(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】自動駐車システム、自動駐車システムの制御方法、及び自動運転車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230926BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20230926BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20230926BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230926BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230926BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20230926BHJP
【FI】
G08G1/09 H
B60W30/06
G08G1/14 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2021024458
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】丸岩 修嗣
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-106920(JP,A)
【文献】特開2001-061185(JP,A)
【文献】特開2011-175368(JP,A)
【文献】特開平10-105892(JP,A)
【文献】特開平11-161895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0327151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の自動運転車両に対して目標車速及び目標ルートに関する指示を行うことにより前記自動運転車両の自動駐車を実行する自動駐車システムであって、
前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部の取得した前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記自動運転車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する条件判定部と、
前記条件判定部により前記車々間通信走行条件を満たしたと判定された前記自動運転車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせる車々間通信走行指示部と、
を備え、
前記車々間通信走行では、前記自動駐車のための前記目標車速より前記車々間通信による車両接近抑制の車速調整を前記自動運転車両に優先させ
、
前記車両情報取得部は、前記自動運転車両と自動運転不能であるが車々間通信可能な通信可能車両とを含む対象車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、
前記条件判定部は、前記車両情報取得部の取得した前記対象車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記対象車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定し、
前記車々間通信走行指示部は、前記条件判定部により前記車々間通信走行条件を満たしたと判定された前記対象車両に対して車々間通信による前記車々間通信走行を行わせ、
前記条件判定部は、前記駐車場内の同一レーンにおける複数の前記対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合、前記同一レーンを走行する複数の前記対象車両が前記車々間通信走行条件を満たしたと判定する、自動駐車システム。
【請求項2】
前記条件判定部は、互いの車間距離が車間距離閾値未満になった複数の前記対象車両が存在する場合、前記車間距離が前記車間距離閾値未満になった複数の前記対象車両が前記車々間通信走行条件を満たしたと判定する、
請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項3】
前記車両情報取得部は、自動運転不能且つ車々間通信不能である一般車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、
前記条件判定部は、前記駐車場内で前記一般車両が走行するレーン上に位置する複数の前記対象車両が存在する場合、前記レーン上の複数の前記対象車両が前記車々間通信走行条件を満たしたと判定する、
請求項1又は請求項2に記載の自動駐車システム。
【請求項4】
前記車両情報取得部は、自動運転不能且つ車々間通信不能である一般車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、
前記条件判定部は、前記駐車場に予め設定された設定エリア内に前記一般車両が進入した場合、前記設定エリア内の複数の前記対象車両が前記車々間通信走行条件を満たしたと判定する、
請求項1~3のうち何れか一項に記載の自動駐車システム。
【請求項5】
前記車々間通信走行を行う前記対象車両が存在する場合に、前記車両情報取得部の取得した複数の前記対象車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記対象車両が予め設定された解除条件を満たしたか否かを判定する解除条件判定部を更に備え、
前記車々間通信走行指示部は、前記解除条件判定部により前記解除条件を満たしたと判定された前記対象車両の前記車々間通信走行を終了させる、請求項
1~4のうち何れか一項に記載の自動駐車システム。
【請求項6】
駐車場内の自動運転車両に対して目標車速及び目標ルートに関する指示を行うことにより前記自動運転車両の自動駐車を実行する自動駐車システムの制御方法であって、
前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップで取得した前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記自動運転車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する条件判定ステップと、
前記条件判定ステップで前記車々間通信走行条件を満たしたと判定された前記自動運転車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせる車々間通信走行指示ステップと、
を備え、
前記車々間通信走行では、前記自動駐車のための前記目標車速より前記車々間通信による車両接近抑制の車速調整を前記自動運転車両に優先させ
、
前記車両情報取得ステップでは、前記自動運転車両と自動運転不能であるが車々間通信可能な通信可能車両とを含む対象車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、
前記条件判定ステップでは、前記車両情報取得ステップで取得した前記対象車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記対象車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定し、
前記車々間通信走行指示ステップでは、前記条件判定ステップで前記車々間通信走行条件を満たしたと判定された前記対象車両に対して車々間通信による前記車々間通信走行を行わせ、
前記条件判定ステップでは、前記駐車場内の同一レーンにおける複数の前記対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合、前記同一レーンを走行する複数の前記対象車両が前記車々間通信走行条件を満たしたと判定する、自動駐車システムの制御方法。
【請求項7】
駐車場の自動駐車システムからの目標車速及び目標ルートに関する指示に基づいて、前記駐車場における自動駐車を実行する自動運転車両であって、
前記駐車場内の位置を認識する自車位置認識部と、
前記自動運転車両の内部センサに基づいて、前記自動運転車両の走行状態を認識する走行状態認識部と、
前記走行状態認識部の認識した前記自動運転車両の走行状態と前記自動駐車システムから指示された前記目標車速又は前記目標ルートとの比較結果に基づいて、前記自動運転車両が予め設定された車両側車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する車両側条件判定部と、
前記車両側条件判定部により前記車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定された場合に、車々間通信による前記自動運転車両の車々間通信走行を行う車々間通信走行実行部と、
を備え、
前記車々間通信走行では、前記自動駐車のための前記目標車速より前記車々間通信による車両接近抑制の車速調整を優先する、自動運転車両。
【請求項8】
前記車両側条件判定部は、前記自動駐車システムから前記駐車場内の位置に応じて指示された前記目標車速と比べて当該位置における前記自動運転車両の車速が車速判定閾値以上大きい場合に、前記車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定する、
請求項7に記載の自動運転車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車システム、自動駐車システムの制御方法、及び自動運転車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動駐車システムに関する技術文献として、特開2018-156641号公報が知られている。この公報には、一度に複数台の自動運転車両のバレーパーキングを実現する駐車場管理システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数台の自動運転車両によるバレーパーキングを行う場合において、複数台の自動運転車両に同一の速度を指示しても、メーカー又は車種によって自動運転車両の性能(加速性能、減速性能、又は車速制御の精度など)が異なってくることから、車間距離が詰まり過ぎるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、駐車場内の自動運転車両に対して目標車速及び目標ルートに関する指示を行うことにより自動運転車両の自動駐車を実行する自動駐車システムであって、自動運転車両の駐車場内の位置情報を取得する車両情報取得部と、車両情報取得部の取得した自動運転車両の駐車場内の位置情報に基づいて、自動運転車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する条件判定部と、条件判定部により車々間通信走行条件を満たしたと判定された自動運転車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせる車々間通信走行指示部と、を備え、車々間通信走行では、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を自動運転車両に優先させ、車両情報取得部は、自動運転車両と自動運転不能であるが車々間通信可能な通信可能車両とを含む対象車両の駐車場内の位置情報を取得し、条件判定部は、車両情報取得部の取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて、対象車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定し、車々間通信走行指示部は、条件判定部により車々間通信走行条件を満たしたと判定された対象車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせ、条件判定部は、駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合、同一レーンを走行する複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定する。
【0006】
本発明の一態様に係る自動駐車システムによれば、車々間通信走行条件を満たしたと判定された自動運転車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせることで、車々間通信走行を行わない場合と比べて、自動運転車両の車間距離を適正に保つことができる。また、この自動駐車システムによれば、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を自動運転車両に優先させるので、加速性能、減速性能又は車速制御の精度が異なる複数の自動運転車両に目標車速の指示のみを行う場合と比べて、自動運転車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0009】
上述した自動駐車システムにおいて、条件判定部は、互いの車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が存在する場合、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。
この自動駐車システムによれば、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0010】
上述した自動駐車システムにおいて、車両情報取得部は、自動運転不能且つ車々間通信不能である一般車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、条件判定部は、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両が存在する場合、当該レーン上の複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。
この自動駐車システムによれば、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、一般車両の存在に起因して車々間通信走行を行う対象車両の急減速などが生じたとしても複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0011】
上述した自動駐車システムにおいて、車両情報取得部は、自動運転不能且つ車々間通信不能である一般車両の前記駐車場内の位置情報を取得し、条件判定部は、駐車場に予め設定された設定エリア内に一般車両が進入した場合、設定エリア内の複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。
この自動駐車システムによれば、一般車両が設定エリア内に進入した場合に、設定エリア内の複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、一般車両の存在に起因して車々間通信走行を行う対象車両の急減速などが生じたとしても複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0012】
上述した自動駐車システムにおいて、車々間通信走行を行う対象車両が存在する場合に、車両情報取得部の取得した複数の対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて、対象車両が予め設定された解除条件を満たしたか否かを判定する解除条件判定部を更に備え、車々間通信走行指示部は、解除条件判定部により解除条件を満たしたと判定された対象車両の車々間通信走行を終了させてもよい。
この自動駐車システムによれば、解除条件判定部により解除条件を満たしたと判定された対象車両の車々間通信走行を終了させるので、自動運転車両の車速を自動駐車のための目標車速に応じてコントロールすることで、駐車場の使用効率を向上させることが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様は、駐車場内の自動運転車両に対して目標車速及び目標ルートに関する指示を行うことにより前記自動運転車両の自動駐車を実行する自動駐車システムの制御方法であって、前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報を取得する車両情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップで取得した前記自動運転車両の前記駐車場内の位置情報に基づいて、前記自動運転車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する条件判定ステップと、前記条件判定ステップで前記車々間通信走行条件を満たしたと判定された前記自動運転車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせる車々間通信走行指示ステップと、を備え、前記車々間通信走行では、前記自動駐車のための前記目標車速より前記車々間通信による車両接近抑制の車速調整を前記自動運転車両に優先させ、前記車両情報取得ステップでは、自動運転車両と自動運転不能であるが車々間通信可能な通信可能車両とを含む対象車両の駐車場内の位置情報を取得し、条件判定ステップでは、車両情報取得ステップで取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて、対象車両が予め設定された車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定し、車々間通信走行指示ステップでは、条件判定ステップで車々間通信走行条件を満たしたと判定された対象車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせ、条件判定ステップでは、駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合、同一レーンを走行する複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定する。
【0014】
本発明の他の態様に係る自動駐車システムの制御方法によれば、車々間通信走行条件を満たしたと判定された対象車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせることで、車々間通信走行を行わない場合と比べて、対象車両の車間距離を適正に保つことができる。また、この自動駐車システムの制御方法によれば、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を自動運転車両に優先させるので、加速性能、減速性能又は車速制御の精度が異なる複数の自動運転車両に目標車速の指示のみを行う場合と比べて、自動運転車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0015】
本発明の更に他の態様は、駐車場の自動駐車システムからの目標車速及び目標ルートに関する指示に基づいて、駐車場における自動駐車を実行する自動運転車両であって、駐車場内の位置を認識する自車位置認識部と、自動運転車両の内部センサに基づいて、自動運転車両の走行状態を認識する走行状態認識部と、走行状態認識部の認識した自動運転車両の走行状態と自動駐車システムから指示された目標車速又は目標ルートとの比較結果に基づいて、自動運転車両が予め設定された車両側車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する車両側条件判定部と、車両側条件判定部により車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定された場合に、周囲の対象車両との車々間通信による前記自動運転車両の車々間通信走行を行う車々間通信走行実行部と、を備え、車々間通信走行では、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を優先する。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る自動運転車両によれば、自動運転車両の走行状態と自動駐車システムから指示された目標車速又は目標ルートとの比較結果に基づいて自動運転車両が車両側車々間通信走行条件を満たした場合に周囲の対象車両と車々間通信による車々間通信走行を行い、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を優先するので、自動運転車両と対象車両との車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0017】
上述した自動運転車両において、車両側条件判定部は、自動駐車システムから駐車場内の位置に応じて指示された目標車速と比べて当該位置における自動運転車両の車速が車速判定閾値以上大きい場合に、車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。
この自動運転車両によれば、自動駐車システムから駐車場内の位置に応じて指示された目標車速と比べて当該位置における自動運転車両の車速が車速判定閾値以上大きい場合に車々間通信走行を行うことで、自動運転車両の車速制御機能又は車速制御の応答性に支障があったとしても、自動運転車両と対象車両との車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の各態様によれば、駐車場内で対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
【
図2】自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
【
図3】駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】駐車場管制サーバの機能的構成の一例を示す図である。
【
図5】(a)同一レーンの車両台数により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。(b)車間距離により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。(c)一般車両と同一レーン走行により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。(d)一般車両の設定エリア進入により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。
【
図6】(a)同一レーンの車両台数に応じて車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。(b)車間距離に応じて車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。(c)一般車両と同一レーン走行により車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。(d)一般車両の設定エリア進入により車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。
【
図7】(a)同一レーンの車両台数による解除条件が満たされた場合の一例を説明するための図である。(b)一般車両の駐車完了などにより解除条件が満たされた場合の一例を説明するための図である。(c)一般車両の駐車完了などにより解除条件が満たされた場合の他の例を説明するための図である。
【
図8】(a)車々間通信走行処理の一例を示すフローチャートである。(b)同一レーンの車両台数による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】(a)車間距離による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。(b)一般車両と同一レーン走行による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】一般車両の設定エリア進入による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】(a)車々間通信走行解除処理の一例を示すフローチャートである。(b)同一レーンの車両台数による解除条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】自動運転車両の一例を示すブロック図である。
【
図13】(a)自動運転車両の目標ルート上で目標車速が設定された設定位置の一例を説明するための図である。(b)自動運転車両において車両側車々間通信走行条件が満たされて車々間通信走行が実行された場合の一例を説明するための図である。
【
図14】(a)自動運転車両における車々間通信走行実行処理の一例を示すフローチャートである。(b)車両側車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
図1に示す自動駐車システム[AVPS:Automated Valet Parking System]1は、駐車場[Parkingplace]における複数台の自動運転車両2の自動バレーパーキング[Automated ValetParking]を行うためのシステムである。
【0022】
以下、自動バレーパーキングのための自動運転を実行可能な車両を自動運転車両、自動運転不能だが車々間通信可能な車両を通信可能車両とし、自動運転車両と通信可能車両を合わせて対象車両と呼ぶ。また、自動運転不能且つ車々間通信不能な車両を一般車両と呼ぶ。なお、自動運転不能とは、自動運転機能を備えていない場合に限られず、自動運転機能をオフにしている場合も含まれる。車々間通信不能についても同様である。
【0023】
自動バレーパーキングとは、駐車場における降車場でユーザ(乗員)が降りた無人の自動運転車両2を駐車場側からの指示によって目標ルートを走行させ、駐車場内の目標駐車スペースに自動で駐車させるサービスである。目標駐車スペースとは、自動運転車両2の駐車位置として予め設定された駐車スペース[Parking space]である。目標ルートとは、自動運転車両2が目標駐車スペースに到達するために走行する駐車場内のルートである。なお、出庫時における目標ルートは、後述する乗車用スペースに到達するために走行するルートとなる。
【0024】
駐車場は、自動バレーパーキング専用の駐車場であってもよく、通信可能車両及び一般車両も使用可能な兼用の駐車場であってもよい。自動バレーパーキング用の駐車スペースとそれ以外の駐車スペースとを分け、走行するレーン(走行路)を共通としてもよい。本実施形態では、自動運転車両2、通信可能車両、一般車両の何れも使用可能な駐車場を例として説明する。
【0025】
ここで、
図2は、自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
図2に、駐車場50、駐車エリア[Parking area]51、降車場[Drop-off area]52、及び乗車場[Pick up area]53を示す。駐車場50は、駐車エリア51、降車場52、及び乗車場53を含んでいる。なお、降車場52及び乗車場53は別々に設けられている必要はなく、一体の乗降場として設けられていてもよい。
【0026】
駐車エリア51は、自動バレーパーキングにより自動運転車両2が駐車する駐車スペース(駐車枠)61が形成された場所である。駐車スペース61は、例えば
図2に示すように一方向(例えば駐車車両における車幅方向)に並んで複数形成されている。
【0027】
降車場52は、駐車場50の入口側に設けられ、入庫前の自動運転車両2からユーザを含む乗員が降車するための場所である。降車場52には、乗員の降車時に自動運転車両2が停車するための降車用スペース62が形成されている。降車場52は、入庫ゲート54を介して駐車エリア51に通じている。
【0028】
乗車場53は、駐車場50の出口側に設けられ、出庫してきた自動運転車両2に乗員が乗車するための場所である。乗車場53には、乗員の乗車のために自動運転車両2が待機するための乗車用スペース63が形成されている。乗車場53は、出庫ゲート55を介して駐車エリア51に通じている。また、乗車場53と駐車エリア51との間には、乗車場53から駐車エリア51に自動運転車両2を戻すためのリターンゲート56が設けられている。なお、リターンゲート56は必須ではない。
【0029】
また、
図2において、降車場52の降車用スペース62で停車中の自動運転車両2A、駐車場50内を走行中の自動運転車両2Ba,2Bb、駐車エリア51の駐車スペース61に駐車中の自動運転車両2C、及び乗車場53の乗車用スペース63で停車中の自動運転車両2Dを示す。また、駐車場内を走行する通信可能車両(自動運転不能だが車々間通信可能な車両)Mを示す。
【0030】
自動駐車システム1では、例えば、駐車場50に入場[Entering]した自動運転車両2が降車用スペース62で乗員を降ろした後(自動運転車両2Aに対応)、自動運転車両2の指示権限を得て自動バレーパーキングを開始する。自動駐車システム1は、目標ルートC1に沿って自動運転車両2Baを走行させ、自動運転車両2Baを目標駐車スペースE1に自動駐車させる。自動駐車システム1は、出庫要求[Pick up request]に応じて、駐車していた自動運転車両2Bbを乗車場53に向かう目標ルートC2に沿って走行させ、乗車用スペース63(目標駐車スペースE2)で乗員の到着まで待機させる。
【0031】
なお、駐車場内を走行する通信可能車両Mは、自動バレーパーキングではなく、運転者の手動操作により駐車を行う。通信可能車両Mは、駐車場管制サーバ10と通信可能である場合には、目標駐車スペースEm及び目標ルートCmの案内情報を受け取ってもよい。
【0032】
[自動駐車システムの構成]
以下、自動駐車システム1の構成について図面を参照して説明する。
図1に示すように、自動駐車システム1は駐車場管制サーバ10を備えている。駐車場管制サーバ10は駐車場を管理するためのサーバである。
【0033】
駐車場管制サーバ10は、自動運転車両2と通信可能に構成されている。自動運転車両2について詳しくは後述する。駐車場管制サーバ10は、駐車場に設けられていてもよく、駐車場から離れた施設に設けられていてもよい。駐車場管制サーバ10は、異なる場所に設けられた複数のコンピュータから構成されていてもよい。駐車場管制サーバ10は、駐車場センサ3及び駐車場地図データベース4と接続されている。
【0034】
駐車場センサ3は、駐車場内の状況を認識するためのセンサである。駐車場センサ3には、例えば駐車場内の自動運転車両2の位置を検出するための監視カメラが含まれている。監視カメラは、駐車場の天井や壁に設けられ、駐車場内の自動運転車両2を撮像する。監視カメラは、撮像画像を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0035】
駐車場センサ3には、駐車枠内に駐車車両が存在するか否か(駐車枠が満車であるか空車であるか)を検出するための空車センサが含まれてもよい。空車センサは、駐車枠ごとに設けられてもよく、天井などに設けられて複数の駐車枠を一台で監視可能に構成されていてもよい。空車センサの構成は特に限定されず、周知の構成を採用することができる。空車センサは、圧力センサであってもよく、電波を用いるレーダセンサ又はソナーセンサであってもよく、カメラであってもよい。空車センサは、駐車枠における空車情報を駐車場管制サーバ10に送信する。
【0036】
駐車場地図データベース4は、駐車場地図情報を記憶するデータベースである。駐車場地図情報には、駐車場における駐車枠の位置情報及び駐車場における走行路の情報が含まれている。また、駐車場地図情報には、自動運転車両2が位置認識に用いられるランドマークの位置情報が含まれていてもよい。ランドマークには、白線、ポール、セーフティコーン、駐車場の柱などのうち少なくとも一つが含まれる。
【0037】
駐車場管制サーバ10のハードウェア構成について説明する。
図3は、駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、駐車場管制サーバ10は、プロセッサ10a、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0038】
プロセッサ10aは、各種オペレーティングシステムを動作させて駐車場管制サーバ10を制御する。プロセッサ10aは、制御装置、演算装置、レジスタなどを含むCPU[Central Processing Unit]などの演算器である。プロセッサ10aは、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを統括する。記憶部10bは、例えばROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、HDD[Hard Disk Drive]、SSD[Solid State Drive]のうち少なくとも一つを含む記録媒体である。
【0039】
通信部10cは、ネットワークを介した無線通信を行うための通信デバイスである。通信部10cには、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどを用いることができる。駐車場管制サーバ10は、通信部10cを用いて自動運転車両2と通信を行う。ユーザインターフェイス10dは、駐車場管制サーバ10の管理者などに対する駐車場管制サーバ10の入出力部である。ユーザインターフェイス10dは、ディスプレイ、スピーカなどの出力器、及び、タッチパネルなどの入力器を含む。
【0040】
次に、駐車場管制サーバ10の機能的構成について説明する。
図4は、駐車場管制サーバ10の機能的構成の一例を示す図である。
図3に示すように、駐車場管制サーバ10は、車両情報取得部11、駐車計画生成部12、条件判定部13、車々間通信走行指示部14、及び解除条件判定部15を有する。
【0041】
車両情報取得部11は、駐車場内の自動運転車両2との通信により自動運転車両2の車両情報を取得する。車両情報には、自動運転車両2の識別情報及び駐車場における自動運転車両2の位置情報が含まれる。識別情報は、個々の自動運転車両2を特定できる情報であればよい。識別情報は、ID番号[Identification Number]であってもよく、車両番号であってもよく、自動バレーパーキングの予約番号などであってもよい。
【0042】
車両情報には、自動運転車両2の車種が含まれていてもよく、識別情報とは別に車両番号が含まれていてもよい。車両情報には、入庫予約時刻などの入庫予約情報が含まれていてもよく、出庫予定時刻が含まれていてもよい。車両情報には、自動運転車両2の旋回半径、大きさ、車幅などの車体情報が含まれていてもよく、自動運転車両2の自動運転機能に関する情報が含まれていてもよい。自動運転機能に関する情報には自動運転機能のバージョン情報が含まれていてもよい。
【0043】
車両情報には、自動運転車両2の走行状態及び外部環境の認識結果が含まれていてもよい。走行状態及び外部環境の認識については後述する。車両情報には、自動運転車両2の残りの走行可能距離又は残燃料の情報が含まれていてもよい。
【0044】
車両情報取得部11は、自動バレーパーキングの間、自動運転車両2から車両情報を継続的に取得する。車両情報取得部11は、自動運転車両2が駐車中となった場合、車両情報の取得を中断してもよく、定期的に車両情報を取得してもよい。
【0045】
車両情報取得部11は、取得した車両情報に基づいて、自動バレーパーキング中の自動運転車両2の状況を認識する。自動運転車両2の状況には、駐車場内における自動運転車両2の位置が含まれる。自動運転車両2の状況には、自動運転車両2の車速が含まれてもよく、自動運転車両2のヨーレートが含まれてもよく、自動運転車両2と周囲の他車両との距離が含まれてもよい。
【0046】
車両情報取得部11は、通信可能車両及び一般車両の駐車場における位置情報を取得する。車両情報取得部11は、例えば駐車場センサ3の検出結果(例えばカメラの画像認識結果)に基づいて通信可能車両及び一般車両の位置情報を取得する。車両情報取得部11は、例えば車両のナンバープレートの画像認識による車両識別を行うことで位置追跡(継続的な位置情報の取得)を行ってもよい。
【0047】
駐車場内における車両の位置情報の取得方法は、特に限定されず、周知の様々な手法を採用することができる。車両情報取得部11は、運転者の携帯端末との通信により各車両の位置情報を取得してもよい。なお、通信可能車両Mが駐車場管制サーバ10と通信可能な場合は、自動運転車両2と同様に自車位置情報を駐車場管制サーバ10に提供する態様であってもよい。
【0048】
駐車計画生成部12は、車両情報取得部11の取得した車両情報に基づいて、自動運転車両2の駐車に関する走行計画である駐車計画を生成する。駐車計画には、自動運転車両2が駐車する目標駐車スペースと目標駐車スペースまでの目標ルートとが含まれる。駐車計画生成部12は、例えば駐車場に入場した自動運転車両2から入庫要求を受領した場合に、駐車計画の生成を開始する。入庫要求は自動運転車両2ではなく、乗員のユーザ端末から行われてもよい。
【0049】
駐車計画生成部12は、駐車場センサ3の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況に基づいて、目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部12は、駐車場内に予め設定された駐車枠に対して目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部12は、自動運転車両2の車体情報も踏まえて、自動運転車両2の大きさに応じた適切な目標駐車スペースを設定してもよい。
【0050】
駐車計画生成部12は、車両情報取得部11の取得した自動運転車両2の位置情報、目標駐車スペースの位置情報、及び駐車場地図データベース4の駐車場地図情報に基づいて、自動運転車両2の現在の位置から目標駐車スペースに向かう目標ルートを設定する。
【0051】
駐車計画生成部12は、駐車場内の走行路上に目標ルートを設定する。目標ルートは必ずしも最短距離である必要はなく、他の自動運転車両2の目標ルートと干渉しない又は干渉の少ないルートが優先的に選択されてもよい。目標ルートの設定方法は特に限定されず、周知の様々な手法を採用することができる。
【0052】
また、駐車計画生成部12は、自動運転車両2の車速計画を生成してもよい。駐車計画生成部12は、目標ルート上(走行路上)に予め設定された設定位置ごとに目標車速を演算し、設定位置の位置情報と目標車速を含む車速計画を伝えることで自動運転車両2の車速をコントロールしてもよい。設定位置は、例えば走行路に対して一定間隔で仮想的に設定される。設定位置は、走行路の交差路やカーブに設定されていてもよい。駐車計画生成部12は、他の自動運転車両2や一般車両の走行状況を踏まえて設定位置における目標車速を更新してもよい。
【0053】
或いは、駐車計画生成部12は、車速計画を生成することなく、自動運転車両2の位置の変化に応じた目標車速を適宜指示する態様であってもよい。駐車計画生成部12は、車速上限だけ自動運転車両2に指示して、車速調整を自動運転車両2に任せる態様であってもよい。
【0054】
条件判定部13は、車両情報取得部11の取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて、対象車両が車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する。車々間通信走行条件とは、後述する車々間通信走行の要否を判定するために予め設定された条件である。
【0055】
条件判定部13は、駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合、同一レーンを走行する複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。条件判定部13は、駐車場地図情報を参照して同一レーンの判定を行ってもよい。レーンの同一性は任意に設定できる。レーンの同一性は、交差路を境界とする個別のレーンとして区別されてもよく、複数の交差路を跨ぐ一つのレーンとして設定されてもよい。
【0056】
レーン台数閾値とは、車々間通信走行条件を判定するために予め設定された値の閾値である。レーン台数閾値は一定の値であってもよく、レーンの長さに応じて設定された値であってもよい。レーン台数閾値は、例えばレーンの長さが長いほど大きい値として設定されてもよい。レーン台数閾値は、途中で接続されるレーンの数が多いほど大きい値として設定されてもよい。レーン台数閾値は、レーン途中にカーブが存在する場合、レーンが直線路である場合と比べて、小さい値に設定されてもよい。
【0057】
なお、レーンに代えて駐車場内に予め設定された設定エリア内における対象車両の台数を用いてもよい。条件判定部13は、設定エリア内の対象車両の台数がエリア台数閾値以上になった場合、設定エリア内の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。エリア台数閾値は予め設定された値の閾値である。エリア台数閾値は設定エリアの面積が広いほど大きい値として設定されてもよい。
【0058】
図5(a)は、同一レーンの車両台数により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。
図5(a)に、駐車場内のレーン60、五台の自動運転車両2Ea~2Eeを示す。ここでは、レーン台数閾値を5とする。である場合、五台の自動運転車両2Ea~2Eeは、加速性能、減速性能又は車速制御の精度の違いにより同じ目標車速を与えられても車間距離にばらつきが生じている。
【0059】
図5(a)に示す状況において、条件判定部13は、対象車両である自動運転車両2Ea~2Eeの台数が5台(レーン台数閾値)以上であることから、自動運転車両2Ea~2Eeが車々間通信走行条件を満たしたと判定する。なお、自動運転車両2Ea~2Eeの中に通信可能車両が含まれていてもよい。
【0060】
条件判定部13は、互いの車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が存在する場合、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。車間距離閾値は、車々間通信走行条件を判定するために予め設定された値の閾値である。
【0061】
図5(b)は、車間距離により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。
図5(b)において、自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbと、自動運転車両2Fa,2Fbの車間距離Lを示す。
【0062】
図5(a)に示す状況において、条件判定部13は、自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbの車間距離Lが車間距離閾値未満であることから、自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbが車々間通信走行条件を満たしたと判定する。自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbの一方は通信可能車両であってもよい。
【0063】
なお、車間距離による車々間通信走行条件が満たされたか否かは自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbにおいて判定されてもよい。自動駐車システム1は、予め車々間通信走行条件が満たされた場合に車々間通信走行を行うことを自動バレーパーキングの対象となる自動運転車両2に許可していてもよい。車々間通信走行については後述する。
【0064】
条件判定部13は、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両が存在する場合、当該レーン上の複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。レーンの同一性は任意に設定できる。条件判定部13は、駐車場地図情報を参照してもよい。
【0065】
図5(c)は、一般車両と同一レーン走行により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。
図5(c)に、一般車両Ta、自動運転車両2Ga~2Gcを示す。一般車両Ta及び自動運転車両2Ga~2Gcは同一のレーン60を走行している。
【0066】
図5(c)に示す状況において、条件判定部13は、一般車両Taが走行するレーン上に位置する自動運転車両2Ga~2Gcが車々間通信走行条件を満たしたと判定する。自動運転車両2Ga~2Gcの中には通信可能車両が含まれていてもよい。
【0067】
条件判定部13は、駐車場に予め設定された設定エリア内に一般車両が進入した場合、設定エリア内の複数の対象車両が車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。設定エリアは特に限定されない。設定エリアは、駐車場全体に対して設定されてもよく、
図2に示す駐車エリア51にのみ設定されてもよい。設定エリアは、レーンに対して設定されてもよい。条件判定部13は、設定エリアが設定された駐車場地図情報を参照する。
【0068】
図5(d)は、一般車両の設定エリア進入により車々間通信走行条件が満たされた場合の例を説明するための図である。
図5(d)に、レーン70、合流レーン71、設定エリアF、一般車両Tb、自動運転車両2Ha,2Hbを示す。合流レーン71は、レーン70の途中に合流してT字路をなしている。自動運転車両2Ha,2Hbはレーン70を交差路に向かって走行中であり、合流レーン71を走行する一般車両Tbが自動運転車両2Ha,2Hbの前方に現われようとしている。設定エリアFには、一例として、レーン70の全体と、合流レーン71のうちレーン70の交差路から一定距離のエリアが含まれている。
【0069】
図5(d)に示す状況において、条件判定部13は、設定エリアF内の自動運転車両2Ha及び自動運転車両2Hbが車々間通信走行条件を満たしたと判定する。自動運転車両2Ha及び自動運転車両2Hbの一方は通信可能車両であってもよい。
【0070】
車々間通信走行指示部14は、条件判定部13により車々間通信走行条件を満たしたと判定された対象車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせる。車々間通信走行とは、車々間通信を用いて取得された他車両の走行状態(加速、減速など)に応じて車速をコントロールする走行制御である。なお、運転者が手動で運転している通信可能車両においては、必ずしも車々間通信走行を受け入れる必要はない。また、対象車両の周囲に車々間通信可能な他の対象車両が存在しない場合には、予約として車々間通信走行が指示されてもよい。
【0071】
車々間通信走行指示部14は、通信により自動運転車両2に対して車々間通信走行を指示する。自動運転車両2は、周囲の対象車両と車々間通信を接続することで、車々間通信走行を実行する。車々間通信走行指示部14は、車々間通信の接続対象を自動運転車両2ごとに指示してもよい。車々間通信走行条件を満たした自動運転車両2から一定距離内の対象車両を車々間通信の接続対象として伝えてもよく、車々間通信走行条件を満たした自動運転車両2の前後の対象車両だけを車々間通信の接続対象として伝えてもよい。車々間通信走行指示部14は、車々間通信の接続対象を自動運転車両2の判断に委ねてもよい。
【0072】
車々間通信走行指示部14は、車々間通信走行条件を満たした通信可能車両が駐車場管制サーバ10と通信可能な場合には、通信により通信可能車両に対して車々間通信走行を指示(車々間通信の接続を依頼)してもよい。車々間通信走行指示部14は、通信可能車両が駐車場管制サーバ10と通信不能な場合には、自動運転車両2を介して車々間通信走行を指示してもよい。
【0073】
図6(a)は、同一レーンの車両台数に応じて車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。
図6(a)に示すように、車々間通信走行指示部14は、同一レーンを走行する自動運転車両2Ea~2Eeが車々間通信走行を行うことで、加速性能、減速性能又は車速制御の精度の違いがあったとしても、車間距離が詰まり過ぎることを抑制して車間距離を適切に保つことができる。
【0074】
図6(b)は、車間距離に応じて車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。
図6(b)に示すように、車々間通信走行指示部14は、加速性能、減速性能又は車速制御の精度の違いにより車間距離が詰まってしまった自動運転車両2Fa及び自動運転車両2Fbに車々間通信走行を行わせることで、車間距離が詰まり過ぎることを抑制して車間距離を適切に保つことができる。
【0075】
図6(c)は、一般車両と同一レーン走行により車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。
図6(c)に示すように、車々間通信走行指示部14は、一般車両Taが走行するレーン上に位置する自動運転車両2Ga~2Gcに車々間通信走行を行わせることで、一般車両Taの挙動に起因して自動運転車両2Gbの急減速などが生じたとしても自動運転車両2Ga及び自動運転車両2Gbの車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。なお、車々間通信走行指示部14は、一般車両の後ろを走行する対象車両のみが車々間通信走行条件を満たすと判定してもよい。
【0076】
図6(d)は、一般車両の設定エリア進入により車々間通信走行を実行した場合の一例を説明するための図である。
図6(d)に示すように、車々間通信走行指示部14は、一般車両Tbが進入した設定エリアFを走行中の自動運転車両2Ha及び自動運転車両2Hbに車々間通信走行を行わせることで、一般車両Tbの進入に起因して自動運転車両2Haの急減速などが生じたとしても自動運転車両2Ha及び自動運転車両2Hbの車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0077】
車々間通信走行指示部14は、車々間通信走行を指示した後、後述する解除条件判定部15により解除条件が満たされたと判定された場合には、車々間通信走行の終了を指示する。
【0078】
なお、車々間通信走行指示部14は、一般車両の存在に応じて自動運転車両2の退避指示を行ってもよい。車々間通信を用いながら退避させることで、退避時においても車間距離を適切に保つことができる。車々間通信走行指示部14は、一般車両を先に行かせるように、自動運転車両2を路肩に寄せて停車させてもよい。車々間通信走行指示部14は、例えば一般車両が一定距離以上離れた場合に、退避又は停車させた自動運転車両2の走行を再開させる。車々間通信走行指示部14は、一般車両又は一般車両の運転者の携帯端末が駐車場管制サーバ10と通信可能な場合には、一般車両に対してルート案内や車速上限の案内を行ってもよい。
【0079】
解除条件判定部15は、車々間通信走行を行う対象車両が存在する場合に、車両情報取得部11の取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて、対象車両が解除条件を満たしたか否かを判定する。解除条件とは、車々間通信走行を解除するか否かを判定するために予め設定された条件である。解除条件は、複数の条件の中から車々間通信走行を開始させた車々間通信走行条件に対応する条件が選択的に適用されてもよい。
【0080】
解除条件判定部15は、例えば、同一レーンにおける対象車両の台数がレーン台数閾値以上になることで車々間通信走行条件が満たされた場合、当該レーンにおける対象車両の台数がレーン台数解除閾値未満となったときに、当該レーンにおける対象車両の解除条件が満たされたと判定する。レーン台数解除閾値は、車々間通信走行の終了判定のために予め設定された値の閾値である。レーン台数解除閾値は、車々間通信走行条件におけるレーン台数閾値と同じ値であってもよく、レーン台数閾値より小さい値であってもよい。
【0081】
図7(a)は、同一レーンの車両台数による解除条件が満たされた場合の一例を説明するための図である。この場合におけるレーン台数解除閾値を5とする。
図7(a)では、
図6(a)における自動運転車両2Eeが駐車完了によりレーンから外れている。
【0082】
図7(a)に示す状況において、解除条件判定部15は、レーン60における対象車両の台数(自動運転車両2Ea~自動運転車両2Ed)がレーン台数解除閾値未満となった場合、自動運転車両2Ea~自動運転車両2Edの解除条件が満たされたと判定する。
【0083】
なお、レーンに代えて駐車場内に予め設定された設定エリア内における対象車両の台数を用いてもよい。解除条件判定部15は、設定エリア内の対象車両の台数がエリア台数解除閾値未満になった場合、設定エリア内の対象車両が解除条件を満たしたと判定してもよい。エリア台数解除閾値は予め設定された値の閾値である。エリア台数解除閾値は、車々間通信走行条件におけるエリア台数閾値と同じ値であってもよく、エリア台数閾値より小さい値であってもよい。
【0084】
解除条件判定部15は、一般車両の存在により車々間通信走行条件が満たされた場合、一般車両が駐車完了などによっていなくなったときに、対象車両の解除条件が満たされたと判定する。
【0085】
図7(b)は、一般車両の駐車完了などにより解除条件が満たされた場合の一例を説明するための図である。
図7(b)に示す状況において、解除条件判定部15は、車々間通信走行条件を満たす要因である一般車両Taがレーンから外れているため、自動運転車両2Ga~2Gcの解除条件が満たされたと判定する。これにより、自動運転車両2Ga~2Gcは、自動駐車システム1から指示される目標車速に応じて車速をコントロールするため、駐車場全体の使用効率を高めることができる。なお、車々間通信走行は、駐車完了によっても終了する。
【0086】
図7(c)は、一般車両の駐車完了などにより解除条件が満たされた場合の他の例を説明するための図である。
図7(b)に示す状況において、解除条件判定部15は、車々間通信走行条件を満たす要因である走行中の一般車両Tbが設定エリア内に存在しなくなった(設定エリア内で走行していない)ため、自動運転車両2Ha,2Hbの解除条件が満たされたと判定する。
【0087】
[自動駐車システムの制御方法]
次に、本実施形態に係る自動駐車システム1の制御方法(処理)の一例について説明する。
図8(a)は、車々間通信走行処理の一例を示すフローチャートである。車々間通信走行処理は自動バレーパーキング中の自動運転車両2が存在する場合に実行される。
【0088】
図8(a)に示すように、自動駐車システム1の駐車場管制サーバ10は、S10として、車両情報取得部11により駐車場内の対象車両の位置情報(車両情報)を取得する(車両情報取得ステップ)。
【0089】
S12において、駐車場管制サーバ10は、条件判定部13により対象車両の車々間通信走行条件が満たされたか否かを判定する(条件判定ステップ)。条件判定部13は、車両情報取得部11の取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて上記判定を行う。
【0090】
駐車場管制サーバ10は、対象車両の車々間通信走行条件が満たされたと判定された場合(S12:YES)、S14に移行する。駐車場管制サーバ10は、対象車両の車々間通信走行条件が満たされたと判定されなかった場合(S12:NO)、今回の処理を終了する。その後、駐車場管制サーバ10は、再びS10から判定を繰り返す。
【0091】
S14において、駐車場管制サーバ10は、車々間通信走行指示部14により、車々間通信走行条件を満たした対象車両に対して車々間通信走行を指示する(車々間通信走行指示ステップ)。対象車両は、周囲の対象車両と車々間通信を接続することで、車々間通信走行を実行する。
【0092】
続いて、
図8(a)のS12に対応する車々間通信走行条件判定処理(条件判定ステップ)の具体例について説明する。
図8(b)は、同一レーンの車両台数による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
図8(b)に示すように、駐車場管制サーバ10は、S20として、条件判定部13により駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になったか否かを判定する(レーン台数判定ステップ)。
【0094】
駐車場管制サーバ10は、同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になったと判定された場合(S20:YES)、S22に移行する。駐車場管制サーバ10は、同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になったと判定されなかった場合(S20:NO)、今回の処理を終了する。S22において、駐車場管制サーバ10は、条件判定部13により車々間通信走行条件が満たされたと判定する。
【0095】
図9(a)は、車間距離による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9(a)に示すように、駐車場管制サーバ10は、S30として、互いの車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が存在するか否かを判定する(車間距離判定ステップ)。
【0096】
駐車場管制サーバ10は、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が存在すると判定された場合(S30:YES)、S32に移行する。駐車場管制サーバ10は、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両が存在すると判定されなかった場合(S30:NO)、今回の処理を終了する。S32において、駐車場管制サーバ10は、条件判定部13により車々間通信走行条件が満たされたと判定する。
【0097】
図9(b)は、一般車両と同一レーン走行による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9(b)に示すように、駐車場管制サーバ10は、S40として、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両が存在するか否かを判定する(一般車両レーン判定ステップ)。
【0098】
駐車場管制サーバ10は、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両が存在すると判定された場合(S40:YES)、S42に移行する。駐車場管制サーバ10は、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両が存在すると判定されなかった場合(S40:NO)、今回の処理を終了する。S42において、駐車場管制サーバ10は、条件判定部13により車々間通信走行条件が満たされたと判定する。
【0099】
図10は、一般車両の設定エリア進入による車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、駐車場管制サーバ10は、S50として、駐車場の設定エリア内に一般車両が進入したか否かを判定する(一般車両進入判定ステップ)。
【0100】
駐車場管制サーバ10は、駐車場の設定エリア内に一般車両が進入したと判定された場合(S50:YES)、S52に移行する。駐車場管制サーバ10は、駐車場の設定エリア内に一般車両が進入したと判定されなかった場合(S50:NO)、今回の処理を終了する。S52において、駐車場管制サーバ10は、条件判定部13により車々間通信走行条件が満たされたと判定する。
【0101】
次に、自動駐車システム1における車々間通信走行解除処理について説明する。
図11(a)は、車々間通信走行解除処理の一例を示すフローチャートである。車々間通信走行解除処理は、例えば車々間通信走行を行っている対象車両が存在する場合に実行される。
【0102】
図11(a)に示すように、駐車場管制サーバ10は、S60として、車両情報取得部11により駐車場内の対象車両の位置情報(車両情報)を取得する(車両情報取得ステップ)。
【0103】
S62において、駐車場管制サーバ10は、解除条件判定部15により車々間通信走行を行っている対象車両の解除条件が満たされたか否かを判定する(解除条件判定ステップ)。解除条件判定部15は、車両情報取得部11の取得した対象車両の駐車場内の位置情報に基づいて上記判定を行う。
【0104】
駐車場管制サーバ10は、対象車両の解除条件が満たされたと判定された場合(S62:YES)、S64に移行する。駐車場管制サーバ10は、対象車両の解除条件が満たされたと判定された場合(S62:YES)、今回の処理を終了する。その後、駐車場管制サーバ10は再びS60から処理を繰り返す。S64において、駐車場管制サーバ10は、車々間通信走行指示部14により解除条件が満たされた対象車両に車々間通信走行の終了を指示する(車々間通信走行終了ステップ)。
【0105】
図11(a)のS62に対応する解除条件判定処理(解除条件判定ステップ)の具体例について説明する。
図11(b)は、同一レーンの車両台数による解除条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0106】
図11(a)に示すように、駐車場管制サーバ10は、S70として、解除条件判定部15により駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数解除閾値未満になったか否かを判定する(レーン台数解除判定ステップ)。
【0107】
駐車場管制サーバ10は、同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数解除閾値未満になったと判定された場合(S70:YES)、S72に移行する。駐車場管制サーバ10は、同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数解除閾値未満になったと判定されなかった場合(S70:NO)、今回の処理を終了する。S72において、駐車場管制サーバ10は、解除条件判定部15により対象車両の解除条件が満たされたと判定する。
【0108】
以上説明した本実施形態に係る自動駐車システム1によれば、車々間通信走行条件を満たしたと判定された対象車両に対して車々間通信による車々間通信走行を行わせることで、車々間通信走行を行わない場合と比べて、自動運転車両及び通信可能車両を含む対象車両の車間距離を適正に保つことができる。
【0109】
また、自動駐車システム1によれば、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を自動運転車両2に優先させるので、加速性能、減速性能又は車速制御の精度が異なる複数の自動運転車両2に目標車速の指示のみを行う場合と比べて、自動運転車両2の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0110】
更に、自動駐車システム1によれば、駐車場内の同一レーンにおける複数の対象車両の台数がレーン台数閾値以上になった場合に車々間通信走行を行わせることで、当該レーン内の複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。同様に、自動駐車システム1では、車間距離が車間距離閾値未満になった複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0111】
また、自動駐車システム1によれば、駐車場内で一般車両が走行するレーン上に位置する複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、一般車両の存在に起因して車々間通信走行を行う対象車両の急減速などが生じたとしても複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。同様に、自動駐車システム1によれば、一般車両が設定エリア内に進入した場合に、設定エリア内の複数の対象車両に対して車々間通信走行を行わせることで、一般車両の存在に起因して車々間通信走行を行う対象車両の急減速などが生じたとしても複数の対象車両の車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0112】
更に、自動駐車システムによれば、解除条件判定部15により解除条件を満たしたと判定された対象車両の車々間通信走行を終了させるので、自動運転車両の車速を自動駐車のための目標車速に応じてコントロールすることで、駐車場の使用効率を向上させることが可能となる。
【0113】
[自動運転車両の構成]
続いて、本実施形態に係る自動運転車両2(自動駐車システム1から自動駐車に関する指示を受け取る自動運転車両)の構成の一例について説明する。
図12は、自動運転車両2の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態において自動運転車両2は自動駐車システム1に含まれない。
【0114】
図12に示すように、自動運転車両2は、一例として、自動運転ECU20を有している。自動運転ECU20は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0115】
自動運転ECU20は、GPS受信部21、外部センサ22、内部センサ23、通信部24、及び、アクチュエータ25と接続されている。
【0116】
GPS受信部21は、複数のGPS衛星から信号を受信することにより、自動運転車両2の位置(例えば自動運転車両2の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部21は、測定した自動運転車両2の位置情報を自動運転ECU20へ送信する。GPS受信部21に代えてGNSS[Global Navigation Satellite System]受信部を用いてもよい。
【0117】
外部センサ22は、自動運転車両2の外部環境を検出する車載センサである。外部センサ22は、カメラを少なくとも含む。カメラは、自動運転車両2の外部環境を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば自動運転車両2のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。カメラは、自動運転車両2の外部環境に関する撮像情報を自動運転ECU20へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。カメラは、複数台設けられていてもよく、自動運転車両2の前方の他、左右の側方及び後方を撮像してもよい。
【0118】
外部センサ22は、レーダセンサを含んでもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自動運転車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自動運転車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU20へ送信する。また、外部センサ22は、自動運転車両2の外部の音を検出するソナーセンサを含んでもよい。
【0119】
内部センサ23は、自動運転車両2の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、自動運転車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、自動運転車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU20に送信する。
【0120】
加速度センサは、自動運転車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる.加速度センサは、自動運転車両2の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の加速度情報を自動運転ECU20に送信する。ヨーレートセンサは、自動運転車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自動運転車両2のヨーレート情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0121】
通信部24は、自動運転車両2の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。通信部24は、駐車場管制サーバ10との通信により各種情報の送信及び受信を行う。通信部24は、例えば、駐車場管制サーバ10に車両情報を送信すると共に、駐車場管制サーバ10から自動バレーパーキングのために必要な情報(例えば目標ルート沿いのランドマークの情報)を取得する。
【0122】
アクチュエータ25は、自動運転車両2の制御に用いられる機器である。アクチュエータ25は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自動運転車両2の駆動力を制御する。なお、自動運転車両2がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自動運転車両2が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ25を構成する。
【0123】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自動運転車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を自動運転ECU20からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは自動運転車両2の操舵トルクを制御する。
【0124】
次に、自動運転ECU20の機能的構成の一例について説明する。自動運転ECU20は、外部環境認識部31、走行状態認識部32、自車位置認識部33、車両情報提供部34、自動運転制御部35、車両側条件判定部36、及び車々間通信走行実行部37を有している。
【0125】
外部環境認識部31は、外部センサ22(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出した物体情報)の検出結果に基づいて、自動運転車両2の外部環境を認識する。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対位置が含まれる。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。外部環境認識部31は、パターンマッチングなどにより、他車両及び駐車場の柱などの物体を認識する。外部環境認識部31は、駐車場のゲート、駐車場の壁、ポール、セーフティコーンなどを認識してもよい。また、外部環境認識部31は、白線認識により駐車場における走行境界[driving boundaries]を認識してもよい。
【0126】
走行状態認識部32は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両2の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両2の車速、自動運転車両2の加速度、自動運転車両2のヨーレートが含まれる。具体的に、走行状態認識部32は、車速センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の車速を認識する。走行状態認識部32は、加速度センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の加速度を認識する。走行状態認識部32は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、自動運転車両2の向きを認識する。
【0127】
自車位置認識部33は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10から取得した駐車場地図情報と外部環境認識部31の認識した外部環境とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。
【0128】
自車位置認識部33は、駐車場地図情報に含まれる駐車場内のランドマークの位置情報と外部環境認識部31の認識した自動運転車両2に対するランドマークの相対位置とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。ランドマークとしては、駐車場に固定して設けられた物体を用いることができる。
【0129】
その他、自車位置認識部33は、内部センサ23の検出結果に基づいて、デッドレコニングにより自動運転車両2の位置を認識してもよい。また、自車位置認識部33は、駐車場に設けられたビーコンとの通信により自動運転車両2の位置を認識してもよい。
【0130】
車両情報提供部34は、通信部24を通じて駐車場管制サーバ10に車両情報を提供する。車両情報提供部34は、例えば一定時間ごとに自車位置認識部33の認識した駐車場内における自動運転車両2の位置の情報を含む車両情報を駐車場管制サーバ10に提供する。車両情報には、自動運転車両2認識した外部状況及び/又は走行状態が含まれていてもよい。
【0131】
自動運転制御部35は、自動運転車両2の自動運転を実行する。自動運転制御部35は、例えば、目標ルート、自動運転車両2の位置、自動運転車両2の外部環境、及び自動運転車両2の走行状態に基づいて、自動運転車両2の進路[trajectory]を生成する。進路は自動運転の走行計画に相当する。進路には、自動運転で車両が走行する経路[path]と自動運転における車速計画とが含まれる。
【0132】
経路は、自動駐車システムに指示された目標ルート上において自動運転中の車両が走行する予定の軌跡である。経路は、例えば目標ルート上の位置に応じた自動運転車両2の操舵角変化のデータ(操舵角計画)とすることができる。目標ルート上の位置とは、例えば目標ルートの進行方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置である。操舵角計画とは、設定縦位置毎に目標操舵角が関連付けられたデータとなる。自動運転制御部35は、例えば目標ルートに沿って駐車場の走行路の中央を通るように進路を生成する。
【0133】
自動運転制御部35は、自動バレーパーキングにおいて駐車場管制サーバ10の駐車計画生成部12から駐車計画(目標駐車スペース及び目標ルート)を指示された場合は駐車計画に従って自動駐車を行う。自動運転制御部35は、駐車計画に位置に応じた操舵角計画や車速計画が含まれていない場合は、自動運転車両2側で操舵角計画及び車速計画を生成して自動駐車を実現する。
【0134】
車両側条件判定部36は、走行状態認識部32の認識した自動運転車両2の走行状態と自動駐車システム1から指示された目標車速又は目標ルートとの比較結果に基づいて、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する。
【0135】
車両側条件判定部36は、例えば自動駐車システム1から駐車場内の位置に応じて指示された目標車速と比べて当該位置における自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きい場合に、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定する。車速判定閾値は、自動バレーパーキングにおける自動運転車両2の車速制御の状態を判定するために予め設定された値の閾値である。車速判定閾値は、特に限定されないが10km/hであってもよく、15km/hであってもよく、20km/hであってもよい。
【0136】
図13(a)は、自動運転車両の目標ルート上で目標車速が設定された設定位置の一例を説明するための図である。
図13(a)に、レーン80、分岐レーン81、ノードN1、自動運転車両2Ja、及び目標ルートC3を示す。分岐レーン81は、自動運転車両2Jaの走行するレーン80の途中で分岐してT字路をなしている。ノードN1は、目標ルートC3上でレーン80と分岐レーン81との交点に設定された設定位置に相当する。ノードN1には、自動駐車システム1によって目標車速が設定されている。
【0137】
図13(b)は、自動運転車両において車両側車々間通信走行条件が満たされて車々間通信走行が実行された場合の一例を説明するための図である。
図13(b)では、自動運転車両2JaがノードN1に到達している。
図13(b)に示す状況において、車両側条件判定部36は、自動駐車システム1がノードN1に設定した目標車速と比べてノードN1に経った自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きい場合に、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定する。
【0138】
その他、車両側条件判定部36は、ノード(目標車速)の設定されていない位置において目標ルートの曲率から車速上限を推定し、自動運転車両2の車速が車速上限を超えている場合に、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定してもよい。曲率からの車速上限の推定には周知の様々な手法を採用できる。
【0139】
車々間通信走行実行部37は、車両側条件判定部36により自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定された場合、自動運転車両2の車々間通信走行を実行する。車々間通信走行実行部37は、自動運転車両2の周囲の対象車両と車々間通信を行うことで車々間通信走行を行う。自動運転車両2は、車々間通信を用いて取得された他車両の走行状態(加速、減速など)に応じて車速をコントロールすることで、周囲の対象車両との車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0140】
続いて、本実施形態に係る自動運転車両2の制御方法について図面を参照して説明する。
図14(a)は、自動運転車両における車々間通信走行実行処理の一例を示すフローチャートである。車々間通信走行実行処理は、自動バレーパーキング中に行われる。
【0141】
図14(a)に示すように、自動運転車両2の自動運転ECU20は、S80として、走行状態認識部32により自動運転車両2の走行状態を認識する(走行状態認識ステップ)。走行状態認識部32は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両2の走行状態を認識する。
【0142】
S82において、自動運転ECU20は、車両側条件判定部36により自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたか否かを判定する(車両側車々間通信走行条件判定ステップ)。車両側条件判定部36は、走行状態認識部32の認識した自動運転車両2の走行状態と自動駐車システム1から指示された目標車速又は目標ルートとの比較結果に基づいて上記判定を行う。
【0143】
自動運転ECU20は、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定された場合(S82:YES)、S84に移行する。自動運転ECU20は、自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たしたと判定されなかった場合(S82:NO)、今回の処理を終了する。その後、自動運転ECU20は、再びS80から処理を繰り返す。
【0144】
S84において、自動運転ECU20は、車々間通信走行実行部37により自動運転車両2の車々間通信走行を実行する(車々間通信走行実行ステップ)。車々間通信走行実行部37は、自動運転車両2の周囲の対象車両と車々間通信を行うことで車々間通信走行を行う。
【0145】
続いて、
図14(a)のS82に対応する車両側車々間通信走行条件判定処理(車両側車々間通信走行条件判定ステップ)の具体例について説明する。
図14(b)は、車両側車々間通信走行条件判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0146】
図14(b)に示すように、自動運転ECU20は、S90として、車両側条件判定部36により自動駐車システム1から駐車場内の位置に応じて指示された目標車速と比べて当該位置における自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きいか否かを判定する。位置は、例えば
図13(a)に示すノードN1などがある。
【0147】
自動運転ECU20は、目標車速と比べて自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きいと判定された場合(S90:YES)、S92に移行する。自動運転ECU20は、目標車速と比べて自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きいと判定されなかった場合(S90:NO)、今回の処理を終了する。S92において、自動運転ECU20は、車両側条件判定部36により車両側車々間通信走行条件が満たされたと判定する。
【0148】
以上説明した本実施形態に係る自動運転車両2によれば、自動運転車両2の走行状態と自動駐車システム1から指示された目標車速又は目標ルートとの比較結果に基づいて自動運転車両2が車両側車々間通信走行条件を満たした場合に周囲の対象車両と車々間通信による車々間通信走行を行い、自動駐車のための目標車速より車々間通信による車両接近抑制の車速調整を優先するので、自動運転車両2と対象車両との車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0149】
また、自動運転車両2によれば、自動駐車システム1から駐車場内の位置に応じて指示された目標車速と比べて当該位置における自動運転車両2の車速が車速判定閾値以上大きい場合に車々間通信走行を行うことで、自動運転車両2の車速制御機能又は車速制御の応答性に支障があったとしても、自動運転車両2と対象車両との車間距離が詰まり過ぎることを抑制することができる。
【0150】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0151】
対象車両は、自動運転車両2のみであってもよい。条件判定部13は、必ずしも通信可能車両を含めて車々間通信走行条件の判定を行う必要はない。条件判定部13は、自動運転車両2の台数のみをカウントする態様であってもよい。同様に、解除条件判定部15は、必ずしも通信対象車両を含めて解除条件の判定を行う必要はない。
【0152】
車々間通信走行指示部14は、必ずしも通信対象車両に車々間通信走行を指示する必要はない。車々間通信走行指示部14は、自動運転車両2に対してのみ車々間通信走行を指示する態様であってもよい。
【0153】
自動駐車システム1は、必ずしも解除条件判定部15を有している必要はない。車々間通信走行が開始された場合には、駐車又は停車するまで車々間通信走行が継続される態様であってもよい。
【0154】
自動運転車両2は、必ずしも、車両側車々間通信走行条件を判定する必要はない。自動運転車両2は、車両側条件判定部36及び車々間通信走行実行部37を備えなくてもよい。自動運転車両2は、自動バレーパーキングを実行可能な機能を有していればよい。
【符号の説明】
【0155】
1…自動駐車システム、2…自動運転車両、3…駐車場センサ、4…駐車場地図データベース、10…駐車場管制サーバ、11…車両情報取得部、12…駐車計画生成部、13…条件判定部、14…車々間通信走行指示部、15…解除条件判定部、20…自動運転ECU、21…GPS受信部、22…外部センサ、23…内部センサ、31…外部環境認識部、32…走行状態認識部、33…自車位置認識部、34…車両情報提供部、35…自動運転制御部、36…車両側条件判定部、37…車々間通信走行実行部、50…駐車場、M…通信可能車両、F…設定エリア、Ta,Tb…一般車両。