IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

特許7355112セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール
<>
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図1
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図2
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図3
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図4
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図5
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図6
  • 特許-セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20230926BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N2/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021551006
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2019039837
(87)【国際公開番号】W WO2021070286
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】貫井 七瀬
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118641(JP,A)
【文献】実開平04-122226(JP,U)
【文献】特開2011-065468(JP,A)
【文献】特開平11-101034(JP,A)
【文献】特開2018-188082(JP,A)
【文献】特開平04-024134(JP,A)
【文献】特開平09-011799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/00 - 7/14
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のスライド可能なセンタコンソールであって、
前記センタコンソールのスライドポジションを変更するコンソールアクチュエータと、
前記センタコンソールに設けられた、前記車両の運転モードを変更するセレクタスイッチと、
前記コンソールアクチュエータを用いて前記センタコンソールの前記スライドポジションを調整するためのコンソール調整スイッチと、
プリセットされた前記センタコンソールの前記スライドポジションに関連付けられたプリセット情報を記憶し、取得した前記プリセット情報に基づいて前記コンソールアクチュエータを制御して前記センタコンソールをプリセットされた前記スライドポジションに移動させるように構成されたコントローラと、
を備え
前記コントローラが、シートのシートポジションを変更するシートアクチュエータを、前記コンソールアクチュエータと協調制御可能に構成されており、
前記コントローラが、前記センタコンソールのプリセットされた前記スライドポジションに関連付けてプリセットされた前記シートの前記シートポジションも前記プリセット情報に記憶し、
前記コントローラが、取得した前記プリセット情報に基づいて前記シートアクチュエータ及び前記コンソールアクチュエータを協調制御して前記シート及び前記センタコンソールをプリセットされた前記シートポジション及び前記スライドポジションにそれぞれ移動し、
前記シートポジションが少なくともシートスライドポジションを含み、
前記コントローラが、前記シートアクチュエータ及び前記コンソールアクチュエータを協調制御する際に、前記シートのスライド量及びスライド速度と前記センタコンソールのスライド量及びスライド速度とをそれぞれ一致させ、かつ、前記シートのスライド開始と前記センタコンソールのスライド開始とを一致させない、センタコンソール。
【請求項2】
請求項に記載のセンタコンソールであって、
前記コントローラが、スマートキーから前記プリセット情報を受け取り可能に構成されている、センタコンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セレクタスイッチを備えたスライド可能なセンタコンソール[a slidable center console provided with a selector switch]に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2は、可動シートを開示している。シートが可動であるため、ペダルやステアリングホイールとの位置関係を調整でき、最適なドライビングポジションを実現できる。また、下記特許文献1及び2は、運転席の複数のシートポジション(シートスライドポジション、シートクッション高さ、シートバックリクライニング角度)をプリセットすることのできるシステムも開示している。プリセットされたシートポジションは当該システムに設けられた選択ボタンで容易に選択できる。シートポジションが選択されると、シートに内蔵された電制アクチュエータ(モータ)によって選択されたシートポジションが実現される。シートポジションに加えて、ステアリングポジション(チルト及びテレスコピックポジション)、ドア/ルームミラーポジションも連動可能な[cooperatively adjustable]システムも実現されている。上述したシステムの選択ボタンは、ドアなどに設けられている。また、スマートキーを介して自動的にドライビングポジションが選択されるシステムもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-91330号公報
【文献】特開昭62-91331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転モード(パーキングモード、ドライブモード、ニュートラルモード、リバースモード等)を選択するためのセレクタレバーも、運転中に操作される。セレクタレバーは、センタトンネルに固定的に設置されているのが一般的であった。セレクタレバーにはトランスミッションを機械的に操作するケーブルが接続されているので、セレクタレバーは固定的に設置されていた。しかし、近年普及している電気自動車(EV)では、機械的なセレクタレバーに代えて電制スイッチが装備されている(セレクタスイッチ)。また、EVでは、内燃機関で必要な排気管がないので、センタトンネルを設ける必要もない。しかし、運転中に操作され得るセレクタスイッチも、ドライビングポジション、特に、シートポジションとは関係なく固定的に設置されていた。
【0005】
本発明の目的は、セレクタスイッチの位置を調節可能にして、より最適なドライビングポジションを実現することのできる、セレクタスイッチを備えた可動センタコンソールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、スライド可能なセンタコンソールを提供する。当該センタコンソールは、センタコンソールをスライドさせるためのコンソールアクチュエータと、車両の運転モードを変更するセレクタスイッチと、コンソールアクチュエータを用いてスライド位置を調整するコンソール調整スイッチとを備えている。セレクタスイッチはセンタコンソールに設けられているので、センタコンソールのスライドによりセレクタスイッチの位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記特徴によれば、ドライビングポジションに合わせてセレクタスイッチも適切なスライド位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るセンタコンソールの斜視図である。
図2図2は、上記センタコンソールの分解斜視図である。
図3図3は、上記センタコンソールのシステムブロック図である。
図4図4は、上記センタコンソールを、シート及びステアリングユニットと共に示す側面図(プリセットされたドライビングポジション)である。
図5図5は、図4と同様の側面図(降車ポジション)である。
図6図6は、図4と同様の側面図(図の状態からセンタコンソールを任意にスライド)である。
図7図7は、上記センタコンソールの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係るセンタコンソール1について説明する。
【0010】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のセンタコンソール1は、下部ユニット1Lと、上部ユニット1Uと、駆動ユニット1Dとを備えている。下部ユニット1Lは、車両のキャビンの床に固定されている。上部ユニット1Uは、下部ユニット1L上で前後方向[longitudinal direction]にスライド可能である。駆動ユニット1Dは、下部ユニット1Lと上部ユニット1Uとの間に配設されている。駆動ユニット1Dは、電力によって上部ユニット1Uを下部ユニット1Lに対して前後方向にスライドさせる。なお、本実施形態の車両はバッテリ電気自動車(BEV)である。
【0011】
下部ユニット1Lは、センタトンネルが形成されていないフラットな床上に固定されている。下部ユニット1Lの下部前方には、ポケット100が設けられている。図示されていないが、下部ユニット1Lの内部には、ハーネスや空調ダクトが配設されている。なお、空調ダクトは、後述する上部ユニット1Uのブロアグリル103に接続されている。従って、空調ダクトは、上部ユニット1Uのスライドに伴ってその長さが変わるように形成されている。
【0012】
上部ユニット1Uの内部にもポケットが設けられており、ドライバなどの乗員は、開放可能なスライドリッド101又は開放可能なスイングリッド102を介してポケットにアクセスできる。スライドリッド101の前端を後方にスライドするとスライドリッド101が開放される。スイングリッド102の前端を持ち上げると、後端のヒンジを中心にしてスイングリッド102が垂直にスイングしてスイングリッド102が開放される。上部ユニット1Uの後面には、空調のブロアグリル103及びUSBコネクタや各種スイッチなどを備えたリアパネル104が設けられている。
【0013】
上部ユニット1Uのドライバ側(本実施形態では左側)の上面前方部には、運転モード(パーキングモード、ドライブモード、ニュートラルモード、リバースモード等)を選択するためのセレクタスイッチ105が配設されている。セレクタスイッチ105は、電気的なスイッチであり、通常はデフォルトポジションに位置している。セレクタスイッチ105の上面には、Pボタンが設けられており、Pボタンを押すとパーキング(P)モードが選択される。パーキングモード以外のモードの選択時には、ドライバはセレクタスイッチ105を水平に操作するが、操作後にはセレクタスイッチ105はデフォルトポジションに復帰する。
【0014】
例えば、セレクタスイッチ105を左方に移動して保持すると、ニュートラル(N)モードが選択される。セレクタスイッチ105を左方に移動してから前方に移動するとリバース(R)モードが選択される。セレクタスイッチ105を左方に移動してから後方に移動するとドライブ(D)モードが選択される。ドライブモード中にセレクタスイッチ105を左方に移動してから後方に移動するとブレーキ(B)モードが選択される。ブレーキモードは、ドライブモードよりも回生ブレーキが効くモードである。選択されたモードはインストルメントパネル8(図4参照)のメータ内に設けられたインジケータによって表示される。ブレーキモード中にセレクタスイッチ105を左方に移動して後方に移動するとドライブモードに復帰する。
【0015】
上部ユニット1Uのドライバ側の側面前方部には、上部ユニット1Uのスライド位置を調節するコンソール調整スイッチ106が配設されている。本実施形態のコンソール調整スイッチ106は前後方向に並べられた二つのボタンを有しており、これらのボタンは凹部内に配されている。従って、ひじなどでボタンが誤って押されることが防止されている。前方のボタンが押されている間は、上部ユニット1Uは前方にスライドされる。後方のボタンが押されている間は、上部ユニット1Uは後方にスライドされる。センタコンソール1のスライド、即ち、上部ユニット1Uの下部ユニット1Lに対するスライドは、駆動ユニット1Dによって行われる。
【0016】
駆動ユニット1Dは、下部ユニット1Lに固定されるブラケット107と、ブラケット107にスライド可能に取り付けられたスライダブルフレーム108とを備えている。ブラケット107及びスライダブルフレーム108の両側部が、それぞれ、リニアガイドレールとして構成されている。上部ユニット1Uは、スライダブルフレーム108のリニアガイドレールの上面に固定されている。ブラケット107には、コンソールアクチュエータとしての駆動モータ109が固定されている。駆動モータ109の出力軸は、ギアユニット110を介して、前後方向に延在するフィードスクリュー111に接続されている。フィードスクリュー111には、内溝筒[inner-threaded tube]112が螺合されており、内溝筒112から延出された接続片が上部ユニット1Uに固定されている。
【0017】
(例えば、コンソール調整スイッチ106の前ボタンの押下によって)駆動モータ109が正転されると、ギアユニット110を介してフィードスクリュー111は正転する。この結果、フィードスクリュー111に螺合している内溝筒112が前方に移動され、上部ユニット1Uが前方にスライドする。一方、(例えば、コンソール調整スイッチ106の後ボタンの押下によって)駆動モータ109が逆転されると、ギアユニット110を介してフィードスクリュー111は逆転する。この結果、フィードスクリュー111に螺合している内溝筒112が後方に移動され、上部ユニット1Uが後方にスライドする。
【0018】
このように、駆動モータ(コンソールアクチュエータ)109は、センタコンソール1(上部ユニット1U)のスライドポジションを変更する。即ち、コンソール調整スイッチ106によって、センタコンソール1(上部ユニット1U)のスライドポジションを調整できる。本実施形態では、センタコンソール1(上部ユニット1U)のスライドポジションはコンソール調整スイッチ106を用いてドライバによって任意に調整されるだけでなく、コントローラ2(図3参照)によって自動で調整され得る。また、センタコンソール1(上部ユニット1U)のスライドポジションは、シート3のシートポジションやステアリングユニット4のステアリングホイールポジションと共にコントローラ2によって協調制御され得る。
【0019】
図3に示されるシステムブロック図を参照しつつ、センタコンソール1のシステムを説明する。コントローラ2は、CPU、ROM、RAM、I/Oデバイスなどからなる電子デバイスである。コントローラ2は、上述した、コンソール調整スイッチ106及びコンソールアクチュエータ(駆動モータ)109と接続されている。コントローラ2は、シート3のシートポジションを変更するためのモータなどのシートアクチュエータ30とも接続されている。シートポジションは、シートスライドポジション、シートバックリクライニング角度、シートクッション高さなどによって決定される。シートポジションには、ランバーサポートやシートクッション傾斜の設定も含み得る。シートスライドポジション、シートバックリクライニング角度、シート高さは、それぞれ個別のアクチュエータによって独立して変更可能である。シートポジションは、シート調整スイッチ31のボタンなどを用いてドライバによって調整され得る。また、センタコンソール1と同様に、シート3のシートポジションも、コントローラ2によって自動で調整され得る。
【0020】
コントローラ2は、ステアリングユニット4のステアリングホイールポジションを変更するためのモータなどのステアリングアクチュエータ40とも接続されている。ステアリングホイールポジションは、テレスコピック量及びステアリングコラムのチルト角度によって決定される。テレスコピック量及びチルト角度は、それぞれ個別のアクチュエータによって独立して変更可能である。ステアリングホイールポジションは、ステアリング調整スイッチ41のボタンなどを用いてドライバによって調整され得る。また、センタコンソール1及びシート3と同様に、ステアリングユニット4のステアリングホイールポジションも、コントローラ2によって自動で調整され得る。
【0021】
コントローラ2には、操作パネル7も接続されている。ドライバは、操作パネル7を用いて自分のドライビングポジションをプリセットする。ドライビングポジションは、シート3のシートポジション、ステアリングユニット4のステアリングホイールポジション、及び、センタコンソール1のスライドポジション(即ち、セレクタスイッチ105の位置)を含む。プリセットされた、シートポジション、ステアリングホイールポジション及びセンタコンソール1のスライドポジションは、互いに関連付けられる。また、操作パネル7は、プリセットされたドライビングポジションを実現するようにシート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1を移動するためにも用いられる。なお、操作パネル7は、シート調整スイッチ31などの他のスイッチと統合されてもよい。プリセットされたドライビングポジションは、プリセット情報としてコントローラ2に記憶される。ドライビングポジションは最大三つまで記憶可能である。
【0022】
操作パネル7は、ドライビングポジションをプリセット、即ち、コントローラ2に記憶させるためのメモリボタン70を備えている。また、操作パネル7は、三つのドライビングポジションに対応する、NO.1ボタン71、NO.2ボタン72及びNO.3ボタン73も備えている。即ち、ボタン71~73は、ドライビングポジションの選択ボタンである。さらに、操作パネル7は、シート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1を降車しやすい位置に移動させるための降車ボタン[exit button]74も備えている。ドライビングポジションをプリセットする際には、メモリボタン70とボタン71~73の何れか一つとが用いられる。記憶されたプリセット情報を呼び出してプリセットされたドライビングポジションにシート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1を移動する際には、ボタン71~73の何れか一つのみが用いられる。
【0023】
センタコンソール1のコントローラ2は、車両のドアロックシステムを制御するドアロックコントローラ5とも接続されている。ドアロックコントローラ5は、スマートキー6と無線通信可能であり、スマートキー6の車両への接近を検出したり、スマートキー6に記憶されたプリセット情報を読み出したりすることができる。スマートキー6に記憶されたプリセット情報は、コントローラ2に記憶されたプリセット情報と同じであるが、スマートキー6に記憶されたプリセット情報については後述する。センタコンソール1のコントローラ2は、ドアロックコントローラ5からプリセット情報を取得することができる。スマートキー6は、セットボタン60を備えている。
【0024】
図4は、プリセットされたドライビングポジションを示している。降車ボタン74が押されるか、ドライバが降車するとコントローラ2が判断した場合は、図に示されるように、ドライバが降車しやすいように、コントローラ2は、シート3を所定スライド量(例えば、40mm)後方に移動する。同時に、コントローラ2は、シート3の後方スライドに協調させて、センタコンソール1も所定スライド量(例えば40mm)移動させる。同時に、コントローラ2は、ステアリングホイールをチルト位置最上方かつテレスコピック位置最前方に移動させる。
【0025】
一方、ドライビングポジションの状態でコンソール調整スイッチ106の後ボタンが押されると、図6に示されるように、それに応じてセンタコンソール1を後方に移動させることができる。本実施形態のセンタコンソール1のスライド可能量は150mmである。上述したように、本実施形態の車両は床にセンタトンネルが設けられておらず、インストルメントパネル8の下方は運転席から助手席まで床がフラットである。このため、図6に示されるように、センタコンソール1(上部ユニット1U)を最後方位置にスライドさせると、ドライバは運転席と助手席との間を楽に移動できる。
【0026】
次に、図7に示されるフローチャートを参照しつつ、動作例について説明する。コントローラ2は、ドアロックコントローラ5と通信しており、車両のドアが開かれたか否かを監視している(ステップS1)。ドアが開かれた場合は、車両を起動するメインスイッチ(メインパワースイッチ)がオンにされる(ステップS3)まで、コンソール調整スイッチ106が操作されたか否かが監視される(ステップS2)。ユーザが(車両の走行のためでなく)荷物を取りに来てセンタコンソール1をスライドさせたい場合は、ステップS2が肯定される。ステップS2が肯定されると、コントローラ2は、コンソール調整スイッチ106の操作に従って、センタコンソール1をスライドさせる(ステップS4)。
【0027】
メインスイッチがオンにされてステップS3が肯定された場合、コントローラ2は車両が走行されると判断され、コントローラ2はプリセット情報を取得する(ステップS5)。プリセット情報は、上述したように操作パネル7のボタン71~73の押下を通して取得される(操作されなければシートポジションなどはそのまま)。あるいは、プリセット情報を自動で取得するように設定されている場合は、ドアロックコントローラ5を介してスマートキー6からプリセット情報を取得する。あるいは、コントローラ2に記憶されたプリセット情報がスマートキー6と関連付けられている場合は、スマートキー6を特定して、特定されたスマートキー6に関連付けられたプリセット情報が読み出される。
【0028】
ステップS5に続いて、取得されたプリセット情報に基づいて、シート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1が移動され、最適なドライビングポジションが実現される(ステップS6)。ステップS6の後は、メインスイッチがオフにされる(ステップS8)まで、コンソール調整スイッチ106が操作されたか否かが監視される(ステップS7)。最適なドライビングポジションに設定された後も何らかの理由でセンタコンソール1をスライドさせたい場合があり、そのような場合はステップS7が肯定される。ステップS7が肯定されると、コントローラ2は、コンソール調整スイッチ106の操作に従って、センタコンソール1をスライドする(ステップS)。
【0029】
メインスイッチがオフにされてステップS8が肯定された場合、コントローラ2は、車両の使用が終了したと判断し、図5に示されるように、降車しやすいようにシート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1を移動する(ステップS10)。図4に示されるドライビングポジションに対して、図5は降車ポジションを示している。なお、設定によって、メインスイッチオフ後に降車ポジションが自動で実現されないようにすることも可能である。このような場合は、操作パネル7の降車ボタン74が押されたら、コントローラ2は、シート3、ステアリングユニット4及びセンタコンソール1を移動して降車ポジションを実現する。
【0030】
本実施形態では、センタコンソール1がシート3と協調してスライドされていることをドライバが容易に認識できるように、コントローラ2がスライド量やスライド速度を制御する。センタコンソール1及びシート3のスライド量が互いに一致し、かつ、センタコンソール1及びシート3のスライド速度が互いに一致すると、センタコンソール1とシート3とは同時に相対速度ゼロで動き出し、同時に停止する。この場合、ドライバは、シート3と共にセンタコンソール1も移動していることに気付きにくい。センタコンソール1がシート3と共に移動していることをドライバが認識できれば、他の乗員や車内の荷物に注意を払うことができる。具体的には、ドライバ、スライドするセンタコンソール1と他の乗員との接触や、スライドするセンタコンソール1と後席床上の荷物との接触などに注意を払うことができる。
【0031】
ここでは、センタコンソール1のスライドとシート3のスライドとの関係が重要である。従って、シートポジションの中でも、シート「スライド」ポジションに注目する。シートポジションに含まれるシートクション高さやシートバックリクライニング角度は、ここでは重要ではない。コントローラ2は、シートアクチュエータ30及びコンソールアクチュエータ109を協調制御する際に、(1)シート3及びセンタコンソール1のスライド量を互いに異ならせるか、(2)シート3及びセンタコンソール1のスライド速度を互いに異ならせる。
【0032】
上記(1)シート3及びセンタコンソール1のスライド量を互いに異ならせる場合、両者のスライド速度が同じ(相対速度がゼロ)であると、必然的にそれらのスライドの開始及び停止の少なくとも一方は一致しない。従って、ドライバは協調スライドを認識しやすい。ドライバにより早期に認識させるには、スライド停止よりもスライド開始を一致させない方が好ましい。一方、両者のスライド速度が互いに異なる場合は上記(2)の場合であり、スライド量が一致しても一致しなくても、必然的に両者の相対速度はゼロではない。従って、ドライバは協調スライドを容易に認識できる。
【0033】
あるいは、コントローラ2は、シートアクチュエータ30及びコンソールアクチュエータ109を協調制御する際に、(3)スライド量及びスライド速度を一致させ、かつ、スライド開始を一致させない。必然的に、スライド停止も一致しない。この場合は、スライド開始が一致しないので、ドライバは協調スライドを容易に認識できる。
【0034】
本実施形態によれば、コンソール調整スイッチ106を用いてセンタコンソール1をコンソールアクチュエータ109によってスライドさせることができる。従って、センタコンソール1に設けられたセレクタスイッチ105の位置を調節できる。この結果、最適なドライビングポジションを簡単に実現できる。
【0035】
また、本実施形態では、上述したプリセット情報に基づいて、センタコンソール1(セレクタスイッチ105)のスライドポジションとシート3のシートポジションとを協調制御できる。従って、最適なドライビングポジションをより簡単に実現できる。
【0036】
ここで、シート3とセンタコンソール1との協調制御において、(1)シート3及びセンタコンソール1のスライド量を互いに異ならせるか、(2)シート3及びセンタコンソール1のスライド速度を互いに異ならせる。(2)の場合は、シート3に対するセンタコンソール1の相対速度がゼロでないので、乗員はセンタコンソール1もスライド制御されていることを認識しやすい。(1)の場合は、たとえ相対速度がゼロであっても、両者のスライドの開始又は停止が一致しないので、乗員はセンタコンソール1もスライド制御されていることを認識しやすい。
【0037】
あるいは、シート3とセンタコンソール1との協調制御において、(3)シート3のスライド量及びスライド速度とセンタコンソール1のスライド量及びスライド速度とをそれぞれ一致させ、かつ、両者のスライド開始を一致させなくてもよい。スライド開始が一致しない場合、スライド停止も当然一致しない。両者のスライドの開始及び停止が一致しないので、乗員はセンタコンソール1もスライド制御されていることを認識しやすい。
【0038】
また、本実施形態では、コントローラ2が、スマートキー6からプリセット情報を受け取り可能に構成されている。即ち、シート3とセンタコンソール1との協調制御において、スマートキー6の所有者に合わせてプリセット情報を取得することができるので、最適なドライビングポジションをより簡単に実現できる。例えば、スマートキー6を所有しているだけで、シート3及びセンタコンソール1の協調制御によって最適なドライビングポジションを自動的に実現することも可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、コントローラ2は、他の装備のコントローラ(例えば、ドアロックコントローラ5)と統合されてもよい。また、コントローラ2は、センタコンソール1の内部に配置されてもよいし、外部に配置されてもよい。上記実施形態では、コントローラ2は、ドアロックコントローラ5がスマートキー6から無線受信したプリセット情報をドアロックコントローラ5から有線で受け取った。しかし、コントローラ2は、スマートキー6からプリセット情報を直接無線受信してもよい。
【0040】
上記実施形態の車両はBEVであるが、これに限定されない。車両は、内燃機関のみを搭載した車両でもよいし、ハイブリッド電気自動車(HEV)などでもよい。上記実施形態では、センタコンソール1のスライドは、下部ユニット1Lに対する上部ユニット1Uのスライドによって行われた。しかし、センタコンソール1全体がキャビンの床に対してスライドしてもよい。また、センタコンソール1、シート3及びステアリングユニット4協調制御されたが、その他の装備(例えば、ドア/ルームミラー)がさらに協調制御されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 センタコンソール
1L 下部ユニット
1U 上部ユニット
1D 駆動ユニット
105 セレクタスイッチ
106 コンソール調整スイッチ
109 駆動モータ(コンソールアクチュエータ)
2 コントローラ
3 シート
30 シートアクチュエータ
6 スマートキー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7