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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】穀粒判別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022571930
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2021040432
(87)【国際公開番号】W WO2022137817
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2020214161
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 学
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-041895(JP,A)
【文献】特開2014-158551(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172118(WO,A1)
【文献】特開2020-026963(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112067616(CN,A)
【文献】特開2006-231233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明トレーに載置された穀粒の品質を判別可能な穀粒判別装置であって、
前記穀粒の上方に配置されて該穀粒の上面を撮像可能な上方カメラと、
前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を撮像可能な下方カメラと、
前記穀粒の上方に配置されて該穀粒の上面を照明可能な上方光源と、
前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を照明可能な第1下方光源と、を有し、
前記穀粒判別装置は、
前記上方カメラが設けられた上部筐体と、前記下方カメラが設けられた下部筐体と、前記透明トレーを載置可能なトレー配置筐体と、を有し、
前記トレー配置筐体は、前記穀粒判別装置による穀粒の品質を判別しない場合に前記上部筐体と前記下部筐体とのうち少なくともいずれか一方を可動させて収容することで該穀粒判別装置の高さを低くすることが可能である
ことを特徴とする穀粒判別装置。
【請求項2】
前記上方光源は、直接光及び/又は間接光によって前記穀粒の上面を照明可能であり、
前記第1下方光源は、間接光によって前記穀粒の下面を照明可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の穀粒判別装置。
【請求項3】
前記第1下方光源による間接光は、植毛布又は無反射塗装面からの間接光である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の穀粒判別装置。
【請求項4】
前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を照明可能な第2下方光源を有し、
前記第2下方光源は、直接光及び/又は間接光によって前記穀粒の下面を斜め下方から照明可能である
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の穀粒判別装置。
【請求項5】
前記第1下方光源と前記第2下方光源とのうち、少なくともいずれか一方が発光されて前記下方カメラによる前記穀粒の撮像が行われる
ことを特徴とする請求項に記載の穀粒判別装置。
【請求項6】
前記第2下方光源は、
発光部と、該発光部の光の照射方向に配置されるシリンドリカルレンズとを備え、
前記シリンドリカルレンズは、光の拡散を抑制して前記穀粒の下面を照明可能である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の穀粒判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒の品質を判別することが可能な穀粒判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、穀粒の品質を光学的に判別することが行われている。例えば、特許文献1に記載の発明は、穀粒の載置面が透明な透明トレーを使用して、当該透明トレーに載置された穀粒をカメラによって上方から撮像している。そして、得られた画像情報に基づいて、穀粒の品質を判別するものである。このような装置は、光学的に穀粒の品質を判別するものであるので、経験者でなくても品質の判別を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-026963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀粒の品質の判別精度を向上させることが望まれる中、透明トレーの上に載置した穀粒の表面だけでなく、穀粒の裏面の画像情報を得ることで、品質の判別精度を向上できる可能性がある。しかし、穀粒の品質を判別する装置内にカメラを設けるとなると、その設置スペースの確保が必要となり、穀粒判別装置の大型化を招いて、可搬性能が低下することが考えられる。
【0005】
本発明は、穀粒判別装置の大型化を抑制しつつ、穀粒の判別精度を向上させることが可能な穀粒判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、透明トレーに載置された穀粒の品質を判別可能な穀粒判別装置であって、前記穀粒の上方に配置されて該穀粒の上面を撮像可能な上方カメラと、前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を撮像可能な下方カメラと、前記穀粒の上方に配置されて該穀粒の上面を照明可能な上方光源と、前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を照明可能な第1下方光源と、を有することを特徴とする穀粒判別装置である。
【0007】
(2)前記穀粒判別装置は、前記上方カメラが設けられた上部筐体と、前記下方カメラが設けられた下部筐体と、前記透明トレーを載置可能なトレー配置筐体と、を有し、前記トレー配置筐体は、前記上部筐体と前記下部筐体とのうち少なくともいずれか一方を可動させて収容することが可能であることを特徴とする上記(1)に記載の穀粒判別装置である。
【0008】
(3)前記上方光源は、直接光及び/又は間接光によって前記穀粒の上面を照明可能であり、前記第1下方光源は、間接光によって前記穀粒の下面を照明可能であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の穀粒判別装置である。
【0009】
(4)前記第1下方光源による間接光は、植毛布又は無反射塗装面からの間接光であることを特徴とする上記(3)に記載の穀粒判別装置である。
【0010】
(5)前記穀粒の下方に配置されて該穀粒の下面を照明可能な第2下方光源を有し、前記第2下方光源は、直接光及び/又は間接光によって前記穀粒の下面を斜め下方から照明可能であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の穀粒判別装置である。
【0011】
(6)前記第1下方光源と前記第2下方光源とのうち、少なくともいずれか一方が発光されて前記下方カメラによる前記穀粒の撮像が行われることを特徴とする上記(5)に記載の穀粒判別装置である。
【0012】
(7)前記第2下方光源は、発光部と、該発光部の光の照射方向に配置されるシリンドリカルレンズとを備え、前記シリンドリカルレンズは、光の拡散を抑制して前記穀粒の下面を照明可能であることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の穀粒判別装置である。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)に係る発明によれば、透明トレーに載置された穀粒の上面と下面を、上方カメラと下方カメラによってそれぞれ撮像することが可能となる。さらに、穀粒の上面を照明可能な上方光源と、穀粒の下面を照明可能な第1下方光源とを備えることで、穀粒の品質の判別を従来よりも高精度に行うことが可能となる。
【0014】
上記(2)に係る発明によれば、トレー配置筐体が、上方カメラが設けられた上部筐体と、下方カメラが設けられた下部筐体とのうち少なくともいずれか一方を可動させて収容することができる。このような構成により、穀粒判別装置を保管、運搬する際は、上部筐体と下部筐体とのうち少なくともいずれか一方を収容して装置全体を小さくすることができる。これにより、保管スペースを確保しやすくなり、さらに、穀粒判別装置の運搬を容易にすることができる。
【0015】
上記(3)に係る発明によれば、上方光源の直接光及び/又は間接光によって穀粒の上面を照明できる。特に、大豆などの米粒に比べて大きな穀粒を透明トレーに載置した場合であっても、穀粒に影が生じ難くすることができる。さらに、穀粒の表面全体を照明することが可能となる。
【0016】
上記(4)に係る発明によれば、第1下方光源による間接光は、植毛布又は無反射塗装面からの間接光であるため、穀粒の下面に光源や周辺部材が映り込むことを防ぐことができる。
【0017】
上記(5)に係る発明によれば、穀粒の下方に穀粒の下面を照明可能な第2下方光源を設け、当該第2下方光源の直接光及び/又は間接光を穀粒の斜め下方から照射することができる。これにより、特に米粒の胴割れの検出を効果的に行うことができる。
【0018】
上記(6)に係る発明によれば、第1下方光源と前記第2下方光源とのうち、少なくともいずれか一方が発光されて前記下方カメラによる穀粒の撮像が行われる。これにより、判定しようとする品質項目に応じて発光させる光源を選択することができるので、穀粒の品質を高精度に判別することができる。
【0019】
上記(7)に係る発明によれば、第2下方光源において、発光部の光を、シリンドリカルレンズを介して穀粒の下面に照射することができる。これにより、光の拡散を抑制して、均一でムラのない明るさで穀粒の下面を撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態における穀粒判別装置を示す断面図である。
図2】本実施形態における穀粒判別装置を示す平面図である。
図3】本実施形態における穀粒判別装置の収容態様を示す断面図である。
図4】本実施形態における穀粒判別装置の内面の仕様を示す断面図である。
図5】穀粒判別装置の上方光源の発光態様を示す断面図である。
図6】穀粒判別装置の第1下方光源の発光態様を示す断面図である。
図7】穀粒判別装置の第2下方光源の発光態様を示す断面図である。
図8】本実施形態の変形例を示す穀粒判別装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態における穀粒判別装置1について図面を用いて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における穀粒判別装置1の断面図である。穀粒判別装置1は、穀粒に光を照射し、当該穀粒を上方及び下方から撮像することが可能である。穀粒判別装置1は、米、麦、豆類、コーンなどの穀粒の品質を判別するために使用することができる。
【0023】
穀粒判別装置1は、図1の断面図及び図2の平面図に示されるように、箱型に形成され、上部筐体12と、トレー配置筐体11のと、下部筐体13とから主に構成されている。図2に示されるように、上部筐体12は円筒形状となっている。トレー配置筐体11のうち、透明トレー50の底面から上方にかけては円筒形状となっている。トレー配置筐体11のうち、透明トレー50の底面から下方及び下部筐体13は、八角形となっている。
【0024】
しかし、上部筐体12、トレー配置筐体11及び下部筐体13は、必ずしも図2に示されるような形状に限定されるものではない。例えば、平面視で円形や八角形以外の多角形など、適宜採用することができる。
【0025】
品質の判別対象となる穀粒2は、図1に示されるように、皿形状の透明トレー50に入れられ、当該透明トレー50はトレー配置筐体11内で開口する円形載置部14に載置される。本実施形態の透明トレー50は、透明な合成樹脂で皿状に形成されているが、少なくとも穀粒2が載置される底面が光透過性を有していればよく、形状や寸法も特に限定されるものではない。
【0026】
上部筐体12の内部には、穀粒2を上方から撮像可能な上方カメラ3aが取り付けられている。さらに、上部筐体12はトレー配置筐体11に形成された上部開口16を介して矢印方向に上下移動することが可能となっている。
【0027】
このような構成によって、図3に示されるように、上部筐体12をトレー配置筐体11の内部に上方カメラ3aとともに収容することができる。穀粒2を上方カメラ3aによって撮像する際は、図1に示される位置に上部筐体12を固定する。上部筐体12を固定する方法としては、例示するまでもなく、公知の係止方法を適宜、採用すればよい。
【0028】
下部筐体13の内部には、穀粒2を下方から撮像可能な下方カメラ3bが取り付けられている。さらに、下部筐体13はトレー配置筐体11に形成された周囲開口17を介して矢印方向に上下移動することが可能となっている。加えて、トレー配置筐体11には、図1に示されるような下部開口15が形成されている。これにより、トレー配置筐体11を下方へ移動、又は下部筐体13を上方へ移動させ、下部筐体13をトレー配置筐体11内に収容する際に、下方カメラ3bがトレー配置筐体11に干渉することを防いでいる。
【0029】
このような構成によって、図3に示されるように、下部筐体13をトレー配置筐体11の内部に下方カメラ3bとともに収容することができる。穀粒2を下方カメラ3bによって撮像する際は、図1に示される位置に下部筐体13を固定する。下部筐体13を固定する方法としては、例示するまでもなく、公知の係止方法を適宜、採用すればよい。
【0030】
図3に示されるように、上部筐体12及び下部筐体13をトレー配置筐体11の内部に収容することが可能となることで、図1に示された使用時の穀粒判別装置1の高さを2/3程度の高さまで低くすることができる。このような構成により、穀粒判別装置1の保管スペースが容易に確保でき、さらに運搬しやすくすることができる。
【0031】
図1及び図5の断面図に示されるように、透明トレー50の斜め上方には、上方光源30が設けられ、発光部として複数の白色LEDが設けられている。さらに、図5に示されるように、透明トレー50の周囲の側壁は白色面としているので、上方光源30の直接光及び側壁で反射された間接光を穀粒2に照射することが可能となっている。
【0032】
このような構成により、大豆など、米粒に比べて大きな穀粒を透明トレー50に入れた場合であっても、穀粒2等の影が生じ難く、さらに穀粒2の表面全体を照明することが可能となる。さらに、図5に示されるように、上部筐体12の内部の壁面及びトレー配置筐体11の内部の上面は無反射の黒色面としているので、透明トレー50に載置された穀粒2の表面に、周辺部材が映り込むことを効果的に防いでいる。
【0033】
図1及び図6の断面図に示されるように、透明トレー50の斜め下方には、第1下方光源40と第2下方光源20が設けられている。第1下方光源40は、発光部として複数の白色LEDが下方に向けて設けられている。さらに、図6に示されるように、第1下方光源40の周囲の側壁は白色面とし、第1下方光源40の対向する面は無反射の黒色面としている。無反射の黒色面としては、例えば、植毛布の設置や無反射の塗材の塗布などによるものとすることができる。
【0034】
そして、第1下方光源40の直接光や側壁で反射された間接光は、無反射の黒色面に強く照射されることにより、上記黒色面における反射光が第1下方光源40の間接光として透明トレー50の底面に照射される。このような構成により、透明トレー50の底面全体に光を均一に照射することができ、穀粒の下面全体を照明することが可能となる。
【0035】
図1及び図7の断面図に示されるように、透明トレー50の斜め下方には、第2下方光源20が設けられ、発光部として複数の白色LED21がシリンドリカルレンズ22に向けて設けられている。より詳細に説明すると、断面がU型のリフレクタ内に、白色LED21とシリンドリカルレンズ22が設けられている。
【0036】
そして、図1に示される角度Aによって、白色LED21からの直接光がシリンドリカルレンズ22を介して透明トレー50の底面に照射される。このように構成することで、透明トレー50の底面に載置された穀粒2に対して斜め下方から光を照射することができ、特に米粒の胴割れの検出を効果的に行うことができる。さらに、シリンドリカルレンズ22を設けることにより、レンズの作用によって光の拡散を抑え、透明トレー50の底面の明るさをほぼ均一にすることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、前述したように、上方光源30、第1下方光源40及び第2下方光源20に白色LEDを使用したが、必ずしも白色LEDに限定されるものではなく、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の単色LEDを組み合わせたものとすることが可能である。
【0038】
続いて、本実施形態における穀粒判別装置1の品質判別方法について説明する。
穀粒判別装置1を使用する際は、図3に示される穀粒判別装置1の状態から、図1に示されるように、トレー配置筐体11から上部筐体12を上方に引き出して固定する。さらに、トレー配置筐体11を上方へ移動して当該トレー配置筐体11から下部筐体13を引き出して固定する。本実施形態の穀粒判別装置1は、上方カメラ3a及び下方カメラ3bともに同じ仕様のカメラを使用して、上方カメラ3a及び下方カメラ3bによって取得する画像品質が同一品質となるようにしている。さらに、画像処理に頼らないレンズ収差補正を行い、撮像画面全面においてピントが合うようにしている。そのため、本実施形態では、透明トレー50の底面に載置される穀粒2と、上方カメラ3a及び下方カメラ3bとの距離は同じ距離となっている。
【0039】
続いて、品質の判別対象となる穀粒2を、図1に示されるように、透明トレー50に載置し、トレー配置筐体11内の円形載置部14に載置する。次に、上方光源30及び第1下方光源40、第2下方光源20を点灯し、透明トレー50に載置された穀粒2に対して光を照射して上方カメラ3a及び下方カメラ3bによる穀粒2の撮像を行う。例えば、反射画像、透過画像、胴割れ画像の3種類の画像を、上方カメラ3a及び下方カメラ3bのそれぞれで撮像することができる。上方光源30と、第1下方光源40及び第2下方光源20とを同時に点灯することで、穀粒2の反射透過画像を上方カメラ3a及び下方カメラ3bで撮像することができる。
【0040】
上記したように、上方光源30と、第1下方光源40及び第2下方光源20とを同時に点灯して、上方カメラ3a及び下方カメラ3bによる穀粒2の撮像を行ってもよい。別の撮像方法として、上方光源30と、第1下方光源40又は第2下方光源20を同時に点灯した状態で、上方カメラ3a及び下方カメラ3bにより穀粒2を撮像してもよい。このような撮像方法により、穀粒2の表面及び裏面において、反射透過画像を撮像することができる。
【0041】
透明トレー50に載置された穀粒2の裏面の撮像を行う際に、第2下方光源20を点灯させて、下方カメラ3bによる撮像を行うこともできる。本実施形態では前述したように、シリンドリカルレンズ22を設けることにより、レンズの作用によって光の拡散を抑え、透明トレー50の底面の明るさをほぼ均一にすることが可能となっている。これにより、画像品質が向上し、穀粒2の裏面に着色がある場合に乳白か着色かの判断が可能となる。
【0042】
本実施形態では、第2下方光源20にシリンドリカルレンズ22を設けたが、光の出射面が凸状に形成されていればよい。例えば、受光面が平面で光の出射面が凸状に形成されるかまぼこ型のレンズや、レンズの断面が楕円で形成されるものであってもよい。すなわち、レンズの光の出射面の凸状は、湾曲面を備えているものであればよい。
【0043】
本実施形態では、図1に示されるよう、第1下方光源40と第2下方光源20の両方を備えているが、必ずしも両方を備える必要はなく、いずれか一方のみ備えるようにしてもよい。第1下方光源40と第2下方光源20の両方を備える場合であっても、いずれか一方のみを点灯させて、穀粒2の表面や裏面の撮像を行うことができる。
【0044】
上方カメラ3a及び下方カメラ3bでそれぞれ撮像された画像データは、穀粒判別装置1の図示しないマイクロコンピュータによって解析される。例えば、取得した穀粒2の画像データに基づいて、外形形状、面積、長さ、幅などの形状情報や、色彩情報、米粒の胴割れ等の光学情報を抽出し、穀粒2の品質を高精度に判別することが可能となる。
【0045】
特に、本発明は、穀粒2の表面と裏面の撮像を特別な画像処理を施すことなく撮像画面全面で穀粒2を全て撮像可能としている。この場合、透明トレー50上の穀粒2と、上方カメラ3a及び下方カメラ3bとの距離が一定以上必要となるが、穀粒判別装置1を使用する時のみ、トレー配置筐体11から上部筐体12を上方に、下部筐体13を下方に引き出して固定するように構成しているので、保管時や省スペース化や運搬・移動のしやすさに大きく貢献するものである。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、特に第1実施形態と相違する構成について以下に説明する。
【0047】
第2実施形態では、上部筐体12と、トレー配置筐体11とから主に構成されている。より簡単に言うと、前述の第1実施形態における下部筐体13を設けない実施形態であり、下方カメラ3bを備えておらず、トレー配置筐体11を直接接地面に置くことができるように構成されている。
【0048】
また、第1実施形態と同様に、上部筐体12をトレー配置筐体11の内部に上方カメラ3aとともに収容することができる。そして、穀粒2を上方カメラ3aによって撮像する際は、図1に示されるような位置に上部筐体12を固定する。このような構成とすることで、従来型の判別装置に比べて装置自体を小型化することが可能となり、穀粒判別装置1の保管スペースが容易に確保でき、さらに運搬しやすくすることができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、特に第1実施形態と相違する構成について以下に説明する。
【0050】
第3実施形態では、下部筐体13と、トレー配置筐体11とから主に構成されている。より簡単に言うと、前述の第1実施形態における上下に可動する上部筐体12を設けず、トレー配置筐体11内の上部に上方カメラ3aを固定配置した実施形態である。なお、上方カメラ3aと穀粒2との間に所定距離が必要となるので、図1に示されるトレー配置筐体11は上方に大きくする必要がある。
【0051】
下部筐体13は前述の第1実施形態と同様に、トレー配置筐体11の内部に下方カメラ3bとともに収容することができる。このような構成により、従来型の判別装置に比べて、上方カメラ3aと下方カメラ3bによる高精度な穀粒2の品質の判別が可能となる。さらに、装置自体を小型化することが可能となり、穀粒判別装置1の保管スペースが容易に確保でき、加えて、運搬しやすくすることができる。
【0052】
(変形例)
図8には、前述した第1実施形態(図1等参照)の変形例における穀粒判別装置1の断面図が示されている。なお、基本的な装置構成は前述の第1実施形態と同様であり、図示されるように、変形例では筐体の形状が略球状となっている点で相違する。以下に、変形例について説明するが、前述した第1実施形態と共通する構成は省略して説明する場合がある。
【0053】
変形例における穀粒判別装置1は、図8の断面図に示されるように、筐体の形状が略球状に形成されている。筐体は当該筐体の中央付近を境目にして、上部筐体12と、下部筐体13とから主に構成されている。
【0054】
上部筐体12又は下部筐体13のどちらか一方に取り付けられた円形載置部14には透明トレー50が載置され、上部筐体12に取り付けられた上方カメラ3aと、下部筐体13に取り付けられた下方カメラ3bとによって、透明トレー50に載置された穀粒2を撮像することが可能となっている。
【0055】
透明トレー50の斜め上方には、上方光源30が設けられ、発光部として複数の白色LEDが設けられている。さらに、透明トレー50の斜め下方には、第1下方光源40と第2下方光源20が設けられている。第1下方光源40は、発光部として複数の白色LEDが下方に向けて設けられている。第2下方光源20は、発光部として複数の白色LED21がシリンドリカルレンズ22に向けて設けられている。より詳細に説明すると、断面がU型のリフレクタ内に、白色LED21とシリンドリカルレンズ22が設けられている。なお、第2下方光源20は、図8に示されるように平面視で4方向に設けられている。
【0056】
なお、前述した各実施形態では、透明トレー50の斜め下方に、第1下方光源40と第2下方光源20とを設けているが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、透明トレー50の斜め下方には、第2下方光源20を設けずに第1下方光源40のみを設けるようにしてもよいし、第1下方光源40を設けずに第2下方光源20のみを設けるようにしてもよい。
【0057】
また、図8に示された変形例では、筐体の形状を略球状としたが、必ずしもこのような形状に限定されるものではない。例えば、上方カメラ3aと下方カメラ3bのそれぞれのカメラと、透明トレー50との距離を長く取るために、穀粒判別装置1の筐体を上下方向に延びる略楕円形状とすることも可能である。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、又は、省略が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 穀粒判別装置
2 穀粒
3a 上方カメラ
3b 下方カメラ
11 トレー配置筐体
12 上部筐体
13 下部筐体
14 円形載置部
15 下部開口
16 上部開口
17 周囲開口
20 第2下方光源
21 白色LED
22 シリンドリカルレンズ
30 上方光源
40 第1下方光源
50 透明トレー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8