処理である。
【0091】
図9に示されるように、対象車両2Xの自動運転ECU20は、S21において、走行進路生成部34により、自動運転車両2(対象車両2X)が第1座標に未到達であるか否かを判定する。自動運転ECU20は、対象車両2Xが第1座標に未到達であると判定した場合(S21:YES)、S22の処理に移行する。自動運転ECU20は、S22において、走行進路生成部34により、配信された走行地図情報に基づいて走行進路の生成を行う。その後、自動運転ECU20は、
図9の処理を終了する。
【0092】
一方、自動運転ECU20は、対象車両2Xが第1座標に未到達ではないと判定した場合(S21:NO)、自動運転ECU20は、
図9の処理を終了する。
【0093】
図10は、
図9の走行進路生成処理の具体例を例示するフローチャートである。自動運転ECU20は、
図9の走行進路生成処理のS22の処理の一例として、
図10の処理を行う。
【0094】
走行進路生成部34は、
図10の処理において、例えば、対象車両2Xの車両位置から目標駐車スペースの入口までの間に位置する複数の走行座標のうち、対象車両2Xの車両位置側の走行座標から、目標駐車スペースの入口側の走行座標に向かって、所定の区間についての走行進路を生成する。走行進路生成部34は、例えば、対象車両2Xの車両位置から目標駐車スペースの入口までの全ての区間について走行進路を生成するように、
図10の処理を繰り返す。
【0095】
図10に示されるように、対象車両2Xの自動運転ECU20は、S31において、走行進路生成部34により、当該区間の走行進路の生成が、第2座標から先の進路の生成であるか否かを判定する。走行進路生成部34は、例えば、対象車両2Xの車両位置と、目標駐車スペースの位置と、走行地図情報と、当該区間をなす走行座標の位置とに基づいて、当該区間の走行進路の生成が、第2座標から先の進路の生成であるか否かを判定する。第2座標から先とは、第2座標よりも第1座標側を意味する。
【0096】
自動運転ECU20は、当該区間の走行進路の生成が、第2座標から先の進路の生成であると判定した場合(S31:YES)、S32に移行する。自動運転ECU20は、当該区間の走行進路の生成が、第2座標から先の進路の生成ではないと判定した場合(S31:NO)、S34の処理に移行する。
【0097】
S32において、自動運転ECU20は、走行進路生成部34により、対象車両2Xの外部センサ22を用いて目標駐車スペースの入口の認識が不可能であるか否かを判定する。走行進路生成部34は、例えば、外部センサ22の物標認識範囲と、走行座標の情報と、目標駐車スペースの位置とに基づいて、目標駐車スペースの入口の認識が不可能であるか否かを判定する。
【0098】
自動運転ECU20は、外部センサ22を用いて目標駐車スペースの入口の認識が不可能であると判定した場合(S32:YES)、S33に移行する。自動運転ECU20は、外部センサ22を用いて目標駐車スペースの入口の認識が不可能ではない(可能である)と判定した場合(S32:NO)、S34の処理に移行する。
【0099】
自動運転ECU20は、S33において、走行進路生成部34により、第1進路よりも目標駐車スペース側に対象車両2Xを寄せる第2進路の生成を行う。走行進路生成部34は、例えば、配信された走行地図情報と、外部センサ22の物標認識範囲と、目標駐車スペースの入口を認識するための物標の位置とに基づいて、目標駐車スペースの入口を認識するための物標が物標認識範囲に含まれるように第2進路を生成する。その後、自動運転ECU20は、
図10の処理を終了し、
図9の処理に戻ると共に、
図9の処理を終了する。
【0100】
一方、自動運転ECU20は、当該区間の走行進路の生成が、第2座標から先の進路の生成ではないと判定した場合(S31:NO)、あるいは、外部センサ22を用いて目標駐車スペースの入口の認識が不可能ではない(可能である)と判定した場合(S32:NO)、S34において、走行座標に沿って第1進路の生成を行う。
【0101】
その後、自動運転ECU20は、
図10の処理を終了すると共に、対象車両2Xの車両位置から目標駐車スペースの入口までの全ての区間について走行進路を生成するように、次の区間について
図10の処理を繰り返す。
【0102】
以上説明した本実施形態に係る自動駐車システム100によれば、外部センサ22の物標認識範囲と走行座標の情報と目標駐車スペースの位置とに基づいて、目標駐車スペースの入口の認識可否が判定される。例えば認識すべき物標(区画線L2,L3など)が物標認識範囲から外れて位置する可能性がある場合、目標駐車スペース61Tの入口を認識不可能と判定されるため、目標駐車スペース61Tの入口を認識するための物標が物標認識範囲に含まれるように走路RW1,RW3における目標駐車スペース61T側に対象車両2Xを寄せる進路T2,T4が生成される。これにより、認識すべき物標が物標認識範囲から外れて位置することが抑制される。よって、目標駐車スペース61Tの入口を認識するための物標認識の確実化を図ることが可能となる。
【0103】
自動駐車システム100では、走行座標は、進路T1,T3を構成する座標であって目標駐車スペース61Tが面する走路RW1,RW3上に位置する座標65A,65Bを含んでいる。走行進路生成部34は、走路RW1,RW3における目標駐車スペース61T側に対象車両2Xを寄せるための進路を対象車両2Xが座標65A,65Bに到達するまでに予め生成する。これにより、走路RW1,RW3における目標駐車スペース61T側に対象車両2Xを寄せる進路T2,T4を予め生成することで、対象車両2Xが座標65A,65Bに到達するまでに当該進路T2,T4に沿って走行させることができる。
【0104】
自動駐車システム100では、走行座標は、進路T1,T3を構成する座標であって目標駐車スペース61Tが面する走路RW1,RW3上に位置する座標65A,65Bと、進路を構成する座標であって対象車両2Xの進行方向において座標65A,65Bから所定個数(ここでは1個)手前に位置する座標66A,66Bと、を含んでいる。走行進路生成部34は、座標66A,66Bから先の区間において目標駐車スペース61T側に対象車両2Xを寄せるように進路T2,T4を生成する。これにより、座標66A,66Bよりも手前(つまり座標66A~68Aの区間及び座標66B~68Bの区間)においては、座標66A,66Bから先の区間と比べて、走路RW1,RW3において目標駐車スペース61Tから離れた進路T1,T3に沿って対象車両2Xが走行する。よって、例えば目標駐車スペース61T側に他車両及び柱等の障害物が位置する場合に、当該障害物に対する対象車両2Xの空間的なマージンを保つことができる。
【0105】
なお、駐車場地図情報に記憶されている物標の位置と、外部センサ22で検出する物標の位置との間には、例えば地図作成に伴う測量誤差や物標設置時の施工誤差などに起因する誤差が存在する。このような誤差が一定以上となることによって、結果的に目標駐車スペースの入口を認識することが困難となる場合がある。このような場合であっても、自動駐車システム100によれば、走路における目標駐車スペース側に自動運転車両を寄せる第2進路が生成されるため、目標駐車スペースの入口を認識するための物標が物標認識範囲に含まれるようにすることが可能となる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0107】
上記実施形態では、物標認識範囲は、自動運転車両2の前後方向及び左右方向に延びる四辺で囲まれる長方形の範囲として規定されていたが、物標認識範囲は、この例に限定されない。物標認識範囲は、外部センサ22を用いた物標認識が一定精度で可能な範囲であって自動運転車両2の所定位置を基準とする範囲であればよく、真円、楕円、その他の多角形など、種々の形状の領域であってもよい。
【0108】
上記実施形態では、
図4~
図7の例において、第1座標と対象車両2Xの所定位置とが一致するように仮定していたが、この例に限定されない。第1座標と対象車両2Xの所定位置とがずれた状態であっても、目標駐車スペースの入口の認識可否を判定してもよい。
【0109】
上記実施形態では、走行進路生成部34は、対象車両2Xが座標(第1座標)65A,65Bに到達するまでに進路T2,T4を予め生成したが、対象車両2Xが座標65A,65Bに到達してから、進路T2,T4を生成してもよい。この場合、生成した進路T2,T4に沿って対象車両2Xを自動走行させるために、対象車両2Xが座標65A,65Bに到達してから、一旦座標66A,66Bに対象車両2Xを後退させて、改めて進路T2,T4に沿って対象車両2Xを自動走行させてもよい。
【0110】
上記実施形態では、座標(第2座標)66A,66Bは、座標(第1座標)65A,65Bから1個手前に位置しており、個数が不変であったが、所定個数は可変であってもよい。この場合、例えば、対象車両2Xを自動走行させる際の指示速度に応じて、指示速度が速いほど所定個数を多くしてもよい。
【0111】
上記実施形態では、自動運転車両2が走行進路生成部34の機能を有していたが、駐車場管制サーバ1が走行進路生成部34の機能を有していてもよい。この場合、物標認識範囲及び自動運転車両2の諸元の情報などが、通信により自動運転車両2から駐車場管制サーバ1へ送信されてもよい。
【0112】
上記実施形態では、目標駐車スペース61A,61Bは区画線L2,L3によって区画されていたが、これに限定されない。例えば、駐車スペース61を区画する区画線、駐車スペース61を区画するポール、駐車スペース61を区画する路面鋲、駐車場50の柱、駐車場50の壁、駐車スペース61を区画するセーフティコーン等のうち少なくとも一つが用いられることで、駐車スペース61の角の位置などが特定されていてもよい。
【0113】
上記実施形態では、進路には、走行地図に含まれる各走行座標を通過する際の対象車両2Xの偏向角度の情報と、走行地図に含まれる各走行座標を対象車両2Xが通過する順序及び通過可能時刻といった情報と、を含めていたが、これに限定されない。例えば、進路は、例えば目標ルート上の位置に応じた自動運転車両2の操舵角変化のデータ(操舵角計画)としてもよい。この場合の目標ルート上の位置とは、例えば目標ルートの進行方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置であってもよい。操舵角計画は、設定縦位置毎に目標操舵角が関連付けられたデータであってもよい。
【0114】
駐車場管制サーバ1は、自動運転車両2と直接的に通信可能である必要はなく、他のサーバ等を介して通信する態様であってもよい。駐車場管制サーバ1は、例えば自動運転車両2のメーカー側の管制サーバ又はMaaS[Mobility as a Service]の運用サーバ等を経由して自動運転車両2と通信してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…駐車場管制サーバ、2…自動運転車両、2X…対象車両(自動運転車両)、12…走行地図情報取得部(走行座標取得部)、34…走行進路生成部(進路生成部)、50…駐車場、54,RW1,RW2…走路、61A,61B,61T…目標駐車スペース、65A,65B…座標(第1座標)、66A,66B…座標(第2座標)、100…自動駐車システム、SR…物標認識範囲。