(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20230926BHJP
B25D 17/24 20060101ALI20230926BHJP
B25D 17/04 20060101ALI20230926BHJP
B23B 45/16 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B25F5/02
B25D17/24
B25D17/04
B23B45/16 Z
(21)【出願番号】P 2021525996
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2020021327
(87)【国際公開番号】W WO2020250715
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2019110559
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智志
(72)【発明者】
【氏名】小杉 新悟
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5436071(JP,B2)
【文献】特開2018-153876(JP,A)
【文献】特許第5352412(JP,B2)
【文献】特開2007-331072(JP,A)
【文献】国際公開第2019/058808(WO,A1)
【文献】特開2019-089139(JP,A)
【文献】特許第5502458(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25D 17/24
B25D 17/04
B23B 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのモータを備え、当該モータから出力される駆動力によって駆動される先端工具が装着される電動作業機であって、
外殻の少なくとも一部を形成する第1
部材及び第2
部材を有し、
前記第1部材は、前記モータを収容し、
前記第2部材は、作業者によって把持されるハンドルの少なくとも一部を形成し、
前記第1と前記第2
部材とは、
弾性体を介して相対移動可能であり、
前記弾性体は、前記第1部材の上に二層成形によって成形された第1カバー部と、前記第2部材の上に二層成形によって成形された第2カバー部とが一体に成形されることで、前記第1部材及び前記第2部材と一体に成形された一連の樹脂製カバーの一部である、電動作業機。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記モータに電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部を有する、請求項
1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記弾性体は、前記第1
部材及び前記第2
部材の両方に二層成形によって成形される、請求項1
または2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記第1
部材の、前記第2
部材側の端部付近の表面に、前記弾性体と係合する第1係合部が設けられ、
前記第2
部材の、前記第1
部材側の端部付近の表面に、前記弾性体と係合する第2係合部が設けられている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記ハンドルを形成するハンドルハウジングは、前記第1
部材に接続される上側端部と下側端部を有する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記第1
部材と前記第2
部材との間に介在し、前記第1
部材に対する前記第2
部材の移動量を所定範囲内に規制する規制部分を有する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記第1
部材と前記第2
部材は一つの部材であり、当該部材の
破壊によって前記第1
部材と前記第2
部材とが相対移動可能である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記先端工具は、ピストンの前後方向への往復動による圧力変動に伴って打撃され、
前記第2
部材は、前記第1
部材に対して前後方向に移動可能である、請求項
5に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記樹脂製カバーは、前記ハンドルの上に二層成形によって成形される、請求項1乃至8の何れか1項に記載の電動作業機。
【請求項10】
駆動源としてのモータを備え、当該モータから出力される駆動力によって駆動される先端工具が装着される電動作業機であって、
外殻の少なくとも一部を形成する第1
部材及び第2
部材を有し、
前記第1
部材と前記第2
部材とは、接続部及び弾性体を介して接続され、
前記接続部は、前記第1
部材に連接する第1端部と、前記第2
部材に連接する第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ中間部と、を含み、
前記第1端部,第2端部及び中間部は一体成形され、かつ、前記中間部は前記第1端部及び前記第2端部よりも脆弱であり、
前記弾性体は、前記第1
部材及び前記第2
部材の上に二層成形によって成形され、前記接続部を跨いで前記第1
部材及び前記第2
部材の表面を覆う一連の樹脂製カバーの一部である、電動作業機。
【請求項11】
前記第2
部材に、当該第2
部材を前記第1
部材に近接させ、又は前記第1
部材から離間させる方向に作用する所定以上の大きさ力が加えられると、前記中間部が破断される、請求項
10に記載の電動作業機。
【請求項12】
前記中間部の肉厚は、前記第1端部及び前記第2端部の肉厚よりも薄い、請求項
10又は
11に記載の電動作業機。
【請求項13】
前記第2
部材は、作業者によって把持されるハンドルの一部を形成する、請求項
10~
12のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項14】
前記弾性体の素材がエラストマーである、請求項1~
13のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項15】
前記第1
部材は、所定の方向に分割可能な一方側第1
部材と他方側第1
部材とが組み合わされて形成され、
前記第2
部材は、前記所定の方向に分割可能な一方側第2
部材と他方側第2
部材とが組み合わされて形成され、
前記弾性体は、前記一方側第1
部材及び前記一方側第2
部材の上に二層成形によって成形される一方側弾性体と、前記他方側第1
部材及び前記他方側第2
部材の上に二層成形によって成形される他方側弾性体と、を含む、請求項1~
14のいずれか1項に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動作業機に関するものであり、特に電動作業機における防振構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、モータを駆動源とする各種の電動作業機が知られている。それらの電動作業機が備えるモータの出力軸の回転運動は、増幅されたり、往復運動に変換されたりした上で先端工具に伝達される。
【0003】
特許文献1には、上記のような電動作業機の1つであるハンマドリルが記載されている。特許文献1に記載されているハンマドリルは、モータや当該モータから出力される駆動力を先端工具に伝達する伝達機構などを収容するハウジングと、作業者に把持されるハンドル部と、を備える本体部を有する。さらに、ハウジングとハンドル部との間には、ハウジングにおいて発生した振動がハンドル部へ伝達されることを防止または抑制する弾性体が設けられている。このように、振動伝達を防止または抑制するための弾性体を介して振動源を収容するハウジングと接続されているハンドル部は、「防振ハンドル」と呼ばれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているハンマドリルでは、ハウジングとハンドル部との間に設けられた、これらハウジング及びハンドル部とは別体の弾性体によって振動伝達の防止または抑制が図られている。このため、部品点数が多くなり、組立工数も多くなるほか、構造の複雑化や製品の大型化を招いていた。
【0006】
本発明の目的は、部品点数の削減や構造の簡略化によって組立工数の低減および小型化が図られるとともに、従来と同等或いはそれ以上に振動伝達が防止または抑制された電動作業機を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、電動作業機は、外殻の少なくとも一部を形成する第1部材及び第2部材を有し、前記第1部材と前記第2部材とは、弾性体を介して相対移動可能に接続される。前記弾性体は、前記第1部材及び前記第2部材の上に二層成形によって成形され、前記第1部材及び前記第2部材の表面を覆う一連の樹脂製カバーの一部である。
【0008】
本発明の他の一態様では、電動作業機は、外殻の少なくとも一部を形成する第1部材及び第2部材を有し、前記第1部材と前記第2部材とは、接続部及び弾性体を介して接続される。前記接続部は、前記第1部材に連接する第1端部と、前記第2部材に連接する第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを繋ぐ中間部と、を含む。前記第1端部,第2端部及び中間部は一体成形され、かつ、前記中間部は前記第1端部及び前記第2端部よりも脆弱である。前記弾性体は、前記第1部材及び前記第2部材の上に二層成形によって成形され、前記接続部を跨いで前記第1部材及び前記第2部材の表面を覆う一連の樹脂製カバーの一部である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数の削減や構造の簡略化によって組立工数の低減および小型化が図られるとともに、従来と同等或いはそれ以上に振動伝達が防止または抑制された電動作業機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るハンマドリルの断面図である。
【
図2】
図1中で一点鎖線の円によって囲まれているA部の拡大断面図である。
【
図3】
図1中で一点鎖線の円によって囲まれているA部の他の拡大断面図である。
【
図4】本体ハウジング及びハンドルハウジングの成形工程を示す説明図である。
【
図5】樹脂製カバーの成形工程を示す説明図である。
【
図6】第2実施形態に係るハンマドリルの断面図である。
【
図7】
図6中で一点鎖線の円によって囲まれているB部の拡大断面図である。
【
図8】
図6中で一点鎖線の円によって囲まれているB部の他の拡大断面図である。
【
図9】本発明が適用された電動作業機の一例を示す断面図である。
【
図10】本発明が適用された電動作業機の他の一例を示す断面図である。
【
図11】第3実施形態に係るハンマドリルの部分断面図である。
【
図12】(a)は、
図11中で一点鎖線の円によって囲まれているC部の拡大断面図である。(b)は、中間部の破断状態の一態様を示す説明図である。(c)は、中間部の破断状態の他の一態様を示す説明図である。
【
図13】第1部材と第2部材の接続構造の変形例の1つを示す説明図である。
【
図14】(a)は、
図13中のX-X線に沿った断面を示す説明図である。(b)は、
図13中のY-Y線に沿った断面を示す説明図である。
【
図15】第1部材と第2部材の接続構造の変形例の他の1つを示す説明図である。
【
図16】(a)~(d)は、接続部の異なる変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態) 以下、本発明の電動作業機の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、同一または実質的に同一の構成については同一の符号を用いるとともに、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
本実施形態に係る電動作業機は、切り替え可能な複数の動作モードを備えるハンマドリルである。本実施形態に係るハンマドリルは、少なくとも「ドリルモード」,「ハンマモード」及び「ハンマドリルモード」の3つの動作モードを備えている。ドリルモードでは、先端工具に回転力のみが付与され、ハンマモードでは、先端工具に打撃力のみが付与される。一方、ハンマドリルモードでは、先端工具に回転力及び打撃力の両方が付与される。
【0013】
ハンマドリルに装着される先端工具の一例としてドリルビットが挙げられる。ドリルビットは、例えば、コンクリートや石材などに穴を開けるときに用いられる。もっとも、ハンマドリルに装着される先端工具はドリルビットに限られず、複数の先端工具の中から対象物や対象物に対する作業の種類などに応じて選択される。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態に係るハンマドリル1Aは、第1部材としての本体ハウジング10及び第2部材としてのハンドルハウジング20を有し、これら本体ハウジング10及びハンドルハウジング20によってハンマドリル1Aの外殻2の少なくとも一部が形成されている。本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは弾性体30を介して相対移動可能に接続されている。本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続構造については後に詳述する。
【0015】
本体ハウジング10には、先端工具(本実施形態では、ドリルビット3)の駆動源であるモータ40と、モータ40から出力される駆動力をドリルビット3に伝達する伝達機構41と、が収容されている。一方、ハンドルハウジング20は、作業者によって把持されるハンドル21を形成している。
【0016】
ハンドルハウジング20の上部にはトリガレバー22が設けられており、ハンドルハウジング20の下部にはバッテリ装着部23が設けられている。所定条件が満たされた状態でトリガレバー22が引かれると、バッテリ装着部23に装着されているバッテリ(電池パック24)からモータ40に電力が供給されてモータ40が作動する。つまり、モータ40から駆動力が出力される。
【0017】
本体ハウジング10の下部に収容されているモータ40はブラシレスモータであり、その出力軸(出力シャフト)には冷却ファン42及びピニオンギヤ43が設けられている。ピニオンギヤ43は、伝達機構41の入力部であるベベルギヤ44と噛み合っている。伝達機構41は、出力シャフトと交差する方向に延びる中間シャフト45を含んでおり、ベベルギヤ44は中間シャフト45の端部に固定されている。中間シャフト45上には、当該中間シャフト45の回転運動を往復運動に変換する変換機構が設けられている。変換機構は、内輪,外輪,転動体及び連結棒を含んでおり、内輪は中間シャフト45に固定され、外輪は内輪を取り囲むように内輪の周囲に配置されている。また、転動体は内輪と外輪との間に介在しており、連結棒は外輪の外周面から当該外輪の径方向外側に向かって突出している。内輪の外周面及び外輪の内周面には、互いに交差する断面円弧状の溝がそれぞれ形成されている。転動体は、その一部が内輪に形成されている溝に嵌合し、他の一部が外輪に形成されている溝に嵌合している。つまり、内輪と外輪は、転動体を介して相対回転可能に連結されている。
【0018】
さらに、中間シャフト45上には、当該中間シャフト45から変換機構に動力が伝達される締結状態と、当該中間シャフト45から変換機構に動力が伝達されない解放状態と、に切り替えられるクラッチが設けられている。クラッチは、中間シャフト45に対して相対回転不能であるとともに、中間シャフト45に沿って前後に移動可能である。クラッチが所定位置まで後退すると(内輪に近接すると、)、中間シャフト45と内輪とがクラッチを介して接続され、中間シャフト45から内輪に動力が伝達される。一方、クラッチが所定位置まで前進すると(内輪から離間すると、)、中間シャフト45と内輪との接続が解除され、中間シャフト45から内輪への動力伝達が遮断される。
【0019】
上記のようなクラッチの移動(切り換え)は、作業者による動作モードの切替え操作に応じて実現される。クラッチが締結状態のときに中間シャフト45が回転すると内輪が回転する。すると、内輪の表面に沿って外輪が転動し、これに伴って連結棒が前後に揺動する。
【0020】
中間シャフト45の上方には、当該中間シャフト45と平行にシリンダ46が設けられている。シリンダ46に外周には、当該シリンダ46に沿って前後に移動可能であって、中間シャフト45の回転をシリンダ46に伝達する連結状態と、中間シャフト45の回転をシリンダ46に伝達しない非連結状態と、に切り替わるリングギヤが設けられている。リングギヤの切り換えは、作業者のモード切換え操作に応じて実現される。尚、非連結状態に切り替えられたリングギヤはシリンダ46上で空転する。
【0021】
シリンダ46には、ピストン,打撃子及び中間子が収容されている。ピストン,打撃子及び中間子は、後方から前方に向かってこの順で一列に並んでおり、ピストンと打撃子との間には空気室が設けられている。シリンダ46の前方にはリテーナスリーブ47が設けられており、リテーナスリーブ47の後端はシリンダ46の先端に相対回転不能に固定されている。リテーナスリーブ47にはドリルビット3の根元部が挿入され、リテーナスリーブ47は、挿入されたドリルビット3の根元部を保持する。よって、リングギヤが連結状態に切り替えられ、中間シャフト45の回転がシリンダ46に伝達されると、リテーナスリーブ47及びリテーナスリーブ47に保持されているドリルビット3が回転する。
【0022】
ピストンの背面には、変換機構の連結棒が回動可能に接続されており、連結棒が前後に揺動すると、ピストンがシリンダ46内で前後に往復動し、空気室の圧力が変動する。すると、空気室の圧力変動によって打撃子が駆動され、打撃子によって中間子が打撃され、中間子によってドリルビット3が打撃される。
【0023】
本実施形態では、作業者によるモード切換え操作によってドリルモードが選択されると、クラッチが解放状態となり、リングギヤが連結状態となる。この状態で中間シャフト45が回転すると、変換機構の内輪は回転しない一方、シリンダ46は回転する。よって、リテーナスリーブ47に保持されているドリルビット3に回転力のみが付与される。
【0024】
一方、作業者によるモード切換え操作によってハンマモードが選択されると、クラッチが締結状態となり、リングギヤが非連結状態となる。この状態で中間シャフト45が回転すると、変換機構の内輪は回転する一方、シリンダ46は回転しない。よって、静止しているシリンダ46内でピストンが往復動し、リテーナスリーブ47に保持されているドリルビット3に打撃力のみが付与される。
【0025】
また、作業者によるモード切換え操作によってハンマドリルモードが選択されると、クラッチが締結状態となり、リングギヤが連結状態となる。この状態で中間シャフト45が回転すると、変換機構の内輪が回転し、かつ、シリンダ46も回転する。よって、回転するシリンダ46内でピストンが往復動し、リテーナスリーブ47に保持されているドリルビット3に回転力及び打撃力の両方が付与される。
【0026】
次に、本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続構造について説明する。既述のとおり、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、弾性体30を介して接続されている。
図1に示されるように、ハンドルハウジング20は2つの端部を有しており、それぞれの端部が本体ハウジング10に弾性体30を介して接続されている。具体的には、ハンドルハウジング20は、トリガレバー22の近傍(上方)に位置する上側端部25と、バッテリ装着部23の近傍(前方)に位置する下側端部26と、を有している。一方、本体ハウジング10は、ハンドルハウジング20の上側端部25が接続される上側連結部11と、ハンドルハウジング20の下側端部26が接続される下側連結部12と、を有している。そして、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11、ハンドルハウジング20の下側端部26と本体ハウジング10の下側連結部12、とが弾性体30を介してそれぞれ接続されている。この結果、ハンドルハウジング20と本体ハウジング10とは相対移動可能となっている。言い換えれば、ハンドルハウジング20は、本体ハウジング10に対して所定範囲内で移動可能となっている。
【0027】
図1に示されるように、ハンドルハウジング20を本体ハウジング10に対して移動可能に接続している弾性体30は、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の上に二層成形によって成形され、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の表面を覆う一連の樹脂製カバー31の一部である。つまり、ハンドルハウジング20の上側端部25は、一連の樹脂製カバー31の一部を介して本体ハウジング10の上側連結部11に接続されており、ハンドルハウジング20の下側端部26は、一連の樹脂製カバー31の他の一部を介して本体ハウジング10の下側連結部12に接続されている。
【0028】
図1から理解できるように、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11との間に介在している樹脂製カバー31の一部は、当該樹脂製カバー31の端部の1つである。また、ハンドルハウジング20の下側端部26と本体ハウジング10の下側連結部12との間に介在している樹脂製カバー31の他の一部は、当該樹脂製カバー31の端部の他の1つである。以下の説明では、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11との間に介在している樹脂製カバー31の端部を「上方端部32」と呼び、ハンドルハウジング20の下側端部26と本体ハウジング10の下側連結部12との間に介在している樹脂製カバー31の他の端部を「下方端部33」と呼ぶ場合がある。
【0029】
次に、樹脂製カバー31の上方端部32及び下方端部33の詳細について説明する。もっとも、上方端部32及び下方端部33は、実質的に同一の形状及び構造を有する。そこで、
図2,
図3を参照しながら上方端部32の形状及び構造について詳細に説明することにより、下方端部33の形状及び構造についても明らかにする。
【0030】
図2,
図3に示されるように、上方端部32は、対向するハンドルハウジング20の端面20aと本体ハウジング10の端面10aとの間に挟まれる環状の介在部32aと、介在部32aよりもハンドルハウジング20側に位置し、当該ハンドルハウジング20の表面に形成されている係合部27に係合するハンドルハウジング側係合部32bと、介在部32aよりも本体ハウジング10側に位置し、当該本体ハウジング10の表面に形成されている係合部13に係合する本体ハウジング側係合部32cと、を含んでいる。言い換えれば、上方端部32は、環状の介在部32aと、介在部32aの一側に設けられたハンドルハウジング側係合部32bと、介在部32aの他側に設けられた本体ハウジング側係合部32cと、を含んでいる。ハンドルハウジング側係合部32bは、介在部32aの一側から当該介在部32aの径方向外側に向かって拡がった後、後方に向かって略90度屈曲してハンドルハウジング20の表面に至っている。本体ハウジング側係合部32cは、介在部32aの他側から当該介在部32aの径方向外側に向かって拡がった後、前方に向かって略90度屈曲して本体ハウジング10の表面に至っている。
【0031】
ハンドルハウジング20の上側端部25は、上方端部32が弾性変形することによって、本体ハウジング10に対して進退する。より具体的には、ハンドルハウジング20の上側端部25は、ハンドルハウジング側係合部32bと本体ハウジング側係合部32cとが近接し、又は離間するように介在部32aが弾性変形することによって、本体ハウジング10に対して進退する。つまり、ハンドルハウジング20の上側端部25は、本体ハウジング10に対して主に前後に移動可能である。
【0032】
既述のとおり、
図1に示されている樹脂製カバー31の下方端部33は、
図2,
図3に示されている上方端部32と実質的に同一の形状及び構造を有している。よって、
図1に示されているハンドルハウジング20の下側端部26は、樹脂製カバー31の下方端部33が上方端部32と同様に弾性変形することによって、本体ハウジング10に対して進退する。つまり、ハンドルハウジング20の下側端部26は、上側端部25と同様、本体ハウジング10に対して主に前後に移動可能である。
【0033】
以上のように、
図1に示されているハンドルハウジング20と本体ハウジング10とは、これらハウジング20,10の上に二層成形によって成形された一連の樹脂製カバー31の一部を介して相対移動可能に接続されている。よって、本体ハウジング10において発生した振動が、ハンドル21を形成しているハンドルハウジング20へ伝搬することが防止または抑制される。つまり、本実施形態に係るハンマドリル1Aでは、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の表面を覆っている樹脂製カバー31の一部が防振部材として機能する。そして、一部が防振部材として機能する樹脂製カバー31は、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の上に二層成形によって成形された樹脂成形体である。よって、従来よりも少ない部品点数及び簡略化された構造によって組立工数の低減および小型化が図られるとともに、従来と同等或いはそれ以上の防振効果が得られる。
【0034】
尚、本実施形態における樹脂製カバー31の素材はエラストマーであるが、樹脂製カバー31の素材は特に限定されない。もっとも、振動伝達の防止や抑制の観点からは、本体ハウジング10やハンドルハウジング20の素材よりも軟質の素材によって樹脂製カバー31を成形することが好ましい。
【0035】
上記のような樹脂製カバー31は、例えば次のようにして成形される。
図4に示されるように、金型50内に材料樹脂を供給して本体ハウジング10及びハンドルハウジング20を同時に成形する(一次成形)。尚、
図4には、ハンドルハウジング20の上側端部25及び本体ハウジング10の上側連結部11のみが図示されているが、実際には、
図1に示されているハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の全体が一次成形によって成形される。
【0036】
その後、
図5に示されるように、成形されたハンドルハウジング20及び本体ハウジング10を別の金型51に入れた後、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10が入れられた金型51内に材料樹脂(例えば、エラストマー)を供給し、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の上に樹脂製カバー31を成形する(二次成形)。つまり、二層成形(「二色成形」と呼ばれることもある。)により、ハンドルハウジング20及び本体ハウジング10の表面の所定領域を覆うとともに、上方端部32及び下方端部33(
図1)を備える樹脂製カバー31が成形される。尚、
図5には、樹脂製カバー31の上方端部32とその近傍のみが図示されているが、実際には、
図1に示されている樹脂製カバー31の全体が二次成形によって成形される。
【0037】
図1に示されるように、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11との間には規制部材60aが介在している。同じく、ハンドルハウジング20の下側端部26と本体ハウジング10の下側連結部12との間には規制部材60bが介在している。ハンドルハウジング20は、弾性体30を介して本体ハウジング10に移動可能に接続されている。よって、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の移動量が大きくなり過ぎると、弾性体30が破損する恐れがある。規制部材60a,60bは、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の移動量を所定範囲内に規制し、弾性体30の破損を防止する。
【0038】
ここで、
図1に示されている規制部材60a,60bは、実質的に同一の形状及び構造を有する。そこで、
図2,
図3を参照しながら、上側端部25と上側連結部11との間に介在している規制部材60aの形状及び構造について詳細に説明することにより、下側端部26と下側連結部12との間に介在している規制部材60bの形状及び構造についても明らかにする。
【0039】
図2,
図3に示されるように、規制部材60aは、長手方向両端が略90度折り曲げられた2枚の金属板61,62から構成されている。
図2に示されるように、2枚の金属板61,62は背中合わせに重ねられた状態で上側端部25と上側連結部11とに跨って配置されている。さらに、金属板61,62の長手方向一端側に設けられている屈曲部63は、ハンドルハウジング20の端面20aに形成されたスリット20bを通してハンドルハウジング20の内側に差し入れられ、スリット20bの周囲に係止している。また、金属板61,62の長手方向他端側に設けられている屈曲部64は、本体ハウジング10の端面10aに形成されたスリット10bを通して本体ハウジング10の内側に差し入れられ、スリット10bの周囲に係止している。つまり、金属板61,62の長手方向一端側に設けられている屈曲部63は、ハンドルハウジング20の上側端部25に対する抜け止めとして機能し、金属板61,62の長手方向他端側に設けられている屈曲部64は、本体ハウジング10の上側連結部11に対する抜け止めとして機能している。この結果、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の上側端部25の移動量は、金属板61,62の全長の範囲内に規制される。より厳密には、ハンドルハウジング20の上側端部25の移動量は、金属板61,62の長手方向一端側の屈曲部63と長手方向他端側の屈曲部64との間隔(D)の範囲内に規制される。
【0040】
既述のとおり、
図1に示されている規制部材60bは、
図2,
図3に示されている規制部材60aと実質的に同一の形状及び構造を有している。よって、
図1に示されているハンドルハウジング20の下側端部26の移動量も、規制部材60bを構成している2枚の金属板の全長の範囲内に規制される。
【0041】
よって、
図1に示されている本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の移動量は、所定範囲内(=
図2に示されている間隔(D)の範囲内)に規制される。さらに、金属板からなる規制部材60a,60bは、ハンドルハウジング20や本体ハウジング10と面接触することになるので、ハンドルハウジング20の不要な動きを規制する効果も得られる。例えば、ハンドルハウジング20が本体ハウジング10に対して上下方向や左右方向に過剰に動くことを規制する効果も得られる。
【0042】
(第2実施形態) 次に、本発明の電動作業機の実施形態の他の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係る電動作業機は、第1実施形態に係るハンマドリル1A(
図1)と同一の基本構造を有するハンマドリルである。そこで、主に第1実施形態に係るハンマドリル1Aとの相違点について説明し、同一または実質的に同一の構成についての説明は適宜省略する。
【0043】
図6に示されるように、本実施形態に係るハンマドリル1Bは、第1部材としての本体ハウジング10及び第2部材としてのハンドルハウジング20を有し、これら本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは弾性体30を介して相対移動可能に接続されている。
【0044】
図6に示されている本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続構造は、
図1に示されている本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続構造と同一である。つまり、
図6に示されている本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、これらハウジング10,20の上に二層成形によって成形された一連の樹脂製カバー31の一部(上方端部32,下方端部33)を介して相対移動可能に接続されている。
【0045】
図1と
図6とを対比すると、本実施形態に係るハンマドリル1Bが備える規制部材60a,60bは、第1実施形態に係るハンマドリル1Aが備える規制部材60a,60bとは異なる。そこで、本実施形態に係るハンマドリル1Bが備える規制部材60a,60bについて詳細に説明する。
【0046】
もっとも、
図6に示されている規制部材60a,60bは、実質的に同一の形状及び構造を有する。そこで、
図7,
図8を参照しながら規制部材60aの形状及び構造について詳細に説明することにより、規制部材60bの形状及び構造についても明らかにする。
【0047】
図7,
図8に示されるように、規制部材60aは、長手方向両端に大径部65,66がそれぞれ設けられた複数枚の金属板67から構成されている。それぞれの金属板67は同一の形状及び寸法を有しており、互いに重ね合われた状態で上側端部25と上側連結部11とに跨って配置されている。
【0048】
図7に示されるように、それぞれの金属板67の大径部65,66には長穴68が形成されている。複数枚の金属板67は、それぞれの大径部65に形成されている長穴68同士が互いに連通し、かつ、それぞれの大径部66に形成されている長穴68同士が互いに連通するように重ね合わされている。
【0049】
図8に示されるように、ハンドルハウジング20の上側端部25内には、それぞれの金属板67の大径部65に形成されている長穴68(
図7)を貫通する連結ピン28が設けられており、この連結ピン28の両端はハンドルハウジング20に係合されている。一方、本体ハウジング10の上側連結部11内には、それぞれの金属板67の大径部66に形成されている長穴68(
図7)を貫通する連結ピン14が設けられており、この連結ピン14の両端は本体ハウジング10に係合されている。この結果、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の上側端部25の移動量は、
図7に示される間隔(D)の範囲内に規制される。つまり、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の上側端部25の移動量は、金属板67の長手方向両端に設けられている2つの長穴68の間隔(D)の範囲内に規制される。
【0050】
既述のとおり、
図6に示されている規制部材60bは、
図7,
図8に示されている規制部材60aと実質的に同一の形状及び構造を有している。よって、
図6に示されているハンドルハウジング20の下側端部26の移動量も、規制部材60bを構成している金属板の長手方向両端に設けられている2つの長穴の間隔の範囲内に規制される。
【0051】
つまり、
図6に示されている本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の移動量は、所定範囲内(=
図7に示されている間隔(D)の範囲内)に規制される。
【0052】
図9,
図10に、本実施形態に係るハンマドリル1Bと実質的に同一の接続構造によって本体ハウジング10とハンドルハウジング20とが接続された電動作業機の異なる例をそれぞれ示す。
図9に示されている電動作業機は、セーバーソー(「レシプロソー」と呼ばれることもある。)である。
図10に示されている電動作業機は、丸鋸である。
【0053】
図9に示されているセーバーソー1Cは、駆動源としてのモータ40を備えており、当該モータ40から出力される駆動力によって往復駆動される先端工具(鋸刃3)が装着される。
図10に示されている丸鋸1Dは、駆動源としてのモータ(不図示)を備えており、当該モータから出力される駆動力によって回転駆動される先端工具(鋸刃3)が装着される。
【0054】
図9に示されるセーバーソー1C及び
図10に示される丸鋸1Dは、外殻2を形成する本体ハウジング10及びハンドルハウジング20を有している。また、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、弾性体30を介して相対移動可能に接続されている。本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続構造の詳細についての説明は省略するが、弾性体30は、本体ハウジング10及びハンドルハウジング20の上に二層成形によって成形され、これらハウジング10,20の表面を覆う樹脂製カバー31の一部である。
【0055】
また、本体ハウジング10とハンドルハウジング20との接続部分には、本体ハウジング10に対するハンドルハウジング20の移動量を所定範囲内に規制する規制部材60a,60bが設けられている。
【0056】
(第3実施形態) 以下、本発明の電動作業機の実施形態の他の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係る電動作業機は、第1実施形態に係るハンマドリル1A(
図1)と同一の基本構造を有するハンマドリルである。そこで、主に第1実施形態に係るハンマドリル1Aとの相違点について説明し、同一または実質的に同一の構成についての説明は適宜省略する。
【0057】
図11は、本実施形態に係るハンマドリル1Eの部分断面図である。本実施形態に係るハンマドリル1Eは、外殻2を形成する本体ハウジング10とハンドルハウジング20とが弾性体30を介して接続されている点で第1実施形態に係るハンマドリル1Aと共通する。さらに、本実施形態に係るハンマドリル1Eは、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とを接続している弾性体30が、ハウジング10,20の上に二層成形によって成形され、これらハウジング10,20の表面を覆う樹脂製カバー31の一部(上方端部32,下方端部33)である点においても、第1実施形態に係るハンマドリル1Aと共通する。
【0058】
一方、本実施形態に係るハンマドリル1Eは、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とが接続部70を介して接続されている点で、第1実施形態に係るハンマドリル1Aと相違している。つまり、本実施形態に係るハンマドリル1Eにおける本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、弾性体30及び接続部70の両方を介して接続されている。
【0059】
図12(a)は、
図11中において一点鎖線の円で囲まれているC部の拡大図である。つまり、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11との接続部分の拡大図である。
図12(a)に示されるように、ハンドルハウジング20の上側端部25と本体ハウジング10の上側連結部11との間に介在している接続部70は、本体ハウジング10に連接する第1端部71と、ハンドルハウジング20に連接する第2端部72と、これら第1端部71と第2端部72とを繋ぐ中間部73と、を含んでいる。
【0060】
第1端部71,第2端部72及び中間部73は一体成形されているが、中間部73の肉厚は第1端部71及び第2端部72の肉厚よりも薄い。言い換えれば、本体ハウジング10からハンドルハウジング20に向かって延びる第1端部71と、ハンドルハウジング20から本体ハウジング10に向かって延びる第2端部72とは、それらよりも肉薄の中間部73を介して繋がっている。
【0061】
第1端部71及び第2端部72よりも肉厚が薄い中間部73は、第1端部71及び第2端部72の何れよりも強度が低い脆弱部である。つまり、ハンドルハウジング20の上側端部25は、弾性体30及び脆弱部を含む接続部70を介して本体ハウジング10の上側連結部11に接続されている。尚、
図11に示されるハンドルハウジング20の下側端部26と本体ハウジング10の下側連結部12との間に介在している接続部70は、
図12(a)に示されている接続部70と同一の形状及び構造を備えている。つまり、ハンドルハウジング20の下側端部26は、上側端部25と同様、弾性体30及び脆弱部を含む接続部70を介して本体ハウジング10の下側連結部12に接続されている。
【0062】
図11に示されるように、ハンドルハウジング20に、当該ハンドルハウジング20を本体ハウジング10に近接させる方向に作用する所定以上の力(F1)が加えられるか、当該ハンドルハウジング20を本体ハウジング10から離間させる方向に作用する所定以上の力(F2)が加えられると、接続部70が破壊される。具体的には、ハンドルハウジング20に力(F1)が加えられると、
図12(b)に示されるように、接続部70中の脆弱部である中間部73が破断する。一方、ハンドルハウジング20に力(F2)が加えられると、
図12(c)に示されるように、接続部70中の脆弱部である中間部73が破断する。
【0063】
ここで、
図11に示されるように、本体ハウジング10及びハンドルハウジング20の表面を覆っている一連の樹脂製カバー31の一部である弾性体30は、接続部70を跨いで本体ハウジング10及びハンドルハウジング20の表面を覆っている。よって、ハンドルハウジング20に力(F1)が加えられ、中間部73が
図12(b)に示されるように破断される際、弾性体30は一時的に潰れる。一方、ハンドルハウジング20に力(F2)が加えられ、中間部73が
図12(c)に示されるように破断される際、弾性体30は一時的に伸びる。
【0064】
図11に示されている2つの接続部70が備える中間部73(
図12)が上記のようにして破断されると、それ以降、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、弾性体30のみを介して接続される。言い換えれば、本体ハウジング10とハンドルハウジング20とは、相対移動可能に接続される。この結果、ハンドルハウジング20は、本体ハウジング10に対して主に前後に移動可能となり、本体ハウジング10において発生した振動が、ハンドル21を形成しているハンドルハウジング20へ伝搬することが防止または抑制される。
【0065】
尚、中間部73の破断は、ハンマドリル1Eの出荷前に工場において行ってもよく、ハンマドリル1Eを購入したユーザが購入後に行ってもよい。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、弾性体を介して相対移動可能に接続される第1部材及び第2部材は、これまでに説明した本体ハウジング10やハンドルハウジング20に限られない。
図13,
図14に示される実施形態では、電動作業機の外殻の少なくとも一部を形成する第1部材91と第2部材92とが弾性体30及び接続部70を介して相対移動可能に接続されている。
図13,
図14に示されている弾性体30は、これまでに説明した各実施形態における弾性体30と同じく、第1部材91及び第2部材92の上に二層成形によって成形され、これら第1部材91及び第2部材92の表面を覆う樹脂製カバー31の一部である。また、
図13,
図14に示されているそれぞれの接続部70は、
図11,
図12に示されている接続部70と実質的に同一の構造を有する。
【0067】
一方、
図13,
図14に示されている実施形態では、第1部材91及び第2部材92の双方によってハンドル21が形成されている。具体的には、
図13に示されるように、第1部材91によってハンドル21の前方部分21aが形成され、第2部材92によってハンドル21の後方部分21bが形成されている。
【0068】
図13に示される第2部材92に、当該第2部材92を第1部材91に近接させる方向に作用する所定以上の力(F1)が加えられるか、当該第2部材92を第1部材91から離間させる方向に作用する所定以上の力(F2)が加えられると、それぞれの接続部70における中間部73(「中間部73」については
図12を参照)が破断される。つまり、
図13,
図14に示されている複数の接続部70が破壊される。
【0069】
接続部70が破壊されると、それ以降、第1部材91と第2部材92とは、弾性体30のみを介して接続される。言い換えれば、第1部材91と第2部材92とは、相対移動可能に接続される。さらに言い換えれば、ハンドル21の後方部分21bは、ハンドル21の前方部分21aを含む第1部材91に対して主に前後に移動可能となる。この結果、第1部材91において発生した振動がハンドル21の後方部分21bへ伝搬することが防止または抑制される。尚、ハンドル21の後方部分21bは、主にハンドル21を握る作業者の手のひらに当たる部分である。
【0070】
図15に示されるように、第2部材92の上部のみを1つ又は2つ以上の接続部70を介して第1部材91に接続してもよい。この場合、
図15に示されている第2部材92は、接続部70が破壊された後、その下部を支点として第1部材91に対して相対移動可能(揺動可能)となる。
【0071】
本発明における接続部の形状は、これまでに参照した各図に示されている形状に限られない。本発明における接続部は、第1部材に連接する第1端部と、第2部材に連接する第2端部と、第1端部と第2端部とを繋ぐこれら第1端部及び第2端部よりも脆弱な中間部と、を含んでいればよく、その形状などは特に限定されない。そこで、
図16(a)~(d)に接続部の変形例の幾つかを示す。
【0072】
図16(a)~(d)に示される接続部70は、第1端部71,第2端部72及び中間部73を含んでいる。また、第1端部71と第2端部72とを繋いでいる中間部73は、第1端部71及び第2端部72より肉薄であるか、少なくとも第1端部71及び第2端部72よりも肉薄な部分を含んでおり、全体として第1端部71及び第2端部72よりも脆弱である。
【0073】
図16(a)に示されている接続部70は、第2端部72から第1端部71に向かって先細りとなる中間部73を備えており、当該中間部73の頂点が第1端部71に繋がっている。
図16(b)に示されている接続部70は、第2端部72から第1端部71に向かって膨出する円弧部と第1端部71から第2端部72に向かって膨出する円弧部とを含む中間部73を備えており、2つの円弧部の頂点同士が繋がっている。
図16(c)に示されている接続部70は、第1端部71から第2端部72に向かって先細りとなる中間部73を備えており、当該中間部73の頂点が第2端部72に繋がっている。
図16(d)に示されている接続部70は、第2端部72から第1端部71に向かって先細りとなる先鋭部と第1端部71から第2端部72に向かって先細りとなる先鋭部とを含む中間部73を備えており、2つの先鋭部の頂点同士が繋がっている。
【符号の説明】
【0074】
1A,1B,1E…ハンマドリル、1C…セーバーソー、1D…丸鋸、2…外殻、3…ドリルビット(鋸刃)、10…本体ハウジング、10a,20a…端面、10b,20b…スリット、11…上側連結部、12…下側連結部、13…係合部、14…連結ピン、20…ハンドルハウジング、21…ハンドル、21a…前方部分、21b…後方部分、22…トリガレバー、23…バッテリ装着部、24…電池パック、25…上側端部、26…下側端部、27…係合部、28…連結ピン、30…弾性体、31…樹脂製カバー、32…上方端部、32a…介在部、32b…ハンドルハウジング側係合部、32c…本体ハウジング側係合部、33…下方端部、40…モータ、41…伝達機構、42…冷却ファン、43…ピニオンギヤ、44…ベベルギヤ、45…中間シャフト、46…シリンダ、47…リテーナスリーブ、50,51…金型、60a,60b…規制部材、61,62,67…金属板、63,64…屈曲部、65,66…大径部、68…長穴、70…接続部、71…第1端部、72…第2端部、73…中間部、91…第1部材、92…第2部材