(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230926BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230926BHJP
A61P 11/10 20060101ALI20230926BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230926BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230926BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230926BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P43/00 121
A61P29/00
A61P11/10
A61K31/485
A61K47/12
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/22
A61K9/22
(21)【出願番号】P 2021175268
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2017157984の分割
【原出願日】2017-08-18
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2016171011
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 和寛
(72)【発明者】
【氏名】東 梢
(72)【発明者】
【氏名】西島 正道
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107951(JP,A)
【文献】特開2006-096749(JP,A)
【文献】特開2009-235020(JP,A)
【文献】特開2004-217566(JP,A)
【文献】薬理と治療,1998年,Vol.26, No.6,pp.1019-1026
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イブプロフェン、(b)
ジメモルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、デキストロメトルファン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、カルビノキサミン又はその塩、プソイドエフェドリン又はその塩、及びテオフィリンからなる群から選ばれる少なくとも1種、(c)
ハイドロゲルを形成する高分子である放出制御基剤、及び(d)有機酸又は酸性のアミノ酸を含有することを特徴とする固形製剤。
【請求項2】
(b)が、デキストロメトルファン又はその塩類である、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
ハイドロゲルを形成する高分子の2%水溶液20℃の粘度が2.5mPa・s以上である請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーおよびポリエチレンオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項
1~3のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項5】
ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である請求項
4に記載の固形製剤。
【請求項6】
ハイドロゲルを形成する高分子の量が製剤全体の質量に対して1質量%以上70質量%以下である請求項
1~5のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項7】
(d)有機酸がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、又はコハク酸である請求項1~
6のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項8】
(d)有機酸の添加量が製剤全体の0.05質量%以上である請求項1~
7のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項9】
(d)酸性のアミノ酸がL-カルボシステインである請求項1~
8に記載の固形製剤。
【請求項10】
第十七改正日本薬局方の溶出試験法により、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)で溶出試験を行なったとき、溶出時間が120分、240分のいずれの時点においても、(b)
ジメモルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、デキストロメトルファン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、カルビノキサミン又はその塩、プソイドエフェドリン又はその塩、及びテオフィリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の各試験液における平均溶出率の差が±15%の範囲内である、請求項1~
9のいずれに記載の固形製剤。
【請求項11】
放出制御製剤である、請求項1~
10のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項12】
第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの試験開始360分後の(b)
ジメモルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、デキストロメトルファン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、カルビノキサミン又はその塩、プソイドエフェドリン又はその塩、及びテオフィリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶出率が60%以上である請求項1~
11のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項13】
第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの試験開始30分後の(b)
ジメモルファン又はその塩、チペピジン又はその塩、デキストロメトルファン又はその塩、ブロムヘキシン又はその塩、カルビノキサミン又はその塩、プソイドエフェドリン又はその塩、及びテオフィリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶出率が85%以下である請求項1~
12のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項14】
さらに、薬物を含む速放部を含有する請求項1~
13のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項15】
1日2回服用型である、請求項1~
14のいずれかに記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イブプロフェンとアミノ基含有化合物を含有し、良好な放出制御性を有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御製剤は、投与回数を低減でき、かつ血中での薬物濃度をコントロールして薬効を持続できる有用性の高い製剤である。総合感冒薬に汎用される薬物には生体内の消失半減期が短く、1日3回服用することが必要なもの(イブプロフェン:消失半減期2時間、アンブロキソール塩酸塩:消失半減期5時間など)があり、服用回数を減らして1日2回とし、服薬アドヒアランス及びQOLを向上した放出制御製剤が望まれていた。
【0003】
放出制御技術にはリザーバー型とマトリックス型がある。リザーバー型製剤は主に放出制御膜のコーティングによる制御であり、放出制御基剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネートおよびポリビニルアセテートフタレート(特許文献1)やアクリル酸アルキル-メタクリル酸アルキルコポリマーが用いられている(特許文献2)。マトリックス型製剤は水の浸入による有効成分や放出制御基剤の溶解、拡散、膨潤等に伴って有効成分を徐々に放出する制御であり、放出制御基剤として、親水性高分子を用いたハイドロゲル基剤(特許文献3~6)やエチルセルロースやアクリル酸系の疎水性高分子、硬化油、高級アルコールなどのワックス類を用いることが提唱されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許4493970号 公報
【文献】特開4926495号 公報
【文献】特開昭63-215620号
【文献】特開昭62-120315号
【文献】WO1998/041210号
【文献】特開平6-330524号
【非特許文献】
【0005】
医薬品製剤化方法と新技術、シーエムシー出版、p89、(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは総合感冒薬等の開発において、2種類の医薬有効成分を組み合わせる配合剤とし、放出制御製剤の調製を試みたところ、イブプロフェンと、アンブロキソールやデキストロメトルファン等の放出性がpHの影響を受けないアミノ基含有化合物を同時配合すると、これらアミノ基含有化合物の放出性がpHによって変化してしまうことがわかった。徐放性製剤(又は放出制御製剤)では「徐放性製剤(経口投与製剤)の設計及び評価に関するガイドライン(昭和63年3月11日薬審1第5号)」にあるように、生体内での影響を受けにくいものとする必要があり、pHの影響を受けにくい製剤とすることが重要である。
本発明の目的はイブプロフェンとアミノ基含有化合物を配合した放出制御製剤において、アミノ基含有化合物の放出性がpHに依存しないように制御することである。
【0007】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、上記目的を達成するためにイブプロフェン及びアミノ基含有化合物を配合した放出制御製剤に、有機酸又は酸性のアミノ酸を配合すると、アミノ基含有化合物の放出性がpHの影響を受けず、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は
(1)(a)イブプロフェン、(b)アミノ基含有化合物又はその塩類、(c)放出制御基剤、及び(d)有機酸又は酸性のアミノ酸を含有することを特徴とする固形製剤、
(2)(b)アミノ基含有化合物又はその塩類の20℃の水への溶解度が0.1mg/mL以上である、(1)に記載の固形製剤、
(3)(b)アミノ基含有化合物又はその塩類が、アンブロキソール又はその塩類、又は、デキストロメトルファン又はその塩類である、(1)又は(2)に記載の固形製剤、
(4)(c)放出制御基剤がハイドロゲルを形成する高分子である(1)に記載の固形製剤、
(5)ハイドロゲルを形成する高分子の2%水溶液20℃の粘度が2.5mPa・s以上である(4)に記載の固形製剤、
(6)ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーおよびポリエチレンオキサイドである(4)又は(5)に記載の固形製剤、
(7)ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である(6)に記載の固形製剤、
(8)ハイドロゲルを形成する高分子の量が製剤全体の質量に対して1質量%以上70質量%以下である(4)~(6)のいずれかに記載の固形製剤、
(9)(d)有機酸がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、又はコハク酸である(1)に記載の固形製剤、
(10)(d)有機酸の添加量が製剤全体の0.05質量%以上である(1)又は(9)に記載の固形製剤、
(11)(d)酸性のアミノ酸がL-カルボシステインである(1)に記載の固形製剤、
(12)第十七改正日本薬局方の溶出試験法により、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)で溶出試験を行なったとき、溶出時間が120分、240分のいずれの時点においても、(b)アミノ基含有化合物又はその塩類の各試験液における平均溶出率の差が±15%の範囲内である、(1)~(11)のいずれに記載の固形製剤、
(13)放出制御製剤である、(1)~(12)のいずれかに記載の固形製剤、
(14)第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの試験開始360分後のアミノ基含有化合物の溶出率が60%以上である(1)~(13)のいずれかに記載の固形製剤、
(15)第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの試験開始30分後のアミノ基含有化合物の溶出率が85%以下である(1)~(14)のいずれかに記載の固形製剤、
(16)さらに、薬物を含む速放部を含有する(1)~(15)のいずれかに記載の固形製剤、
(17)1日2回服用型である、(1)~(16)のいずれかに記載の固形製剤、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、イブプロフェンとアミノ基含有化合物を配合した放出制御製剤としても、pHの影響を受けにくい製剤を調製することができ、食事や消化管の生理学的要因からの影響を受けにくい製剤とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】対照例1におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図2】比較例1におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図3】実施例1におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図4】実施例2におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図5】比較例2、実施例3、4におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図6】実施例5~7におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図7】対照例2におけるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出試験結果を示した図である。
【
図8】比較例3におけるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出試験結果を示した図である。
【
図9】実施例8におけるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出試験結果を示した図である。
【
図10】実施例9におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図11】対照例3におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図12】比較例4におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図13】実施例10におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図14】対照例4におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図15】比較例5におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図16】実施例11におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図17】対照例5におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図18】比較例6におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図19】実施例12におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図20】対照例6におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図21】比較例7におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図22】実施例13におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図23】対照例7におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図24】比較例8におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【
図25】実施例14におけるアンブロキソール塩酸塩の溶出試験結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の固形製剤中におけるイブプロフェンの含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、通常1~95質量%、好ましくは15~85質量%である。
【0012】
本発明の固形製剤中におけるアミノ基含有化合物又はその塩類の含有量は、特に限定されるものではないが、通常0.05~80質量%、好ましくは0.1~50質量%である。アミノ基含有化合物又はその塩類としては20℃の水に対する溶解度が0.1mg/mL以上であることが好ましい。例えば鎮咳剤として知られるジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩等、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、去痰剤として知られるアンブロキソール塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩等、抗ヒスタミン剤として知られるクロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩等、気管支拡張剤として知られるメチルエフェドリン塩酸塩等、中枢興奮剤として知られるカフェイン無水物等、血管収縮剤として知られるプソイドエフェドリン塩酸塩等、気管支喘息剤として知られるテオフィリン等が挙げられる。
【0013】
本発明の放出制御基剤としては上記の通りアミノ基含有化合物又はその塩類の放出を制御する基剤であれば制限されないが、例えば、親水性のハイドロゲルを形成する高分子が挙げられる。
【0014】
ハイドロゲルを形成する高分子物質の粘度は、例えば2%水溶液20℃の粘度が2.5mPa・s以上、他の態様として2%水溶液20℃の粘度が140000mPa・s以下、更なる態様として、1%水溶液25℃の粘度が7mPa・s以上、1%水溶液25℃の粘度が15000mPa・s以下、更に他の態様として、10%水溶液30℃の粘度が100mPa・s以上、10%水溶液30℃の粘度が180mPa・s以下である。なお、本発明のハイドロゲルを形成する高分子物質の粘度とは、本発明の固形製剤中にハイドロゲルを形成する高分子物質を複数含む場合は、複数組み合わせて混合した場合の粘度を指す。よって、単一成分の粘度が上記の粘度範囲から外れるものであっても、当該粘度範囲内の粘度となるように適宜組み合わせて使用することができる。又は、ハイドロゲルを形成する高分子物質の分子量は、例えば、5万以上、他の態様として5万以上800万以下、更なる態様として5万以上500万以下、更に他の態様として5万以上200万以下である。本発明の固形製剤においては、薬物の放出が制御されるよう、ハイドロゲルを形成する高分子として用いる高分子の種類、粘度、量を適宜調節すればよい。
【0015】
本発明で用いられるハイドロゲルを形成する高分子としては、薬物の放出を制御し得るものであれば特に制限されないが、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーおよびポリエチレンオキサイドが挙げられる。
【0016】
ヒプロメロース(以下、HPMCと略記する場合がある)としては、例えば、METOLOSE 90SH-100SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:80-120mPa・s)、METOLOSE 90SH-4000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・s)、METOLOSE 90SH-15000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:11250-21000mPa・s)、METOLOSE 90SH-100000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:75000-140000mPa・s)、METOLOSE SB-4(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約4mPa・S)、TC-5R(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約5.2-7.0mPa・S)、TC-5S(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約12.5-17.5mPa・S)、TC-5M(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約3.6-5.1mPa・S)、TC-5E(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:2.5-3.5mPa・S)、METOLOSE 60SH-50(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:40.0-60.0mPa・S)、METOLOSE 60SH-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・S)、METOLOSE 60SH-10000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:7500-14000mPa・S)、METOLOSE 65SH-50(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:40.0-60.0mPa・S)、METOLOSE 65SH-400(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:320-480mPa・S)、METOLOSE 65SH-1500(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1125-2100mPa・S)、METOLOSE 65SH-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・S)が挙げられる。また、本発明のヒプロメロースは、メトキシ基含量が19~24質量%、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%が好ましい。
【0017】
ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと略記する場合がある)としては、例えば、HPC-SSL(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:2.0-2.9mPa・S)、HPC-SL(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3.0-5.9mPa・S)、HPC-L(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:6.0-10.0mPa・S)、HPC-M(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:150-400mPa・S)、HPC-H(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1000-4000mPa・S)などのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を挙げることができる。
【0018】
メチルセルロース(以下、MCと略記する場合がある)としては、例えば、METOLOSE SM-4(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3.2-4.8mPa・s)、METOLOSE SM-15(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:12.0-18.0mPa・s)、METOLOSE SM-25(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:20.0-30.0mPa・s)、METOLOSE SM-100(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:80.0-120.0mPa・s)、METOLOSE SM-400(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:320-480mPa・s)、METOLOSE SM-1500(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1125-2100mPa・s)、METOLOSE SM-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・s)が挙げられる。
【0019】
カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMCNaと略記することがある)としては、例えば、サンローズF-30MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度:250-350mPa・s)、サンローズF-150MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:20万、25℃における1%水溶液の粘度:1200-1800mPa・s)、サンローズF-600MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度::6000-8000mPa・s)、サンローズF-1000MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:42万、25℃における1%水溶液の粘度:8000-12000mPa・s)、サンローズF-1400MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度:粘度:12000-15000mPa・s(1%水溶液25℃))、サンローズF-300MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:30万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:2500-3000mPa・s)が挙げられる。
【0020】
ヒドロキシエチルセルロース(以下、HECと略記することがある)としては、例えば、HECダイセルSE850(商品名、ダイセル(株)製)(平均分子量:148万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:2400-3000mPA・S)、HECダイセルSE900(商品名、ダイセル(株)製)(平均分子量:156万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:4000-5000mPa・s)が挙げられる。
アルファー化デンプンとしては、例えば、SWELSTAR MX-1(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、SWELSTAR PD-1(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、SWELSTAR WB-1(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
ポリビニルアルコールとしては、例えば、パーテック(登録商標) SRP 80(商品名、Merck(株)製)、ゴーセノールEG-05P(商品名、日本合成化学社製)が挙げられる。
【0021】
カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、カーボポール71GNF(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-11000mPa・s)、カーボポール971PNF(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-11000mPa・s)、カーボポール974PNF(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:29400-39400mPa・s)、カーボポール981(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-10000mPa・s)、カーボポール941(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:4000-10000mPa・s)、カーボポール934(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:30500-39400mPa・s)、カーボポール934P(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:29400-39400mPa・s)が挙げられる。
【0022】
ポリエチレンオキサイド(以下、PEOと略記する場合がある)としては、例えば、Polyox WSR-308(商品名、DOW社製)(平均分子量:800万、25℃における1%水溶液の粘度:10000-15000mPa・s)、Polyox WSR-303(商品名、DOW社製)(平均分子量:700万、25℃における1%水溶液の粘度:10000-15000mPa・s)、Polyox WSR Coagulant(商品名、DOW社製)(平均分子量:500万、25℃における1%水溶液の粘度:5500-7500mPa・s)、Polyox WSR-301(商品名、DOW社製)(平均分子量:400万、25℃における1%水溶液の粘度:1650-5500mPa・s]、Polyox WSR-N-60K(商品名、DOW社製)(平均分子量:200万、25℃における2%水溶液の粘度:2000-4000mPa・s)、Polyox WSR-N-12K(商品名、DOW社製)(平均分子量:100万、25℃における2%水溶液の粘度:400-800mPa・s)、Polyox WSR-1105(商品名、DOW社製)(平均分子量:90万、25℃における5%水溶液の粘度:8800-17600mPa・s)、Polyox WSR-205(商品名、DOW社製)(平均分子量:60万、25℃における5%水溶液の粘度:4500-8800mPa・s)、Polyox WSR-N-750(商品名、DOW社製)(平均分子量:30万、25℃における5%水溶液の粘度:600-1200mPa・s)、Polyox WSR-N-80(商品名、DOW社製)(平均分子量:20万、25℃における5%水溶液の粘度:55-90mPa・s)、Polyox WSR-N-10(商品名、DOW社製)(平均分子量:10万、25℃における5%水溶液の粘度:12-50mPa・s)が挙げられる。
【0023】
これらのハイドロゲル形成高分子物質は、1種又は2種以上適宜組合せて使用可能である。また、異なるロットを組み合わせて使用しても良い。ハイドロゲル形成高分子物質の配合量は、アミノ基含有化合物又はその塩類の放出を制御し得る量であれば特に制限されないが、好ましくは製剤全体の質量に対して1質量%~95質量%、より好ましくは10質量%~70質量%である。また、ハイドロゲルを形成する高分子の配合量は、好ましくはアミノ基含有化合物又はその塩類1質量部に対して0.1質量部~1500質量部、より好ましくは1質量部~1500質量部、更に好ましくは5質量部~1000質量部である。
【0024】
本発明の固形製剤中における有機酸の量は、特に限定されるものではないが、通常0.01~40質量%、好ましくは0.05~30質量%である。また、本発明の有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、又はコハク酸等が挙げられる。
【0025】
本発明の固形製剤中における酸性のアミノ酸としては、L-カルボシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、このうち好ましいのはL-カルボシステインである。本発明の酸性アミノ酸の量は、特に限定されるものではないが、通常1~95質量%、好ましくは10~85質量%である。
【0026】
本発明の固形製剤は、第十七改正日本薬局方の溶出試験法により日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)で溶出試験を行なったとき、(b)アミノ基含有化合物又はその塩類の溶出率がpHに依存せず、放出が制御された製剤である。すなわち、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)で溶出試験を行ったとき、溶出時間が120分、240分のいずれの時点においても、さらには360分の時点においても各試験液における平均溶出率の差が±15%の範囲内となる製剤である。
【0027】
本発明の(a)イブプロフェン、(b)アミノ基含有化合物又はその塩類、(c)放出制御基剤、及び(d)有機酸又は酸性のアミノ酸を含有する固形製剤は、優れた徐放性製剤として提供されうる。
【0028】
本発明の放出制御製剤とは、第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの試験開始360分後のアミノ基含有化合物の溶出率が60%以上であることが好ましく、試験開始30分後のアミノ基含有化合物の溶出率が85%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の固形製剤には、さらに薬物を含有する速放部を含んでもよい。また、本発明の速放部は、第十七改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの30分での溶出率が85%以上である製剤を意味する。
【0030】
本発明の固形製剤中にはイブプロフェン、アミノ基含有化合物又はその塩類の他に、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、通常用いられる他の有効成分(例えばアセトアミノフェンやエテンザミド等の解熱鎮痛剤、グアイフェネシンやグアヤコールなどの去痰剤、リボフラビンなどのビタミン剤)、賦形剤、崩壊剤、結合剤などを配合しうる。
本発明の固形製剤の剤形は、細粒剤、顆粒剤などの形態であってもよいが、より生理学的要因からの影響を受けにくい製剤とするために錠剤(フィルムコーティング錠、糖衣錠、積層錠を含む)であることが好ましい。それぞれ必要に応じて有効成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤、フィルムコーティング剤、滑沢剤、抗酸化剤、香料、および着色剤等の慣用の製剤添加剤を適当量配合しても良い。
【0031】
本発明の固形製剤は、常法により製造することができ、その方法は特に限定されるものではない。また放出制御製剤は徐放部と速放部とで構成してもよく、さらに積層錠剤機により2層以上の多層錠の錠剤としてもよい。
【0032】
また、本発明の固形製剤は、イブプロフェンを配合してもアミノ基含有化合物又はその塩類の放出制御が可能となったので、1日2回の服用が可能となった。
以下、製造例、対照例、実施例、比較例及び試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
(対照例1)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩16.7質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)50.0質量%、結晶セルロース8.9質量%、無水リン酸水素カルシウム21.5質量%、軽質無水ケイ酸2.0質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.0質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0034】
(比較例1)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.9質量%、アンブロキソール塩酸塩3.8質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)27.1質量%、結晶セルロース9.2質量%、無水リン酸水素カルシウム21.4質量%、軽質無水ケイ酸3.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0035】
(試験例1)
対照例1及び比較例1で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0036】
対照例1及び比較例1における溶出試験結果を
図1及び2に示した。
図1に示すように、対照例1のアンブロキソール塩酸塩単味製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図2に示したように、比較例1のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0037】
(実施例1)
製剤全体に対し、イブプロフェン18.2質量%、アンブロキソール塩酸塩2.0質量%、L-カルボシステイン34.1質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)26.4質量%、結晶セルロース4.9質量%、無水リン酸水素カルシウム11.5質量%、軽質無水ケイ酸2.0質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0038】
(実施例2)
製剤全体に対し、イブプロフェン29.6質量%、アンブロキソール塩酸塩3.3質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)23.7質量%、結晶セルロース6.7質量%、無水リン酸水素カルシウム18.2質量%、軽質無水ケイ酸3.3質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物14.4質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0039】
(試験例2)
実施例1及び2で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0040】
実施例1及び実施例2における溶出試験結果を
図3及び4に示した。
これらより、実施例1のL-カルボシステインを配合した製剤、実施例2のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0041】
(製造例1)
顆粒全体に対し、イブプロフェン73.9質量%、アンブロキソール塩酸塩8.3質量%、結晶セルロース10.0質量%、軽質無水ケイ酸4.4質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合し、ヒプロメロース(置換度2910)3.3質量%を含む含水アルコールで湿式造粒により造粒顆粒を得た。
【0042】
(比較例2)
製造例1で得た造粒顆粒と、製剤全体に対し、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)56.4質量%、軽質無水ケイ酸0.9%、ステアリン酸マグネシウム0.3質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0043】
(実施例3)
製造例1で得た造粒顆粒と、製剤全体に対し、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業製)54.3質量%、軽質無水ケイ酸0.9%、クエン酸水和物3.6質量%、ステアリン酸マグネシウム0.3質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0044】
(実施例4)
製造例1で得た造粒顆粒と、製剤全体に対し、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業製)50.7質量%、軽質無水ケイ酸0.8%、クエン酸水和物10.1質量%、ステアリン酸マグネシウム0.3質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0045】
(試験例3)
比較例2、実施例3及び4で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)を900mL使用した。パドル回転数:100rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0046】
比較例2、実施例3及び4における溶出試験結果を
図5に示した。
これより、比較例2のクエン酸水和物非配合製剤に、クエン酸水和物を添加することでアンブロキソール塩酸塩の溶出速度が向上することがわかる。また、製剤全体に対し、クエン酸水和物を3.6質量%以上添加すると、アンブロキソール塩酸塩の溶出挙動が変化しなくなることがわかる。
【0047】
(実施例5)
製造例1で得た造粒顆粒と、製剤全体に対し、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業製)20.9質量%、軽質無水ケイ酸1.3質量%、クエン酸水和物20.9質量%、ステアリン酸マグネシウム0.4質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0048】
(実施例6)
実施例5のクエン酸水和物を酒石酸に置き換え、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0049】
(実施例7)
実施例5のクエン酸水和物をDL-リンゴ酸に置き換え、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0050】
(試験例4)
実施例5~7で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)を900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0051】
実施例5~7の溶出試験結果を
図6に示した。
これより、アンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、添加する有機酸の種類によらず変動しないことがわかる。
【0052】
(対照例2)
製剤全体に対し、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物2.4質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業製)39.4質量%、結晶セルロース52.4質量%、無水リン酸水素カルシウム4.0質量%、軽質無水ケイ酸1.1質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0053】
(比較例3)
製剤全体に対し、イブプロフェン20.0質量%、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物2.4質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)39.4質量%、結晶セルロース32.4質量%、無水リン酸水素カルシウム4.0質量%、軽質無水ケイ酸1.1質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0054】
(試験例5)
対照例2及び比較例3で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:100rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0055】
対照例2及び比較例3における溶出試験結果を
図7及び8に示した。
図7に示すように、対照例2のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物単味製剤においてはデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図8に示したように、比較例3のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0056】
(実施例8)
製剤全体に対し、イブプロフェン20.0質量%、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物2.4質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)39.4質量%、結晶セルロース27.4質量%、無水リン酸水素カルシウム4.0質量%、軽質無水ケイ酸1.1質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%、クエン酸水和物5.0質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0057】
(試験例6)
実施例8で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:100rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0058】
実施例8における溶出試験結果を
図9に示した。
これらより、実施例8のクエン酸水和物を配合した製剤のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0059】
(実施例9)
速放顆粒全体に対し、イブプロフェン15.3質量%、リボフラビン0.6質量%、アンブロキソール塩酸塩1.7質量%、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩0.3質量%、ジヒドロコデインリン酸塩1.2質量%、dl-メチルエフェドリン塩酸塩4.6質量%、結晶セルロース21.2質量%、無水リン酸水素カルシウム42.2質量%、デンプングリコール酸ナトリウム5.1質量%、軽質無水ケイ酸1.4質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合し、ヒプロメロース(置換度2910)2.3質量%、軽質無水ケイ酸1.3質量%を含む含水アルコールで湿式造粒により速放造粒顆粒を得た。速放造粒顆粒と、速放顆粒全体に対し、軽質無水ケイ酸1.4質量%、タルク1.4質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用速放顆粒を得た。
徐放顆粒全体に対し、イブプロフェン41.8質量%、アンブロキソール塩酸塩4.7質量%、結晶セルロース5.6質量%、軽質無水ケイ酸2.5質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合し、ヒプロメロース(置換度2910)1.9質量%を含む含水アルコールで湿式造粒により徐放造粒顆粒を得た。徐放造粒顆粒と、徐放顆粒全体に対し、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製)20.9質量%、軽質無水ケイ酸1.3質量%、ステアリン酸マグネシウム0.4質量%、クエン酸水和物20.9質量%になるように秤量した粉体を混合し、打錠用徐放顆粒を得た。
打錠用速放顆粒及び打錠用徐放顆粒を用いてロータリー式打錠機(LIBRA 3L;菊水製作所)で速放部及び徐放部の二層からなる錠剤を製した。
【0060】
(試験例7)
実施例9で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:100rpm、温度:37℃の条件で実施した。
実施例9における溶出試験結果を
図10に示した。
【0061】
(対照例3)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩23.1質量%、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC-M、日本曹達(株)製)30.7質量%、結晶セルロース12.3質量%、無水リン酸水素カルシウム29.7質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.4質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0062】
(比較例4)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.9質量%、アンブロキソール塩酸塩3.8質量%、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC-M、日本曹達(株)製)27.1質量%、結晶セルロース9.2質量%、無水リン酸水素カルシウム21.4質量%、軽質無水ケイ酸3.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0063】
(試験例8)
対照例3及び比較例4で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0064】
対照例3及び比較例4における溶出試験結果を
図11及び12に示した。
図11に示すように、対照例3のアンブロキソール塩酸塩単味製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図12に示したように、比較例4のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0065】
(実施例10)
製剤全体に対し、イブプロフェン29.1質量%、アンブロキソール塩酸塩3.3質量%、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC-M、日本曹達(株)製)23.3質量%、結晶セルロース7.9質量%、無水リン酸水素カルシウム18.3質量%、軽質無水ケイ酸3.3質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物14.2質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0066】
(試験例9)
実施例10で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0067】
実施例10における溶出試験結果を
図13に示した。
これらより、実施例10のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0068】
(対照例4)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩16.7質量%、アルファー化デンプン(商品名:SWELSTAR MX-1、旭化成ケミカルズ(株))50.0質量%、結晶セルロース8.9質量%、無水リン酸水素カルシウム21.5質量%、軽質無水ケイ酸2.0質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.0質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0069】
(比較例5)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.9質量%、アンブロキソール塩酸塩3.8質量%、アルファー化デンプン(商品名:SWELSTAR MX-1、旭化成ケミカルズ(株))27.1質量%、結晶セルロース9.2質量%、無水リン酸水素カルシウム21.4質量%、軽質無水ケイ酸3.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0070】
(試験例10)
対照例4及び比較例5で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0071】
対照例4及び比較例5における溶出試験結果を
図14及び15に示した。
図14に示すように、対照例4のアンブロキソール塩酸塩単味製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図15に示したように、比較例5のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0072】
(実施例11)
製剤全体に対し、イブプロフェン31.4質量%、アンブロキソール塩酸塩3.5質量%、アルファー化デンプン(商品名:SWELSTAR MX-1、旭化成ケミカルズ(株))25.1質量%、結晶セルロース8.5質量%、無水リン酸水素カルシウム19.8質量%、軽質無水ケイ酸3.5質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物7.5質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0073】
(試験例11)
実施例11で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0074】
実施例11における溶出試験結果を
図16に示した。
これらより、実施例11のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0075】
(対照例5)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩16.7質量%、ポリビニルアルコール(商品名:パーテック(登録商標)SRP 80、Merck(株)製)50.0質量%、結晶セルロース8.9質量%、無水リン酸水素カルシウム21.5質量%、軽質無水ケイ酸2.0質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.0質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0076】
(比較例6)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.9質量%、アンブロキソール塩酸塩3.8質量%、ポリビニルアルコール(商品名:パーテック(登録商標)SRP 80、Merck(株)製)27.1質量、結晶セルロース9.2質量%、無水リン酸水素カルシウム21.4質量%、軽質無水ケイ酸3.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0077】
(試験例12)
対照例5及び比較例6で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0078】
対照例5及び比較例6における溶出試験結果を
図17及び18に示した。
図17に示すように、対照例5のアンブロキソール塩酸塩単味製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図18に示したように、比較例6のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0079】
(実施例12)
製剤全体に対し、イブプロフェン29.1質量%、アンブロキソール塩酸塩3.3質量%、ポリビニルアルコール(商品名:パーテック(登録商標)SRP 80、Merck(株)製)23.3質量、結晶セルロース7.9質量%、無水リン酸水素カルシウム18.3質量%、軽質無水ケイ酸3.3質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物14.2質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0080】
(試験例13)
実施例12で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0081】
実施例12における溶出試験結果を
図19に示した。
これらより、実施例12のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0082】
(対照例6)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩21.1質量%、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール974PNF、Lubrizol Advanced Materials製)36.6質量%、結晶セルロース11.3質量%、無水リン酸水素カルシウム27.2質量%、軽質無水ケイ酸2.5質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.3質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
(比較例7)
製剤全体に対し、イブプロフェン38.5質量%、アンブロキソール塩酸塩4.3質量%、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール974PNF、Lubrizol Advanced Materials製)17.3質量%、結晶セルロース10.4質量%、無水リン酸水素カルシウム24.3質量%、軽質無水ケイ酸4.3質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.9質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0083】
(試験例14)
対照例6及び比較例7で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0084】
対照例6及び比較例7における溶出試験結果を
図20及び21に示した。
図20に示すように、放出制御基剤にカルボキシビニルポリマーを用いた場合、それ自身の溶出はpH非依存的であるアンブロキソール塩酸塩の単味製剤においてもpH依存的な溶出挙動を示す。また、
図21に示したように、比較例6のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてもアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0085】
(実施例13)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.1質量%、アンブロキソール塩酸塩3.7質量%、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール974PNF、Lubrizol Advanced Materials製)14.9質量%、結晶セルロース8.9質量%、無水リン酸水素カルシウム20.9質量%、軽質無水ケイ酸3.7質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物13.9質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0086】
(試験例15)
実施例13で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0087】
実施例13における溶出試験結果を
図22に示した。
これらより、実施例13のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【0088】
(対照例7)
製剤全体に対し、アンブロキソール塩酸塩16.7質量%、ポリエチレンオキサイド(商品名:Polyox WSR-N-750(商品名、DOW社製))50.0質量%、結晶セルロース8.9質量%、無水リン酸水素カルシウム21.5質量%、軽質無水ケイ酸2.0質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを1.0質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0089】
(比較例8)
製剤全体に対し、イブプロフェン33.9質量%、アンブロキソール塩酸塩3.8質量%、ポリエチレンオキサイド(商品名:Polyox WSR-N-750(商品名、DOW社製))27.1質量%、結晶セルロース9.2質量%、無水リン酸水素カルシウム21.4質量%、軽質無水ケイ酸3.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.8質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0090】
(試験例16)
対照例7及び比較例8で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0091】
対照例7及び比較例8における溶出試験結果を
図23及び24に示した。
図23に示すように、対照例6のアンブロキソール塩酸塩単味製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。一方で、
図24に示したように、比較例6のアンブロキソール塩酸塩及びイブプロフェンを同時配合した製剤においてはアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動がpHに依存していることがわかる。
【0092】
(実施例14)
製剤全体に対し、イブプロフェン29.1質量%、アンブロキソール塩酸塩3.3質量%、ポリエチレンオキサイド(商品名:Polyox WSR-N-750(商品名、DOW社製))23.3質量%、結晶セルロース7.9質量%、無水リン酸水素カルシウム18.3質量%、軽質無水ケイ酸3.3質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した.さらにステアリン酸マグネシウム0.7質量%、クエン酸水和物14.2質量%添加・混合し、打錠用顆粒を得た。また、得られた打錠用顆粒について、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
【0093】
(試験例17)
実施例14で得た錠剤について、日本薬局方一般試験法溶出試験法パドル法に従い溶出試験を実施した。試験液には、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2)、及び日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)、日本薬局方酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液0.05mol/L(pH4.0)をそれぞれ900mL使用した。パドル回転数:50rpm、温度:37℃の条件で実施した。
【0094】
実施例14における溶出試験結果を
図25に示した。
これらより、実施例14のクエン酸を配合した製剤のアンブロキソール塩酸塩の溶出挙動は、pH非依存的であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明により、イブプロフェンとアミノ基含有化合物を配合した放出制御製剤としても、pHの影響を受けにくい製剤を調製することができ、食事や消化管の生理学的要因からの影響を受けにくい製剤とすることが可能となる。また、イブプロフェンと他のアミノ基含有化合物を配合した、1日2回服用型の製剤を提供することが可能となる。